「師よ・・・私達をこんな辺境に閉じ込め・・・貴方は一体何を考えておられるのですか」
「むにゅ・・・先生ロリコン?私達にナニする気?」
「いやはや・・・流石にそれは傷付くなぁ・・・まぁ幼子を閉じ込めておるのは否定せんが・・・これこれ、そんなに離れるでない」
「・・・サイテーですね、今更ですが」
「こんな所・・・森しかないじゃん」むにゃむにゃ
「ヘルガよ、だからこそだ。汝等はまだ幼く穢れを知らぬ。世界に絶望する前にまずはこの美しき景色を心に刻むのだ」
「確かにここの生活はお屋敷ではとても味わえない、それに好きです。ですが・・・世界とはそんなに?」
「ロウェナ、私の眼を見ろ。何が見える?」
「綺麗な・・・黄金色が見えます」
「この眼は過去も未来も、はたまた別の世界線まで見通す・・・私はゆえに視てしまった・・・だから国は・・・家族は価値が無くなったのだよ」
「むに・・・じゃあ私達がここにいるのもソレがカンケーしてるの?」
「はてさて、どうだろうか?宿題だよ、明日答えを聞こう」
「__?どこか行かれるので?」
「なぁに、ちょっと
__眠った獅子を起こしに行こうか____
突然の怪物の出現に、ホグワーツはまさに大混乱となった
ウィラが咄嗟に呪文を唱え、ソレを真正面で見た者はウィラを除き、誰一人いなかった。しかし姿を見なかったといえば嘘になる
突然の『グラヴィタス』__何事かと、つい顔を上げてしまった生徒が何人もいた。そして口々にこう言った
__巨大な蛇を見た___と
そして持っていた鏡などの反射する物を通してその怪物の顔を見た者は皆『石』になった
これらの情報を元にダンブルドアは怪物を『スリザリンの怪物』__『バジリスク』であると断定し、全校生徒を大広間に匿い、授業は全て閉鎖となった
生徒は初め戸惑い混乱した
突然のバジリスクの出現・・・スリザリン生は何か知らないかと問い詰められ、それにスリザリン生が反発するという悪循環がすでに生まれていた
人は密室に閉じ込められるだけでパニックを起こす。ならば化け物がすぐ扉の向こうにいるかもしれないと言う最悪の状況で混乱するなというほうが不可能な話だ
それでもいくつか希望はあった
バジリスクはあの後すぐ出て来た穴に逃げ込み、それ以来姿を現していないこと
ホグワーツの教師達が力を合わせ、大広間全域に『プロテゴ・マキシマ』をかけたこと
ホグワーツの校長が今世紀最大の魔法使いアルバス・パーシバル・ウルフリック・ブライアン・ダンブルドアだということ
そして・・・自分達にはあの『黄金の君』ウィラトリア・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリアがついていること
だが・・・
「ウィラはどこだ!?」 「ウィラ様助けて!!」 「何でこんな時にいないんだよ!!」
そう、ウィラはこの場におらず、もう3日も「黄金の間」から出て来てない
勿論ダンブルドアは最初に今の現状全てを説明した
ウィラのおかげで誰も死んでいないこと。ウィラは眼を痛め療養中であること
しかし生徒には関係ない
「ふざけんな!!王様だろ!?助けろよ!!」 「だから助けてもらったじゃない!!」 「今じゃなきゃ意味ないだろ!?」
「・・・ハリー、大丈夫?」
「うん、ロンとハーマイオニーは?」
「私は大丈夫。ロンは?」
「僕は平気さ。フレッジョもパーシーも。ただ・・・ジニーはかなりショックだったみたい」
「ジニー、ウィラのことすごい好きだったもんね。場所によってはお姉様って呼んで慕ってたし」
「そうね・・・でも今はこの状況を何とかしないと・・・このままじゃ暴動が起きちゃうわ!」
「みんなウィラのこと好き勝手言いやがって・・・!誰のおかげでこうして助かったと!!」
「ねぇ、ウィラに会いに行かない?僕、「透明マント」持ってきt「イカンよハリー」・・・っ!?校長先生!?」
隅っこでコッソリとハリー達が企んでいると急にダンブルドアが現れた
「なっ何のことですか?僕達何も・・・」
「残念ながらハリー、ウィラ殿の下へは辿り着けん」
「_?あの、失礼ながら校長先生、どういうことですか?」
「ミス・グレンジャー、3階廊下・・・ウィラ殿のおる「黄金の間」には誰も入れんよ。ウォーカー殿が姿を変え大量の蝙蝠を放っておる」
「え、行ったんですか?」
「ロン・ウィーズリー、そのとおりじゃ。儂も話しをしたいと思い、昨日ウィラ殿の見舞いに行ったのじゃが、門前払いされてもうた。それに酷く怒っておられた。純粋な魔法使いであるお主ならノエルバインの怒りがどれほど恐ろしいか・・・分かるじゃろうて」
その言葉にロンは顔を青ざめ何度もうなずく。確かに史上最悪の吸血鬼が怒っている所になど近づきたくもない
「念の為言っておくが『透明マント』は意味を成さん、それほどの数が今3階廊下におる。触れた瞬間襲い掛かってくるぞい」
「でも校長先生・・・僕達・・・このままじゃ嫌で!何とかしないと!!」
「おぉハリー、何と勇敢なことじゃろうか!・・・しかしそれは勇気では無く蛮勇と言うのじゃよ。この件はすでに魔法省、それに儂等教師も動いておる。あと二日じゃ、あと二日の辛抱じゃよハリー」
__ハリー達もあの言い方なら納得してくれるだろう、ウィラが彼等に授業中何度も送った言葉だと考えながら、ダンブルドアはマクゴガナル達教師陣の下へ戻る。
やはりと言うべきか、ハリー達の様子を見に行って正解だった
彼等に言った言葉は全て真実だ。ウィラの下へは誰も行けない・・・それはバジリスクでさえもだ。そもそもあの部屋を一度だけ調べたが中の許可、もしくは黄金の血にしか反応しないことが分かった
ゆえにダンブルドアは生徒達だけでも入れてくれぬかと聞きに行ったのだが・・・
__入れろ?入れろだと?陛下が今どれほど苦しまれておるか知っててそのような戯言を!?ならば生徒もろとも全て殺してくれる!!
目から血の涙を流し、あのノエルバインが殺意を丸出しにして吼えた。ならば本気も本気だろう。ニールもまた同じだ、目は虚ろながらも殺意だけは溢れんばかりに滲ませていた
魔法省や自分達が動いていることも本当だ。ただ・・・
「校長・・・やはりまずはこの状態を何とかせねば我々は動けませぬぞ。まさかスリザリン生を犠牲にして他の寮だけ救うおつもりですかな?」
「セブルス、今だけは儂を信じてほしい。誰一人も決して見捨てぬよ」
「校長先生、今この場にいない先生方には自分の部屋を出るなと『守護霊呪文』を飛ばしました」
「ありがとうミネルバ、ハグリッドには?・・・うむ、ならば良いのじゃ」
そう、今は自分達教師が目を光らせているから生徒達は口喧嘩だけで済んでいる。だがその目が無くなれば酷い状況に陥ることは目に見えていた
ハリーを行かせてもいい。だが彼はヴォルデモートに対する最終兵器のような物だ、万が一を考えてしまうと行かせるワケにはいかなかった
「先生方、とにかく二日じゃ、あと二日で魔法省から危険生物対策室の者達が来てくれる。それまで何とか持たせるのじゃ」
『はい!』
色よい返事を聞いて取りあえずは満足する。しかしこの空間の不満が爆発するまでそう時間が無いことをダンブルドアは感じていた
(こんな時ウィラ殿がいてくれれば・・・今こそあのカリスマ性が必要じゃというのに・・・いや、いない者のことを考えてもしょうがない)
何より___彼女は
ダンブルドアはかつて『黄金』について調べたことがある。その中に「黄金の証とは『黄金の髪の毛』と『黄金の瞳』この二つをもって王位継承権と成す」と書かれていた
ウィラはもはや『黄金の君』ですらない、ならば預言の『偉大なる黄金』は生まれないことを意味する
確かに今回の事件は最悪だ、しかし『偉大なる黄金』の誕生があり得ない今となっては。とダンブルドアは誰にも悟られること無く一人安堵していた___
バジリスクの出現から三日、ウィラは今だ眠り続けたままだ。いや、一度だけ意識を取り戻し
__暗い・・・何故灯りを・・・いや、何だ・・・眼の上にこれは・・・いやっ、イヤァァアアアア!!?
自身の眼に被せられた包帯を触り、バジリスクの目を視たことを思い出し発狂した
そこには普段の威厳ある王の姿は無く・・・酷く弱弱しい少女の姿しか無かった
「___あぁ・・・獣殿・・・陛下は・・・陛下はお目覚めに?」
やつれた顔でニールが黄金の獣に問いかける。この3日間この3人は一睡もせずウィラの眠る「黄金の間」を守護し続けていた
もちろん最初はエルドラドへと護送しようとした、だがウィラがそれを許しはしなかった
__「自分はもはや王でも父と母の娘ですらない」と目に被せられた包帯を血で滲ませて・・・
獣もまたやつれた顔で首を横に振る
「・・・起きてはおられるのです・・・ただ・・・」
「やはり・・・眼のことがショックで?」
ウィラにとって『黄金の瞳』とは王の証であり・・・何よりも
「獣殿・・・どうか我が願いを叶えていただきたい」
「ウォーカー・・・キサマ・・・まさか黄金の君を見捨て死のうなどと言うまいな?バジリスク程度の猛追がそんなに苦行か!?」
そう、ウォーカーが大量の蝙蝠を3階廊下に放ったのは何もダンブルドア達を近づけさせない為ではない。あれからウィラや3人の匂いを覚えたバジリスクが何度も奇襲をして来ているのだ
勿論、黄金の獣が出ればその瞬間終わる。しかしバジリスクは毎回黄金の獣が「黄金の間」にいる間だけ襲い掛かってき、獣が出撃しようとする瞬間逃げてしまうのだ
ならば黄金の獣がずっと見張っていれば良いという話になるが、今の陛下の傍には獣殿が必要だとニールとウォーカーが言い張った
「そのような死など・・・!!しかし我が身は陛下を・・・黄金たるあの方を守ることが出来なかった!!私は陛下の『盾』です!!ですが盾としての務めを果たせぬなど・・・死を持って償う以外何があると!?」
「図に乗るなよ吸血鬼風情がっ!!それを決められるは黄金の君のみ!!我等には死を選ぶ権利など無い!私も・・・あのお方の最側近など・・・!何の為に私は『獣』の名を与えられたのだ!?」
「・・・お二方はまだ良いではありませぬか・・・私など・・・陛下の騎士でありながら与えられた命は「逃げろ」など・・・私は・・・私はっ!!」
3人が3人共後悔しかなかった
何故生徒を見捨て命に背いてでもあのお方を守らなかったのか
何故眼を押さえた瞬間あのお方のすぐ傍にいられなかったのか
理由は分かっている、ウィラが近くではなく後ろへと彼等をやったこと。そもそも存在しないハズのバジリスクの出現など誰が予想できようか
それでも・・・後悔以外の思いが沸いてこなかった
「・・・全ては黄金の君が落ち着かれて決めてもらいましょう、もとより我等に決定権など無い・・・ウォーカー、私はたとえあの方が王位継承権を失おうと最後までお傍にいます。貴方はどうしますか」
「無論、我が身は陛下、ウィラトリア・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリア様に生涯の忠誠を誓いました。しからば、末席なれどどうか・・・」
「私も同じく。あぁしかし・・・今回の不始末は陛下自らに殺していただければ何と光栄な・・・獣殿、今しばらく陛下をお願いいたします」
黄金の獣が部屋に戻り、最愛の主君が眠るベッドへと寄り添う。今までは肩を震わせ、嗚咽を上げ、一切こちらを振り向いてくれなかったが、ようやく眠りにつかれたらしい。規則正しい呼吸音が聞こえる
ここまで目の前の少女の存在が自身にとって大きくなっているとは思わなかった
また裏切られると思った、信用などする気もなかった、家族に見捨てられ封印されたあの日からこの世界に存在する全てが憎かった
しかし・・・今では何と狂おしいほどにこの方に心酔しているのだろうか
初めて出会った日のことは今も鮮烈に覚えている
封印が解け、最初はただのエサとしか見ていなかった。自分を目覚めさせ更には自ら供物になろうとは、何と殊勝な心掛けを持ったエサだと。しかし・・・
__神狼風情が・・・この私がエサだと?ならばとくと教えてやろう・・・キサマが格下で私が格上だと・・・ご主人サマが誰かその身に調教し尽くしてやろう!
それから三日三晩死闘を繰り広げ、お互い血を流していない箇所が無くなった時___
__・・・もう良い、小娘よ・・・我を殺せ。我が父とオーディンに裏切られ、封印されたあの日から我に生きる気力などもはや無い・・・その身を我が首を持って英雄と成せ
そう、後から知ったのだが、自分は神話のようにオーディンをこの牙で噛み殺していない。父ロキとオーディンは我が牙を恐れ、神々を集め自身を封印したのだ
どうせこの娘も英雄志望だと思った。だが良い、我を確かにコレは倒したのだと・・・これでようやく真の眠りにつけると・・・だが
__ふざけるな!!まだ何も見ていないじゃないか!まだ卿は何も成していないじゃないか!!なぁ・・・頼むよ・・・たくさん見せてあげるから・・・卿が眠りについていた間世界は・・・こんなにも美しく・・・だからお願い・・・私のこと・・・ウィラを助けて
そっと、額にかかる髪の毛を避け不敬と分かっていながらも髪を軽く撫でる
あの日からこの方は一度も約束を違えなかった、世界を自分に見せてくれ感じさせてくれた
以前自分は「ウィラトリア様だからこそついて来た」と言った。アレは正真正銘の本心だ
たとえ王位がはく奪されようと、エル・ドラドの性が名乗れなくなろうと・・・自分は永遠にこの方の狗だ、走狗だ。それだけでいい、それ以上は何も望まない
滂沱の涙を流し、その小さな手を握りしめ、殺したいほど嫌いな父や神に祈る
「・・・オーディンなら・・・御身の眼を治せるハズなのに・・・あぁ・・・どうか神よ・・・この身を八つ裂きにしてくれて構わない・・・どうか・・・黄金の光をもう一度っ!」
しかしその望みが叶うことは決してあり得ない、もはや神などこの世におらず、封印されていたからこそ、黄金の獣の名を与えられたこの神狼は『
「___たわけが・・・神に祈るくらいなら何故主君であるこの私に祈らん」
王は確かに臣下の願いを聞き届けた____
ちょっと思った以上に長くなりそうでしたので
いったん、ここで区切りたいと思います
余談ですが10代目黄金ことメリクリウスのお話しは全て時系列がバラバラです
(いきなり話が進んだり、次の話では昔に戻ったり)
これはワザとしています
だからと言って毎回「前書き」と「本編」が同じ話数でリンクするとは限りません
(「謎が謎を呼ぶ」といったものを目指してます)
そして前回『視力を失った』の表記で気分を害された方がいたので他にもいることを考慮し
この場を借りてお詫び申し上げます
ただこれから先、タグにもあるように『残酷な描写』(四肢欠損等)の表現が度々ある
可能性があります(おもに10代目黄金とかメリクリウスとか水銀とかのせいで・・・勿論本編もですが)
次第に過激な描写が増えていくことを考慮して
今後『ハリー・ポッターと黄金の君』の楽しんでいただければ
と思います