というご意見がありましたので、その補完です。
※今更ですが、原作キャラが死亡します。
シンという国は、広大な土地を大勢の民族で構築している。
だが、その皇帝はその全ての土地と人々の中で一人だけだ。
どの民族が帝位につくかというのは、酷く重要な問題であり、
これまでに一族規模で滅ぼされた部族が数えきれないほど存在した。
ヤオ家のリンは、共にアメストリスへと向かったチャン家のメイを害する心算は無いと告げた。
それは、彼や直臣達の間では確立された約束だったのかも知れない。
メイにとってもその約束は守りたいと思える物だったのかも知れない。
だが、メイ個人がそう願っていても、メイの周囲の者も皆その意見を信用して賛同すると言う訳では無い。
そんなお花畑の思考だらけなら、シンはとっくに民族の垣根を取り払った大共圏を構築されていたはずだ。
だが、未だにそうなっていないという事が、その理由を暗に示していた。
メイからリンの事を聞き出した彼女の家族は、その情報を一族の者に漏らした。
その結果、友諠の為に宴を開くという名目でリンをチャン家の所に呼び出した。
本来、皇帝候補としてあらゆる警戒を怠っていなかったヤオ家の者達だったが、
リンが友を疑いたくないと言った一声で警戒態勢が大幅に引き下げられた。
その結果、リンはその命を落とし、
狂乱したランファンが主人の命を破ってメイを殺害しようとして、すんでのところで失敗。
最早逃げきれぬとチャン家の者に凌辱される前にと、舌を噛み切ってリンの後を追った。
後になって解った事だったが、リンを呼び出す様に命じて暗殺を謀る事を企てたチャン家の者は、
第三家のスパイであった。既にその者は口封じを行われており、真実が明らかになったのは全てが終わった後であったが。
マリア・ロスという名目上の国交がある場所からの、久しく無かった外国人来訪者がいた。
本来、彼女のエスコートとして名乗りを上げたヤオ家の者が、
そのヤオ家を引き下ろす機会として皇帝をその時に暗殺して、ヤオ家に罪を被せてしまおうという計画を逆に利用して、
皇帝を護りその信用を得た可能性もあったのかも知れないが、
なんと暗殺は成功してしまった。
それによりヤオ家は一族抹殺の憂き目にあい、その原因となった、現在の皇帝の一族に対する暗殺を目論み、
現在の皇帝はシン中を虱潰しに捜して、ヤオ家の者は赤子であっても両手足を切り落として槍で心臓をついて首を落とす様に命じた。
その新しい皇帝はチャン家からメイという少女を妻に出せと命じた。
メイにはその心算は無かったが、弱小一族であるチャン家の為にその身を差し出した。
その後、彼女の背後にいるチャン家の家の者達は、メイの名前と権力を使って皇帝の他の妻たちを次々と無残に殺し、
遂には皇帝も病気という事で亡くなってしまい、
メイは主観的にはお飾りにして、客観的には己より美しかったり賢い女性を、
片っ端から殺していく恐怖の女帝として後代に知られることになった。
後に、シンはアメストリスと戦争になり、いよいよ滅ぼされそうになった時、
その様な敗北を招いた天命に見限られた皇帝であるとして、民によるクーデターで死亡した。
その死に顔は全て諦めたような目をしていたという。
アメストリスは女帝の首を差し出されても破壊と略奪と蹂躙を止めなかった。
何故ならそれこそが目的であったからだ。
アメストリスだけでは無く、アメストリスの周辺国全てを利用した嘗て以上の大陸錬成陣。
既に処刑された人物である、元アメストリス軍人グラマン中将を髣髴させる謀略を駆使する、正体不明の焔を駆使して闘う魔法使いの様な男とその一派と、
シンの西よりやって来た、偉大なる傷の男の子であるという年若い指導者を頂点とする暗殺集団が、
アメストリス軍の行動を妨害にはしるも、その戦力差は覆らない。
父親であるホムンクルスを超える傲慢な性格に成長した、あるホムンクルスの父親越えの証明の為、
今日も、シンは赤く染まっていく。
赤く染まるというのは思想的な意味では無いです。色彩的な意味です。