ファイアーエムブレム 聖戦の系譜 〜光を宿すもの〜 作:ロンドロ
父は王族であったが長子ではなく次子であるがために王にはなれないと言われていた。実際父は争いを好まず叔父との継承権問題で揉めることはなかった。母はヴェルトマーの遠縁の人間で父とは政略結婚で一緒になったらしい。それでも周りからはとても仲の良い夫婦であったと言う。父は光魔法が得意で母は杖を使って人を癒すことが得意だった。父は僕がまだ幼かったことから魔法を教えることはしなかった。代わりに母から杖の使い方をたくさん学んだ。今でも聖杖は僕にとって大切な物だ。
「お父さまお母さま見てください!はなかんむりをつくってみました!」
「おや、凄いな。細かいところまで作り込まれてる。」
「まあ、ユミルってば本当に花冠を作るのが上手ね。」
「将来の夢はお花屋さんかな?お祖父様にも見せに行こうか。」
いつもそうやって頭を撫でてくれる。僕は父母のことが大好きだった。
別れは突然だった。父と母が公務として各地を回っていた中、馬車が山道に入った所で賊に襲われてしまい帰らぬ人となったのだ。僕はバーハラ城にいたおかげでなんともなかったが両親の死に長く苦しんだ。後日王国軍は襲われた周辺の賊を一掃したそうだが、失われた命は戻ることはない、母のお腹には新しい命を宿していたが生まれることもなく、露と消えてしまった。
それから自分の部屋に閉じ籠るようになってしまったが、気にかけた叔父が僕を実の息子のように接してくれたおかげで今の僕が存在する。叔父には感謝してもしきれない。
しかしただ一つ気になることがある。賊は馬車を荒らして金品を巻き上げたそうだが、父と母の亡骸のそばには僕が今持っているペンダントがあった。見ての通り、ペンダントは売ればとんでもない額が期待されるであろう見た目なのでこれも盗まれるはずだ。他の高価品を盗みペンダントだけ手をつけていないのはどう考えてもおかしい。叔父もそれを疑問に持ったそうだが、なんの結論も出ないまま6年経った。
一体どうしてなのか。きっと何かある、そう思えて仕方ないのだ。だから僕は…自分の目で確かめたい。父と母の死の謎を。
出国当日の夜。予想通り雨が降った。小雨ではないが、足を取られるほどの土砂降りではないのが幸いである。部屋を抜け出し、兵の目をかいくぐって地下に急ぐ。普段使われることのない地下は、護衛が一人もいない。雨のおかげで外から侵略されそうにもないからだろう。ホッと胸を撫で下ろすが地下は肌寒く鳥肌が立つ。ここから先、森に着くまで雨に打たれることを想像すると気落ちしてしまう。気を取り直して、外への隠し扉を開く。前々からいつ危険なことがあってもすぐに逃げれるようにと地下の道を侍女に教えてもらっていた。まさか出国に利用させてもらうとはと、侍女に申し訳なく思う。
外は月光が柔く差し込んでいるもののとても暗く、ランプもつけられない。衛兵に気づかれる可能性があるため城から離れるまでは己の目を頼りする以上他ない。長い髪は雨粒を吸って重くなっていき服は雨水の染みを作っていく。辺りを見渡してみるが衛兵の人影はなく、静かに森に進んでいく。
2時間は歩いただろうか。林にあった削られて洞窟のようになっている岩に潜んで雨を凌ぐ。
水を吸った服を乾かすため火を起こし外を見た。鞄に入れていた掛け布はすっかり湿っていたのでシーツ代わりにも使えない。雨は徐々に弱くなり朝にはきっと晴れるだろう。
引火しない程度に火から離れ瞼をとじる。
早朝にはここを出ないとまずい。少しでも王城から離れないと兵に追いつかれてしまう。それまで仮眠を取ろう、体力を回復しなければ。
うーん、過去話やってみましたが全然進みませんね…次話もあんまり進展なさそう。ていうかユミル以外の主要人物が出てないぞ!?