Fate Apocrypha学園 作:ただの名のないジャンプファン
空は遠き彼方にうっすらと夕陽が残っているが空の殆どは月の光を輝かせる空に変わり星々の輝きが始める頃合い。
空には夏の大三角形が煌びやかに天の照明となってきた。
「美味しいです。」
今、ジークとジャンヌはとあるファミレス店に入っている。
ファミレスに男女2人でご飯を食べるなんていかにも高校生の構図に見える。
ただ一点を除けば‥の話であるが‥‥
「そうか‥‥なぁ、ジャンヌ」
「はい?何ですか?ジーク君」
「今更頼んでおいてなんだが、それは全部食べ切れるのか?」
「え?」
そうそれは女子であるジャンヌが食べている料理の量だ。
ジークは取り敢えず、ハムサンドとコーヒーだけで済ましているのだ。
反対にジャンヌはと言うとご飯(3杯ラージサイズ)ハンバーグステーキ、ミートグラタン、シーフードグラタン、オリオンスープ、トマトスープ、サラダ、ペペロンチーノ、ミックスサンドは5つほどを頼み、その他の料理もetc‥‥
その量はいつもの倍以上は食べている気がしてくる。
しかも食べるスピードは量の半分を切っても落ちることはなく維持して食べ続けていた。
ついでに言うと顔色も変わらずに食べ過ぎて苦しいと言う表情もしておらず、平然とした表情で食べている。
むしろ、ジークの質問に対して何を言っているの?
みたいな顔をしている。
夜に大量に食べると健康を損なうとこの前聞いた(テレビで)ジークはジャンヌが心配になった。
幾ら若く消費の激しい高校生でもこの様な事は積み重ねが原因となるというらしいから‥‥
主に女性が気にする体重とか‥‥
ジャンヌはちゃんと口の中の食べ物をちゃんとゴクンと飲み込み、口元をテーブルに備え付けの紙ナプキンで拭いてから断言した。
こういう所はやはり、ジャンヌは淑女らしい。
食べた量が普通の女子高生レベルならば、完璧だったのだが‥‥
「大丈夫です。食べられる分しか注文していませんから、それよりもジーク君はもう少し食べた方がいいですよ。育ち盛りな高校生なんですから、一杯食べて沢山寝る。これがこれからの健康の第一歩なのです。」
そうか、彼女がそこまで言うのならそうなのだろう。
確かにテレビで解答していた人の中には若い高校生がいなかった。
あれは大人達に向けて言ったものなのだろうか‥‥?.
そのような簡単な事を深く思い出していたジークにジャンヌは残っていたサンドウィッチを、
「ほら、一緒に食べましょう。ねっ?」
彼に渡した。
ジャンヌから渡されたサンドウィッチをジークも快く受け取りそれを口に運ぶ。
シャキシャキとしたレタスの食感と塩加減が絶妙なハム2つを多い味を引き出させているトマトピューレの甘酸っぱさが口の中で広がる事にジークは顔の緩みを止められない。
ジャンヌは少しだけ緩ませた口角を見ると最後に頼んだフライドポテトのお皿を二人の間に持ってきて「食べていいですよ」と促してくれた。
ジークはそこから2、3本貰いほんのりとしょっぱいポテトのサクサク感を楽しんだ。
そして最後に指に付着している塩を舐めとる。
「「ご馳走様でした。」」
そこから食べ終わるのはほんの10分程度だった。
食べ終わった食器は横にやり、ジャンヌはやはりと言うか注文ボタンでデザートを頼んでいた。
何となく想像はしていたが、まさかあれだけ食べた後、デザートも注文するとは‥‥
ジークとジャンヌの席を通りがかった人は一瞬、信じられないモノを見たかのように目を見開いて通り過ぎて行く人がちらほらいた。
「本当によく食べるな。」
「えっ?そう‥でしょうか?これぐらい普通だと思うのですが?」
ジャンヌはジークの問いに首を傾げて自然体で答える。
「そ、そうか‥‥」
ジークはジャンヌの答えに下手な事は言うのは止めようと思い、無理矢理納得した。
そんな反応されると恥ずかしい、まぁそんな事をド直球で聞いてくるジークにもデリカシー云々で問い詰めてやりたいが自分の食べた皿の数を見ると、聞かれても仕方が無いなと思った。
それにしても本当に今日のジャンヌはよく食べる。
ジークは普段、夜のジャンヌはここまで食べるのか?と考えたが本当の所、ジャンヌは今日朝にご飯を食べてからここまで碌に食べていないのだ。
ずっとジークの看病をしていたからだ。
お弁当はバッグに入れたまま手をつけずその後ジークの家に行く時もお土産とお見舞いを兼ねた品を用意しただけで何も食べずに現在までやり過ごしたのだが現在、少し限度を超えすぎた為にここまでの量を食べた。
ジャンヌはこの事をジークには話さなかった。
何故ならこれを話すと彼は余計な気遣いをしそうだからだ。
ならば黙っておくが吉だろう。
そう思っていたがジャンヌの緊張の糸は今日の色々な出来事のせいで既にズタズタに切れており、現在はそのツケが回ってきたのだ。
いつも取っているエネルギーを摂取しているのだ。
「ジャンヌ、すまないが今日の分のノートを見せてもらってもいいか?」
食事が一段落するとジークはジャンヌに今日参加出来なかった授業の分のノートを写させてと頼んだ。
「ジーク君、すぐに勉強を開始するその心意気はいい事ですけど、でももう少しゆっくりしてもいいんじゃないですか?今日はその...色々あって気持ちの整理と行きたいでしょうし。」
ジャンヌは届いたばかりのチョコレートケーキを口にしながら言う...ジークとしては『取り敢えず食べるのをやめようか』と言いたい。
最もな事を言っているのかもしれないが、口元についているチョコレートクリームがジャンヌの言動を台無しにしているからだ。
「いや、確かに今日は色々あったがもうすぐ期末テストだ。何があってもそれは変わらない。それに俺はもう大丈夫だ。何故か分からないがやりたい気持ちが抑えられない。君の合格点を100点上げる...これを何としてもやり遂げないと...」
そう言えばそうだった、さっきの事と楽しい食事の為にジャンヌは忘れかけていた。
今現状自分達のテストの日は着々と近づいている。
正直に言って本来ならば、このようにのんびりと食事をしている時ではなかった。
それともう1つ、これはジーク自身の事だ。
ジーク本人は気がついてないのだが何故か胸のあたりが熱くなり妙に高まっている、一言で言うならやる気に満ちているという事だ。
「わかりました。少し時間がありますから私の分も見てください。」
「ああ」
ジークは頬を緩ませながら頷く。
そして、ジャンヌは満足そうに目が緩む。
「ジーク君。ここの問題を教えてください。」
「ここは、さっきの式を当てはめて...ほらここで間違えていたから答えが合わない。」
「成程...やはり、難しいです。数学は複雑過ぎて」
「そうかな?俺は現国や古典よりは簡単だと思うが...」
そう言ったら不満なのか膨らませた頬でいじけた様子のジャンヌ。
「どうせ私は頭が悪いですよ。古典や現代国語よりも難しいです。」
いじけたジャンヌにジークは慌てて謝罪をした。
「すまない、ジャンヌを馬鹿にしたのではない。これは俺個人の考えなのだが」
「ジーク君。」
「古典や現国は作者が産んだ登場人物が沢山いて様々な展開に発展していくが、数学というのは色んな数学者が公式を生んでも今は簡略化した式が主流となっている。後はそこにはめていくだけで答えが出てくる。俺にとってはこちらの方が簡単だ。」
「...結局馬鹿にしている事に代わりがない気がするのですが?」
ジャンヌはジト目でジークを睨む。
「えっ?あ、すまない。」
「いいですよ、言葉だけの謝罪は...ふふ、何ていつかのお返しです。」
あまりにも素直な反応が可愛らしくついジャンヌは以前のお返しとともにジークをからかってみた。
本当に子供のようにしょげるジークは少し年にふさわしくないが、でも少し童顔のせいか無茶苦茶マッチしている。
「ピロピロン」
とそんな時だ。
ジャンヌの携帯がなる。
多分LINEだろうアイコンが見えたのでわかる。
ジャンヌは通知と同時に時間を見ると大分時間がたっていた事がわかった。
「もうこんな時間、ジーク君今日はもう帰りましょう。」
「そう...だな。もう遅い、ノートありがとう」
ジークは見してもらったノートを閉じてジャンヌに返した。
「どうでしたかジーク君?今日の所わからない所ありあしたか?」
首を傾げながら尋ねてくるジャンヌにジークは首を振った。
ジャンヌのノートの取り方が上手いおかげで見やすく、分かりやすかった。
数学なら綺麗な公式にワンポイントのアドバイス、英語なら教科書から文を載せてそこに合わせて訳すときを見るとわかりやすくなる単語にしっかりと丸をつけてくれている。
「ジャンヌ、また明日も見せてもらえないか?できれば他のも。」
そう頼んだジークにジャンヌは少し疑問を抱きながら聞き返した。
「他の教科も‥ですか?」
「うん。ジャンヌのノートはとてもこまめでわかりやすい。見ているだけで凄く参考になる。」
ジークは思った事をそのまま言葉に変えてジャンヌに言う。
言われている本人はとても気恥しくなんとも言いけれない感情が照れ隠しの行動を取らされる。
「ジーク君、そんな風に面と向かって言われると恥ずかしいです。」
「そうか、俺は思った事をそのまま言っただけなのだが。」
それが気恥しくなる原因なのだが、ジークはわかってないのだろう。
その後ジャンヌとジークはお店を出て分かれ道まで、取り敢えず問題を出しながら帰ってきていた。
「解の公式」
「X=2A分の-B±√B2乗-4AC」
「Sinの求める公式」
「斜辺×高さ」
ジャンヌは出された問題をぱっと答えてくれる。
公式はしっかりと頭に入っているのだろう。
「ジャンヌはやはり、覚えるのは得意何だろうな。」
ジークに言われ、少し思い返してみるジャンヌ..まぁ教科書やノートのはすぐに覚えるが、そこまで得意と言えるのか疑問が浮かぶ。
何故なら、隣にもっと物覚えの良い人がいるからだ。
「ジーク君の方が覚えるのは早い方かと思いますが」
「そうか..」
「はい。」
ははは、とため息混じりにかわいた声で笑い、ジャンヌはぱっと顔を上げる。
すると気がついた。
もう曲がらないといけない交差点まで来ていたのだ。
いつの間にと思う位時間が早くたっていた。
それ程、楽しかったのだろう。
「ジーク君、私はこれで」
「そうか、ならまた明日。」
「はい、また明日迎えに行きますね。」
〜side後日〜
日が変わり次の日いつもの様にジャンヌと登校し、いつもの様に授業を受けるという日常はあれ以来崩れることは無かった。
あの時来た感覚はあれ以来来なくなり、寧ろ来なさすぎて忘れてしまうぐらい頭の中では遠くに行きかかっている。
なので、ジークはあれを自分で呼び起こしてまたジャンヌ達に迷惑をかける状況にもなって欲しくないのと、いよいよ3日きった定期テストが頭の殆どを占めている。
「よぉ、ジーク。」
「モードレットか?1年のフロアに来るとは何か用でもあるのか?」
「ん?いや別にそこまでのようはねぇんだけどな。ま、散歩がてら聞きに来たのよ。」
モードレットは頭の後ろで手を組んで枕のようにして窓にもたれかかった。窓は半分開けて廊下の空気を循環させているために、微かな風が入ってくる。
モードレットはそれを気持ちよさそうに受け止めていた。
ジークも少し話すかもしれないからモードレットと似た体制を取り楽にした。
「まぁ、ぼちぼちだな。」
「ぼちぼちか。」
「アストルフォはどうなんだ?」
「あいつか?まぁ、今の所いけても赤点ギリギリってとこだな。」
「おいおい、それで大丈夫なのか?」
「心配すんなって、やっと基本を叩き込めたんだ。こっからテストまで休ませずに行ったら、とりあえずまぁ、50ちょっとは取れると思うぜ。」
心配をするジークの背中をバシバシと叩く。
モードレットは基本力加減というものを知らない為、叩く力も加減しないから結構痛い。
背中を叩く大きな音がなくなり壁から飛び離れる。
モードレットももう教室に戻るのだろう。
自分もそろそろ戻るつもりだった。
「んじゃな。」
手をひらひらと振る。
そんな素っ気ない態度で別れるモードレットに少し口角を緩め別れた。
〜sideホームルーム〜
「さて、週明けから期末テストです。皆さんのことですから、何も言わずとも対策をしていると思いますので、その調子でお願いします。」
ケイローンの最後の一言を切りに、今日の授業は終となる。
今日は週明けがテスト前という事で、午前のみで終わり。
後は、放課後に家に帰りテストに勤めろという事。
クラスの中は本当に勉強1色で、「何しよっかな〜」ってそんな事を頭に入れていない呑気者は1人ぐらいだ。
「ねぇ、ジークこれからカラオケとかに行かない。僕久しぶりに歌いたいんだ〜。ジークもきっと驚くよ。僕の歌声にメロメロになること間違いなしさ!」
「アストルフォ、週明けからはテストだぞ。もう少し我慢をしろ、休みになればどこにでも行けるだろう。」
「えぇ〜。だって夏休みになればどこも人がいっぱいじゃん、休み前のこの時期でこの時間だったらガラガラで貸しきれるんだもん。」
「すまないが、俺は先約がある。」
「誰?」
「私です。」
「あぁーまた勉強するの?」
と不思議そうに首を傾げるアストルフォにこちらが首を傾げたくなる。
普通この様な時間を有効するに使う...何て固い考えを持ってなくても、彼並みに成績が低いのなら勉強という一択以外選ばないだろう。
「ジャンヌ、携帯電話を貸してもらえないか?」
「えっ?別にいいですけど‥‥」
ジャンヌは特に何も考えずにジークに携帯を渡すと、ジークは電話を起動させて自分の知らない番号をポチポチと打つ。
「あっ、モードレッドか?アストルフォが今から帰ってカラオケに行くらしいのだが止めておこう...か!」
モードレッドの名前を聞いてすぐに教室を飛び出そうとしたアストルフォをジークは制服を掴んで止めておく。
アストルフォは駄々っ子のように涙目で抗っているのだがジークは全身の体重をかけるようにして中々逃げられない。
「いい加減にしてくれアストルフォ。」
「もう、やだよ。僕は一生分の勉強をしたと思うよ。だから、これ以上はしなくてもいいんだよ」
「そんな事を言わないでくれアストルフォ。俺は夏休み君と色々遊びたいんだ。」
「えっ?」
アストルフォは顔を上げてジークを見ると、ジークの赤色の瞳はアストルフォを見つめている。
これはジークの本心なのだろうが、何も知らない人が見たらそれは彼女を励ましているようにも、口説いているようにも見えるが、アストルフォは男である。
アストルフォの性別を知っている腐女子が見たら、『ジクアス!キタ――(゚∀゚)――!!』と喜びそうなシチュエーションである。
「俺は夏休み君のようにはしゃいだことがない。だからアストルフォ、一緒に夏休みを過ごすためにテスト勉強をして、テストを乗り切ろう!!」
「う、うん‥わかったよ‥‥」
ジークの言葉を受けてアストルフォは渋々と言った様子でテスト勉強をする事にして、迎えに来たモードレッドに連れて行かれた。
(なんでしょう‥‥アストルフォ君は男の子だと分かっているのになんだかモヤモヤします‥‥それに何故、ジーク君がモードレッドの携帯の番号を知っているのですか!?)
ジャンヌは2人の男子(←ここ重要)のやり取りを見て胸にモヤモヤするモノを感じ、そしてジークが自らの天敵とも言えるモードレッドの携帯電話を知っている事に疑問と共に理不尽ではあるが、納得の出来ない、嫉妬の様なモノを感じた。
しかし、ジークとモードレッドは同じ部活仲間‥互いの連絡の為、携帯電話ぐらいは知っていても当然であったが、それでもジャンヌはまだ不満気味だった。
あまりの内容に言葉を失った。
いくら、ジャンヌが日本人でないからと言ってもこれは酷かった。
とは言え、ジャンヌの平均点を上げる為、彼女の分かりやすく解説をしなければならないジークだった。
一方、もう片方の方‥‥
アストルフォとモードレッドの方では‥‥
「ね、ねぇ、先輩‥‥」
「あん?休憩ならさっきやっただろう?あと2時間は待て」
「ち、違うよ!!」
「じゃあ、なんだ?どこか分からない所があるのか?」
モードレッドはアストルフォの家で彼のテスト勉強を見ていた。
両親がいないアストルフォの家‥‥
つまり、アストルフォの家にはこの家の家主であるアストルフォとモードレッドの男女2人のみ‥‥
一歩間違えれば、男女の間違いが起こりそうなシチュエーションであるが、アストルフォがモードレッドを襲うなんて事はないし、仮にアストルフォが襲い掛かって来てもモードレッドならば、アストルフォを返り討ちにするのが目に見えていた。
「まぁ、質問と言えば質問なんだけど‥‥」
「なんだ?」
「先輩は誰か好きになった人っているの?」
「っ!?」
アストルフォは何気なくモードレッドに好きな人は居ないのかを訊ねる。
すると、モードレッドはビクッと反応する。
彼女の脳裏にはチラッと昔の思い出が過ぎった。
それは自分の原点とも言える思い出であった。
「先輩って言動は乱暴だけど、面倒見はいいし、顔も良いからね、そう言う話の1つや2つはありそうだし、実際に先輩の隠れファンとかいるからね」
「なっ!?何処のどいつだ?そいつはっ!?」
モードレッドはアストルフォの言う自分の隠れファンが一体誰なのかを問う。
「いや、流石にその人の命にかかわるから言えないよ。それで、どうなの?誰か好きな人はいるの?」
アストルフォがニマっと含む様な笑みを浮かべてモードレッドに顔を寄せる。
すると、
ゴン!!
「つぅ~‥‥」
「バカな事を言ってねぇで、ちゃんと勉強しろ!!」
モードレッドの拳骨がアストルフォの頭に炸裂した。
「は~い‥‥」
アストルフォは涙目で再び参考書へと目を通し、ノートに問題と解答を書き始める。
アストルフォがテスト勉強を再開した中、モードレッドは、
(そう言えば、あの人とは久しく会ってないな‥‥元気かな?)
(あっ、そう言えば、今度あの人が出る大会があったな‥‥ジークの奴を誘って行ってみるか‥‥)
密かに今の自分の原点のきっかけともなったある人の事を想っていた。
さまざまな思惑と不安の中、ついにテストの日がやって来た。
「はい、始めて下さい」
チャイムが鳴り、教卓では試験担当の教師の掛け声と共に試験が開始される。
どの教室もカリカリ‥‥とペンを走らせる音しか聞こえない。
そして、テストを受ける生徒の表情も様々だ。
問題に山を張り、当たって心の中で『よっしゃ!』と叫ぶ者も居れば、『外れたー!!』と嘆く者も居る。
モードレッドはと言うと‥‥
(楽勝‥‥)
淡々と問題を解いていく。
人間性や言動はともかく、彼女の成績が優秀であるのは事実だった。
同じく生徒会長であるシロウやセミラミスも余裕の表情で問題を解いていく。
一方、ジークの方はと言うと、
「‥‥」
無表情で問題を解いていく。
(あっ、これ確かジーク君に教わった所‥‥えっと、これの解き方は確か‥‥)
ジャンヌはジークから教わった事を思い出しながら問題を解いていく。
(これ、先輩に聞いた問題と似ているな‥‥えっとこれは‥‥)
アストルフォもジャンヌ同様、モードレッドから教わったやり方を思い出しながら問題を解いていく。
テストは一日だけではなく、数日に渡る。
勿論、ジャンヌもアストルフォも一日目のテストが終わったからと言って休まずにテスト勉強をした。
と言うよりもアストルフォの場合は、モードレッドに捕まったと言う方が正しい。
テスト期間中は午前中で学校が終わる。
アストルフォとしては折角いつもより学校が早く終わるので、帰ってテストで疲れた頭と体を休めたかったのだが、そうは問屋が卸さない。
ホームルームが終わって帰ろうとしたら、モードレッドがアストルフォを待ち伏せており、彼はモードレッドにしょっ引かれていく。
まるで、刑務所で作業を終えた囚人が房へ帰るみたいな姿だった。
そして、学生にとって苦難であるテスト期間が終わった‥‥
〜sideジャンヌ〜
ついにこの日がやって来ました。
すべてはこの日のために私はこれまで努力してきました。
たった数日なのに、勉強を始めたあの日から既に3ヶ月がたった気がするぐらい遠く感じます。
それもこれも全部この日のためを乗り切るためにあったようなもの、友人に勉強を教えてもらうというのはとても有意義な時間ではありましたが、苦しい時間でもありました。何度頭がショートしたことでしょう。
ジーク君は、意識があるかどうか確認はしてくれますがジーク君はとても厳しい人でした。
ジーク君は予め予定を立て、それをクリアしないと頑として家に返してくれませんでした。
ジーク君の意外な1面というのは発覚して欲しくありませんでした。
ただ、山を登れば降りるだけ、困難な予定をクリアすればそれをピークに徐々に下がってテスト前は軽い復習みたいなものだけでした。
この様にきめ細かい予定をジーク君は何処で立て方を覚えたのかは気になりますが、今は私のルーラーとしての尊厳がかけられているテストが帰ってきます。
これでもし、赤点など出してしまえば私の優等生の伯は消えジーク君の夏休みも失われてしまう。
この事から目を背けてはいけません。
主よ、願わくば私とジーク君にご加護を...
ジャンヌは名を呼ばれ担任の前にまで足を運ぶ。
ちなみにこの学校はテスト用紙と成績表を同時に返され、成績表に赤く点数を記載されていれば補習が決定。
その後、赤点をとった生徒以外は家に帰ることができてとった生徒は補習スケジュールを渡される。
「やった、赤点ゼロだ!!」
とピンクの髪が喜んでハイテンションに声を上げているが自分には全く聞こえなかった。
「えぇ、ジャンヌ、ジャンヌ・ダルク。」
「は、ひゃい!」
しまった緊張しすぎてつい変な声を出してしまった。
恥ずかしい。
私は赤くなった頬を隠すために少々下を向きながら先生の元に歩いていく。
「はい、よく頑張りましたね。」
丁寧に渡してくれる先生に対して、私は力んでいるために紙をぐしゃぐしゃにしてしまいました。
流石のケイローン先生も苦笑いを浮かべていたためにさらに恥ずかしさが増し髪の毛まで意識が渡ったように髪の毛が逆立つぐらい恥ずかしいです。
それから私はそそくさと席に戻り一息つく。
それから私は現国から順番に見ていく。
点数も70点弱ある。まずまずの立ち上がり出会ったことにほっとする暇もなく私は次の科目名に目を細める。
数学.....62点!!
その次に生物や地理なども見ていくが...無しだ!!
何度も確認しましたが、赤点は今回ありません!!
これまでの最高記録です!!
私は無意識に隣の席にいるジーク君に視線を向けると気がついてくれたのか、私の喜び一杯の表情を見たら微笑みながら1回頷いてくれた。
私は今すぐに大はしゃぎしたくなってるぐらい高揚している。
だって数学がこんなに高得点だったのは生まれて初めてだったから、感謝の気持ちを終わりまで置いおきましょう‥‥
〜side結果報告〜
中庭に2人並んで座っているモードレッドとジーク。
ジークは賭けのことや、2人の成績がどんなのかを詳しく聞かれそれを詳細に報告した。
ジャンヌやアストルフォを連れてきてもよかったのだがあの浮かれようでは...という事で教室に置いてきた。
詳しい点数は分からないが、これまでの成績の中で一番の成績をたたき出したのはあの2人の様子を見ればわかる。
今頃は2人で盛り上がっていることだろう。
「で、見事お前らは赤点回避したわけか。」
「あぁ、モードレッドのお陰だ。助かった。...って納得のいかない顔だな。」
不満たっぷりに頬を膨らませるモードレッドを見てそれ程賭けに勝ちたかったのか?と思う。
「ったり前だ!何でお前が教えたルーラーの方が高得点で、あのバカの方が低いんだよ。しかも赤点ラインギリギリだとぉ!あの野郎いっぺん占めてやる!!」
モードレッドは『うがー!!』いと叫びそうなぐらい力強く両手をあげた。
「今回の事でだいぶやられたと思うがな、アストルフォは‥‥」
そんなモードレッドにジークは苦笑で答える。
「ま、よかったな。高校最初の夏休みが補修地獄なんて流石の俺も同情するぜ。」
「あぁこれも全部モードレッドが手伝ってくれたからだ。ありがとう。」
「よせよ、頬が痒くなる。」
モードレッドは照れてか顔を背けて頬を掻く。
と、そんな時に客が来た。
「あ、ジーク君」
「ジーク!!」
来たのは、教室で喜びを分かちあっていたジャンヌとアストルフォだ。2人は駆け足でこちらに来た。
「どうかしたか?」
「テストも終わったことだし、これから皆でご飯を食べに行こう!」
「俺もか?」
「当たり前でしょう。ここにいる皆で楽しく騒ごうじゃないか!!」
「あまりお店にご迷惑をかけることはいけませんよアストルフォ。」
「うんうん、わかってる、わかってる。で、どうジーク、先輩?」
「あぁ、いいなおれも同席させてもらう。」
「俺はパスだ。やっとテストが終わったんだ、なまった体を動かさねぇと」
「えぇ、ノリが悪いな〜」
「それは置いといておいピンク、手前俺が付きっきりで教えてやったのにどうも赤点ギリギリだったらしいな。」
モードレッドの声が急に低くなった。
重いモードレッドの声にアストルフォが過剰に反応し身震いをし始めた。
「あれぐらい教えてやって平均70は行けるだろって言ったよな〜。それでも行ってほしいのなら」
「い、忙しい先輩はまた今度誘うよじゃ、僕はカバン取りに行かないと〜〜〜〜〜」
必死の形相で走り去るアストルフォにジャンヌが注意をしながらついて行った。
「じゃ先に行って教室で待っていますね。」
ジャンヌは礼儀正しく頭を下げて駆け足でアストルフォの後を追うように去った。
さてまた2人だけになってしまった。
特にここにいる理由もないし自分もジャンヌ達の元に行こうか。
「んじゃ俺も行くぜ」
「モードレッド、最後に聞きたい。」
「ん?」
「何であんな条件だったんだ?」
賭けの報酬モードレッドが望んだのは自分。
何であんな条件だったかのが気になる。
あのような要求はモードレッドらしくない
「理由、んなもん決まってんだろ。強くなる為だ」
モードレッドの雰囲気がガラリと変わった。
金色の髪は、まるで鬣のごとく。
迫力は獲物を見据える獅子の様に彼女はジークを見ていた。
「俺が次に上がるために必要だった。それだけだ。」
時間すらも気圧されたかのようにゆっくりと流れた5秒間。
自分はただ、モードレッドを見ている事しか出来なかった。
でも、口は開いた。
「それなら、こんな形じゃなくても手伝うのだがな」
ジークは優しく口元を緩ませモードレッドが去る前に一言残した。
ではまた次回。