ブルメシアの焔尾   作:makoron

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大変お待たせしました。
今回は大分難産でしたので粗い表現になってるかもしれません。
あと流血表現あるのでご注意ください。


第13話

自分の手を見る

 

人に血に塗れ、真っ赤に染まっている。服は元々赤かったけど更に赤黒い返り血で汚れている

俺の目の前には既に事切れている人間がいる、俺は今日初めて人を殺した・・・・

 

 

前日

 

 

『んで?明日の仕事ってのは?危険っつーのは前に聞いたけどさ』

「おぅ、シドのやつからの依頼なんだが、なんでも不正をしている貴族の証拠を取ってきてほしいんだとよ」

『不正?そういうのってシド大公が裁けないのか?』

「証拠が欲しいっていったろ?中々尻尾が掴めなくて参ってるんだとよ、それで正攻法じゃ無理だから俺たちに依頼が来たわけよ」

『なるほどねぇ、んで危険ってのは?』

「そいつは中々手強い傭兵を雇ってるみたいでな、正規兵士でも歯が立たないレベルらしい」

『ふーん、分かった、とりあえず明日に備えとくわ(まさかサラマンダーとかじゃねーだろうな?)』

「おぅ、場所はその貴族の屋敷の裏門近く、時間は明日の早朝3時だ、遅れんなよ」

 

そして翌日の3時頃

 

「さてオメーら、今の時間帯は警備がある程度手薄だ、予定通りマーカスとシナは潜入して証拠を探してくれ、俺とブランクは陽動だ」

「とりあえずこのブリ虫の袋詰めをプレゼントしてやらねーとな」

 

さっきからブリブリとしてた袋はやっぱりブリ虫かよ、本編でもそうだけどそれ好きだねぇ・・・

 

「んでブレイズ、オメーは潜入するマーカス達についてってくれや、いざって時には護衛してやってくれ」

『了解、出来ればそうならない事を祈るけどさ』

 

今回の相手は人間だからな、それに不正をしてる貴族にやとわれてるとはいえ傭兵には恨みもないし出来ればやりあいたくはねぇな

 

「よっしゃ、作戦決行だ!」

 

そうして二手に分かれる

俺は潜入組のマーカスとシナと一緒に建物の中へと入る

 

「証拠とか資料とか言えば大抵その貴族の私室にあるズラ」

『となれば屋敷の構造的に上の方だろうな、階段を探すか』

「ボスの方も上手くやってくれたみたいッスね、警備が大分手薄になってるッス」

 

どうやら正門付近の方に警備してた傭兵が集まってるようだ、大量のブリ虫に四苦八苦してる頃だろう

 

『とはいえ全員を向かわす事はないだろうし残ってる傭兵もいるだろうから注意しねーと』

「そうッスね、あ、階段ありましたね」

「上るズラ」

『待った、やっぱ傭兵がいる、俺が何とかするからそのまま待っててくれ』

 

そっと相手の近くに移動し相手が後ろを向いてるタイミングを見計らって槍を相手の足元にぶん投げる

 

ザクッ

 

「な、なんだ!?」

『シッ!!』

 

顔を見られる前に相手を後ろから絞め落とす

 

「ぐっ!?ううぅ・・・」 ドサッ

『しばらく寝てろ』

 

周囲の安全を確認し後ろに控えてるマーカス達に合図をだす

 

「はぁー、いつ見ても凄い技ッスね」

「瞬間移動なんてはっきり言って反則ズラ」

『とはいえ連発出来る様な手軽なモンじゃねーけどな、計画的に使わないとすぐガス欠だ』

 

敵にはなるべく見られたくはない、マーカス達はまだしも俺はネズミ族だ、顔を見られればあっという間に特定されかねない、ネズミ族がリンドブルムの貴族の屋敷を

襲撃したなんて知られればブルメシアとリンドブルムの関係にも響くかもしれない、まぁブルメシア王なら俺の事を切り捨てて俺の単独犯行という事にするだろうな、俺もそこは納得せざる終えない

その場合は俺は二度とブルメシアの地に帰る事は出来なくなるだろうだからかなり危ない橋を渡っている事になる

一応すぐにバレない様に顔をフルフェイスのメットで隠してる(イメージはフライヤ姉さんのトランスした時のフルフェイスアーマー姿が近いかな)

 

『お?また傭兵がいるな・・・・今度は3人か、流石に1人じゃバレずに落とすのはキツイな』

「なら俺達も同時に仕掛けるッス」

「ブレイズだけにまかせっきりじゃかっこ悪いズラ」

『ああ、頼む』

 

ステンバーイ、ステンバーイ・・・・GO!!

 

「な!?賊か!?テメェr、ぐはぁ!!」 ドサッ

「ど、何処に隠れていやが、ぬわぁ!!」 ドサッ

「くそ!よくもやりやがったなぁ!!」

 

『はいお疲れさん』 バキィ!!

「のぎゃ!!」 ドサッ

 

 

後ろから最後の1人を片付ける

 

『よっしゃ、コレで全員だな』

「上手くいったッスね、あ、そこが例の貴族の私室みたいッスよ?」

「鍵が掛かっているズラ、ここはおいらに任せるズラ」

 

とシナがピッキングで扉の鍵を開けにかかる

 

カチャカチャ・・・・ガチャ

 

「あいたズラ」

「例の貴族はいないみたいッスね」

『いや待て、隣の部屋に気配を感じる・・・だけど眠ってるみたいだな、恐らく隣は寝室か、なら・・・』

「何しに行くズラ」

『せっかくグッスリ眠ってるんだ、もっと深い眠りについてゆっくりしてもらおうと思ってな?』

 

そういい懐からとある薬品を取り出す

 

「それってなんスか?」

『ああ、スリプル草を煎じたお香みたいなモンだ、起きてきたらメンドーなんで起きないようにしてくる』

 

寝てる相手にスリプル草飲ませるのは無理だから嗅がせられるようにお香みたいにした、自分が嗅いでしまって自滅しないように注意しないとな

スリプル草を煎じたお香を焚いてその貴族の枕元に置く

 

『ゆっくり眠ってろ、起きたら色々大変な事になるからな?今くらいは安眠してな』

 

いかにもなヒゲをたくわえた太っちょの貴族にそういい残しマーカス達のいる私室へ戻る、同じヒゲでもシド大公とはみてくれのよさは段違いだな、シド大公のほうが渋いイケメンだわ

 

『さてと証拠を探しますかね、ちなみに寝室の方にはそれっぽいのは無かったからやっぱ私室が怪しいな』

「了解ズラ、さっさと探すズラ」

 

物色中・・・

 

「変なモノばかりあるッスねぇ」

「あんまり趣味が良いとは言えないズラ・・・」

『ああ全くな、黒い噂はあったけど、悪趣味なのは知らなかったな、知りたくもなかったが』

 

さっきから見つかるのは悪趣味な道具や嗜好品ばかりだ

 

『なんだこりゃ?ってオイオイ・・・お約束のスケベ本かよ!?』

 

FF9の世界にもスケベ本ってあったんだな、書店に行ったことあんまりないから知らなかった、本は大抵リンドブルム城の図書室を借りてるしな、そんなところにスケベ本置くわけないだろうし

 

『ふんふん、やっぱ人間モノだから全然何とも思わん、ネズミ族のエロは無いのかオイ?』

「ブレイズさん・・・変な本読んでないで探してくださいッス・・・」

『あぁ悪い!』

「ブレイズって時々抜けてるところあるズラ」

 

『ぐぬぬ、言い返せない、・・・お?これは』

 

スケベ本が置いてあった引き出しの奥に何かある

 

『・・・・ビンゴだ、不正な資金のやり取りの事が書かれてる書類だ』

「見つかったッスね」

『ああ。しかもそれだけじゃねぇ、あの貴族がやってきた悪行の事とか証明する書類や品物があったぜ』

「これだけあれば、もう逃げ場はないズラ」

 

にしてもスケベ本をカモフラにするとかどんな考えだよ、逆パターンならよくあるだろうが

 

『よし、もうここには用は無い、ずらかるぞ』

 

そうして来たルートを戻っていく

 

「ここまでは順調ッスね」

「でも陽動したの方の騒ぎが大分落ち着いてきてるズラ、早くしないと傭兵達が戻ってくるズラ」

『急いだ方がよさそうだな』

 

「こっちに行くズラ!」

 

もと来たルートは既に傭兵達が詰め掛けてきていたのでルートを変えた、事前に屋敷の構造はシナが覚えていたのでシナが先導する

 

「あとはここを抜ければ屋敷の外へ抜けられ・・・!!??」

 

とシナが咄嗟に自前のトンカチでガードする

 

ガキィン!!

 

ルート上に敵が待ち伏せていたのだ、シナは何とか不意打ちを防いだがその場に倒れこんでしまった

 

『シナ!!危ねぇ!!』

 

既に敵はシナに追撃しようと剣を振りかぶってる、今からじゃかばうには間に合わない、迷ってる暇はなかった、あの技を使うしかない!!

 

『シフトブレイク!!』

 

持ってる槍を敵に投げる、槍は敵の胸に突き刺さった、そしてその場にシフトする

 

「ぐああああ!!」

 

敵は断末魔を上げて倒れ伏した、おびただしい血が噴出し、返り血を浴びる、その他にも数名敵がいたので即座に槍で敵を斬り伏せる

 

 

ザシュ!!「ぎゃああ!!」

ドシュ!!「うがああ!!」

 

無我夢中だった、手加減するとか、殺さないように急所を外すとか全く考えられず槍を振るった

気づいた時には血貯まりの中に数人の死体が倒れていてその中心には返り血で真っ赤になったブレイズが佇んでいた・・・

 

自分の手を見る、血で真っ赤に濡れている

 

俺が・・・殺した?人を?・・・なんで?・・・殺したかった?・・・違う!!俺はシナを助けようとして・・・

殺したかったわけじゃ・・・・そうしないといけなかったから・・・言い訳じゃない・・・違う・・・違う違う違う!!!!

 

「ブレイズさん!!!!」

 

はっ!?

 

とマーカスの声で我に返る

 

「落ち着いてくださいッス!今はここを抜ける事が先決ッスよ!」

「ブレイズ、助けてもらったズラ、ありがとうズラ、だけど今は走るズラ!!」

『あ・・・・ああ』

 

そうして俺達は屋敷を無事に抜け出した

 

ボス達と合流したが、様子がおかしいブレイズにバクーはマーカスに事の顛末を聞いた

 

「そうか、あいつ多分人を殺すのは初めてだったんだろうな」

「やっぱりそうなんスか、あの様子から何となくは分かってたんスが」

「モンスターとはよく戦ってたの知ってたが・・・」

「モンスターを殺すのと人を殺すのじゃワケが違う、だがこればっかりはアイツ自身の問題だ、最後はアイツが越えなきゃいけねぇ問題だ」

「どうするズラか?」

「だけど、ちぃとばかしお節介でもするかな、ひとまずはシドの奴に成果を報告しねぇとな」

 

とバクーはそう言い、その場を解散させリンドブルム城へと向かった




次回は

人を殺す事への葛藤について書く予定

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