Fate Apocrypha学園 作:ただの名のないジャンプファン
〜sideジャンヌ〜
私は今日知り合ったジーク君と共にジャンプを読んでいた。時間を忘れるぐらい長い時間ジーク君は飽きもせず私の話を一生懸命聞いて真剣な眼差しでジャンプに向き合っていた。
「でこれが...あれ」
だがそんな時間を思い出させ2人の世界から呼び戻したのは雨だった。いつの間にか雲が空を覆い傾き山にかけれかけていた太陽も太陽と交代して夜空を照らす月も隠れていた。
これはヤバイ、昼間とは全く違い夜空を見上げても雲が覆って見ることが出来ない。まだ梅雨を抜けきっていなかったようだ。
ジャンヌとジークは子供たちが遊ぶ遊具の中で雨を凌ぐがこれは中々やみそうにない。
冬と違い寒いと感じさせる寒さはないが、雨のせいか隙間から入ってくる風が肌寒さを感じさせる、
「やみそうにありませんね。どうしましょう。」
「...ジャンヌ、もしよければ俺の住んでる所に来ないか。家はここから近くなんだ。ここにいるよりはまだマシだろう。家なら傘もある。それがあるなら貴方も帰れるはずだ。」
確かに傘を借りられれば帰ることは可能だ。
「どれぐらいなのですか?」
自分はジークの家がどこにあるのかわからない。
距離によっては近くのコンビニで傘を買って帰る方がいい。自分で走って帰るというのは無理だ。ジャンヌは自分の趣味を隠すために学校から
「走ったら3分もない。」
なら行ってみてもいいだろう。それに少し興味もある。彼がどんな生活をしているのか...とか、でも急に来客何て来たら家の人は困るだろう。
「家には」
「お爺さんが1人...」
「お爺さん?」
親はいないのか、それとも離れたところにてこの学校に通うためにわざわざ預かってもらっているのか...色々考えていたジャンヌに「どうした?」と声をかけられ慌てて「問題ありません」と伝えて
「その、ご迷惑かけるかも。」
「多分気にしないと思う。心の広い人だから..」
気にしなくていいとジークは言った。肉親の為か彼はだいぶその人に信頼をしているのだろう。
ジャンヌもここはお言葉に甘えさせてもらう事にして家に寄らせてもらうことにした。
確かにジークが言っていたとおりに家は近く、公園を出て過度を曲がりもう一度曲がった先にある。少し年季を感じる趣のある中々の家だ。
「ただいま。」
中に入ると、香ばしい匂いと気持ちの良いクラッシックが気持ちを落ち着かせる。
「おぉ、おかえりジーク。濡れなかったか。そこの子は友達か?」
家に入り、玄関で迎えてくれたのは少し黒ずんだ肌が目立つ一介のご老人。
「ただいま、お爺さん。彼女は俺のクラスメートという奴だ。名前はジャンヌ」
ジークからの紹介されてジャンヌは礼儀正しくお辞儀をするとセルジュもまたほっこりする笑顔でお辞儀を返した。
「ジャンヌ・ダルクです。彼とは学校でクラスが一緒になり席も隣で...その」
「あぁ宜しく、わしの名はセルジュ。それはそうとジーク、お前さん『自分に友達なんて出来るのだろうか』何て言っていたのに初日から出来ておるではないか、それもこんなに可愛いお嬢さんを」
と冗談を交えた言葉にジャンヌはまた心を乱してしまい慌てて否定する。
「そんな、可愛いなんて..私はその」
ぷしゅ〜と頭から煙を出し、手を思いっきり振りながら照れ隠しで否定している。そんなさなかジークはまたジャンヌの頭を悩ませることを言った。
「何を言ってる。俺とジャンヌは...友達なのか?」
ジャンヌはここでグサリと矢が突き刺さるような感覚を初めて体験した。こちらはこちらでだいぶ傷つくことを言ってくる。今日一日でジャンヌのスタミナはもう1週間分消費した気持ちだ。
「ジーク君!ジーク君は私を友達と思ってなかったのですか!?酷いです!!あんなにいっぱい喋っていたのに、さっきもその.....それなのにジーク君は私のことを友達と思ってなかっのですか!?」
激しい剣幕で怒られるジークは壁にまで追いやられた。そこからどう返せば良いかわからずにジークは些か不安定に言葉を紡ぎながらこう言った。
「それは..そのすまない。ただ‥そんな簡単に貴女の友達になって良いのかわからなくて..友達でいいのなら友達にしてくれ」
「ジーク君、ジーク君は深く考えすぎる傾向にあります。確かに軽く考え過ぎるのは良くないことですが、それでも深く考えすぎるのは体に要らない負担をかけます。
いいですか!友情というのは同じ肩を並べたらそこには友情が芽生えるのです。友情が発足するのに」
流石にジャンプファンなだけある。友情について説明しているとセルジュがほほほと笑っているので、また照れ隠しの為に無理やり話題を切る。
この家族にジャンヌは物凄い振り回される。
「と、とにかく、私はジーク君の友達です。わかりましたか?」
そう断言するとジークは嬉しそうに笑った、そんなジークを見るとジャンヌもまた気づかれないように嬉しそうにした。何故なら今日一日ずっといた感覚ではあったもののたのしそうに、そして嬉しそうにしたのはまだ見たことがなかったからだ。それを自分が友達と断言したらこうも嬉しそうにしたのだ。言ったかいがあった。
「さぁ、お前さん達中に入れ、そこじゃ冷えるだろう。ジークよお前さんの部屋に案内してやれ。お前さんの部屋ならちょうどよかろう。タオルはそこに置いてある持っていけ」
と洗濯カゴに入っていたタオルを一つジークは持っていく。洗濯カゴに入って履いたもののもう乾いているようで、タオル本来の柔らかさと暖かさを取り戻していた。セルジュは後で、暖かい飲み物でも持っていくと言ってくれた。
「優しいお爺さんなのですね。」
「あぁ、本当に助かっている。」
ジークも肯定する。ジークの部屋は階段を上がりすぐのところ、中は家具が最低限あるだけであとは何も無かった。部屋はちゃんと清潔にしてるらしくあまりホコリなども無く、ただ年季ものの家だから黒ずんだところはある。ジークは座布団をジャンヌの方に置きタオルを渡す。ジャンヌも渡してもらったタオルで髪などを拭き肩にかける。
「ありがとうございます。」
ジークは部屋から出て飲み物をとってくると言って出ていき、一人となったジャンヌは部屋の中を見渡した。
綺麗で常に清掃されてるこの部屋、入った時から違和感がある。
それはものが無さすぎる事だ、いくら物欲が無くても少し日常必需品以外のものはあるはずだ。ジークは年頃の男子である少し気が引けるところもあるが部屋の中を見て机の引き出しを見るとそこにあったのは、文字の練習した紙だ。漢字、ひらがなカタカナ、英語に数字の計算式
「これは..最近書かれたものですね。」
紙の状態からまだ書かれて一年もたってないのがわかった。でも筆のレベルは後々綺麗になってはいたが最初は書きなれない小学生が書いたような筆跡だった。
何故この時期に字の練習をしたのか、数学の計算式も連立方程式や関数のグラフ程度なら分かるがこの足し算や引き算をここまでやり込むのは不自然だ。よくよくその箱の中を見るとワークやちょっとした参考書そして小学生が使う小学生ようの漢字ドリルなどが見つかった。これもまた書き込んだ形跡に消してまた書き込んだ形跡もある。
ジークの唯一の私物である勉強道具を見ていると、床が軋む音がしてくる。多分ジークが戻ってくる音だ、これをそのままにしておくのはジークに悪い。自分の都合で彼のプライベートを勝手に調べられるのは不快感を煽る。
私はすぐにこれらを戻し元の場所に直して用意してくれた座布団に座る。
「ジャンヌ、ココアを持ってきたのだが...飲めるか」
「あ、ありがとうございます。はい、ココアは大好物なので...」
ジークはココアをジャンヌに手渡しして、ジャンヌはその温かみを感じながら飲む。
ジャンヌはそのココアを飲みながらジークに尋ねた。
「ジーク君。聞いてよろしいでしょうか?」
「何をだ。」
特に質問されて困ることはないだろうと思いながらジャンヌの質問に答える姿勢を見せるジーク。
ジャンヌはいちばん聞きたいことを遠回しでジークに質問してみた。単刀直入に聞いても良いのだがそれは何かと気が引ける。直球に聞きすぎて触れなければいいところにも触れてしまいそうだからだ。
「ジーク君はもしかして遠いところから来たのですか?」
「何故そう思う?」
「私もフランスからの留学生なので似た所があったものですから。」
半分嘘で半分は本当だ。フランスから来たのは本当なのだが特に日本に来て困ったことは無かった。ステイ先も決まっていたし元々日本の文化には興味があったからだ。
ステイ先の人とは何かと一悶着はあったが日本での苦労は寧ろ充実の証として感じている。
「残念ながらそういうものでは無い。ここの血縁者ではないが縁があり預かってもらっている。彼は俺の事を本当の孫の様に優しくしてくれる。」
「そうですか、、」
ならあの練習は何なのだろう。まだ嘘をついている可能性はあるが、ジークを見る限り嘘をついている様には見えないし、そもそも嘘をつく理由がない。ならその他の理由..があるはずだ。
でもこれ以上の詮索する事でもないのだろう。若しかしたら、ここの家の人の実子が居て、その人のものかもしれない。.........ともかく今ここで深く掘り下げるべきことでもない。丁度ココアを飲み終えたので話題は変えジャンヌは窓の外を見てやみそうのない曇天を見ている。
「やみそうにないな」
「そうですね。」
ジークも同じで窓の外から雨の様子を見ていた。それとジークは時計も見てもうだいぶ遅い事に気づく。こんなに遅ければ家の人も心配するだろう。
「ジャンヌ、今日はもう遅い。傘を貸すから帰ったほうがいい。」
話を切り出したジークの意見にジャンヌも肯定する。曇天でも夏の為に、微かにもれる光が雲を薄く見せている。
でも時計は正直に時間を示している。
流石に帰らないと家に帰る時間はもっと遅くなるであろう。
「俺は先に降りて傘の用意をしておく、支度ができたら降りてきてくれ。」
と言いジークは先に部屋を出る。ジャンヌも座布団を邪魔にならない所に置いて部屋を出た。
出たらすぐにセルジュさんに呼び止められる。何か用かと聞くと、セルジュはジークがいないことを確認して、少し重いプレッシャーが二人の空気を張り詰める。
「ジャンヌと言ったな。貴女の人柄を信じてお話したいことがある。」
「何でしょう。」
ジャンヌは聞く姿勢を示してセルジュに向き合う。
〜said帰り道〜
セルジュの家を出たジャンヌはジークに傘を貸してもらいって帰路に立つ。
こんな夜分だ。女性独りは何かと心配事がある為にジークができるだけ送ることとなり、ジークも同伴している。
2人の間は何故か距離が少し離れ沈黙が支配している。昼間はよく話していた2人だが今は何やら重苦しい雰囲気に息が詰まりそうだ。原因はどうやらジャンヌにあるようだ。ジャンヌの沈んだ顔をしているためにジークも話しかけられないのだ。
「なぁ、ジャンヌ。」
話しかけても答えない。一体何が原因なのかも聞けないでいる。だがもしこれが自分の粗相ジャンヌにこんな顔をさせてしまったのなら謝罪をしなければいけないと思う。
今日何度も自分を助けてくれた恩人であり、その友達なのだから。
その為にジークは最終手段をとった。一応先にジャンヌに声をかけてジークはジャンヌの肩を強引に揺らした。これならどんな上の空の人でも意識がある限り反応してくれるだろう。
「ジャンヌ!」
ジークはジャンヌに気付いてもらうために、わざと少し声を荒らげ名前を呼ぶ
ここでやっと自分が呼ばれているのだと気付いたジャンヌは慌てて「何でしょう?」と反応した。
「ずっと声をかけていたのだが..やはり聞こえてなかったのか。」
「え!?そうだったのですか...すいません。」
驚愕の表情を見せるジャンヌにジークは「そこは構わない」と伝える。
「大丈夫か、家を出てからずっと何か考え事をしていたようだが」
「えぇ、」
言葉に詰まりながら俯くジャンヌにジークは自分が何かやってしまったのかと思い謝罪をする。
「すまない、俺が貴女に何かをしてしまったのなら謝るだからそんな顔をしないでくれ。」
頭を下げるジークにジャンヌは全力で否定する。確かにジークの事で悩んでいたのは間違いない。でもそれは謝るべきことではない。寧ろこちらが頭を下げたい気分である。
「そんなジーク君は悪くはありません。わたしもそのような事をされた覚えはないです。だから顔を上げてください。」
人が少ない小道とはいえこんな所で頭を下げさせる何て、しかも彼に不備はない。彼の過去を聞かされたら彼に頭を下げないといけないことなんて何も無い。
「すいませんジーク君、聞きたいこと...あるのですが」
聞いていいのか、聞いたところで自分がなにかして挙げれるかもわからない。
でもセルジュさんは私なら彼を救えると言ってくれた。そんな大きい期待をされても応えられるかわからない。でも神に誓って私は彼の力になれるのなら全力を尽くしたい。
「ジーク君..貴方にはなんの記憶もないというのは本当でしょうか。」
〜Sideセルジュの家〜
家から出る少し前にセルジュに呼び止められたジャンヌ、何のようか聞くと何やら重たい空気が二人の空間を重くのりかかる。
「貴方に話したいことがあるのです。」
改まって何を聞かさせるのか..大体察しがつく。
「ジーク君のことですか?」
多分彼の事だろう。ジャンヌは眉をひそめながらセルジュに聞く。
セルジュは黙って頷く。
ジャンヌも聞く姿勢を取り直してセルジュに向き直す。
「さて...話すと決断したはいいが何からどう話せば良いか...」
「彼の部屋には字の練習した後がありました。あれば何なのですか?今から話すことはそれに関係があるのですか...?」
「なるほど...これなら単刀直入に言った方が早いな。彼には記憶が無いのだよ。」
セルジュの言葉にジャンヌは反応が遅れる。セルジュはそれでも続けた。
「彼を預かったのは半年前のあの火災事件...」
セルジュの言う半年前の火災とは隣町である冬木市に起きた大火災の事だ。死傷者多数でそれは近くの街をも飲み込む炎の波が人を襲い、人々の心に恐怖を焼き込む、最近あった災害である。
ジャンヌもその時には日本にいたのでそれを遠目で見ることがあったがあれは悪魔が命を欲するように人を焼いているように見えた。
「彼はその事件の被害者なのですか...」
ジャンヌは唾を飲み込みながら恐る恐るセルジュに聞くとセルジュはそれを分からないと言いながら首を横に振る。
「その日、その火災が起きていた時にある男が私の前に現れた。その男は必死に私にジークを助けてくれと懇願してきおってな、彼の懸命な言葉に私は負け彼を預かった。」
年老いた自分の脳でも彼との出会いは鮮明に覚えている。彼の熱い思いとは裏腹に悲しみも含むように見える彼の心を映し出した言葉の一つ一つはセルジュの耳を通して心に刻み込んでくるのだ。それは今聞いてるジャンヌにも伝わる。
「それから程なくしてジークは目覚めた。だがその時気づいたのだ。彼は酷い記憶障害を起こしているということをな。とてつもない恐怖を体験したものは精神を守るために事件前を忘れる事はあるのだが、ジークは言葉すらも分からなくなっていてた。ワシは言葉を教え、幸いあいつは頭の回転がよく物分りも良くてな...三ヶ月もしたら中学生位のことならすぐに覚えてくれた。」
ジークはよく出来た人間であったと話してくれる。気遣いができ、優しく、物覚えも良い。自分にこんな孫がいてくれたらと感じるぐらいに...と話してくれた。
「セルジュさん、何で私にその事を話してくれるのでしょうか?」
確信をつくジャンヌの質問、何故赤の他人とも言えるジャンヌにそのような大事な事を話してくれるのか
「お前さんのような人を探していたのだ。ジークがワシといた期間あやつは思い悩むことはあっても笑う事はなかった。あやつの心の問題をワシじゃどうする事も出来ん、だからこそ同年代が集まる学校へと通わせた。あの高校は前から縁があっての、学力さえ問題無ければ通常の生徒として通わせてくれた。.....ほほほ、ワシの思った通りあやつの心を救う人間はワシの様な一回の年寄より同年代の友達だったというわけじゃな。」
皮肉じゃない。セルジュは本当に嬉しそうに話してくれた。ジークが笑ってくれて、ジークが楽しくしてくれることがセルジュにとって本当に何よりなのだろう。...でもジャンヌは思う。こんなに思ってるセルジュの思いを自分は叶えて挙げられるのかを...
ジャンヌは自分の胸の鼓動が早くなってるのがわかる。ちの流れが速いのか体温が何十度にも跳ね上がったように思えてくる。
高鳴る鼓動を押さえ込み、流れる冷や汗を拭うジャンヌはジークの言葉を待った。
「あぁその事を知っていたのか。お爺さんに聞いたのか?」
呆気絡んとと答えたジークにジャンヌは力みすぎた力が思いっきり空回りしてしまいズッコケかけてしまう。
「その事って、その事で済むほど軽い問題じゃないと思いますよ!」
ジークの物言い、周りは物凄く心配しているのに本人は軽視してるかもしれない事にジャンヌは少し険しい表情になる。
「すまない、気を悪くしたなら謝る。ただ、軽い.重いも俺の中にはわからない。俺はそれすら、その感覚すら覚えてないのだから、もしかしたら自分はとてつもない恐怖を体験したかもしれない。大事な人を失っていたかもしれない。それでも俺の中には何も無い。」
淡々と無表情で続けるジーク..
ジークにとっては軽視と重視何て次元の話では無かったのだ。
「苦しく無かったのですか、寂しいとは思わなかったのですか?」
「何を体験したら苦しいと感じるのかも、何が寂しいと感じさせるのか、それもわからないんだ。...」
「 ある時一度、俺はいない方がいいのではと考えた。俺は必要ではない、寧ろ俺があの家に居候として預けてもらってること自体お爺さんの負担を多くしている。」
バランスよく取れていた世界に入り込んだ異物それを自分だと思っていた時それがジークにはあった。
何かわからない感覚が、何かわからないものが目から溢れ出ていたと言う。身体中がズキンズキンと疼いてきていた。心中がモヤモヤした霧みたいなのが心を覆うような感じしてくる。
ただ、そんな時ふと耳に囁かれたような気がした。
「何も無い記憶にある言葉だけ覚えていた。」
沈む顔浮かびあがらせる一言、それがジークにはあった。例え記憶がなくとも、ジークの奥底にひそかにひっそりと存在していた。
「.....その言葉とは」
「『誰からも焦がれることをなくとも、幾千の人がお前を望まなくとも、俺はお前に生きといてほしい。』誰に言われたかも、いつ聞いたかも、最初は意味すらわからなかった。お爺さんに言葉を教えてもらい俺はこの言葉の意味を知ると何故か胸の当たりが熱くなってくる。同時に意味を聞くとうっすらだが何かわからない者がこみ上げてくる。」
胸を抑え沸々と上がる熱を感じるジーク、ジャンヌはそのジークを見続ける。
ジャンヌもまた近くにいるだけで彼の思いの熱が伝わってきてる気がしてくる。その熱を感じると何故か、いや彼の今してる表情が自分の心に影響を与えて私にも感じているのだと思った。
この喉をくすぐるような喜びととお腹の辺りからこみ上げてくるちょっとした悲しみが...
「俺はこの言葉を信じ生きてみた。でも、誰が言ったかもわからない言葉。お爺さんもその人は確かにいると言ってくれたが.....それでも..それでも脚の力が抜け立ってられなくなるこの感覚は俺の足元から離れなかった。」
今でも思う。自分がこの世界に必要ないと考えた時に体の全て力が抜けて立つことが出来なくなるあの感覚を思い出すと肩が震える上がる程切なく、体にまとわりつく、この時ジークはこれが絶望するということがわかった。
「だからこそ、今日俺に向かって言ってくれたあの言葉、あの言葉は本当に嬉しかった。」
「あの言葉...?」
間を開けてジークがたまに見せる喜びの表情を見せてあの言葉をジャンヌに言う。
「ジャンヌは俺を友達と言ってくれた。」
「!?」
特に意識なく言ったただの言葉。自分は彼をそうだと思いそう言っただけの言葉、このご時世では安売りされるぐらい儚く意味をあまり持たない言葉...
「この言葉が、俺にあの言葉の真の意味を証明してくれた。貴方は望んでくれるのだろう。俺を」
少し後悔する。自分はそこまで深い意味で言っていないのだ。ただ話した、ただご飯を食べた当たり前の日常をたった1日過ごしたから、これからも続けるからそう言っただけなのだ。
「そんな深い意味で私は言えません。私はそこまでの人ではないのです。100%貴方の為を思い言葉を与え、貴方に生きる事を望んだその人と同じなんて...いれるわけがありません。私に貴方が失った15年間を埋めるなんて.....」
ジークは驚きジャンヌは自虐する。
自分は何て無力なのか、幾百の言葉を発せても彼の何倍もの知識を有していても、彼を救えるなんて断言ができない。
それでも彼を知ると自分の胸が張り裂けそうになる。
彼を思うと何かが喉にぐっときて息をする前に言葉が飛び出しそうになる。
彼を見てると自分心から溢れ出す涙にジャンヌは負けてしまいそうになる。
同情しかできない自分の無力さが恨めしい。
「...貴方の事を思うと涙を抑えないと溢れ出てしまうぐらい弱い存在なのです。神に貴方の事を頼まないと何もできない無力な存在なのです。それでも貴方の事を見捨てる何てできない中途半端な人間なのです。そんな人が力になれるかもわからない...」
ジークはふっと笑を零して安堵の表示でジャンヌに応える。
「それでも、俺は今日感じた感覚をまた味わいたい。貴女とならまた味わえると思う。胸がざわつき、気分が高まり、心が踊るこの時間が終わらなければいいと思えたあの感覚を...」
するとジークは黙って手を差し出す。そんなの関係ない。それでも自分は貴女といたい。そんな気持ちが前面に出たジークの行動。
ジャンヌは迷っている。軽い気持ちでは受け取れない、どんな事を言われても半端な覚悟で物事に入られない、それがジャンヌの性分なのだから。
「私は不器用で無力です。それでも貴方が救いを求めなくてもこんなことを知ってしまったら、私は貴方を助けようとします。そんな私でもいいのなら私は貴方の友達として貴方のこれからを笑って過ごせる様に...もし辛い体験を思いだしたとしても、それに挫けないでいられるそんな貴方になれる様に私は最善を尽くします。
神に誓って」
ジャンヌはにっこりと微笑みながらジークの手を取る。
「あぁ、ありがとう。そしてこれからもよろしく。」
・・・・続く
ではまた次回。