ようこそマイナス気質な転生者がいるAクラスへ   作:死埜

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 感想、お気に入り登録、評価、誤字報告ありがとうございます。

 今回は短くしました。
 必要最低限の描写を入れて、キリが良いところで終わらせました。
 普段の半分程度の文字数ですが、思うところがあったら感想やメッセージなどで作者にお教えください。

 また、前回お知らせしたように次回の投稿は未定です。
 お盆がない勢いで忙しいので、9月10月辺りになるかもしれません。


34話目 特別試験Ⅱ 最終日

『子、酉、亥グループの試験が終了いたしました。以上をもって全てのグループの試験が終了しました。試験結果発表まで暫くお待ちください』

 

 そのアナウンスは試験結果発表がある今日、船内に流れた。

 それを聞いていた生徒たちの反応は様々だった。

 終わるのが遅いと遊ぶ時間を奪われ続けたことに文句を言う者、今更終わって何の意味があるのかと憤慨する者、どこかのクラスの一人勝ちにならなくてよかったと現状を理解していながらも何もできなかった者、あと一歩でわかりそうだったが他のクラスに先を越されて憤る者、今回の試験の目的がかなり変更になったが最低限のことはしたと割り切った者、自分が当てることはできなかったが他の誰かがやり遂げてくれたと安心した者、優待者を指定されたことに当然と思いつつも遅かったと少し残念に思う者、優待者を指定されたことに仕方ないと諦めた者、そんなこと関係なしに友人と共に船の設備を満喫している者と様々だ。

 

 ■■■は、そのどれにも当てはまらなかった。

 友人と遊ぶわけでもなく、クラス間の争いに興味を示すわけでもなく、特別試験の実情を知らないわけでもない。

 正しい(歪んだ)形で自我を確立させた彼は、自分の思うがままに今を生きていた。

 

 彼との間に壁があった人の隣を歩いて反応を確認したり、自分のクラスのリーダーの近くを歩いてみたり、確実に目をつけられているであろう各クラスのリーダー格をストーキングしたり、教師の隣に座って酒を嗜んだりと様々だった。

 彼が行った結果は、反応はなく、気づかれることもなく、ばれることもなく、指導されることもなかった。

 まるでそこには誰もいないかのように人々は振る舞う。自分から行動を起こさなければ誰も自分を認識することはなかった。

 

 その背景に何があったのかは本人しか知る由はない。

 だが、それを疑問に思うことができる人間は、この船の中に乗船していなかった。

 驚異的な主人公補正(プラス)によって■■■の視線を感じ取る人間が一人いた。しかし、彼がそれに気づいて視線を向けた先には誰も見つけることはできなかった。

 まさしく、絶()調とも言えるべき彼の自由(不幸)を知ることができる者は誰もいない。

 

 それはあたかも、読者(観客)ライトノベル(演劇)読んでいる(見ている)ように見えた。

 二次元と三次元が交差することがないように、登場人物(プラス)負人間(マイナス)が交わってはいけないものだと暗示しているようにも思わせた。

 

 

 

 

 

 

__________________________

 

 

 

 夜の船内で、楽し気に鼻歌を歌いながら歩く人影があった。

 だが、それに気づくものは誰一人としていない。

 教師も、生徒も、スタッフも、誰一人として彼に気づく者はいなかった。

 

 

 気分が良い、それこそ歌の一つでも歌いたくなるくらいに。

 

 この数日を振り返った彼の感想がまさしくそれだった。

 誰からも干渉されることはなく、誰もが彼がいないことに違和感を感じることもなく、彼をいるものとして扱っている始末。

 同じ部屋のクラスメイトでさえ、彼がいないことに疑問を感じることも違和感を感じることもない。

 同じクラスの彼に付き添いを頼んだ彼女でさえ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 付き添いの二人も話と変わっていることに()()()を感じることなく、それに応じる。

 そんな彼らを見ながら嘲笑っている彼。

 邪魔なものを取っ払ってしまった結果、()()()()()()()()()人にまで退化してしまった彼に気づく人は誰もいない。

 

 とは言っても、彼が幽霊のような存在になってしまったわけではない。

 声をかければ返事は返ってくる、物を触ることもできれば、食事をとることもできる…自分から行動しなければ相手に気づかれないだけで。

 どこかの『負完全』が行った、『気配をなかったことにした』のと同じだ。

 いや、『負』の量で劣っている分か暴走気味だったかは不確かだが他にも色々()()()結果でもある。

 

 『気配』『憎悪』『嫌悪』、ついでに『違和感』との『縁』を切った。

 

 彼の過負荷(マイナス)足る気配は消え、彼に向く憎悪もなくなり、彼に嫌悪を抱くこともなくなり、彼が()()()()()()違和感を覚えることもない。

 それが、■■■のやったことである。

 たったそれだけのことで、この船に存在するのにも関わらず存在感を察することができる人はいなくなった。

 正しい意味での主人公(綾小路)でさえ、その『運命力』を以てしても気づけなかったのだから相当なものだと断言できる。

 本来勝つはずの主人公(綾小路)過負荷(■■■)に気づくことすらできないのだ。

 このまま暗殺しようと思えばすることもできるかもしれない。

 

 …しかし、その結果がどうなるかは理解しているうえに、()()()()()()()()()から実行する気を持たないだろう。

 根本的なことは変わっていないことを彼は理解している。

 

 『小坂零』との『縁』を切った彼は、『小坂零』の()()()()()()()()()

 

 以前と変わったところとして、『小坂零』ではなくなったという部分があげられる。

 スワンプマンが自我を持った、クローンが生きたいと願った、ホムンクルスが死にたくないと望んだ、その結果生まれたのが■■■という存在だ。

 

 アリシア・テスタロッサという人間のクローン、フェイト・テスタロッサ。

 ミュウを基に作られたミュウツー。

 聖杯大戦の魔力供給のために作られた名もなきホムンクルス(ジーク)

 

 最後は少し違うかもしれないが、彼らと同じく『小坂零』を基に誕生した存在『■■■(名前はまだない)』。

 そう認識し、定義した。

 だからこそ、彼は以前までと違い今を謳歌している。

 完全に定着していた自我を切り離すために行ったそれは、彼の今まで生きてきた人生を否定すると同時に彼の自我を確固たるものに変質させていた。

 

 

 

 

 

 そして彼はこの船旅の、特別試験の終幕を確認するべく、とある場所に向かっていた。

 時刻は午後10時55分。

 カフェテラスには人が徐々に増え、既に満員に近い状態になっている。

 どこかのクラスが終わらせたとしても、それがどこかわかっている人間は少ない。

 また、他のクラスがどうあがいたのかを見物しに来たAクラスの生徒も少なくない。

 

 そんな中、彼は()()と空いている葛城と坂柳の両名が座っている席に座り、違和感なく注意されることもなく時間を待っていた。

 各クラスの代表格は既に各クラスごとに固まっており、話し合いや雑談をしている。当然、勝ち逃げを確定させているAクラスも他のクラスの情勢を見る意味も込めてここに来ていた。

 だが、彼の対面に座っている坂柳も、右にいる葛城も、左にいる橋本も誰も彼について言及することはない。まるでそこに誰かが座っていることを知らないかのように振る舞っていた。さらに、彼の席に近づく者もいなかった。

 

 

 そうして携帯を弄りながら待つこと5分、一斉にメールが届き、当然の如く全員がそれを確認する。

 

『子(鼠)―――裏切り者の正解により結果3とする

 丑(牛)―――裏切り者の正解により結果3とする

 寅(虎)―――裏切り者の正解により結果3とする

 卯(兎)―――裏切り者の正解により結果3とする

 辰(竜)―――裏切り者の正解により結果3とする

 巳(蛇)―――裏切り者の正解により結果3とする

 午(馬)―――裏切り者の正解により結果3とする

 未(羊)―――裏切り者の正解により結果3とする

 申(猿)―――裏切り者の正解により結果3とする

 酉(鳥)―――裏切り者の正解により結果3とする

 戌(犬)―――裏切り者の正解により結果3とする

 亥(猪)―――裏切り者の正解により結果3とする

 

 Aクラス……プラス300cl  プラス450万pr

 Bクラス……マイナス150cl 変動なし

 Cクラス……変動なし      プラス150万pr

 Dクラス……マイナス150cl 変動なし』

 

 予定調和とも言える結果…だがそれは実情を知っていた者たちのみに限る。

 何も知らなかったDクラス及びBクラスの生徒たちは愕然とし、Cクラスの生徒たちは苦虫を噛み潰したようにAクラスが固まっている方向を睨んでいた。

 対するAクラスの面々は、最善ではないものの予定通り終わったことに安堵しつつ他のクラスを見下すように見下ろしている。

 自分が正解者を知らせたわけでもないのに、まるで鬼の首を取ったように彼らを下に見ていた。

 

 各クラスの代表者の反応は様々だった。

 Dクラスの面々は居心地が悪そうに、龍園は次は潰すとばかりにAクラスを睨みつけ、一之瀬と神崎はBクラスの生徒たちに情報開示を迫られていた。

 そして、Aクラスのリーダー両名はクラスメイト達に持て囃されることになる。

 

 静寂で包まれていた夜の船上から、徐々に騒々しさが増しつつある。

 そんな中で、既に興味をなくしたと言わんばかりに彼は再び歩き出した。

 人々は無意識的に彼に道を譲っているように見えるが、それを認知することはできない。

 表舞台から去った彼を追う者は誰もいない。

 それは、主人公でさえ例外ではなかった。

 

 

 




 『死』との縁を『切った』後で、『小坂零』との縁を『切って』います。また、『発狂』や『精神崩壊』などの縁も切っているので、『(■■■)』として生存しています。
 順番が逆だと死にます。『小坂零』だと認識している今から、『小坂零』が剥奪されることと同義になるので、自分(小坂零)を殺さなければ『小坂零』が消えることはなくなるからです。
 と、面倒な話は置いておいて4巻で終わらせなければいけないことは終わったので次に進みます
 次回は4.5巻に入る予定です。
 ここは軽く流して早めに5巻に突入するつもりです。

 また、未成年者の飲酒は法律で禁止されています。
 真似をして教師の前で飲酒をすることはおやめください。当方は責任を負うことができません。

 前書きの通り、次回の投稿は未定です。
 今月はかなり厳しいので、9月か10月辺りになるかもしれません。
 
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