スマホゲーム・アズールレーンにおける投票イベントでのエンタープライズとのやりとり。

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アズールレーン・投票イベント エンタープライズの場合

「なあ指揮官、あなたは誰に票を入れたんだ?」

 執務室での仕事中、隣に控えていたエンタープライズが言った。

 椅子に腰かけたまま書類から目を離さずに考える。いま票といえば巷で話題持ち切りの人気投票のことだろう。毎日何枚か投票券を与えられ、気に入った子に投票する。戦い続きの毎日にちょっとした潤いをもたらす、お遊びのようなものだ。早く戦いを終わらせることにしか興味がないような、お堅いことで有名なエンタープライズにとってそんなイベントがどうしたというのだろうか。

「まあ適当に。頼まれた子たちに入れたよ」

 書類に書きこみながら答える。そう例えばサンディエゴなどは自分に入れるように頼んできた。明るく誰にでも話しかけるサンディエゴはムードメーカーとして人気者だ。私が入れなくても充分票を集めるだろうと思ったが、直接頼まれたなら断る理由もなかった。

「わっ、私には入れてないのか!」

 エンタープライズがさらに問いかけてくる。意外にもこのイベントに興味津々のようだ。

「君は僕が入れなくても一位みたいだよ」

 投票が締め切られるまで得票数はほぼリアルタイムで確認できる。上位には強く、一芸に秀でた、頼りがいのあるメンツが並んでいた。当然エンタープライズも。

「そうじゃない、そうじゃないんだ。順位が問題じゃないんだ……」

 エンタープライズの声が震えているのに気付いた。書類から目を離し、彼女に目を向ける。立ったままの彼女は弱々しく肩を震わせ、普段の凛々しく威厳ある態度は鳴りをひそめていた。

「どうして……私だって……なんのために……」

 切れぎれに声をしぼり出していた。

 ここでようやく理解した。ここ数日、普段から積極的な子たちにはやたらと声をかけられ、そうでない子たちは話しかけようとして途中でやめていたことの意味を。投票される彼女たちにとっては単なるお遊びなどではなく、単なる人気投票でもなかった。自分の価値を知るためのとても大切な儀式であると。同時に僕自身もある種の選択を迫られているのだと。

「すまなかった」

 素直にそう言った。

「あっ、あやまられても困る。そんなことなど望んでいない。ただ私は――」

「今日もらった分は君に入れるよ。僕が自分から入れるのは君が最初だ」

「そうか! ふふっ、そうか……」

 さっきまで暗く沈んでいたエンタープライズの顔が花ひらくように明るくなる。口元がゆるみ、にやにやしている。ひとまず危機は去ったようだ。

「指揮官の初めては私か」

「その言い方は頼むからやめて」

「どうして?」

 誤解を招くから――と返そうとして気付いた。すこしひらいた執務室の扉の隙間からいくつかの目が覗いているのに。

 一体どこから聞かれていたのだろうか。最後だけだったら死んだな。嬉しそうにはしゃぐエンタープライズの横でそんなことばかり考えていた。

 




私はAグループではサンディエゴ、夕張、ロングアイランドの三人に投票しました。

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