ハリー・ポッターと黄金の君   作:◯のような赤子

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__前回のあらすじ__

妄 想 爆 発=TO☆N☆ZI☆TI

「クンカクンカスーハースーハー
カリカリモフモフ!カリカリモフモフ!・・・はっ!?セブルスは現 実 じゃ ない!?

《い い や ま だ だ!!》

我が愛は破壊の情、ならば一度世界を壊して私好みに変えてしまえばいい!!私って超天☆災!!」←(つまり【流出】)※ウィラは【流出】はできません(・・・・・・・・・・・)



黄金と男の矜持

結局あの後もいつもと変わらぬただの授業で終わってしまった

正直彼、セブルスにはがっかりした。だってそうだろう!?

 

 

「うむ、うむ。言いたいことは分かるぞ黄金の君。余ならばその場で押し倒し、我が種を溢れんばかりにくれてやるというのに」

 

 

部屋に戻り、愚痴を言うとアランが即行で頷いて来た

 

 

「だろう!?この私が!王たる私がそこらの男に肌を見せるワケがないというのに!!」

 

 

ベッドでジタバタしながら獣の尻尾をとにかくモフる

 

 

「何故押し倒さん!?私はもう子供も生める!覚悟も決め、いざ参らんと行ったのに・・・!!」

 

 

屈辱だった、晩餐会でドレスを着れば私に目を奪われぬ男など一人もいなかったというのに・・・!!

 

 

「恥だ・・・女に恥をかかせるなどっ!!」

 

 

宮中でのパーティーに来た女共が、やれあの男はだの、やれ恥をかかされただの聞かされて、今まではアホらしいとしか思わなかったが想定外だ。今なら彼女達が言いたかったことがよく分かる

 

 

獣はこういう場合何も言わないし、トグサに至っては女を抱くより斬るほうが楽しい狂人だ。だから自然と愚痴る相手がアランになるのは必然だった

 

 

「だがなぁ黄金の君、そもアヤツと御身はまだ恋仲ですらないのであろう?」

 

 

うっ、と言葉に詰まる

それを見逃すアランではない

 

 

「我等鬼人ですら、互いの気持ちを確かめ夫婦(めおと)となるのだ。此度の戦、黄金の君が負けたのも致し方あるまい」

 

「・・・負けてないもん」ボソ

 

「いいや、負けだ。まずは認められよ」

 

 

腕を組み、真剣な顔でそう言われては、私もちゃんとアランと向き合うしかない

 

 

「そもそも焦りすぎなのだ、それに回りくどい。何故その気持ちをあの男に告げん」

 

「だって・・・」

 

 

んー?とアランが軽く睨んでくるが、私は胸の前で指をツンツンしながら茶を濁すしかない

流石に「女の子だから好きな人に告白してほしい」__だなんて言えるワケがない

しばらくし、「ハァ・・・」と溜息をつかれ

 

 

「とにかくだ、今回のような真似もうしてくれるな。身体で迫ろうなど娼婦ではないか。御身が女であろうとそれだけは断じてならん。余に膝をつかせた眩き君よ、どうかその清浄たる輝きを自ら貶めてくれるな」

 

 

「まずはあの男に御身を理解させることから始められよ」と言ってアランは自室に戻り、それが寝る合図となった

 

 

 

 

 

 

朝になっても私の機嫌が直ることはなかった

 

 

「・・・おはようミス・エル・ドラド」

 

「えぇ・・・おはようございます。セブルス(・・・・)

 

 

だからみんなの前で彼のファーストネームで呼んでやった

すると目に見えて焦りながら私にヒソヒソと耳打ちしだした

 

 

「おい!?吾輩がいつファーストネームで・・・!?それにお前は生徒で吾輩は教師だぞ!?」

 

「おや、それを言うならセブルス、卿も私の生徒ではないか。そんなことも忘れたのか?やれやれ・・・出来の悪い生徒ほど可愛いというがセブルス、卿ほど可愛い男を私は知らなかったよ」クスクス

 

 

軽く昨夜の溜飲が下がるのを感じながら、これはチャンスなのでは?と思った

いい加減先に進みたいし、それにそろそろ私のこともファーストネームで呼んでほしいのだ

 

 

「そのような世迷言っ!?」

 

 

流石に揶揄い過ぎたかな?と思っていると、思わぬところから援護射撃が来た

 

 

「別の良いのでは?」

 

「っ!?マクゴガナル教授!?」

 

 

それはなんとあの堅物で有名なマクゴガナルだった

 

 

「貴方とミス・エル・ドラドの間柄はもはやこのホグワーツでは有名ですよ」

 

 

その証拠にと他の先生方も、うんうんと頷いてきた

 

 

「スネイプ教授、確かに貴方はこの栄えあるホグワーツの教授ですが、それと同時にミス・エル・ドラドの生徒・・・弟子のようなものであるとルーピン教授からも聞きましたが?」

 

 

ガバっとセブルスがリーマスの方を見やるとスマンと手だけで平謝りしていた(ナイスゥ!←(建前)ナイスゥ!!←(本音)

 

 

「ならば師のお願いくらい・・・それに可愛いものではありませんか」

 

 

ぐぬぬ・・・と顔を顰めるセブルス、次の瞬間にはクワっ!とこちらを振り向き

 

 

「いいか、特別に許してやるが忘れるな。普段は吾輩が教師(・・・・・)お前が生徒だ(・・・・・・)

 

「えぇ、よく分かりました___セブルス(・・・・)

 

 

ピシリと顔に青筋を浮かべるセブルスを見て、私の機嫌はもはや治っていた。むしろ・・・

 

 

(やぁぁあん///!!何この人!?てかヤベぇ!!ホントにイケナイ扉が開きそう!!どうしよう!?誰か!!二回どころか何回もイケナイ扉開いて弟取り返した国家錬金術師連れて来て!!)

 

 

 

 

 

「おい聞いたかハリー!?セブルス(・・・・)セブルス(・・・・)だって!?ヤバイ僕吐きそう・・・」おえっ

 

 

ウィラとスネイプのやり取りは何も教師陣のみに聞こえたわけではない。というのもいつもと比べ、どこか不機嫌そうだったウィラに皆が注目していただけのことなのだが、それがいけなかった

 

 

「しかもロン!僕スネイプがウィラの弟子だったなんて知らなかった!信じられないよ!」

 

 

やれまさかあの二人はそういう仲なのでは?とゴシップ好きの生徒が囁けば、あんな鷲鼻絶対ウィラの好みじゃないと言った反論が至る所から上がり、挙句の果てには絶対にウィラには魔法が効かないと分かっていても、『服従の呪文』であの男は夜な夜な全校生徒垂涎のウィラの身体をあんなことやこんなことをして楽しんでいるのではといったとんでもない噂まで飛び交う

 

 

「・・・ふんっ!」

 

 

だからだろうか、彼___ドラコ・マルフォイが心底軽蔑した顔で、しかしどこか影があるような顔で周りの生徒を見ていたことに誰も気づかなかった

 

 

 

 

 

「フフフーフーフーフー♪フーフフーフーフーフー♪」

 

 

機嫌よく鼻歌を歌いながら授業が行われる教室へ赴く

廊下を通る度、何故か廊下の一部が金ピカに変わるが些末なことだ

 

 

「おぉう・・・とうとう無機物まで・・・というか陛下ぁ、機嫌良いのは分かるけど・・・何で合衆国国歌?そこは御身の国エルドラドの国歌では?」

 

「Ku-ha-ha!ヴァカめっ!こういうのはノリだノリ!」

 

 

次の授業はセブルスの『魔法薬学』!愛しい人のすぐ傍にいられるのだ、これがテンション上がらずしていつ上がる!?

 

 

 

扉を開いた先には、すでに今回共に学ぶ寮__スリザリンとグリフィンドールが集まり、今か今かと教科書を開いて待っていた

 

私の姿を見たとたん、スリザリン生が立ち上がり恭しく礼を贈ってくる。普段なら媚を売る者など無視する所だが、あいにく今の私は機嫌が良い。なので今回はグリフィンドール側ではなくスリザリンへと足が進んだ

 

 

「やぁドラコ!全然顔を見せに来てくれないからな!私から来てやったぞ!」

 

「っウィラ・・・!?」

 

 

あの晩餐会には特別にドラコも招待状を出したのに来てくれていなかった。ルシウスに聞いても濁した感じで答えてくれなかったし、「これは男の問題です」とか言ってワケ分かんねぇし

だから直接こうして私自ら赴いたのだが

 

 

「・・・ごめん!!」

 

「え・・・」

 

 

ガタリと立ち上がり、ドラコは私の隣から別の席へと行ってしまった・・・

それを見て、円卓が一気に殺気立ち、ドラコが近くに来られた生徒は皆顔を青ざめて「戻れ!!」と言うがドラコもまた凄まじい形相で彼等を黙らせた

 

 

「な・・・んで・・・」

 

 

ただひたすらにショックだった・・・ハリー達を除き、私が最も仲が良いを自負していたのがドラコだ。ある意味では・・・信頼という意味ではこのホグワーツではドラコが一番・・・なのに・・・

 

バタン__と、いつものように勢いよく扉が開きセブルスが入って来るが、私のこの心の喪失感に似た気持ちが消えることはなかった

 

 

 

「___ネビル・ロングボトム」

 

「は、はい!」

 

「ふん、しっかりと返事くらいせんか。-3点。・・・ハリー・ポッター」

 

「・・・」

 

「返事もできんのか、-10点____ウィラトリア・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリア」

 

「・・・」

 

「_?ウィラトリア・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリア!」

 

「(ビクっ)あ・・・はい」

 

 

先程のことがショックでセブルスに返事を返しそびれてしまった

すると彼はこちらに近づいてき__

 

 

「何があった?どうしたのだ・・・お前らしくない」

 

「あの・・・いえ、何でもないです」

 

「その反応をされて、はいそうですかと言うわけにいかん。・・・ミス・グリーングラス」ジロリ

 

「っは、はい!」

 

誰だ(・・)?」

 

 

まるで誰かに何かされたのが確定のようにセブルスがそう問い詰める

隣に座るダフネはオロオロしながら・・・それでもドラコへと、他の生徒も視線をやる

すると今度はドラコの下へ行き

 

 

「・・・ドラコ、吾輩はお前を信じている。が・・・彼女に何をした」

 

 

嘘は許さんと普段スリザリンを・・・特にドラコを猫可愛がりしている様からは想像できないほどその目と声は冷たかった

 

それに対し、ドラコは冷や汗を掻きながらも

 

 

「い・・・言えません」

 

「・・・それは言えないほどのことをしたということで良いのかな?」

 

 

歴戦の戦士と言えるセブルスが今度は殺気まで出しながら、もう一度ドラコへと問い詰める

 

 

「知っていようが・・・吾輩は彼女の弟子と言っていい・・・つまりお前は吾輩の師に何かしらの泥を投げた・・・でよろしいのかな?最後だドラコ・・・何をした」

 

 

射殺さんばかりの眼光がドラコを捉えて離さない。それでもドラコはキっと何と今のセブルスを睨み返し

 

 

「どうか先生・・・今だけは聞かないでいただきたい・・・!」

 

 

「何をふざけたことを」とセブルスが言いかけた時、ガタリとドラコは今度は胸倉を掴まんばかりの勢いで立ち上がり

 

 

「僕にも意地があるッ!!あぁ、分かってるさ全部僕が悪いって!!でも僕にはまだそれを彼女に言う度胸が無い!!彼女に会わせる顔がないんだ!!」

 

 

あまりの勢いにセブルスだけではなく、私達全員まで面食らっていると

 

 

「ウィラ・・・さっきはゴメン・・・全部僕のエゴだって分かってるんだ・・・でも待ってほしい・・・」

 

 

顔を俯かせ、決して私の方は見ようとしない。先程のも支離死滅で何が言いたいか全然分からない。でも・・・

 

 

「・・・分かった・・・待ってるドラコ」

 

 

その言葉に掛けた彼の思いだけは伝わってきた。待ってほしいと言ったんだ、それはつまり必ず説明すると言う裏返し

セブルスにもそれが伝わったのだろう。いや、何か男同士で伝わるものがあったかもしれない。ポンっと軽くドラコの肩に手を置き、その後は何事も無かったように教壇に戻り、再び出席を取り始めた

 

 

 

「さて、では今日も素晴らしき魔法薬の神髄へと君達のような不出来な者を誘おう」

 

「おや、もしかしてそれはこの私も含め言っているのですか?せ ん せ い?」

 

「っ!?その呼び方はこの場では止めろ!ミス・エル・ドラド!」

 

「それは失敬、でも気になったのでなセブルス。どうか許せ」

 

「敬語を使えこの場ではキサマが生徒で吾輩が教師、それとファーストネームで吾輩を呼ぶな・・・!!」ピキピキ

 

「フフっ!すみません先生。さ、授業を始めましょう?」

 

 

グリフィンドールの方から「マジかよ・・・あのセブルスが手玉に・・・!?」とか聴こえてくるが、これがもう私と彼の日常会話に等しい。私が揶揄い、彼がそれに怒る

別に怒らせたいわけじゃないけど何て言うかな・・・あれだ、好きな子ほど虐めたくなるというやつだ(歳は向こうの方が圧倒的に上だけど・・・私って年上好きだっけ?)

 

 

 

 

 

 

 

「__ハリー、それを入れるタイミングが早すぎる。また失敗するぞ」

 

「っ!・・・ホントだ」

 

「セブルスではないが、もう少しちゃんと教科書は読め。ネビルは初めから全然違う」

 

「そんな!?」

 

「落ち着け、私はセブルスではない。さぁ、もう一回」

 

 

私は今、セブルスの助手のようなことをしていた。というのも私は彼に教えるほどの腕前・・・つまり学ぶことが本当にないのだ。ならば吾輩の手伝いでもしたまえと言われたので快くそれを受諾し、彼が見るのも嫌なグリフィンドールの方を担当していた

 

 

「・・・ねぇウィラ、なんであんな奴のファーストネームなんか呼んでるの?正直君がアイツの教師をしてるって聞いた時、何考えてんだって思ったよ」

 

「アイツ呼ばわりは関心しないなロン、彼はこのホグワーツの教授。それに正直私の腕について来れる時点で天才と言っていい」

 

「スネイプってそんなに凄いの・・・?」

 

「あぁ、まぁ私程ではないが・・・ダンブルドアが彼を選んだのは慧眼だった。彼と理論で話し合うのは楽しいぞ?私としても新しい発見が多いし、勿論我が家に伝わる秘薬の類は教えてないが」

 

「うへぇ、理論なんてクソくらえだよ」

 

「もうロン!・・・でも何で本当にスネイプ教授のことファーストネームで呼んでるの?」

 

「私が先生で彼が出来の悪い生徒だからだ、あれで中々可愛いぞ?__ですよね先生(・・・・・・)?」

 

 

と振り向きもせず、後ろへ声をかける

ロン達・・・特にネビルなんかヒュっと息が漏れていた

 

 

「・・・無駄話など余裕ですな、グリフィンドールは。一人につき-5点。更に課題も増やしておくのでそのつもりで。・・・ミス・エル・ドラド、こっちに来い」

 

 

顔面蒼白な彼等にまぁ頑張れと声をかけ、私とセブルスはひとまず見守るように教壇の隅に来た

 

 

「・・・何のつもりだミス・エル・ドラド、吾輩にそんなに恥をかかせたいのか?」ピキピキ

 

「そんなつもりはないさ、セブルス。これはアレだ、仕返しというやつだ」

 

「・・・今朝の続きか」

 

「えぇ」

 

 

するとハァっと溜息をつき

 

 

「・・・すまないが、吾輩にはてんで分からん・・・どうすれば許してくれる?」

 

(それはもちろん私と閨を共に!)

「では・・・いい加減私のことも名前で呼んでくれないか?」

 

「__?何故だ」

 

「この名、エル・ドラドは我が誇りだ。しかし親しい者にはやはり名で呼んでほしいではないか」

 

 

しばし考えるような仕草をし___

 

 

「・・・それで人前で吾輩の名を言わないのだな?」

 

「くどいぞセブルス、私は約定は違えん」

 

「・・・分かった、後から呼ぶなと言われても吾輩は聞く耳をもたんぞ・・・ウィラトリア(・・・・・・)

 

(勝ったッ!!第3部“アズカバン”完ッッ!!)

「えぇ、ありがとうございます。スネイプ先生」

 

ふんっと鼻を鳴らし、私とセブルスは今だ悪戦苦闘しながら魔法薬を作る生徒へと目をやる

 

 

(・・・ドラコ)

 

 

その中には当然ドラコもいた。私と目が微かに合うが、すぐさま外されてしまう。それが凄く悲しくて・・・

 

 

「・・・ドラコのことだがな、ウィラトリア」ボソ

 

「・・・え?」

 

「話を先程聞きに行った」

 

「っ!では!」

 

「駄目だ、教えられん」

 

 

何故と問うても彼は固くなに口を噤んだ、その目は頑として吾輩からは言えんと言っていた

 

 

「これは・・・なるほど、確かにドラコの言いたいことも分かる。ウィラトリア、其方には分からんだろうが・・・これは男の問題だ。要約すればプライドの問題とさえ言える」

 

 

“プライド”___それの大切さは分かる。王族もまたプライドの中に生きる者なのだから・・・それでも悲しいかったものは悲しい

 

 

「先程のことは代わりに謝ってほしいと頼まれた、スマンな・・・吾輩で」

 

「いえ・・・そんな」

 

「それと、これだけは絶対に告げてほしいと」

 

 

スゥっとセブルスは息を吸い

 

 

「『君は何も悪くない、ただ僕が臆病で弱虫だから・・・だから今はただ待ってくれとしか言えないこの身をどうか、嘲笑ってほしい』__と」

 

 

 

 

(あぁ、間違ってるぞドラコ・・・真の臆病者は自らをそう揶揄しない。ならばドラコ、卿は(まこと)の勇気を持った素晴らしい男と言える)

 

 

だから待とう、彼の勇気に応えてやろう

その言葉を聞き届け、私はもう一度ドラコへと視線をやる。彼もまた私の方を見ていたが、その目にはしかとした覚悟が見て取れた

 

 

 

 

 

 

授業が終わり昼休み。普段ならばゆっくり臣民から宛てられた手紙を読みながらアフタヌーンティーを楽しむところだが今日は違う

 

コンコンコン__とノックの音が聴こえ、獣が来客を中へ招き入れる

 

 

「で?先程の事とこの私自らが呼んだ晩餐会に顔を出さなかった不敬・・・どう説明してくれる?なぁ・・・ドラコ」

 

 

そこにはドラコがいた。いつものホグワーツの制服ではなく、貴族が着るに相応しい身なりで。それはつまりこの場では生徒でも私の友達としてではなく、一人の貴族、一人の男としてこの場へ赴いたということだろう。だから私もそのつもりで、生徒としての私ではなく、“偉大なる黄金”としての私としてこの場にいる

 

カツカツと真っ直ぐ私の前まで来て、スっと膝を着く

 

 

「・・・まずはお詫びと祝いの言葉を。陛下のご恩を無碍にし、あまつさえその瞬間に立ち会えず非礼を詫びます。それと共に御身“偉大なる黄金”の誕生した時代に共に生まれたことに感謝を」

 

「受け取ろう、だが早く本題に入れ。貴族特有の回りくどい喋り方は好かんとルシウスには教えたはずだが?」

 

 

私は全てを愛している__だが我慢ならんものは我慢ならんし、友とはいえこの場にいるのは一人の貴族・・・格の違いをその身に刻んでやらねば

 

 

「一つ問おう。卿は貴族として私に謝りにきたのか?それとも我が最愛の友として来てくれたのか・・・どちらだ?」

 

 

ピクリ__と顔を上げないドラコが反応した

『開心術』などという無粋な真似はしない。というか私は円卓や家族、友には一度足りとも『開心術』など使ったことがない

 

数秒ほど、考える素振りをし、顔を上げるとそこには男の顔(・・・)があった

 

 

「友達としてだ、ウィラ。僕は君の友として・・・謝りにきた」

 

(あぁ、その言葉が聞きたかった)

 

 

フっとこの場を支配していた王としての圧力を解き、笑みを彼へと覗かせる

 

 

「ようやく私の顔を見たなドラコ。卿と話せぬ日々は寂しく、この寂しがり屋な心が泣かぬ日はなかったよ」

 

「僕もだよウィラ・・・最愛(・・)の君と話せぬ日々は灰色で冷たく・・・君が帰ったと聞いた時はもはや世界に光など無いと感じていた」

 

(・・・ん?今聞き逃してはいけない言葉が聴こえたような・・・)

「くはは!詩人だなドラコ」

 

「知らないのかい?吟遊詩人は今の時代でも人気の職業さ」

 

 

先程とは打って変わり、互いに軽口をたたき合う

しばし穏やかな時間が流れたと思いきや、ガラリと雰囲気が変わり

 

 

「・・・本当にゴメン、君の顔に泥を塗るようなことをして・・・でもっ!」

 

「いいさ、こうして再び卿と話せることのほうが大切だ。・・・愛しい友よ、教えてくれるね?」

 

「・・・うん」

 

 

 

 

 

 

全てはあの気に食わない髭面の大男の授業が始まりだった

開けば噛み付いてくるワケの分からない教科書、毛むくじゃらの・・・ムカツクがまぁまぁ美しい獣

前者は言わずもがなで、後者は鋭い爪と嘴に、この僕でさえ思わずたじろいでいると__

 

 

「おいキサマ等、跪け」

 

 

ウィラはその一言で、凶暴な獣を平伏した

すごい!流石はウィラだと思った。同時に何て美しいんだと

 

 

キラキラと輝く金の川、その双眸は全てを見透し全てを包み込むように優しく

あどけなさの残る顔を前にすれば、女神ですら裸足で逃げ出すその完成された黄金比率・・・

 

彼女に見惚れていると、今度はあのポッターが名乗りを上げた

ムカつくポッター、気に食わないポッター

失敗して恥を晒してしまえと一人ほくそ笑んでいると・・・

 

 

「おぉ!流石はハリーだ!成功だ!」

 

 

あの野蛮人が言う通り、ポッターはあの獣に跨り空を駆けていた

少し離れた場所で何か円卓の方々と話しているウィラの方を見ると、彼女もまた会話と途中で止め、ポッターの方を見ているようだった

 

沸々と・・・僕の中で対抗心が生まれた

ついでに彼女だけでなく、僕も君のようなことが出来るんだと見せたいが為に・・・僕は過ちを犯した

それは何もあの毛むくじゃらの獣に殺されそうになったからではない

腕を切り裂かれ、僕は人目も気にせず喚いてしまった。助けてウィラ!!と

・・・その後は忘れることができない

 

 

ウィラがヒッポグリフを下げた後、僕の方を見てきた

その目はただ一言だけを告げていた

 

お前にはガッカリした___と

 

 

あの野蛮人が僕を担いだ頃には、自分の過ちに気づきただひたすらに叫んだ。「違う!違うんだウィラ!」と。でも彼女はもうこちらに見向きもせず、見て来ても冷ややかな目線を向けて来るだけだった

 

保健室から出たくなかった。それは何も野蛮人とヒッポグリフを嵌めようとしたわけではない

どんな顔をして彼女に会えばいいか分からなかった。そして僕は男として失格だと、だってそうだろう?女の子に助けを求めるなんて

 

授業にも出たくなくて、スネイプには随分無理を言った。こう言っては何だが、この時ばかりは自分が彼のお気に入りで助かったと思った。でも・・・すぐに後悔した

 

 

 

()が急にエルドラドに帰ったと聞いて後悔した。同時に何故もっと早く、君に顔を出しに行かなかったんだろう・・・って

そうこうしていたら父から手紙が来た、“偉大なる黄金”の誕生を祝う晩餐会に、君自らが招待してくれたと、貴族として参上せねばならない・・・と。でも行けなかったよ・・・

 

 

「・・・どうして?」

 

「相応しくないと思ったんだ・・・そんな場所に、今の僕のような者が行っていいワケがないって。馬鹿だろう?」

 

 

ただ君に良い所が見せたくて、ただ君に違うと言う勇気がなくて・・・

 

 

「父上は僕を気遣って、自分から君に言おうか?と言ってくれた。でもそれだけはさせなかった」

 

「何故だ?更に恥を上塗りすることを恐れたか?」

 

「今まで父や家の名を傘にして、ここまで来た。このイギリスで、マルフォイ家を知らず、その上に立てる人間など一握りだけだからね。だからこそ言える。だから僕は恥を知らずに生きて来た・・・っ!!」ギリっ!

 

「・・・」

 

「憧れの君に情けない姿を・・・っ!王たる君に、家臣でも無い僕は恥知らずなことに助けの手を伸ばした!僕は・・・っ!僕はっ!!」

 

 

友達失格だ___

 

 

 

 

最後まで聞き、私は立ち上がりドラコの前まで行く

ドラコは再び項垂れて、それは罪人のように見えた

 

“男の矜持”___あいにくと私は女だ、理解できないしするつもりもない

これはプライドでも何でもない、ただの意地だ

 

だから私は膝を着くドラコをそっと抱きしめる。本当なら()してしまいたい。でも今だけは慈しむように

 

 

「もう良い、ドラコ。自分を許してやれ」

 

「でも・・・」

 

「あぁ、ガッカリしたさ。情けないと思った、女に縋り付く男など跪かせる価値すら無いからな」

 

「・・・」

 

「でも・・・寂しかったぞ、ドラコ?」

 

「っ!」

 

「愛しい・・・卿の全てが今となっては愛おしい。意地っ張りなところも、自分を少しでも良いように見せようとする所も。・・・同じスリザリンを少しでもまとめようと日々努力し、後輩が助けを言わずとも手を差し伸べる卿を私が知らんと思ったか?心外だな、私は言ったはずだぞ?努力する者こそ真に美しいと。あぁ、貴族など私は好かん。でもな、卿程好ましい男を私は知らん」

 

「っ・・・っ!」ポタポタ

 

「今日初めて・・・私は男を見た。言いたいことは分かるな?改めて卿に頼みたい」

 

 

ここでようやく、彼の頭を撫でることを止め、目を見やる。その目は充血していたが、しかと私の瞳を見返してきた

 

 

「ドラコ・マルフォイ、次期マルフォイ家当主殿。私と朋友となってほしい。生涯対等な友として・・・これからも男を見せてくれ」

 

「~~~っ!!こちらこそ!そして必ず!!」

 

 

グシグシと目を擦る様はとても貴族らしくない、だがそれが良い。私と彼との間に身分など無いようなものだ

 

全てを愛している。それは今も、そしてこれからも変わることはないだろう。しかしその中でも大切な宝物は別にある

その宝物が今日___また一つ増えた

 

 




いかがだったでしょうか?


鬼人がお互いの気持ちを確かめる際、彼等は気持ちをその拳へ込め全力で相手へとぶつける
その為、これを見た昔の人間は血で血を争う、魂のぶつけ合いを見てこの儀式を【血闘】または【血魂】と呼び、これが今日(こんにち)における【決闘】(相手を決める為闘う)【結婚】の大本になったと言う説はあまりにも有名である

                     __民明書房『世界語源集 大全』より__



ちょっとドラコがカッコ良すぎましたかね?
ちょこちょここう言った伏線(今までドラコが出て来なかった理由等)を張り、回収していますが、気付いてもらえたでしょうか?
(実はそれなりに伏線張ってます)


それとドラコ、知らず知らずの内に告白し、フラれる


次回は閑話のようなものです
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