ファイアーエムブレム 聖戦の系譜 〜光を宿すもの〜 作:ロンドロ
前の話を投稿した次の日にひどい胃腸炎になってしばらく書けませんでした。すみません。とりあえず漢検合格したり留年はしませんでした、良かった!
ヒーローズの方は英雄祭でようやくシグルド来たりして。聖戦勢は全員揃いましたが今やってるトラキアガチャに誰も来ない…トラキアプレイしろってことですかこれ……。
「本当にいいの?こんなところで。ヴェルトマー城までなら送っていけるのに。」
「はい、本当に…ありがとうございました。」
ヴェルトマー城の外れに位置する〝リディア〝と呼ばれる町の中、三日ともしないフリージ公女同伴の馬車の旅は終わりを告げる。まさか偶然とはいえ、宿場町にて自国の公女様に鉢合わせするとは思ってもみなかったが。
「たしか、これからイード砂漠の方へいくんでしょ?」
リディアはヴェルトマー城とバーハラ城の間に位置するため、グランベル各地の騎士などが行き来することもあり食料や武器、鉱物、果ては魔道書の流通が盛んである。その分物価は高く、ここで殆どの手持ち金を落としていくだろう。
魔道書は特に値が張る。しかしこの先、自由に購入することが出来るか、わかったものではない。
光魔法は扱いが難しく、初歩として炎魔法の練習をしてみることにする。母親はファラの血族だったので、その血を継いでいるユミルも理論上扱うことが出来る筈だ。幸いここはヴェルトマーの領地である為、炎の魔道書が多く取り扱われている。一先ずはファイアーの魔道書でも購入しようか。
そんなわけでこのリディアに足を止めた。
「それじゃあ、あたしそろそろ行かなくちゃ。あんまり喋ってたら怒られちゃう。」
手綱を持った従者を横目にティルテュはクスッと笑う。
「またいつか…会えると良いですね。」
「うん、そのときにはロキが魔法使えるようになってるのかな?」
「いつかお見せできるよう精進しますよ。」
この数日、まさか盗賊の少年を護衛に雇い、自国の公女の馬車に乗せてもらうなど城にいたときは想像もしなかった。父と母が生きていれば巡り合うことさえなかったのが皮肉に思えるほど。
「あっ、そうだ。ねぇロキ、ちょっと屈んで?」
「えっ?」
言われるがままにユミルが体を屈める。これに一体何の意味があるのだろうか、そう疑問をもった。
ゆっくりと膝は曲がっていき、背がティルテュの目の位置より低くなった、その次の瞬間。
「……………………………えっ…………えええええぇっ!!??」
「えへへ、幸運のおまじない。」
額に僅かに残る感触、間違いなく触れた。その…唇に。
「ちょ、ちょっと!!??」
思考が全く追いつかない、というよりも動いていない。横のデューも馬車の前部に座っている従者も目を見開いている。
額に口づけすることが幸運のおまじないなのかどうか知らないが、出会って三日もたっていない、どこの馬の骨ともわからないような相手にすることだろうか?
箱入り娘とはいえ、流石にそれは世間知らずが過ぎる。
ティルテュの方は早速馬車に跳び乗り、小窓から大きく手を振る。ユミルの慌てふためくその姿など気にせずに。
「それじゃあロキ、デュー、またいつか会おうね!!」
ハッと我に返った従者が手綱を引いて馬車を動かす。 同時にこちらを強く睨みながら。
みるみるうちに馬車は遠くへと走って行き、姿は見えなくなってしまった。
ポツンと取り残された二人。先にデューが口を開く。
「………………」
「……まさかおいらが知らない間にそんなことになっていたとは……。」
「ち、違うよ、誤解だ!!さっきのはいきなり……!!!」
「ふぅーん、じゃあそういうことにしておこっかなぁー。」
「だから違うってばぁ!!!」
「どうだろうねぇ?」
とぼける少年に狼狽える王子、ここにあり。
旅は始まったばかりである。
第1章のグランベル編、とりあえず終わりました。
ティルテュにフラグ建っていますが、お嫁さん候補はアンケートで決めます。どうしようか迷っているので。
次章はユグドラルの人たちの視点で始めて行こうと思います。シグルド好きでこの小説書き始めたのに名前すら出てないのは絶対おかしい。