ハリー・ポッターと黄金の君   作:◯のような赤子

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お待たせしました
中々まとまらなかったのと、最近仕事が忙しくて・・・(汗

今回もまだハリー・ポッターに戻りません



偉大なる3人目の黄金

あの泥を追い払い、私が私としてちゃんとこの世界に産まれた次の日

ウィラ()としてのケジメをつけ、次は新しい“偉大なる黄金”の誕生を世界に発信するだけ、だが・・・その前に私にはやる事があった

 

ウソをつかない、誤魔化さない・・・そう約束した者にまずは謝らなければならなかった

 

だから今私は・・・

 

 

「よくも・・・よくもわらわに嘘をっ!?御身だけは絶対だと信じていたのに・・・っ!!」ギリギリっ!!

 

 

押し倒され、肩にコチョウの爪が喰い込み、服が血で滲む

アルヴィーがオロオロとコチョウを引き剥がそうとするが、それを獣が首を振り止める

当然だ、約束を一方的に破ったのは私・・・『嘘をつかない、隠し事をしない』

 

黄金円卓第3席次胡蝶__その正体はアジア大陸を駆け回り、その絶世の美を持って時の権力者を振り回し、ついには国すら墜とした“金毛九尾玉藻の前”

その起源は実に古く、玉藻の前と名乗る前は“妲己”として中国を混沌の渦に巻き込み、日本にて陰陽師に討伐され、その身は『殺生石』となり毒を辺りに放出。誰も近づけなくなり、九尾はこうして滅んだ・・・と歴史ではされている

 

だがこの通り、金毛九尾は生きている。私に仕える時に名を与えた胡蝶が言うには「もう人を信じることに疲れた、だからただ見るだけで良かった」らしい

 

妲己、玉藻の前__彼女は人が大好きだった。人の営みが、笑顔溢れる雰囲気が

だから人に化け、大陸を巡った。その内彼女は本気で人に恋をするようになった

「どうかこの営みを永遠に見せてほしい、そして願わくは自分もその輪の中に」と

 

人間に恋をし、ある時は人間の男と交じり子を成したこともあった

しかしそれらが長く続くことは一度もなかった。胡蝶はあまりに美しすぎた。その身を我が物にせんと何度も胡蝶を巡り戦乱が起き、その度に胡蝶の身は男達に穢された

それでも彼女は信じたのだ。人を、人の輝きを・・・でもそれらは全て裏切られた

大陸から逃げ、最後に縋り付いたのが日本だったらしい

上皇はただひたすらに優しかったと・・・本気で最後まであの方の傍にいたかったと胡蝶は涙ながらに語ってくれた。でも・・・

 

 

 

__お、お前が・・・玉藻の前!!お前が朕を殺そうとは・・・この薄汚い女狐がぁ!!

 

 

その思いすらも裏切られた。もう彼女の心も身体もズタボロだった。だから殺生石を生み出し、ただひたすらに関わることを止めたのだとか

 

ポロポロと涙を流し、私を殺そうとばかりに睨みつける彼女をどうして引き剥がせようか

誰よりもキズ付き、ボロボロのこの狐が私は愛しくてたまらなかった。何よりどれだけ汚れ、汚辱に塗れようと、この金毛九尾は美しさを損なうことはなかった

 

円卓が止めないもの私がそれを許さないからだ、獣とシャドウにはこの可哀想な狐の全てを伝えてある。今この場でコチョウの邪魔をしようものなら私はソイツを円卓から追い払うと

 

 

クァっ!!__とコチョウが牙を剥き、爪を立てたまま私の首筋に噛み付こうとする

恐れはない、目も離さず、私はそっと包み込むようにコチョウの頭を抱き、首へと誘導する。これ以上彼女を裏切りたくなかった

 

しかし・・・いつまでたっても痛みは襲ってこず、何故かコチョウはプルプルと震えだした

 

 

「・・・どうした、殺さんのか?卿にはその証がある」

 

 

殺したいのだろう?と問うと、コチョウは顔を振り、私の胸に顔を埋めながら縋り付くように服を握りしめ

 

 

「  ち です・・・違うのです・・・っ!!わらわはただ・・・ただ貴女様に・・・っ!!」

 

 

サラリと顔にコチョウの髪がかかる。私に負けず劣らずのその金毛の何と美しいことだろうか

どうすればいいと聞く、どうすれば私はお前に許してもらえるのかと

 

 

「愛してください・・・お傍に置いてください・・・っ!わらわはもう・・・独りは嫌ぁ・・・!」

 

「愛しているさコチョウ、卿を誰よりも・・・私は全てを愛している。卿の全てを愛しているのだ。誰にも渡さん・・・死んでも卿は私の物だ」

 

 

その言葉を聞いて更に泣き出す。普段なら不敬と断ずるところであるが、今日だけは許すことにしよう

 

 

 

 

 

 

数日後、私はテレビに出ていた。どうしても国民に問わねばならないことがあったからだ

 

それは“私はこのまま君主として君臨していいのか”

一度は父と母を疑ってしまった私に人の上に立つ資格があるのか・・・疑問が疑問を呼び、それすら少し分からなくなっていた

 

だがその全ては杞憂だった

 

私でいいのか?といった問いをしたらその日のクレーリア城の前にほぼ全ての国民が集まったのではと思う程の人だかりができていた。そして彼等が皆一様に口にするのは私の名

 

叫ぶように、懇願するように、どうかエルドラドの太陽であってほしいと彼等は私にそう訴えかけてくれた

遠目とはいえ、国民の前で涙を流したのはあれが最初で最後だ。あれほどの歓喜はこれから先の人生でもそうそうないだろう

 

 

それから更に数日後___全ての準備が整い、私はアレを名乗る日がやってきた

 

 

 

 

 

 

 

世界が震えた

 

その知らせを告げたのはドーヴァー海峡に浮かぶ小さな島国。しかしその国を無碍に扱う国はヨーロッパに存在しない

知っているからだ、かつて1500年以上前に自分達の先祖が彼の国におわす王族の祖に滅ぼされかけたのを

知っているからだ、今の魔法界が存続しているのは1000年以上前に存在した彼等の祖先のおかげなのだと

そして・・・知ってしまった

 

ついに預言は成就されてしまったのだと

 

 

『エルドラド王国第79代国王陛下ウィラトリア・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリア様

 

“偉大なる黄金”に覚醒』

 

 

この記事が日刊預言新聞より発行された時、ダンブルドアは寿命が縮む思いだった

 

 

「・・・ついに・・・何という事じゃ」

 

 

この数週間、ダンブルドアは生徒達の対応に追われていた。それはウィラが突如誰に言う事も無く帰ったからだ

また恐ろしい怪物が出たのではないかと不安に駆られる生徒を何とか宥め、ようやく落ち着きを取り戻してきた時にこれだ。ダンブルドアはもう何度目か分からない胃の痛みに苦しんでいた

それは何もウィラが偉大なる黄金となったからではない

ダンブルドアはリーマスの記憶を一度見ている、それはつまりあの悍ましい泥を見たということに他ならない

今の彼女・・・ウィラ(・・・)という存在がどちらを指しているのか分からないのだ

分からないがゆえに恐れる、しかしエルドラド王国に「そのウィラは本物か?」など問えるはずもなかった

 

一人悩むダンブルドアの下に、ヘルメスという名の鷹がクレーリア城への招待状を持って来て、更に胃の痛みが悪化するまであと2時間__

 

 

 

 

 

 

「陛下、ただいまヘルメス殿がお帰りになりました」

 

「そうか、ダンブルドアにちゃんと届けたか?」

 

「問題無く」

 

 

獣の答えに良しと返し、私は鏡の前へと移動する。クレーリア城に呼んだ各国の代表達に・・・自分でいうのも何だがお披露目を行うために化粧や衣服を見繕ってもらうためだ

ちなみに招待したのは全て魔法の存在を知る者達のみ、というのも今回私が成った“偉大なる黄金”__これの存在は一般のマグルの世界には伝わっていないのだ、事情を知らぬ者を呼んでも意味がない為、限られた者のみ呼び寄せた(王族は問答無用だ、呼ばなかったらどうせ後から文句が煩いし)

 

 

化粧は私付きのメイドにやってもらっている。本来なら専門職にやらせるのが普通だが、シャドウから日夜鍛えられている彼女達の不可能などない

 

終わったと言われたので化粧台から立ち、その場でクルリと回ってみる

 

 

「うん、どうだお前達。綺麗か?」

 

 

どうやら聞くまでもなかったらしい、全員が私を見てホゥっと溜息をついて頬を赤く染めていたからだ

 

場所を移し、家族が待つ部屋へと足を進める

 

着いて来たメイドと獣がどちらが扉を開けるかで軽く牽制しあっていたので、指を鳴らしシャドウに開けてもらう

 

 

「おぉ、ウィラ!何と美しい・・・!」

 

「えぇ、とっても綺麗よウィラ」

 

他人に褒められても何も感じないが、やはり父と母に褒められると何だかむず痒くなる

二人には先に行ってもらった。私が今回の主賓なので招待客全員が集まって最後に出ていくのだ

 

暫く時間があるので少し考え事でもしよう

まず“偉大なる黄金”になった私・・・何か変わったことはあるか?

答えは否だ、いや、正確には少し違うか

元々私は私なのだ、今までは王家に生まれたゆえにそれらしく・・・王族に相応しい振舞いをしようとどこか肩肘をはっていた

ウィラ、ウィラと自分の名を呼び、自ら存在証明をしようとしていたんだろうなと今では思う

だからといって変わる気は無い、私は私なのだ。なにより・・・

 

 

「ウィラトリア様、そろそろお時間でございます」

 

「黄金の君、ご支度を」

 

 

今までの私を主と崇めてくれていた臣下がいる。ならば変わる必要などどこにあろうか

席を立った私に獣が王冠を、シャドウが王杖を差し出してくるが__

 

 

「要らんよ」

 

「ですが我が君・・・」

 

「あぁ、言葉が足らんかったな、許せ」

 

 

ふと思ったのだ、どうせならいつもの晩餐会のようなものではなく度肝を誰もが抜かすような仕込みがしたいと

何より今回呼び寄せた理由である“偉大なる黄金”自体がかなり曖昧なのだ

 

ヴァンシエル陛下はヨーロッパの支配と魔法使いの国を立ち上げた功績で

10代目のカールは魔法界の普及に身を捧げたという功績で

では・・・私は一体どういう項積でこの二人に名を連ねるのか。今回の招待客の誰もがそれを知りたがっているはずだ

 

 

「だから示すのだ、その為にすまないがシャドウ、王杖は邪魔なのだよ」

 

何より杖はすでに持っている(・・・・・・・・・・)とシャドウに言えば、数瞬考える仕草をしたのち深々と頭を下げて来たので言いたい事が分かったのだろう

 

 

「では行こうか」

 

 

 

 

 

 

何度来ても慣れないとダンブルドアは思う。ホグワーツ、ウィラの通う学び舎を代表し彼は単身で魔法使いの死地エルドラド王国クレーリア城へと足を踏み入れていた

瞬間襲ってきたのは激しい倦怠感、魔力の全てが封じられ、この国にいる間だけはダンブルドアはただの老人へとなり替わってしまう

宮中に入り、辺りを見渡せば自身と同じように気怠いといった顔をしている者がチラホラと見える。彼等もまたダンブルドアと同じく、それぞれの国を代表する偉大な魔法使いであるというのに・・・この場ではその肩書は一切意味を持たない。まるでこう言われているようだ____私以外全てが有象無象だと

 

 

(いや・・・考えすぎじゃな)

 

 

倦怠感によって回らない頭を軽く振り、もう一度辺りを見渡すと見知った顔が二つあった

 

 

「おぉ!ダンブルドア!良かったよ、知り合いに合えて!」

 

「うむ、儂もじゃよファッジ」

 

 

そこにいたのはイギリス魔法省を代表してやって来たファッジと・・・

 

 

「して・・・お主も呼ばれたのかのう・・・ルシウス殿(・・・・・)

 

 

そう、ファッジの隣にいたのはイギリス聖28一族の筆頭にして『死食い人』のまとめ役・・・ウィラの友人としてルシウス・マルフォイも呼ばれていた

 

 

「・・・私がいてはいけないのかなダンブルドア、相変わらず人を疑うことに余念がない」

 

「ホッホ、儂は何も言っておらんではないか。それでは腹に一物有りと言っておるようなものじゃぞ?」

 

 

互いに目を離さず、しばしチリチリとした空間ができあがる

 

 

「よさんか二人共!ここには各国の魔法省や大統領、更には王族までいるのだぞ!?イギリス同士でいがみあっておる場合ではない!」ヒソヒソ

 

 

ファッジが二人に間に入り止める。というのもダンブルドア達を遠目に身ながら各国の者が口に手を添え何か言っているのを見たからだ

確かにこの場は祝いの席。しかしその裏では様々な思惑が流れていることは流石に無能なファッジでも手に取るように分かった

 

 

「・・・確かに・・・では大臣、私はいったんこれで」

 

 

国外の友人も大勢この場にいるため挨拶をと言ってルシウスはダンブルドアから離れる

ダンブルドアもそれを止めることはない、ファッジの言葉は確かに正しいし、何よりこの国に入った瞬間から彼もまた魔法が使えない。多くの騎士が守護するこのクレーリア城で何か事を成すなど誰にもできるハズがないのだ

 

その後ダンブルドアはファッジの各国の代表達との軽い顔合わせに付き合った。驚いたのはその場にいた者達だ

ヨーロッパ全土から集まった魔法大臣達、マグルの大統領や総理に更にはアジアの王族と凄まじいメンツが集まっていた。これだけで主賓である彼の王族の影響力が計り知れないと分かる

 

すると彼等の目の前に、ついにこの国の前国王にして城の元主___白髪となったジブニールが妃であるオレンシアの腰を抱いてやってきた

 

 

「ファッジか、久しいな」

 

「こっこれはこれはジブニール様!この度は我等のような者をお招きいただき・・・っ!」ペコペコ

 

「あら、此度の主賓はあの子よファッジ。招待状をちゃんと読んでないのかしら?」

 

 

ジブニールとオレンシア両名はあまりファッジのことが好きではない。彼等は上に立つ者としての矜持を持たないこの無能が何故イギリス魔法界の頂点にいるのかと思っていた

 

そして・・・

 

 

「・・・ジブニール殿、その髪はどうなされた」

 

「名誉の勲章だ・・・汝もあの子が生まれて以来か・・・ダンブルドア」

 

 

ジブニールがその鋭い双眸をダンブルドアに向けた時、ダンブルドアは歳も忘れて震え慄いた

皺は増え、その美しかった黄金色の髪は白に染まっている。だが衰えていない、十数年前に謁見したあの時から

 

それを悟られぬようにしながら今度はオレンシアへと挨拶を行う

 

 

「オレンシア殿も相変わらずの美しさじゃ、この前マダム・マクシームと久々に会ったが言っておりましたぞ?久々に会って話がしたいと」

 

 

そう、元々オレンシアはフランス人。それも魔法学校として高名なボーバトン校において神童とまで呼ばれた才女だった

だがそれもジブニールと出会うまで、出会ったその日にオレンシアはエル・ドラド家へと嫁いだ

 

 

「うふふ、マダム・マクシームったら。私これでも中退した不良娘なのに」

 

 

礼を言っているようだが、しかしその目にダンブルドアは映っていない

本当にこの王族は変わらないとダンブルドアは思う

初めて会ったあの日から分かってはいたが、エル・ドラド家は好き嫌いがハッキリ分かる王族だ

王族とはこうである、何故人目など気にせねばならんと言わんばかりに

だが何故か逆らったり、失礼を働こうとは思えない。それはある意味この王族のカリスマ性と言えることだろう

 

 

話しが変わるが、こういう場では基本、後から来る者ほど地位が高い。ゆえにこの場にはアジアの王族はいるがヨーロッパの王族はまだ一人も来ていなかった

何故急にこの話を始めたかというと・・・ついに彼女が来たからだ

 

 

「っイギリス王室代表!エリザベス女王陛下御入場!!」

 

 

ザワリと会場が騒がしくなる。が、それは一瞬のみ

それは何故か

 

「あら、良いのよ別に。こんなお婆ちゃんのことなんか気にしないで」

 

 

簡単な話しだ、呑まれたのだ。その君臨者としての覇気に

ウィラですら化け物と形容する彼女に話しかけるなど、そんな勇気は誰も沸かない。特にイギリス国民であるダンブルドア達には

 

ゆえに

 

 

「まだ死んでおらんのかエリー!フハハ!!互いに歳を取ったなぁ!!」

 

 

同格である彼等は平然と話しかける

 

 

「うふふ!あらやだジル!白髪になってまぁ!どうしたの?死ぬの?ねぇ死ぬの?」

 

「お久しぶりエリー!ね?白髪になったジル、すごくカッコイイでしょ!」

 

「相変わらず仲良いわねぇレア、ホントは旦那も連れて来たかったんだけど・・・彼風邪ひいちゃって」

 

 

まるで友人と話すように気さくに話し合う三人。確かにジブニールとエリザベスは分かる、しかしまだかなり若いオレンシアまでその場にいることが、ただ彼女がその美しさだけで王家に嫁いだのではないのだと誰もが悟った

 

三人の会話を誰もが聞いていないフリをしながら聞いていた。そのほとんどが普通の会話であったが時に爆弾発言が飛び交い、話題に上がった国の重鎮達の顔は青褪めていた

ある程度話し終えると、ついにエリザベスは誰もが知りたがっていた内容へと話しを移す

 

 

「で?ウィラちゃんホントに“偉大なる黄金”とやらになったの?まさかただ娘を自慢したいが為にこの私を呼んだワケじゃないわよねぇ?」ニコ

 

 

慈愛の笑みの裏で、しかし彼女はこう言いたいのだ

__早く出せ、この私を差し置いて出し惜しみもいい加減にしろ__

 

 

傲慢な彼女らしい、だが誰もが心の中で頷く

何より誰も認めたくないのだ、1000年ぶりの存在など

 

まるでその言葉を待っていたと言わんばかりにジブニールは更にオレンシアを抱き寄せ、オレンシアもまたその豊満な胸を押し付けるようにジブニールへとしな垂れかかる

 

そして今回の主役はついに舞台へと上がる

それまでも凛としていた儀仗兵達が更にその身を強張らせ、名を告げる

 

 

「エルドラド王国第79代国王陛下にして、この度“偉大なる黄金”として君臨されることとなったウィラトリア・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリア様ご入場でございます!!」

 

 

その会場に敷かれた深紅の絨毯を間に人が別れ、中央から人が消える

ギィ__と厳かな音を響かせ扉が開き、ついに彼女が現れた

 

その身に纏うは贅の限りを尽くした深紅のローブ、堂々と中央を歩く様は、だがいつもと変わらないように見える。しかし・・・

 

 

(・・・何かが違う・・・っ!!今までのウィラ殿とは何か・・・!!)

 

 

ダンブルドアだけではない、ウィラを知る誰もがそれを感じていた

その身は人体の黄金律と言っていいほどに美しく、誰もが見惚れる美貌は化粧で更に美しく

だが・・・そこではないとエリザベスは見抜いた

確かにウィラはエリザベスの目から見ても可愛く綺麗だ。初めて会ったあの日から、王になどならずに何度イギリス王室に欲しいと思ったことか

今回呼ばれ、ようやく気付いた

ウィラの美しさ、それは人の美しさではなかった(・・・・)。“サモトラケのニケ”や“ヴィーナス像”のように、彫刻が如き美しさだった。まるでこの世界の存在、同じ存在ではないかのような

しかし、今はどうだろうか

しかと血の通った肌、微かに見える肌の何と艶めかしい

今の彼女は人だ、同じ世界、生きると決めた生気溢れるその姿こそ、今のウィラ___“偉大なる黄金”

 

だが同時の疑問が浮かぶ。なるほど、確かにこの姿はもはや今までの彼女ではないのだろう。だがそれだけで何故1000年ぶりに彼女はその名を名乗ることを決めたのか・・・その疑問は次の瞬間に解決した

 

先も言ったようにこの場の全員は魔法を知る者達のみ、魔法使いも大勢いる

誰かが気付き、またそれが広がる。ウィラの手には本来持たれているハズの王杖は無く、ごく普通・・・と言っても歴史においてこれほど意味のある聖なる力を宿したウィラ本来の杖が握られていた

 

軽い騒めきが起こるもウィラは無視しながらこの場で初の言葉を紡ぐ

 

 

「久しい顔ばかりだ、まずは礼を。そして卿等は今疑問に思うことが多々あるだろう」

 

 

その声は天の調べに等しい音色、ただ話すだけで讃美歌の如く心に響き渡る

 

 

「その全てを一瞬で解決してみせよう、なぁに手間などかけん」

 

 

そう言ってウィラは手に持つ杖を掲げ呟く

 

 

「___形成(Yetzirah)

 

 

パキィン__と甲高い音と共に杖が砕け散る。それをこの場にいる某最大宗教の枢機卿達が信じられないといった顔で見__次の瞬間崩れ落ちる

 

形成(Yetzirah)」__その言葉の後に現れた物は__

 

 

「聖約・運命の聖槍《ロンギヌスランゼ・テスタメント》___」

 

 

世界には何個もの聖槍と呼ばれる物があり、彼等はそれを見定め鑑定し、本物であろうと思われる物をヴァチカンへと持ち帰ってきた

だが・・・目の前の槍を、少女の手に持つソレを見た瞬間、それこそが本物であると・・・神の力を宿す物だと魂が感じた

 

それはこの場の誰もが同じだ

理由や理屈など関係無い、彼女は選ばれた。なるべくして彼女は“偉大なる黄金”へとなったのだと魂で理解してしまった

 

 

「もう説明はいらないな?では祝ってくれ、この素晴らしき日を・・・1000年、いや、1500年ぶりに、聖槍は主を見つけたのだから」

 

 

そう告げるウィラはどこまでも美しく___その瞳は黄昏色を讃えていた___

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__この世界、『ハリー・ポッター』には本来エル・ドラドも、彼等が興した国エルドラド王国も存在しなかった。それはつまり異物であるということだ

 

ゆえに世界はこれまで何度か彼等を歴史から抹消しようとした、所謂“抑止力”というものだ

ただ普通の存在しなかった王族なら、彼等が特別な力などない王族であったならば世界は抑止力など発動しなかっただろう。事実3度のみ、見過ごせぬ強大な力を持った3人の例外以外では一度も抑止力など起こらなかった

 

 

一度目は全ての始まり。強すぎる、あまりに偉大な彼を世界は恐れた

だが同時に世界は滅びへと向かっていた、その流れを止めたのは世界からつま弾きにされていた偉大過ぎる王だ

世界は恐れた、世界ですら止められない流れを彼はその身一つを犠牲にし、しかしそれ以外の被害を一切出さず止めてみせたのだから

 

二度目はもはや理解の境地を超えた存在。全てを視、総べてを支配できるソレに世界は震え慄いた

事実、彼はその力を覚醒させた後、行ったことは自らの国の繁栄・・・ではない

それは楽園という名のディストピア

全てを視た彼は全てを与え、総べてを奪った

考える必要もない、何故なら彼はあらゆる未来を視、最解適のみを国民に与え続けたのだから

もしこれが自分__つまり世界中に広がればどうなるか・・・何度も国を滅ぼそうとしても、しかしその未来さえ彼に摘み取られていき、何時の間にかソレは世界そのものに干渉し始めた

基盤そのもの、つまり偉大なる創始者達の師の位置についた彼に抑止力はもう手も足も出せなくなった

何とかしようとした時にはすでに彼はどこかへ消え、そしてそれはまるでこの世界から消えたかのように観測できなくなっていた

 

そして三度目___つまり今回の3人目の逸脱者ウィラトリア

上記に挙げた二人の良いとこのみを集めたような存在。まさに世界そのものに逆らい続けたエル・ドラド家のある意味集大成と言える存在になってしまった

成る前ならどうにかできたであろう、しかしそれはもう意味を成さない

もし世界が彼の国に干渉しようものならば、間違いなく彼女は世界を手に入れることができる槍と神代の生き残りを引き連れ世界に反旗を翻すだろう。そしてそれに抗う力はもはやこの『ハリー・ポッター』の世界には存在しなかった

 

ゆえにもう、世界は干渉を諦めた。もはや成り行きを見届け、どうか本分である『ハリー・ポッター』という作品さえ完結すればいいと___

 

そしてそれは正解だった、何故か?

 

 

近い未来、邂逅するからだ

 

世界にすら干渉してのけ、全てが既知に感じてしまったがゆえに他の世界へと未知を求めた・・・黄金を、全てを捨ててでもたった一つの結末のみを求める脚本家

 

自己の存在を確定し、生まれた世界の全てが愛しくて堪らない・・・全てを愛すると誓った逸脱しながらも、その在り方を見失わない一人の少女

 

 

自らの存在意義という名の“座”をかけた戦いは、もうそこまできていた

 




次回ようやくハリポタに戻ります

余談ですがヨーロッパにおけるエル・ドラド家の立場は
「出た釘は打たれるが出過ぎた釘は打たれない」
「雉も鳴かずば撃たれまい」
の釘や銃を打つ立場です


ちなみに杖の状態でもウザかった聖槍は今こんな感じです


「お前が私の新しい主か!ヴァカめっ!!この私を振るいたければまず私の素晴らしく儚い刹那で永遠で永劫の時のような伝説をその矮小な身を更に縮こませありがたく聴くがいい!!

彼との出会いはまぁ必然と言えるものだった、何故なら私が認めまた彼も私を認めていたからな。まぁそれでもどちらが主かなど話す必要もないな。いや、小娘たるお前には説明したほうがいいか?ヴァカめっ!それくらい自分で考えろ!!まぁそんな感じであれと私は出会ったのだよ。初めはこの私の聖なる力に振り回されまぁそれはそれは大変だったようだがあいにく私には関係ない。この素晴らしい我が力を世界に示し、崇められればそれでよかったからな。その点では小娘お前は中々だと言えよう。まぁだがそれでもこの私の足下には遥か真下に及ばないがな。とにかく我等は互いに研鑽し合いアヤツは伴侶を、私は素晴らしい紅茶の妖精を手にいれたのだ。何?アレは私もものだと?ヴァカめっ!!お前のものは私のものであり私のものは私のものであることは語るに及ばずお前の家系にもしかと刻まれた当たり前のことだ!その程度も知らんとはやはり小娘だな!!まぁそんなことはどうでもいい


では私の伝説を語るとしよう!!」


ウィラ「UZEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!!!!」


槍が語った紅茶の妖精はシャドウのことです
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