Fate Apocrypha学園   作:ただの名のないジャンプファン

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すいません!先週更新出来ずに...言い訳くさいですがその色々ありまして、いや本当に今度からできるだけ更新させてもらいます。


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とある休日、特に何もすることのなかったジークは近所を散歩していた。

特に予定もなく違う道を歩いて自分の中の地図を広げようと歩き、夏の日差しを浴びていた。そしたら違う道で知らぬ公園に出たのでそこでまったりと休憩していた。

そんな中、

 

「大丈夫?もう少ししたら助けてあげられるからね。」

 

聞き覚えのある少し高めのしっかりとした声、学校にいると何処でも聞こえるぐらい透き通った声を間違えるはずがない。

まさか休日にも聞くとは‥そんな事を思いながらジークはその声の方を見ると視線の先には何か困っている様子のクラスメイトの姿があった。

そこでジークはそちらの方に駆け寄る。

 

「何か困り事か?アストルフォ。」

 

桃色の髪で私服もどちらかと言うと女の人が着る様な服を着ていたクラスメイトのアストルフォ。

 

「ん?あぁ!ああ!いい所にいたよ、転校生。ねぇ手を貸してよ。今、とても困っているんだよ〜」

 

と急に近づいてきてせがまれた。

 

「あ、あぁ」

 

そう答えるとアストルフォは屈みジークの股に頭を入れる。要は肩車だ。アストルフォは軽々とジークを持ち上げた。

見かけによらず彼は結構力があるのだろうか?

何をすればいいのか教えられずに持ち上げられたジークは何をすればいいのか分からずアストルフォの肩の上であたふたする。

 

「お、おい急に持ち上げないでくれないか。」

 

「ちょ、暴れないでよ!首元が擦れてこしょばいよ〜」

 

それでも少しぐらつく程度で足はしっかりと地に付いていた。

 

「で、何をすればいいんだ?」

 

「にゃ〜」

 

ふと、木の上から猫の声が聞こえた。少し上に子猫が降りられないのか枝に乗って丸まっていた。

 

「わかった〜?その子が木から降りられなくなったかもしれないんだ。」

 

「わかった。とりあえずもう少し木の方に寄ってくれ」

 

「了解した!」

 

勢いよくジークに答えるアストルフォは木の方にできるだけよりジーク子猫の方に手を伸ばす。

 

「さぁ、もう‥.痛っ!?」

 

だがその救いの手を拒否するように引っ掻き子猫は立ち上がりジークの頭に乗りそこからジャンプしてアストルフォの肩に乗り地面へと降りた。

流石猫降りるのは得意らしい‥と言うか、ジークとアストルフォは子猫の踏み台代わりにされた。

 

「あぁ~自分で降りられたのか〜いらない心配だったみたいだね。」

 

とアストルフォはまたしゃがんでジークを下ろした。

開放されたジークは無意識にアストルフォに見られない様に傷を少し見た。

傷はそこまで深くはないものの少し気になるので帰って消毒しようと考えた。

だがその行動の一部始終を覗き込んで見ていたアストルフォは、

 

「ん?どうしたの?って、大丈夫その傷!!さっきの猫に引っ掻かれたの!?」

 

「あ、あぁ。」

 

ジークは怪我した場所を見られてしまいアストルフォは、

 

「で、転校生は今日、暇なの。」

 

急にそんなことを聞かれジークは咄嗟にうんと言った。

アストルフォはそれならとジークの手を引き、

 

「それならさ、僕んちに来て消毒してあげるからさ。」

 

ウインクするアストルフォは、いいからいいからと半ば強引に腕を引っ張って自分の家にジークを連れていった。

 

 

 

アストルフォの家はここから少し離れた場所にあり、家に対してガレージが異様に大きく車3台分は余裕で入れるぐらい大きかった。

 

「ちょっとそこで待っててね。」

 

アストルフォにリビングに案内された。

リビングはお世辞にも綺麗とはいえず、片付けられてない食器や捨て忘れたゴミを纏めた袋などが散開していた。

そういったものを避けながら椅子に座るジーク。

ジークの座った椅子何か妙な違和感を覚える。

特に見た目に学校や家にある木の感触を感じさてくれる椅子とは違い少しひんやりと冷たい感触を背中に感じさせる。

しかも4つ脚ではなくクルクルと回転させてくれるタイプの椅子だ。勉強机にセットされて展示させられている他のタイプの椅子だ。

 

「珍しい..な。」

 

「おっまたっせー!ちょ転校生それに座らない方がいいよ!!」

 

「えっ?」

 

笑顔で戻ってきたアストルフォが急に驚いて警告した。

急にそのようなことを言われたジークは咄嗟に立ち上がる。

すると立ち上がった勢いのせいかそれだけで支えていた部分がポッキリと折れてズシンと重たい衝撃と音がリビングに鳴る。

 

「あぁ、危なかったねぇ。あれ廃材を作って適当に作った椅子だったからそろそろ寿命が来そうだったんだ。」

 

「危ないな。こういうのがあるのなのがあるなら先に言ってくれ。」

 

「いや〜。ごめんごめん言うの忘れてたよ。だいじょ〜ぶ?」

 

いつもより少し表情を歪めて苦笑するアストルフォ。

 

「まぁギリギリ大丈夫だ。」

 

少し冷汗を流したジークは瓦解した椅子から離れる。妙な重低音が未だに頭の中に残っている。

 

「危なかったね〜、あれ鉄の廃材で作った奴だったからもしかしたら大怪我していたかも...」

 

全く笑えない事ボソボソと呟くアストルフォにジークもあまりしない表情を浮かべている。

でもそんな事をあまり気にしないアストルフォは大丈夫だった現実だけを受け止めて元気に手に持っている救急箱を上にあげ

 

「じゃあ、散らかっているここより僕の部屋でやろう。」

 

高らかに叫ぶアストルフォはジークを部屋に案内した。

アストルフォの部屋は階段を上がってすぐのところにあった。

しかもだいぶ目立つ、部屋を自分で改造したんだろう..それも1度や2度ではなく、刺さっていないネジの跡やペンキの色なの剥がれた部分ところどころにあるために目に入る。

だからこそわかる、この部屋物凄く凝っている。

ドアの色付けから始まり、ネームプレートもまたピンクに似合う丸まった子猫であり最後にドアノブもハート型であった。

 

「凄いな。」

 

「はは、これぐらいで驚くのは早すぎるよ。そんなんじゃ僕の部屋見たら腰を抜かすんじゃない?」

 

面白そうに告げてアストルフォはドアノブを引く。上手くジークの興味をそそるアストルフォの言い方に乗せられたジークは無意識にドキドキしながらアストルフォの部屋を見た。

 

アストルフォの部屋は‥‥ピンク1色!‥だった‥‥。

色合いがじゃない方‥‥雰囲気が、部屋の雰囲気桃色の何かを目に錯覚させる。

ハート型の絨毯から始まり化粧台、乙女チックなカーテン付きのベッドの上に並ぶ熊や猫という愛らしい姿の人形達。

クローゼットの中にあるのも自分じゃ着るのに勇気と何かを捨てなければ身につけることが出来ない感じの服がズラリと並び.......あれ、あの何か地味にはみ出ているあのほっそりと隙間からタラリと出ているフック‥その先にある手のひらにすっぽり収まりそうな丸い独特なフォームは前に服屋のチラシに載っていたブラジャー‥通称ブラ...いやそんな訳ないセルジュに用途を聞いたが男であるアストルフォが使う必要ない。

だって無いはずだ。女性の胸板にそびえる山は女性だけのもの男性であるアストルフォは平らな台地なはずだ。きっと親のが紛れているだけだろう。

 

「あれ?どうしたの?」

 

「いや、何も見てない。あるわけない。それとは別にアストルフォ、部屋のクローゼットは閉めといた方がいい。」

 

「え?あぁ、ありがとう。」

 

そう言ってアストルフォはクローゼットを閉める。

 

「んじゃ、早く消毒をすまそう!野生の猫の爪は怖いからねぇ~消毒が不十分だと破傷風になったりするから‥‥」

 

とガチャリと救急箱を開いて消毒液をジークの傷に塗る。

 

「痛っ!」

 

傷口に消毒液はやはり少し染みる。

ジークはつい来た刺激に驚き体がぴくりと反応させる。

 

「あぁ、もう動かないで」

 

「すまない、つい。」

 

消毒を済ませアストルフォは絆創膏を取り出してジークの指に貼り付けてくれた。

こう言ってはなんだが以外にもアストルフォはこの様な事慣れている様子だ。手つきも以前家で怪我した時セルジュがやってくれたのと変わりなく見える。

 

「慣れているのか?」

 

「ん?なにが?」

 

きょとんと 首を斜めに傾けるアストルフォ。

 

「いや消毒や絆創膏を貼るのが上手いのでな。」

 

「うん。まぁだって僕一人暮らし何かとやれないと生活成り立たないだよね〜。」

 

だらんとだれながら愚痴をこぼすように自分の生活事情を言う。

 

「一人暮らしなのか?両親は?」

 

「さぁ?今は何処にいるのやら。」

 

アストルフォは救急箱の中身をしまいながら呆れたように両親の事を考える。

 

「生まれた時から自分勝手な人達だったからね、あの人達の頭には9割乗り物、0,5生きる為に必要な物、残りその他しかないからね。」

 

アストルフォが言うには、両親は両方とも大の乗り物好きらしく、元々やっていた会社もそっち系らしく大分有名な町工場だった。

だが世間でもよくあることが起きた。

どんなに町工場で上位張っていても大きい大企業に吸収されることはざらにある。

それはアストルフォの親の会社も例外でなかった。

大きな会社に吸収合併された。………というのが世間で認知された事実なのだが真実は違う。

実は彼の親は会社に必要な資金や技術、知識情報を得たからもう会社を閉鎖したかったらしい。

でも、さすがに急にたたんだらそこの職員は全員明日から食べることができなくなってしまう。

そこに丁度良く大企業から話が来たので裏で職員全員の職場を繋いでから会社を明け渡した……というのが真実。

やれやれと首を振るアストルフォ、ジークも言葉を引きつらせながら同情の言葉をかける。

 

「大変だな。」

 

「いやいや、慣れちゃったからね。それが僕の普通だもん。」

 

救急箱を机の上から下に下ろす。

それからいつものアストルフォからは全く感じられない空気を醸し出す。

いつもの周囲を巻き込む位元気なアストルフォが今だけは目を細め静かになる。その細めた目から滲み出る寂しさをジークは感じていた。

普段は明るいムードメーカーな彼でもやはりは人の子‥両親と一緒にいたいのだろうか?

 

「やはり、親といたいと思うのか?」

 

「どうなんだろうね〜、昔はそうだったかもしれないけど今はいないのが当たり前だから。でも寂しいとかとは違うかな学校じゃあ友達がいっぱいいるし、僕自身あの人らに感謝している事もあるからね。」

 

「感謝?」

 

「うん」

 

嬉しそうに頷くアストルフォ。それからすぐに立ち上がって

 

「あ、そうだ!仲良くなった証に見せてあげよう!僕のコレクションを!!」

 

まるで祭りでもあるのかと思うテンションの高いアストルフォ、勢いよく扉を開けてジークにも早く来るようにいって先に下に降りていった。ジークも急いで階段を降りて

 

 

「親が残してくれた遺産を見せてあげよう。」

 

「遺産って...」

 

言い方が言い方の為に若干ひくジーク。さっきは自分のコレクションと言い次には親の遺産と言う。

アストルフォはそんな視線を気にせずに思いっきりガレージのシャッター上げる。

中は光を反射し光輪を生み出す。漆黒に包まれた中に入っていたのはバイクだ。何十台にも及ぶバイクの数々に圧倒される。

 

「これは...」

 

「僕の親がたまに送ってくるんだ。珍しいバイクや乗り物があって自分達の手元に置けなくなったら僕の所にくれるんだ。まぁ僕はそこの原付きぐらいしかまだ乗れないけどね。」

 

関係ないことだがアストルフォは一応原付きの免許は既にとっていた。来年はすぐに中型を取りに行くと意気込んでいる。

 

「どうだ。凄いだろ。」

 

「あぁ」

 

「まだ僕はここの機体は乗れないけど将来僕が使いやすいように色々いじっているんだ。」

 

「いじっているとは改造しているという事か?」

 

「あぁ、昔から親の手伝いをしていたからね。エンジンをいじったりもしているよ。まぁ元がレベルの高いあまりいじりようもなくこっちが学ばされている所があるけどね。」

 

そう言ってあははと口元をひきつらせた笑いをしているがジークは圧倒されている。

これほどの量のバイクと床に散開されている部品や道具、ジークはそれを拾い上げてまじまじと見ると何度も使われているのか色は黒に染まりきっている、それにかかっているジャージ多分ここで作業する時の服だろうが何度も縫い直したあとが見れる。

 

「凄いな。」

 

「でしょ!」

 

褒められたのが嬉しいのか頭に手をやるアストルフォ。

 

「アストルフォ、もう少し見てもいいか?」

 

「好きなだけ見ていいよ、あ、でも足元は気をつけてね。足引っ掛けてコケたら擦り傷じゃすまなくなるかも。」

 

そう言ってアストルフォは中の部屋のライトをつけて見やすくしてくれた。よくよく置くとかを見たらバイクとは関係ないものも置かれている。

 

「これは何だ?」

 

「ん〜、あぁそれは父さんが遊びで作った二人乗り用パラシュートだよ。」

 

「ぱら?」

 

聞いたことのない言葉にジークは首を傾げる。

 

「パラシュート、ほらバラエティとかで見たことない?スカイダイビングとかで使うやつだよ。」

 

その説明でも分からないジークに苦情でさらに詳しく説明してくれた。

 

「んー、じゃあ人や物が空中から落とされた時に空気抵抗がかかるのは分かるよね?」

 

「あぁ」

 

「それを利用して落下速度を落として空中から安全に地上に降りる為に使う道具だよ。スカイダイビングとかはスポーツとして発展しているしね。」

 

「成程。」

 

「何を見て作ったかは知らないけど親が人二人ぐらいなら支えられるパラシュートを作ったんだけど、」

 

「だけど」

 

「2人を支えるために大きくしすぎたために畳むのに苦労する作りでさ〜」

 

「なにかダメなのか?」

 

「ダメに決まっているさ!しっかりと畳まないと次の時綺麗に開かなくてただ落下するだけだからね!!」

 

「それは危ないな。」

 

「でしょう。」

 

それでもアストルフォはしっかりとそれを残していた。

 

「まぁやりたいのなら止めないけどね。」

 

「遠慮する。」

そんなことを聞いたら全力で拒否をするジーク。

 

「他には‥‥」

 

そう呟くとアストルフォは右奥にしまってシーツを被らしていた機体に指をやる。

その機体なにか不自然だ、大きさはバイクぐらいなのだがバイクにしては前にシーツの殆どの面積を取られていた。

 

「そうだね、面白いとおもうならプロペラを引っつけただけのバイクもあるよ。走っているとプロペラが回り出す。ただスピードを出しすぎるとプロペラが折れちゃうし、そもそもだいぶ回していると視界の邪魔にしかならない。」

 

完全に悪ふざけが産んだ可愛そうなバイクに同情の目をするジーク。

 

「.......」

 

「因みにこれは僕が作ったんだ、丁度いいバイクがあったから後はプロペラを繋げれば...」

 

「すまない、何のために改造したんだ。」

 

「映画に似たものがあって凄くロマンチックだったから乗ってみたいな〜って」

 

「...成程。」

 

と流石はアストルフォと思いながら目線を違う所にやるとそこには電子レンジやただの家電製品があった。見たところ普通に綺麗であまり改造をしていないように見えるのだが...

 

「アストルフォちゃん。」

 

ふと外からガレージによく知らない人の声がけしてきた。

そこにはいかにも主婦という感じの人がたっており中のアストルフォに声をかけた。アストルフォもどうやら知っているらしくすぐ外に出た。

 

「あぁ、おばさん。電子レンジ直ったよ!!」

 

「まぁ、いつもありがとうね。」

 

電子レンジ?電子レンジとはこれの事かと電子レンジのあるところに目をやる。これはもしかして人の物なのか?

そんなことを思っているとアストルフォから声をかけられた。

 

「ごめん、転校生。僕用事ができたから今日はこの辺で」

 

「いや、気にすることは無い。俺の方こそ世話になった。また学校でな。」

 

「うん!今度はそっちから話しかけてね!!」

 

そう言い残してジークはアストルフォの家を出た。

元々、散歩をしていたジークはいつもの散歩コースを夏のまぶしい日差しを浴びながら歩いていく、ジリジリとした日差しがコンクリートから反射された熱に少し顔がゆがむ。

そんな中、年老いたお爺さんが道でみかんを落としていた。話を聞くとどうやらぎっくり腰が急に発症した為に体勢が悪くなり袋から零れたみかんを腰を庇いながら拾っていた。腰が悪い上に今日は日差しが強くご老体に更に負担をかける。もしここで無理なんてさせてしまったら熱中症になってしまう。

 

「あぁ困った。」

 

でも、自分だけじゃこの人を荷物事運ぶのは無理がある。でもほっておくわけにはいかない。

 

「俺の背中に乗ってくれ。」

 

肩車しようとした時、突如耳に入る声‥この暑さでも消え失せないテンションの熱がこもったハイテンションの声が背後からしてきた。

 

「あれ?転校生まだこんな所にいたの?おや?それに八百屋のおじさん?」

 

ジークはその暑さに負けない花のような少年アストルフォ………が引っ張っている家電製品がたくさん積まれたリアカーに注目する。

そのリアカーが貸してほしくてジークはこのおじいさんの事と頼みをアスファルトに話した。

 

「OKなら僕に任せてよ!丁度その人のところに行こうとしていたんだ!!転校生、荷物を持っておじいさんと荷物リアカーに乗せて」

 

「わかった。」

 

アストルフォは以外にもおじいさんを背負ってリアカーに乗せてジークもおじいさんの買い物袋を一緒に乗せる。

 

「んじゃ、ジーク手伝ってせーので引くよ...せーの!」

 

アストルフォの引っ張っていたリアカーには元々の荷物がかさばり結構な重量でまるでローラーを引いている感覚をジーク達に味合わせる。

 

「結構重いな。」

 

あまりの重さにジークは顔をしかめるがアストルフォの涼しい顔を崩さない。

 

「まだまだ、本番はこれからだよ、ジーク!この先坂とかあるからね。」

 

暑さも重なるこの地獄の道をどんなに苦しくても力を最後の一滴まで振り絞りアストルフォは笑顔を崩さずに進む。

ジーク何てアストルフォに合わせるので精一杯なのに...でもアストルフォの崩れない笑顔がジークにまだ行けると思わせてくれた。

手がただの棒になるまでジークから力を振り絞らせもう曲げようと思っても曲げられないぐらい力を使ったジーク。

アストルフォが地形をしっかりと理解していたためにそこまで急な坂とは出くわさずに済んでいるがそれでもかわすために遠回りになっているのも事実。

胸の鼓動が波打つリズムがワンテンポ、またワンテンポ早くなっていくのを感じている。

 

「大丈夫だ。」

 

正直大丈夫では無い、半分意地みたいなものが口を勝手に開き言葉だけが気力を残しているジーク、アストルフォはにっと笑いジークに信頼を与える。

 

「んじゃいくよ、タイミング合わせてよ。じゃないと動かないから」

 

アストルフォの掛け声と共にジークは干からびあがった力を最後の一滴まで絞り出す気持ちで腕に力を注ぎ込む。軋む足をしっかりと地面に立たせ下から伝わってくる力をそのままリアカーに注ぎ込む。

坂を登り下ると見えてくる小規模だが地元民で賑わう商店街、商店街の活気かそれとも僅かに見えた希望の為かジークにラストを押し切る力が湧き上がってくる。

その力を使い切る思いで最後のひと踏ん張りと割り切る。

 

幸いにもおじいさんのお店は商店街からすぐ近くにあった。

 

「ガッハッハッー!今日は済まなかったな。いや〜最っ近腰が悪くなってなぁ〜遠出の途中で腰悪くなるとは思わなくってな!!そこの坊やアス坊にも迷惑をかけてしまったな〜。」

 

先程まで腰を痛めていたとは思えないぐらい元気を取り戻していた。

ジークが通りかけた時には道端に膝をつき糸を1本ずつ紡いでいったような声で助けを求められたのに、今じゃその野太い声に圧倒されその温度差にジークは驚かされる。

その陰に隠れる妻はジークとアストルフォにペコペコ頭を下げまくる。

 

「もうおじいさん、いくら鍛えているからってさおじいさんもう歳何だから体は大切にしないと」

 

「バッカヤろー、こちとらお前のお前がおかぁの腹ん中にいる時から八百屋やってんだぜ。土台がちげんよ。年季がちがんだよお」

 

「だからこそだよ、年季の入ったものがぽっくり行くなんてよくあることだよ。世の中少し位故障している方が長生きできるものだよ」

 

「おおぉ?仕事していたらそりゃ壊れるわな。仕事して壊ないのは手をぬいているって態度で表しているもんだよな 高らかに笑う八百屋のおじいさん、アストルフォとは昔馴染みらしく楽しそうに昔の話を語り合っている。

 

「おお、それと坊今回はありがとうな、いやぁあそこで助けてくれなかったら熱で死んでいたわ。今日の礼にこれ持って行ってくれ。」

 

そう言いながら奥さんがリビングから出てきて手に地球儀の様に大きなスイカを持ってきてくれた。

ただ、あまりの大きさにジークとアストルフォは愕然とする。

このあまりに大きいスイカ、こんな大きさならその日の目玉になってもおかしくない。そんなスイカを持っていけと言っている。

 

「いいのか、そんなに立派なスイカをもらうなんて。」

 

「いんだよ、命救われた後じゃそのスイカも小さく見えてな。まぁ夏なんだし2人で食べな。」

 

まだためらっているジークとは裏腹にアストルフォの目はいつも以上に磨きあがった綺麗な瞳でスイカを見つめている。

多分受けとったらすぐにかぶりつきそうな位までに

 

「きゃっほーーーーー!!ありがと!!転校生早くたべよ今すぐ食べよ、河原でスイカ割りしよ、いえ…あ、この前直してって言っていたレジ直ったから持ってきたよ。」

 

「おぉ、何か見覚えがあるレジだな。思っていたらうちのレジかよ。これで電卓とザルからおさらばだな」

 

「今もって来るよー!」

 

スキップしそうなぐらいテンションが高いアストルフォにジークは手伝いが必要か聞く。

 

「手伝うか?」

 

「うん、お願い。」

 

高らかな声は玄関に響きジークの耳に入ってくるとジークも後を追いかける。

 

「おじいさん。」

 

アストルフォ達の背中を見ているおじいさんにふと後ろから声をかけられる。

 

「若いってのはいいもんだな〜、ワシも若ければ」

 

八百屋のおじいさんはまるで小学生の頃に書いた日記を見ている気分となっている。

 

「あら、おじいさんもまだまだですよ。」

 

「たりめぇよ、青春終えたばっかの青い頃だよ俺なんか」

 

 

 

 

 

 

 

〜said河原〜

 

夏の黄昏は遅く、秋や冬ならばもう日が傾き世界は濃い橙色に染まっている時間帯。夏の日差しが川を反射しきらびやかな光が煌めいている。

 

「おーし!叩き割るよ。おりゃー!」

 

スイカ割りにしては目を隠さず適当な場所に落ちていたちょっと太めの木の棒でアストルフォはあの大きなスイカを叩き割っていた。更に食べやすく何度も割っていく。

 

「よーし、食うぞ。食べるぞ。もう我慢出来ないぞ―――!」

 

とアストルフォは一番大きな切れ端を手に取る。そしてそれと同じぐらい大きな奴をジークに差し出す。ジークも静かにスイカを食べる。

ジークは今日初めてスイカというものを食べた。

日本語の教科書や図鑑、そして最近のニュースにはよく出てきていたが食べた事はなく、アナウンサーがとても美味しそうに食べていたから少し食べてみたかった。

しゃりしゃりとした食べ応えはシャーベットの様でそこまで冷たく齧れば齧るほど湧き出る水が乾いた喉をするりと通り疲れた体を潤してくれる。

あまり味が濃くないのもいい、スッキリとした喉越しにあったちょうど良い味。

スイカを思いっきり堪能しているジークにアストルフォはチッチッチッと指を振る。

そして自慢げな顔でアストルフォはスイカの食べ方の醍醐味を説明してくれた。

 

「あぁ、それじゃダメだよ転校生。スイカってのはスイカにある種飛ばしも醍醐味の一つなんだから」

 

そう言ってアストルフォはガツガツとスイカを食べて自分の口の中に食べそれからぺぺペとマシンガンのように吐き出す。

 

「こうやって種を飛ばすのも面白いんだから」

 

「そうなのか?片付けるのが大変だろう。」

 

「ふっふっふ、見てみなよ飛んだ先を...僕が飛ばした種は全部さっきスイカを割ったブルーシートに乗っているでしょ?」

 

そう言われてよく見てみると確かに綺麗に乗っていた。あれを狙ってやるなんてだいぶ器用だとジークは思う。因みに現在アストルフォは腰に手を当てて座りながらも胸を思いっきり張っている。

 

「転校生もやってみなよ」

 

と言われたがジークは出来ないだろうし第一片付けるのに余計な手間が増える為にジークはポケットに入っていたティッシュにスイカの種を包む。

 

「ええ〜つまんない」

 

「俺はアストルフォと違って今日初めてスイカを食べたんだ。そこまで上手く飛ばせない。」

 

「え?そうなの、今時スイカを食べたことないなんて」

 

「それは偏見じゃないのか?」

 

「そうかな、親がいた頃夏になるとよく買っていたんだけどな。」

 

ふと昔を振り返っていたアストルフォはすぐにそれを辞めてジークに向き直した。

 

「まいっか。なら初めてのスイカどうだった。」

 

「.......とても美味いな」

 

そう言うジークは目を細めてスイカの味に頬が緩んでいた。

 

「そうでしょ、それにスイカってさ、やっぱり人と食べるからとても美味しんだ。」

 

「1人と2人では味が変わるのか?」

 

「変わるよ、寂しかったり、虚しかったりしたら美味しい何て感じないと思うよ。」

 

そう言ってアストルフォは遠くでスイカを眺めていた子供に1つ渡してあげる。渡された子供はパァと明るい表情を浮かべ大きな声で感謝を示してくれた。その顔を見るとアストルフォも満足そうに手を降る。

 

「そういうもんじゃない。気分が暗い時って何されても良くない方に捉えがちにならない?そんな時に食べるより今日みたいに2人でわいわい食べた方が気分よくなるじゃんか」

 

「...そうだな、わかる気がする。」

遠き日の、ジャンヌと出会う前の自分を思い出していた。1人しかいないと思う孤独感、家族と思ってくれているのにそれでも自分は違うと思ってしまう疎外感...ジークはセルジュに拾われたこの半年でそのような感情を水のように浴びていてた。

そんなジークがふと見せたジークの虚ろな目、アストルフォはそれに反応する。

 

「家で聞いたね、転校生は僕が寂しいかどうか。」

 

「あぁ。」

 

「あの時は誤魔化したけど、本当はさ僕を置いていった時は悲しかったな。僕も連れて言って欲しかったけど..あの人らの旅の内容的に中学生の僕じゃキツいんだよね。せめて中学校卒業して置かないと今後の将来真っ暗さ..変な親だけどそれはわかっていたから僕を置いていったてのは親が居なくなって半年ぐらいだったかな。」

 

そう言うアストルフォの目は緩み心做しか瞳からは光が掠れるだけになっていた。

アストルフォが今見ているのはジークでも綺麗な光景を見せてくれている河原でもない。ふさぎ込んでいた頃の自分だ。

 

「あの時は暗くなりすぎたら親が自分を捨てた..とか考えていたりしたね。」

 

憎しみがあった訳では無い、恨んだりもしていなかった。ただ怖かった。捨てられていないと言ってくれる..声をかけてくれる人がいなくて、手を掴んでくれる人がいなくて、心の拠り所となっていた人を急に失ってしまったのだから

 

「そんな時かな、あのおじいさんが僕の親にテレビを直してと頼んできたんだよ。」

 

昔から父親に縁があったあのおじいさんは、家に訪ねて来て直してと頼んできたその時には親がいなかったためにアストルフォが応対したのだがその時、あのおじいさんがアストルフォを心配したのか話を聞いてくれたのだ。

 

 

 

〜said数年前〜

 

「あぁ?あのガキは未だにそんなの何か!こんな娘さんほったらかして妻と駆け落ちの旅してんのかよ。」

 

そう愚痴りながらおじいさんはアストルフォの頭に優しく手を置く。

 

「アス坊も苦労してんだな。まぁ親があれなら苦労するのは予想がついているがな。」

 

ずっと膝を抱えながらうずくまっているアストルフォにおじいさんは

 

「おい、お前さん。家に来ないか?な〜に晩御飯一緒食べるだけだからよ。」

 

断る理由のないアストルフォは承諾する。

おじいさんの店でアストルフォは静かにおじいさんの仕事ぶりを黙って見ていた。

おじいさんは近所じゃ有名らしく通りがかりの人達に声をかけられていた。

 

「おや、八百屋さんその子はお孫さんかえ?」

 

「いやいや、ほれ昔のイタズラ小僧の娘さんよ。いただろよく粗大ごみを」

 

「ほぇ〜あの子の娘さん。立派に娘さん生んだりして」

 

「本人、娘ほったらかして世界旅行に出かけたらしいが」

 

「へぇ、中身はあんま成長してないのだな。」

 

アストルフォにはあまり聞こえなかったが、楽しそうに話しているなと思っていた。

それと同時に何で自分はここに来たのだろうと考えた。

 

「おい、またしょげた顔して」

 

今にも唇を尖らせようとするアストルフォ、気分はだいぶ沈んでいる。

 

「何でここに連れてきたの。」

 

「今の人はな、昔、アス坊の親の世話になった人でな。」

 

「え?」

 

「お前の親な、昔から有名何だよ、機械いじれるってだけで昔じゃ有名になるんだけどな。一際喧しい奴である意味唯我独尊の奴で自分勝手...と言ってもな世話焼きが好きな奴なんだ。」

 

「...」

 

「入らなくてもいい事情に躊躇いもなく入っては余計なことをしでかす奴さ、何だかんだそいつの人柄を好んで憎めない奴だった。お前もそうなんだろう?」

 

表層心理はむくれるが心の奥底では肯定している自分があった。

 

「でも、なら僕も連れていっても良かったと思う。何で僕だけ」

 

表面は愚痴を言っているだけだがアストルフォは心で泣いていた。自分に寄り添ってほしいのに、何で自分の所には来てくれないのか

 

「バカヤロー!アス坊が世界知るには早すぎんだよ。いいかアイツは自分が考えに考えついて世界に行ったんだよ!そんな奴だからこそお前にも考える時間を与えたかったんだろうよ。そいつは親がいては決めてしまうかもしんねぇ答えだ。だからこそ一旦お前から離れたんだよ。きっとな」

そう言ってくれたおじいさんの目はとても柔らかく緩んで照れくさそうに頭をかいている。

そんなおじいさんを見たアストルフォは徐々に目に光を取り戻していく。久しぶりに味わった感じがした。親がいなくなり記憶の奥底に眠っていたあの感じを久しぶりに思い出した。

その温かみで心の緊張を緩まし、足や手より口を動かしたくなるあの感覚を...

 

「ま、それでもヒント欲しかったり寂しかったら俺達の所に来な。親が残してくれたものはそこら辺にあるんだから。」

 

「おじいさん...なら早速1ついい?」

 

「おおぉ?いきなりなんだ?甘えたいのか?」

 

「おじいさん、僕男だよ。」

 

この時2人の時は一瞬止まった。

 

 

 

 

 

 

〜said現代に戻る〜

 

「あの時のおじいさんの顔が面白かったなー!!」

 

草の布団に背を預けアストルフォはその光景を思い出して笑っている。

アストルフォの瞳は光に反射してなのかいつも異常に輝いていた。細め穏やかに自慢の人達のことを語るアストルフォ。

 

「...だから僕は別に寂しくはないよ。平日は友達がいて、休日はあの人達の頼みを聞いて...充実した生活を送っているよ。」

 

「頼み。」

 

そう聞き直すとアストルフォは自分荷物が詰まっているリアカーに乗っている家電製品に指を指す。

 

「道具はいっぱいあるからね。おじいさんやおばさんの壊れた家電製品を修理しているのさ、おじいさん達、よく食べ物くれたりするからそのお返しさ。」

 

「成程。羨ましいな」

 

そのように繋がっていられるアストルフォが羨ましい。

それを幸福と感じ、今を満喫し心の穴を埋める術を持っているアストルフォがとても羨ましい。

 

「へへ、そうでしょ。」

 

「ならアストルフォ。今日中に全部回らないといけないのだろう?」

 

そんなアストルフォのリアカーには幾つもの家電製品が並んでいた。

 

「うん。」

 

「手伝うよ。」

 

「え!?いいの?」

 

「その代わり1つ頼みがある。」

 

「何?」

 

「俺の名前はジークだ。君の呼び方は少し他人行儀に感じるからな今度からそう呼んで欲しい。」

 

「‥‥うん!!分かった!!よろしくね、ジーク!!」

 

「ああ、こちらこそ‥‥」

 

アストルフォとジークは握手を交わす。

この時のアストルフォはやはり、同性なのだろうかと疑う程、可愛く見えたジークだった。

ジャンヌが居れば、きっと

 

『ジーク君!!それ以上は踏み込んではいけない領域です!!』

 

と、ジークにとって訳の分からない事を言いそうだし、

言い方が悪いかも知れませんが腐った女子(腐女子)にしてみればきっと鼻血か涎を垂れ流すシチュエーションだっただろう。

 

 

 

・・・・続く

 

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