テンまじの方から来て頂いた方々はお久し振りでございます。そうではない方は初めまして。
随分間が開きましたが、とりあえずぽつぽつ投稿していきたいと思います。
年末なのもあって投稿もまちまちなのは変わらずだとは思いますが、書きたい部分だけでも書き切りたいと思います。
また、ご助言・感想などを頂ければ狂喜乱舞して永遠の刹那してでも書くかもしれないので是非よろしくお願いします。
「あぁ、どうして、何で、何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何でっ!!!!!!!!」
ガシャンっと両の手から血がにじむのも厭わず、手のひらを叩き付けた者が叫ぶ。
その声に含まれるのは単純な疑問ばかりではなく、世の不条理や嫌悪感、悲哀、絶望、憎悪、苦悩、様々な感情が綯交ぜになりつつドロドロと煮詰められていく。
「この無能共が!! 何故認めない!! 認めることができない!!? お前たちの玩具よりよっぽど高性能でしょう!!!?」
遂には涙まで浮かべながら嘆く少女。
彼女はただ認めてほしかっただけだ。
自分たちの居場所が欲しかっただけだ。
だがそれは、世間から見ればただの“子どもの我が儘”でしかなかった。
少女は自分が見ている世界を共有する者が欲しかった。
少女の唯一と言っていい友は、その弟共々居場所すらなかった。
そんな彼女は、天才とも言えるその頭脳が故に、ならば作ればいいと、そう思いついた。
だから少女は作り上げた。
彼女の頭脳を以てしても長い時間が必要であった“ソレ”は、未だ調整が必要な部分もあるが現行のあらゆる電子機器を置き去りにするだけのスペックがあった。
だが、大人たちは認めなかった。
子どもの戯言だと、妄想だと、切って捨てた。
少女はただ同じ夢を追いかける誰かが欲しかったのだ。
認めてほしかったのだ。
しかしそれも、大人の都合という勝手な言い分によって踏み砕かれた。
「私は、私はただ―――っ!!!」
――――果て度も無い空が見たかっただけなのに、悠久の空が見たかっただけなのに
彼女の声ならぬ叫びは、ただただ部屋へと消えゆく。
誰も聞く者は居ない。
この部屋には少女しかいないのだから。
でもそれでも、絶望の裏に確かにある“ヒト”というものへの期待が、その慟哭の裏で願いを吐き出す。
ああ、どうか・・・・・・。
どうか私に、私を、私たちを認めてくれる世界を下さい。
『おっけー!!』
◆◆◆
「何だこれ……」
俺、織斑一夏はそんなことを口に出さずにはいられない位に現在の状況を理解できずにいた。
始まりは俺が受験会場で迷い、その挙句に別試験を行うためにISが置かれている場所に迷い込んだことからだった。
インフィニット・ストラトス、通称IS。これは宇宙空間での活動を目的としたマルチフォームスーツだ。
ISは宇宙進出を目的としたものだけあって、過去に在ったあらゆる機器を圧倒する性能を秘めている。
人の身でありながら搭乗者の意志によって自由自在に空を舞えるのだ。
制空権という言葉があるが、戦闘機以上の機動力を持つISは登場の瞬間に空の支配権を奪い去った。
宇宙空間においては極小さな礫ですら致死レベルの損傷を人に与える可能性があるのだ。その他諸々に対する防護面に関してもISは優れている。
ともかくそのIS、それの有用性を理解した各国は本来の目的である宇宙への進出はさておいて、軍事技術として発展させた。現在進行形で発展して行っているの方が正しいだろうか。
搭乗者の感覚を補助するハイパーセンサー。慣性制御を行うPIC。あらゆる被害をエネルギーの限り守るシールドバリアー。あとは死に直結する様なダメージから守ってくれる絶対防御なるものもあるらしい。
当然そのどれもが宇宙進出における活動を補助するための機能であったが、世界はそれを軍事技術として有用であると判断した・・・・・・らしい。
とはいえ、そのISにも一つだけ大きな欠陥があった。
女性しかISに乗ることが出来ないのだ。
その所為か世論は女尊男卑の時代へと変化している。酷い所だと、女性がそこらの男性を小間使いか何かの様に
そんなISだが、ごく最近、男でありながらISを動かしてしまった男が居る。
それが何を隠そう俺だ。いや隠せなかった結果がここに居る理由なんですがね。
というのも、受験に行った会場ではISに関する試験も行われていたらしく、何をどう間違ったのか俺はそこに迷い込んだのだ。そしてそこでISを動かしてしまった。
そこからは崖から転げ落ちるように、ISを男で唯一動かしたということが世界に知らされ、そしてここ、IS学園への入学が決まってしまった。
ただ、待ってほしい。
先に述べた通り、ISは女性しか動かせない筈なのだ。そして世界で二人目の男が俺だ。
因みに一人目に関しては行方不明だし、公式情報はほぼ出回っていない。
ぶっちゃけて言えば、この学園には俺しか男が居ないわけだ。
まぁ結局何が言いたいかというと……。
何 だ こ の 状 況 は。
つまりまぁその辺りが俺が冒頭にてつい声に出してしまった理由の一つである。
悪友の弾ならこの状況に歓喜するのかもしれないが、正直俺はこんな環境ごめんだ。家でも俺以外女な環境ではあったが比率がそれどころではない。
40人近くが1クラスに居るんだが、残り全員が女性でそのほとんどがこちらを見ている。それも生半可な視線ではない。
ついでに言えば俺の席はこのクラスにおいて中央前付近である。何この苛め。
正直に言えばヘッドホンをして音楽を聞くふりをしながら机に突っ伏したい気分だ。しかし男としての
プライドなんぞかなぐり捨ててしまいたいが、家に居る男より漢らしい、というか逞しい二人の姉の所為でこれだけは死守したい最後の一線である為それだけはできない。片方の姉には『いっくんって女子力高いよな』なんて言われて地味に涙した位だ。
そんなわけで、徐々に削られていく精神力的何かを犠牲にしながら俺は普段なら絶対読みもしないクソ分厚い参考書を読むふりしてなんとか対面を保っている状況だ。
これならまぁ突っ伏すよりもマシだろう。
しかし、俺が困惑してしまった原因はもう一つあるのだ。
それが横の席に居る女子の存在だ。
雪のように白い髪、ルビーの様に紅い瞳。
これだけでも各国から様々な人種が集まるこの学園でも目立つであろう特徴だがそれだけではない。
シスコンと思われるかもしれないが美人な姉たちに囲まれて居た俺からしても綺麗の一言に尽きる整った容姿、モデルのような体型、纏う雰囲気も唯人ならぬものがある。
とはいえこれだけでは綺麗な人だなぁで終わる。
実際うちの姉の片方も似たようなカラーリングだ。ジャージ着てる残念姉だけど。
兎も角問題は耳だ。耳なのだ。
その一点に置いて、前座に置かれた容姿なぞ吹き飛ばして余りある衝撃がそこにはある。
何でこの人は機械の耳をしてるのだろうか?
いや待ってほしい。なにも頭を違えたとかいうわけではなく、文字通り機械の耳なのだ。
本来人の耳が在る筈の部分に、三角形のSFチックな耳が生えている。
チラリともう一度見る。
うん、やっぱりアレ機械的な何かだよな? メタリックだし、時折薄ら光ってるし・・・・・・。
コスプレ?
そういえばこの学校は制服の改造が認められている。
元々は各国の風習等に合わせて工夫できるようにという為の制度らしいが、チラリと見た感じではそれぞれが好き勝手お洒落に改造しているように見えた。
お隣の子もその類いだろうか。
でもなんでメカ?
少し前にうちのうっかり姉の方が「メカっ娘はロマンあるよね」とか言っていたが、ひょっとして流行っているのだろうか。
あ、ひょっとして何かの理由で耳に障害を負っていて、それを補助する機械だったりするんじゃなかろうか?
その場合俺がこうやって興味本位でチラチラ見ているのはかなり失礼に当たるのではなかろうか?
いかん、その場合とても申し訳ないぞ。
かといって突然謝っても何だこいつはとなるのは確実だ。
気にはなるがそこはクラスメイトとなる訳だし、その内知る機会もあるだろう。
そう思い直し前へと視線を戻そうとし・・・・・・たが、件の少女がこちらを向き目が合った。
とても気まずい。
見ているのがバレたのだろうか?
しかし目が合ってしまった以上、ここでいきなり視線を外すというのも不自然だろう。
そうだ、こうなってしまえばお隣さんということで軽く挨拶をしてこの場は済ませてしまおう。
うむ、これは中々良い案ではなかろうか。
チラチラと見てしまっていたのは挨拶のタイミングを計っていたとでも言えばおかしくないだろうしな。
そう思い口を開こうとしたところ、先に件の少女が声に出した。
「あの、あまり見ないでください気持ち悪いです」
「ごめんなさい」
本当にごめんなさい。
反射的に謝ってしまう。
ジロジロと見ていた俺が悪かったです。
でも無表情で言わないでくれ心に刺さる。
自身の心臓部辺りにグサりと矢が刺さるのを幻視しながら項垂れるも、嫌なことに姉二人の
故にすぐさま再起動した俺は下ろした視線をもどした。
すると不思議なことに、目の前の少女はどうも困った表情をしていた。
端的に言うならば言葉を間違えたと言ったところだろうか。
いやでもいくら何でも間違えたといったレベルで出てくる単語ではないだろう。
そう思いながらも何も言えずにいると、少女が唐突に頭を下げた。
「すみません。冗談のつもりでしたが上手くいかなかったようです」
「冗談だったのか!?」
「はい、母より人とのコミュニケーションには冗談を交えることが好ましいと言われておりますので」
いやいやいや、初対面でいきなり鋭角な言葉を投げ掛けるのは冗談じゃなく喧嘩を売っているだけだと俺は思うのですが!?
そもそも冗談だったとしても最初の一言目からというのは難易度が高すぎなのではなかろうか。
あ、待てよ・・・・・・。
「それってさ、ひょっとすると冗談を言い合える仲になるのが好ましいって感じじゃないのか?」
「・・・・・・ああ、なるほど。それは興味深い意見です。御教授下さり感謝します」
「お、おう・・・・・・」
変わらず無表情のまま再び頭を下げる少女に、思わず言葉が詰まる。
悪気があったわけでもないだろうし、悪い子でもないのだろう。悪気が無ければいいって訳でもないのかもしれないが、俺は別に気にはしていない。
ただ、今まで自分の周りに居た人達の中には居ない初めてのタイプだったもので少しばかりたじろいでしまった。
「・・・・・・?」
俺が反応に困っていると首を傾げる少女。
慌てて俺は反応を返す。
「あ、ごめん。ただ、どうにも今まで出会ったことのないタイプの子だなと思ってさ」
俺の周りに居る人達は皆が皆、個性的だ。
女なのにお姉さまと同性に呼ばれて慕われる姉1、どうにもやることなすことダイナミックな姉2、斬ればわかると言って憚らない幼なじみ1、謎が目の前に在れば改造か解体をしたがる幼なじみ1の姉、殴ればわかると言って憚らない幼なじみ2。
うん、これ個性的ってレベルじゃない気がするぞ。
というか比較対象が悪すぎる気がして来た。
そんな中でこの子はとても静かな印象だ。
周りの人達が“動”をその身で表したような人達ばっかりだったから、“静”をイメージさせるこの子は本当に新鮮に感じる。
そんな風に感じていると、目の前の少女が微かに笑った。
本当に少しばかり口角が上がっただけなので、見間違いかとも思ったが先程までの無表情具合と比較すれば確かに笑った。
「何だか嬉しそうだな」
「嬉しい・・・・・・、私がですか?」
「ああ、さっきからずっと無表情だったけどさ、今は何だか嬉しそうだ」
「私に感情は、いえ、どうでしょうか。ひょっとしたら嬉しいのかもしれませんが、よくわかりません。ただ、個性的だと言われたのは初めてです」
そう言いながらも既に先程の笑みは消えていた。
それに何とも不思議な言い回しだ。
まるで端から感情は無いような言い方。
確かにずっと無表情ではあったが、どう見ても普通の女の子だ。
“普通”という定義には些かズレがあるかもしれないが、それでも女の子以外の何ものにも見えない。
なのになぜ彼女はあんな言い回しを?
そう頭の中で考えていると、彼女は突然入口の方へと目をやった。
「話は終わりにしましょう。どうやら教員が来たようです」
「きょういん?」
一瞬何の事かと思ったが、そうこうする内に前の扉から女性が入って来た。
その手には出席簿らしき薄い板。
なるほど先生の事だったのかと納得する間にも、ふと疑問が出る。
なぜ彼女は扉が開く前から先生が来ると分かったのだろうか?
誰かが来るなら兎も角、先生だと確信していたのか。
いや、これは考え過ぎだな。
よくよく考えてみてもうちの姉も気配がどうとか言っていたりするし、彼女も実は何かしらの武術に精通しているのかもしれない。
それよりも、もう先生が来たわけだから俺も前を向かないといけないだろう。
一番前の席だというのに、俺が明後日の方向を向いていては色々と問題だ。
先生が教壇に立つのに合わせて俺は身体を前へと向ける。
チラリと最後に彼女の方を向けば、彼女もまた前方を注視していた。
少しばかり気になる子だったが、どうせ暫くは隣の席だ。
お隣さんの好みで、仲良くしてもらえるといいな。
そう思いながら、俺は今にも泣きそうな先生の話へと耳を傾けるのだった。
いかがだったでしょうか?
短めではありますが、導入だし許してください。なんでもしま(ry
さておき、コウジュの次なる命題とPSPo2iにおける未だ触っていない部分とのコラボを考えましてISで暫く書きたいと思います。
色々と次に行く世界を書いて下さった方が居て本当にうれしかったです。
実際に書きたいなぁと思う世界も多数あったのでポチポチ書いていたりはしますが、未だ形にはなっていないので、一先ずできたISから行かせて頂こうかと思います。
色々ツッコミどころがあるとは思いますが、どうぞよろしくお願い致します。
>>P.S.
PSO2、FGO、スプラ2に加えアズレンもちょこちょこやり始めました。
ルルイエでKoujuが居たらたぶん私だと思います。