「この村から出ていくよ」
少女が初老の男に言った。
その言葉を受けた男は表情を変えなかった。
「そうか」
「……」
「好きにしろ」
「……うん」
辺境にある小さな村。
その村にあるひとつの住居での親子の会話だった。
それで会話は終わった。
少女は暗い表情で、父親は冷たい表情で。
「お腹いたい……」
ハンターズギルドの前で思わずつぶやいてしまった。
お腹が痛い。病気などではない。ただの緊張からだ。
「なんで呼ばれたんだろ……、何も悪いことはしてない、はずなのに……。それになんでオレだけ……、帰りたい、すごい帰りたい……」
お腹が痛いと呻く俺はハンターである。
このところ依頼成功率が高く、仲間たちとともに上位ハンターとして認められた中堅ハンターである。
ハンターズギルドに赴くときはいつも一緒にいる仲間としか来たことがなかった。なのに今回は一人だ。どういうわけかギルドから手紙で呼び出されたのだ。何を言われるのか全くわからず弱気になっても仕方がないと思う。知らない間に何かやってしまったのか、非道なハンターはギルドナイトに始末されるという噂を聞いたことがある。自分は知らず知らずに非道なハンター行為をしてしまっていたのか、不安からどんどん後ろ向きな発想が出てくる。
しかしいつまでも外にいても何も解決しない。意を決してギルドの中へ入ることにした。
中にはギルドナイトのような人物の姿はない。そのことに少し安堵し、受付の子に話しかけた。
「すいません、えっと、呼び出しを受けたロウです」
「あ、ロウさんですね。マスターからお話がありますので少々お待ちください」
マスターからの話。
ますます後ろ向きな考えが思い浮かぶ。帰りたいが、我慢する。逃亡すればそれこそ、どこかからか突然現れたギルドナイトに斬り捨てられるのでは、とありもしない考えがよぎったからだ。
奥から竜人族の老人、このギルドのマスターが出てきた。話をした回数は数回しかない。だから正直マスターの性格も詳しくは知らない。少ない会話から抱いた印象としてはおっとりした人物に感じたが、印象通りの性格であるか、不安である。
「あ~、すまんね。待たせてしまって」
「い、いえ。今来たところです」
恋人とのベタなシーンとしてあげられるやり取りをやってしまった。正直恋人ができたらやってみたい憧れでもある。一周回って王道がいいのだと仲間に主張したことがあるのだ。鼻で笑われたが。
「まぁそう固くなりなさんな」
「はい」
「ふぅむ……」
「……」
「……」
沈黙。
無言の時間がますます不安にさせる。呼び出した要件はやはり何かのお叱りでは、という考えはピークに達する。トイレに行きたくなってきた。
「しょうがないか……」
マスターの独り言のようなつぶやき。いよいよ呼び出した用件が話されるのだろう。どんな罰を告げられるのか待った。
「今回キミを呼び出したのはね」
「はい」
「護衛の依頼を頼もうと思ったのだよ」
「……護衛、ですか?」
護衛依頼。
書士隊や商人、キャラバンが道中や目的地にて、モンスターからの被害を避けるための依頼。その依頼自体は物珍しいものではない。しかしオレは護衛依頼をこなしたことがない。護衛となると通常の狩猟よりもさらに臨機応変に対応を求められる。依頼者は自らの命や財産を託すため、信頼にたるハンターを指名することが多い。
護衛の経験が全くないのにマスター自らが頼む状況。いまいち理由が見えないため、尋ねることにした。
「なんでまた、自分に」
落ち着かない気持ちを隠しながら尋ねる。さっきまでとは違い、ギルド側から期待されているのでは、という思いが高まる。
「本当はキミ以外にも頼もうとしたんだけどね、断られちゃったみたいで」
「あ、そうなんですか」
自分以外にも頼まれた人がいたことに少し気落ちした。特別期待されている、というわけではないか。だが期待されている中の一人、ということに再度気持ちを持ちなおす。
ギルド側からの評価が少しわかったことにより嬉しさあふれる反面、不安が再びくすぶってくる。護衛依頼は通常よりも失敗が許されない。そして、他のハンターが断ったようなので、ひとりだけになるかもしれない。まさか一人だけを行かせるとは思えない、が、念のため自分も断ろうと思い口を開きかけた。
しかしそれより先にマスターが動いた。
「いや~、キミが受けてくれて助かるよ。やはり期待のハンターは違うねぇ」
断りづらい雰囲気を作ろうとしていた。
この流れは危険だ、断る口実を述べなくては。
「こ、心苦しいですが自分には荷が重いです。一人で、経験のない護衛をこなせるとは思えないので……」
「大丈夫だよ。今回の依頼は少し特殊でね。現地のハンターとも協力してもらうことになってるからね」
「は、はぁ……。しかし、おれ、自分の力不足で失敗する可能性も高く……」
「後ろ向きだねぇ。だけど大丈夫だよ。今回の依頼は特殊ではあるが内容自体は簡単さ。経験にもなるからね」
「簡単なのであればその現地のハンターに頼めばいいのでは」
「ちょっと特殊だからね~。こちらからも派遣することになってるんだ」
「こう言ってはなんですがオレそんなに強くはないです! 基本的に仲間のサポートを中心とした立ち回りなので仲間だよりなんです!」
「現地の協力してくれるハンターは凄腕だからね。サポートが得意なハンターに頼みたかったからピッタリだね」
断る口実による退路はとことん潰された。
強引に断ればいい話ではあるんだけど、オレは断るのが苦手である。なので向こうから「それじゃあこの話は無理だね」と言わせたかったのだがそれは叶いそうにない。
これも人助けのため、マスターの言ってることが事実ならきっと難しくはない依頼、そう自分に言い聞かせ
「わかりました……」
「いや~助かる助かる」
観念した。
「それで、どういった内容なんですか」
聞いてからふと気づく。内容次第では断ります、とか言えばよかったと。
「古龍観測隊の護衛だよ。現地で少し調査することがあってね、そこまでの護衛と、現地での護衛。あ、ちなみに古龍観測隊の護衛ってのは他言無用だよ」
「古龍観測隊って……、無理ですオレじゃ絶対無理です!」
古龍観測隊。
古龍の動向の調査、生態の研究などを行う組織だ。この組織自体は問題ない。ただ問題はその観測する対象、古龍にある。未だに生態のほとんどが謎に包まれており、他の竜とは比較にならない被害を出したり超常じみた力を操る存在だ。
先ほどのマスターの言葉から護衛は、道中、そして現地である。調査の現地となれば古龍に関係した場所となるのであろう。危険度は高そうだ。
「焦らなくても大丈夫だよ。絶対とは言い切れないけど古龍の調査とかじゃない」
「でも関係あるのでは!?」
「関係あるかどうかの調査だよ。まぁ詳しいことは観測隊の方から聞くといいよ。それじゃ」
話はこれでおしまい、と言わんばかりにマスターが席を立つ。そして職員が資料を渡しにきた。
資料、というより今回の依頼の開始時期や報酬について書かれたもの。依頼書だ。
「3日後て……」
もう少し猶予がほしいと思った。具体的な情報が何もないため準備物が多くなるからだ。
モンスターによって、有効になる道具や武器が異なってくる。オレが扱える武器は片手剣だけだ。そして、戦闘スタイルは道具がメインだ。マスターに宣言した通り、閃光玉や角笛などでサポートが主体なのだ。もしも具体的な情報があれば、有効な道具を中心に準備していけるがそれができない。とにかく汎用性が高い閃光玉、こやし玉を中心に準備することにした。
3日後。
「古龍観測隊のアルクと申します。しばらくの間護衛をお願いします」
「護衛として派遣されたロウです。こちらこそよろしくお願いします」
ギルドの移送船の中で今回の護衛対象と言葉を交わした。
護衛対象はアルクという少女である。ずいぶんと若そうで、その若さで観測隊になれるとは、と驚いたが表面には出さない。失礼にあたいするかもだしね。しかしてっきり複数人の護衛かと思えば一人だけである。少しだけ安堵する。護衛対象は少ないほど集中もしやすいと思ってのことだ。
「アルクさん。えっと。オレは今回の調査現場や調査内容を聞いてないのですが、聞いてもいいでしょうか」
マスターから今回の調査内容を聞きだせなかったのでアルクさんに直接尋ねる。移送船内では特にやれることもないため、時間つぶしの面もある。世間話からさりげなく聞けたりしたらよかったのだが、そのような器用さはオレにはない。
「はい、大丈夫ですよ。今回の調査の場所はバデュバトム樹海。そこでガブラスが異常発生しているらしく、その原因の調査が主な内容です」
「ガブラスですか」
「ええ、ガブラスは古龍の出現する前兆と言われてますから調査を行うことになったんです」
ガブラス。屍肉を好む翼蛇だ。災厄の使者という異名を持つ小型のモンスター。
ますます古龍と遭遇するのでは、という考えから不安に思う。もう今更依頼キャンセルをする度胸はないがマスターを怒鳴りつけたい気持ちでいっぱいである。
「あ、ですが大丈夫ですよ。今回の調査は樹海の調査のようなものです。古龍じゃありません」
「樹海の?」
「はい、もともとあのあたりの調査は進んでませんでしたしね。それに、ガブラスの異常発生の原因もある程度は推測されていて。観測隊からの調査は本当に念のため、といった意味合いが強いんです」
「原因もわかってるんですか」
「はい。元ハンターの密猟者が樹海で狩猟を行ったらしく、その死骸がそのまま放置されているようなんです」
通常はモンスターの狩猟後はギルドがモンスターを運び出す。素材の回収のため、そして他の大型モンスターを呼び寄せないためにだ。しかし密猟となればそうはならない。ギルド側に素材を回さず完全に独占ができる。もっとも大きすぎるのでバラすのも難しいと思えるが。おそらく密猟者は少しずつバラして素材を捌こうとしていたのだろう。そしてギルドナイトに始末……いや捕まって、と。
そして密猟者が来なくなったところを、屍肉を好むガブラスが集まった、と。しかし屍肉が尽きたらガブラスもまた別の場所へ食料を求めて散るだろう。本当にただ念のための調査、という意味合いのようだ。
「それにしても、ガブラスですか」
「どうしました?」
「あ、いえ。ある程度道具は持ってきたのですが何を用意したらいいかわからなくて、解毒薬はあまり多く持ってきてないんですよね……」
「なるほど……。一応私も持ってきてはいますが一人分しかなくて、すみません」
「いや、オレが悪いんで気にしないでください」
観測隊の分も持ってくるべきだったと考え始めていたが、自分の分は確保しているようだ。アルクさんの準備いい。普段ともに狩りをしているメンバーはほとんどオレに任せっきりなのに。なぜ狩りにでるハンターより観測隊の少女のほうが準備がいいのか、と仲間たちを思い浮かべ一瞬遠い目になった。
「もしもの場合は村に解毒薬がいくつかあるはずです」
「だったらいいんですけど……」
「樹海が近くにあるのでどの家も常備薬として持ち合わせてますよ。今回の調査地帯は私が住んでた村の付近なんです。途中その村にもよりますのでその時にお借りすればいいかと」
「ってことはアルクさんの故郷ですか。それも理由でアルクさんが調査にきた感じです?」
その土地に馴染みのある人物のほうが調査はやりやすいのだろう。その土地の人たちから協力も得やすくなる。
「はい。小さな村ですが村民はみんな優しくていいところですよ。今回は仕事のためゆっくりできませんけどね」
故郷のことを楽し気に語るアルクさんを見て、まだ幼い一面もあるようだ。
「少しくらいならいいんじゃないですか? 親御さんたちも心配してるでしょうし」
具体的な年齢は聞いてないがきっと若いだろう。両親と離れて寂しい思いもしたのではないかと思った。
「心配、してくれてたらいいんですけどね……」
「……?」
地雷を踏んだ。そう思った。
楽し気だった先ほどまでと違い暗い表情になった。触れてはいけない部分だったのだろう。自分の迂闊さを呪いたくなる。
「えっと、ごめん……」
「あ、いえ大丈夫です。気を使わないでください。ただちょっと父さんとの仲があまり……よくないだけで、ロウさんが気にしなくても大丈夫ですよ」
父親と不仲のようだ。亡くなっていたとかではないことに安心した。
そして父親と仲が悪い、という面で親近感がわいた。自分も父に反抗的な態度をとってしまったことがあるのだ。ハンターになると決めた時も父とは口論になった。今にして思えば自分のことを心配してのことだったのだろう。
アルクさんとその父親の仲も似たようなものなのだろうきっと。年上として、父親は心配して何か言ったのだ、とアドバイスしようと思えたがこういうことは部外者が言ってもダメだろう。かつての自分ならそんな言葉に聞き耳を立てたりはしない。確実に。なので
「そっか。親父さんとは難しくてもお袋さんは?」
無難に流すことに決めた。そして勝手に抱いた親近感から年下と話すような口調になっていた。
「母さんは……、2年ほど前に、亡くなりました」
「……ごめん」
「いえ、気にしないでください。今はもう、大丈夫ですから」
避けたと思った地雷を今度こそ踏んだ。そう感じた。
なんと言えばいいのかわからない。この空気を変えたいがいい話題が思いつかない。
「本当に気にしないで大丈夫ですよ」
「なんだか逆に気を使わせちゃってるね。あ、そうだ。現地のハンターと協力するらしいけどそのハンターはアルクさん知ってる? あ、というかタメ口ですみません」
アルクさんの両親の話から変えようとしたところで自身の口調が馴れ馴れしいものだと気づいた。気を抜き過ぎたと反省する。
「話しやすい喋り方でいいですよ。現地のハンターは、その……父さんです」
あまり話が変わらない気がした。
「ロウさんはあまり今回のことはギルドから聞いてないんです?」
準備不足を指摘された気がして耳が痛い。マスターがそうそうに話を切り上げたからとはいえ、それからもギルドを訪ねて依頼の詳細を聞くことはできた。だが、道具の調合に忙しかったためそれはできなかったのだ。
「ごめん。あまり聞いてなくて……」
最も、依頼主側から見たらただの言い訳にしか見えないだろうなぁ。ここは素直に謝罪する。内心ではマスターへの八つ当たりをしてはいるが。
「あ、すみません。責めてるわけじゃないんです。あまり身内のことを言うのは少し恥ずかしいなと思って」
「言いづらかったら言わなくても大丈夫だよ」
「いえ、そうですね……。父さんは、ハンターとしてはすごいんだと思います」
ハンターとしては、という言い方にわずかにひっかかりを覚える。
自分の想像以上に親子の仲は悪いのかもしれない。
「性格とかはどんな人なの?」
「……無口、ですね」
「ふむふむ」
「……」
「……」
「……」
性格は無口。無口って性格じゃないような。そしてそれ以外の情報が出てこないことに想像以上の不仲説は信憑性が出てきた。
「すみません……、その、あまり父さんのこと知らなくて……」
「あ、いや、まぁ、恥ずかしくて言いづらいこともあるだろうし」
「あ、でもきっとロウさんとは普通に話すと思いますよ」
「え?」
家と外では態度が違うタイプだろうか。ギルドの中では無口だが狩り仲間だけの空間だとやたら喋る知り合いもいることなのでやや納得。
「……父さんは、私にハンターになってほしかったんだと思います」
「アルクさんに?」
アルクさんは愚痴るようにこぼしだした。
「母さんが亡くなってから、父さんに鍛えられたんです。ですが才能がなくて」
「……」
「私がハンターになりたくない、と泣きながら言ってから、私と関わろうとしなくなりました。私が何をしても、何をしようとしても……、村を出ていくと言っても……、いつも、一言だけ」
「……一言だけ?」
「好きにしろ、としか言わないんです」
「それは……」
「母さんがいたころは、もう少し話したりしてたんですけどね。ハンターにならないと分かってからはいつも、好きにしろ、ですよ。だからハンターであるロウさんには私より話してくれると思います」
アルクさんと父の仲は想像してた以上の溝があるようだ。
彼女の表情は暗く、父との仲をひどく気にしているように思えた。
「あ、すみません、愚痴っちゃって」
「いや! 大丈夫だよ。愚痴りたいときは、貯めこまずに吐き出したほうがいいって聞くから」
「ありがとうございます」
暗い雰囲気につられないように、できるだけ明るく振る舞おうとしたがありきたりな対応になってしまった。
「予定では船から降りてからしばらく歩きますし、今のうちに睡眠をとりましょう」
「そうだね、休んで体力を温存させないと」
アルクさんが話にひと段落ついたところで睡眠を提案した。船を降りればゆっくり休める機会は少ないだろうと考え賛同する。
船に備えられた毛布を人数分、といっても二人だけだが用意し、就寝する。
毛布に包まりながら思うことは、護衛任務への不安。正確にはアルクさんの父と会うのが不安になってきたのだ。彼女が少し大げさに言ってるだけだったらいいのに、と願いながら目を閉じた。
移送船から降り、アプトノスの引く荷車に乗りながらおおよそ半日。
件のハンターがいる、アルクさんの故郷であるプラカ村に到着した。
アルクさんや村人からやや離れた位置でのんびりと待つことにした。先に話をしてくれるそうな。
この村で一晩過ごし、翌朝に樹海に探索、調査を行うらしく、そのための宿の調達をアルクさんに任せているのだ。
最初は年下の女の子に任せるのは恥ずかしいと考えから、自分がと交渉を行おうと思ったが、そもそもこの村に宿はないらしく、村人の家に泊まらせてもらうことになるそうで。そうなると見ず知らずのオレが話すより、この村の出身者であるアルクさんが行った方がスムーズである。アルクさんの家でもいいのでは、と思ったが父と会うのが複雑なのだろう。
ほどなくしてアルクさんが戻ってくる。
「お待たせしてすみません」
「ううん、そんなに待ってないよ」
デートの待ち合わせに使うベタなセリフをわざと言った。ちょっとしたお茶目心が出た結果である。
「泊まる場所ですが、父の家になります」
「あ、うん」
つっこみがほしかったが流された。ひょっとして天然な子なのかなと勝手にアルクさんを天然認定する。
かくしてアルクさんの家で泊まることが決まった。
「では案内しますね。ついてきてください」
「お願いするよ」
いよいよアルクさんの父との対面が迫ってきている。
正直気は重い。だが早めに対面できるだけいいことだと考え直すことにした。もしかしたらアルクさんとその父はすれ違いか何かで仲違いしていて、時間をかけたら解決するものなのかもしれない。そんな気休めを思いながら。
たどり着いた明かりの灯る一軒の家。
なるようになれ、と思いながら中に案内される。
「ただいま」
「お邪魔します」
家に入ってまずアルクさんが、それに続いて声を出す。
出迎えたのは気難しそうな顔つきをした白髪混じりの男だった。この男がアルクさんの父なのだろう。
「おかえり、そっちのは」
「今回の調査で一緒に来てくれる、護衛のハンターのロウさん」
「ろ、ロウです。よろしくお願いします」
「ああ、護衛に同行するアレストだ。よろしく頼む」
意外に普通だ。
想像していたのは親子互いに無言の状況だった。これはやはりアルクさんが大げさに言ってただけなのかもしれない。今もアレストさんとアルクさんが会話し始めた。
「明朝に調査に出るから」
「ああ」
「ガブラスはまだ見かける?」
「まだ多い」
「そうなんだ……」
アレストさんからガブラスがまだ出現しているという情報。予想と違っていた情報の理由を考え出す。思い浮かぶ理由、可能性は2つ。
密猟者によって仕留められた死骸目的で樹海に訪れ、死骸を食べ尽して別の地域に行かずに、樹海の環境を気に入りそこに巣を作った可能性。
もうひとつは、最悪の可能性。古龍の訪れをなんらかの理由で察知し、その際に出る被害のおこぼれを求めて樹海にいるという可能性。
どちらにしろ、今回の調査は当初より大事なものとなったに違いない。
「ロウさん、明日は思ったより大変かもしれませんし、もう寝ましょうか」
「あ、うん」
アルクさんもまた、明日の調査の重要性を再認識したようだ。
「それじゃロウさんは……、すみません、客室とかはないんで、私の使ってた部屋で寝てください」
「え、いや毛布さえもらえたらどこでも寝れるよ。そしたらアルクさんの寝る場所がなくなっちゃうし」
アルクさんの提案に断ろうとした。いや、年頃の少女の部屋に興味がないわけではないがあまりにも悪すぎる。それにアルクさんの寝る場所を奪うわけにもいかない。
それに対してなんでもないかのようにアルクさんは答えた。
「大丈夫ですよ。私は母さんの使ってた部屋で寝ますから」
「駄目だ」
アレストさんがアルクさんの提案を却下した。そのまま続けて
「あの部屋を使うな」
母の部屋を使うことを禁止した。
場の空気がひどく重い、そう感じた。
「……わかった。それじゃロウさん、狭い部屋ですが一緒に並んで寝ましょうか」
「……え? いや毛布さえもらえたら廊下でもどこでも」
「明日は万が一に備えて万全でいてもらわないとですから。部屋に案内しますからついてきてください」
「いや毛布さえ」
アルクさんに引っ張られながら移動する。付き合っていない男女が同じ部屋で寝るのはいかがなものか、しかし彼女の意思は変わらないようだ。ちなみに同じハンターとは男女関係なく共にテントで寝泊まりすることがある。女ハンターは異性と言うより、性別:ハンターと考えている。
「すみません、変な空気になっちゃって」
「いや、アルクさんが謝ることじゃないと思うけど」
部屋について開口一番に謝られた。
たしかに気まずい空気にはなったけど、言った通りアルクさんのせいではない。と思う。
「いえ、父さんがああいう反応をすることを予想してなかった私が悪いんです……」
「あの反応はだれにも予想できない気がするけど……、そりゃあ、その、奥さんを大事に思ってるのはわかるけど、娘の提案をああも頭ごなしに否定っていうか……、なんか、うーん」
赤の他人であるオレが奥さんの部屋を使うのを却下するってのはわかるけど、娘であるアルクさんも使うのを却下って……、なんかいやな感じがする。これじゃあまるで
「……父さんにとって、家族は母さんだけなんだと思います」
すぐに否定ができなかった。同じようなことを考えてしまっていたから。
「……そんなこと、ないよきっと」
「そう、ですね」
遅れて出た否定の言葉は、力のない言葉に感じた。
もう寝ましょう、と言ってアルクさんはベッドに横になった。
……そういや、寝場所さすがにここはだめだよねオレ。
廊下のほうが落ち着くんで、とか言って部屋から出ることにした。
廊下で寝ようと思ったが居間でもいいか、と考え直した。居間に向かうとアレストさんがいた。
「あ、どうも」
「……」
無言である。
まぁどうも、って言われてもそうなっちゃうか。いやならない気もする。年代差でノリが違うのかもしれない。これもジェネレーションギャップだろうか。
「……」
「……」
無言のままである。
無言の時間がつらく感じてきた。というか少しイライラしてきた。
別に無言なことにイラついたわけじゃない。先ほどの娘への対応が気に入らないからだ。よその家庭の問題に口を出すのはどうかとも思うが、放置するのもいい気分じゃない。
「アルクさんに奥さんの部屋を使わせるのを禁じてましたけど」
いったいどういうつもりですか? 奥さんを大事に思ってるけど娘さんはそう思ってないんですね?
感情に任せて途中まで口に出したが、なんといえばいいかわからなくなってしまった。
「オレが使うのがダメなのはわかりますけど、娘のアルクさんまでダメなのは」
「……妻のこと、アルクから聞いたのか」
「亡くなった、と。あまり、踏み込んではいけない部分だとはわかってます」
「……そうか」
しばらく沈黙が続いた。
「……妻の部屋を使わせなかったのは、俺が妻の死を認めたくないからだ」
「認めたくない?」
認めたくないとはどういうことだろう。生死不明、ということなのだろうか。
こちらの疑問に答えずに、アレストさんは語り始めた。
「妻はモンスターに襲われて亡くなった」
「……」
「アイツは死んだ。それは知っている……、なのに、認めたくないのだ」
「……それは」
「夢を見る。アイツが何食わぬ顔をして、家に帰ってくるのを。わかっている……、ただの夢だと。だが、夢の中でだけでも、アイツと共に居たい……」
震える声で願いを言うアレストさんに、なんといえばいいかわからなかった。
その気持ちは理解できてしまう。昔飼っていたプーギーが亡くなったとき、似たような気持になったことがある。夢に出て、目が覚めたとき、ずっとその夢を見たかったと思ったこともある。
「アイツの部屋を、誰かに使わせたら、もう、アイツの死を認めてしまったことになる気がした……。そうしたら、夢の中ですら、逢えなくなってしまうんじゃないか、と思ってしまうんだ……」
「……」
「すまない……、わがままだとはわかっている。今夜は俺の部屋を使いなさい。俺はここにいる」
「……わかりました」
アレストさんの言い分を聞いたけど、モヤモヤした気持ちが残った。まるでアルクさんを見てないような言い分に感じたから。
朝である。結局モヤモヤした気分のままあれから寝た。
いつまでもこの気持ちを引きずってはいられない。今日がメインなのだから。
引きずってはいられない。……アレストさんは、大丈夫なのだろうか。死んだことを認めたくはない、けど理解している。そんな気持ちでずっと奥さんの死を引きずっている気がした。
だめだ、切り替えだ。今日の仕事に気持ちを切り替えだ。
「おはようございます、ロウさん」
「おはよう」
「……」
居間につくとアルクさんが真っ先に挨拶してくれた。なんかいいよね女の子とこういうやり取り。アレストさんは無言である。
朝食を用意してくれていたようだ。やや分厚めのサンドイッチが並んでいる。……具材全部卵だこれ。
「食べ終わったら樹海に行きましょう」
「了解」
「……ああ」
「確かにガブラスはいますね」
樹海の奥のほうへ入ってしばらくしてのことだった。アルクさんがガブラスを見つけた。
「ようやく、かぁ。なんか思ってたよりそんなにいなさそう?」
樹海に入ってからそれなりに時間がたってるのに初めて1頭発見である。
「もっと奥のほうにいるのかもしれません。あのガブラスもさらに奥へ向かっているみたいですし」
「了解ー、一応念のためもっかい言うけど、頭上には気を付けてね」
「わかってます」
頭上に注意、はガブラスに注意、と言い換えてもいい。飛竜のようなブレスを出さないが毒液を吐き出してくる。通りすがりにペッ、と吐いて行かれたらイラっとするのもあるが被害も無視できない。
解毒薬はアルクさんが持ってきた1個と、オレの用意してた3個、アレストさんが持ってる3個、の合計7個だ。
アルクさんは1個あれば充分だと言って、今の数字の内訳のままそれぞれ持っている。
正直ガブラスの異常発生と聞いているのだから、7個では心もとない。だからこそ慎重に、だ。
「そういえばアレストさん、このあたりの主って何か知ってたりします?」
ふと気になったことを太刀を背中に携えたアレストさんに尋ねる。結構奥まで来てるのだから大型と出くわす可能性もある。少しでも情報は持っておきたい。
「ここまで奥へは滅多に来ないからな。正直わからん……。以前はイャンガルルガがこの樹海一帯で暴れていたが」
「そいつはもういないんです?」
「ああ、2年前に狩った」
「……」
「じゃあ今はもう違うやつが主になってそうですね……」
この環境を好みそうなやつって何がいるっけ。イャンガルルガに……、ナルガクルガ、イャンクックもかな。意外にもドスランポスとか……、はないか。
「あれ? これは……」
アルクさんが何かに気づいたようだ。1本の木に近づいて何かを引っこ抜こうとしている?
「どしたの?」
「んーーー、痛っ」
「手切ったの? 大丈夫?」
「大丈夫です、それよりこれ……」
手のひらを切ったようだ。少し血が出ている。こういうちょっとした傷も結構痛いと思う。
そんな痛みをこしらえてまで手に入れたものを見せてきた。
トゲ? やや紫がかった黒いトゲだ。植物のものではない。やたらと硬い。
「このあたりのモンスターのものでしょうか」
「なのかなぁ……」
トゲといえばイャンガルルガ? でももっと紫だしなぁ、それにこんなに細く尖ってないし。
「ナルガクルガかもしれんな」
「なるほど」
アレストさんの言葉に納得する。尾の棘だ。
ということはこのあたりの今の主はナルガクルガなのだろう。
「周囲への警戒はより一層にしないとですね」
「ああ」
ナルガクルガの俊敏性を考えるとこの樹海の環境はかなり危険に感じる。もちろん危険な目にあうのはオレたちだ。気づかぬ間に近づかれていきなり切り裂かれる、という可能性がある。木々の間を跳び回り、音もあまり立てないあの動きは暗殺者ともいわれてるほどだ。
すぐに武器を抜けるように、武器の位置を確認するかのように手をそえた。
「変ですね」
アルクさんがぼやく。確かに変である。
奥へ、さらに奥へと進んでから、ガブラスの姿はたしかに増えた。
だがほとんどが死んでいた。
「喰い荒らされた後もあるが、ガブラス同士で喰ったのかもしれんな」
「共食いですか……。アルクさん、大丈夫? 顔色あまりよくないよ」
「……大丈夫です」
アルクさんの顔色が悪い。結構歩いたのもあるのかもしれない。そしてガブラスのおびただしい死骸の数に気分をやられたのかもしれない。
「どういうわけかガブラスが何かにやられて、そしてガブラスの死骸を、また別のガブラスが喰いに来たということかもしれんな」
「ガブラスの死骸がガブラスを引き寄せてたのが異常発生の原因ですか?」
「どうだろうな……」
たしかにアレストさんの言う通り、ガブラスがガブラスを引き寄せてそうだ。屍肉、腐肉、とにかく肉なら喰うやつらだ。
最初に密猟者の狩って放置された死骸に大量に寄せられて、そして……、あれ?
なんか違和感を感じる。なんか……、うーん……。
「……ガブラスは進んで狩りをしないです。するとしても弱ってる生き物相手、もしくは自分より弱いと思った相手にだけなはずです」
「そう、だね」
アルクさんに相槌をうつ。
「大型モンスターには手を出さずにおこぼれを狙います……。このガブラスたちは、何にやられたんでしょうか……」
「それは、大型じゃないの? このあたりの主とか」
「ガブラスは狡猾です。自分より強い相手と敵対しないために相手の縄張りにはめったに入りません……」
あ、そうだ。自分で言って気づいた。密猟者の狩った主がガブラスの餌に、そしてガブラスを狩った主が別にいるんだ。新しい主が。
アルクさんの言葉を聞きながら、自分の考えを整理する。
密猟者に狩られたモンスターは運ぶ手段がなくそのまま置かれて、密猟者が捕まったことにより死骸が放置されてしまった。運べないモンスター、つまり大型なのだろう。そして大型はたいていそこの主となっている。縄張り争いで勝ち残るのは基本1頭だけだ。
そのモンスターの死骸にガブラスが群がった。そして今、ガブラスの死骸が大量にある。ガブラスは小型の中では強いほうだ。倒せるほどのモンスターは大型がたいていだろう。だから新しい主だと考えた。
先ほどの木に刺さっていた尾棘からナルガクルガがいると考えていたが、こうなってくるとわからない。密猟者に狩られたほうがナルガクルガだったのかもしれない。
だとしたら、新しい主はなんだ?
縄張りに入ってこないガブラスを積極的に狩る存在。
……イビルジョーという可能性が頭によぎる。
「……考えすぎだ」
アレストさんが言った。
「ガブラスは確かに狡猾だが、縄張りを無視することもある。喰える肉がそこにあれば食欲を優先に動く」
あ、なるほど。ベテランと言われてるほどだ。すごい安心感をくれる。樹海に行く前はいろいろ不安要素な人だったのに。
「それと、喰われてないガブラスの死骸が斬られたかのような傷がある」
「ってことは」
「ああ、ナルガクルガだろう」
どんどん情報がまとまってくる。ちょっとかっこいい。けども昨日のやり取りを思うとなんだかなぁ。好きになれない。
そしてアルクさんが何かに気づいたのか声をあげた。
そこに行ってみると、何かを引きずった跡があった。
「くさいな……」
「ですね……」
「……」
引きずった跡をたどっていくととても巨大な大木の根元まできた。
根元には入口がある。木できた洞窟、巨大樹の内部に入る。
そしてそこから、腐敗臭が漂ってくるのだ。おそらく中はガブラスの死骸だらけなのだろう。
「え」
中に入ると案の定、ガブラスの死骸が多くあった。が、それよりも目にひくものがあった。
「なんで、ナルガクルガが……」
中央にはナルガクルガの、死骸があった。
「なんで……」
「……」
「……」
ナルガクルガが死んでいる? じゃあガブラスを狩っているのはなんだ?
わけがわからない。
「……新しい主も、その前も、どちらもナルガクルガだったんでしょうか」
アルクさんが確認するかのように言う。たしかにそうだ。
「……いや、わからん」
アレストさんが否定した。ガブラスはナルガクルガにやられたって言ってたのに。
「ここにあるガブラスの死骸、どれも喰われている。それもガブラスよりでかいやつに」
……? ならナルガクルガがガブラスを喰ったんじゃないのか?
「ガブラスは毒をもっている……、もちろん食用の肉は毒のある器官は除いている。が、モンスターにその器用さがあるとは思えん」
「じゃあモンスターじゃない……?」
「いや、毒に強い耐性をもつモンスターだろう」
ますますわからなくなった。ガブラスを斬り、そして毒に強いモンスター?
とにかく、嫌な予感がする。一度戻ったほうがいい気がする。
それに、アルクさんの顔色がさっきよりひどくなっている。
「アルクさん、嫌な予感しかしない。それに顔色もさっきより悪くなってるよ。一度戻らない?」
ハンターの武器は知識だ。それは道具や罠の使い方だったり、モンスターの情報だったり。しかし今は全く相手の情報が見えない。相手の情報がわからなければ有効な道具もわからない。危険すぎる。
ガブラスの調査としてはすでに情報は手に入った。あとは依頼主である彼女が帰還を選んでくれたら
「なんで人間がいるゴブ? そこをどくゴブ! ワタクシがせめて一矢を報いるッブ!」
そう考えていたところ、オレでもアルクさんでも、アレストさんでもない、なんだか間抜けな声が聞こえた。
ってかゴブって語尾なに?
「って奇面族!?」
奇面族チャチャブー。獣人種だ。
アイルーやメラルーなどと違い、人間と敵対することが多い種族。
小柄な体とは裏腹に力がとんでもなく、道具も見よう見まねで使う器用さがあり、非常に厄介な相手だ。
そんなチャチャブーが、現れたと思えばナルガクルガの死骸に向かって走ってくる。しかしどこか元気がない。というかフラフラだ。
そしてたどり着く前に倒れ伏した。なんだこいつ。
「む、無念ゴブ……。力が、もう、出ないゴブ……」
っていうか喋れるんだ。
突然の出来事にどうしたものか、と悩んでいたところ、アルクさんが動き出した。
「この子、弱ってるみたいですし介抱しましょう」
「え? でも奇面族だよ」
「それが何か?」
「何かって、危険性が高いよ。同じ獣人種のアイルーたちと違って攻撃心? 闘争心? が強いから」
「ですがこの子はいま人間と同じ言葉を使ってましたよ。奇面族の中でも友好的なのかもしれません」
「でも」
「それに、この子から少しでも情報がほしいです」
あ、純粋に助ける精神じゃないんだ。
たしかに情報はほしい。このままやみくもに戻るにしても謎の主と鉢合わせの可能性もある。
しかし、ここに長居したくない……。ベテランハンターの意見も伺おう。
「好きにしろ」
バッサリだった。なんというか冷たい気がする。その言葉。
「とにかくこの子が出てきたとこに入りましょう」
「そこの洞窟?」
「はい、そこなら大きいモンスターは入れなさそうです」
指された方角には小さな洞窟があった。入口の上にある岩、崩れたりしませんよね……?
小さい洞窟は狭かった。少しするとやや気持ち開けた場所に出た。
アルクさんはそこに奇面族を横にさせた。
見たところ奇面族の巣のようだ。けどもほかの奇面族の姿は見られない。
唯一いる奇面族はいまこうして介抱されている。腕に擦り傷? それに痙攣をおこしている……?
介抱するって言ってもどうすればいいかわからない。思ったより深刻そうな症状になっている。
オロオロし始めたオレをよそ目にアルクさんはポーチから青い液体を取り出した。解毒薬だ。
それをハンカチに染み込ませて少しずつ飲ませるように、奇面族の口にやっている。
その甲斐あってか、奇面族の症状は落ち着いてきた。
「毒にやられてたんだねこいつ」
「そうですね。ガブラスなのか、それとも別のモンスターになのか。解毒薬が効いてよかったです」
「……」
「一応念のため活力剤も少し飲ませてみます」
症状は安定したけど目覚めるのは少しかかるか……。
ここは安全そうだからいいけども……。
待っている間にアレストさんと今後について話をしておいたほうがいいかな。
アレストさんに声をかけようとして
小型の鳴き声ではない、大型の咆哮が聞こえた。
「……今のは」
「新しい主がガブラスを襲っているのかもな……」
「……」
「見に行ってくる」
アレストさんが言う。だけど不安だ。
引き留める言葉を探してる間に洞窟に入っていった。追いかけるべきかどうしよう。
「大丈夫かな……」
「……ロウさんも行ってきて大丈夫ですよ」
「え、でもアルクさんが一人だと」
「私はこの子の様子を見てます。それに、疲れたのかしんどくて、ここで休んでます」
そう言ってる顔色は悪いままだ。たしかに休憩してもらってるほうがいい。それにアレストさんをひとりにさせておくのも危険だし、行かせてもらおう。
「じゃあ行ってくる。アルクさんはここで待ってて」
「はい」
先にいったアレストさんに追いつくため少し駆け足気味に洞窟へ入った。
洞窟の出口に近づくとアレストさんが見えた。息を殺して巨大樹内部を観ているようだ。
オレもそれを真似て中の様子を伺う。
「あれって……」
「……まさか」
ガブラスを襲っていたのはナルガクルガだった。もちろん、死骸が動いたわけじゃない。別のナルガクルガだ。死骸と違い尾の逆立った棘が凄まじい。
ナルガクルガがガブラスを喰っていた? だけどやつは毒には強くなかったはず。じゃあそれとも別のモンスターがほかにもいる?
その可能性をアレストさんに聞いてみたが
「いや……、君が来る前にあれはガブラスを喰っていた。どういうわけかわからんが、あいつはガブラスを喰えるらしい」
イレギュラーなナルガクルガということか。先ほどまでの不安が消えていく。答えがわかればなんてことはない。ただ毒が平気なナルガクルガだ。未知のモンスターではない。
ガブラスの数が減っていく。また1頭、翼刃で斬られた。残り3頭だ。
「……あのナルガクルガ」
アレストさんがつぶやくように言った。また1頭、尻尾に叩き潰された。残り2頭になった。
「さっきから中央の死骸に近づくガブラスを優先して仕留めているな……。つがい、いや、親子だったのかもしれん……」
「……たしかに、少し小柄ですね。あの親の死体を守っている?」
あのナルガクルガは親の死を理解していないのだろうか。そう思うとなんだか切なく思える。
「……あいつは俺と同じなのかもな」
どこか自嘲気味に、アレストさんが呟いた。また1頭、噛みちぎられた。とうとう残り1頭になった。
「それはどういうことなんです?」
「……」
答えてくれない。あ、最後の1頭も逃げようとしたけどもうやられそうだ。
そう思った時にはすでにガブラスは尻尾で叩き潰されていた。
横から強い衝撃がきた。
「痛っ……!!」
予想外の衝撃に吹っ飛ばされて石に頭をぶつける。しまった。今のでバレて……。
慌てて顔を上げると、
先ほどまで自分がいた場所がナルガクルガの尾に叩き潰されていた。
ナルガクルガの尾の叩き付け。文字通り全身を駆使して使うナルガクルガの必殺技だ。まともに当たればひとたまりもない。
その一撃が、洞窟の入り口を破壊していた。
「え、あ?」
「呆けるなッ!!」
アレストさんの怒鳴り声で我に返る。前には跳び上がるナルガクルガの姿。叩き付けだ。
すぐさま足に力を入れる。避けなければ死ぬ。
すぐそばで地面が抉れる音が聞こえた。そして遅れて腕に痛みが走った。
……棘? 叩き付けをしながら尾棘を飛ばしてきた?
幸い小手の上からで勢いは殺せていた。そのため腕を貫通してはいない。ちょっと刺さってるけど。
洞窟の入り口が崩れたが、アルクさんのいる場所は開けた場所だ。そこまでは崩れていないだろう。
だから今心配するのは自分の身だ。
ナルガクルガの姿から目をそらさずに、今わかった情報をアレストさんに伝える。
「アレストさん! こいつ、叩き付けをしながら尾棘を飛ばしてきます!」
「ああ!」
アレストさんが太刀を抜きながらナルガクルガへ襲い掛かる。続いてオレも片手剣を抜いた。
警戒するべきは翼刃と尻尾だ。噛みつきも危険だが、優先度は低い。
中でもこいつは殊更に尻尾が要警戒だ。通常と違い様々な状況から棘を飛ばしてくる。
たまたま最初の棘が小手越しで運が良かった。運が悪ければ頭を貫かれていたかもしれない。
尻尾が動くたびに棘が飛ぶ。アレストさんは達人めいた技術で回避していく。というか飛んでくる棘を太刀で切り落としてる。
一方オレは必死に避けている。時に転がったり、伏せたりだ。全身運動でスタミナ的に長期戦は厳しい。
アレストさんがいなかったら心が折れてそうだ。攻める余裕が一切ない。
再び飛んでくる棘を大きく避けて体勢を戻す。
眩暈がした。
こんな時に立ちくらみ? 貧血? ふざけるな、と自分を奮い立てようとするが、何かおかしい。
一度体調の異常に気付くと崩れるのはあっという間だった。
吐き気が襲う。体中が痛い、寒い。
これは……、この症状は……。
覚束ない手でポーチから青い液体を取り出し急いで飲む。飲み干すと同時に意識がはっきりしてくる。まだ少し体が悲鳴を上げてるが先ほどまでの蝕まれるかのような感覚はなくなった。
先ほどの症状。毒だ。
ガブラスはここには死骸しかない。まさかこのナルガクルガ、毒を喰うことによって毒を扱えるようになったとか?
そんな馬鹿なと思ったが、毒にやられた原因が、目の前のナルガクルガ以外に思い当たる節がない。
思い返せばあの奇面族も、毒に苦しんでいた。そして腕になんらかの擦り傷。
棘が掠ったできた傷だった? 棘によって毒に蝕まれていた?
傷の深さで毒の進行速度が違うのか? 動き回っていることも関係あるかもしれない。とにかくこの情報は伝えないと。
「アレストさん! そいつの棘に毒がある!!」
「わかった!!」
なんだこのナルガクルガは。
わけがわからない。オレの知ってるナルガクルガと全然違う。
よくよく見れば、通常のナルガクルガと違い尾の棘がやや紫がかっている。亜種のようなものだったか?
途端に不安がこみ上げてくる。何か大きな見落としをしている気がする。大事な、何か。
『んーーー、痛っ』
『手切ったの? 大丈夫?』
『大丈夫です、それよりこれ……』
アルクさんが手を傷つけたとき。
あの時の尾棘は、紫がかっていなかったか?
あの後、どんどん顔色が悪くなっていたのは、毒のせい?
洞窟のほうを見る。入口は崩れた時に落ちてきた細かい岩で塞がれてしまっている。
大丈夫だ、アルクさんは解毒薬を持って……
『毒にやられてたんだねこいつ』
『そうですね。ガブラスなのか、それとも別のモンスターになのか。解毒薬が効いてよかったです』
『……』
『一応念のため活力剤も少し飲ませてみます』
解毒薬は、あの時使っていた。
「アレストさん!!!」
「今度は何がわかった!!」
応戦中のアレストさんに声をかける。
「閃光玉を投げます!」
「ああ!?」
「やつの目が眩んだらこっちへ!!」
「……ああ!!」
アレストさんとナルガクルガの間に閃光玉が入る。そして走る閃光。
「どうしたんだ」
「アルクさんにあいつの毒が回ってるかもしれません……」
「……なに」
アレストさんはナルガクルガから目を離さずにこちらの話を聞いている。
「あの岩を急いでどかして解毒薬を飲まさないと危険です」
「……」
「だか、らっ!?」
いきなり腕を引っ張られた。何事かと思えばナルガクルガが翼刃を先ほどいた場所に振るっていた。
もう視界が治ったのか?
「音である程度はバレてるな……」
音。そうだ、大きな音が突然なるとバランスを崩すと聞いたことがある。それだけ聴力に優れていてけむり玉も効果がないことがあるとか。じゃああの時ガブラスと戦っていた最中も、こちらに気づいていたのか。
しかしこうなると絶望的だ。やつの視界がクリアにならないうちに岩をどかして洞窟へ入るつもりだったのに。
「……俺がやつを引き付ける」
「え」
「だからアルクのもとへ急げ」
言われたことに一瞬理解が遅れた。慌てて洞窟のほうへ駆け出す。
すぐに岩をどかさないと。
「……すけてゴブー!」
岩の向こうから声が聞こえた。
あの奇面族か。
「おい! アルクさんは無事か!」
「ゴブー!? そこにだれかいるゴブ!? 助けてほしいッブ! あのニンゲンが動かないゴブ!」
向こうの状況がわかった。最悪な状況のようだ。
「今解毒薬を渡しに行く! この岩を退かさないと……、お前もそっちから岩をどかすの手伝え!!」
「ゴブー! 急ぐゴブ! あいつを早く助けてゴブー!」
声が聞こえるってことは隙間はある。もしくはそれほど深く崩れてない。すぐに向こうへいけるはず。
「貴様ァ!! 避けろロウ!!!」
声を張り上げ過ぎたのだろう。
ナルガクルガがすぐ背後に迫っていた。
聞えた声に従ってすぐにその場を離れる。どの方角へ避けたらいいかわからないが、そのまま突っ立っているのはダメだということはわかった。
右側へ咄嗟に跳ねるように移動する。そして岩を抉る音。同時に飛んでくる棘。足に突き刺さる。
「ゴブ!? どうしたっブ!? すごい音がしたゴブ!! 生きてるゴブ!?」
尾の叩き付けの衝撃で岩が派手に吹き飛んでくれたようだ。さっきより距離が離れてるのにあの奇面族の声がしっかり聞こえる。これならあとちょっとで洞窟が開通する。
だから、立たないといけないのに
こんなもの足に小枝が刺さったようなもんだ。だから立ち上がれる。立ち上がってすぐに、岩をどかして、アルクさんのもとへ、行かないと。
ナルガクルガが立ち上がれないオレを見ていた。
もう、完全に視界も治ってやがる。化け物かよ。
「こっちを、見ろォォオ!!」
諦めかけた時、アレストさんの叫びが聞こえた。
アレストさんはこちらに向かってきてはいなかった。
向かった先には、死体のナルガクルガがあった。
その死体に太刀を突き刺す。倫理的な問題上、死体への攻撃はギルドでも禁止された行為だ。
なぜそんなことを今するのか、そう疑問に思った。
途端に目の前の巨体がアレストさんに向かって飛び掛かる。
それを予想していたかのようにアレストさんは太刀を引き抜いて回避した。
「このまま引き付ける!! もうこいつに邪魔はさせん!!」
だから早く岩を退かせ。そう怒鳴られてるようだ。実際怒鳴ってるんだろう。
なら、這ってでも、行かないと。あんなに冷たそうな人があんだけ熱くなってるんだ。止まれるわけがない。
「どうなってるゴブ!? 死んでないゴブ!? 生きてたら早く岩を一緒に退かすゴブ!! 死んでても早く岩を退かすゴブ!! あいつを助けてほしいゴブー!!!」
滅茶苦茶言いやがる。アルクさんを助けたあとはこいつを一発しばきたい。そのためにも、助けなくちゃ。
後ろでアレストさんとナルガクルガが対峙しているのだろう。互いに吠えている。
岩をどかしながら、その聞こえてくる内容が誤解を解きつつある。
「お前も俺も、親しい者が亡くなって、それを認められないんだろう……。だが俺の子は、アイツの死を受け止めた! 俺やお前とは違うのだ! あの子の未来を、俺もお前も邪魔していいわけがない!! だからここでお前を止める!!」
……なんだよ。娘との接し方がわからなくなった不器用な父親かよ。
奇面族の声がどんどん大きくなる。
やっと、開通だ。
開いた穴は腕が1本入る程度だった。
だけど、充分だ。
奇面族は敵だと思ってた。けど、今はそうは思わない。思えない。
「おい、これ、解毒薬だ……。すぐにアルクさんに、飲ませろ」
「ゴブ! ワタクシに任せるゴブ!! 急ぐゴブー!!!」
岩の向こうのチビに解毒薬を渡す。少し前なら信用できなかっただろう。だけどあんだけ必死に助けようとしてるんだ。あれが演技とは思えない。
洞窟に背を向けて座り込む。
アレストさんにナルガクルガの尻尾が真上から当たりそうなところ、太刀の剣先を斜め下に、腕を上に持ち上げて、尻尾をいなした。いなした勢いを使い手首を返して斬撃を振るう。
その斬撃は、ナルガクルガの胴体まで入った。
ポーチから最後の解毒薬を飲む。3本あって、よかった。
「……おい、起きろ、おい」
「コイツラ寝坊助すぎるゴブ! のんきすぎるゴブ!! こんなにやっても起きないゴブーッブッブ!」
意識を失ってたらしい。頬に痛みが走って目覚めたらチビがオレのほっぺをひっぱたいてた。
「やめろこら」
チビの頭をしばく。抗議してくるが正当防衛だ。
目覚めたら村に、というわけではないようだ。奇面族の巣だここ。
「目覚めたか」
「あ、すみません、今起きました」
「ああ、気にするな。さすがに二人を担ぐのは無理だから待っていた」
二人を? 横に目線を向けるとアルクさんが寝ていた。顔色がだいぶ良い。
……よかった。間に合ったんだ。
「起きてそうそうで悪いが、アルクをおぶって移動できるか?」
あ、はい。と言いかけてやめた。
「ちょっと人をおぶるにはまだフラフラです。アルクさんはアレストさんがおぶってやってください」
「む、だが……」
「ちょっとオレは厳しいです」
「……そうか」
アレストさんがアルクさんをおぶって移動を始めた。
「じゃあワタクシはオマエにおぶられてやるゴブー!」
「お前は歩け」
チビが当然といわんばかりについてきた。いやいいけど。
帰り道も、行きと同じく危険は少なかった。
アレストさんに声をかける。
「すみません、アレストさん」
「……なにがだ」
「誤解してました」
「……何のことだかわからん」
「アレストさんは、アルクさんのことを家族としてみてないのでは、って思ってて」
「……そうか」
言わなくてもいいことかもしれないが、謝らないと気が済まなかった。
「……俺はこの子に、何もしてやれないからな」
「え?」
「ずっとハンターとして生きてきた。それ以外の生き方は知らない」
ずっと。本当に長い間ハンターとして生きてきたからこそ、あの達人技ができたのだろう。
誇ることに思えたのに、どこか自嘲気味だった。
「妻が亡くなってから、この子とどう接したらいいかわからなくなった。とにかく知っているやり方で接した。だが、ハンター以外の生き方は知らない俺ができることは、ハンターとしての生き方しか教えれなかった」
「……」
「ハンターになんかなりたくない、とこの子に言われたとき、俺では何もしてやれないと気づいた。せめてこの子の選ぶ道を邪魔しないようにしよう、そう考えた……。その結果が親子に見えない関係になったのかもな」
……不器用すぎるだろ。
「ゴブー、オマエは臆病ってことゴブ?」
ストレートすぎるだろ。
「そうかもな」
アレストさんは笑いながら答えた。
「今日で護衛の任を解きます」
「……、大丈夫? もうちょっといようか?」
あれから2日たった。
今回の調査結果はアルクさんが伝書鳥を使って報告。本来はすぐ帰還のところ、毒による療養でまだ帰還していない。
今回の件の、あの毒をもつナルガクルガは希少種、というものらしい。特定の条件下で透明にもなるとかいう存在だそうな。今回はまだ子供の個体だったらしい。あれで子供とは恐ろしい。
ちなみに、オレのほうは護衛の依頼としては完遂ということで、もう帰還はオーケーだ。
しかしアルクさんを残していくのは正直不安だ。また親子気まずい空気になったりしないだろうか。
「ふふ、そんなに心配しないでも大丈夫ですよ」
「へ」
「……、父さんと、ちゃんと話してみようって思ったんです」
「おお」
「毒にうなされてた時、昔を思い出したんです」
「昔?」
「はい、母さんが、いなくなった日のことを」
「……」
「母さんはイャンガルルガに襲われました。……私はずっと母さんのそばで泣いてました。でも、父さんは、すぐにイャンガルルガを狩りに行ったんです」
かたき討ち、だろうか。
「その時から、ハンターにはなりたくないって思ったんですよ」
アルクさんは穏やかに笑いながら言った。
「子供心に、母さんのことを悲しむより狩りのほうがいいのか、って思ってしまいまして。それからしばらくしてこう考えたんです。あのイャンガルルガは人を襲うことを覚えてしまった。だからすぐに狩らないと被害がひろがるんだって」
「……たしかにね」
「それでもやっぱり、母さんのために泣いてほしかった……」
「……」
「だけど、今も母さんのことに執着している父さんを見て、本当はすごく悲しんでたんじゃ……って今更思えて、もしかしたら、父さんの気持ちを勝手に決めつけていただけかもしれない」
「そう、思ってから、父さんから言われ続けていた言葉のどれもが違う意味にも聞こえてきて……」
『好きにしろ』は『お前のやりたいようにやりなさい』
「もしかしたらそれはやっぱり勘違いかもしれない……。でもちゃんと話し合おうって思ったんです。だから、大丈夫ですよ」
「……そっか」
心配は確かにいらないかもしれない。
いや、やっぱりちょっと心配だけど。
「大丈夫ゴブー!」
「うお、いたのか」
結局チビは村に居座ることになったらしい。巣にはもう誰もいないので外で見識を広めるだとか。
アルクさんについていくと言っている。ずいぶん懐かれているものである。
「このワタクシ、ミゴブンがついているから心配無用ッブ!」
「お前がいるとわかるともっと心配になる」
「ゴッブー!?」
「ふふふ、ロウさん。ミゴブンは私の友達だからあまりひどいこと言わないであげて」
「なんと」
いつの間に友達にまでなったんだ。
「二人でいろいろと話したんですよ」
「そうゴブ! 二人は熱い友情で結ばれてるゴブ! オマエとは違うんゴブ!」
「へいへい、まぁ、仲がよさそうで何より。けどこのチビと今後一緒にいるつもりなの?」
「はい、もちろん」
「……、この村は大丈夫だったけど、街になってくと偏見とかあるかもだよ」
「タンジアという地域では奇面族と共に狩りをするハンターがいるそうですよ。偏見なんて初めのほうはなんにだってついてくるものです。そんなもので私たちの友情の邪魔はさせません!」
楽し気に、明るくそう告げるアルクさんを見て、不安はもう完全になくなった。
「わかった。じゃあ二人の友情が壊れたらオレとの友情を育もうね」
「しょうがないゴブね~」
「お前じゃねぇよ」
「それじゃあ、また」
「はい、お世話になりました」
村を出る。アルクさんが見送りに来てくれた。その後ろで、相変わらずのしかめっ面のアレストさんも見送りにきてくれていた。
そのそばでは変な踊りをしているチビもいる。
この親子は大丈夫だろう。不器用な父親に、種族の違う奇面族とさえ友達となれる少女。悲しみ方が違うだけの親子が仲直りをするなんて、奇面族と友達になるより高い確率だろう。
プラカ村から街へ戻ろう。馬鹿ないつものメンツで狩りをしよう。
その前に、ギルドマスターに思いっきり怒鳴ってやろう。
今度はお腹がいたくなることはないだろう。そんな晴れやかな気分だった。
ツイッターだったかなんだったか。
ナルガクルガの親子の漫画を見て、このお話を書きたくなりました。
全体的に暗めになってしまったと思ってます。
モンハン要素が薄いのはほか作品に影響を受けすぎた結果でもあります。
話数で区切ろうと思いましたが暗めなので一気に。