うちの魔法科高校の劣等生にはオリ主転生が多すぎる   作:madamu
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三人称視点です


雪光はカチューシャにウィンク

「横、よろしいかしら」
光夜は軽くうなずく。

10月30日の全国高校生魔法学論文コンペティションも始まって一校目の発表が終わった。
大ホールの二階席最前列には光夜が一人座っていた。
別に一人で座りたいわけではなかったが、俯瞰して見れる場所の方が不測の対応もできる。
それに誰も「四葉」怖がって光夜の後左右には座らない。
光夜の回りは右も左も後ろも数席空いている。

そんな中、声を掛けて生きたのは二校の女子生徒だった。肌の白い、髪の色もやや金色に近い。
美貌の少女だった。彫りの深い、細目も性格の鋭さではなく白雪の寒々しさを表現するような
まさに氷の美貌だった。
女生徒は周りを気にした様子もなく、光夜の横の席に座る。
「何か?」
光夜はこの女性が意図をもって近づいて来た認識している。
意図がなければ、威圧的な自分によっては来ないだろう、と。

「突然で申し訳ないけど『さすおに』ってご存知?」
額に手をあて首を振る光夜。
女生徒はまるで世界の真実を語ったかの如く万遍の笑みだ。
動揺している、と光夜の行動は女生徒に受け止められたようだ。
「名前は」
「川村エカテリーナ。二校の一年生よ。呼びにくかったらカチューシャでいいわ。オタクっぽいけど、リーナよりいいでしょ。来訪者編で混乱しないわ」
カチューシャは余裕を持って言った。そう自分こそこの世界に混乱を巻き起こす者なのだ。
そんな余裕だった。

「ああ、そうだな」
光夜は顔をあげ、壇上の次の発表への準備を見ている。
「ロシア語出来て」
『この程度でよければ』
『完璧じゃない。安心ね。人に聞かれると正気を疑われるわ』
『同意だ』
二人とも横を向いて視線を合わせるようなことはしない。視線は舞台上だ。
『あなたと司波雪光は転生者でしょ』
『お前もか』
(直接的だな)と光夜は思った。カチューシャは得意げに続ける。
「主導権は自分にあるのだ」と言わんばかりに。
『ええ、ロシア人亡命者の魔法師と日本人との間に生まれたの』
『それで』
『別に挨拶よ。きっと長い付き合いになるわ』
(宣戦布告のようだな)と光夜は思った。
『そうか』
『あんまり驚かないのね』
『数名転生者を知っている』
『え?どういうこと』
カチューシャの声のトーンが少し上がった。
『言葉の通りだ』
『私とあなた、司波雪光以外にいるの?転生者?』
カチューシャの声がさらに上がる。
(この女、情報収集能力はないのか?黒城やカナデを把握していない?)
『共闘している』
『じゃあ、今日の事件はどうなるの?』
困惑し始めたのか、声の調子が攻撃的になる。まるで不測の事態を攻めるかのように。
『知っている通りにはならない』
『わけがわからない。もう少しちゃんと説明して!』
カチューシャは声を荒げ、腰を浮かせ、光夜に向き直す。
『説明する義理はない』
突き放す声。
(この女は何も知らない。自分が有利だと思っている)
『ないわけないじゃない!私も転生者なのよ!原作の話を崩すの?!』
『原作通りに行くと横浜市民に犠牲が出る。それを減らすだけだ』
『もっとちゃんと説明しなさいよ!』
子供の癇癪か、と光夜は思った。周りの視線も今まで以上に痛い。
『警備の指示を聞いてちゃんと避難をしろ』
『馬鹿にしてるの!私は説明しろと言ったのよ!』
『説明だろう』
『そうじゃないの!あなたは転生者で四葉、そして司波の仲間でしょ!原作の知識を使えばいくらでも自由に動けるじゃない!今日だって来なくてもいいし、今から港に行って無双して名声を高めてもいいのよ!それを警備を増やしてここで寛いで。なんなの?!』
『わめくな』
(勝手な理屈だ)光夜は少し怒りを感じ、声がきつくなる。
カチューシャは光夜の声に押され言葉が詰まる。
『うっ』
『細部は省く。事件の証拠を手に入れた、国防軍に警備を要請した。そして俺たちは個々人で出来ることをすべく横浜にいる』
『も、目的は』
『市民を守る』
『本当なの?』
『ああ』
『司波達也は知っているの?』
『知っている。未来予知として説明した』
『私ね、転生してから魔法力を高めるのと一緒に経済周りで成功してるのよ。金持ちなのよ。今日も事件後の建築需要見込んで建築株と資材株買ったのよ』
自分を落ち着かせようとカチューシャは動揺の理由を説明した。
『損切をしろ』
『言われなくても!何も起こらなかったらあんたのせいよ!』
光夜の一言で無理やり落ち着かせた気持ちが一気に沸点まで上がった。
そのカチューシャを切り捨てるように光夜は言う。
『黙れ』
人命を軽視することより、傲慢な女の姿が鼻につく。

「光夜、何してるの?ナンパ?」
カチューシャの横に二人組が来る。
小柄な雪光と大柄な兵介だとデコボココンビニ見える。
二人とも警備として今日のコンペに参加している。腕には警備の腕章。
「紹介しておく。二校の川村エカテリーナ。カチューシャだそうだ」
「そう。僕、司波雪光」
光夜の紹介に雪光はカチューシャにウィンク。
「黒城兵介」
兵介は片手をあげて挨拶。
「彼女も「さすおに」がわかる」
光夜の説明に二人は声を合わせる。

「「へぇ~」」

「なんか、石でも投げれば同じ境遇の人に当たりそうだな」
「僕もそう思った」
珍しいジュースの話でもするように、兵介と雪光はカチューシャの正体に無感動だ。
そのリアクションにカチューシャはさらに声が大きくなる。
「なによ!驚かないの?!」
いきなりの怒鳴り声にも二人は慌てない。一瞬の間をおいて二人は顔を合わせて言う。

「慣れた」
「え、居てもおかしくないだろ」

動じない二人と言葉失くしたカチューシャに光夜は声をかける。
「あきらめろ」

カチューシャは今までと一転声は低くなり脱力とも諦めともとれる声を出す。
「今日、このあとどうなるのよ」
それに答えたのは雪光だった。
「う~ん、なるようになるしかならないよ。警備はしっかりしてるから大丈夫だと思うけど」
「カチューシャは手伝ってくれないのか?」
兵介はナイスアイデア!と言わんばかりに明るくカチューシャに問うが答えは怒鳴り声で返ってきた。

「私に戦えっていうの?!」

「「うん」」

「転生者の使命よ」
光夜達のいる席の列より一つ後ろ。カナデが近づき、小声ながらはっきり言った。
カチューシャは胡散臭げな視線をカナデに向けた。
(こいつも転生者?四葉?それとも七草系?ふん!どうせ一校の十師族系か原作キャラの兄妹でしょ)

「あなたは?」
余裕と警戒の混じった声でカチューシャは聞いた。
カナデは軽く微笑み「聞いたら驚くわ」
余裕のある微笑みにカチューシャは憤慨する。
「慣れたわよ!」
「藤林奏。一校生。九島烈の孫娘で藤林響子の妹」
「っ!」
予想外の血縁に予想外の立ち位置。
カチューシャは大物の血縁がここにいることに言葉が出ない。
「ほら、ね。止めときなさい。大物ぶるの」

雪光がカチューシャの驚き顔を見て思い出したのか
「一番のびっくりどっきりは横浜にいないしね」

「アラタのこと?」
兵介が雪光に正体を聞いた、ここにいない一人の名前を出す。

「そんなのがいるの?なに司波達也の双子の兄弟?四葉真夜の子供?」
カチューシャは諦めなのか、怒りなのか、それとも次の衝撃に備えるためか具体的な予想を口にする。

「「「若作りのお調子者」」」

カナデ、光夜、雪光の声が重なる。

壇上の準備も終わり、「3分後に発表を行います」とアナウンスが流れた。







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