山椒魚、右往左往の雨隠れ生存記   作:流浪 猿人

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何とかもう一つも書き終わったのでどうぞ。


金は天下を回った挙げ句、家に帰って歯 磨いて寝る その二

—視点 角都—

 

「感知の調子はどうだ?」

「ううっ、何となくは分かるけど5メートルくらいだし、すぐ疲れちゃうよ」

「まあ、今の段階でそれだけ分かれば上出来だ」

 

オレは先日出会った少女と偶然遭遇し、共に里を散歩していた。もっとも少女はこの後モミジの家に行くらしいので、相変わらず暇なのはオレ一人だが…。

 

「でもね、私絶対に頑張るよ。おじさんが折角あんなにお世話してくれたんだし」

「いや、止めたくなれば止めれば良い。そっちの約束はしていないからな……」

「……おじさんは凄い忍なんでしょ?モミジさんが言ってたよ?」

「…いや、大した事は無い。もっと凄い奴を何人も見てきたからな…。それに今はもう忍じゃ無い、ただのズレた老人だよ……」

「……」

 

オレと少女の間に沈黙が流れる。モミジの家に着くから、そろそろお別れだな。そう考えていると沈黙を裂く様に少女が口を開いた。

 

 

「……おじさんは変じゃないよ」

「…?」

 

「お金でしか動かないっていうのも嘘、おじさんからしたら助けてくれたのもただの気紛れなのかもしれないけど、目が見えない私にしか分からない事もある。おじさんはとっても優しい人だって事だよ……」

「よせ、オレなんか…」

「止めて‼︎」

「っ‼︎」

 

 

 

「私とも約束して…、オレなんか、って二度と言わないで…、これ以上……

 

 

 

 

私の大好きな人の事、悪く言わないで……」

 

「……」

 

「初めて会った時、花を手渡してくれたよね?その時少しだけ手が触れたの…、おじさんの手…温かかった……」

 

 

少女の涙。永遠とも感じる時間が流れる。一つ息を呑み込んでからオレはそれを言葉にした。

 

「……分かった。約束するよ」

 

 

「……うんっ‼︎」

 

少女はそう笑いながら言うと、そのまま振り返る事無くモミジの家へ駆け出して行った——

 

 

 

 

 

——少女と別れた後、オレは歩いて里の門を出た。そのまま森の中を進んで行く。朝からオレの後を尾けている[何者か]と話すために…。

 

「…ここなら良いだろう。そろそろ出て来たらどうだ?」

「…やはり分かっていたか…」

 

そう言って姿を見せたのは雲の模様が入った外套を着た、渦巻き模様の仮面を付けた人物、只者では無いな…。

 

「オレの名はうちは マダラ…、お前なら良く知っている名だろう……」

「っ⁉︎」

 

どういう事だ?うちは マダラはとうの昔に死んだ筈…。動揺を抑えながらあくまで冷静に聞き返す。

「お前が本物だったとしたなら聞きたい事は多くあるが…、とりあえず用件は何だ?」

「前置きはいらんか…、まあいい角都、オレの計画に協力しろ」

「計画……?」

 

ぴりぴりとしたプレッシャーを感じる。恐らく…、オレではこいつに勝てないだろう……。

「こちらも何も明かさぬままお前を協力させられるとは思っていない…、聞かせてやろう……。オレの

 

 

 

月の眼計画をな……」

うちは マダラを名乗った男はにわかには信じ難いその計画の全容を語り始めた——

 

 

 

 

 

——「角都、お前もこの腑抜けた世界にはうんざりしているのだろう?」

「全ての人間が…、夢の中で生きる……」

「そうだ、金も無限に生み出せるし、死雨の半蔵にもまた会える。お前にとっても理想の世界だろう」

 

 

  あいつと…また……。

 

 オレは静かに目を閉じる。

 

 

 

―「角都、角都っていうのか‼︎かっこいい名前だな‼︎俺は半蔵っていうんだ‼︎これからよろしくな‼︎」

「……それよりこの国が行っている政策について聞きたい。本当にお前が考えたものなのか?」

「あぁ~!!遠回しに馬鹿っぽく見えるって言ったな!?」―

 

 

 ―「角都さ~ん、仕事が終わらないよ~!!」

 「いちいちオレに言いに来るな…。それに角都さんて…、何故急にさん付けになった?」

 「滅茶苦茶頼りになるから角都さんだ!!異論は認めん!!」

 「……ハア」

 「ねえ、角都さんてもしかして俺の事嫌い?」―

 

 

 ―「半蔵、遂に戦争だぞ」

 「……」

 「おい、半蔵。聞いているのか?」

 「……国を作ると決めてからこの日の事を考えなかった日は無い。角都さん、俺に任せろ」

 「っ……!!」―

 

 

 ―「角都さん、やっぱりそろそろ引退するよ、俺は少し恨みを買い過ぎてる…。これからの雨の国にとって俺は邪魔だ……」

 「……そうか」

 「辞めさせられたって形にしないとな…。辞めるのも大変だな…」

 「お前の後は…、長門で良いんだよな?」

 「ああ、もう決めた事だ。そこで角都さん、一つ頼みがあるんだが……」

 「?」

 「角都さんは辞めずに、しばらく長門を支えてやってくれないか?」

 「ハア、本当に勝手な奴だな…」

 「まあ今に始まった事じゃ無いだろう」

 「偉そうに言うな」

 「うおっ!!止めて、強めに殴らないで!!」―

 

 

 ―「角都さん、久しぶり……」

 「元気…、じゃ無さそうだな……」

 「ははっ、多分もう長くないだろうな。角都さんは元気そうだな」

 「羨ましいか?」

 「いいや、全然」

 「フン……」

 「なあ角都さん…、俺はこの世に何を残せただろうか…。最近はそんな事ばかり考える……」

 「……」

 「でもな、皆はどう思ってるか知らないが、俺は割と満足してるんだ」

 「?」

 

 

 「親父、伊蔵、モミジ、イブセ、犀犬、長門、弥彦、小南、扉間、色んな人と出会えたから……、そして何より

 

 

 

 

 角都さん、あんたっていう最高の相棒に出会えたから、後悔は無い」

 

 

 

 「……イブセが相棒じゃ無かったのか?」

 「うっ、確かに良く考えたらイブセの方が……!!」

 「台無しだ…、馬鹿……」―

 

 

 

 

 目を開け、再び男を見据える。

 

 「返答は決まったか?まあいいえは無いというのはお前なら良く分かっているだろうが……」

 「ああ、考えるまでも無かったよ…」

 「それで?協力するか?死ぬか?」

 

 

 

 

 「断る」

 「!?……何故だ。永遠の夢を捨てるのか?」

 「フン……、オレはな

 

 

 

 

 金でしか動かん男なんでね……」

 

 

 

 

 

 夢はもう、此処にある。

 

 

 

 夢の様な、時を生きた――

 

 

 

 

 

 

 ―「あぁ~~!!」

 「どうしたの?そんな大声出して」

 「おじさんに…、おじさんに貰った花が枯れちゃったの……」

 

 

 

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