狭間に生きる   作:神話好き

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八話(フェローの岩場~学術閉鎖都市アスピオ)

まず初め、その両手に月明かりを感じさせる光の文字が奔った。足も、無数の蛇も、警戒するのが馬鹿らしいほどに動こうとしない。フレンからしたら、舐めていると思うだろうこの行為は、特に挑発を意図したわけでもなく、この腕こそが最大の力だからだ。

「どうした、攻めてこないのか」

「はあっ!」

基本の方を忠実に守った斬撃が放たれ、それを無造作に伸ばした腕で受けとめる。力は要らない。どうせ止まってしまうのだから。異形の口から紡ぐは祝詞。不可逆の理に土足で踏み込む禁忌の言葉。

「月光を纏う」

「なっ!?」

その言葉と共に淡く光りだした腕に、堅い手ごたえを感じたわけでもないだろう。実際、叩き割る心算で放ったであろう一撃は、打撃音すらなく起こすことを叶わずに防がれた。不可解、理解不能。僕と戦ううえで一番厄介なのはこれだろう。僕だけが到達した理を以て、不条理を為す。予測も対策も不可能だ。

「動揺しすぎだ」

剣を受けた腕を手前に引いてやると、くっつけたようにフレンごと懐に引っ張り込む。バランスを崩し、前のめりに倒れ込んでいく途中、鳩尾に膝を叩き込み、その勢いで吹き飛ばした。

「ぐ……うぅ!」

今すぐにでも膝をついて喚きたいだろうに、苦悶を浮かべながらもすぐに体制を立て直して、きっちりと対峙する。僅かに残った矜持だと言わんばかりに、騎士として振る舞っている。

「…………」

「一応言っておくが、僕がずば抜けた達人で、圧倒的な技量の元に。なんてことはないからな」

片手で首を抑えながらコキコキと鳴らし、見透かしたような言動で釘をさす。

「あんたが挑んだのはそういう相手だ。世界を守護する以上、始祖の隷長に失敗はあってはならない。故にそれぞれ相応の力を持つ。千年以上前の街の幻影を作り出す者すらいるぞ」

「あなたもその例に漏れない、という訳ですか」

「半端な技量の部下や、魔導士のウィチルを連れてこなかった判断は正しい。が、僕を計り損ねたな」

その踏込は地面を円状に陥没させ、空けられた距離を一歩で零にする。意識に最大級の警鐘を鳴らしていたフレンは、見事に反応し後ろに退きながらその手にある剣を―――振るうことが出来なかった。

「…………っ!」

驚愕は培ってきた精神力で強引に押しとどめ、フレンは体を小さく丸めて首と心臓の位置に空いている手の防御を持ってくる。しかし、それをあざ笑うかのように、無数の蛇が鞭と化して巻き付き、腕を引きはがす。僕の拳は首元を狙い、そして急激に下へと軌道を変えて膝を打つ。本来ならば視界の外から襲い掛かり、意識を刈り取るはずの膝は、しっかりと蛇たちの視界に映り込んでいた。

「この状態の僕に、死角は無い」

「ならば!」

決意した目で剣を手放し、その手を使って封じられた腕の付け根に。肩を外したのだ。苦痛の声を押し殺し、下方から迫りくる拳の更に下へと潜り込む。ただ、一撃を躱すために、ほんの少し腕を伸ばすためだけに肩を外した。そのフレンの行動は僕の一撃を紙一重の差で外れさせ、反撃は蛇へ。結果、拘束は解かれ、再び距離をとることに成功した。

「段々と……あなたの力が……見えてきました」

だらりと下がる方を嵌めるよりも前に、フレンが口を開く。

「最初の一撃。受けられた、という感触すらありませんでした。押しても微動だにしない。衝撃を吸収などどいう生易しいものではない」

戻ってきた、と言えばいいのか。戦いの前、迷いに満ちていた表情はとうに消え去り、正しく騎士としてのフレン・シーフォがそこにいた。

「かといって、怪力という訳でもない。でなけでば、僕は今頃粉々にされているはずだ」

その通り。確かに人の尺度で見れば、図抜けているだろう。しかし、他の始祖の隷長と比べて、あまりに脆弱だ。基本的な能力と言う観点で見るならば、僕は始祖の隷長として最弱と言ってもいい。

「そして、その剣」

残された腕で、今もまだ落ち続けている剣を指さす。数秒前に手を放したはずの剣が、未だに滞空しているという異常。落ちてはいる。だが、その速度は非常に緩慢で。

「迎撃をしようとした時も、粘度の高い液体の中で剣を振るうようでした。そんな事が本当に可能なことなのか、剣に生きる僕には分かりません。ですが、それ以外にないと確信しています」

耳障りな雨音の中でもはっきりと。答え合わせをするように、到達した筋道が語られていく。

「あなたのその腕。刻まれた術式は、触れたもの時間に干渉する。違いますか?」

「正確には管理、だ。生体に使用するには少々条件があるけど、剣を使うあんたにとって、これで十分な脅威になる」

これは慢心ではなく、純然たる事実。術は使えず、剣も使えず。敵に立ち向かい、自らを貫くべく磨き上げた結晶が根こそぎ封じられる。始祖の隷長にとっては痛くも痒くもないが、こと人に限っては凶悪だ。

「忌々しい力だと思ってたが、慣れると結構使い勝手がいい。例えばそうだな、足は動くか?」

フレンは、はっと目を見開いて足に力を入れるが、一寸たりとも動かすことが出来ない。いや、厳密に言うならば、足は動かせるがその周囲の物が動きを阻害しているのだ。

「雨は、生きてないからな。膝を殴った時、その周辺の水分の時間は僕が掌握した」

淡々と語る言葉に、フレンは言い表せないほどの怖気を感じた。武器もなく、移動力どころか動くことすら叶わない。これから取れる行動は、極めて少ない。選択の時は今、この瞬間。

「僕はこれより、どうにか生き延びるために足掻かせてもらいます」

臆することも躊躇うこともなく、そんな言葉を口にする。恥も外聞もあったもんじゃない言葉からは考えられないほどの、凛とした雰囲気。僕は、その在り方に騎士の本懐を見た。この状況を打破する唯一の手段、それは僕の興味を引くことだと、フレンは考えた。そして、それは見事に功を奏するのだ。

「いいぞ。すごくいい」

柄にもなく、子供のようにはしゃいでしまう。

「信念。そうか、これが信念か……。礼を言うぞ。それは、僕の中には無かったものだ」

狭間と嘆き。蝙蝠のようにどちらにも付き。ただ、生きていくだけと諦めていた僕は、最も欠けていた。終わりがあるからこそ、命は激しく輝く。そんな言い訳を辞めた今、目の前にいる絶体絶命の騎士に、羨望すら覚えた。

「アレクセイを止めるのか?」

「ええ」

期待はいい意味で裏切られた。自らを律することが出来ないほどの高揚、一体どれほどぶりだろうか。今の自分を傍から見たら、絵本をめくる子供のように見えるかもしれない。

「自分は正しいと思えるか?」

「子細に及ばず。壁の高さを決めるのも、また自分ですから」

「なら、行け。続きはまた相応しい舞台でやろう」

雨が上がり、晴れ間からさす陽光が演出に一役買って出る。スポットライトのような光がフレンを包み、動くようになった足を確認すると、一礼をして僕に背を向ける。照らされながら歩く様は、まさに光の道を征く者。一枚の絵画のような光景を目に焼き付け、僕は満足気にエフミドの丘へと向かった。

 

 

・・・

「忌まわしき毒よ、遂に我が元に来たか!」

閑散とした荒野に存在する不自然な形の高台。その最上部から、ユーリたちへとありったけの憎悪を詰め込んだ声による罵声が叩きつけられる。

「……お出ましか。現れるなりいきなり毒呼ばわりとは、随分な挨拶だな、フェロー!」

「何故我に会いに来た?我にとっておまえたちを消すことなぞ造作もないこと。分かっておろう」

ユーリの敵意を意に介さず、ただただ解せないとばかりに首を捻る。

「ったく、これのどこが理知的だってんだよ。下町の爺さんの方がまだ話聞いてくれるぜ」

ユーリは剣を振りかぶる勢いで鞘から抜き放ち、油断なく構えをとる。しかし、事ここに至っても、フェローに警戒の色は窺えない。

「駄目です、ユーリ!皆も待って!」

這う地虫を見るほどに無機質な視線に晒されながら、エステルは一人進み出て声を上げる。恐怖は更に大きな恐怖でで押しつぶされ、最期にはエステルを突き動かす大きな渇望に押しのけられた。

「お願いです、フェロー、話をさせて下さい!」

「死を恐れぬのか、小さきものよ。そなたの死なる我を?」

「怖いです。でも、自分が何者なのか知らないまま死ぬのはもっと怖いです。ベリウスもトートも、あなたに会って話せと言いました。私は自分の運命が知りたいんです。わたしが始祖の隷長にとって害だというのは分かりました。でも、世界の毒と言われる意味を、わたしはまだ知らない……。わたしの力は何?満月の子とはなんなんです?」

声に乗せる渇望はただ一点。自分を知りたいというものに他ならない。美点も、汚点も、城の中の小さな世界では知ることのなかった物事を、今までの旅で学んだ。その旅路の最中に気付かされた事、それは知らないままで済ますのは嫌だ、と言う確かな想いだった。

「本当に私が生きてる事が許されないのなら……死んだっていい。でも!どうして死ななければならないのか……。教えてください!お願いします!」

死んだっていい。その言葉が決意なのか諦観なのか、本人にすら分からないだろう。しかし、心からの言葉であることに相違はないのだ。

「……かつてはここも、エアルクレーネの恩恵を受けた豊かな土地だった。だが、エアルの暴走とその後の枯渇により砂漠にまで成り果てた。何故エアルが暴走したか……それこそが満月の子が世界の毒たる所以よ」

「え……」

「満月の子の力は、魔導器などとは比較にならぬほどにエアルクレーネを刺激する」

「どういうことだ?」

困惑で上手く言葉を発することの出来ないでいるエステルに変わって、ユーリが疑問を代弁する。だが、問いの答えはフェローではなくリタから語られた。

「……魔導器は術式によってエアルを活動力に変えるもの。なら、その魔導器を使わずに術式を使えるエステルは、エアルを力に変える術式をその身に持ってるって事。ジュディスが狙ってるのは、特殊な術式の魔導器。つまり……エステルはその身に持つ特殊な術式で、大量にエアルを消費する……。そして、エアルクレーネは活動を強め、エアルが大量に放出される……。でも、それは学長、トートも同じはずよ!」

「概ねは言うとおりだ。ただ一つ、トートが同じという点は許容できぬな」

フェローの醸し出すあやふやだった憎悪に、明確な敵意が追加される。

「奴の血には確かにある因子が存在している。満月の子とそう変わらぬエアルを喰らうものが」

「やっぱりね……。杖も本もあの爪も、魔術の発動術式なんて刻まれてなかったもの」

「満月の子と同じだというのなら、少なからず周りに影響が出る。でも、彼からはヘルメス式魔導器のような感じはしなかった。ということは」

「エアルの消費を軽減する術式を知っている。でないと説明が付かないわ」

「なら、それを教えてもらえば!」

「不可能だ」

光明が差しかけてきたと、トートに一縷の希望を見出したが、猶予なくフェローの言葉が否定する。

「なんでよ!同じ術式では無理かもしれないけど、どうにか改良すれば―――」

「トートの術式の核となっているのは、その血に含まれる因子。それが無い者に真似することは出来ぬ。それは、目の当たりにした者ならば理解できるはずだ」

「…………」

「レイヴン……?」

鋭い眼光が、この場にいる満月の子であるエステルを差し置いて、レイヴンへと向けられる。

「血を用いた術式。場所は心臓か」

「……そうよ。旦那に再生してもらった」

「まーだ何か隠してやがったか」

「悪いね、青年。これはおっさんだけの問題じゃないからさ」

青筋を立てて詰め寄ろうとするリタを手で押さえたユーリが言った。無言のままに、目では話せと訴えかけてくる。さもなくば……。それはダメだ。トートに貰った命。こんなところで散らせるの事はレイヴンの矜持が許さない。

「おっさん実はね、一回死んでるのよ」

「何を、言ってるんです……?レイヴン」

「いや、マジマジ。人魔戦争で心臓ざっくりいかれちゃってね。五年位前までは心臓魔導器ってので無理やり生かされてたわ」

飄々と自らの死について語る。しかし、生かされていた。このフレーズにだけはありったけの嫌悪が顔を覗かせ、その一遍の親しみも乗っていない表情は事の重さをユーリたち全員に悟らせた。

「難儀な体でね。旦那と初めて会った時は、死なない死体だなんて言われたし。んで、哀れに思ったあの人が心臓を再生してくれたのよ」

「くれたのよ、ってあんた……」

「前に、あの人のは治癒術なんて生温いもんじゃないって言ったでしょ。あれ、体験談なんだわ」

「……それで、その桁外れの治癒術とやらが術式を改造出来ない要因なのか?」

「違うな。そも、トートの力は治癒などではない」

「えっ?でも、心臓を再生したって……」

前提を覆すような発言に、カロルを含めた大多数が戸惑いを覚える。

「再生したわよ。完全な元通り。ほんの少しの差異もなく、ね」

「つまり……どういうことなのじゃ?」

「……治すんじゃなく、戻すのね?」

「然り。件の術式は、莫大なエアルの消費に対し戻し続ける事で打ち消す。我とて真似は出来ぬ領域の御業よ」

「それじゃあ、ベリウスの言ってた学長が抱える苦悩って……」

わなわなと震える指先で口元を覆う。なまじ頭がいいせいで、誰よりも深くその境域を想像してしまう。何処にでも行けるのに、どこかに到達することは決してない。無限、永遠。聞こえはいいが、それらは等しく心を壊し、それこそ死なない死体にしてしまうことだろう。

「…………」

「抑える手段は存在しない。そして、我が怠慢は同胞ベリウスを失うこととなった。見極めなど最初から要らなかったのだ。その力は滅びを招く。禍根は早々に根絶せねばならぬ」

「おい、フェロー。お前が世界とやらのためにあれこれ考えてるのはよく分かった。けどな、なんでエステルがその世界に含まれていない?」

「ならば、どうすると言う。何があろうと満月の子が毒であるという事実は覆らない。人が傲岸にも聖核を狙い蠢き始めた今、我らは務めを果たさねばならぬ」

「フェロー、聞いて。要するに、エアルの暴走を抑える方法があればいいのでしょう?まだ、それを探すための時間くらいあるはずよ。それにもし……エステルの力の影響が本当の限界に来たら……約束通り私が殺すわ」

「……よかろう。だが忘れるな。時は尽きつつあるということを」

荒々しくも聡明。相反する二つを内包するからこその盟主フェローは、それを言い残すと巨大な羽を広げて天高くに舞う。去り際に残した、罪を受け継ぐ者達と言う言葉。それを頼りに、ユーリたちは次なる旅路の目標が定められた。

 

 

・・・

「先客がいたか」

「ここの眺めは、お前も好きだと言っていたからな……」

エフミドの丘にあるエルシフルの墓前にはすでにデュークがいた。崖のギリギリに立って、遥かな海原を仰ぎ見ながら返事を返してくる。

「それに、いつの日かベリウスと共にこの景色を眺めたいとも言っていた」

「そうだな。久しぶりに年甲斐もなくはしゃぐあいつを見るのが楽しみだった」

「……後悔はしていないのだな」

潮風になびく銀髪は優雅に揺れて。ゆっくりと振り返ったデュークの目には、同情も、羨望も、心配もなく、ただいつも通りがそこに在った。

「僕には膨大な未来がある。過去にまで囚われていたら、進むべき道すら定まらない。未だ霞のようにあやふやな道だが、その果てが見てみたくなったんだ」

「その果てが滅びだとしてもか?」

「滅びだとしても、だ」

いつかの会話の再現。その短い工程は、僕の根幹は変わらず僕なのだと実感させてくれる。意図したものか、それはデュークのみぞ知る事だったが、兎に角今の僕にとってはとてもありがたいことだった。

「どちらにせよ、自分の選択で上った舞台だ。最後まで関わり続けるさ。それに、確かに得た物もあったから」

「……私に得られなかったものを、お前は手に入れることが出来たのだな」

「心配するなって。僕に手に入れられてお前に出来ない道理はないだろう?」

「……そうか……」

それ以降は示し合わせたわけでもなく、ただただ無言で簡単な墓を作った。それは、荒れる世界とは切り離されたような狭間の出来事。そして、ほんの少し。デュークの中の何かが切り替わった瞬間でもあった。

 

 

・・・

学術閉鎖都市アスピオ。この世界のどこかにあるというクリティア族の村ミョルゾについての情報を求めたユーリたちは人知れず、現在未曽有の危機へと瀕していた。

「だから、言ったじゃないの!旦那の家に入るなんて自殺行為だって!」

「いいから、口動かしてないでテキパキ仕掛けの解除に励みなさい!このままじゃここでお陀仏よ!」

「流石は魔導王の自宅と言うべきかしら。訳の分からないものだらけだわ」

「これ、要塞の間違いじゃないのか?」

発端はカロルの何気ない一言だった。即ち、情報ならトートの家にもあるんじゃないのか、という推測だ。反応は真っ二つ、賛成派と断固反対派に分かれた。とはいえ、断固反対派のリタとレイヴンは、数決と言う名の数の暴力で押し包められてしまったので、現在の惨状に繋がってしまったのだ。

「レイヴンの遺書。あれ、本気だったんだね……。辞世の句とか書いてあるから冗談だと思ってたよ」

「失礼ね。おっさんはいつだって本気よ」

「だから、それが胡散臭いんだって」

総力を挙げて四方八方から、性格が捻じ曲がってるとしか思えないほどに嫌なタイミングで飛んでくる魔術を器用に撃ち落とし、その間にリタが嫌がらせの塊のような仕掛けの解除を行う。そんなことが何度繰り返されただろうか。ただでさえ大きな家なのに、地下まで完備しており、正直なところ見通しがたたない。

「大人しく戻った方がいいんじゃないでしょうか?」

「今までいろんな場所に行ったが、ここが一番危ないのじゃ」

「うぐぐぐぐ」

「リタっち。人様に見せられないような顔になってるわよ」

歯をむき出しにして唸るリタを引っ張って、ユーリたちはボロボロになりながらも生還を果たすと、家の前に一枚の手紙と看板があった。侵入前は無かったものなので、つまりはそういうことだ。

「この看板、お疲れ様。って書いてありますね」

「やけに嫌らしい攻撃が多いと思ったら、そういうことかよ」

「じゃあ、ボクたちの苦労とアップルグミは……」

「してやられたみたいね」

「のじゃ」

手紙には、どうせフェローは抽象的なヒントしか出さなかっただろうから、ミョルゾについての情報を記しておく。と書かれており、トートの手のひらの上で遊ばれていた事実が如実に語られていた。

「……なんか釈然としねえが、一応目的は達成ってところか」

丁寧な文体で思いっきりからかうような内容の手紙を、破きたい衝動を抑えながら懐にしまう。そうでもしないと、燃やされてしまいそうな気がしたからだ。余談だが、その後、怒りで完全に暴走したリタによってアスピオが半壊しかけたりもしたのだが、これについては黙殺するとしようか。

 

 




原作にもトートさんがいたの忘れてたので、本作ではいなかったことにさせてもらいました。

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