あっ、半日投稿中。その為話数注意です。
そして、今回だけ三話同時投稿です。
理由は読めばわかると思います。
「あなた、今何回目のこの一週間を迎えたの?」
「え!?」
マリーに問われた質問に驚きが隠せない。どういうこと?なんで、マリーがそれを知ってるの?誰にも言っていないのに。
まさか、マリーには繰り返してきた記憶があるっていうの?でも、それなら今まで何も言ってこなかった理由もわからない。
「先に言っておくけど、私たちは全員少しだけ知っているわ」
「私たちが死んで、その度によっちゃんが過去をやり直してくれたんだよね?」
マリーだけじゃなくて、みんな知ってるの?どういうこと?それに、私が過去に何度も飛んでやり直していることも知ってるの?
どうして、みんなが?スマホの中を見られた?ううん。家以外だとほとんど手放さないし、練習中は鞄に入れている。それに、わざわざ鞄の中にあるのをみんなが勝手に見るとは思えないし。
「無言ってことは、やっぱりあれは本当のことなんだね?」
「よっちゃん、話して?」
「……なにも無いわ」
どうして知られたのかわからないけど、まだすべてを知られているわけではないみたい。なら、隠し通す。そうしないと皆に危険が迫っちゃう。あの時は掻い摘んで話したから少しの怪我で済んだ。でも、全てを話したらきっと取り返しがつかないことになる。少し知られている今ならまだ間に合う。
だから、私は知らない振りをする。みんなを騙すことに胸が痛むけど背に腹は代えられない。
「嘘。何もないわけない!マルたちは全てじゃないけど、知ってるんだよ?マルたちは本来なら何回も死んでいて、善子ちゃんが持っているペンダントのおかげで善子ちゃんが過去に飛んで助けてくれてたことを」
「はぁー」
私はため息を漏らす。どうやら、あの時リリーに話した内容に関しては知っているらしい。一体、どこで知ったのやら?でも、そこまで知られている以上、これ以上は隠し通せないらしい。
「どこで、それを知ったの?」
だから、私はみんなに問う。私に聞く以上はそれを明らかにしておきたい。勝手に人の日記を見たのか、実はあの時の記憶を持っている人がいてそれを話したのか。
「善子ちゃんは覚えてないみたいだけど、チカ達は、一回過去に、今日の朝に飛んでるんだ」
「どういうこと?」
「それはね――」
千歌の口から、今日の放課後に浦女の屋上で私が死んでいて、なにかの手がかりが無いかと私のスマホを見たこと。
その際に日記を見つけて読んだこと。
今週中にみんなそれぞれ自分が死ぬ恐れのあった日の朝に、自分が死んで私が過去に飛ぶのを願っているという夢を見たこと。
そして、その夢に賭けて過去に飛びたいと願い、今日に飛んだことが話された。
にわかに信じがたいけど、そこまで知っているというのならおそらく事実ね。でも、日記情報なら私がどうして浦女で死んでいたのかの理由は知らないみたいね。今週の内容にあれについての事は書かなかったし。私に関してはその時の記憶は無いけど、今日の放課後にどうするつもりかは決めているから、その時の私がどうしようとしたのかはわかる。
みんながそこまで知っている以上、あの時のような事故が起こる。流石に死ぬ自体にはならないと信じたいけど、どうしたものかしら?下手な嘘はかえって皆を不安にさせかねない。今日さえ越えればすべて終わる。
なら、私がこれからどうすればいいのかはもう決まった。
「そう。確かに皆が見た日記に書かれていたことは本当のことよ。みんなに相談しなかったのは悪いと思ってるわ」
「うん。日記にも話した日に梨子ちゃんが怪我したから、私たちを思って話さなかったんだよね?」
「ええ。でも、私はやっとこの永遠に繰り返されていく一週間を切り抜ける方法を見つけたの」
「え?そうなの?でも、よっちゃんの日記にはそんなこと書いてなかったよ?」
「でしょうね。その方法を見つけたのは昨日の夜、日記に書きまとめた後だったから」
「そっか……あれ?じゃぁ、なんで善子ちゃんはあの時倒れていたの?」
私が話すと、半分納得してくれたけど、今日この後私が死んでいたことに疑問を持った感じだった。そうなることは織り込み済み。だからここからは、私の本当の狙いを悟られないようにして話を進めていくだけ。
「ええ。おそらく想定外のことが起きたと考えるべきね」
「想定外?それと、この繰り返される一週間を抜けるのと浦女にいたのは関係あるの?どうやったら終わらせられるの?」
「ごめん。それは話せないわ。今の皆はあの時リリーに話した内容と同じくらいの情報を持っている状態だと思う。だからこれ以上深いところに行くと、大怪我、最悪死に繋がりかねないから」
「そっか。うん、善子ちゃんがそう言うのならそうかもね」
ルビィはどこか納得したようにそう言う。みんなも同様に、追及はしてこない。流石に、状況の悪化は避けたいし、私がいなくなることがこの一週間から抜け出す方法なんて言える訳がない。
「とりあえず、話を戻すけど。想定外の事態を避けるためにも、みんなが見たその時の状況とかを教えてほしいの。私がどういう状態だったのか。転落したのか、建物に潰されたのか。そう言うことを教えてほしいの」
「うーん。あまりあの時のことは思い出したくないけど、それで少しでも成功確率が上がるのなら、うん」
「そうですわね。善子さんが頼みの綱というのなら、善子さんに賭けましょう」
みんなあまり乗り気じゃなかったけど、それが必要なことだと判断すると、話してくれた。
みんなの話を要約すると、今日は陽が落ちかける少し前に解散して家にそれぞれ帰ったらしい。で、美渡さんが浦女の方に行くバスに乗った私を見かけて、嫌な予感がしたから浦女に行ったら、屋上で私が倒れていたと。外傷は全く無くて、どうして死んだのかはわからなかったらしい。その後は救急車を呼んで、私の日記を見て、みんなで願って過去に飛んだと。
特に外傷が無かったのは意外だった。今まで転落や出血など割と外傷ができるとモノだったから。外傷がないってなると、浮かぶのは何らかの病気か発作。となると、回避することは不可能。病院に行ったところでどうにかなるものとは思えない。
私の死因という情報は大きいこれならどこにいても結果は覆らない。同じように浦女いればそれでいい。
「ありがと。想定外の事態の一つがみんなのおかげで知れた。これで、一層成功確率は上がったわ」
「そうなの?なら、マリーたちが過去に飛んできた意味はあったのね」
「良かった。善子ちゃんともまた話せたし、あとは善子ちゃんがその方法を成功させるの待つだけだね」
「うんうん。あっ、全てが終わったらちゃんと全部教えてね」
「ええ。任せなさい。ちゃんと皆に伝えるわ」
みんなに不安がらせずに済んだわよね?曜のお願いだって、ちゃんと叶うわ。また私が死んだことで、きっとみんな理解するはず。でも、同じヘマはしないわ。たぶん、今日死ねばみんなはまた願ってしまう。そうなると、またやり直しになる。たぶん、二回目ともなれば同じ手は使え無くなる。だから、みんなに見つからないように明日を迎える必要がある。いつもと一緒なら、戻れるのはその日の朝。月曜日に戻る可能性はあったけど、みんなは今日飛んで今朝だったと言っていたから、おそらく過去の飛び方は前者の“その日のうち”と考えていいはず。
今度こそ全てがうまく行くはず。ううん。うまくいってみせる。
「それで、この後はどうしよっか?今からその方法をやるの?」
「ううん。それができるのは放課後。陽が落ちる頃よ。だから、いつも通り練習をしましょ?ただでさえ、この話でだいぶ時間を使ったんだから、練習しないと」
「それをもそうだね。善子ちゃんの言う通りだね」
「では、皆さん始めましょうか」
これで話は終わった。本来ならすぐに実行すべきなんだろうけど、放課後にならないとおそらく事故は起きてくれない。流石に自殺は色々と問題があるし、自然な形にしておきたい。
ダイヤたちは納得して、席から立ち上がる。
でも、リリーと花丸は何かを考えているのか、席を立とうとしない。
「どうしたの二人とも?」
「ねぇ、よっちゃん。まだ隠してること無い?」
「善子ちゃん。もしかして、善子ちゃんの言うその方法で善子ちゃんがいなくなったりしないよね?」
「え?」
二人に言われて、私は驚きの声を漏らしていた。みんなを納得させることができたと思ったのに、リリーにはまだ何かあると思われ、花丸に関しては的を射ていたから。
私のその反応に、二人は確信したような表情をする。そして、そのせいで皆も私の方を見ていた。
「やっぱり、まだあるんだね。それも、知られることが不都合なことが」
「マルの予想が正しいのなら、それは善子ちゃんがいなくなるか、私たちを悲しませる結果になることかな?」
「そんなことは無い……」
本当のことなんて言える訳がない。それを言えば絶対に止めるに決まっている。知らなければそれでいい。
だから、話さない。
「なら話してよ!話せばどうにかなるかもしれないよ?善子ちゃんがマルたちを心配する気持ちはわかるよ」
「うん。それを話せば私たちが死んじゃうような事故に遭うかもしれない。でも、失敗したらまた水晶の力でやり直せばいいからさ」
「そうね。やり直せるのなら、マリーたちに話しても問題ないじゃない」
私の気持ちが分かる?
みんな気軽に過去に飛んでやり直せばいいって言う。飛べなくなる可能性をみんな知らないからそう言っているだけ。リリーに話した時に飛べなかったのが偶然だと思っているだけ。
「うんうん。それならチカ達が聞いても問題ないね」
「流石にそれは楽観視し過ぎだと思うけど、聞く価値はあるよね?」
「ええ。全ての判断は聞いてからすればいい」
聞いてから判断すればいい?
言う気が無いから、言う必要が無いから言わないだけ。
「うゅ。もしかしたらルビィたちに手伝えることがあるかもしれない」
「一人より、みんなでやった方がいいと思うよ?」
あげくに手伝えることが無いかって?あるわけ無いじゃない。
私が死ぬ手伝いをするって言うの?
言えば邪魔するに決まっている。
それなのに、気持ちがわかるだの、やり直せるだの、手伝うだの。
私はもう限界だった。
「私の気持ちがわかる?」
「よっちゃん?」
私がどんな気持ちでこの道を選んだか。本当は死にたくなんてない。でも、これ以外に道が無い。他に方法があるのなら、逆に知りたい。でも、私にはわからない。
「水晶の力がそう気軽な気持ちで使える物じゃないのよ!いつ使え無くなるかわからない危うい力なのよ!」
「善子ちゃん!?」
ただでさえ、みんな今危険な状況に陥っているから事故に遭うかもしれない。仮に死んだとして、戻れなかったらどうするの?手遅れになるのよ?
「手伝い?そんなもの必要ないわよ。私一人で十分よ」
手伝ってもらうことなんて一切無い。みんなは何もせずに明日が来るのを待っていてくれればそれでいい。
「善子さん。必要ないとは何ですか!?」
「そうだよ。みんなどんな気持ちでそう言っているかわかるの?」
「じゃぁ、私の気持ちが逆にわかるって言うの!?どんな気持ちで皆の死を見て、その度に過去に飛んで、それでやっと見つけた方法なのよ?」
「知らないよ!よっちゃんが教えてくれないから。よっちゃんが自分の気持ちを隠すから!」
「じゃぁ、いいじゃない!私の方法なら、明日をみんなが迎えることが出来るんだから!ただ、みんなは待っててくれれば、それでいいんだから!」
私は言いたいことを言った。もう、私の事をみんながどう思おうがかまわない。恨まれても、嫌われても、みんなが生きてさえいてくれればそれで。
「よっちゃん……」
リリーは私の名前を呟いて泣いていた。みんなを見れば差はあれど、泣いているかその一歩手前みたいな状態だった。
みんなのその顔を見ていると、胸が痛くなる。でも、これでいい。
「……ごめん。言い過ぎた。ちょっと頭冷やしてくるね」
みんなにそんな顔をさせたことを謝る。嫌われてもいいと思ったけど、やっぱりそうしたくはない。たぶん、これ以上みんなと一緒に居たら、もっとひどいことを言ってしまう気がする。
もう、手段を選んでいる余裕はない。
だから私は作り笑いをしてそう言うと足元に置いていた鞄を持って部室から出るために走り出す。
全てを終わらせるために。
~梨子~
「じゃぁ、いいじゃない!私の方法なら、明日をみんなが迎えることが出来るんだから!ただ、みんなは待っててくれれば、それでいいんだから!」
「よっちゃん……」
私は気づいたら泣いていた。普段はみんなに優しいよっちゃんがここまで動揺するなんて思ってなかった。きっと、それくらい、今までのことが大変だったんだと思う。それなのに、私たちはよっちゃんの気持ちを考えずに、色々言ってしまった。
「……ごめん。言い過ぎた。ちょっと頭冷やしてくるね」
よっちゃんは笑みを浮かべて私たちにそう言うと、部室を出ようとする。
よっちゃんの笑顔が作り笑いなのはすぐにわかった。そして、背中を見た瞬間、なんだかもう会えなくなるような気がした。
だから、私はよっちゃんの手を握ろうと手を伸ばし、その手は
という訳で分岐です。
片方はバッドルートです。