Fate Apocrypha学園   作:ただの名のないジャンプファン

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あぁ...完結したかApocrypha...そったれが!!何で何でなんでなんでなんで...あんな所で終わらしたんだよ〜(マジ泣き)UBWだって少し大人になった士郎と凛が出たじゃん。もう少し会話シーンあげようよジークとジャンヌに...

てなわけで今年最後の更新です。


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「ジーク君!!」

 

ジャンヌの静かにそしていつもより純紫となった瞳がジークを睨みつけている。

彼女は間違いなく怒っているというのは一目でわかる。

わかるのだがどうすればよいのかわからない。

何故ならジークにはジャンヌが何故怒っているのか心当たりが全くないからだ。

先程までアストルフォの家で一緒にテスト勉強をしていたのだが、日もだいぶ暮れてきて、先程午後六時を知らせる時計のベルがアストルフォの部屋に響いていたので今日はこれで帰ろうという事となりアストルフォの家を出た。

その時、モードレットは家の方向が違うのでアストルフォの家を出てすぐに分かれジークはジャンヌの少し道が同じな為に近くまで送ろうとジークが言ってジャンヌ了承してくれた。

だが、そこから間もなくしてからだ‥‥ジャンヌの機嫌が徐々に不機嫌となり、アストルフォの家から離れた今、ジャンヌに過剰な反応をしてしまったジークである。

ジークには怒られるような事をした覚えがないのだが、自分が知らず知らずの内に彼女の不敬を買ってしまったのかもしれない。

そう思ったのでジークはジャンヌに頭を下げる。

 

「すまない。」

 

「では、何について謝罪をするのか、私が何故怒っているのかそれを述べる事が出来ましたら許します。」

 

最も返されたくない返し方をされてしまった。

謝れば許されると思って軽はずみに謝ってしまったことがこうして裏目に出てしまった。

でも、彼女が何もない事で怒ることなんてないのは今までの彼女との付き合いでよくわかっている。

それともう1つ、ジャンヌが怒る時は自分に対してではなく他者に対してのみ、つまり他人()の事しかない。

それを踏まえた上で思い直し考え直した。

今回は自分しかない。

でも、俺が誰かに迷惑をかけたのだろうか?

『ふむ』と小さく唸るジーク、顎に手を当てながら少し少し深くそしてゆっくりと今日あった事を1つ1つ鮮明に思い出そうとする。

 

生徒会と仲の悪いモードレッドにテスト勉強を頼ったから………?

いや、そんな小さい事で怒るわけはないだろう。

モードレッド‥‥そうか!!何となくだがわかった気がする。

 

ジークの目が不自然にパチクリと瞬きをするのが見えたジャンヌ。

あぁ、これは間違えているなと直感したジャンヌ。

全くかすりもしていないだろう。

 

「もしかしてだが、俺なんかより頭のいいモードレッドに教えてもらいたかったのか?すまない売り言葉に買い言葉があの流れを作ってしまい、ジャンヌの気持ちを考えずに決めてしまって済まない。」

 

申し訳なさそうに頭を下げるジーク。

確かに人の気持ちを考えずに自分の考えを押し通し、ジャンヌの意見を全く取り入れなかった事については自分が悪い。

これが後々他の人にもやっては迷惑行為となる。

ジャンヌが怒る理由は恐らくこれだろうと確信するジーク。

それに対してジャンヌはジークの思いとは裏腹に全く掠っていないと心で思っている。

 

やはり間違えた答えにたどり着きましたか‥‥。

 

ジャンヌは心の中でジークの回答に落胆した。

 

まぁ、大方予想通りといえば予想通りなのだけど、あぁ、悲しい。

彼は転校してきてから何も変わっていない。

彼の考え方は自分が人に劣る、自分は他人より下だという事を断言している。

自分と他人を比較しているようで決めつけている彼が彼に対する存在価値。

 

「はぁ~」

 

私はおもわず大きくため息を吐いた。

そこから気を引き締めなおして、

 

「そこではありますがそこではありません!!」

 

「えっ?じゃあ、ジャンヌは何に怒っているんだ?」

 

「ジーク君が頑張って私に教えてくれているのはすごく嬉しい事です。モードレッドよりもジーク君の方が親しみやすいですし、引き続きこのまま教えてもらいたいですし、結果的にこの様な形に収まってくれて良かったと思っています‥‥」

 

「‥‥」

 

「ですが!!何で!?どうして、あの様な無茶な賭けをしたんですか!?」

 

「それは、その‥‥」

 

「しかもどうして、自分の夏休みを賭けたのですか!?これは私の問題なのですよ!?それなのに‥‥もし、私が目標点に届かない場合、貴方は折角の夏休みをモードレッドに潰されてしまうんですよ!!それでもいいんですか!?」

 

ジャンヌはジークの意見を聞く前にズバズバと物事を進めていく。

 

「あぁ、そのことか。」

 

「だから、自分の事をもう少し考えてください。これは前にも言いましたよね!?」

 

頭を押さえながら自分の情けなさに項垂れたい気分だ。

会ってまだ一ヶ月も経ってはいなくても、鈍い自分にもわかるぐらい彼の表情や環境は変わったのに重要な根本はいまだに変わっていなかった。

記憶を失っているのだ。それが当然かもしれないがそれではだめだと思う。

記憶が戻り自分と言う人格を見つけると簡単に手に入るかもしれない。

だが、記憶を戻すという事が必ずしも好転するとは限らない。

最悪の状況は浮かべようと思えばいくらでもそれは湧きあがってくる。

でも、どんな逆境にも負けない自信をつけさせてあげなければならない。それは私がしてあげないといけないことだ思っていると言うのに‥‥

 

「そうか、だいぶ考えているとは思うのだが‥‥」

 

ジークの返事に私は力無く横に首を振る。

少し前進はしていた『考える』という自覚が芽生えだしたことは喜ばしいことなのだが、自覚してこれだったら全く意味は無い。

 

「それならば、何故貴方は自分自身を賭けに出したのですか?」

 

「先程も言ったがあれは売り言葉に買い言葉で‥‥」

 

言葉が詰まり出す。

だがジークは話題を変えてまた言葉を発する。

 

「それに、モードレッドは基本、無理難題を出してくるかもしれないが相手をしっかりと考えてくれる人だ。」

 

ジークの言葉から彼は余程モードレッドを信頼しているのだと思う。

それはそうだ。

以前も何かと文句言いながら最後までフェアで通していたのだ。

ジャンヌは喉がぐっと詰まり少し寂しさを感じていた。

彼に向けられる信頼‥‥できればそれはモードレッドではなく自分に向けて欲しかった。

 

「随分とその‥‥モードレッドを信頼しているのですね。」

 

無意識に彼に対して作り笑いを浮かべてしまった。

普通に喜ばしいことなのに何故か自分でもわかる笑顔を浮かべて肯定したくないと思っている事が...

 

俗に言う、今まで精魂込めて育ててきた弟が幼馴染を幼馴染と感じなくなり段々とその幼馴染を異性として意識してしまい、いつの間にか弟との思い出がすべて遠くの物となったブラコンの姉のような心境になっているジャンヌ。

 

何か低俗な例えだが言わばこんな感じだ。

簡単に言えば、ジャンヌはモードレッドに嫉妬心に似たやきもちを抱いたのだ。

だがそんなもどかしさが吹き飛ばされてしまう。

 

「ん?いや確かにモードレッドも信頼しているが、俺はジャンヌなら必ずできると思っている。俺は勉強の間、ずっとジャンヌを見てきたのだから。」

 

きょとんとした顔で爆弾を置いていく、さもそれが当然と言いたげな顔をしている。

ジャンヌがその顔をしたいのだが、彼女はそれどころではない心境になった。

ドクン!と1回心臓が跳ねるのを感じる。

ジャンヌは無意識に自分で自分の手を握りしめていた。

 

「ジャンヌは努力を怠ることは無いし、それは隣で見ていたから分かる。だからこれぐらいなら余裕だと思う。もしモードレッドの出した条件が無理難題というのならそれは自分の力不足しか要因はないと思う。」

 

淡々とジークはジャンヌを見てきたことを客観的に語る。

ジャンヌが何を思おうとジークにとっては最初の友であり手を引っ張ってくれる人。

だからこそジークは思う。それ以外で困っているのであれば助けてやりたいと考えていた。だからこそ今回の事は謝罪をしたい反面、嬉しい誤算というものであった。

 

テストでジャンヌの助けとなり積み上がった恩を返したい。

 

と言うのを考えているのだがジークはそれを口にはしなかった。

言う必要も無いしそれに何よりジャンヌは先程から顔を真っ赤にしていた。

言ったら言ったで余計にややこしくなりそうだし。

 

「ずっと見ている...隣で見ていた。」

 

紅潮した頬を抑えながら急に180度回転してコンクリートで出来た塀を叩く。

 

「その急にそんなことを言われたら、私...嬉しいのですが、そんな事を口にされたら、というか軽々しく口にしないでください。私以外に聞かれたら誤解を生む可能性があるのですから」

 

「ジャンヌ‥ちょっと落ち着こう。その手を止めた方がいい‥塀が壊れそうだ。」

 

普通は手が怪我するはずなのに、塀から鳴る音がとてつもなく大きい為にまるで棍棒で叩いている気さえしてくる。

このままではジャンヌが器物破損で警察の厄介になってしまう。

 

「とりあえず、目標の合格点100点上げる。100点と見たら高いかもしれないが、少なくとも数学を赤点ギリギリのラインに引き上げたら後残り60点。」

 

そう考えると確かに低く感じる。

いや、そう言われると何故か低く感じる。

 

「そうですね、1つ12点上げれば...」

 

「えっ?」

 

「えっ?」

 

ジャンヌは何か間違いを言いましたか?みたいな事を言いたげな顔だ。

ジークは今、ジャンヌが言った言葉を疑いたい気分である。

そして、心の中で思った。

 

この賭けやはり難しいかもしれない。

 

 

 

 

〜saidそれから〜

 

それから、テストまで1週間を切り、テスト本番まで残り3日まで迫ってきた。

だが大丈夫か?と心配したくなる。

だって日が変わり挨拶をするたびに体はやつれてきている。

更に顔は青くなり、日がな1日中ブツブツと何か独り言を発している。

体は衰弱し、精神は崩壊しかけているように見える。

本当に大丈夫なのか?と心配したくなる。

 

アストルフォの事が‥‥

 

アストルフォとは席が少し離れているのだがそれでもわかる。

先の休み時間でもそうだし、朝、昇降口で顔をあわした時にもげっそりとしていていつもの綺麗で艶やかな桃色の髪は面影を残さず色を失ったかのようにしなしなとして、それから手入れをしていないのかボサボサしている。

このままではあの綺麗な桃色の髪が真っ白に変色してしまうのではないかとさえ思えてくる。

そんな今まで見たことのなかったアストルフォの姿には心配を通り越してクラスの皆は不気味さを感じ、少し引き気味になっている。

それは先生ですらそうだ。

先程心配した先生が声をかけて保健室で休むかと促してくれたのだが、アストルフォは先生にしがみつき無言で力強く首を横に振る。

しかもいつもは何カラットも放出しているその瞳には光こそなくただ黒ずんでいた。

そんな姿で声を出さなく何かを訴えている光景なんてホラーでしかない。

まだ付き合って日が浅いがこんなに生気のないアストルフォの姿は見たことなかったし、想像すらしたことのなかった。

アスファルトの不調の原因に心当たりはないわけではない。

すると、横からツンツンとジャンヌが指でつついてきた。

多分同じことを考えているのだろう。

ジークも少しジャンヌ側によるとジャンヌが耳元に囁く。

 

「ジーク君、アストルフォの不調ってもしかしてモードレットが関係しているのではないでしょうか?」

 

少し考える。

今よくよく考えるとモードレットとアストルフォの組み合わせは最悪だと気付く。

モードレットは面倒見のいい面もあるが他人にも、そして自分にすら厳しい一面がある。

それに対してアスファルトは普段は快く人当たりの良い性格だがそれ辿っていくと何処か甘えたがりな部分‥つまり、他人甘く、自分にも甘い部分がある。

そして、自分にすら甘いアスファルトの性根にモードレットの浅い怒りのツボ‥‥両者はまさに正反対の性格なのだ。

 

「後でもう一度、アストルフォに聞いてみよう。これではテストどころではない」

 

「そうですね」

 

ジークがそういうとジャンヌもまた首を縦に振る。

 

 

 

 

「アストルフォ。」

 

授業が終わりいつもならチャイムがなるとこちらに飛びつき勢いでこっちに来るのだが、今回はジークの方から声をかける。

アストルフォが突っ伏した状態からこちらを見あげるとジークとジャンヌを認識する。

 

「おぉ、ジーク氏にジャンヌ女史。何か自分にご用意でござるか?」

 

今日やっとまともな声を発したアストルフォだが、

やばいこれは明らかにヤバい。

口調が物凄くヤバい。

 

「ちょっと、どうしたのですか!?アストルフォ!?」

 

「何かあったのか?」

 

あったのだろうが...と心中で思いながらアストルフォに問う。

 

「いえ、何でありますよ、ジーク氏。」

 

「モードレットに何かされたのですか?」

 

ジャンヌは心配そうに目を細めて優しくアストルフォの髪を摩ってあげた。

するとそこには相変わらず正気は宿らないが力が込められてジャンヌに抱きつく。

 

「聞いてよ、聞いてよ!!2人とも!!」

 

泣きつくようにジャンヌのお腹に顔を埋めるアストルフォ。

更にアストルフォは自分の頭を左右に激しく動かすのだ。

これ絵面は良いが中身を考えたら一発で生徒指導室に送り込まれるな。

ジャンヌも顔を真っ赤にして困惑している様子。

というより何をどうすればいいのかわからずにとりあえずアストルフォを引き剥がそうとしている。

 

「ちょ、アストルフォ分かりました。分かりましたから離れてください。お話を聞くので...何かお腹が妙に擽ったいのです!!」

 

「もう僕の味方は君達だけだよ。もう疲れたよ。僕、もうあの先輩についていけない。」

 

アストルフォは断言した。

そこまでなのか、モードレッドがここまでアストルフォを追いやるとは思ってもみなかった。

というよりするとは最初から頭に入ってなかった。

何かと言葉はきつく乱暴な面が目立つが根はいい人だとジークは思っていたのだから‥‥

ジャンヌはとりあえずアストルフォを引き剥がしてモードレッドを問い詰めようと考えた。

 

「『帰ったら予習と復習は必ずしろ』って言ってくるんだよ!!」

 

ジャンヌの考えはすぐさま一転する。

モードレッドがどのように酷いのかを話すアストルフォであるが、モードレッドの言っている事は最もな事なので、

 

「「いや、それは当たり前だろ(です。)。」」

 

「そんな!?ひ、酷い!」

 

ガーン!と石化するぐらいショックするアストルフォ。

 

そんな事でここまで周りに心配をかけさせていたとは...いや、呆れを通り越してもまた心配してしまう。

ジャンヌも同じ心境のようだ頭を抑えてため息を吐いている。

 

「アストルフォ、こういうのはどうかと思いますが受験生の時とかどうしていたのですか?」

 

失礼で少し不謹慎だと思うが確かに気になる。アストルフォはモードレットの様に勉強の才能があるとは思えない。

かと言って勉強はとてつもなく嫌いらしいし、入試を受けた訳では無いが大体テストのレベルは頭に入っている。

勉強をせずに入れるほどこの学園の入試は生易しいものではい。

まさか、ドラマでよくある裏口入学をしたとも思えない。

ならばどうやって彼はこの学校の入学試験を突破したのか?

それは、

 

「えっ?あぁ、それはこの天満宮産のコロコロ鉛筆を転がして‥‥」

 

とアストルフォは筆箱から実際に使ったというそれを取り出して机に転がして見せた。

 

「「‥‥」」

 

しかもこの鉛筆は地味に4面なので本当に入学試験用らしい。

4面とは転がりにくそうな出来だなぁとジークは思った。

 

「答えを出したの。」

 

「‥‥あの‥1つ言わせてもらって宜しいでしょうか?」

 

ジャンヌは顔を引き攣らせながら、アストルフォに質問する。

 

「どうぞ。」

 

質問をされてアストルフォはどうぞと促す。

 

「ふざけているのですか!!?」

 

促されたジャンヌはアストルフォに怒鳴りつけた。

ジークはそこまで叱らなくても良いのではないかと考えたが確かにそれでいけるとは思わない。

 

「ほら、うちの入試ってマークシート形式だったじゃん。ぶっちゃけ問題を見ても見なくても関係...えっとルーラー何でそんなに睨んでいるの...?ほらスマイルスマイル。」

 

先程とは打って変わって鬼をもビビらす殺気を纏って静かにアストルフォを睨みつける。

今のジャンヌはジークから見ても文句なしに怖かった。

 

「ジャンヌ、確かにアストルフォのやり方はどうかと思うが...「ジーク君?」...何でもない。」

 

「ほら、ルーラーも知っているでしょ。信じるものは...何とかかんとかってやつ。」

 

「無宗教の人が何を信じてるのですか?」

 

「失礼な!僕は天満の神様を信じてこの鉛筆で挑んだ!!」

 

この前テレビでやっていたな‥‥普段優しい人ほど怒ると怖いと本当に怖いな。

今なら竜もこの剣鬼で負い返せそうなぐらい恐ろしい。

ジャンヌの声が抑止力となり近くにいるアストルフォとジークは疎か教室全てが静かになっている。

 

「はぁ~その様な愚行で高校入試を突破するとは...アストルフォよりも日本の教育体制にモノを言いたい気分です。」

 

確かにそうだ。

そこはジークも同感する。

普通入学試験を行うのはレベルのあった最適な場所に生徒を選ばせるためだと思う。

それを時の運で自分の学力の限界を突き抜けさせるとは...まぁ予想できないといえば予想はできないのだが...対策でも建てておいた方がいいと思う。

 

「んで、ルーラーはどうなの?君が合計点上げないとジークは先輩に取られちゃうんだよ。」

 

アストルフォの指摘にジャンヌはビクっと反応する。

先程と打って変わってアストルフォは目を細めてジャンヌを緩い眼光で見つめている。

 

「僕もピンチだけどルーラーがやってくれないとジークも道連れなんだよ。」

 

「アストルフォそれは違う。俺が取られるのではなく俺の夏休みが無くなるだけだ。だからジャンヌ貴女もそこまで深く考えなくとも...「甘い!!」」

 

ジークを遮りアストルフォが力強く断言する。

胸を張って断言しているアストルフォにジークはたじたじとなっていた。

 

「甘いよ、ジーク!ハチミツたっぷりのハニートーストにチョコレートソースをかけたよりも甘い!!いい、夏休みというのは先生や親の目から離れ学生が最も自由となりハメが外れる期間なんだよ!!ハメを外しすぎて、夜の校舎に忍び込んで窓ガラス壊してまわったり、盗んだバイクで走りだしたりと犯罪行為に走り出す人も居るけど、それは夏という誘惑の強さがなせること。夏やシミにはそれだけの魅力があるということだよ!!ジーク氏!!」

 

また呼び方が変になっているがいつものアストルフォで安心した。

まぁその何処かの有名探偵風になって入るのだがそれについては、今は置いておいてもいいだろう。

 

「そうなのか?ジャンヌ。」

 

ジャンヌにも聞いてみる彼女はその様な自堕落で落ちたりはしないだろうから、何となくそのような人の意見も聞きたくなった。

 

「どうでしょうね。それは文化の違いがあるのでなんとも言えませんが..でも確かに夏というものの魅力は群を抜いているかと‥‥」

 

「じゃあ、ジークはさぁ、これまでどんな夏休みを過ごしてきたの?」

 

「っ!?」

 

アストルフォの質問はあくまでちょっとした世間話程度に聞いた質問だ。

でもジークは答えられない。

目を細めて下を向くジーク。

頭の中には何も無いタンスを漁っている様な感じがしているが実際にそうだったジークにとっては夏が暑いことですら初めての体験なのである。

海が青いのも夏に向日葵が咲いているのも...

 

ピキっ!

 

急にジークの頭が裂ける様な痛みを感じる。

真っ二つに頭が割れ始め何か嫌なものが入り込んでくるみたいだ。

あまりの気持ち悪さと痛みで膝をつく。

何かが何か変なのが入り込んでくる違和感には嫌悪感を抱き吐き気がしてくる。

 

「あっ!?ァああ!!」

 

息が荒くなってくる。

 

「ハァハァ..ハ、ぁ」

 

目が霞み視界が暗くなってくる。

血の気とともに体の熱もなくなりだんだん寒気がしてきたように感じた。

 

「ジーク君!!?」

 

膝をついたことにも驚いたが先に見るのは先程から段々と悪くなって言っている顔色だ。

徐々に青くなり初め誰もが心配するぐらいにまで青白くなっていた。

 

「ジーク!?どうしたのさ!!?」

 

急な容態変化にアストルフォもジャンヌもどうすればいいのかわからずにオロオロしていた。

だがそれはジークも同じ何が何かわからなくなってきていた。

 

2人の狼狽える姿を最後にジークの意識は無くなった。

 

 

 

 

〜said保健室〜

 

アレから2時間昼休みに入ってもジークが目を覚めることはなくジャンヌは休み時間となるたびに保健室で横に座っていた。

目を覚まさないジークがとても心配なのだろう。

ジャンヌはジークの銀色の髪をさすりながら容態が回復するのを待っている。

 

「ジーク君。貴方には何があったのですか?」

 

「おい、ルーラー。」

 

そんな時に急に第三者の声が聞こえた。

ジャンヌは慌ててジークから手を離してそちらの方向へ向くとモードレッドが立っていた。

 

「ジークが倒れたって聞いてな、一応見舞いに来てやった。」

 

モードレッドはジークの横にペットボトルのスポーツドリンクを置いて彼の様子を見た。

 

「ジーク君の為に態々...」

 

「まっ、一応な。で、どうしたんだ?朝から体調が悪かったのか?コイツ」

 

「いえ、急に倒れて私にも何が何だから‥‥」

 

いや、私にはわかる気がする。

彼の急激な体調悪化の要因は過去を無理矢理に思い出そうとした事だろう。

 

「そうか‥‥」

 

モードレッドはジークの額に優しく手を添える。

 

「ふむ、熱は無さそうだし、まっ、大丈夫だろう。」

 

この時のモードレッドの表情は慈愛に満ちていた。

 

「‥‥」

 

その様子にジャンヌは驚いていた。

あんなモードレッドは見たことがなく確かにジークが信頼を置いていた理由もわかった気がする。

 

「ルーラー、そろそろ昼も終わるしそろそろ教室に戻れよ。」

 

そう言われたジャンヌは時計に目をやると確かにそろそろ予鈴がなるであろうという時間帯だった。

もうそんなに時間が立っていたとは...

 

「そう言えば、保健室の先生はいつになったら戻ってくるのでしょうか?」

 

ジャンヌは自分がいない間にジークに何かあってはいけないと思い保健室の担当の先生に任せたかったのだが未だに戻ってこない。

 

「どうせ悪趣味な事をしてどっかで時間でも潰してんだろう。つぅかいない方がいい気もするがな。アイツとこいつを2人にしとく方がな‥‥」

 

「た、確かに‥‥」

 

力無くジャンヌも肯定する。

確かにモードレッドの言う事は一理ある。

ここの担当は保健の勉強と称して様々な男子に変なことをしているという噂が耐えない。

 

まっ、噂程度だが‥本当に学校の保険医が男子生徒相手に変な事をすれば色々と問題がある。

 

「俺は先に戻っている。何かあったら知らせてくれよ。一応気になるしな。」

 

「わかっています。私はもうちょっとだけジーク君を見ておきます。」

 

そう告げるとモードレッドは手を振りながら立ち去る。

ジャンヌはその様子がとても暖かく感じつい、微笑んでしまった。

 

モードレッドが立ち去り予鈴も鳴ってジャンヌもそろそろ戻らなければならないと思った時にジャンヌは突如、腕を握られた。

それはあまり力強く無かったがしっかりと熱を帯びていた。

 

「ジーク君!」

 

「ジャンヌ、すまない。」

 

「ジーク君、大丈夫ですか意識はハッキリしていますね!私の事も分かっていますね。気分は悪くないですか?お腹は空いてないですか?気だるさはありますか?」

 

畳かけて質問してくるジャンヌに半分戻った意識で頑張って対応する。

正直本調子ではなかったがだいぶ戻ってきた気がする。

息遣いもいつものリズム感を取り戻したし、吐き気もなかった。少し頭痛があるもののこれぐらいなら大丈夫だろうと判断して上半身を起こした。

 

「心配をかけて済まなかった。俺は大丈夫だ。」

 

「...男の子の大丈夫はあまり信用できません。」

 

でもいつもよりよろよろと起き上がったことが余計にジャンヌの心配を煽ったのだろう。

ジャンヌはジークの体を支えてくれる。

ジークは苦い表情で俯いていた。

 

「ありがとうジャンヌ。」

 

「え?」

 

ふと、呟かれた言葉に力を奪われたジャンヌは抜けた力からジークに引っ張られ力強く抱きしめられた。

 

「もう‥離さない。」

 

「じ、ジーク君!?」

 

突然のジークからの抱擁にジャンヌは思わず声が裏返り、顔が一気にトマトの様に真っ赤になった。

 

 

 

・・・・続く




それではまた来年。良いお年を迎えてください。
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