可愛い妹が頼もしすぎる幼兵と化していた。

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深夜廻感動したので、某実況者様の動画のコメントに書かれていた◯◯の◯◯からイメージしました。




妹が頼もしすぎる件

 

 

私の街には良くないナニカが蠢いています。

 

それは、もう毎晩のように。

 

ゆっくりゆっくりと進む時計が

 

煩わしくて、

 

恐ろしくなって、

 

どうしようもないまま朝を待ちながら。

 

それでも長い長い、夜は続きます。

 

だから、夜はいつもヒッソリと家で過ごしていました。

 

あの時までは。

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

「おい、姉さん。止まっときな。」

 

 

小さな背中には似合わない様な、どこかハードボイルドな雰囲気を醸し出す少女が渋い顔をして言う。

 

 

「ふん。心配することはねえさ。あのデカイのは徘徊型だからな。通り抜けるのは容易い。」

 

 

ーー赤いリボンにリュックを背負った私よりもずっと小さなその少女は、紛れも無い私の妹の筈なんだけれど。

 

「チッ!五月蝿え、ハエまで湧いてきたか。…仕方ねえ。ちょいと待ってな姉さん。すぐに撒いてくるぜ。もう少しだけ動くんじゃねえぞ?」

 

待ったをかける間も無くそう言って駆け出した妹は、地響きを立てながら歩いてくる大きな怪物と、目玉が飛び出たサイズのおかしなハエの様な相手をスルリと躱して細い路地に駆け込んで行った。

 

不快な羽音を立てながら、ハエのようなナニカも妹を追って路地に入っていくが、スピードが違いすぎる。

 

 

(脚、凄く速くなったんだね〜。)

 

 

我ながら場違いすぎる感想を思い浮かべながら、情けないが、少しだけ腰が抜けてしまっていた私は妹の言うことに従わざるを得なかった。

 

姉として、囮なんて役割は本来ならば私がやらなければならないのに。

何も出来ないどころか逆に助けられてしまっている。

 

不甲斐なくて、そして何よりも恐怖を押し殺しているのだろう、全く気にした様子もなくあの暗闇の中をあの子が駆けていくのをずっと見ているしか出来ない。

 

……本当は怖いのよね?高笑いなんてしてないよね?

 

 

鼻歌交じりに石を投げて人の顔をした大きな犬をやり過ごして戻ってきた妹を視界に収めながらも、私の心臓は早鐘を鳴らし、辺りから思わず目を瞑りたくなってしまう。

 

 

大きな怪物の後ろに着くようにしてナニカ達が向かって来ていたのだ。

 

ふと、目が合ってしまったような気がして直ぐに首を引っ込めるも、腕が、足が、カタカタと震えてしまう。

 

バレないようにと必死に壁側に身体を押しやって、悲鳴をあげてしまいそうな口を肩を抱く手とは反対の手で抑える。

 

 

その後数分の間、ズシン、ズシン、と響いていた足音がやがて聞こえなくなるまで私は看板の後ろで息を潜めているしか出来なかった。

 

 

音に反応すると(妹が)言っていたミイラや背が高い唸り声を挙げる見るからにオバケな白い奴、ポンポンと跳ねながら不自然に移動してくる紙風船。

 

 

私が顔を上げてみると、見るだけでも怖くて堪らないナニカ達は、それはもう見事に、モーゼの絵画かな?とでも言うように、漏れなく道の両サイドの壁に釣られていた。

 

バグったゲームのキャラが壁に向かって歩き続けているように、壊れたAIを組まれた敵のように、壁に、正確には壁の隙間に刺さるようにして投げられている石にむかって。

 

 

興味を無くす頃になると、計算し尽くされている様に、直ぐ様また壁の隙間に、スコンっと音を立てて尖った石や丸い石がぶつかり合う。

 

 

その丁度真ん中でこちらに向き、小石を弄びながらもハンドサインで私を呼んでいる人物は、不敵に笑みを浮かべ、口元にはキャンディの白い棒を咥えている。

 

ゆっくりと呼吸を整え、何とか足に力を込めて立ち上がりながら、そちらへ足音を立てないように慎重に向かう。

 

 

街灯があるから必要ねぇなとでも言いたげに首にぶら下げていた懐中電灯を消し、やがて石を投げるのに飽きたのか欠伸まじりに紙ヒコーキを投げて、白い奴を別の道へ追いやり、湧き出すように現れた顔の形の靄のようなナニカを大きめの石を投げて貫通させ霧散させ、目の見えない包帯ミイラをやはり壁の石を落として転ばせて、無力化させた。

 

 

ーー昔は遊園地のお化け屋敷に心底怯えていたというのに。

 

「ミッションクリアー。ふん、悪く無いタイムだ。」なんて言っているそのイケメン過ぎる人物は、姉として認めたくは無いけれど、やはりと言うか、どこまでも可愛い私の妹だった。

 

 

紙風船?蹴り飛ばされてたよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

周囲を警戒しながら毎晩のように町を廻っているのにはもちろん理由がある。

 

ある日を境に家の中にもあのナニカ達のうちの一部が入ってくるようになってしまったのだ。

 

商店街の取り壊しが決まったせいなのかどうかは分からないけれど、顔を知っている人達もそうでない人達も、不幸な事故が続き、少なくない人数が引っ越してしまった。

 

 

引越しをしたいと、私と妹は思うけれど、そう簡単には行かないので町に残ることになっている。

 

…何よりも最後まで私と妹を護ってくれたあの子に何の挨拶もせずにここから去ることなんて出来るわけがない。

 

例え住む場所が変わっても、供養にも墓参りにもきっと私達は来るし、来たいと思うから。

 

 

だから、この町からは離れられないんだと思う。

 

 

辛いことばかりが思い出じゃない。そう思うから。

 

 

 

 

 

そうなると、問題なのは家に入ってくる大きなお化け達、そのうちの一つ、噂が呼んだ夜の怪物、けれど町を見守る恐ろしくも優しいお化け。

 

'''夜に子供が出歩くと、夜廻りさんにさらわれてしまうよ'''

 

ただの噂であったなら、子供に言い聞かせるお説教話に過ぎなかったのに……。

 

 

一度、アレに攫われた身としては到底馬鹿に出来ない話だ。

 

 

私には分からないけれど、妹は、夜廻りさんだけは見守っているだけだと言う。

 

他のお化けも、夜廻りさんも、山の神様も……下手をすれば、人間も、大差無いと思ってしまうのは、きっと良く無いことなんだろう。

 

結局私も妹も、大切な家族を失ってしまっただけかもしれない。教訓なんて得られなかったかもしれない。

 

けれど、忘れてしまっていたこの感情は、もう忘れることはないんだと思う。

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

長く、長く感じる夜でも、きちんと時間は進んでいるので、だんだんと朝に近づいてくる。

少しだけ眠いけれど、とっくに日付けは変わっており、今日もこうして一日が始まる。

 

………正体不明のナニカ達との追いかけっこを日常や通常などと呼んで良いのかは分からないけれど、今日も通常通りに朝日が昇ってきたのが見えたので、私はとてもホッとしている。

 

ホラーなんか目じゃないけれど、そういう話では夜に取り残されたりする話もあるので、そう考えると、やっぱり今回も問題無く、通常通りの夜だったのだと思える。

 

 

「姉さん、陽が見えかけても家に着くまでは用心しときな。」

 

 

はい、ごめんなさい。その通りでございますね。少し浮かれてました。

 

 

ーーそんな風に叱られて、少しも油断しない妹に頭が上がらないのは内緒だ。

 

 

 

あ、そうそう。一つ付け足しを。

 

もちろん、妹がこんかハードボイルドな口調でいるのは夜の間だけである。

 

普段はまだ甘え盛りの可愛い妹なのだ。

 

 

私も最初は戸惑ったけれど、「意識を切り替えているんだ。任務に支障は無い。」そう語っていた妹の背後に、段ボールが似合いそうな軍人の姿を幻視したりしなかったり。

 

 

もしも、一日中可愛い妹がこんなイケメン口調だと、惚r……ギャップm……違う違う。そう!アレだ、私だけでなく他の人も困ってしまうので、今では助かっていたりもする。

 

 

 

 

…妹の眼帯の訳を、私は一生忘れない。本人(夜モード)は実際のところを語りたがらないので、私の推測でしか無い話ではある。

 

でも、これだけは分かる。

 

 

私は、あの子とこの子に助けられたのだ。

 

 

 

 

……よく御守りを持って壊されてしまった神社に向かう妹がどこか遠くにいるようで、遠くに行ってしまっているようで、偶にとても怖くなる。

 

離れ離れになってしまうのはもう嫌だ。

 

 

 

 

 

 

もしかすると、私の方が怖がりになってしまって、そばにいてほしいと、駄々っ子のごとく甘えてしまっているのかもしれない。

 

妹に引け目を感じて、恩義を別のものに置き換えてしまっているだけかもしれない。

 

頼もしい妹に甘えて、保身に走っているだけかもしれない。

 

 

 

 

 

 

否!!!断じて否だ。

 

まったく、自分の思考に嫌気がさしてくる。

 

ー恩を返す?引け目を感じる?助けられたから?

 

 

 

馬鹿にするなよ!!?私はこの子の姉なのだ。そんなもの当然だろう!

 

喜んでこの子の片目になろう。この子が何かから離れたいと言うのなら幾らでも力になろう。それが例えば、私からだとしても…だ。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

思考を戻して、妹に引かれていた手を握りなおして辺りを見ると、もうすっかり白くなってきていて、もうすぐ家に着く辺りだった。

 

(注意されたばかりで考え事に夢中になっていたとか言えない…。)

 

 

… …あと、これは、まあ、姉としてというよりも家の事を任されている身として言わせて貰うんだけれどもね?

 

 

「ねえ?ありがとうって言う前に聞いていい?」

 

「どうした姉さん。」

 

「ソレ、何持ってるの?」

 

「……た、ただの置物。」

 

「そっか。カタカタって動いてない?」

 

「だ、大丈夫だ、も、問題ない。」

 

「…そっか。」

 

 

とりあえず私の目下の問題は、毎回のようにどこで見つけてくるのか、いつのまにか繋いでいる方とは反対の手に、名状しがたいナニカの拾い物を拾ってきている妹のこの癖をどうにかすることだと確信した。

 

 

 

 

 

 

 

さてと、お説教は後にして、と。

 

 

先ずは家と、あの子の小屋に向けて、しっかりと伝えよう。

 

「「 ただいま。」」

 

 

…妹も同じことを考えていたらしい。

 

 

 





思いついたは良いけど続けられないですねぇ…

だれか書いてくれても良いのよ(チラッ

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