陽乃さんを素直にすると、かなり、強敵かもしれない件 作:A i
学校を出て、陽乃さんに引きずられてしばらく歩いていると、前方の有料駐車場に、見覚えのある一台の高級車が停められているのが見えてきた。
「これって……」
俺の視線に気がついた陽乃さんがニヤリと笑みを浮かべて言う。
「そ。これから、車で行くわよ?」
「マジですか?」
「マジよ?さ、乗って」
俺は陽乃さんに言われるがままに助手席に乗車。
陽乃さんも運転席に座る。
しかし、ここで気がついたことがある。
それは……。
「陽乃?」
「ん?なに?」
彼女は可愛らしく首をひねる。
一瞬、その笑顔に目を奪われそうになったがなんとか持ちこたえて言う。
「いや、その服のまま運転するのは不味くないですか?」
そう、彼女は未だ制服を着ているのだ。
陽乃さんの見た目からして、少し大人びた高校生ぐらいに見えてもおかしくはない。
そうなると、色々と面倒なことが起きる気がする。
すると、俺の言わんとすることに気がついたのか、陽乃さんも少し思案顔になった。
「んー……そうね〜。じゃあ、今から着替えるから少しあっち向いていてくれない?」
そういうや否や、胸元のボタンを外して行く陽乃さんに、俺は驚き、首を180度回転させ、窓の外を見る。
断じて、反射で下着を見ようなどとは思っていない。
思ってないからな!
「八幡、窓ガラス越しに見るなら直接見なよ?」
「見てません!見てませんよ!なに言ってるんですか。もう、陽乃ったらやだなぁ!」
あはは、と頭を掻きつつ誤魔化そうとするも。
「八幡、目が気持ち悪いくらいに泳いでるよ?あと、その話し方も気持ち悪いね?」
窓ガラス越しでさえわかるぐらいに目が泳いでいたらしい。
あの陽乃さんか、ドン引きしているのが、窓ガラス越しでさえわかる。
あと、ナチュラルにディスられた。
やばい、泣きそうになる。
しかし、そんな俺の傷ついた心なんて御構い無しに陽乃さんはお着替えを済ませていく。
皮肉なことに、傷ついたお陰でさっきよりも衣擦れの音や、艶っぽい吐息を気にならなくなった。
しばらくすると、陽乃さんから「もういいよ」と声がかかったので、振り返るとそこには、薄手のセーターを着た陽乃さんがいた。
制服も良かったが、やはりこの人のセンスは凄まじいものがあって、制服姿よりも彼女の魅力がより感じられる気すらするファッションだ。
特に、妹さんとは大きく異なる部分が強調されていて、男ならば否応無くそこに目が惹きつけられてしまうだろう。
眼福。
頭の中でそう唱えながら、合掌した。
すると、俺の視線の先にあった双丘がむにゅっと変形。
さらにその大きさを主張しだしたので、驚いて顔を上げるとそこには両腕で、二つのふくらみを挟み、悪戯っぽく笑う陽乃さんの姿がある。
「ふふ。見たい?」
「…………み、見たくないですよ」
「あはは」
たっぷり三秒も迷ってなんとか絞り出した答え。
俺のそんな様子を可笑しそうに笑う陽乃さん。
しばらく、笑うと、車のエンジンをかける。
「じゃあ、おふざけも大概にして行くよ?」
「え、マジで陽乃さんの家に行くんですか?」
つまり、パパのん、ママのんといきなり、対面しなくちゃならないの!?
そんなの絶対嫌なんだけど!嫌なんだけど!
そんな想いが全て顔に出ていたのだろう。
陽乃さんが俺の顔を見て笑いながら言う。
「あはは。大丈夫よ八幡。今から行く家は実家じゃないから」
「そ、そうですか良かった……え?じゃあどこに?」
実家じゃないなら、なんの家に行くのだろう?
俺のその問いかけに、陽乃口の端を上げて、ウィンク。
あまりにも美しいその仕草に、見惚れていた。
だが、次の瞬間、そんなものは吹き飛んだ。
「私個人の家を買ったの。だから、この後はずっと二人っきりだよ?」
「…………ぇぇええええ!?」
俺の絶叫がこだましたのだった。
少し、休んでいました〜すみません。
久しぶりの投稿です。
次回からは、陽乃無双が始まりますのでよろしくお願いします!
あと、お気に入り登録してくれた方、評価してくれた方ありがとうございました。
ご期待に添えるような作品目指して頑張らせていただきますのでこれからもどうか、暖かく見守ってください。
よろしくお願いします!