うちの魔法科高校の劣等生にはオリ主転生が多すぎる 作:madamu
三人称視点です。
「おじい様、新年おめでとうございます」
「奏」
「はい、おじい様」
「お前は利発で、聡明で意志が強い。それは美徳だ。響子にも劣らぬ魔法の才。それを過度に誇ることもなく自然体で生きる姿は美しい」
「お褒めいただき、ありがとうございます」
「だが交際相手は選びなさい」
「何か?」
「あの関という男と会ったよ」
「おじい様は別れろと」
「あれは独立した一人の男だ。どこに行っても仕事を得、生きていくことが可能だろう」
「それはいいことだと思いますが」
「だがお前はまだ16歳だ。あれはもう30を超えている。お前が20歳になる頃には倍の年齢だ」
「そうですね」
「年の離れた男はいかん」
「いかんと言われましても」
「いかんのだよ。克己心もあるが反抗心もある。決して鎖に繋がれる男ではない」
「おじい様、年齢の話からずれました」
「反抗心のある男が九島で生きるのは厳しい。藤林は分家だ、肩身の狭い思いからその反抗心は」
「婿入りではなく嫁入りでいいかと思います」
「いかんのだ・・・いかん」
「高校在学中の避妊はお願いしてあります。結婚の際はおじい様のお力で後方勤務に調整いただければ、奏は嬉しく思います」
「お前まで、あの男と同じことを言う!」
「子供は3人ほど欲しいと思います。一人にはおじい様の烈の文字をいただければ嬉しいのですが・・・ダメですか」
「ぐぬぬぬぬ」
◆
四葉の新年の挨拶は例年以上にピリピリしていた。
四葉真夜と深雪を筆頭とした四人が東京からモニター越しに会見したことが引き金だ。
四人が東京に住むことになり、もう数日で入学式となったある晩だ。
真夜が全員に入学の祝いの言葉を与えていた。
正しくは「深雪と雪光を褒め、達也と光夜を蔑んだ」のだ。
4人が見るモニターには真夜だけではなく、分家や執事たちの姿もあり、四葉家の「謁見」と同レベルであった。
「光夜さんは何か言いたいことはおあり?」
「いえ」
「いいのよ、発言をして。許します」
光夜は四葉では非常に特殊な立場だった。達也がその能力と経緯で異端視されるなら、光夜は出自で疎まれていた。
四葉元造の冷凍精子によって生まれた、いうなれば真夜の「弟」でもある。
調整体といった遺伝子調整が行われるようになったこの時代でも、光夜の出自は当主の後継問題の火種となりかけた。
光夜が成人後に分家を作りそこに押し込むことを真夜が宣言し、力業だが収束した。
当主の宣言を一族が履行する証明なのか、光夜の扱いは達也と大して変わらない。
母親と離されて、厳しい訓練へと落とされた。
使用人たちからは忌み子扱いだ。執事たちからは名前で呼ばれたことなど数えるほどしかない。
「あなたは、あの人と同じね。不満があると黙る。そっくりね」
まるで懐かしむように言う真夜に、光夜は内心で激怒の嵐を起こしていた。
(貴様が!母のことを言うな!)
「いいのよ、なにか望みがあれば言いなさい」
「いえ、今の状態で十二分です」
「欲がないわね。ほんと、そういうところも優衣さんそっくりね」
そう言って、口角をあげ真夜は微笑む。
周りの執事たちも、併せて笑う者もいる。
その姿を横目で見ていた達也、深雪、雪光は真夜の発言を恨んだ。
光夜の目が、一気に変わった。爆発する前の爆弾だ。
達也はモニターに映る執事たち、分家達の視線を鬱陶しいと思うとともに
母のことを侮辱されたと思う光夜の「感情」を羨んだ、ような気がした。
(俺には羨む感情がない。あるのは深雪を思う心だけだ。それで十分だ)
自分の心に深雪が占めていることの喜びをかみしめつつも
今の自分達の立場にはやはり脱出したい気持ちもある。つまりは自由だ。
「光夜さんも、こちらに戻ったら優衣さんのお墓参りに行きなさいね」
真夜としては、離れた肉親へ里帰りの際に墓参りを勧めただけであり、何気ない世間話の延長線上だった。
「発言を許していただけますか」
(やばい!)
(ダメです!光夜お兄様)
(何を言うんだ、光夜)
「どうぞ」
モニターの真夜は微笑む。
「若作りはみっともないので年相応の服装と化粧を」
そして新年の一族が集まる場に、光夜も来たのだ。
まあ余話なので。