みほと母親であるしほの関係はどうなるのだろうかと個人的に考えていたところ、その妄想を文字にしてみるかと勢いで書いた話です。
pixivとの重複投稿です。
「はぁ…」
みほは深いため息をついた。
ここは、横浜中華街。
連休初日ということもあり大賑わいのこの街で、みほはひとり、人混みに流されていた。
(どうしよう…わたし、何してるんだろう…)
威勢のいい客寄せの声がそこかしこから響いてくる。しかし、今のみほは、周りの活気に当てられる度に気持ちが沈んでいくような気がした。
せっかく来たのだから、とゴマ団子やマンゴープリンを食べてみたりしたが気は晴れなかった。
唯一、お土産屋さんで横浜限定のボコのぬいぐるみを見つけたときは嬉しくなって少しだけはしゃいだが、それも束の間だった。
みほは横浜に観光に来たのではない。
中華街にいたのも大洗の連絡船が着岸したところがたまたま近くだったので、ぶらぶらしていただけだった。
用件は他にあった。
(行かなきゃ…)
しかし、わかってはいても、足が進まなかった。
事の発端は5日前、姉からの電話だった。
その夜、みほは自室で夕食をすませ、明日の練習メニューを考えていた。
「うーん、でも今はやっぱりうさぎさんチームに経験積んでほしいし…。もっと実践的なメニューの方がいいのかも…」
大学選抜との試合から3週間。
大洗の学園艦は、ようやく日常を取り戻しはじめていた。
みほはチームメイトのモチベーションが少し心配だったが、彼女らもあの試合から得たものは大きかったようで、依然として練習にも意欲的に取り組んでくれていた。
ただ、うさぎさんチームは自分たちのスタイルに行き詰まりを感じているようだったので、先輩としてなんとか力になりたいと思っていた。
今、大洗女学園から戦車を取り上げてしまえば、ただの小さな学園艦に逆戻りだ。後輩の育成は今後の最大の課題となる。
「よしっ、できた。これで今日のやることは終わりっと。あとはボコのビデオでも見ようかな。」
時刻は午後 9時を回ったところ。眠りにつくにはまだ早かった。
『ピルルル・・・・』
その時、携帯が鳴った。
みほは画面に表示された名前を見て少し驚いた。
「もしもし、お姉ちゃん?」
「あぁ、みほ。すまないな、こんな夜遅くに。」
姉 ー まほからだった。
「ううん。でも、珍しいね。お姉ちゃんから電話なんて。どうしたの?」
全国大会の決勝以来、2人は時たま連絡を取るようになっていた。
連絡といっても、みほが日常の何気ないことをまほに伝えるだけのものだったが。
まほの方から電話をかけてくることは滅多になかった。
「あぁ…うん…。みほ、今度の週末は連休だろう?」
まほは、変な間を置いて答えた。
「そうだね。陸に上がる予定もないから、特に何もしないと思うけど。」
「私は、実家に帰ろうと思う。」
「そうなんだ…」
実家。
実家という言葉がみほに少し刺さった。
母とはもう随分会っていない気がする。一か月ほど前に書類にサインを貰いに行ったときも、結局、母とは顔もあわさなかった。
「みほにも来て欲しいんだ。」
「え⁉︎」
まったく予想していなかった姉の言葉に、みほは思わず声を上げてしまった。
「そ、そんな…お姉ちゃん、だって私…」
「うん。でも考えてみてくれ。お前がそっちに行ってもう半年、その間お母様と一度も会ってないだろう?」
「うん…」
「お前とお母様がろくに口もきかなくなってからはもう1年以上になる。」
その通りだった。
みほは去年のあの出来事以来、一言も母と言葉を交わしていない。みほが大洗に行くと言ったときも母は何も言わなかった。
「それでも、お前の転校がお父様に認められたものであるならそれでいいと思っていたんだ。私たちはやはり普通の家の子ではないしな。」
まほは妹を気遣うように優しい口調で続けた。
「でも、お前が戦車道を続けているなら話は別だろう。お前が戦車に乗れば、当然西住の名もついてくる。お前が戦えば、どうしたって西住流を背負った戦いになるんだ。なのに家元、しかも実母であるお母様と疎遠というのは、まずいんじゃないか?」
「……」
みほは黙ってしまった。
混乱していた。
姉の言うことは至極まっとうで反論のしようがない。
ただ、一つ腑に落ちないことがあった。
この前実家に帰ったとき、みほが母と顔を合わさずにすむように取計らったのは、他でもないまほだったのだ。
(なら、なんであのときお母さんに会わせなかったんだろう…)
おこがましくて口には出せない。
「あのときはー」
しかし、まほには妹の疑問などお見通しのようだった。
「あのときは、お母様の真意が分からなかったんだ。どんなつもりでみほを放っておいているのかわからない以上、下手に会わすのはやめようと思った。だが今は違う。」
まほの言葉は迷いがなくて、力強い。
「この前の大学選抜との試合、あれの開催のためにお母様はいろんな方面に働きかけを行っていたらしい。」
「え?」
みほは、そんな話は初耳だった。
もちろん生徒会長は知っていたのだろうが。あえて黙っていたのだろう。
「わかるか、みほ。お母様は少なくとも、お前に戦車道をやめてほしいとは思っていないんだ。だったら話をつけるべきだよ。」
みほは自分の鼓動が早くなるのを感じた。
いろんな感情が湧き上がってくる。
母が大洗の存続のために動いてくれていた喜び、実家に対する恐怖、姉の提案に対する動揺。
それらがグルグル回ってみほは何もわからなくなった。
「お姉ちゃん…」
助けを求めるような声で、なんの答えにもなっていない返事をした。
我ながら自分が情けないと思った。
「うん…。すまない。やはり急すぎたな。」
それでも、まほは優しかった。
「でも、これが年末までに家に帰る最後の機会だと思うから。これは、私のわがままなんだが、正月くらい家族みんなで穏やかに過ごしたいんだ。」
普段のまほからは想像もできないような悲しそうで、そして、照れくさそうな声だった。
「できるだけ来てくれ。じゃあな。」
電話が切れた。
みほはずっしりと重いものが心に乗っかっているような、息がつまる思いだった。
翌日。
正直、一日中布団を被っていたいような気分だったが、そういうわけにもいかず、みほは普段通りに学校に行った。
みほは不安や悩みがすぐに顔に出るので、同じ車に乗る仲間たち、特に武部沙織にはすごく心配されてしまった。
「やっぱり急すぎるよ。こういうのは自分のタイミングじゃないと。無理しなくていいんだからね、みぽりん。」
事情を話すと、こう言ってくれた沙織の優しさに甘えて、みほはやっぱり今週末のことは断ろうと思い始めていた。
しかし、そう甘くはなかった。
戦車道の練習も終わりもう家に帰ろうという頃、戦車の倉庫の前でみほは声をかけられた。
「西住ちゃっーん!」
生徒会長、角谷杏だった。
杏は大きな紙袋を持ってみほに近づいてきた。河島桃も一緒だ。
「いやー、聞いたよ。熊本に帰るんだってね。」
その第一声にみほは驚いた。
「え?いや、その…」
「実は大学選抜戦のとき、お母さんにはかなりお世話になっちゃってさ。これ渡してよ〜くお礼言っといね。」
まくしたてるように言って、杏はみほに紙袋を差し出した。
中にはたくさんの大洗土産が入っていた。
「だから、そのっ。まだ行くとは…」
「学校の代表者としての責務を兼ねているんだ。旅費はこちらで出す。しっかり頼むぞ。」
今度は桃がみほの言葉を遮った。
さらに杏がニコニコした顔で口を開く。
「西住ちゃんが行きやすいように、臨時で横浜に連絡船出すことにしたからさ。そこから新幹線で行くといいよ。」
みほが何も言えないまま話がまとめられていく。
二人はみほが口を出す隙を与えなかった。
「じゃあ、よろしくね〜」
最後にそう言って杏たちはみほのもとを離れていった。
みほは状況を飲み込めないまま、しばらくつっ立っていた。
✳︎ ✳︎ ✳︎
しばらく歩いてから桃は、呆然として紙袋を抱えているみほをチラリと振り返って、
「これでよかったのでしょうか、会長。」
と、少し苦しそうにつぶやいた。
「いやー、まほまほも人が悪いよね〜。『そちらからも説得して欲しい』とか言われても、まほまほにできなかったのにうちらにできるわけないよね。」
杏は苦笑しながら返す。
昼間にまほから電話があったのだ。
「でも、無下にもできないしね。なんせ借りが大きすぎるんだから。」
あの試合に参加してくれた他チームたちのことを杏は本当に感謝していた。できる限りの恩返しはしたいのだ。
「うちらにできることと言えばさ、西住ちゃんをこの船から追い出すことぐらいだから。」
横暴は生徒会に認められた特権ってね、と杏は自嘲気味に笑った。
「ほんと、西住ちゃんには苦労ばかりかけるね。」
「はい…」
桃はもう一度みほを振り返る。
みほはトボトボとようやく歩き始めたようだった。
✳︎ ✳︎ ✳︎
結局、みほは自分のために連絡船まで出してくれるというのにわがままで断るわけにもいかず、横浜に来たのだった。
しかし、熊本に向かう覚悟も未だできないでいた。
人ごみに疲れたみほは中華街から少し離れたところにあった公園にいた。人気もなく、景色もいい場所だ。横浜ベイブリッジがよく見える。
夜景が綺麗なんだろうなぁ、とみほは思った。
適当なベンチに腰掛けたみほはカバンの中から買ったばかりのボコのぬいぐるみを取り出した。
「どうしようか、ボコ。やっぱり行くしかないのかな…」
みほはぬいぐるみに話しかけた。これはみほの癖のようなものだった。
「でも怖いよ…。お母さんと会ってもちゃんと自分のこと言えるかわからないし…また呆れられちゃうかもしれないし…。」
ぬいぐるみは何も答えない。
いつもはこれだけで元気付けられるみほだったが、今日はそのつぶらな瞳が全く自分を見ていないような気がした。
「ふふっ、ずいぶん可愛らしい趣味をしていらっしゃるのね。」
突然の声にみほはハッと顔を上げた。
気がつくと目の前に人が立っていた。
色白な肌にベージュのワンピースを身にまとった、金髪で青い瞳の少女。
「ダージリンさんっ‼︎」
「ごきげんよう、みほさん。こんなところで会うなんて奇遇ね。」
気品たっぷりにダージリンがいった。
みほは感心した。
私服のダージリンは初めてだったが、どこからどう見ても外国のご令嬢といった感じだ。とても戦車乗りとは思えない。
と、我に返ったみほは膝の上にボコのぬいぐるみがあることに気づいた。あわわ、とそれをカバンに直す。
「ふふっ。」
それをみてダージリンはまた笑った。
「恥ずかしがることないわ、私もこう見えて、寝室にはたくさんプーさんのぬいぐるみを置いているの。」
なにせ、イギリスが世界に誇る児童文学ですから、と鼻高々にいった。
「あはは…」
この人は相変わらずだな、とみほは思った。
『ボー』と汽笛の音が聞こえる。ダージリンはみほの隣に座った。
「それで、どうして横浜に?見た感じ、観光というわけでもなさそうだけど。」
この当然の質問に、みほは言葉を詰まらせた。
「その…。えっと…、帰省の途中で、あの、でも…」
そして、黙り込んでうつむいてしまった。
そんなみほを見てダージリンは口元に優しい笑みを浮かべた。
それから、公園の時計を振り返り、
「そうね、まだティータイムには少し早いのだけれど…。みほさん、一緒にお茶でもいかがかしら?」
と、優雅にいった。
時刻は2時を過ぎたところ。
乾いた心地よい風が吹きはじめた。
みほは、ダージリンに連れられて公園の近くにあった洋館に来た。
赤瓦に白い壁のツートンカラーが特徴的な大きな建物だ。広い庭には綺麗に手入れされた草花が広がっている。
「素敵なお屋敷ですね…」
みほはしみじみといった。
どことなく溢れる上品さが歴史を感じさせる。結構古いのだろうか。
「でしょう?昔、イギリスの領事館だったものをうちの創始者が譲り受けたんですって。」
庭を歩きながらダージリンがいう。
「以来、聖グロリアーナの合宿所になっているんだけど、私はここが気に入ってしまって。陸で休日を過ごす時はだいたいここに来るわ。」
玄関についた。
さあどうぞ、とダージリンが扉を開ける。
エントランスホールは吹き抜けになっていた。2階の窓から降り注ぐ光が、木を基調とした内装に優しいぬくもりを与えている。
「わぁ…」
みほは思わず声を出した。
レトロで浮世離れしているのに、どこか懐かしさを感じさせるような雰囲気がある。
「ペコーっ。少し降りてきて。」
ダージリンが2階に向かって声を上げた。すると、はーいっ、という返事とともにオレンジ髪の女の子が階段を降りてくる。
「まぁ、みほさん!」
その子はみほに気づくと、小走りになった。ダージリンが指揮をとる車で、装填手を務めるオレンジペコだ。
「お久しぶりですわ、みほさん。こんなところで会えるなんて、嬉しいです。」
みほの前まで来ると、本当に嬉しそうにいった。
「久しぶり、ペコさん。元気そうで何よりだよ。」
みほも笑顔で返す。
気品はあるがダージリンと比べるとまだまだ幼いこの少女のことをみほは気に入っていた。
「ペコ、お茶の用意をお願い。」
二人の会釈が済んだところでダージリンがいった。
「はい。今日はどちらで召し上がりますか?」
「そうね…。天気がいいから中庭にするわ。」
「わかりました。」
そういうとオレンジペコは奥の方へ行ってしまった。
「ペコの淹れる紅茶はね、うちのチームでも1番おいしいのよ。」
その背中を見送りながらダージリンがいう。
「さあ、中庭で待ちましょうか。今はね、マーガレットが綺麗なの。」
みほは言われるがまま、ダージリンについて行った。
中庭はどちらかというとこじんまりした感じだった。真ん中に机とイスがあり、それを囲むように色とりどりの花が咲いている。
しばらくすると、オレンジペコが紅茶と焼き菓子を持ってきた。
みほはてっきり3人で飲むのかと思っていたが、ペコはティーポットからカップに紅茶を注ぐと、「ごゆっくり。」といって戻って行ってしまった。
ダージリンはもう紅茶を飲んでいる。みほは砂糖を入れたかったが、見当たらないのでそのまま飲んでみることにした。
「…おいしいっ!」
普段飲んでいるものとは違う、渋みもなく、まろやかな味だ。しっかりと旨味も感じられる。
「ふふっ。」
ダージリンが満足そうに笑う。
「言ったでしょう?ペコが淹れるのはおいしいって。本当においしい紅茶には砂糖なんか必要ないのよ。」
「・・・」
みほは心が見透かされたようで少し恥ずかしかった。
「それで、」
ダージリンがカップを皿に置いた。
カチャりと音が鳴る。
「先ほど、帰省の途中って言ってらしたわよね。あなたとあなたのお母さんとの間の確執は、なんとなく想像はつくけれど…。どうしてこのタイミングなのかしら?」
みほは今までの経緯を話した。
しどろもどろになってしまったけれど、ダージリンはよく聴いてくれた。
「そう…。それで悩んらしたのね。」
「はい。悩むというか、ただ母に会うのが怖いんです。」
みほの紅茶がなくなった。ポットからおかわりをもらう。
「自分勝手に転校しておいて、まだ母に突き離されるのが怖いんです。恥ずかしい話ですけど。」
それを聴いてダージリンはうっすらと笑みを浮かべた。
「 “人生においての最大の幸福とは、こんな自分でも愛されているという実感である”」
「へ⁈」
「とある詩人の言葉よ。母に愛されていたい、なんて人として当然のことなんだから、恥ずかしいことなんかないわ。」
いつもと同じ、余裕に溢れた顔でダージリンが続ける。
「それにね、そう悲観することもないんじゃないかしら。やっぱり、自分の娘が可愛くない母親なんていないわよ。それも戦車道をやってるような人間に。」
言い切った。きっぱりと。
「私もこんな立場だから、後輩たちの面倒を見させてもらっているけれど、私は彼女たちが本当に愛おしいと思うわ。彼女たちと一緒に過ごしているだけで私の中の何かが満たされていくのを感じるの。」
そういうダージリンの顔は慈愛に満ちていた。
そうか、とみほは思った。だから聖グロの人たちはダージリンを心から信頼し、敬愛するのだ。
大洗とはまた違う、強くて優しい絆。
「出会って1年や2年の人間でこうなんですもの。自分が産んだ我が子ならどれほどか、と私は思うわね。」
ダージリンは一息つくように紅茶をすすった。
「まあ、根底にある気持ちが同じでも、愛情の形は人それぞれでしょうけど。それでもどんな形であれ、あなたのお母さんはあなたを愛しているはずよ。」
そうだろうか、とみほは考える。そして、母とのことを思い返した。
母の笑顔なんてほとんど見たことがない。物心ついた頃からずっと厳格で、甘えなんて許さない母だった。
だけど、これも愛情なのか。戦車一筋、西住流一筋で生きてきた、強くて不器用な母の、愛情の形だったんだろうか。
( ー わからない。)
けれど、ダージリンを見ているとそう思ってもいいような気がしてきた。
「ダージリンさん、わたし…」
「覚悟が決まったかしらね。」
ダージリンの瞳がまっすぐとみほを見据える。
「大丈夫。どんな結果になってもあなたは前に進めるわ、必ずね。」
「はい…。」
ダージリンの言葉には力があった。みほを優しく包み込んでくれる。
「それから、今から行っても着くのは深夜になっちゃうから、今夜はここに泊まって、明日の朝行くといいわ。」
「えぇっ⁉︎ でもそんな、悪いですよ。」
「その方がペコも喜ぶわ。ペコはあなたのファンなのよ。」
「へぇ⁈」
みほは素っ頓狂な声をあげた。
ふふっ、とダージリンが笑う。
「本当のことよ。ぜひお話してあげてね。」
みほは完全に照れてしまった。
さてと、とダージリンが立ち上がる。
「今夜はおいしいイギリス料理を教えてあげるわ。3人で一緒に作りましょうね。」
机の上のティーセットを片付けはじめた。みほも手伝う。
「それと、連絡は入れておいた方がいいわよ。お母さんにも覚悟を決める時間は必要でしょう。」
みほは頷いた。そういえば、なんの連絡もしていないなかった。
やがて、オレンジペコもやってきて片付けはすぐに済んだ。
みほは「少し電話してきます」といって玄関先に出た。
携帯を開く。
実家の電話と少し迷ったが、母の携帯の番号を選んだ。
少し緊張してきたが、自分を奮い立たせる。
(大丈夫。パンツァー・フォーだ。)
『トゥルルル・・・』
呼び出し音が鳴る。
母はどんな声でわたしを迎えるだろう、とみほは思った。