Fate Apocrypha学園 作:ただの名のないジャンプファン
~side 某県 冬木市 商店街~
「らっしゃい、...ってセルジュの所の坊主か、久しぶりだな。」
「あぁ、そうだな」
深海よりも青い髪を後ろに束ねる男性、その細くもがっしりとした筋肉のついた体には似合わない魚のアップリケの入ったエプロンがとてつもなく強力な印象を与えているジークよりも年齢が上のこの人名はクーフーリン。
アイルランド人だ。
彼は冬木の町にある魚屋で働いている。
彼は何故冬木に来たのか?
それはここの店主であるクー・フーリンとセルジュは昔からの知り合いらしい。
何か、息子の友達だとか
「最近めっきり顔を見せなくなっちまって、今まで何してたんだよ。」
クー・フーリンはうりうりと肘でジークの胴を押してくるのでジークはやめてくれと言わんばかり手で払い除ける。
そのジークの行動がまだまだ初々しさが残っているのでクーフーリンはヘラヘラとした態度で楽しそうにしている。
「高校に入学して最近テストだったから忙しくてな、この前終わった」
ジークは最近の近況を軽く近況を教える。クーフーリンはそれを親しい友のようにそれを聞いてくれた。
クーフーリンとはジークが学校に通う前に一度会っていた。
セルジュの息子さんと付き合いがあったらしいのだがセルジュとも気があうらしくその時紹介してもらった。
ただ、最初の頃は付き合い方というのも知らないジークにとって彼は正直怖かった。面倒見の良い1面もあるのだがクーフーリンはとても厳しい一面もあり、それから彼は言葉を選ばない。
まだ拾われて数日しか経っていないジーク。この時のジークの精神年齢は幼稚園児と同じぐらい、セルジュにすら心を開ききっていなかったのだ。
もう2、3度会ってからここには来なくなった。
今回は、
「何だ?高校に入ったのか?お前はノー学歴で生きていくんじゃねぇのかぁ?」
「そんな事を言った覚えはないのだが。」
「それでどこに入ったんだよ。」
「ユグド学園だ。」
ジークが言った事にピクリと耳が反応した。
「何だ、俺の母校じゃねぇか」
「そうなのか?」
クーフーリンはキョトンとしていた。だけどジークもその事実にきょとんとしたかった。
「以外だな。あそこに入れたのか。」
ジークは目を見開き本当に驚いていた。
てっきり彼の最終学歴は中卒かと思っていたのに高校を卒業していたのだから‥‥
人は見た目によらないものである。
ジークの言葉に対して眉間をぴくぴくとさせているクーフーリンはジークに目線を合わせて胸元を指で押しやる。
こう言っては何だが彼はあの学校の学風に合わない、自分の今の通う学校はよく言えば文武に貪欲で2つの結果をしっかりと残しているが、見方を変えれば中は規則に堅苦しい肩身の狭い思いをしている生徒も多かろう。
そのような学校に身を置いていたらいたで彼のようなタイプは即不満を爆発させていると思うのだが………いや自分の知り合いにも1人彼のようなタイプがいたな
「お前、俺がバカに見えていたのか?」
「そういう訳では無いのだが、ただクーフーリンは真面目に勉強するタイプでは無いと思うのだが...」
そう言うとクーフーリンは言葉がつまりジークから離れる。
振り返ってみるとまぁ、何であんな所に入ったのか自分でも不思議に思えてくる。
「ま、確かに真面目に勉強するタイプじゃねぇからな。」
そう言ったらバツが悪そうにソッポ向いた。
どうやら図星らしい。
「なら何故あそこを選んだ。此処冬木にもあるだろう」
ここ冬木にも高校があるあそこでもよかったのではと思うジーク。
「だってこっちよりあっちの方がイベントとかが派手だろ。」
賛同できない。
何故ならジークは学校でのイベントをまだ体験していないからだ。
でも確かに一度見た時こちらの高校の方よりも華やかさが少しかけている印象はある。
あちらは一般的な公立高校、そこまで見た目にこだわれないのであろう。
そう答えるとクーフーリンは「なら楽しみにしておけよ。」と喉を鳴らしながら告げた。
「そうだ。なら理事長はまだアイツがやってんのか?」
「アイツ?」
「ヴラドのおっさんだ。」
「おっさん.って。」
ジークは呆れたようにクーフーリンの言い分にため息を吐く。
でもジークもあまり敬語を使っていないためそこはあまり言えないと思うのだがそれは置いておこう。
「何しろあの人のあだ名は俺が広めたんだからな。」
「え?」
ヴラド理事長のあだ名それは『串刺し理事長』
ジークは先程ほどではないが驚き胸を張るクーフーリンを見る。そのクーフーリンは自慢げに鼻を鳴らしていた。
理事長のヴラドの噂それはジークがジャンヌから聴いた話だがヴラドは以前自分に不敬な行為を起こした生徒に罰した事をきっかけに起こったその時についたあだ名だ。
ただ罰しただけではあだ名などつかないだろう。
それはこの時の生徒がヴラドの罰に物凄く恐怖しそれから棘は細長く鋭いものに恐怖感を抱きそれを見ただけで震え怯えたからだと
その生徒がクーフーリン...いや、彼がそんな事を100歩譲って広めた生徒だろうと思うジーク。
「あの野郎。少し花瓶割っただけであんなに怒りやがって」
ジークはそれは絶対ないなと思った。
なるほど、時間が経って噂の内容が変化して今じゃ恐怖を煽る内容へと変化したのかジークは満足そうに頷き納得した。
そんな態度を見ていたクーフーリンは頭に?を浮かべながら首をかしげていた。
さて、近況報告みたいな世間話も終わったことだし今日来た用事をさっさと済ませよう。
魚屋なのだ。
セルジュに頼まれた魚をクーフーリンに言うと彼はあいよ!と高らかに吼えて魚を捌き頼んだ量にしてくれた。
ふと、ジークは捌き終わるのを待っていると電柱の近くに何かが落ちているのを発見した。
ジークがそれを拾う。見たところ手帳のようだがジークは誰のものなのか、何か誰のものか記しているものはないかと見ると表紙に学校名が記載されていた、という事は生徒手帳だろう。
なら、名前や住所が
「衛宮..士郎、クーフーリン」
「ん?どしたぁ?」
ジークは名前の主に心がないか聞く。
クーフーリンは仕事の片手間でジークに耳を傾ける。
「衛宮士郎という名前に心当たりはないか?」
名前を告げるとクーフーリンの手が止まり顔をこっちに向ける。どうやら知っているようだ。
「何だ?知っているが、どうかしたのか?」
「知っているのか?」
「あぁ、よく魚買いに行くからな。それにその兄ちゃんはここでちと有名だ。ほら、ここらには似合わない屋敷3つぐらいあるだろう。そん中で唯一街並みに溶け込んでいる和風の屋敷そこがそいつの家だ。」
ジークはあまり冬木には来たことがなかったが確かに知っている。最近近代化してきている冬木の街並みに違和感を感じさせる古風な作りの家。
言い方は少し悪かったかもしれないが違和感と言っても悪い意味ではないひときわ際立っている建築物。
「その坊主がどうしたんだ...てかよく名前を..あ、そいつはアレか。衛宮んとこの坊主の持ち物か?」
クーフーリンはジークから手帳を受け取りそれから
「その内来るかもしれないから俺が渡しておいてやるよ。」
「いや、いい。俺が届けよう、俺も今日はこの後ここら辺をぼちぼち歩こうと思っていたところだ。」
「そうかよ、んじゃいってら。」
「あぁ。」
冬木は周りを水に囲まれ、一見この様な昔ながらの商店街が似合いそうな感じがするが最近は、レジャー施設やショッピングモールなどが充実しつつあるという面もある。
ジークが住んでいるところとここを結ぶ端から見る夜景は中々見応えがあるとか、都市から離れているものの市民にとっては中々住み心地が良い町である。
道行く人は様々な年齢層の方が歩いている。近隣住民の仲がいいのか住民同士の挨拶などもかわされる光景はここでは珍しくない。
でも、そんな町も半年前は絶望で燃え尽くされていた。
半年前、突如発生した大火災。
ここに住んでいる人達にとっては未だ消えない火傷傷となって記憶にへばりついているだろう。
それでも、老人も子供も笑っている本当に強いのだろう。
火事の原因は未だに不明、犯人も未だに検討もついていないらしい。
そして自分は炎の中から救出されたと聞いた。
それ以上のことは話されたことは無い。
自分も不思議と思い出したいと思わなかった。
いや、思わなくなって言ったと言えば正しい。
1つは、セルジュに心配をかけたくなかった。ただでさえどこの誰かもわからない自分を預けてもらっているのに余計な事で煩わせたくなかった。
もう1つは、思い出したいとは思わなかった。これは本当だ、自分がどんな所で生き、どんな風に育てられ、どのような人達に囲まれ、どんな人生を送ってきたのかを俺は興味すらわかなくなっていた。それは時間が経てば経つほど薄れて言っていた。
今は..
「おっと、ここみたいだな。」
周りを見ながら考え事をしていたらいつの間にかその家に着いていた。
ここもまた古風なお屋敷だ。
木造りで年月を感じる木材は風情を感じられる。
ジークは目の前にあるインターホンを押そうとすると
「えっと、どちら様でしょう?」
後から美しい芯の強さを感じられる声からは気品も感じられる。
丁寧に手入れされた金色の髪は程よく光をよく照らし、誰かを思い当たる。
(モードレッド?)
そう、金髪、容姿、纏っている雰囲気‥それは自分の友達であるモードレッドに似ていたのだ。
「あぁ、貴女はこの家のものか?俺は橋を渡った向こうの町に住んでいる者だ。故あってここら辺を歩いていたらこの家の主のものと思われるものを拾って届けに来た。」
と、写真の乗っているページを開きながらこの人に見せる。
「は、これは確かにシロウの物。ありがとうございます。私の名はアルトリア、アルトリア・ペンドラゴンと申します。」
目の前の金髪の女性はモードレッドに似ているが、勿論彼女では無かった。
まぁ、纏っている雰囲気と容姿は似ていても彼女はここまで親切丁寧な言葉を使ったりはしない。
世の中には似た者が3人居ると言うが、彼女はモードレッドのそっくりさんにあたるのだろう。
「これは申し訳ない、自己紹介が遅くなってしまった。俺の名はジークだ。」
「よろしくお願いします。私は一応この家の世話になっているものですが、よければ上がって言ってください。お茶位出せます。」
「え、でも‥‥」
ジークは戸惑う。流石に家主の許可無く上がるほどの図々しさは持っていない。
だがアルトリアは、そんな事を微塵も気にさせない笑顔で誘う。気にするだけ無用だと言っているような美しい笑顔に負けたジークは家に入らせてもらう事にした。
この家はセルジュの家も何倍もの数の部屋があり、リビングもまたすごく大きく6人ぐらいはゆうにのんびり食事できそうな広さであった。
ジークは畳に座らせてもらいアルトリアはお茶を入れてくれた。
気持ちよさそうにふかふかと浮き上がる湯気を見ながら熱い茶を飲んだ。
「ここの家の主の方は?」
「それはシロウです。シロウの親は基本外国で仕事をしているので、シロウの保護者兼(自称)姉と、私と彼の妹が基本ここで住んでいる。」
「貴女も姉なのか?」
「いえ、私はこの家の親と知り合いで、こちらでホームステイをさせてもらっている身です。」
アルトリアは自分の胸に手を当てて自分の立場を説明する。
「成程。」
ジークは貰ったお茶をすすりながらそんなことを思っていた。
「ただいま!」
「あ、帰ってきました。」
どうやら家主が帰ってきたらしい。
先程の話を照らし、貰った情報を合わせればこの家に男性は1人しか住んでいないらしい。
妹、姉、そして彼女、親は働きに外国にいるらしい。
ならこの男性の声は彼しかいない。
まぁ、アルトリアが聞き間違いなどしないだろうし。
廊下が軋む音がする。歩いてきているのだろう。
障子から影が見え入ってきた彼は、写真よりも切れないな赤毛、いやオレンジに近い髪色と鍛えているのだろうがっしりとした体にふんわりとした笑顔。
思った通りの好青年だ。
「君が届けてくれた人か?」
「シロウ、こちらはジーク、そうです。彼が届けてくれました。」
入ってきたアルトリアが間に入って自己紹介を始める。
「ジーク、こちらがシロウです。」
「衛宮士郎だ。今回はありがとう助かった。」
ジークとシロウは握手を重ねる。
「いや、別に気にしなくていい。それよりも住所等を見てしまった。すまない。あまり個人情報を見られるのはいい気がしないのだろう?」
「それこそ気にしないでいいよ。俺の手元に届けるためなんだろう?交番に預ければいいのに手間をかけさせて」
「そうか?やはり学生の身分を提示するのにこれ以上に便利なものはないからな、早めに返してあげた方がいいと判断したのだが...」
「そのおかげで助かった。」
ジークはふんわりと笑顔を浮かべる。
そう言われると返しに来たかいがあるというものだ。
「なら俺は帰らせてもらう。」
「何だ、ジークは忙しいのか?」
「いやそうではないが、あまり人様の宅で長居するものではないだろう?」
「もう少し待ってくれないか?さっきソーメンを貰って、何か作ろうって思ってさ。」
「シロウ、どこで貰ってきたのですか?」
袋の中の大量のソーメンを見たアルトリアの目は先程の印象とはかけ離れた光を発する。
何だろう。本当に似ている人がいた気がする。
食べ物を前にしての雰囲気はモードレッドとは異なる雰囲気だ。
「すごいだろう?一成がたくさん貰ったんで、お裾分けをして貰ったんだ」
「シロウ、流しそうめんです。流しそうめんをしましょう。私が台を蔵から探してきます!」
「流しそうめんってあれ時間がかかるだろう。」
「大丈夫です。私が見つけて組み立てますのでシロウは調理しといてください。」
ピューという擬音語が聞こえてくるような雰囲気でアルトリアは廊下を走り縁側に向かっていった。
「あ、俺は」
「みんなで食おうぜ。流しそうめんは人が多い方が賑わうだろ。」
「わかった。ならせめてなにか手伝わせてくれ。」
「そうか?じゃあ、料理は俺が作るから流し台の方を頼む。」
〜side衛宮家 縁側〜
場所は縁側に移り、ジークはつっかけを借りて縁側に出るとそこかしこに糸で骨組みを簡単に済ませた竹が散らばっていた。
「アルトリア、何か手伝おう。」
「あ、ありがとうございます。」
そう言ってアルトリアが糸でしっかりと結び直す時ジークは支える係とならせてもらった。
「客人なのに手伝わせて申し訳ない。」
「いや、気にするな、ただ何もいないのは居心地が悪いだけだ。それはそうとアルトリア。」
「何ですか?」
「流しそうめんとは何なのだ?」
「ジークは流しそうめんを知らないのですか!?」
「あぁ。」
「日本住まいなのに?」
「あ、あぁ。」
「それは人生の4分の1は損していますね。」
「そうなのか?」
「さらに、シロウの料理の味をまだ知らないジークは人生の4分の3は損していますね。」
アルトリアは胸を貼りながら断言した。
「そんなになのか?」
「私も普段から食事は人より多い方ではあり、よく食べていましたが...シロウの料理を知り私はそう感じました。」
「そんなに感じるのか。それは楽しみだな...」
それからジークは、初めてのためにアルトリアのサポートになる感じで手を出させてもらった。
こうやって、昼間から誰かと一緒になにかするのは楽しいものだ。
「そういえば、ふと気になったのだが。」
「どうしたんですか?」
「貴女と衛宮は付き合っているのか?」
突拍子もなく、変なことを聞かれたアルトリアは丈を押し倒して転んだ。
「ど、どうしたんだ?」
アルトリアはぶつけた頭を抑えながらよっこらせと立ち上がる。
「な、何ですか、きゅ、急に変な事を」
「変なことなのか?」
「えぇ、不謹慎というものです。わ、私とシロウはその‥‥」
怒っている割には答えようとしてくるあたり、性格がわかってくる。
「何だ?俺がどうかしたのか?」
と、そんな時に当の張本人が突然登場にアルトリアは余計に慌てる。
でもシロウにはそんな事がわからず首を捻った。
アルトリアは慌てて話題変換させようとわざとらしい咳払いをひとつして、
「べ、別にシロウの話なんてしていません。そんな事よりシロウ、料理の方は大丈夫なのですか?」
「あぁ、そういえばジーク。」
「どうした?」
「ジークが持っていた魚、痛まないように冷蔵庫に入れておいたから帰る時忘れないでくれよ。」
ジークはシロウに言われてはっとした。
そうだ、自分はこっちに来たのは魚を手に入れてセルジュの元に持って帰るのが目的だったのだ。
完全に頭から抜けていた。
「すまない、少し家に電話をしたいので電話を借りられないか?」
「え、携帯持ってないのか?」
ジークは自分の携帯というものを持っていない。
携帯は購入費の他にも色々な保険をかけないと不安だらけなためにセルジュに頼むのは気が引ける。
まぁ、学校に入る前までかける相手がいなかった為にあんまり自分から欲しいとも思っていなかったのだが...
「いいよ、電話は玄関付近にあるから使ってくれ。」
「感謝する。」
ジークは電話でセルジュに遅くなるというのを伝えたらセルジュは快く承諾してくれた。
そのついでに現在の詳しい説明をすると、今日持って帰ってと頼まれた魚を使ってくれと言ってくれた。
流石にそれは駄目だろうと思ったジークが断ろうとすると遠慮するなと言って...ジークはどうしたものかと考えているうちに電話を切られた。
「あの...」
ジークは9つに切られた電話を戻したら違う女性の声が聞こえた。
見ると方までたれた紫の髪の少女とその親か?と思える女性がたっていた。
両者おっとりとした雰囲気の人で、親と思える女性は少しミステリアスな感じがする。
「あの、どなたですか?」
「泥棒?」
「いや、怪しいものではない。」
「えっとじゃあ‥‥」
「桜、今日も来てくれたのか。」
「えぇ、晩御飯のお手伝いに来ました先輩。」
このやり取りこの2人は知り合いなのか?
と疑問に思うと衛宮が説明してくれた。
「ジーク、こっちは間桐桜、俺の学校の後輩だ。後ろにいるのがメデューサで桜、ライダーこっちはジーク、今日知り合ってな。」
「まぁ、そうだったんですか。よろしくお願いします、ジークさん」
「私はここら辺じゃ、ライダーと呼ばれていますのでそちらでお願いします。」
「あぁこちらこそよろしく。」
2人ともジークに軽く挨拶を交わして握手をする。
「でも、珍しいですね。先輩が男性と知り合うなんて...先輩は女子としか仲良くならないから。」
「な、桜!?何だよそれ」
「だって先輩の男友達って生徒会長と兄さんしか知らないもので...」
「いや、俺にだって他にもいるぞ!?確かに付き合いも長いのはそれぐらいかもしれないが学校にもっといるよ。」
「ふふ、すみません。さて先輩、そろそろ私も何かお手伝いします。」
「あぁ頼む。」
「あぁ、衛宮その事なんだが」
もう完全に少し食べていくから夕食に変わっていたがそれは置いておいて先程セルジュにいいと言われた食材を使わないかと言うと3人で冷凍庫の方に移動した。
因みにライダーはアルトリアの方に手伝いに行った。
冷凍庫の中を除きジークの持ってきたものを包んでいたものを外すと2人は感嘆の言葉を漏らした。
「おぉ、これは」
「わぁ、立派ですね。」
中身は鯛、しかも
「尾頭つき」
「本当にこれ使っていいのか?」
「らしい、断ろうとしているうちに電話を切られた。」
「なら使わせてもらうか。」
「あ、そうだ。桜少し買い物頼めないか?」
「えぇ、いいですけど、何を」
「これをそのまま使わせてもらうが...こんなものを藤ねぇに見せたら全部食われかねん。だから別の摘みを用意しようと思ってな。」
呆れ気味に言う衛宮に桜も似た感じになって承諾した。
「わかりました。」
「なら荷物持ちは俺がしよう、世話になり続けるのは申し訳ない、何か手伝わせてくれ。」
「えっと、」
桜から見たらジークは完全なお客という感じだった。だから手伝ってもらうのはそれは...と思いながら衛宮の方に目線を向けると衛宮は黙って頷く。
「わかりました、ならお願いします。」
2人は玄関を出て坂道を降っていく。
でも2人の間には少々沈黙により距離ができていた。
当たり前だ、今日会ったばかりの2人がすぐに親密になれるわけが無い。しかも問題はジークがそれを全く気にしない、桜の方はどうしたものかとチラチラ視線を送っているがそれすらも全く気に留めていない。
そんなジークは気が向いたのか空を見た。
空は既に日が傾き、あおさを残す空には少々黄色が入っていた。
夕日がその色だからだろう。オレンジではなく、この季節に咲く向日葵のように黄色かった。
ジークはこんな空を初めて見た。
空は何度も見ている、空に浮んでいる雲もよく見ている。
夕日もジャンヌと一緒に帰った時に何度も見ていた。
でも、ここは別格に感じた。
夕日と目線を合わせて眺められるこんな景色にジークはつい言葉を出してしまった。
「綺麗だな。」
「え?」
「こんな綺麗な空、初めて見た。」
「ええ、確かに綺麗ですね。」
渓流の流れのように優しく流れる風に当てられた髪を抑えながらジークと同じ方向を見る桜。
「でも、ジークさん初めてというのは少々大げさな気がしますよ。」
「そうか?」
2人はまた歩き出した。
「はい、ジークさんは少々ロマンチストな方なのですか?」
「う〜ん、そういう訳では無いのだが...空を見たそのまんまの感想を言っただけなんだが...」
ジークは何がそう感じさせたのか考えているのだが桜は何をそんなに真剣に悩んでいるのかがわからない。
そんな姿をジークに桜は不思議な人という印象を受けた。
「そうだ、桜は先程衛宮の事を先輩と読んでいたが何年なんだ?見たところ高校生には見えるのだが」
「はい、今年高校生になったばかりですよ。」
「そうなのか、なら俺と同じ年か。」
「へぇ~ジークさんは1年生だったのですか、でも先輩と普通に喋っていましたよね。」
「衛宮が先輩とは気がついていなくて...後で謝っておく。」
ジークが難しそうに悩んでいるのを見た桜はまた微笑んでジークに衛宮はそんなことを気にする人ではないというのを伝える。
「桜は今日衛宮と約束があったのか?」
「えっ?どうしてですか?」
「いや、やはり学校の先輩後輩が家でその人の為に...その夕食を作り共に食すというのは...」
ジークの言ったことに桜は改めてそんな風に言われると沸点が急上昇し、ぼふっと爆発するような音がした。
ジークの疑問は最もだ。
桜と衛宮は付き合っていない、それなのに男子の家に普通に上がりしかも料理の手伝いをしていくという、これは何とも新婚さんみたいな事を..多少知っている者は、衛宮やアルトリアになるとそれが普通でもジークのような赤の他人からしたら違和感だらけである。
「それはその...えっと、料理のそう!料理の勉強をです!」
「そうなのか?」
「はい!」
桜が真っ赤な顔で断言する。大抵の人間ならこれで納得はせずに妙な勘ぐりの合図である「ほぉ〜」となるところだがこれまたジークは違う、納得したのか目を大きく見開いたのだ。
「女性が習いに来るほど衛宮の手料理は美味しいのか。」
「は、はい。それはもう私に留まらず、若妻も習いに来るぐらいです。」
「それは、食事が楽しみになってきた。」
先程と違いジークの顔は明らかに興味を示していた。
それは桜の言ったことを全て鵜呑みにしたからであろう。
桜は何て純粋な子なのだと関心と驚愕を抱く。
自分の尊敬する先輩も色々子供っぽい所があるが、ここまで純粋では無い。
そんな所がまた可愛らしくまた微笑んでしまった。
でもそれにジークは気が付かなくジークは未だにその目に光をともしている。
「それなら俺も学びたいぐらいだ」
などと小言を呟いていた。
そんなたわいもない事を話していたら商店街に着いたので、桜とスーパーに入りジークは籠を持ち桜の先導のもとにあれやこれやと籠の中に入れていく。
桜は各食材をじっくりとジークにとっては何が違うかが全然わからない。
自分もセルジュに買い物を頼まれたりしていたのだが、ここまでしっかりと見たことがなかったためにもっと学んでしっかりとやれば…と申し訳なさが出てきた。
それから、スーパーでの買い物をおえると、最後に魚屋に寄れば終了だ。
魚屋には彼がいる。
「おっ、間桐の嬢ちゃんとボウズじゃないか。おいおいボウズやるなぁ届け先の女と買い物とは隅におけねぁなぁ」
うりうりと肘で胸板をぐりぐりしてくる。
「一体何の話だ。」
「ったく、このボウズはこう言った話に本当に疎いからなぁ。んで何にすんだ」
「あっ、えっと‥これ、貰えますか?」
「はいよ。」
クーフーリンは手際よく魚を袋に詰めていき袋を桜に渡すと桜は魚の代金を渡した。
~said衛宮家~
「先ぱーい、ただいま戻りました。」
時間帯も計算されたかのように空には三日月が昇っていた。
ここまで、ここに長くとどまるつもりはなかったが、でももう少しここにいたい。
流しそうめんこうやって竹で器材を組み立てて、成程ホースの水を上流として流していくからそうめんを食べる面白い組み合わせだと思った。
立派な竹のそうめんを流す機械、アルトリアとメデューサは食器やそうめんのトッピングの具材などを運び込んでいた。
ハムや玉子ネギ等、結構多数なトッピング、それに台に置かれた麦茶やお酒も結構…お酒、酒!
まさか、衛宮達がお酒を‥「やっほ―――――シロ―――――!!」
廊下から急に声が響きながら飛んできた。
「おぉ、君が士郎の言っていた客人か私は士郎のお姉さん兼保護者でもある藤村大河よろしくねぇ、」
「あぁ、ジークだ。」
「そう、いや〜士郎の新しい友達は私も大歓迎だよ。さ今日は遠慮なく食べて言ってくれ。」
藤村大河と名乗る女性に方を掴まれ、らんらんと言う言葉が出そうなリズムであるジークは回された。
「藤ねぇ何してんだよ、もう酔ってんのか?」
「酔ってませ〜ん。」
衛宮に指摘された藤村さんは流れるようにジークを離して(投げて)缶であるビールに手を伸ばし慣れた手つきでビールを開けた。
「ごめんな、藤ねぇ悪い人じゃないんだけど絡みがちょっと...」
「いや、気にしていないから大丈夫だ。」
「藤ねぇあれでうちの学校の教師なんだけど‥‥」
「そうなのか?」
「やっぱり見えないか?」
「俺の見た教師というのが少ないからかもしれないが、あの様には振舞わないがな」
「まぁ、ユグドだと軽い教師はいないよな。」
呆れついでにはははと乾いた声をこぼす衛宮。
そんなことを話していると藤村さんはこちらの会話が聞こえているようなタイミングで声だけ反応してきた。
「ん?なんか今士郎に悪口を言われた気がしたんだけど?」
藤村さんはジト目で衛宮を見る。
「気のせい、気のせい。」
と逃げるように衛宮は麺とそれからあれを取りに行った。
ジークもそれについて行く。
「何か俺も持つよ。」
「そうか?ならそうめん頼む。藤ねぇ当たりに渡せば勝手に、いやライダーに頼むは...藤ねぇは絶対流してすぐに取ろうとするからな。」
教師として..と言うより大人としてそれはいいのか?という疑問を持ったジーク。
彼女に対してそこまでの信頼がないのかと若干呆れかけていると
「いや、そうじゃないんだ。藤ねぇはなんていうか、昔から知っていて長い付き合いだからこそ良くわかるんだよ。勿論、信頼する人の名前出すなら藤ねぇは家族みたいなもんだから」
「そうなのか..長い付き合いだからこそ...か。」
「ジークにはいないのか?そんな相手」
あぁ、自分にはそんな相手がいない。
「そっか、俺も藤ねぇを家族と思っているのは、俺は血縁関係の人を知らないんだ。」
「えっ?」
ジークは衛宮が話始めようとしていた冒頭を聞いて足を止めた。
「ここの家主は片方が海外で仕事をやっているからもう1人もそれについて行っているんだが、その2人に俺は拾われた。んで、最初拾ってくれた時には2人の間に子供もいてさ...皆良くしてくれたんだがやっぱりそういうやつってさ、肩身が狭かったりするだろ。んで、俺にも何か出来ることがないか探して料理を練習したんだ。まぁ最初は目も当てられない感じだったけどな。」
はは、と苦笑する衛宮にジークは目線をしたにする。
何かいたたまれない気持ちになったからだ。
衛宮はその家に恩を返すように努力をした。でも自分はどうだ?
勝手に色んなことに覚めて、セルジュにどれだけ心配をさせてしまったことか?
「すご‥「でも、あんまり意味なかったんだよな。」」
思わず目を見開いてしまう。
それは、喜ばれなかったのか..衛宮は家族の為になろうと努力をしたのに...それは...
だが衛宮の口元は少し緩んでいた。
それはもう懐かしの思い出の中の熱を真に受けたかのように
「役に立とうとした事に喜んだんじゃなくてさ、母さんはできた失敗作を本当に楽しそうに食べたんだよ。普通に味が濃すぎる~とか唸りながらがっついていたのを思い出すな~。……つまりだな、ジーク別に焦らなくていいんだぞ。お前のお世話になっている人もさお前の最近会った出来事を晩御飯で話してやれば、多分満足そうにきてくれそうだぞ。」
士郎の言っていたことは何となくわかる気がする。
そうだ、あの時からセルジュはジャンヌとであいジャンヌと何かあったとか友達ができたことを話した時...その時をよく笑って聞いてくれた。
今まで自分が塞ぎ込んでいたのを知っているセルジュはジークが外の事で目を回している事がとても嬉しいんだ。
何気ない事かもしれないが何気ない事を何となく出来始めているジーク、まだ不安があるがそれも彼にしてみれば結果に至る前のことが聞きたいのだ。
「そうだな、今日もきっと面白い話になるだろう。帰ったら聞いてもらうか。」
「あぁ。」
本当に今日はいい1日になる気がして仕方が無い。
メデューサが大量の麺を流し始めるとアルトリアと藤村の2人対決となっていた。
桜当たりもどうにか手に入れようと
「ふふ、桜ちゃんその程度じゃ麺を食すなんて10年早いみよ~鍛え抜かれた我が奥義を...あれ?」
「タイガこそ、油断は禁物です。世界共通食卓は戦場一時の油断が致命を与えるものです。」
「ライダー...変わろうか、ライダーも食べたいだろ?」
「いえ、大丈夫です。それよりも士郎早くしないとなくなりますよ。」
麺はあと1つしかない。
あれだけあった麺は殆ど2人の胃袋に入ってしまった。
因みにジークは2人の争いにて被弾してきた麺を見事キャッチして1杯だけ食べられた。
そしてそうめん最後の締めにセルジュの許可の元頂ける事となったあれがある。
「おぉ、尾頭つき」
藤村とアルトリアはまた目を輝かせる。
「ん?シロウ隣のこれは白米と...」
「出汁だよ。刺身として食べるもよし、完全なシメとして茶漬けにするのもいい。」
そしてこれを機にまた争奪戦が勃発したのは言うまでもない。
ジークは熱々のだしを入れた鯛茶漬けを食べながら衛宮の横に座る。
「衛宮。」
「ん?どうしたんだ?」
「その...俺と.....いや何でもない。」
「何だよ、気になるじゃんか。」
「な、何でもない。」
縁側で2人並んで話しているのを桜達はじっと見ていた。
「ねぇねぇ桜ちゃん。私士郎が男人話しているのを初めて見たかも」
「えぇ、先輩会長さんとかとも話していますよ。」
「いやでもさ、士郎が家に男友達連れてきたことってないじゃーん。」
「そんなことは.....」
「シロウはよく女性を招いて家で料理をしていますからね。」
「おい聞こえてるいぞ!?何ださっきから俺だって普通に友達はいるしそんな誤解のある言い方をしないでくれ!!」
「俗に言う女たらしですね。」
「ぐわ...ライダーの何気ない一言が1番ダメージに来る」
さてそろそろ今日の宴もお開きにさせてもらおう。
ジークは食べ終わるとアルトリア達とそうめんの機材を分解して直す手伝いを済ませると、帰ることとなった。
藤村達から『また来て』と挨拶を入れられ衛宮がそこまで送って行くこととなった。
「今日は本当に楽しかった。夏休み最初の思い出として俺の中から一生消えないものとなるだろう。」
「大袈裟だな。」
「そうか?」
「壮大すぎる。」
「...衛宮、やはり言わないと後悔する気がする。」
また改まってジークは何かを宣言しようとする。
「その...俺と友達になってほしい。こういう誘い方をするか正直わからないが俺は君とはもっと色々...すまない何か言葉にしにくい。」
照れくさそうに頬を書くジークに衛宮は背中を思いっきり叩く。
「!?」
「また食いに来いよ。」
「あぁ」
ジークは何だか清々しい気分で自分の町へと戻って行った。
少々、冬木の地形がうろ覚えなのでそこは勘弁してください。