薄荷色の抱く記憶   作:のーばでぃ

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※ 作者が9巻未読の為、本格的に原作と矛盾が発生している可能性があります(今更)
※ 更にオリキャラ?を一体突っ込んで来てます(今更)
※ そろそろ宝石の国クラスタから見放される気がする……(今更)
※ しんねんあけましておめでとうございました(吐血)



シーン2「前兆」

――引き絞られた矢のごとく、ジルコンは大地を蹴った。

 

ギアを温存して様子見、なんて真似をやっていたら瞬く間に狩られる。そういう相手だ。

初手から自らの最大を注ぎ込む。そこに一切の迷いは無かった。

鯉口を切った手を体の中心に位置させて、コンマ数秒の刹那の中で冷静に抜刀の間合いを図る。

 

……当然、相手はそれをさせてくれるほどやさしくは無かったが。

 

紫電一閃。

 

そう形容すべき踏み込みと横薙ぎ。

長大な黒刀から放たれたデタラメな速度の剣閃は、かろうじて屈めたジルコンの頭の上をゾクリとするような悪寒と共に通過して行く。

……見てから反応したのではない。『機』を読んで反応して見せたのだ。それは、かつてボルツの剣を受け流して見せた師・フォスフォフィライトのように。

 

「――シッ!」

 

スナップを効かせて払うような軌道でジルコンの右手が目を狙う。

拳法で言う所の「目打ち」の技法だ。生物相手ならば当たるだけで効果があるが、鉱物ベースのキラキラ族相手では一瞬だけ視界を奪う程度に収まる技術。

 

中指の先が何かに掠ったような感触を覚えながら、続く左手の追撃。

 

「ハァッ!!」

 

それは抜刀ではなく、貫き手。

元より彼我の間合いが近いのならばそのまま体術に移行する事が前提のスタイルだ。

喉を狙った一撃が雷のごとく突き進んだ。

 

ジルコンは硬度7半。劈開は無いものの、硬度10相手では十分ハンデだ。

だが、そんな数字で尻込みしていればいつ迄たっても勝てはしない。

ひとたび攻撃するのならば、そこには必殺の気合を込めなければならないのだ。

 

――フォスがかつて武術指南の中で、ひとつの詩を口にした事がある。

 

抜かば斬れ 抜かずば斬るなこの刀 ただ斬る事に大事こそあれ

 

鞘の内の姿勢を詠った詩である。その教訓はジルコンの中でしっかりと芯を形成していた。

ひとたび「抜く」と決めたならば――ッ!

 

「――良い攻撃だ」

 

一瞬ながらも視界を塞げたと思ったのは錯覚だったのか、その貫き手は紙一重で透かされた。もとより最初の横薙ぎが単なる『様子見』によるもので、反応する余裕を残されていたのだと言う事はハナから解かっている。

 

この貫き手は『誘いの一手』だ。

フォスの『逆風の太刀』を昇華したジルコン流の抜刀術。

この貫き手に合わせての合し撃ち、もしくは掴んでからの投げを誘い――

 

対手が選択したのは、合し撃ちの方だった、

 

(――ここっ!!)

 

左手を引き体を躱し、開いた体をそのまま利用してジルコンが黒刀を抜き放った。

ゼロ距離の攻防からいきなり開いた間合いをそのまま使って眩惑的に撃ち放つ片手抜き打ちの妙。

まだ名前はついてないが、まさしくジルコンの『必殺技』である。

 

――しかし、届かなかった。

その抜き打ちは、合し撃ちから刹那に切り返された2の太刀によってあっけなく撃ち落とされる。

勢いをそのままさらに間合いを開けたジルコンは、しびれの奔る手を握りしめてそのまま正眼に構えた。

 

「……後の先に更に合わせる後の先の先……今のが、貴方が開眼したと言う『つばめ返し』と言う奴ですか」

「命名がフォスだったあたり、既存の技法だった可能性が高いがな。使い勝手が思いの外良いのでかなり好んで使っている。

――しかし、今の抜き打ちはかなり素晴らしかったぞ。貫き手からの体重移動に若干の不審さが見えなければ、おそらく無警戒に首を狙っていたと思うぐらいには。

鞘の内で敢えて間合いを隠す事によるトリッキーな剣質、間合いで自在に攻め手を変えられる汎用性……フォスの影が見えるな。アイツの技か?」

「剣質は参考にさせて貰ってますがね。型はオリジナルですよ」

「それは凄いな。今のは教本に乗せて良いと思うレベルだ」

 

――かつては、彼と肩を並べるだけで恐縮してしまっていた。

剣を合わせるなんてトンでもない事だった。

その腕を見て貰えるだけで光栄極まりない事だった。

 

……でも今は。

ただ評価される立場で甘んじるつもりは無かった。

同じくフォスの教えを受けた者として。彼我の実力差に大きな隔たりがあるとしても、なお……!

 

「……お褒めの言葉ありがとうございます、ボルツ。でも、そう言った称賛は結構ですよ。

 

――僕は今、貴方を獲るつもりで相対しているのですから!」

 

金剛国最強。

その評価はまさしく正しいのだろう。

技量はフォスをも抑えたという評価が流れて久しい。

その剣質は剛にして柔。戦闘論理を最短で奔る無双の剣。

 

いつの日からだったか。

この途方もない頂を、フォスの剣質を継いだ自分の剣で超えたいと思ったのだ。

 

ボルツの口角が持ち上がる。

 

「それは、とても楽しみだな……!遠慮はいらん、全力で来い!その『飛び道具』も含めてな!」

「ええ……ボルツこそ、その『剣の仕掛け』を使ってもらいますよ……っ!」

 

二名が同時に地を蹴った。

立ち位置を交互に入れ替えながら、常人の眼では捉える事すら適わない剣戟の乱舞が入り乱れる。

 

――そんな彼らを、少しだけ遠巻きに見つめる視線が二つ。

 

「ジルコンも逞しくなったなぁ……ボルツ相手にカチコチになってた姿が懐かしいや。

俺ももう、敵わないかもしれないなぁ……」

「ふふふー、今だ金剛国最速をホルダーしている石が何を仰いますやら。

でも確かに、あのスタイルは思った以上にジルコンにマッチしてるよねぇ」

 

イエローダイアモンドとオブシディアンだった。

二名とものほほんとした顔をしながらも、その目はしっかりと彼らの太刀筋を見取っている辺り、やはりこの二名もタダ者ではない。

 

「――フォスの剣質は臨機応変にしてなお何処か強引な所があるから、真面目さんなジルコンにはあまり合わないと思ってたんだけど……うまくモノにしてるのがスゴいよねぇー」

「……強引?な、所がある……のか?」

 

フォスフォフィライトの武術指南はもちろんイエローも受けていた。

あの末っ子がこんな理全とした術理を持っていたのかと感心したモノだったが。

オブしーが苦笑にも似た嘆息を漏らす。

 

「フォスにも、その手は強引だって自覚があるみたいだね。だから、武術指南の中でそう言った部分は出てこないんだ。

……でも、対戦の場ではうっすら首をもたげてくる。

それは思わず鞘で攻撃しようとしたり、若干甘めの間合いだったり、速度の追い付かない踏み込みをしたり……

多分、得物や身体能力が追い付かずに出来なくなった事、たくさんあるだろうなって。

――ジルコンはさ。きっとそんなフォスの『出来なくなった事』も合わせて継ごうとしてるんだと思うよ。

大変な作業だよねぇ……だってフォス、その辺りに言及すると話をはぐらかすんだもん」

 

答え合わせすらさせてくれない手探りの探求。

……しかしそれでも、ジルコンは楽しめていた。

ひとつの術理を掘り下げて行くごとに、型に込められた別の意味を発見したりする。しかもそれは、フォスすら気付いていなかった事柄だった時もある。

――ジルコンは別に、フォスのコピーになるつもりはない。得物も環境も仮想敵も違い過ぎる現状で、それを目指すほど意味のない事は無い。その辺りはきちんと心得ている。

 

例えるならば、考古学者のような心境か。

フォスを掘り下げてその戦いに思いを馳せ、ピースを繋げて術理を導き、それを昇華・発展させる。なんともロマンあふれる探求じゃないか――ジルコンはそう考えている。

 

吹き荒れる剣戟の中に見出した刹那の時間の中で、ジルコンは左手を腰に引いた。

 

「――フォスの立ち回りは不可解な部分がいくつかある。そこから浮かんで来るフォスが取りたかった戦術……その問いのひとつに対するジルコンの回答が、『アレ』だよ。

甘い間合いと乱雑な踏み込み。でも、そこに隠れている『一手』があれば『辻褄が合う』」

 

左半身で発生する力を全て一直線に揃え、ジルコンが『それ』を投げ放つ。

音を置き去りにするかのような勢いでボルツに迫る3つの影。

 

――寸鉄ほどの長さを持つ、特製の棒手裏剣だった。

ボルツの踏み込みの枕を正確に押さえたそれは、ボルツから回避の選択肢を奪い、防御の行動を余儀なくさせる。

そして、そこに突っ込むジルコンの強襲。

 

受け流し損ねた手裏剣の一本が、ボルツの耳を砕き、貫いて行く。

 

「――ボルツを砕いただって!?」

 

イエローが驚きを抑えられずに声をあげた。

オブしーのドヤ顔が応える。

 

「――全20本、ジルコンのバランスに合わせて特別に設計・作成した自信作だよ。かつての王サマ騒動の時に、酸にやられて『刃こぼれ』したボルツの髪……すぐさまそれは削って整えられたわけだけど、その際に出た微粒子は僕が貰って保管してたんだ。それを金と黒曜石に合わせて作り上げた徹甲棒手裏剣――なかなかクレイジーでしょ?」

 

――飛び道具で相手の行動を制限しつつ、それと同時に強襲。

それがジルコンの回答だった。

そしてその戦法は、確実にボルツを窮地に立たせて見せるのだ。

棒手裏剣の対応によって無防備になったボルツを目掛け、首を刈るような軌道で襲い掛かる剣閃――

 

「――惜しい」

 

その剣閃の間に、黒い盾が差し込まれた。

ボルツの髪。

硬度10でありながら驚異のしなやかさを有するそれを、左手で保持して盾にしたのだ。

 

「あ――」

「その隙だ――!」

 

つばめ返しの型で打ち放たれる二連撃。後の先に合わせずとも、単発でも十分に対応の難しいそれは、辛うじて一の太刀を防がれつつも、返す二の太刀でジルコンの首を正確に捉えた。

 

――勝負あり、だ。

 

 

@ @ @

 

 

「く……悔しいです……結局、『使わせる』ことが出来ませんでした……」

 

いつの頃からか、二刀を研鑽していたボルツの得物は、柄に切っ先を付けた特徴的な一本の刀に代わっていた。

この剣にはオブしー特性の仕掛けが仕込まれている訳だが、ジルコンが沈んでいるのはその仕掛けを使わせることが出来ずに終わったからだ。

 

「慰めに聞こえるかもしれないが……最後のあれは、仕掛けを使わなかったのではなく、使う余裕が無かったんだ。

ふふ……面と向かって砕かれたのは、フォスを相手にしたあの時以来だな」

 

ボルツがとても嬉しそうに砕けた左耳に触れる。

硬度10、靱性特級、技量最強のボルツを砕くと言うのは、もはやヘラクレスの12の試練なみの偉業に近い。

ボルツは、そんな偉業を達成してなお満足しないジルコンの姿がとても嬉しかったのだ。

 

「結果論になるが……最後の一撃は、突きか逆袈裟を斬り上げた方が良かったな」

「ええ。あの一瞬、貴方の髪の事を完全に忘れていましたよ。首を狙うのは悪手でした……とっさに髪で受けられる貴方の反応も大概ですけど」

「髪を使うのはずっと昔からだ。とっさの手段にもするさ。

……剣を持つ手に近い斬撃だと、あの機でも反応されると考えたな?

結果はともかく、考え方は正しいと思う。だが、次の太刀を検討外に置いていたのはマイナスだ。

……平突きを教えてやろうか?間合いも広く、変化しやすい決め手として便利だぞ」

「平突きですか……ううん……体に馴染ませ過ぎると、月人戦で使ってしまいそうで怖いんですよね……」

「なるほど。確かに攻撃面積の小さい平突きは乙型(新式)相手だと隙になる恐れがあるな……お前クラスであれば、それでも最早遅れは取らないだろうとは思うが」

 

さっそく反省会に入る二名の間に、ニコニコしながらイエロー達が混ざりに来る。

 

「おつかれー。いやぁ、要所の駆け引きが見応えたっぷりな一戦だったな!……みんなすごい高度なとこ歩いてて、お兄さまちょっと焦ってます」

「……反応できない速度でヒット&アウェイする石が言って良いセリフじゃありませんね」

「身体能力ゴリ押しも立派な戦術だろう。月人相手なら豪華に過ぎる」

「……おっとー?なんかフォスの気持ちがちょびっとわかった気がするぞー?」

「過大評価だと思ってるのは本人だけなんだよねぇ……」

 

ちなみに、イエローはあまり直接攻撃は行わず、囮的な立ち位置でコマンドをこなすのが一番性に合っていると公言しているクチだ。

靱性が低い石なので逃げ足特化。そのスタイルで3000年以上生きてきた彼は、無理にスタイルを曲げる事を選ばなかった。

――が、3000年以上練り上げてきた見切りと逃げ足に術理が足された結果、ひとたび攻勢にスイッチするとヒット&アウェイを繰り返して『ずっと俺のターン!』を強制する石が完成する。

 

――そんな石を引き合いにあげるとして。

 

「……どうだった?金剛国最強の目から見て、ジルコンは」

 

珍しくボルツが口角を上げて言った

 

「強いな。もはやイエローでも突破は難しいんじゃないか?――この耳、このままくれてやろうかと真剣に考えてしまうくらいには完成しているよ」

「ちょっ、要りませんからね!?ちゃんと治してくださいよ!!?」

「……フォスに染まっておいてなお、神経質な所が残っているのは驚愕と言って良い」

「いやいやいやいや!?耳を失うのは絶対『神経質』と呼ぶような些事じゃありませんから!」

「あっはっは!」

 

かつての冬の時といい、どうもボルツは不覚傷をそのままにしたい癖があるのかもしれない。

相手への最大級の賛辞なのだろうとも受け取れるが……

 

「……僕の方も随分参考になった。戦況によって『仕掛け』を使い分ける前提の装備だが、始めから使っておくのも良いのかもしれない。

ーー次からはその方向でやろう」

「ーーええ。僕も、次は負けるつもりはありません」

 

アオハルだなぁ、と和んだ目で見ていたイエロー&オブしーだった。

 

 

@ @ @

 

 

ーーところで、キラキラ族が生まれるタイミングには『波』のようなものがあるそうな。

 

これはジンクスのようなノリで金剛国に周知されている話である。

統計が好きなユークなんかは、皆の誕生日をしっかり押さえて法則性を探したりしている。

アメシストの双晶はまあ特殊例かもしれないが、それでも『2名分のインクルージョンが集まる時期』を占うなら要素に入れてもいい。

ダイヤとシンシャも同じ年の生まれだ。

そして正史……敢えて『正史』と言う表現を使うが、正史においてはこれより1年後に2代目モルガナイト&ゴーシェナイトが誕生する事になる。

キラキラ族の、生まれやすい時期と言うものがあるわけだ。

それはもしかしたら、広い海を漂い、人の形になるほどインクルージョンが一箇所に堆積するまでの波と言うことなのかもしれない。

 

 

ーーつまりは。

 

 

……ボルツの治療の為、そしてそのボルツの監視のために医務室に訪れた一同は、久しく無かった慌しい様相にその足を止めた。

すわ月人かと一瞬警戒したが、どうも戦闘の空気という訳ではなさそうだ。

石達はみんなニコニコしている。

 

「どうしたんですか?」

「あ、ジルコン達帰ってきた!ーー大ニュースよ大ニュース!!」

 

とっ捕まえたダイヤはものすごくソワソワしながら、集まっている石達で出来た壁の向こうを指さすのだ。

 

「ーー新しい石が生まれたの!フォスの弟よ!」

 

とてもめでたいサプライズだ。

 

 

@ @ @

 

 

キラキラ族はみんなイケメン揃いだ。

これは偶然そうなってるのではなく、見た目で優劣がつくのは哀れだと、生まれた石を金剛先生が削って整えているからだ。

 

「えへ……えへへへへ……」

 

カリカリと削られて行く石をすぐ隣で見つめながら、フォスが非常に締まりのない顔で口から幸せを漏らしている。

 

緑色の石だった。

それが本当に自分の弟のようで、さらにフォスの頬を緩めるのだ。

 

「ベニト達が見つけたんだって?」

「グッジョブ!!」

「せんせー!その子は何て名前になるんですか?」

「うん?ーーそうだな……フォス、なんだと思う?」

 

いたずらっぽく口角を持ち上げて、金剛先生がフォスの手に石のかけらを乗せる。

それはフォスフォフィライトのように透き通ったものではなく、透明度のないタイプの石だった。

 

「ほのかに青の掛かった緑で、透明度のない石……何でしょう?ジェードに似てはいるけど、翡翠じゃないのは解ります。

……保管庫にも無さそうな石ですが」

「そうだな、『なりそこない』としても出てくるのは珍しい方だったと思う。

――この子の名前は、『ターコイズ』だ」

 

ターコイズ……つまりは『トルコ石』である。

人類史においては12月の誕生石の一つ。

宝石言葉は『成功』『強運』『解放』ーーそして、『繁栄』。

近年の成長著しい金剛国を祝福するかのような石だ。

ーーもっとも、金剛先生は宝石言葉までは知らなかった訳だが。

 

「ターコイズはリン酸塩系の鉱物に分類される。そしてフォスフォフィライト……お前もリン酸塩系鉱物にあたる」

「……ボクと、同じ……!」

「ああ。広義においては、フォスの同族と言っていいだろう。

ーーこの子はそういった意味でも、正真正銘フォスの弟だよ」

「ぃやったあああああぁぁぁっっっ!!」

 

フォスの歓声が響いた。

320年生きて来て一番嬉しい瞬間かもしれない。

やったやったと飛び跳ねて、テンションのままクルクル回り出したりする。

 

「フォス、大喜びですね」

「ああ。フォスが生まれた時のジルコンもあんな感じだったな」

「い……良いじゃないですか。兄弟が生まれるのは嬉しいものです」

「そのあと、いつの間にか頼れるお兄様役をパパラチアに取られて落ち込んだりな」

「い、良いじゃないですかそんな事!掘り返さないでくださいよ!?」

 

黒歴史暴露ムーヴはもはやパワハラに等しいと思う。

そんな彼らを尻目に、テンションMAXのまま施術の終わったターコイズに呼びかけた。

 

「生まれて来てくれてありがとう、ターコイズ。ようこそ金剛国へーーボクがお兄ちゃんのフォスフォフィライトだぞう〜」

 

コツンと額を合わせるフォスを、ターコイズは生まれた赤子のような好奇の目で見つめていた。

 

「ーーいよいよフォスもお兄ちゃんかぁ。なんだか感慨深いものがあるよねぇ」

「もう末っ子じゃあないからな。ちゃんとしたところを見せないと、悪い所をターコイズに真似されちゃうぞ〜」

「アフォスは卒業しなきゃよね!」

「ーーそうだね」

 

からかい混じりの石達の言葉に対し、フォスはキリッとした顔で力強く頷いて見せるのだ。

それは、護るべきモノが生まれて覚醒した、成長を思わせる表情。

 

「先生ーーそしてみんな。ボクはこの場で、誓ってみせるよ!」

「……え?」

 

甘えの溢れる末っ子が、頼もしい顔で皆を見据える。

 

「そうーーボクは、フォスフォフィライトはーー

 

ーーこのターコイズと一緒に、みんなに甘やかされるダブル末っ子を目指します!!」

「おい、誰かあのクソバカ止めろ」

「末っ子とはいったい……うごごご」

 

ーーたとえ弟が生まれても、フォスはどこまでもフォスだった。

 

 

@ @ @

 

 

生まれたばかりの石は、一口で言えば体の大きい赤ん坊だ。

身体的な成長はキラキラ族には存在しない。

インクルージョンの最適化による能力値の上昇はあっても、人間のように体が環境に適応して作り変えられるような事はない。

故に、ターコイズの身長はこの先もずっと今のままだ。

ーーフォスの身長より高い今のままだ。

 

「……ターコイズくん、ちょっと足削ってみようか」

「自分より低身長を強制するのはやめなさい」

「お、もう立てるのか?スゴイじゃないか!!」

 

中身は赤ん坊なので、まず最初の壁は立って歩く事。そして次の壁は言葉を解する事だ。

この辺りは人間と変わらない。

習得に要する時間も平均として人間と同程度か、それよりいくらか早いくらいだが……

その点、よろよろと危なげな所があるとは言え、立ってのろのろ歩いてみせるターコイズは頭が二つ三つ図抜けていると言える。

 

「生まれたその日に立って歩くなんて、ボルツ以来じゃないか?」

「え、そうなの?」

 

人間と違い、キラキラ族の場合筋肉……と言うか、身体能力を定義するパーツは生まれた時から備わっているため、インクルージョンのセンスが高ければすぐに立って歩くまで持っていく事もあるらしい。

 

「そうだな。他には、ジェードも比較的早かったと記憶している。確か、5日ほどだったか……?

……不透明な石はもしかしたら、身体能力が高い傾向にあるのかもしれないな」

 

生まれてすぐさま身体能力でブッちぎられる恐れが出て来てしまったフォスだった。

ーーなお、トルコ石の鉱石属性としては、不明瞭でも劈開があるものの硬度は5半から6を示す。

つまり、フィジカル面についてフォスは既に抜かれている。

……まあ、比べる石が底辺過ぎた。フォスと比べれば大抵は上を行く。

 

「……ちなみに、言葉を解するのにはどのぐらい掛かるものですか?」

「言葉か。……金剛国の最短記録ホルダーはともかくとして、平均は2年ほどだろうか」

「うーん、見つめあって素直におしゃべりするにはそんぐらい掛かるものですかぁ……

ちなみに最短記録ホルダーって、やっぱりユークですか?生まれた瞬間にお話ししてもボクは驚かない」

「フォス、あとでちょっと『お話し』しようか。

ーーちなみに、僕じゃないのよ最短は」

 

ええ、ユークじゃないのぉ!?と仰々しく驚くフォスにユークがピキピキ来てたりする。

生まれたその日におしゃべりって、どんだけ突き抜けてるんだと言う話だ。

 

「ユークは確か……1年ちょっとくらいだったか」

「あ、それでも平均よかは早いんすね。知ってた。

……ん?じゃあ最短誰だろ?天才だったって言うラピスラズリとか?」

 

フォスの中で、ユークより早い=ユークより頭の回転が早いという方程式が出来上がっていたりする。

ユークより上って誰だと考えた時、ラピスしか浮かばなかった訳で。

 

「ラピスは……1年半ほどだったが、何というか本に興味を示してからが凄まじく早かったな。

ーー最短記録は、今考えると大分意外な石だ」

「……そう勿体つけた言い方をするって事は、ボクの知ってる石ですよね。

えー、誰だろ、意外な石?

意外な石……」

 

頭をひねって考えてみる。

側では「意外だわな」「確かに意外な石だな」「えー?そうかなー?」と石達がキャイキャイしていた。みんな知っているらしい。

もしかしなくとも、新しい石が生まれるたびに話題になっているようだ。

 

そして、フォスの脳裏に『意外』に当て嵌まる石が浮かび上がる。

その石に対して悲痛にも見える視線を向けた。

 

「ーーモルガ、お前……小さな頃は最短で言葉を解すぐらいに神童だったのに、何で今はそうなってしまったんだ……」

「どういう意味だオイ!?俺が一番意外だって言いたいのか!!?

 

ーーああもう、お前だよお前!!最短記録ホルダーはフォスフォフィライト、お前だ!!」

 

あーあ、言っちゃったとチラホラため息が上がったりする。

当のフォスは、何それと全く身に覚えのない指摘をされて目をパチクリさせた。

 

「生まれて2週間で単語を口にし始めたよ。おそらく今後抜かれる事は無いのではと思しき早さだ。

ーー今考えてみると、おそらくフォスの言う『記憶』の影響なのだろう。

教えていない事まで口にしていたからな」

「会話は出来るんだけど、支離滅裂で意味不明な事も多かったからなぁ……」

「ええー……?覚えてないぞう、フォスさんぜんぜん覚えてない」

「色々凄かったぞ。何か都合が悪くなる度に『ぶっだ、あんたまだねてるのか!』とか叫んだり」

「フォスのお陰で、一時期『わかっぱー!』が流行りましたね」

「『だいやとうとい』も昔っから言ってたな」

「先生に対して、『せんせー、せんせーはなんでおぼうさんのかっこうしてるの?はげだから?』とか凄い事聞いてたよね」

「……スゲェな、キレッキレじゃんか昔のボク。えええ、ガチで覚えてねーぞ」

「なんかもう、お前は生まれた時からフォスだったわ」

「……ターコイズは、フォスのアホな所を見習わないでくださいね」

「なんだとうー!?」

 

話している内容すら理解出来ていないだろうターコイズは、目をパチクリしつつその喧騒を興味深そうに眺めていた。

 

 

@ @ @

 

 

ーー数日後。

 

『ーーシンシャ!一緒に抗議するです!!』

 

アルビカンスの第一声だった。

シンシャを探して方々歩き回ったのか、肩で息をしつつ海水をあおって喉を潤している。

その様相は「私、怒ってます!」と全身でアピールしていた。

 

対するシンシャと言えば、ダイヤ・ルチルと一緒に何かのカケラを覗き込んで凄く真面目な話をしていた最中だった訳だが。

突然のアルビカンスの乱入に、「なんだコイツ」感を隠せていない。

 

「ーーどうした?」

 

凄い剣幕だったので、とりあえず聞いてあげることにしてみるシンシャはそれなりに大人だった。……一方でアフォスを相手にするかのような、なんか嫌な予感も感じていたが。

 

『フォスがターコイズにベッタリで、遊んでくれなくなったのです!!私への対応がおざなりになり始めたのです!!

3年前のニコベラツインズ誕生時の父さま母さまとおんなじ空気を出しやがってるのです!!』

 

ほら見ろしょうもない。

 

「あー……あの時はアルっち、スネてフォスにベッタリだったもんねえ」

「まあ、年下が生まれた時に誰もが通る葛藤ですよ。アルもそろそろ器の大きさを見せてあげても良い時期では?」

「というか、なぜ俺を巻き込むんだ……」

 

アルが最近アフォス化しているように見えて頭が痛くなってきたシンシャである。

幼い頃からあんなドギツイ朱に交わってたら、そりゃあ真っ赤に染まるのも道理ではあるが。

 

『何言ってるですか!!母さまだって、近頃フォスとシンシャのアオハルシーンに出くわせなくなって、hshsできる機会が減ったって嘆いてたです!!

ならきっと、シンシャも私と同じ想いを抱えているはずです!!』

「ほう」

「ほほう」

「案の定な方向に向かったなクソ!そんなアオハルはアルの勝手な妄想だろ、お前らも露骨に反応するな!!」

『嘘です!!割と最近、池の近くでフォスとシンシャがむぎゅうしてたのバッチリ見たです!!アオハルは現在進行形です!!』

「うああああああああああああああああ!!?」

「詳しく」

「それもっと詳しく」

 

恋愛脳(ダイヤ)とからかい屋(ルチル)が見事に食いつく上物の話題だった。

あまりの返しに一瞬、シンシャの思考が真っ白になる。

ーーいや待て、ハッタリだ、あの時辺りを見回したけど人影なんて何処にもなかったじゃないか。いやでも場所合ってるし……

 

『池の水面に映った姿を見ただけで、会話までは聞こえなかったですがーー』

 

……水面、だとう……っ!?

 

『ハシャいでシンシャに抱きついたフォスの背中にですね。シンシャの手がこう、戸惑いがちに回されーー』

「ーー抗議しよう!俺も抗議に参加しよう!!」

 

選択の余地は許されていなかった。

 

だってあの時のはマズイ。本当にマズイのだ。

思わず後ろに手を回してしまい、なんか凄い甘い気分になってしまい、それから、それからーー

 

当時の一部始終を目撃していたアルビカンスはそっと柔らかく微笑みかける。

 

『シンシャーー

 

ーー「お願いします」でしょう?』

「お前ホンッッットにフォスに似てきたな!!?」

 

量産型アフォスが世を席巻するようになったらこの世界はおしまいだと真剣に思う。

 

そしてなんらかの取り引きが行われてアオハルエピソードにありつけないかもしれないと読んだダイヤが、にこやかに手に持っていた欠けらを置いて、

 

「ーー僕、フォスに詳しい話聞いてくるっ!」

「ヤメロオオオオォォッッ!!!」

 

決死のインターセプトでシンシャが欠けた。

 

 

 

 

『……で、なんなんですかそれ?』

 

シンシャ達が集まって見ていた物に話題が移る。

 

ーーそう、凄く真面目な話をしていたのである。

視線の先にあったのは、ツルツルとした素材で作られた、殻のカケラのような何かが3つほど。

一番大きい物で、手のひら程の大きさがある。

 

はっきり解るのは、キラキラ族やその『なりそこない』のような鉱物とは明らかに違うという事。

 

「ーーここ数日の間、浜でチラチラ見つかってる謎の物質だ。仮称すらまだついてない。

何か、大きな殻の一部である可能性が高そうなんだが……こんな殻を持つ生物は見たことがない」

「しかも想像される大きさの割に、発見例がコレしかないのも不気味でして。

……一応伺いますが、アドミラビリス案件ですか?コレは」

『いや……私もこんなの初めて見るですよ』

「……だよな……」

「インクルージョンを探ってみたいんだけど、今のレンズ技術では不透明な物を観察するのは難しくてねぇ……」

 

もしかしたら、かつて人間が使っていた物の一部だった……とかであれば、とてもロマンのある話な訳だが。

口には出さないが、シンシャとしては出てきた時期が妙な不安を感じさせた。

なんでこんな……ターコイズが生まれた時期に?

 

『……フォスとか先生はなんて言ってたです?』

「先生は良く分からない、と。フォスは……ターコイズにベッタリだしな。聞いてない。

なんか暗い方向に話が向いちゃったら、ターコイズの教育に良くないだろ」

 

フォスが側にいるという時点で、情操教育に良くなさそうだという指摘はしてはいけない。

 

「ーーなあ。ここ最近、海の方では何か変なことが起きたりして無かったか?」

 

少しでも関連付けられる何かが欲しくて、海の事情に目を向けてみるがーー

 

『ええ?……私にとっては、ターコイズのあんちくしょうが生まれた事が余程変な事なのですが』

「アルっち、ほんとフォスの事大好きだよねえ」

「何だかんだで面倒見が良いですからねえ、フォスは。あの脆い体で10年以上ボルツの稽古に付き合っていたあたり、根は尊敬出来るんですけどね……根は」

 

何か含みを持たせたセリフだが、誰も指摘はしなかった。

 

『……ああ、そう言えば』

「うん?」

 

天井を見上げながら、アルが呟く。

 

『十中八九、目の錯覚か気のせいだと思うですが

……ターコイズが生まれる前の晩あたり、なんとなしに眺めていた月が、一瞬……消えたような気がしたですよ』

「……つきが、きえる」

 

オウム返しに呟いたシンシャの言葉があまりにシュールで、微妙な空気に溶けて消えた。

ダイヤが言う。

 

「もしかしてーーホラー案件?」

 

目がらんらんと輝いていた。

 

「月に攫われたかつての仲間が、皆に会いたいと言う想いを募らせて、ターコイズと言う形をとってやって来た、とかですか……?」

「うふふ……もしそうだったら、フォスはどんな反応するかな?」

 

突発開催される『ドキッ☆キラキラ族の百物語』には不思議と皆勤賞しているフォスの癖に、展開される物語の数々に対し、それはもうステキな反応を返してくれるのだ。

 

「あんまり怖い話だったりすると、その後震えた声で『一緒に寝て』ってお願いしてくるの、ホントもう可愛いんだから!」

 

ぴくっ

 

『ーーいまシンシャ、反応したですか?』

「してない」

『一緒に寝て、のあたりで反応したですか?』

「してない」

「今度百物語やる事になったら、シンシャも参加しますか?」

「しない」

「うふふ……じゃあ、その話が出たら教えてあげるね?」

「いかない」

 

ちょくちょくシンシャイジリが止まらない一同である。

 

――イジられながらも、シンシャは内心にじみ出てくる不安の種を消化しきれないでいた。

なぜなら少し前に、ユークのボヤキを聞いたからだ。

ここ数ヶ月、月人の襲来頻度が極端に落ちている……と。

……そりゃあ、誘拐犯が来ないのならば、それが一番良いに決まってる。いっそそのまま消えてなくなれとも思う。そしてその前に皆を返せとも思う。

思うが……額面通りに受け取るのは早計過ぎる。

乙型(新式)だって最後に見なくなって久しい。アレキがギャースカ騒いでいる程だ。

月人のリソース枯渇……?

ーー否。

これはつまり、次の猛攻への下準備中と言う事なんじゃないのか。

ユークはそう解釈している。シンシャも同意見だ。

今回の件ーー謎のカケラに、もしかしたら一瞬、消えたのかもしれない月。

そして、ターコイズ……?

何が関係しているのか。何が関係していないのか。見るもの全て、悪い方向へ向かって行く歯車のように思えてしまう。

 

嬉しい事が続いている。

だからこそ、揺り返しが恐ろしかった。

 

 

 

ーーところで結局この後、シンシャのアオハルエピソードが流出してしまい、恥ずかしさのあまりシンシャは振動する水銀の繭の中に閉じこもって外界の音を全てシャットアウトすると言う無駄に高度な引きこもり技『天岩戸』を開眼した。

コレが揺り返しのひとつでない事を信じたい。

 

なおアオハルエピソードの詳細については、シンシャへのせめてもの情けとして、本項への記述は差し控えるものとする。

 

 

@ @ @

 

 

ターコイズはフォスにベッタリだった。

いや、フォスがターコイズから離れないと言うべきかもしれないが。

でも、傍目から見て彼らはとても仲良しさんだ。

お兄さん風を吹かせたがるフォスの後を

健気に、そして少し危なげな足取りでターコイズがひょこひょこ付いて行くわけだ。

フォスより背丈のあるターコイズなので、なんか微妙な違和感はあった。

彼らの様子を見て大型犬の散歩を連想して和んだのは、犬を知る金剛先生ぐらいだった。

 

ターコイズはまだ「あ」とも「う」とも声を出せなかった。

しかし好奇心は旺盛のようで、フォスに連れられた先に行ってはキョロキョロと何にでも興味を示した。

そんなターコイズに、フォスが自分の編んでいる博物誌を見せて読み聞かせてあげるのだが……そもそもミミズがブレイクダンスしているような筆跡の為、他の石によって清書されたもの以外は閲覧禁止令が出てブーたれる一幕があったりする。

 

ターコイズが言葉を理解出来ないと解っていても、フォスは愛を持って積極的にターコイズに呼びかけた。

ーーそれはかつて、フォスが他の石達にそうされて育ったように。

たとえ覚えていなかったとしても、愛は受け継がれて行く――

 

「せんせー、ターコイズは戦争に参加するのでしょうか?」

「流石にまだわからない。わからないがーー」

 

金剛先生はターコイズに甲斐甲斐しく構っているフォスを見て目を細める。

好奇心旺盛で身体能力も申し分ない。きっと、賢く強い石に育つだろう。

そして、きっとフォスの隣で成長して行くのだ。

 

「ーーフォスのように、強くて優しい子になるかもしれないな」

 

ーーそれはひとつの、平和な願いだ。

 

 

 

 

 

 

ーー結論から言えば。

その願いが、叶うことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

『その日』の記録にはこう記されている。

 

 

ーー天候は快晴。

千切れた雲が僅かにまばらな空なるも、これまでに無い遅い時間に襲来。

夕暮れ時に学校を囲むようにして、ほぼ同時に黒点を5つ観測。内2つは虚黒点。

残りの3つは全て2重の黒点を形成する。

 

それらより出現するのは月人3器。

その全て、目視した時点で丙型(しろのような特殊形・特殊能力持ちの新式)と認むーー

 

 

その風貌で特に目立ったのは、身長3mはあろうかと言う巨漢にして、筋肉隆々に獅子の面を付けた丙型。

ーーのちに『セミ』と呼ばれる月人との交戦である。

 




・『機』について
漫画『銃夢』にて使用されている用語から出典。『気』ではありません。
ニュアンス的には『機会』の『機』です。
戦いの中に置ける攻撃や防御の種類、タイミングを指す意味で使用しています。

・時系列について
作中で出てくる細かい年数表記、多分矛盾が出てます。
後で年表作って微調整します。申し訳ありません。
確定しているのは、『ラストメッセージ』の舞台は原作でフォスが頭を取られて眠りについた100年の中で、2代目モルガ&ゴーシェが誕生する1年前です。

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