ファイアーエムブレム 聖戦の系譜 〜光を宿すもの〜   作:ロンドロ

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前話でブレスレットの売値が50000Gと書きたかったのですが、5000Gにしていました。安すぎる…


庶民的でも

デューを護衛と雇ったところで宿を借りる。風呂には入れるが食事は出ない、一人一泊700Gと比較的安価なところである。あくまで寝泊まりするだけの宿屋だそうだ。

 

 

 

今はデューの勧めで大衆食堂に。ユミルは紅茶を、デューは名物のぶどうのジュースを頼み注文を待っている。

 

「ねぇロキ、さっきの鞄って何が入ってたりするの?」

「ん?」

「ちょっと気になってさぁ」

 

頬杖をつきながら尋ねられ、ユミルは鞄から中身を取り出す。

 

「えーっとね、これが魔道書でしょ。それからこのペンダント、あとは食料かな。」

「…ロキってもしかして良いとこの坊ちゃんだったりする?」

 

ペンダントを見てどうやらそう思ったらしい。墓穴を掘ってしまった。家柄も隠さなきゃ自分が王子であることがバレてしまう。

 

「じ、実は家が少し裕福でね…家出して旅をしているってわけさ!世間知らずなのもそのせいなんだよね。」

咄嗟の嘘で内心焦る。デューの方は「ふーん?」と疑問に思ったみたいだがそれ以上は追求しなかった。

 

 

そんな会話をしていたら、食事が運ばれてくる。紅茶とジュースの他にもライ麦パン、付け合せとしてハム、ベーコンやチーズ、牛乳、根菜のポタージュなどが出てきた。ライ麦パンは焼きたてでチーズを塗るとゆっくりと溶けていく。3日間水と干し肉と豆しか口にしてないので自然と食欲を掻き立てられる。いつも安いパンしか食べていなかったため、この食堂を何度も利用しているデューでさえも目を輝かせている。いざ口に入れると

 

「「…ん〜〜!!??」」

 

思わず顔を見合わせる二人。形容しがたいこの美味しさ、パンを持つ手が止まらない!

 

「空腹は最高の調味料…ってことか、贅沢した生活送ってたんだなぁ僕…」

 

「このベーコンもなかなか美味しいよロキ!」

 

 

 

 

あっという間に平らげ、ユミルは口を開く。

「さぁて、これからどうしようかな。」

 

「そういえば旅の目的地って何処なの?」

 

「シレジアのリューベックよりも東、イザーク西部だよ」

そこで父母が襲われ殺された。あれ以来グランベル間での折り合いが悪くなり、一層イザークは東の蛮族と罵られることとなったのである。幸いにもシレジアとイザークの国境付近で国籍不明の賊が原因であったこと、公爵達の口揃いもあり戦争にまでは発展しなかった。今となってはあの賊がイザーク人だったかどうかもわからずじまいである。

 

(第一、父上と母上が賊相手に負けたなんてことは信じたくもない…)

 

 

「イザークかぁ。目的が何であれ馬車とかも使うと思うし、まずはお金の問題だね。今どのくらいある?」

 

「46500Gかな。」

塩タラ、ジャガイモの弁償、宿代の他にも先ほど乾燥果物、干し肉や堅焼きパンにチーズ、クルミなどのナッツ類も購入した。意外と重いのでデューにも持ってもらうことにした。

 

「イザーク着くまで足りると思えないんだよね。」

 

「それはつまり…旅費を増やせってことかい?」

 

「そういうこと〜。」

 

軽く返事をするデュー。それと同時に人差し指を立て意見する。

 

「闘技場ならいけるかもね。」

 

「闘技場?」

 

「そう、お金を払って相手と勝負するんだ。相手に勝てば賭け金の倍は貰えて、負けたら賭け金は返ってこないってルール。」

 

「ギャンブルか…色々心配なんだよなぁ…。」

 

「大丈夫だって!おいらなら三人抜きくらいならできるよ。ロキだって魔道書持ってるから戦えるでしょ?」

 

「いや、僕は無理だ。これはただのお守りみたいなもので…魔法なんて使えた試しがないよ。」

 

「えっ?そうなんだ。てっきりおいらの傷治してくれたから魔法が使えるのかなって。」

 

「あれは治癒。杖を使って人を癒す力であって魔法とは似て非なるもの。昔からこれだけは得意なんだけどね。」

 

魔法を初めて使おうとしたのは10歳くらいのこと。親は魔道士と杖使いなので才能がないことはないのだろうが。なんでも、幼い時から魔道に触れていれば覚えが早いらしい。

 

「へぇ…じゃあおいらが闘技場に行ってくる!ロキは観客席で見てて。」

デューは勢いよく食堂を飛び出て闘技場へ向かう。

「ちょ、ちょっと待ってよ!絶対に無理しちゃダメだからね!」

 

 

 

 

 

 

 

その後のデューの戦闘にユミルは終始圧倒されてしまう。

小柄な体型を生かしての素早い動き。重い一撃を躱し、子どもだと舐めてかかった男はあっという間に動きを読まれ、技を叩き込まれる。宣言通りにデューは三人抜きをした。

 

「ふーっ、似たような技ばっかり続けるんだから読まれるんだよーっだ。」

 

「確かに少し単純だったね、あの人たち。」

 

今はデューが受けたかすり傷をユミルが治している。

 

「まさかデューがあんなに強かったとはね。なんで僕の鞄盗んだ時転んだの?」

 

「あれはロキが何も知らなさそうな旅人だと思ったし、おまけにヒョロっちいから楽勝かなって正直油断してたの。」

 

「色々心外だよ…。それにしても2250Gはすごいな。」

 

「でしょ!!?これからまた闘技場に行こうよ、おいらも剣の修行しなきゃね。目指せ七人抜き!」

 

拾ってもらった身でもあり自分が賭けた金ではないので闘技場に駆り出されようともあまり気にしないデュー。ユミルの方も護衛してもらう身としては旅費も稼いでくれる存在なので文句は言えない。あまり頼りにしすぎても甘えになってしまうので自分は自分で出来ることを探してみることにする。

 

 

宿に帰ってからは水を浴びた。実に3日ぶりの入浴。雨に濡れてそのまま乾いた服も洗い、宿主から寝巻きを借りそのまま就寝する。昨日までは野宿だったこともあり柔らかい枕で癒されたいと思っていたところだ。寝具も上等なものではないが寝るには丁度良いものである。食事するにも就寝するにもこんなに苦労がいることになるとは。

 

「先が思いやられる…。」

 

 

一国の王子が寂れた宿屋で一夜を過ごすなんてことは誰も想像しないだろう。

 

(…でも、こういう生活も、悪くないな...。)

 




感想にユミルのステータスが見たいとの意見を頂いたので書かせてもらいます。


ユミル
兵種:(?)LV1

HP:28
力:0
魔力:11
技:?
速さ:?
運:1
守備:3
魔防:12

所持品
ペンダント:「?」「?」付与
リライブ
ライトニング(現在は使用不可)


な、なんて謎すぎるステータスなんだ…。?のところはまだ杖しか使えないので不明。



そして闘技場のシステム、賭け金なかったら経営者どうやって食べてんだろう…

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