陽乃さんを素直にすると、かなり、強敵かもしれない件   作:A i

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今夜はおうちでムフフフフ!

 「さ、入って入って〜」

 「お、お邪魔します」

 

 陽乃さんの開けた玄関扉をくぐるとそこには圧倒的なスケールのお部屋が広がっていた!

 

 「なんだこれ……すげ〜」

 

 中に入るとまずお出迎えしてくれたのは、鹿だった。

 

 あの、お金持ちの家にある、あれね、あれ、

 

 剥製なのかなんなのかわからないけど、とにかくデカイあれ。

 

 語彙力が終わってる……けど仕方ないよね!?

 

 だって普通の人はあんなの買ったことも見たこともないんだもん!

 つーか、あれどこで買うの?アマゾン?

 あんなもの買うなら、プレステ5つ買うわ!!

 5つ買う意味はないんだけどね。

 

 それに、その鹿だけじゃなくて、高級そうなものが至る所にセンス良く配置されている。

 照明も当たり前のようにシャンデリアだし、鏡も壺も高そうだし。

 

 靴を脱ぐと、俺の靴だけなんだか場違いな感が否めない。

 やばい、早速帰りたい……。

 

 「安心して、八幡。玄関だけだからこんな感じなのは」

 

 クスリと笑う陽乃さんに一応突っ込んでおく。

 

 「いや、まあなんというかナチュラルに心の中読むんすね」

 

 すると、あはは、と声を上げて笑った。

 

 「心を読んでなんかないよ。だって、八幡の場合、顔に書いてあるんだもん。『帰りたい…』ってね!ま、帰らせないけど」

 「そんなにわかりやすいですかね……」

 「うん、雪乃ちゃん以上にわかりやすいよ」

 

 雪ノ下はどちらかといえば、わかりにくい部類だと思うのだが、もはや突っ込む気力もない。

 

 とりあえず、陽乃さんが出してくれたスリッパを履き、案内されるままに陽乃さんについていく。

 

 「では、ここがリビングでーす!!」

 

 いつもよりもハイテンション気味の陽乃さんが、ドアを開けた。

 

 「おお……すごい……」

 

 知らず知らずのうちにそんな声が漏れてしまう。

 

 端的に言ってかなり好みの部屋だった。

 

 先ほどの玄関をセレブ感溢れる感じだと形容するならば、こちらは出来る女の部屋という感じだろうか?

 全体的にシックな仕上がりになっている。

 

 ソファは革張りのもので、大きな液晶テレビが壁に埋め込まれ、大きな窓からは綺麗な夕日が見えている。

 

 さすが、最上階。

 景色に無頓着な俺でさえ、その夕日には目を奪われてしまった。

 千葉の街並みがオレンジ色に染まっている。

 

 やはり、俺の千葉は最高だ。

 腕を組み、うむ、と頷く。

 

 「何やってるの?八幡変な顔してるよ?」

 

 陽乃さんが隣でドン引きされていた。

 

 「いや、景色が綺麗だなと思いまして」

 「いや、なんか悦に入ってたよ?」

 「き、気のせいですよ!」

 「しようがない、そういうことにしといてあげよう。じゃ、こっち来て?」

 

 また、陽乃さんの後ろについていくと、今度はまた、別の部屋を紹介される。

 

 「はい、ここが寝室ね?」

 「そ、そうですか……」

 

 いや、別に女の子の寝室に興奮とかしてないからな!

 でもちょっと、陽乃さんの寝顔は見てみたいかも。

 この人黙ってたらホント美人だし。

 

 「八幡……目泳ぎまくってるよ?」

 「え……」

 

 不思議そうな顔だった陽乃さんの口角がキュッと持ち上がり意地悪そうになる。

 

 「なになに?お姉さんの寝顔想像してたの?」

 「そ、そんなわけないじゃないですか!」

 「え~、ホントかな~?」

 「ホントですって」 

 「まあ、今夜楽しみにしててね?」

 

 パチンと綺麗なウインクを決めてみせる陽乃さん。

 

 しかし、俺に取っては聞き捨てならないことがあった。

 

 「え?今夜の楽しみってどういうことですか?」

 「え?そりゃ、私の寝顔に決まってるでしょ。今の文脈からして。しっかりしてよね、八幡文系でしょ?」

 「いや、まあ国語力は自信ありますけど。でもそうじゃなくて、まずそれ以前に俺陽乃さんの寝顔見れないですよ。見ようと思っても。」

 「なんで?」

 

 きょとんとする陽乃さん。

 

 「なんでって、そりゃ、俺ここでは寝ないですし」

 「え~!!じゃあ、どこで寝る気?ここ以外にベッドないよ?」

 「さっきのソファーで寝ます」

 「それはだめ!ソファー痛むし」

 

 マジの顔で言われたので、ソファーで眠るのはムリそうだ。

 

 「じゃあ、その辺の床ででも寝ますよ」

 「それもだめ!床が痛むし」

 「おい、床が痛むって何でだよ」

 

 フローリングが痛むことは無いと思うので突っ込むと、陽乃さんはあごに手を添えて考え込む仕草を見せる。

 

 「いや、むしろ、八幡が痛む、というか腐る」

 「おい、俺をなにか魚と勘違いしてない?してるよね、それ?」

 

 普通に生もの扱いされた……八幡哀しい!

 

 「まあ、とにかく、この寝室以外で寝るのは禁止!分かった?」

 「いやそのだから……」

 「わかった?」

 「はい」

 「よろしい」

 

 有無を言わせないってこういうことなのか、勉強になったぜ!!

 

 

 まあ、あの寝室で眠ることが決定した後もいくつかの部屋を紹介された。

 なかでも、お風呂はすごかった。

 なんかガラス張りの露天風呂みたいになってる奴。

 

 「丸見えじゃないですか!?」って言ったら、「このボタンを押せば見えなくなるよ?」ってなんかボタンを押したらホント不思議。

 磨りガラスみたいになって中見えなくなるんだよ!?

 あれマジでどうなってるんだろ。

 不思議である。

 

 

 しかし、そんなお部屋紹介にも少し疲れてきたので今は二人でソファーに座り、クラシックの音楽をかけている。

 陽乃さんが紅茶も入れてくれたので、すごいリラックスしてしまってる。

 なんか、ローマの休日ってこんな感じなんだろうか?

 まあ、見たことないからわかんねーけど……。

 

 まったりとした時間が流れる。

 夕日も遙か彼方の地平線へと沈み、あたりは漆黒に包まれ出した。

 黒々とした夜空に星々がきらめきだしている。

 

 おそらく今この瞬間、俺の今までの人生の中で最も美しい時間を過ごしている。

 

 綺麗な夜景に最高級の空間、そして何よりも、隣に座る絶世の美女。

 これ以上無い最高のロケーションだ。

 

 やはり、今夜は長い夜になりそうだ。

 




R15で耐えきれるか。
それが次回の最重要クエストだな笑笑
では、次回をお楽しみに!
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