提督をみつけたら   作:源治

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今回はラブコメです。
いや……毎回ラブコメのつもりで書いてますけど。

※二万文字くらいあります。
 


『かわいい人』と『駆逐艦:皐月』

 

「そこの君! ま、まって!」

 

 大学の講義が終わり、下宿先のアパートに帰る途中。

 正門に続くやたら長い大通りを歩いていると、突然声をかけられた。

 

 振り向いてまず最初に目にはいったのは、顔ではなく光を反射して金色に輝く頭の天辺。

 

 地毛や染めた金髪とは違うような、とても不思議な金色の髪。

 文字通り黄金を薄く細くしていけば、こんな色になるのかもしれない。

 

 そして視線を下げると、驚きに満ちた美少女の顔。

 そのカワイイ顔についた黄金瞳は、これでもかというくらい大きく見開かれている。

 

 背丈は随分と低い、おそらく自分の胸より下だろう。

 

 少女は俺が立ち止まったのを見ると、慌てて腰に両手を当ててポーズを取った。

 その動きに引っ張られるように、左右にくくられた長い黄金の髪が揺れる。

 

「さ、さ……皐月(さつき)だよっ。よろしくな!」 

 

 皐月、確かにいまは五月である。

 入学して環境に慣れず四苦八苦な時期。

 

 もっとも、親元を離れて誰にも干渉されない解放感もあって……いや、そんなことより目の前の少女だ。

 

 よろしくと言ってたあたり、自己紹介っぽいな。

 もしかして皐月というのは少女の名前だろうか?

 

 ……いや、まて、皐月?

 

 頭をよぎるのは『艦娘図鑑』にのっていた、睦月型と呼ばれた駆逐艦の艦娘の写真。

 

 え、だが、しかし、まさか……。

 

 ポカンとしていつまでたっても突っ立っている自分。

 まったく反応がないこちらの様子を見て、少女は慌てて胸元からなにかを取り出した。 

 

 紐で首からぶら下げられていたのは、なにやらカードらしき形状のケース。

 少女は背伸びをして、そのカードケースの中身が自分に見える位置に掲げる。

 

 顔を近づけ収められたキラキラと輝くカードを見ると、その中身には見覚えがあった。

 

 この島で暮らすなら、義務教育でこれでもかというほど教えられる艦娘についての事柄。

 その中のひとつに、艦娘だと手っ取り早く証明するために発行される『艦娘証明書』の存在があり、自分も授業で何度かそのカードの写真を目にした。

 

 そしてカードを偽造すれば、巨大組織『艦連』が誇る特殊部隊が群れをなして殲滅しに来る。

 そんなリターンに見合わない超重罪を課せられる都合上、偽造する人間はまずいない、はず。

 

 つまり少女が手に持っているのは、かなりの高確率で本物の艦娘証明書だった。

 

「もしかして君は艦娘さまで、自分は艦娘さまである貴方の艦名を呼び捨てで呼んでも問題のない存在だということでおじゃりますか?」

 

 どう言えばいいのかわからず、よくわからない言葉遣いになる。

 

 だが首が取れそうなほど頷くというのは、こういうことなのだろう。

 少女……いや、皐月はそれを聞いて、すごい勢いで何度も首を縦に振った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『かわいい人』と『駆逐艦:皐月』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Q.提督として艦娘と邂逅した場合の正しい行動を選びなさい。

 

 ①対象の艦娘名を呼び、艦名の契りを行う。

 ②状況が掴めない、とにかく話をしてみる。

 ③脇目も振らず逃げる。

 

 瞬時にして、3つの選択肢が脳内に浮かぶ。

 

 この島で生まれ育った女の子が、誰しも一度は艦娘に憧れるように。

 男の子だって、誰しも一度は提督に憧れるものだ。

 

 そして自分もまたこの島で生まれ育った身。

 いまの状況を想定していなかったかといえば嘘になる。

 

 が、そんな夢を見るのは十四歳で卒業した。

 

 なぜならアイドルと付き合う想像をするのは勝手だが、恐らくそれは宝くじがあたる確率よりも低い。

 艦娘の総数と、アイドルの総数にどの程度差があるのかは不明だが、正直そう変わらないだろう。

 

 つまり触れられない偶像より、身近な異性に目を向けるほうが当時の自分には現実的に思えたのだ。

 にもわかかわらず、彼女いない歴=年齢なのはご愛嬌。

 

 だがいままさにその想定結果が必要になったこの状況。

 当時の自分に聞いてみたいが、そんな記憶はとっくにシナプスの代謝と共に消え去った。

 

 

 なのでいまの自分の頭で考えるしかないが、恐らく堅いのは①だろう。

 

 もしこれからもずっと彼女と付き合いを続けるのなら、初対面で艦名の契りを交わすというのは、きっといつまでも色あせない思い出となるはずだ、たぶん。

 だが、もしここでへたれてしまえば、この後の人生でずっとそのことをイジラレ続ける可能性が非常に高い。

 さらに現金な話だが、彼女の提督になれば艦連による社会的、経済的に恩恵を受けられるというメリットもある。

 伊達に世界最大の軍事力と経済力を保有していない、すごいよ艦連。

 

 よっていまこの場で即答できる中では、①が限りなく正解に近いだろう。

 

 

 次に一歩引いて②、これは情報収集。

 とにもかくにも情報がなさすぎる。

 艦娘である以上、見た目の年齢は当てにならない。

 彼女が下は十歳以下から、上は八十歳以上なんて可能性もある。

 

 艦名の契りをするかしないかは置いておいても、まずは自分の立ち位置と彼女の立ち位置。

 そしてもし提督になるのなら、彼女の望みやこれからの将来設計等々を話し合う必要がある。

 

 気持ちだけで恋愛をするには歳をとりすぎた。

 

 ……いやいけるわ、気持ちだけで恋愛。

 たぶん余裕でいける、よし、いっちゃうか!!

 

 ……まてまて。

 

 そもそも彼女は恋愛を望んでいるのか?

 俺は彼女とどういう関係になりたいと思う?

 

 彼女は俺になにを求める?

 自分は彼女になにを求める?

 

 意志とは、生命とは……。

 

 つまりはそういうことも含め、まずは話し合ってみるというのが②だ。

 そういう意味では、②というのは限りなくベターに近い。

 

 

 さて、最後に③だが。

 

 艦娘の身体能力を考えれば、逃げ切るのはまず無理だ。

 だが艦娘が追いかけてくるかどうかは、その艦娘の性格による。

 

 これも何度も授業で教わることだが。

 人間にも様々な性格に価値観がある以上、艦娘にも様々な性格や価値観がある。

 

 例をあげるなら、現在俺に交際中の彼女がいたとしよう。(いません)

 

 それを目の前の彼女、皐月が知った場合どういう行動を取るか。

 もしかしたらあきらめて身を引くかもしれないし、引かないかもしれない。

 

 恋と戦争にルールはないとはよく言ったものだが、実際合法的に許される範疇であれば、どんな手段もいとわない艦娘もいるだろう。

 なぜなら彼女たちは生まれもって、恋にも戦争にも向き合う覚悟を完了しているのだから。

 

 その一方で大人しく身を引き、遠くから見守るだけにとどめたり、純粋に提督の駒としての役割を望むタイプもいるらしい。

 例えば文明が復興する前は、提督の部下として下手な重機よりも力仕事をこなす艦娘がいたり、女中として住み込みで家事をこなし、提督夫妻の子供の面倒をみたりして、それはそれとして幸せな一生を送った艦娘の話も聞いたことがある。

 

 色々と話が逸れたが、③を選んで得られるものはほぼ無いはずだ。

 ワンチャンいままでと変わらない日々を送れるかもしれない、くらいだろうか。

 

 だが先延ばしをして、よりよい案を考える時間をつくれる。

 もしかしたらその案は、より互いの利益になるものかもしれない。

 

 などと随分俗物的な考えを巡らせてみるが、人と人との関係と利害は絶対に切り離せない。

 一人でいきられるのであれば、人は誰かと共にいる必要はないのだから。

 

 フワフワしたものの考え方もときにはいいだろうが、長期的な関係を構築したいのであれば、互いの利益のすり合わせというのは絶対に必要だ。

 

 

 さて……色々悩んではみたが、少なくともいまここで、なんらかの答えを出す必要は間違いなくある。

 

 よし、男は度胸じゃ。

 

「始めまして“皐月”さん。俺……いや、自分はこの大学の経済学部に通う一年の石田です。よろしくおねがいします」

 

「あっ……うん! ボクは三年で同じ経済学部だよ、えへへっ♪」

 

「先輩だったのか……ええと、改めて確認させていただくと、自分はあなたの提督ということでよろしいでしょうか?」

 

「うんっ!」

 

「ではまず──―」

 

「待って!」

 

「はい?」

 

「話し方、別に敬語使わなくてもいいんだよ? さん付けもなしでいいからさ」

 

「それにも関係することなので、まずはお聞きしたいのですが」

 

「うん?」

 

「艦娘と提督であると同時に、わたしたちは同じ大学に通う先輩後輩でもあるわけですが。今後皐月さんは、自分とどういう関係を築きたいでしょうか?」

 

「え、えー!? そ、そうだね……わ、わからない、かな?」

 

 まあそうだよね、うん。

 

 彼女にとっての提督が自分なわけだけど。

 だからって彼女の好みの見た目だったり性格だとは限らないわけで。

 

「まあ自分はあまり容姿もよくないですし、突然ですから当然──―」

 

「ち、違う! そういうことじゃなくて!!」

 

「ん?」

 

「て、提督がいてくれて、ボクを艦娘だって認めてもらえただけで……ボクはうれしくてたまらなくて、さ。これ以上なにを望めばいいのかわからないよぉ」

 

 もじもじと頬を赤らめながらそう口にする皐月先輩。

 

 

 …………ッは!!

 

 

 ちょっと意識とんでた。

 

 なんなんだろうか、このかわいい存在は。

 ワシャワシャしたい、抱きしめたい。

 

「コホン、ならどうでしょう。まずは大学の先輩後輩という間柄から始めてみませんか? 呼び方や話し方もふくめ、これからどうなりたいかは……おいおいということで」

 

「えっ、いいの? ボクとしては大歓迎なんだけど……」

 

「はい、よろしくお願いしますね。皐月先輩」

 

「むふ……まっかせてよ! 先輩として提督後輩のこと、しっかり面倒見てあげる!」

 

 提督後輩ってなんだか不思議な語呂だな。

 

「じゃあきょうはひとまずこれで。また明日」

 

「あっ……う、うんっ! まったね-!」

 

 そんなわけで①②③の欲張りセットを決めてみたわけだが。

 結果、そこそこいい感じにちっこい艦娘先輩との関係を始めることができた。

 

 ……と、思う。

 

 

 

 ■□■□■

 

 

 

 午前の講義が終わり、待ち合わせ場所にむかう。

 

 待ち合わせの相手は中庭のベンチに座ってボーッとしていたのだが、近づくとすぐに気がついて立ち上がる。

 そしてブンブンと手を振ったあと、こちらが近づくよりはるかに速い速度で駆け寄ってきた。

 

 元気がいい先輩である。

 ちっこいけど、先輩である。

 

「おはようございます皐月先輩」

 

 余談だか皐月先輩の戸籍名はさつきらしい。

 皐月じゃなくて『さつき』。

 

 なぜ同じ名前になってしまったかというと、先輩がまだ艦娘だとわかる前にご両親がつけた名前らしく、偶然が重なった結果だとか。

 

「おはよう提督後輩!! きょうもかわいいね! じゃあ食堂行こっか♪」

 

 まあ名前がなんであれ、元気がよくてちっこくて、大変かわいい先輩なのにかわりはない。

 

「きょうの午前は基礎1だったんだよね、どう? あの先生わかりやすくていい講義すると思うんだけど」

(※基礎1:経済学基礎1の略)

 

「確かにわかりやすいですね。ただ学生がわからない部分があると可哀想だと思ってるのか、ちょっと内容が優しすぎる気もしますけど」

 

「あはは、でも基礎1でこけちゃうとあとが大変だからね~」

 

 そんな話を歩幅の違う先輩に合わせてゆっくり移動しながら聞く。

 

 正直地元の友達もおらず、サークルにも入っていない関係上、他の学生と繋がりもないボッチの自分には、先輩の話はとても助かる。

 

 あといまさらだけど、入学してからまだ友達が一人もできないのはなぜだろう?

 もしかして存在感とか薄いのかな、それとも田舎者オーラとか出てるせいだろうか。

 

 いや、まだ五月だし普通か(震え声)

 

「それでね、二年になると教養科目で……なに、そのおべんと?」

 

 食堂に到着し、広い学食の飲食スペースの一席に腰掛け、持ってきた弁当を広げる。

 すると、先ほどまで饒舌に話していた先輩が怪訝な顔をしてそう聞いてきた。

 

「なにと聞かれましても、普通の弁当ですが?」

 

 弁当をのぞき込んだ先輩が、眉毛を八の字にした表情を浮かべる。

 

 かわいい。

 

「ご飯しか入ってない」

 

「塩がかかってますので大丈夫です」

 

「……もしかして後輩くんって貧乏?」

 

「いえ。ただ実家がど田舎でして……通学時間を減らすために下宿してる関係上、自炊して生活費を浮かそうかと。あと米は仕送りでたくさん送ってもらえるので一石二鳥なんですよ」(兼業農家感)

 

 艦夢守市といっても都市部と田舎では交通の便が全然違う。

 毎日何時間もかけて通学するくらいなら、学校の近くに住みたくなるのが人情というもの。

 

 決して山奥のど田舎から出たかったわけではない、あとマジで田舎ってなんにもない。

 森と田んぼばっかりで、走ってるのは牛か軽トラ、もしくは飛龍様か山神様*1くらい。

 

「心がけは立派だと思うんだけど、ご飯しかはいってないお弁当は普通じゃないし、堂々と自炊って呼ぶのもどうなのかなぁ」

 

 そして先輩から告げられる衝撃の事実。

 

 薄々気がついていたが、やはり米オンリー弁当は自炊とは呼ばないらしい。

 しかしこれでも可能な限り頑張った結果なのだ、ほんとに。

 

「やりました! やったんですよ! 必死に! その結果がこれなんですよ!」

 

「ほんとに?」

 

「……すみませんちょっと盛りましたッ! 米炊いて満足してしまいました! あとおかず作るのめんどくさくて! 今度ふりかけ買います!」

 

 調理の経験をもっと積んでおけばよかったと思うきょうこの頃。

 

 ちなみに下宿先で食べるときは米と一緒に届いたサバの缶詰(味噌)があるので、おかずには困らない。

 でも流石にサバ缶を弁当のおかずにする覚悟は無かった、まだまだである。

 

「ぅぅぅぅ……かわいい、かわいすぎるよ……ボクの提督」

 

 自分の懺悔を聞き、なぜかかわいいかわいいと連呼しながら悶える先輩、解せない。

 

 そんなこんなで、きょうのところは先輩のお弁当のおかずを恵んでもらった。

 先輩の手作りだというハンバーグはとてもおいしかった、毎日食べたいくらいおいしかった、余裕でお金出せる。

 

 しかしこれだけのおかず、値段をつけるならいくらくらいになるだろうか。

 なんてことをうんうんと唸って考えていると、顔に出ていたのか。

 

「よしっ!! 明日から後輩くんのおかずはボクが作ってきてあげるね。でもせっかくだからご飯自炊は続けるように!」

 

 と言われてしまった。

 

 だけどそれは流石に悪いと押し問答するも、先輩が作るおかずの魅力に取り憑かれてしまった状態では、抵抗は無意味だった。

 

 

 

 ■□■□■

 

 

 

「えっと紹介するね。こっちがパパでこっちがママ。で……こちらがボクの提督」

 

「どうもはじめまして、石田です。先輩にはいつもお世話になってます。あっ、これおいしいって評判のお店の御菓子なんですが、よかったらどうぞ……」

 

「あらあら、これはご丁寧にどうも〜」

 

「……うむ」

 

 故郷のおやじ様おふくろ様お元気でしょうか?

 ところで自分はいま、先輩のご両親に挨拶しています。

 

 ……展開が早いッ!!

 

 いや、先輩の誘いを承諾したときにある程度覚悟はしてたけど、それとこれとは別!!

 

 気持ちがッ! 心が追いつかない!

 

 それはともかく、先輩のご両親はのほほんとしたお母様と、寡黙なご様子のお父様。

 お父様の方は機嫌が悪いとかじゃなくて、単純に無口なんだと信じたい、駄目かな?

 

「でもよかったわ〜。さっちゃんの提督がちゃんとみつかって……しかもこんなに素敵な男の子。ねっ、あなた♪」

 

「……うむ」

 

 朗らかな笑顔にハイテンションなお母様とは対照的に、表情変わらず、じっとこちらを見つめてくる寡黙なお父様。

 

 あと気になるのがお母様にバシバシと叩かれてるのにピクリともしない、お父様の恵まれたお身体。

 身長とかたぶん190センチ近くある、それに腕とかめっちゃデカくて、先輩の腰より太いと思う。

 おまけに胸板もめっちゃ厚くて砲弾とか弾けそう、眠れぬ夜もあっただろうくらいスゴイ。

 

 でも腰は結構細い、外の筋肉に目が行きがちだけど、たぶん体幹とかも相当鍛えてる。

 

 というかお父様、眉毛ないし目つきめっちゃ鋭い、ちょっとどころじゃなく厳つい。

 なんだろ、格闘ゲームのボクサーキャラとかで出てきそうな見た目、強そう。

 

 あっ、お勤め先はハルナック(金剛連合会・榛名組のフロント企業)なんですね。

 有名な警備会社の、ええ、強そうとかじゃなくて実際強いかんじですか、そうですか。

 

「それでねそれでね!」

 

「うんうん、そうなのね〜!」

 

 無言のお父様と、無言の自分。

 楽しそうに話すお母様と先輩。

 

 なんとも対照的なありさま。

 

 いや、自分とお父様はともかく、実際先輩はお母様似な気がするな。

 元気なところとか、楽しそうに笑うところとか似てる。

 

 身体的な特徴は艦娘だからあんまり似てても関係ないんだろうけど。

 

 でもちょっとくらいは両親や家系の影響が身体にあらわれるんだっけ?

 艦娘の生態は謎が多いけど、一応DNA的なものは受け継ぐとかなんとか。

 

 まあそうじゃなきゃ、人間と艦娘両方産まれないよな。

 

「ねっ、あなた♪」

 

「……うむぅ」

 

 あっ、なんか「うむ」しか言わないと思っていたお父様の「うむ」の中にも微妙な違いがあることに気がついた。

 

 多分いまの「うむぅ」は、微妙に肯定できない感っぽいな。

 

「そんなことないわよあなた、ね♪」

 

「……う、うむ」

 

 あっ、お父様が屈したっぽい。

 

 なんだろ、先輩のご両親のことなんだか好きになれそうな気がしてきたぞ。

 

「それでねそれでね!」

 

「あらあら〜、一人暮らしなんてたいへんそうねぇ」

 

「うむ……」

 

「そういうことなら、もしなにか困ったことがあったらいつでも相談してね。だって遠からずさっちゃんの旦那さまになるわけなんだから、すでにわたしたち家族みたいなものでしょ? ねっ、あなた♪」

 

「うむ……む、むぅうう!!??」

 

「ななななな!? なに言ってるのさママ!?」

 

「え~だってぇ~」

 

 そんなこんなで、突然訪れた先輩のご両親との顔合わせイベントだが。

 当初はどうなることやらと心配したものの、終わってみればとくに問題なく完了したのであった。

 

 

 

 きょうは泊まっていってとプッシュしてくる先輩のお母様の圧を華麗(必死)に回避して、先輩に送られて駅に向かって歩く。

 

 恥ずかしい話、帰り道が普通にわからない。

 来る時は緊張して道を覚えるどころではなかったのだ、これは生物学的に仕方ないこと。

 

 余談だが先輩のお家は、大学の最寄駅から電車で20分ほど走った所にある、それなりにお高そうな住宅街。

 一方自分が住んでいるのは、大学から徒歩20分ほど歩いたところにあるオンボロ下宿。

 

 格差、圧倒的格差!

 

「なんかごめんね。誘う時も言ったけど、どうしてもパパとママが会いたいってきかなくてさ……」

 

 照れ臭ささと申し訳なささがブレンドされた感じの表情を浮かべながら謝る先輩。

 

 その表情を見て、無性に謝る必要はないんだと伝えたくなる。

 

「いえ、謝る必要ないですよ。提督と艦娘という関係は当然としても、大切な一人娘の先輩とその、お、お付き合いのようなものをさせてもらってるわけですから……早めに挨拶しておくのはいいことかと思いますし」

 

 というか伝えた、理由込みで、恥ずかしいけど、言わなきゃと使命感に駆られた。

 

「へっ!? つきあっ!? ……う、うん、そうだね……」

 

 微妙に詰まったものの、割とスマートに付き合ってるみたいな感じのことを言えた。

 いや、きちんとお付き合いしてくださいと言ってないけど、いつか言ってもいいステージにさりげなく移動できた気がする。

 

 うん、自然だ、自然。

 

 ……あれ?

 

 そして気がついたけど、いつの間にか自分はこのちっちゃくてかわいい先輩と、恋人になりたいと思っていると自覚してしまった。

 

 まさか自分が「そうか、わたし先輩のこと好きなんだ……」と、少女漫画とかでみるような心境を味わう日が来ようとは。

 

 ヤバいな、自覚した途端感情が溢れ出てきた。

 顔とかめっちゃ熱いし、心臓バクバク鳴ってるわ。

 

 だってこんな気持ち初めてだからね、しょうがないよ。

 

 が、見ると先輩は自分の二倍くらい赤くなってた。

 

 ヤバい、カワイイ。

 

 そんなかわいさに屈したわけではないのだけど。

 歩幅の違いで歩きにくそうにしている先輩の手を自然に掴んでしまった。

 

「あっ……」

 

 先輩は一瞬ドキッと震えたものの、すぐにしっかりとこちらの手を握り返してきてくれる。

 

 こりゃヤベェ、かわいい、かわいい。

 

 そうしてお互いの手の温度がすごく高くなってるのを自覚しながら、ずっとこの時が続けばいいのにな……なんて思いながら、ゆっくり時間をかけて駅まで歩いた。

 

 

 

 余談だが翌日のおかずは、いつもより豪華で量も2倍くらい多かった。

 

 

 

 ■□■□■

 

 

 

 突然だが日頃の感謝というか、もらいっぱなしのおかずのこともあって、先輩をデートに誘うことに決めた。

 

 もちろん割り勘なんていわない、当然すべて自分持ち。

 

 ぶっちゃけそれでも釣り合わないくらい、先輩の作ってくれるおかずは美味しい。

 あとそれ以外にもほんと、学校の情報含めて色々とお世話になってる。

 

 なのでここでひとつ、ドーンと恩返しをしようと思うわけだ。

 

 ……とは言ったものの、当然下心があったりする。

 

 今回の計画、その真の狙いはデートのときに、ハッキリとお付き合いしてほしいと告白することだ。

 もうしばらくフワッとしたこの関係を続けてもいいかと思ったりもするが、それ以上に自分は先輩と恋人になりたい。

 

 超、恋人になりたい。

 

 そのためにはロマンティックなデートプランを組んで、なるべくOKをもらいやすい状況にするのがいいだろう。

 

 うむ、我ながら悪くないアイデアだと思う。

 

 が、すぐさま問題が浮上した。

 

 ど田舎育ちボーイである自分には、シティーガールである先輩に満足してもらえるデートプランを組むことは事実上不可能。

 

 地元ならカブトムシ捕ったり、陽の当たる坂道をトラクターで駆け上がったり、今夜満天の星みたいなホタルを見に行こうと誘えるかもしれないが、都会となるとそうもいかない。

 

 困った自分は、藁にもすがる思いで雑誌を立ち読みしまくった。

 情報だ、とにかくいまは情報がいる。

 

 そしてその中で『はじめてのデート特集』という記事を見つける。

 

 やるな情報誌(週刊 艦夢守タウン)

 それそれ、そういうの欲しかった。

 

 読み進めるとなんでも予算が許すなら、初めてのデートは遊園地がおすすめらしい。

 理由としては、街中でデートするのに比べて、場所移動の手間や次のスポットに行けなくなった時など不測の事態でデートプランを変更するリスクが低いとかなんとか。

 

 当然相手が遊園地を楽しめるかどうかというのもあるが、それはそれで楽しむ方法があると記事にはいろんなことが書かれていた。

 

 ……遊園地、ありだな。

 

 もっとも、じゃあここでいきなり先輩を誘って遊園地に行くというのは早計だろう。

 なぜなら自分は遊園地経験値が低すぎるかだからだ。

 

 田舎のお祭りなら何度もいったことはあるが、遊園地には小学校の遠足で1回しか行ったことがない。

 

「やっぱり下見に行ったほうがいいよな」

 

 だが1人で行くのもちょっと勿体無いというか、得られるものが少ないと思う。

 とはいっても、デートの遊園地の下見に付き合ってくれそうな知り合いは当然いない。

 

 家族とか地元の友達とかは頼れない、移動とかの面で負担を強いることになる。

 というかそもそも自分以上に田舎者なので、ミイラ取りがミイラになる未来しか見えない。

 

 むむむ、どうしたものか。

 

 ……いや、待てよ。

 そうか、いるじゃないか。

 

 この街に詳しくて、真摯に相談に乗ってくれそうな相手が。

 

 

 

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「きょうはよろしくお願いします」

 

「……うむ」

 

 そんなわけで、先輩のお父様と遊園地に来た。

 

 我ながら正気を疑う行為だと思う。

 でも電話をかけてダメ元でお願いしたら、普通にOKもらえた。

 

 因みに遊園地の入園料とかフリーパスの代金はお父様が払ってくれた。

 そのぶん先輩とのデートを豪華にしてくれということらしい。

 

 お父様めっちゃ優しい。

 

 あとお母様じゃなくてお父様に相談したせいか、お母様がちょっと拗ねたらしい。

 だがしょうがない、さすがに人妻であるお母様と遊園地に行くのは色々と不味い。

 

 だからってお父様と遊園地に行くというのは、それはそれで不味くないのだろうかと思ったりもするが、まあ、いいか。

 

「えっと、きょうは現地で待ち合わせでしたけど、本番は先輩……さつきさんのお宅に迎えに行って一緒に来ようと思うんです。待ち合わせもいいんですけど、遊園地がちょっと遠いので、移動時間を考えたらその方がいいかなって……どうでしょうか?」

 

「うむ」

 

「そうですよね、ありがとうございます」

 

 お父様もお宅に迎えに行くプランに賛成っぽい。

 

 ふと、周りの視線がちょいちょい注がれていることに気がついた。

 

 お父様の身長は190センチほどで、自分も178センチなのでそんなに低いわけではない。

 傍から見たら少々場違いな感じがでてしまうのだろうか。

 

 こういう視線、自分は目的があるので耐えられるが、お父様にとってはそうではないかもしれない。

 

「その、いまさらですけど、お恥ずかしい思いをさせてしまっていたら申し訳ありません……」

 

「……むん」

 

 軽く首を振ったあと、いいんだよという感じで目を閉じて軽く頷くお父様。

 おお……懐がとても深い。

 

「ありがとうございます! 改めてですけど、きょうはよろしくお願いします!」

 

「うむ」

 

 申し訳なささはあるものの、先輩とのデートを成功させるためだ。

 ここで手を抜いたら誰にとってもいいことにならないので、がんばることに集中する。

 

 気持ちを切り替えて、まずは入り口近くの物販スペースに移動。

 

 ここはお土産とかではなく、園内を楽しむためのグッズとか消耗品とかが置かれているっぽい。

 

「なるほど、これがマスコットキャラの狐の耳と尻尾セット……これはつけて遊園地内をまわるのがいいですかね?」

 

「うーむ」

 

「えっ、試しに一個買ってみるんですか? あっ、はい。さつきさんには絶対に似合いますけど自分は……いや、確かに。一緒につけてこその楽しさもあるわけですか」

 

「うむ」

 

「ポーズとってみますね……コーンコーン♪ ……なるほど、これをさつきさんにやってもらえたら、かわいすぎてやばそうですね……写真撮れそうなら、えっ、絶対撮って欲しい? りょ、了解です」

 

「うむ」

 

 そんなこんなで待ち時間だったり、まわる順番だったり、飲食スペースだったり、お土産コーナーだったりを確認し、メモをとる。

 その都度、お父様は丁寧にアドバイス(なぜか「うむ」で通じる)をしてくれたり、お金を出してくれた。

 

 むむむ、これもいまさらだが、なんだか親子揃って凄くお世話になってしまっている。

 今回はアレだけど、いつかお父様にもおかえしをした方がいいな。

 

 そんなこんなで色々と遊園地をまわり、最後のスポットである観覧車に乗り込む。

 

 およそ15分で一周するらしい。

 長いようで短い。

 

 ここはとくにタイムスケジュールをしっかりと把握する必要がある。

 なぜなら協議の結果、告白はこの観覧車ですることに決定したからだ。

 

 15分……となると、乗り込んだタイミングで想いを伝えるのがいいだろうか。

 

 いや……下手に観覧車の中で慌てて想いを伝えるより、ライトアップされた観覧車の下でじっくり伝えた方がいいかもしれない。

 

 なんてことをウンウンと考えていたら、コホンと咳払いが聞こえた。

 当然ながらその主は、一緒に乗り込んだお父様。

 

 顔をあげると、真剣な目をしたお父様がこちらを見ていた。

 

 なんだろ?

 

「ところでその……石田くんにはご兄弟はいるかね?」

 

「──……え、はい。兄が二人います」

 

 なんとか驚きを呑み込んで質問に答えたが。

 お父様、しゃべれたんだ。

 

 いや、そりゃそうなんだけど、シャベッタアアアア!? って叫びそうになった。

 

「そうか、仲はいいのかね?」

 

 そんな自分の心境を知ってか知らずか、話を続けるお父様。

 どういう意図かはわからないが、いまは受け答えに集中したほうがいいな。

 

「えっと、どうでしょう……悪くはないと思いますけど。ただ結構歳が離れてて、一緒に遊んだ記憶とかそこまでないんですよね。しかも両方自分が中学高校の時に結婚して、仕事も忙しいみたいでしたんで。あっ、1人は実家継いで役場に勤めながら農業やってて。もう1人も地元の製材所で働いてます」

 

「そうか」

 

 お父様は噛みしめるように返事をする。

 そしてしばらく沈黙したあと、再び口を開いた。

 

「知ってると思うが、さつきは一人っ子だ。口にはしてないが妻は二人目を欲しがってたと思う……だが、わたしがどうしても、な」

 

 なんだろ、まるで懺悔するような口ぶり。

 大きいはずのお父様の身体が、少し小さく見える。

 

「……わたしは不器用な人間だ。艦娘であるさつきと、次に生まれてくるであろう子供。二人を同じように育てられる自信がなかった。妻には諦めを強いてしまったし、さつきにも気を使わせてしまっただろう。二人には悪いことをしたと思っている」

 

 続く言葉を聞いて、少し納得してしまった。

 

 経験は当然ないけど、艦娘を育てるというのは簡単であり難しいと聞く。

 艦娘は成長も早くて、行政のサポートも手厚く、おまけにどんな艦娘にもよるが、基本まともな性格として育つ。

 

 だが、それはつまり普通の子供とは違うということだ。

 

 艦娘の子供と、普通の人間の子供。

 分け隔てなく育てられる自信がお父様になかったのだろう。

 

「わたしは……弱い人間だ」

 

 違うと思った。

 

 お父様は人一倍、子供を……艦娘の我が子を育てるという責任と向き合ったからこそ、その決断をしたのだろう。

 

 たしかにその決断は臆病ととられるかもしれない。

 だけど自分には『覚悟』の強さと、その結果なんだと思えた。

 

 そう伝えようと口を開こうとするも、お父様は突然ニッと笑みを浮かべ、話を続ける。

 

「だけど君は強い男だ。きょう君と遊園地をまわっていて感じたよ。娘に想いを伝えるデートのために、まさかわたしを頼るなんてね……最初はなにか別の意図がとも思ったが、君は最初から最後まで真剣だった。普通なら腰が引けてしまうだろうわたしの見た目や立場も気にせず、娘に喜んでもらうことだけを考えて、真剣に遊園地をまわっていた……わたしにもその強さがあればな」

 

 悔しそうでもあり、嬉しそうでもあるようなご様子のお父様。

 なんだろ、強くないですとか否定したくもあるけど、多分しないほうがいい気がする。

 

 やべ、なに言っていいかわかんないや。

 

「ああ、困らせてすまないね。伝えたかったのは、妻もわたしも君に感謝しているということだよ……さつきをよろしく頼む」

 

「え、あ、はい、光栄です。ですがその……告白が成功するかは、まだわからないんですけど……」

 

「安心したまえ、きっとうまくいくさ」

 

 そう締めくくり、お父様は外の風景に目をやる。

 ちょうど一番高いところに差し掛かっていて、街の様子がよく見えた。

 

 いまさらだけどいい街だな。

 これからも先輩とこの街で生きていきたい。

 

 自然とそんな気持ちになった。

 

「……ところで石田くんは、自分の苗字になにかこだわりがあったりするかね?」

 

「えっ? いや、とくにないですけど……えっと、どういう意味でしょうか?」

 

「……うむ」

 

 自分の質問にニヤリと笑っただけで答え、いつもの寡黙な様子に戻ってしまったお父様。

 

 え、いや、気になるんですけど。

 

 だがその後いくら聞いてみても、お父様は「うむ」としか話さず。

 遊園地の下見を終えて解散するまで、ずっと意味深げな笑みを浮かべたままだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後。

 

 下調べの甲斐あってか、本番である先輩とのデートはとても楽しく過ごせた。

 狐耳や尻尾をつけた先輩は気絶しそうになるくらいかわいかった、写真とかめちゃくちゃ撮った。

 

 そして告白も無事成功してOKをもらえた。

 

 そこ飛ばすの!? と思われるかもしれないが、ご容赦願いたい。

 素晴らしい思い出ではあるのだが、それを自身で語るのは流石に恥ずかしいのだ。

 

 

 

 ■□■□■

 

 

 

 そんなこんなで、無事先輩と付き合うことになって、しばらくたったある日。

 

 いままで運動&部屋着用で使っていたジャージに穴があいてしまった。

 あいたのは脇付近なので、通気性はよくなったけど。

 

「部屋着にはできるけど、運動用として外に着ていくのはちょっと恥ずかしいな」

 

 なので買い換えることにした。

 

 学校が終わって、それっぽいスポーツショップを巡る。

 すぐには買わず何店もはしごして、ベストなジャージを探す。

 

 可能なら少しでも安く、そしていいモノを買いたいのが人の性。

 

 因みに先輩は講義の関係で時間が合わず、きょうは一人である。

 

 というか、こうして何店舗も気軽に徒歩で回れるのって凄いよな。

 田舎だと車必須だし、そもそも何店舗もない、都会凄い。

 

 そんな驚きも相まって時間を忘れ店をまわっていたところ、気がつけば閉店時間が迫っていた。

 あわてて駆け込んだ最後のスポーツショップで、サイズの合う白くて肌触りのいいジャージがセール価格で販売されていたので、これ幸いと購入。

 

 るんるん気分で家に帰って晩ご飯ときょうの復習を終わらせ、しばらくボーッとしたあと。

 そういえば買ったジャージの試着がまだだったことを思い出して着てみることにした。

 

 着替え終えて鏡を見ると、気持ち大きめではあるがパキッとした真っ白なジャージを着た自分の姿。

 

 白って汚れが目立つので正直避けていたけど、やはりカッコイイなと思う。

 

 うむ、カッコイイ。

 

 普段からかわいい先輩に、かわいいかわいいと連呼されているわけだが。

 さすがにこの姿を見ればカッコイイと思わずにはいられないはず。

 

「うむ……」

 

 あ、なんか先輩のお父様の喋り方がうつってしまった。

 

 それはそれとして、夜だというのに妙にテンションが上がってしまったな。

 時計を見れば、そろそろ日付が変わるかどうかというところ。

 

 しかし、せっかく着たのだからこのまま寝てしまうのはもったいない。

 

 というか、このジャージは部屋着ではなく、スポーツ用として買ったものだ。

 

「ちょっと軽くランニングしてみるか」

 

 衝動が抑えきれなかった。

 幸い明日は休みである。

 

 多少の夜更かし運動は問題ないだろう。

 

 外に出ると気持ち肌寒い夜風が肌を突く。

 だけど大丈夫、おニューのジャージと気持ちの面で平気だ。

 

 学校に向かって走り始める。

 理由は通い慣れた道だから。

 

 夜中だし、迷子とかになったら目も当てられない。

 

「ほっ、ほっ、ほっ、ほっ」

 

 人通りのほとんどない道を走る。

 

 空には星々。

 

 都市部なので満天のとはいかないが、充分綺麗な夜空といえる。

 

 そういえばいま見えている星空って、実際の星空とは違うんだっけ。

 

 深海棲艦との戦争で使われた、なんか特殊な粒子がいまでも成層圏に漂っていて、電波やら光やらの動きをおかしくしてしまってるせいだとか。

 

 太陽とか月とかの強い光はほとんど影響ないみたいだけど、弱い明るさの星とかについては、星の配置が過去とか未来ごっちゃになってるんだっけ。

 

 過去の星空か……。

 

 もしかしたらいま見ている星空は、先輩と同じ昔の先輩さんや、先輩のご先祖様の軍艦さんが見上げた星空なのかもしれない。

 

 柄にもなくそんなことを考えてしまう。

 

「……先輩に会いたいな」

 

 唐突にそう思った。

 

 いつの時間の星空かわからないが、いま見えている星空を先輩と一緒に眺めたいと強く思った。

 

 時間は深夜、当然ながら電車は走ってない。

 タクシーを使うお金も当然ない。

 

 いろんな移動手段が浮かんでは消え、最終的に一つの結論に辿り着く。

 

「走るか」

 

 ぼそりと呟いて、それこそがどんな移動手段よりもいいと謎の確信に至った。

 

 自然と一歩、二歩と歩みを進め、走り出す。

 この先に先輩がいて、一歩進むごとに先輩に近づいている。

 

 そう考えると、不思議な力が無限に湧き出すのを感じた。

 

 まるでこのまま世界の果てにだっていけてしまいそうな気分だった。

 

 

 

 

 ---

 

 --

 

 -

 

 

 

「ぜぇぜぇ……」

 

 電車で二十分の距離を少しなめてた、やばい。

 まだ半分もいってないのに、もう結構しんどい。

 

 すでに走り始めて1時間以上たってるのに、未だ進んだ距離は目的地の半分以下。

 

 世界の果てとかナマ言ってすみませんでした。

 

 これがお前の限界だ、引き返せ……と悪魔が囁く。

 が、すぐに先輩に似た天使にミンチにされた。

 

 先輩強いな。

 

 そうだ、先輩に会いたい、会いたいのだ、だから俺は走るんだ。

 さあいくぞ、なあにせいぜいあと1時間半……いや余裕持って2時間だ!!

 

「おにいさん、ちょっといいかな?」

 

 そんな決意に差し込まれる、妙に圧迫感のある声。

 振り返るとお巡りさんがいた。

 

 先輩のお父様ほどじゃないけどガタイのいい二人組。

 

「こんばんわ。こんな夜中にそんな格好で……まあ、トレーニングだと思うけど。いちおう幾つか質問させてもらっていいかな?」

 

 あっ、これあれだ、職務質問ってヤツだ。

 

 そりゃこんな深夜にゼエゼエ言ってるヤツがいたら声かけるよね。

 当然、普通なら声かける、怪しいし、はい。

 

 変に抵抗するのもアレなので、大人しく名前とか年齢とかどこの学校だとかを答える。

 ふぬふぬという感じで、とくに問題なく解放してもらえる感じだったのだが、住所を答えたあたりでちょっとお巡りさんの顔が曇った。

 

「ここから結構遠いところから走ってきたみたいだけど、どの辺まで走るつもりかな?」

 

 さっくりと先輩の住宅街を伝える。

 これが不味かった、ますます警戒を強めるような表情を浮かべるお巡りさん。

 

 そして「どうしてそこに?」と聞かれ、答えを濁してしまう。

 

 だって新しいジャージ買ってテンションあがってしまい、先輩……付き合ってる彼女に会いたくて走り始めてしまったとか、正直に言うのは恥ずかしすぎる。

 

「なに、なにか言えないような理由なの?」

 

 めっちゃ言えない理由だよ、マジで言えない。

 

 だが理由を濁したのがよくなかったのか、お巡りさんの警戒レベルが上がってしまった。

 やばいな、このままだと警察署とかに連れて行かれちゃう。

 

「うーん、おにいさん身分証明書とかもってる?」

 

「えっとその、財布とか持ってきてなくて……あっ」

 

 そう聞かれて、このまえ先輩と一緒に役所の艦娘課に行って発行してもらった証明書を思い出す。

 基本的に肌身離さず持っておくように言われたそれは、先輩とおそろいのカードケースに入っていて、いまも自分の首からぶら下がっている。

 

「ありますあります身分証明書、これです」

 

 わたわたとしながら、首に掛ったそれを取り外してお巡りさんに見せる。

 んん~? という感じで提示した証明書をぞき込んだお巡りさんだった、が。

 

 それ……『提督適性者免許』を見て固まった。

 

「……悪いねおにいさん、ちょっと待ってもらえるかな?」

 

「へ?」

 

「その免許……わたしたちじゃ、しっかりとした真偽の判別ができないんだ……偽物だと当然まずくて、本物でも時間的に色々とまずくてね」

 

 お巡りさんがどこかに無線で連絡を入れて、暫く待つ。

 とくになにか話すわけでもなく、じっと。

 

 なんだろ、このいたたまれない感じ。

 えっと、なんかすみませんほんと。

 

 いい天気ですねとか言ったほうがいいかな。

 

 いや……やめとこう。

 なに言ってもドツボにはまりそう。

 

 そうして待つこと五分くらい。

 

 どこからか軍用っぽいゴツい車がやってきて、近くの路肩に停車する。

 そして大きな銃を肩にかけた兵隊さんみたいな人たちがぞろぞろと降りてきた。

 

 いや、兵隊さんみたいとかじゃないわ。

 兵隊さんだわ、艦連軍の憲兵さんだわ。

 

 ヤベェ、これあかんやつや。

 

 あっという間に憲兵さんたちに囲まれる。

 掴まれたり触られたりするわけじゃないけど、逃げられない感じでぐるっと。

 

 そして憲兵さんの一人が「失礼」と言って、自分が持っていた提督適性者免許になにやら不思議な色のライトをかざす。

 

「……恐れ入りますが、こちら確認のために少しお借りしてよろしいでしょうか?」

 

「ど、どうぞ」

 

 気持ち緊張がにじんだ声で聞かれたので、その二倍くらい緊張した声で返事をする。

 手渡した免許を受け取った憲兵さんは、他の憲兵さんから黒い箱のようなもの受け取り、それに提督適性者免許をスッと通した。

 

 ッピっという音が機械から鳴ったあと、憲兵さんが免許をかえしてくれた。

 

「本物です。大変失礼いたしました、提督殿」

 

「い、いえ……お仕事お疲れ様です」

 

 思わず頭を下げてしまう、ほんと、すみませんほんと。

 

 だがそれに応えるように、その場に5人いた憲兵さんたちが一斉に敬礼をかえす。

 あと端っこでお巡りさんも警察の敬礼してた。

 

 あの、いえ、自分そんな大した人間じゃなくて、その、いや、先輩は確かに素晴らしい方なんですけど、へへへ、あっしはそのおこぼれを与ってるだけでして、へへ。

 

 心の中で無限に卑屈になってしまった。

 

「それで、なにかご事情があるかと思うのですが、もうこんな時間です。よろしければご自宅まで我々がお送りさせていただきますが?」

 

 ありがたい申し出、だけど。

 

 駄目なのだ、たとえお巡りさんに止められようと、憲兵さんに止められようと。

 いまの自分には、やりたいこと、会いたい人がいるのだ。

 

「その……あのですね……」

 

「はい?」

 

 生まれて初めての職質、おまけにゴツイ憲兵さんに囲まれる。

 そしてそんな人たちになんかスゴイ迷惑かけてしまってる。

 

 なんてことが重なって色々と限界だったのだろう。

 気がついたら、正直全部ぶちまけていた。

 

 艦娘である先輩と付き合い始めたこと、ジャージ買ってテンション上がったこと、星空見てたら先輩に会いたくなったこと、走り始めたら一歩一歩進むのが楽しくてしょうがなくなったこと、でも途中でバテててしまったこと、お巡りさんに怪しまれちゃったこと。

 

 

 そして……自分はいまでも、自分の足で先輩に会いに行きたいこと。

 

 

 いや、夜も遅いし寝てるだろうから起こすとかじゃなく、ただ、先輩の近くに行きたい、先輩の部屋の窓を見たい、それだけでいい。

 

 なんてことを、それはもうしどろもどろになって必死に説明した。

 

「……そうですか」

 

 マジでなんかもうよくわかんない自分の独白にも似た説明を聞いた憲兵さんが、震える声で短く返答した。

 

 ヤバい、憲兵さんなんか張り詰めた弓みたいになってる。

 

 というか、他の憲兵さんやお巡りさんもプルプル震えてる、やばい、めっちゃ笑われてるか怒ってるのかわかんないけど、ほんとすみません。

 

 めっちゃ小声で「尊い」「推せる」「震えた」「カワイイ」「守護らねば」「使命を果たす」みたいなことが聞こえたけど、多分気のせい。

 

「……あの、そんなわけなんでその、お手数おかけするもなんなんで、お気持ちだけ受け取っておきます、はい……じゃ、じゃあもう行きますね」

 

「お待ちください」

 

 限界突破にいたたまれなくなって、スッとフェードアウトしようとするも失敗しちゃう。

 

 いま無性にくっころって叫びたい。

 

「この時間では万が一もあり得ます。なにかあっては我々は皐月様に顔向けができません。ご迷惑かとは思いますが、護衛をつけさせていただきます。もちろんお邪魔はいたしません。お気になさらず、我々は居ないものとして扱ってください」

 

「へ?」

 

 護衛? ナンデ?

 

「2名は車両でうしろから30m間隔で追走、2名はわたしと共に提督殿のやや後ろ左右と背後に付け」

 

『はっ!!』

 

 元気よく返事する4人の憲兵さん。

 でも全員その場からピクリとも動かない。

 

「……途中で交代してもかまわんから、お前とお前の二人は車両に乗れ」

 

 車に乗れって言われた憲兵さん2人が、なんかち○かわの泣き顔みたいな表情になってる。

 えっ、なんで?

 

「少し距離がある、お前たちは装備を車両に移せ……いや、わたしは大丈夫だ(対戦車火器担いで走れる隊長感)……よし、では参りましょう」

 

「あっ、ハイ」

 

 やる気満々なご様子の憲兵さんたち。

 もはや帰ってとか言い出せる空気じゃない。

 

 助けを求めてお巡りさん2人に視線を送るも、めっちゃいい笑顔で「お気をつけて」と言われてしまった。

 

 

 

 ……助けて先輩!!

 

 

 

 ---

 

 --

 

 -

 

 

 

 2時間走ってようやく先輩の自宅前に到着。

 

 ……長い、長い道中だった。

 

 走る速度とかマジでぐちゃぐちゃになって、バテて止まって、走って、歩いてみたいなペースだった。

 誰かと一緒に走る経験がなかった訳じゃないけど、さすがに本物の兵隊さんと走った経験はなくて、ほんと大変だった。

 

 ただ、めちゃくちゃ恥ずかしかったし大変だったけど、一緒に走ってくれる人がいるというのは、なんだかんだで心強いというか、ありがたいところもあった。

 

 途中で励ましたりしてもらったし、水分とか差し入れてくれたし。

 まあ、なんでそこまでしてくれるのかさっぱりだけど。

 

 きっと一人じゃたどり着けなかっただろう。

 

 よかった、憲兵さんたちがいてくれてよかった。

 到着したいまなら、素直にそう思えなくもない。

 

 けど。

 

「……当然、寝てるよな」

 

 先輩の部屋の窓を見る。

 2階で、ちょうどいま立ってる場所の真正面。

 

 ひょっこり顔を出してくれないかな、なんて期待するけど、いまは4時半くらい。

 もう早朝と言ってもいい時間、うっすら空とか明るくなりかけてるし。

 

 ……帰るか。

 

 くるりと振り返って、ここまでついてきてくれた憲兵さんたちにお辞儀をする。

 

「なんかもうすみませんほんと、ありがとうございました。帰りは始発の電車で帰りますんで」

 

 走って帰りたいところだが、足めっちゃプルプルしてる。

 受験から入学ときて、半年以上くらいまともに運動してなかったからな。

 

 これからはもうちょっと鍛えよう。

 

 きっと、近いうちにまた同じように走りたくなるから。

 間違いなく、先輩に突然会いたくなるはずだから。

 

 そのときはきょうのように、走って会いに行くしかなくなる状況にならないとも限らない。

 

「いえ、ご自宅までお送りさせていただきま……いや、その必要はなさそうですね」

 

「へ?」

 

 憲兵さんの視線が自分の後ろ、その上の方に向けられる。

 つられて自分も見ると、すりガラス越しにもわかる、先輩の綺麗な金色の髪が見えた。

 

 そしてカラカラと、ゆっくりと開けられる窓。

 そっと顔を半分ほど隠して外を見た先輩と目が合った。

 

「……て、提督? な、なんでいるの!? いや、後ろの憲兵さんたちはなんなの!?」

 

 窓を全部開けて、器用に小声で叫ぶ先輩。

 そしてぶつけられる当然の疑問。

 

 とくに憲兵さんとか、マジでなんなんでしょうね?

 自分も聞きたい、が、とにかくいまは先輩に説明せねば。

 

「えっと、話せば長くなるんですけど……」

 

 長くなるんですよほんと。

 

 あと関係ないけど、先輩が着てるパジャマとてもかわいい。

 この前行った遊園地で買ったやつですよねそれ、マスコットの狐がいっぱいプリントされてるやつ。

 

「えっと、新しくジャージ買ったんですよ」

 

「う、うん……そ、それで?」

 

「そしたらなんかテンション上がっちゃって、大学まで走ることにしたんです。そしたら星が綺麗で……」

 

「……星?」

 

 先輩が空を見上げる。

 すでに星はあまり見えなくなっていた。

 

 デネブとかアルタイルとかベガとかたぶんもう見えない。

 

 口惜しいけど、天体観測はまた今度。

 

「で、星を見てたら無性に先輩に会いたくなっちゃって……一緒に星を見たいなって。でも終電終わってるし、タクシー使うお金もないしで……なら走って会いに行こうって」

 

「……」

 

 ポカンと口を開けてこっちを見る先輩、カワイイ。

 あといつも見下ろしてる先輩を見上げてるいまの状況、新鮮だ。

 

「そしたら半分くらい走ったところで、お巡りさんに職務質問されてしまって……色々あって憲兵さんにもご足労願って、気がつけば先輩のお家まで一緒に走ることになってました」

 

「なんでそうなったかはわかるけど、なんでそうなったのかわかんない……」

 

「大丈夫です先輩、それについては自分もわかんないです」

 

 ほんと、わかんない。

 

「で、先輩のうちに着いたんですけど……冷静になって考えるとこんな時間だし、普通に先輩寝てるよねって思って帰ろうとしたんです」

 

 いまさらだけど、恋ってすごいよな。

 

 すごい馬鹿なことしちゃうけど、すごいなんでもできるような全能感があって。

 

 じっさい先輩に会いたくて3時間以上走っちゃたわけだし。

 なんかラブソングで会いたくて会いたくてみたいな歌詞の意味、いま初めて理解したわ。

 

 うん、会いたくなる。

 

 いつ、どんなときだろうと、唐突に。

 ものすごく、会いたくてたまらなくなる。

 

「……そしたら、先輩が窓開けてくれて……先輩には申し訳ないんですけど……その、会いたくてたまんなかったから、先輩の顔が見れて……いま俺めちゃくちゃ嬉しいです」

 

「……」

 

「あの……怒ってます?」

 

 いつのまにか完全に無表情になった先輩。

 や、やべ、どうしよう。

 

 なんて内心死ぬほど焦ってたら、突然先輩は窓枠に足をかけて飛び降りた。

 

「せっ!?」

 

 慌てて落ちてきた先輩を受け止める。

 そんなに高さはなかったし、先輩が軽かったせいか、ぽふって感じて簡単に受け止められた。

 

「あ、危ないですよ先輩……」

 

 腰を抱えて地面に下ろそうとするも、先輩はなにを思ったのか、よじ登って自分の首に腕を絡め、顔をピタッとくっつけてきた。

 

「ひゃ!?」

 

「あっ……ああもう!! かわいい!! かわいすぎるよボクの提督!! かわいいかわいいかわいい!! 好き!! 大好き!!」

 

 そしてかわいいかわいいと連呼されながら、スリスリとひたすら顔を擦り付けられる。

 あと好きって言ってもらえた、つまり怒ってないと思われる、よかった、あと嬉しい。

 

「ふわっ、わっ、わっ!? く、くすぐったいですよ先輩」

 

 必死の抵抗も虚しく、先輩のなすがままにスリスリされる。

 くすぐったい、でもいいにおい、すべすべしてる、先輩かわいい。

 

「ねぇ見て憲兵さん!! この人がボクの提督!! この人がボクの提督だよ!! もう最高にかわいいいでしょ!! あーもう!! かわいいかわいいかわいい……かわいいね!!」

 

 もんのすごい笑顔で、少し涙目になった先輩が、憲兵さんたちに声をかける。

 ちょ、いまさらですけど先輩声大きいですよ!!

 

 そして憲兵さんたちは「ええ、最高です至高です」「キングオブかわいいです」「同意しかありません」「愛です、愛ですよ皐月様」「なんと……なんと素晴らしい……」とかなんかおおむね同意っぽいことを口走ってる。

 

 あっ、気がつけば騒ぎを聞きつけた近所の人っぽい方々とか、先輩のご両親までこの様子を見てた。

 

 しかもなんか拍手とかしてる、やめて!!

 

 ヤバい、超恥ずかしい。

 あとごめんなさい、ほんとごめんなさい。

 

 だけどそれはともかく。

 

 自分にとってはやっぱり先輩が一番かわいいと思うわけです。

 先輩の真似をするなら「見て、このちっこい先輩がボクの艦娘、もう最高にかわいいでしょ」って感じ。

 

 それだけは譲れないところです。

 

 

 

 

 

 

『かわいい人』と『駆逐艦:皐月』

 

 おわり

*1
・参照『僕』と『正規空母:飛龍』




 
かわいいね。
 

憲兵さんたちはこの後報告書だして上司からちょっと怒られた。
でも後悔はしてない、なんなら上司に自慢した、上司はち○かわみたいな顔した。

そしてこの話の1年後くらいにさっちゃんに妹ができる。
名前は「メイ」とかなきがする、たぶん。

お父様の見た目はダッドリーって検索したら多分でてくる。

提督適性者免許の裏面には、適応した艦娘の情報が書かれてる。
人数の関係上、多分無職の免許の裏面とかやばいことになってる。
職質されて提示したら、二周して本物だと確信される気がする。

かわいい人(提督)の出身は『僕』の大叔父さんの住んでる村。
艦夢守市の都市部からは結構離れてると思うけど、そのへんの地理とか交通事情とかは書いてる人もよくわかってない。(矛盾とかあったら許して欲しい)



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気力の枯渇とかメンタルの乱高下で力尽き、返信ができていなかったりします。
でもちゃんと読ませていただいてます、うれしいです、ありがとうございます。
 
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