ちょっと、試しに書いてみました。感想、評価をお願いします。
この作品は作者の力試しの様な意味を込めて書かせていただきました。評価と感想をお願いします。
「起立、気をつけ、礼」
教室に号令が響く。号令の先、教卓に立っているのはスーツ姿の見慣れない男だった。見た目からして、まだ二十代だろう。
「お願いしまーす」
高校生にもなってこの挨拶はどうなんだ? なんて思わないわけでもないが、特に重要でもないので、気にしない事にしている。男が口を開いた。
「あー、初めましてだな。特別道徳講師の
男の声は低いが、よく響く。そこそこ広い程度の教室を満たすには十分だった。
教師ではなく、講師だったか。ていうか特別道徳講師ってなんだ?
「先生、特別道徳、えーっと、なんちゃらって、なんですか?」
由比ヶ浜が手を上げ質問する。
おぉ、流石だな。空気を読んで質問したのか。そして特別道徳講師を覚えられなかったか。
「特別道徳講師な。現国の平塚先生に頼まれて、二年F組に特別授業をやるために来た。週一回程やって欲しいそうだ。にしても、随分とお前らは愛されてるみたいだな」
うわー、良い笑顔だ。それにしても、平塚先生どうしたんですか?ついに、結婚できないからって生徒達に手を出し始めたんですか?ごめんなさい、犯罪です。っていうかそれに人を巻き込んじゃ可哀想です。
「っべーわー、平塚先生に愛されてんのー俺ら?マジで、っべーわー」
戸部よ、何が、っべーのかわからんぞ。というか、っべーって何だ、っべーって。
「おう、ヤバいよ。わざわざ海外に居た俺を千葉まで呼び出す位だからな」
あの笑顔、思いっきり恨んでんじゃねぇか。でも平塚先生、あなたの行動力には驚かされてばかりです。そこに痺れないし、憧れもしませんが。
……結婚にその行動力を使えば良いのに。
「はは……」
「あはは……」
見てみろ、あの葉山さんや、戸塚ですら苦笑いだぞ。にしても、戸塚は可愛い。さすがは小町と並ぶマイエンジェル。
あぁ、戸塚の抱き枕とか出ねぇかなー。メイド服とか、女子の制服とか着たら、絶対に可愛いだろう。よし、グーグル先生に聞いてみるか。
「まあ、挨拶はこれ位にして授業を始めるぞ。俺の授業は基本的に三分の二が俺の話で残りは自由時間だ。寝てようが、会話してようが教室内にいて揉め事を起こさなきゃ、それで良い」
ほー、そりゃ楽な授業だ。ぼっちである俺にとって、教師公認の睡眠は魅力的だからな。あ、講師だったか。
「じゃあ、今日の授業のテーマは『人生』だ。つっても俺がするのは自分の話じゃなくて聞いた話とか
✝
朝日が顔に差し込んで来る。うざってーな。全くもって、うざったい。もはや、うざったいしか言う必要がないまである。
どうせ今日もくだらない一日だろうに。見てみろ、起きて周りに在るのはレンガの壁と黒いガス灯。今日はない様だが、いつもなら霧も出ている。こんな場所に子供が寝ているなど一般的にはあり得ないだろう。
……親に捨てられてもう八年だ。捨てられた理由は単純だった。家を継ぐ後継人欲しさに両親は結婚し、子供を産んだが、生まれてきたのは
だから、俺は妹のために、いや妹に全てを押しつけて、弱者を演じて、家から逃げてきた。
後継人が選ばれるのはわずか五歳の時。それまでずっと妹と競い続けてきた俺は、妹が人から好かれやすい事も、俺が人から嫌われやすい事も全て知っていた。同時に俺が、人間が持つべきではない力を宿していた事も。
身体が透明になっていく。魔法、そう呼ばれるものを俺は使えた。だから、未来を視る力、人間が持つべきではない力を行使して、妹への罪滅ぼしをして来たのだ。この力が俺の一日をくだらなく変化させることを知っていながら。
様々な店が並ぶ賑やかな通り。そこから、少し外れた路地裏を一人の男が駆ける。
「くそ、何故バレた。私はこんな所で……」
男は身体を紅に染めていた。少しでも遠くへ行こうと足を進める。
「……私は祖国の為にあの娘を殺すまでは、生きねばならんのだ」
男の顔は酷く歪み、身体の紅が広がっていく。男の足は止まらない。
「祖国の為の復讐には口を出しませんが、敬愛なる我が女王陛下に手出しはさせません」
「誰だ、誰なんだ!私を襲うお前は誰なんだ!」
男が上へ向かって叫ぶが、そこには何もない。男の足は止まった。
「貴方と同じ大切な者の為に生きる者です」
静かに声を発する。その後、路地裏を叫び声が包んだ。
鮮やかな紅が地を染めた。男の足はもう二度と動く事は無かった。
身体が激しく燃える。熱い、熱い、熱い、、あつい、あつい、あつい、アツイ、アツイ、アツイ。
身体を代償が焦がす。熱によって、意識が溶けていく。路地裏には倒れ伏す一つの黒い塊が残った。
くだらない一日だった。今日も力を使い、未来を変え、変化の代償に身を焼かれる、そんな一日。誰にも姿を見せず、誰とも顔を合わせず、ただ愛する自分の為に、大嫌いで大好きな自分の為に生きる一日。それが、俺の生き方で、俺の人生なのだろう。歪んだ、本物の愛の為に生きている俺の……。
✝
「国を救った英雄は賢く、強く、それでいて、どうしようもなく愚かで弱かったんだ。だから、英雄が死に、その酷く焦がれた姿を妹に見せるまで一度も感謝される事はなかった。この話は代々ある国の王族の間で語り継がれている話の一部だ。このクラスにも自分を犠牲に全体を救い続けている奴が居るらしいな。ま、これで俺の話は終わりだ。後は自由時間とする」
天宮先生の話を聞いた後の教室はとても静かで、寝るにはこれ以上ない様なタイミングだったが、寝る気分には何故か成れなかった。
このクラスに居る自己犠牲者は英雄よりもさらに弱い。怒りを集める事しか出来ず、未来を視る事も人に完全に気付かれず動く事も出来ない。
俺は英雄の様な壊したくない『本物』を持てるのだろうか。
陽の光が教室に差し込む。光は俺の所まで届かなかった。
如何だったでしょうか。一応続きは書けますが、評価と感想次第で続きを書かせていただきます。それでは、有難うございまし