2013/09/02
EXマテを購入熟読した結果、サーヴァントSTに修正を加えました。それに伴い、本編も僅かではありますが修正されておりますので、お気をつけ下さい。
あれから、くだらないことで令呪を使ったことをキャスターから説教される等一悶着あったものの、どうにか現状の把握は完了した。これは桜、BBではなく白い桜のお手柄である。
まさか、己がサーヴァント(受肉済)になっているとは夢にも思わなかったが、聞けばそれ以外方法はなかったのだということがよく分かる。むしろ、よくこんな裏技を思いついたものである。身体のスペックが劇的に上昇しているのはこの為らしい。
なにせ私は元の世界において、西欧財閥の次期総帥である『レオナルド・ビスタリオ・ハーウェイ』、その護衛役にして障害の排除を担当する『ユリウス・ベルキスク・ハーウェイ』、レジスタンスで凄腕の霊子ハッカーである『遠坂凛』、アトラス院に所属する錬金術師にしてその粋を集めたホムンクルス『ラニ=VIII』、イングランド王国の騎士にして女王の懐刀『ダン・ブラックモア』、最悪の破戒僧『殺生院キアラ』等、世界有数の存在を降してムーンセルを独占した最強最悪のイレギュラーなのだ。特に知名度的に有名で万能な天才と名高いレオと凛を降したというのが大きいらしく、私の能力はかなり過大に評価されたらしい。もっともBB曰く、
この時、私は覚悟を決めて、自身が代替であることを二人に告白したのだが、両者の反応は「ふーん、それで?」というつれないものであった。代替であることが、私が成したことには何の関係もないことだと彼女達は言った。むしろ、それを成したということこそが重要であり、私が代替であろうとなかろうとそんなものには意味は無いとすら言われた。私的にかなり勇気を必要とした告白だっただけに、何というか拍子抜けであった。むしろ、あまりのどうでもよさ気な態度に憮然としたほどである。
というか、キャスターから言わせれば、何を今更ということになるらしい。メッキがはられたに過ぎない魂を彼女は契約当初から見抜いていたのだから、当然なのかもしれない。彼女としては、自分が育て上げた磨きぬいたイケ魂ということで、最初からイケ魂だった場合とは別種の愛着があるらしい。私にとっての重要な秘密はなんのことはない。彼女にとっては、最初からわかりきったことだったわけである。
桜にとっては、あの時救ってくれたのが私であることが重要なのであって、外見皮が何なのかは問題ではないということであった。まあ、確かに桜をある意味救ったのは己であるし、BBと月の裏側で交流したのも己であるが……。
ちなみにここである問題が浮上する。それは私の名前である。『岸波白野』は代替としての名前だし、私の英霊としての真名は無銘、知られざる英雄ということになるらしく、名前と呼べるものがない。それでは、この世界で新しく生きるにあたり、相応しくないだろうということで、新しい名前を決めることにした。
姓の方はあっさり決まった。『黒桐』である。友人であった『間桐慎二』と白い桜こと『間桐桜』から間桐を拝借し、
揉めたのは名のほうである。キャスター改め、玉藻が提示したのが『歩』と『徹』であった。前者はどんな時も諦めず歩みを止めなかったことから。後者は己の道を最後まで貫き通したことから。ちなみに、玉藻は『徹』押しで、桜は『歩』押しであった。散々迷った末、玉藻の意見を採用し『徹』とすることにした。『黒桐』で桜に配慮したから、バランスがとれると考えた為だ。玉藻は言霊的に有用な名前だと喜んでいた。そこら辺まで加味している辺り、流石は呪い系女子。所持スキルである呪術EXは伊達ではないということなのだろう。
こうして『黒桐徹』は誕生したのだが、玉藻は相変わらず『ご主人様』と呼ぶし、桜は言わずもがな『センパイ』呼びであるため、ぶっちゃけ何かが変わったわけではないが。まあ、気分の問題である。
では、そろそろこの世界のことに移ろう。私達が現在いる場所は、「
玉藻と桜と話し合った結果、当面ヘラス帝国内で活動し、旧世界への渡航費用及び活動資金を貯めるということになった。どうも、両者の言うところによると、この魔法世界は私達にとって居心地はいいが、それだけ不自然な世界であるということらしく、できる限り早く旧世界に渡るべきだというのが、彼女達の言い分だった。サーヴァントとして肉体を動かすのは初めてなので、彼女達の言う居心地の良さは私には分からない。
だが、太陽の神霊である玉藻と月を一時的とはいえ支配下においた女王である桜が言うのだから、それはけして間違ってはいないのだろう。
さて、そんなこんなでこの世界に来て早一年、私達は賞金稼ぎというヤクザな稼業をして、お金を稼いでいた。なんせ、玉藻は元々神霊であるハイ・サーヴァントな上、神話礼装を解放済だし、桜は英雄複合体である。私は違うといいたいところだったが、桜のエコ贔屓+知名度補正(月で召喚されたので最大限に補正がかかっている)+後世の人々の過大評価により、サーヴァントのステータスにして全ステB以上とかおかしいことになっているのだ。魔力に至ってはEXだし、これではどうあがいても、自分だけは違うなど言えようはずもない。こんな規格外が三人も揃っているのだから、普通の手段で穏便に金稼ぎなどできようはずもなかったからだ。
だが、意外にも……いや、よく考えれば意外でも何でもないが私達に賞金稼ぎはよく向いていた。魔法世界全てを巻き込む大きな戦争の後で復興期にあった為、戦争犯罪人やら脱走者やら賞金首は溢れていたし、戸籍云々を問われることもなかったからだ(ちなみに戸籍自体は、後に私と桜がデータベースを改竄して、正規のものを取得している)。前衛を玉藻が務め、後衛が桜、中衛が私という隊列で、私達は並み居る賞金首を薙ぎ払っていった。基本的に全員が後衛型の魔術師というのがアレだが、サーヴァント3騎は伊達ではない。そこに表裏の聖杯戦争で培われた戦闘経験と戦略&指揮能力を生かせば、いかなる相手だろうが基本的に蹂躙にしかならないのだから、酷い話である。私達は着々と資金と必要のない名声を得て行った。
そういえば、この一年で分かったことがいくつかあるので、簡単に羅列しよう。
一つ、私は礼装を用いてやっと使用できたCODECASTを、こちらで言う魔法として礼装無しで使用可能。
一つ、令呪は月齢が一周すれば、一画回復する(但し、消費分のみ)。
一つ、私のクラスとスキルがおかしい!ていうか、エクストラクラス『タイプ・ムーン』って何?月のアルテミット・ワンって何だよ?!後、後世の人達、大罪人扱いとか酷いし、
一つ、私の宝具はある意味納得だったが、フザケンナ!チート乙と言いたくなる代物だった。
一つ、私の右腕の腕輪はムーンセルそのものだった。
一つ、玉藻に神話礼装を使わせてはならない(色々酷いことになるので)。
…etc.軽くあげてみたが、何というか色々酷い。特に私に対する白い桜さんの贔屓の凄まじさには、笑うしかない。
そんなわけで、賞金首相手に無双の限りを尽くしていたわけだが、最近周りの目が怪しい。具体的に言うと、出身や所属を問われることが多くなり、仕官の話がチラホラと振られるようになっていた。どうも、お偉いさんに目をつけられたようだ。そりゃ高額賞金首を軒並みかさらっていたら、目もつけられますよねー。
こちらの魔法というのが新鮮で、かつ指揮だけでなく自分も戦えるということに知らず知らずのうちに酔っていたようだ。必要以上に稼ぎ過ぎた。最早、旅費どころか10年は遊んで暮らせる資金がすでにあった。手段の方にのめり込んでしまうとは、なんという本末転倒。猛省しなければならない。
というわけで、家族会議と相成った。
「第3回家族会議!議題はご主人様が調子にのってやらかしたことについての対策ですね」
確かにその通りだが、身も蓋もない上に全く容赦が無いですね、玉藻さん……。ちなみに第1回は「現状把握&これからどうするか」で、第2回は「本契約は玉藻と桜、どちらとするのか」であった。第1回はともかく、第2回は本気で死ぬかと思ったものである。
なぜかというと……ああ、その前に本契約について説明しておこう。この世界には魔法使いとその従者で結ぶ特殊な契約が存在する。これは元来、魔法使いは呪文詠唱中は全くの無防備であり、攻撃されれば呪文は完成しないため、それを守護する従者との間で結ばれるものであり、契約した従者には固有のアーティファクトが手に入るなど、色々な利点が存在する。この簡易版お試しとも言える仮契約もあるが、私達の間柄で今更お試しもくそもないので、本契約用の魔法陣を買ってきたというのが、玉藻の弁である。
だが、ここで一つの問題が生じてしまった。仮契約とは異なり本契約は原則一人だけなのである。当然、玉藻も桜も自分こそがと主張した。特に玉藻などは元より自分が調べあげて思いついたものだからなどと強硬に主張(これは自分が使うことを想定して、魔法陣がキスして契約させるタイプだった為)していたが、私が選んだのは桜であった。それを告げた瞬間、玉藻は神話礼装を解放して『呪法・玉天崩』しようとするし、桜は桜で対抗して、『
無論、玉藻ではなく桜を選んだのは、もちろん理由あってのことである。その理由を以下に列挙しよう。
一つには、私と玉藻の間には未だに厳然たる契約が存在し、霊的パスも健在である為である。
⇨この世界とは全く異なる術理で結ばれたものなので、本契約がどのような影響を与えるか不明。
一つには、私と桜の間にも確かな繋がりを作るためである。
⇨感情面での繋がりは言うまでもないが、霊的・魔術的な繋がりもあった方が何かと便利であるから。
そして、最大の理由が私達の間に今更そんなもの必要がないということである。私と玉藻の間には確固たる絆がある。苦楽を共にし、互いの生死を分かち合い育んできた絶対の絆が。こればかりはいかに桜でもかなうことはない。それどころか、私の宝具は他ならぬ玉藻自身だし、そもそも彼女は呼ばれなくても来る肉食系愛妻狐であるなのだから。
そんな事を説明したら機嫌を直してくれたで良かったが、今度は端で聞いていた桜の機嫌が加速度的に悪くなっていた。私にどうせいというのだ!後日、さんざんご機嫌取りに振り回されることになったのは、完全に余談である。
まあ、そんなわけであまりいい記憶がない家族会議である。しかも、今回槍玉にあげられているのは己であり、自身でも完全に己が悪いと分かっているだけに肩身が狭い。なんというか、今の段階から、胃が痛くなってくる。
「玉藻さん、その言い方はちょっとあんまりじゃないですか?私達もなんだかんだ言って楽しんでましたし。玉藻さんだって、センパイに守られたりして嬉しそうだったじゃないですか」
桜さん、ナイスフォロー。普段の小悪魔っぷりが信じられないくらいです。ああ、女神様がおる。
「それはそれ、これはこれです。桜さん、いかにご主人様とはいえ甘やかしてはいけません。それに今はともかく、最初のうちは無用に前に出たり、変に男らしくて苦労させられたんですから、それと相殺ですよ。というわけで、ご主人様が悪いのです」
ちょっ!玉藻さん!?確かに反論しようのない厳然たる事実ですけど、もう少しオブラートに包んでくれませんかね。黒歴史を他者の口から赤裸々に語られるのはダメージ大きいんですけど……。
「ああ、確かにその通りですね。確かに月では護られるばっかりで、御自分で何かができないことが不満だったのは分かります。ですが、いくら御自身で戦えるのが嬉しかったとしても、純粋後衛型の魔術師が前線に出るのは無謀でしかありませんよ」
ああ、桜までそんなことを……。いや、確かに身の程を弁えずにやらかして、そのせつはご迷惑をおかけしましたが、今回のことは流石にお二人も同罪なんじゃないですかね。
「……ノリノリで高笑いまでしていたくせに」
せめてもの反撃に、仕留めた賞金首を足げにして高笑いしていたことを小さな声で指摘してみる。つい最近の事であり、神話礼装を解放した玉藻の暴走っぷりが凄かっただけに記憶に新しい。
「ご主人様、何か言われましたか?……(そんなことはありませんでしたよね?)」
流石の地獄耳である。玉藻にはしっかりと聞こえていたらしく、凄い勢いでこちらに向き直る。ちなみに後半部分は私だけに聞こえる念話で伝えられた。顔は満面の笑みなのに目が笑っていない。要するになかったことにしろ、忘れろとこの腹黒狐は要求しているのだ。
そんな都合のいい話があってたまるか。これを突破口にこの弾劾裁判じみた家族会議を終わらせてやる!……と言えたら、私は今日まで苦労していない。単体ならまだしも、玉藻&桜を敵にまわしたこの状況では自殺行為でしかない。
「……」
私にできたのは、何も言ってないと黙して首を振ることだけであった。弱いとか言うな!私の立場になってみてほしい。女2男1という三人所帯にとって、必然的に優先されるのは過半数を占める女性側であることは言うまでもないことだろう。
大体、玉藻には桜のことを許容してもらったという大きな借りがあるのだ。玉藻の一途で献身的な愛情に対して不誠実であるという自覚はあるし、正直うしろめたい気持ちもある。彼女は二人まではセーフですと言ってくれたが、それはそれこれはこれである。私は一人の男として、相応の責任を取らねばならない。
とはいえ、それで私の玉藻への対応が変わってしまったら、許してくれた彼女に対する侮辱であり本末転倒である。だから、判断の根幹は変えない。相変わらず、駄目なものは駄目というし、怒る時は怒る。ただ、多少わがままを許容する範囲を広くした程度である。
まあ、女のわがままを許容するのも男の甲斐性だというし、このくらいの配慮は許されるだろう。
「そうですか、空耳だったようですね。いいですか、大体ご主人様は……(以下お小言が延々と続く)」
そんなわけで、この程度なら玉藻に譲ってやるのも致し方なしなのだ。けして、
結局、そこから桜も加わった3時間にわたる説教は、自業自得とはいえ苦痛以外のなにものでもなかった。何もわざわざ正座させることないんじゃないかな。足が痺れて……。
というか、二人とも途中から説教じゃなくて、もっと自分に構えとか、デートの要求とか、君ら私情丸出しだったよね。私は胸の奥からふつふつと沸き上がるものを感じていた。
「……というわけで、これ以上お偉方からの干渉が増える前に、早々に魔法世界から旧世界へと渡るべきかと。とはいえ、折角ですから、この魔法世界の見納めに新オスティア観光と参りましょう」
「そうですね、それがいいと思います」
何がどういうわけなのか、いつの間にか話題はこれから行く場所へと移っていた。いや、本人達にも本題からずれている自覚があったのだろう。こちらの視線から逃げるように顔をあさっての方向に向けているし、どことなくばつが悪そうである。ここへきてようやく、少々やりすぎたことに気づいたのだろう。早々に結論を出して、この場から退散したいという意図が見え見えである。
「そうだな、じゃあそういうことで私も異論はない。────二人とも覚悟はいいな?」
当然、私がそんな二人を逃すはずもない。溜まりに溜まったこの鬱憤、貴様等で晴らさせてもらおうか!
「くっ、ご主人様まさかのマジギレモードですか?!これはまずいです。流石の良妻狐も逃げの一手しか思い浮かびません!」
玉藻が額に汗を浮かべながら、後ずさる。おや、玉藻さんやそっちは出口じゃないよ。なにせ外へでる扉は私の背後にあるのだから。
「セ、センパイ落ち着いて!た、確かにちょっとやりすぎだったかもしれませんが、そこはそれ可愛い私に免じてですね…「桜」…はい、なんでしょうか、センパイ」
桜よ、君は確かに可愛らしいし愛しい女性であるが、それでなにもかも許されると思ったら間違いなのだよ。────我が怒りとこの痺れて最早感覚のない足の恨みを思い知るがいい!
「ここはご主人様が落ち着かれるまで、戦略的撤退です桜さん!」
「それしかありませんね!」
玉藻と桜が顔を見合わせ、同時に動き出す。それも出口のあるこちらではない。外に面した窓に向かってだ。玉藻は脱兎という言葉がそのままあてはまるような動きで一目散に、桜など契約で得た
ああ、そういえば桜が本契約で得た
まあ、それはさておき、おめおめと逃がすと思うてか!
「逃がすか!玉藻、お座り!」
私の左手の甲から、令呪が輝きと共に一画消失する。大人気ないとか、もったいないことするなとかと言うのは禁止だ。どうせ月齢一周で回復するのだから、こんな使い方も許されるのだ。
「ちょっ、ご主人様それ反則!────プギャッ」
令呪の強制力は、命令した内容が明確であったり瞬間的であれば強くなり、曖昧であったり長期間に渡る命令であれば弱くなる。すなわち、今回のような単純明快かつ瞬間的なものであればこそ、その強制力は強く作用する。窓へとダイブしていた玉藻は物理法則を無視したように、その場に強制的に座らされる。体勢が体勢だっただけに少々荒っぽくなってしまったようだが。
「玉藻、貴女の貴い犠牲は忘れないわ!メルトリリスはクールに去るわ」
「桜さん、貴女まさか1人だけ逃げる気ですか?裏切り者ー、鬼、悪魔、黒桜ー!」
メルトリリスとなった桜は、そんな玉藻に見向きもせずに捨て台詞を残しながら、窓から華麗に脱出を果たした。どうにか姿勢を整えた玉藻が文句を言っている。
────玉藻よ、今の君にそんな余裕があると思っているのかい?
私は無言でそんな彼女の前に立った。
「はっ、ご主人様!目がすわっておられる気がするんですが、気のせいでしょうか?」
いやいや、玉藻君、君の見ている通りだとも。さて、覚悟はいいかね?
「あのご主人様、いくらなんでも御自分の伴侶に無体なことはなされませんよね?このいたいけな良妻狐に」
「玉藻、君は良き伴侶だ。だが、だからこそ夫として、必要なことはしなければならないと考えている」
「ちょっ、ご主人様目をそんなに爛々と輝かせて何をするおつもりですか!大体、黒桜は逃げちゃいましたよ。私だけにお仕置きとか酷くないですか?」
ふっ、桜は逃げたか────確かに
「安心しろ、桜にもきっちりお仕置きする。ほとぼりが冷めるまで逃げさせなどしないさ。なにせ桜はその気になれば、いつでも呼び寄せられるからね」
「え、どういうことですか?黒桜には令呪なんて……はっ!本契約ですか!」
流石は超一流の術士にして、賢妻を自称するだけのことはある。そう、私と桜には魔法使いとその従者が結ぶ本契約があるのだ。この契約には、従者が
玉藻は私の宝具を使えばいつでも召喚可能だし、そうしなくとも令呪を使えば一瞬である。だが、桜にはそういった手段がない。もしもの時の彼女の安全を確保する為にも必要な措置だったのだ。
まあ、今はそれを悪用……いやいや、これは正しい使い方なのだ。これは必要なことなのだから!
「御名答。というわけで、桜のことは心配いらない。逃げた分も上乗せして、後で嫌というほどお仕置きするからね。だから、玉藻は安心してお仕置きされてくれ」
「イヤー、欠片も安心できる要素がないじゃないですかー!ご主人様、そんな手をワキワキさせて一体何を?!」
おや、体の方がはやってしまったようだ。これは失敬。さて、覚悟はいいな。
MO☆FU☆RU
「みこっ、みこーん!ちょっ、ご主人様そこは駄目ですって!ああ、そんな風にしちゃ駄目ー!」
聞こえないな。いや、むしろもっといい声で鳴くがよい。貴様が泣こうがわめこうが、私はモフるのをけしてやめない!
10分後、私の前には頬を紅潮させて、全身を痙攣させる玉藻の姿があった。なんともいえない色気が醸し出されていて、色んな意味で危ないが、ここでこの誘惑に負けることはできない。まだ、桜へのお仕置きが残っているのだから。
「
契約カードを手に速やかに召喚を実行する。虚空に魔法陣が描かれ、従者である桜が召喚される。おや、メルトリリスのままと思いきや、なぜにパッションリップなのだろうか。
「セ、センパイ?!なんで、どうしてですか?私の持つ高いレベルの気配遮断スキルなら、いくらセンパイでもこんな簡単に見つかるわけが────────そのカードまさか!」
パッションリップの姿をしていても、流石はムーンセルを一度は掌握したことのあるBBである。突如目の前に現れた私に混乱しながらも、即座に回答を導き出すとは上級AIの面目躍如といったところだろうか。
────まあ、この場では無意味だが
「そのまさかさ。桜、察しのいい君の事だ。もう、逃げ場はないということは分かっているね。おとなしく私のお仕置きを受けるがいい」
「た、玉藻さんが凄いことになってます?!セ、センパイ落ち着いてください。優しいセンパイは、かよわい後輩をイジメたりしませんよね」
玉藻の息も絶え絶えな惨状が目に入ったのか、後ずさる桜ことパッションリップ。どうでもいいが、やはりその姿だとやたらに嗜虐心をそそられる。自分にはそういう危ない趣味はないと思っていたのだが、やはり彼女の特性である被虐体質が故なのだろうか?BB命名「
はっ! 緑茶さんありがとう。貴方のおかげで、この娘に対してのお仕置きを思いつきました。
「お尻を出しなさい!昔から悪いことした子供にはこれと決まっている!」
「それって緑茶さんのパクリじゃないですか!」
「ええい、黙れ黙れ!桜は黙ってお仕置きを受ければいいのだ!」
もう、ここはノリと勢いで押し切るしか無い。躊躇ってはいけない。下手に温情を見せてはいけない。今後のためにも心を鬼にするのだ。
「イヤー、イジメないで下さい!」
パッションリップの悲痛な叫びが響き渡るが、玉藻によって完全防音の結界がはられているこの部屋に隙など無い。私は無情にも最初の一打を振り下ろしたのだった。
10分後、そこにはやりきったといわんばかりに満足気に笑を浮かべる男と頬を紅潮させて身悶える二人の女性の姿があった。まあ、そのさらに10分後立ち直った両者から、凄まじい逆襲を受けることになるのだが……因果応報である。何事もその場のノリと勢いに任せて行動してはいけないということだ。
えー、Fate二次創作だとお約束なので作ってみました。本作主人公のサーヴァントとしての能力です。あらかじめ言っておきますが、見ない方がいいです。ええ、なんと言うか色々酷いので……。あくまで私の主観を元にはくのんを評価するとこんな感じになります。
もう一度言います。見ない方がいいです。大事なことだから二回言いました。
それでも見たいとおっしゃる?物好きですね……。
では、御覧あれ。感想は受け付けますが、文句は聞きませんのでご注意下さい。
クラス:タイプ・ムーン
真名:無名
属性:中立・悪
能力
筋力:B (C-) ■■■■
魔力:EX (EX) ■■■■■■
耐久:B+ (C) ■■■■
幸運:A++(B+) ■■■■■
敏捷:B+ (C) ■■■■
宝具:EX (EX) ■■■■■■
※()内が桜のエコ贔屓+1と月での召喚による知名度補正+3を抜いた本来の能力
詳細
ある世界における月の表裏の聖杯戦争の優勝者にして、人類の救済者。最弱から最強に至り、果ては神殺しまで成し遂げたその生涯は、戦の申し子というに相応しい。また、聖杯を所有し実際に使用した人間で、唯一実在が確認されている存在でもある。
その世界における支配者ともいうべき西欧財閥の次期総帥を殺めており、停滞した世界に楔を打ち込んだ紛う事なき反逆者にして革命者。万能の願望機を独占したということ併せて、後世においては大罪人とされている。その為、真実を知る者(遠坂凛&ジナコ)は皆黙して語らず、元々イレギュラーな参加者であったことも手伝い、その名はなした偉業に反しけして知られることはない。
停滞する世界に一石を投じ、滅びの運命を覆した破格の英雄であるが、後世の評価によって反英雄として召喚される。基本の七騎の中では『キャスター』にしか該当しないが、その本質から必ずエクストラクラスで召喚されることになる。元がキャスターとは思えない能力の高さは、万能の天才レオと反体制側の天才凛を降した事から能力を後世において過大評価されたが故である。逆にエクストラクラス『タイプ・ムーン』としては脆弱とも言える能力だが、その本質はスキルと宝具にこそある。
クラススキル
陣地作成:-
このサーヴァントは、このスキルを使うことができない。
道具作成:-
このサーヴァントは、このスキルを使うことができない。
保有スキル
救世の英雄:EX
全人類の死滅という運命を覆した破格の英雄。
召喚時に人類が存在する以上、必ず知名度補正+1を得る。人を守護する時、能力と技能に+補正を得る。
名もなき英雄:EX
その成した偉業に反比例するかのように彼の名は全く知られていない。元々イレギュラーな存在であったことに加え、事情を知る者達(遠坂凛&ジナコ)は沈黙してけして語らなかった為である。名を語られる事はけしてない。だが、確かに存在した実在の英雄であり、月の聖杯のみがその全ての真実を記録している。
月での召喚以外では知名度補正を受けることがけしてできないが、自身のSTを無自覚に隠蔽する。彼に真名はない為、彼が意図的に見せようとしない限り、彼を召喚したマスターであってもSTを看破することはできない。
無辜の大罪人:EX
事情を知る者にとっては英雄でも、それを知らぬ大多数にとっては万能の願望機を人類から奪い、独占した大罪人である。
秩序に属する相手から受けるダメージが劇的に増大する。
反逆者:A
彼自身が意図したところではないが、結果的に世界を支配しているといっても過言ではない西欧財閥の次期総帥レオナルド・ビスタリオ・ハーウェイを討ち果たした現体制への最大最悪の反逆者。
秩序に属する相手へのダメージを増大させ、受けるダメージを減少させる。
月の原初の一(月のアルテミット・ワン):EX
月の表裏の聖杯戦争を制した覇者にして、月の聖杯(タイプムーン)を所有し使用する権限を持つ彼は、朱い月とは異なる形ではあるが月のアルテミット・ワンというに相応しい。自身がタイプムーンである朱い月が『月の王』であるならば、タイプムーンを所有し使用できる彼は『月の主』と言えよう。月で戦う限り、彼に負けはない。なぜなら、彼こそが月の意思そのものなのだから。
月では知名度補正を最大に受けることができ、また月齢による恩恵を受けることができる(令呪の補充はこれによる)。また、月の影響を受ける者に対し、一定の支配力を持つ。
不屈:EX
どんなに絶望的な状況であっても諦めることはない。良く言えば不屈であり、悪く言えば極限に諦めが悪い。随喜自在第三外法快楽天の誘惑にも屈しなかったことから、およそ彼を折る事ができる者は存在しない。
己に対する精神干渉を無効化する。彼は己の意思によってのみ動く。令呪?なにそれ美味しいの?
神殺し:A
随喜自在第三外法快楽天を滅し、セイヴァーを破りし者。
神性を有する者に対し、そのランクが高いほどダメージを増大させ、受けるダメージを減少させる。
心眼(真):A+
128騎のサーヴァントと128人のマスターが争う表の聖杯戦争の優勝者であり、殺生院キアラという裏の聖杯戦争の黒幕を滅ぼした絶対の勝者。最弱のマスターという下馬評を覆し、数多の強敵を葬ってきた。その培われた数多の戦闘経験と戦術眼は、彼の不屈の精神と相まって、どんな絶望的な状況であろうとも勝機を見出す。
明日の勝利の為なら、今日逃げることすらいとわない。最後に勝てばいいのであり、途中の敗北すら糧へとかえる。
戦略:B
結果的にではあるが、月の裏側では黒幕を討滅し、表側では128人のバトルロワイヤルに勝利したその戦略は、天才ではなくともけして凡庸ではない。
観察・洞察眼:EX
たとえサーヴァントのものであっても、先読みし見切ることを可能とする異常なまでの観察・洞察眼。数多の戦いを経て、さらに磨き抜かれたそれは最早、魔眼の域にあると言っても過言ではない。
一度見たものに対し、命中&回避に大幅な+補正を得る。初見であっても、ある程度の+補正を得る。
魔術(CODECAST):A++
現存する数多のCODECASTを使いこなし、万色悠滞をも使い魂の改竄すら可能とする最強最悪の霊子ハッカー。過負荷をものともしないことや、本来できないはずの本戦への乱入など、後世における評価によりつけられたスキルである。
これにより礼装なしで、CODECASTを使用することができる。
高速詠唱:A
サーヴァントの動きに先んじて、魔術を発動できる。本来、高速詠唱ではなく、CODECASTの特性と観察・洞察眼による先読みの賜物であったが、聖杯による評価でつけられた。
隠しスキル()内は発動時のランク
アラヤの代替英雄:-(A)
アラヤによって用意された英雄の代替。アラヤによって課された役目は果たしているので、今は失われている。
特定の場合に自動発動し、アラヤの課した役目にそうように動くように強迫観念のようなものが働く。また、ある程度の能力補正と因果への補正が働く。
フラグメーカー:-(EX)
オリジナルはくのんが持つ呼吸するようにフラグを無意識の内に立てていく能力。最弱から最強まで到るその生涯は、けして折れることなき意思の強さと相まって、他者を否応なくひきつける。相手がサーヴァントであろうが、ライバルだろうが、敵だろうが、AIだろうがお構いなし。リア充爆発しろ!
本作においては、アラヤによる改竄でオリ主にも付与されていたが、現在は桜の改竄により失われている。彼女曰く、「これ以上ライバルとかいりませんから」だそうである。
宝具
『魂の従者たる愛妻狐』
ランク:A+ 種別:対界宝具 レンジ:∞ 最大補足:世界
彼の生涯唯一無二の相棒にして、愛妻たる狐のサーヴァントを召喚する宝具。世界に対して行使するものであり、いつでもどこでも彼がいるところに影あり。虚数空間、月の裏側なんのその、呼ばれなくても即参上。なお、良妻ではなく愛妻なのは、「私に甘すぎるから良妻ではなく愛妻だ」という彼の弁による。
『令呪』
ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:視界内 最大補足:1人
サーヴァントへの命令権。聖杯戦争のマスターである彼を象徴する宝具。愛妻狐へのブースト等に使用できるのは勿論、自身へのブースト等、魔力源や使い捨て礼装のように用いることも可能。
『最弱から最強に至りし者』
ランク:C+ 種別:対人宝具 レンジ:自分 最大補足:1人
最弱のマスターでありながら、最強のマスターを降し聖杯戦争の優勝者へと成り上がった彼の生涯を象徴する宝具。本来、成長しないはずのサーヴァントの成長を可能とさせるトンデモ宝具。
『七天の聖杯(セブンスヘブン・アートグラフ)』
ランク:EX 種別:対界宝具 レンジ:∞ 最大補足:世界
神の自動書記装置ムーンセル・オートマトンそのものを現出させる。聖杯を得、実際に使用したことのある彼だけに許された究極宝具。ぶっちゃけなんでもできる。なので聖杯戦争をやる意味は無い。彼がいる以上、万能の聖杯はすでにそこにあるのだから。
とはいえ、彼が本来の形でこれを用いることはないし、他者に委ねることもけしてありえない。故に、縁の深いサーヴァントの限定召喚やSE.RA.PHの現界、サクラ迷宮の再現など限定的な使用に留まる。また、本来使えない陣地作成&道具作成をこれによって代用している。
ちなみに右腕の腕輪はこの宝具の一部を極小に具現化したものである。
総評
自分で作っておいてなんですが、なにこの僕が考えた最強のサーヴァントは……。スキルもヤバイの多いですし、魔力と宝具がEXとかなめてるのかと言いたくなりますね。でも、レベル99のはくのんって後世の評価と併せたらこんなんじゃないでしょうか。ちなみにフラグメーカーは完全にネタなので、スルーしてください。
まあ、ゲームのシステムだからあれなんですが、サーヴァントの攻撃を先読みして潰したりしてる時点で、プレイヤーの誰もがこう思うでしょう。
「はくのんのどこが一般人だ!逸般人の間違いだろ!」と
もしこいつが聖杯戦争に召喚されたら……。というか、まず召喚自体が困難ですね。縁召喚はジナコor凛の子孫か、本当にただの一般人出ないと無理でしょうし、触媒召喚なんてムーンセルの一部とかじゃないと無理でしょう。でも、召喚できたら極悪なサーヴァントです。なにせ、もれなくキャス狐がついてくる上に、彼自身が成長する化物ですから。そもそも、聖杯持っているんですから、聖杯戦争やる意味がありませんが、彼は「名も無き英雄」でSTを隠蔽してますし、マスターにもムーンセルのことは教えないでしょうから。令呪で全てを明かせといっても、彼には『不屈』があるので無意味ですし、結局大人しく聖杯戦争やるしか無いことに。まあ、どの道敗北は余程のことがない限り無いでしょうが。なにせ交戦する毎に成長し、同じ相手と戦えば戦う程に先読みの範疇に入ってきますから。こいつを倒すには、初見殺しでキャス狐を召喚する前に宝具ブッパして確実に殺すことしかないでしょう。