ハリー・ポッターと黄金の君   作:◯のような赤子

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・・・仕事が忙しく、いざ今回の場面の絵を描こうとしたらまさかのペンを無くしたという・・・(かなりショックです)


※下書きを諸事情で消しました



今回からウィラがとうとうタガを外します
かつてこれほどまでにタチの悪いハリポタ二次主人公がいただろうか(ただし某黄金の暴君は除く)

前半はこの世界における神々の扱いや神獣について
後半はただのウィラ様劇場となっております

見ている最中に、ラインハルト卿のテーマソング『Götterdämmerung』が聴こえてきた方はもう、立派な爪牙の一員です



黄金の渇望

ある日のこと__

 

 

「へぇ、あの地図に死人の名がねぇ」

 

 

昼食を食べ終わり、部屋に戻ってマンガでも読もうとしていると、ハリー達から呼び止められ、何かと思っているとピーター・ペテュグリューの名が昨夜出て来たんだとか

 

 

「ハリーはそんな時間に何してたんだ?」

 

「ロンのスキャバーズを探してたんだ、見てたらネビルの蛙の名前も出てたから、もしかしたらって思って」

 

 

その後セブルスに見つかり、あわやという所でリーマスが来て助けてはくれたが、怒られ地図は取られたとかなんとか

 

 

「もったいないよ!ハリー、今から二人でルーピンの所から地図取り返しにいこうぜ?」

 

「何言ってるの貴方!先生に言われたんでしょうハリー?もしあれがシリウス・ブラックに取られたら、きっと今頃貴方死んでるわよ?」

 

「その前に僕のスキャバーズが君の猫に殺されたけどね。可哀想なスキャバーズ・・・見てろよ!今からご主人様があの猫の腹からお前を救い出して・・・!」

 

「もう!猫じゃないわ!クルックシャンクスよ!!それに鼠なんかあの子が食べるワケないじゃない!凄く賢いんだから!」

 

「はん、どうだか」

 

 

ギャーギャーと相も変わらず仲の良い二人だ(結婚すればいいのに。あれ?結婚するんだっけ?)

取りあえず二人が落ち着くまでヒマなので、獣の尻尾を毛づくろいしてやることにした

 

 

「だったら獣さんにお願いしてあの子の声を・・・って、何してるのウィラ?」

 

「ん、終わったか。見て分かるだろ?毛づくろい」シャッ、シャッ

 

「あぁ・・・黄金の君、この時間が何よりの至福です」~~♪

 

 

終わったのでブラシを直し、モフモフと堪能していると、向かいの席から3人以外にも見ていたネビル達が来た

 

 

「うわぁ、良い毛並みね!すごく綺麗だわ!」

 

「ふふん、だろ?悪いが触らせんぞ、流石に神獣に触れたら普通の魔法使いなどどうなるか分からん」

 

「ね、ねぇウィラ。獣さんって何の神獣なの?」

 

「というか考えたらありえねぇよな」

 

「神獣なんて普通お目にかかれねぇぜ?アルヴィーさんだってチャーリーの野郎に自慢したらマジ会わせろって煩かったし」

 

「ウィラは他にも会ったことある?神獣に」

 

「教えてほしかったら個人で我がエルドラド王国そのものに喧嘩を売る覚悟を決めろ、これの正体は文字通りトップシークレットだ。他か・・・一応探したけどなぁ」

 

「いなかったの?」

 

「卿等は知らんだろうが・・・うん、たまには神学でもするか」

 

 

その言葉に私の周りに集まった生徒が座り、私もまた椅子に座り直しながら、変わらず尻尾をモフる

 

 

「そもそもこの世界に神はいるか否か?___ハーマイオニー」

 

「難しいけど・・・私はいないと思うわ。だって神様がいたなら世界はもっと平和なはずよ」

 

「残念ながらハーマイオニー殿、神は人を救いませんよ。・・・あのクソ親父ィ・・・私が小さい頃など本当にペット扱いしやがって・・・ッ!!」ギリィ!!

 

「お前の幼少期など知るか、今度リード繋いで市内を散歩してやるよ。そしてハーマイオニー、正確には神はいた(・・・・)__が正解だ」

 

「__?いた?え、いたの!?神様!!?」

 

「あぁ、だからこうして神獣が体育座りしてるんだろ?」

 

 

コホンと軽い咳払いをし、空気を換える

 

 

「“神々の黄昏(ラグナロク)”は知っているな?北欧神話に伝わる言葉だ」

 

 

すると意外にもネビルの手が上がり、彼を指名する

 

 

「うん、確かアースガルズ・・・主神オーディンとその弟分のロキとの間に起きる神々の最後・・・だよね?」

 

「少し違うがまぁ概ねそんな感じだ」

 

 

次第にグリフィンドールだけでなく、他の寮まで集まって来た。何か久しぶりだな、こうして教鞭をとるの

 

 

「神にも格がある。その中でも北欧はかなり上だ。なにせ古いからな、神秘とは古ければ古いほど、その力が増す」

 

「うん、だからウィラにはどんな魔法も効かない。最古の魔法使いの血が流れているから」

 

「まぁ私の話はまた今度にしよう。__でだ、ヨーロッパでもかなり古くからある北欧。その黄昏に巻き込まれ・・・ほぼ全ての神話は滅びた。うん、驚くのは分かるぞ?私もその口だ」

 

 

ザワザワとした声が引くのを待ち、続ける

 

 

「でも待って、じゃあ何でアルヴィーさんやそこの獣さんはこの世界にいるの?おかしいじゃない」

 

「そこだハーマイオニー、やはり卿は目の付け所が良い」

 

 

ヒソヒソと「僕も分かっていた」「知ってた」と声が上がるが、じゃあ言えよ

 

 

「アルヴィーはここブリテンに伝わる『白き龍』。それは知っているな?“神々の黄昏(ラグナロク)”が起きたのは約6千年前、それに対しアルヴィーが生まれたのは約2千年前だと本人から聞いている。つまりアレはまだかなり神獣の中では若い」

 

「若い!?2千年も生きて!?あの“グィバー”・・・二天龍が!?」

 

「今この世界に存命している神獣の大半がそうだ、“神々の黄昏(ラグナロク)”以降に生まれた者ばかり・・・まぁそれでも人の手には余るがね」

 

 

本能のままに暴れる神クラスなど、もはや災害以外の何物でもない

 

 

「だから大半は封印されている。卿等が今いるイギリスにも、先程ディーンが言った二天龍、その片割れである“ドライグ”が眠っている」

 

「じゃあ、アルヴィーさんはどうやって?」

 

「アレは封印などされずただ空を漂っていたからな、そこに喧嘩を売って地に落とした」

 

「二、二天龍を・・・」ヒクヒク

 

「一応他にもファブニールや有名所を探したけどな、見つからん。“ドライグ”もそうだ、イギリス王室が居場所を知っているらしいが教えてくれん。おぉ、そうだ!卿等民草が聞けばあの頑固なエリーも喋るかもしれん!おい、誰かイギリス王室にツテを持ってないか?」

 

「そんなの貴女だけよ・・・」

 

 

何人か先程の話を更に発させた議論を交わし、それを見ているとその中の一人が意を決したような顔で私を見てき__

 

 

「その・・・ウィラ様は先程神はいないと言われましたが・・・見せてもらえませんか?」

 

あの槍(・・・)を__

 

 

私の周りが急に静かになり、視線が私に集まる

 

 

「何だ、そんなに見たいか?___聖槍(ロンギヌス)が」

 

 

そう言いながら杖を出す。すると何人か憑り付かれたように杖へと引き寄せられていく。なので魔力にモノ言わせて杖を黙らせ、懐に戻すと全員が正気に戻った

 

 

「・・・うわ!?」 「今の何・・・?」 「俺・・・何してたんだ・・・」

 

「くはは!駄目だな、皆知っていようが私の杖にはその聖槍の欠片を埋め込んである。欠片でソレだ、本物など見ては魂が文字通り砕けるぞ」

 

 

パンパンと手を叩き、これでお終いだと告げ解散させる

その場には最初の三人だけが残った

 

 

「今更だけど・・・世界一豪華な杖だよね、それ」

 

「あぁ、私以外誰も使えんだろうな。一番最初に話を戻そう。脱線させすぎた」

 

「初め・・・あぁ!そうだった!やいハーマイオニー!僕のペット返せ!!」

 

「だ か ら!!違う!!」

 

 

再び始まった夫婦喧嘩を放置し、ハリーが私に話しかけてきた

 

 

「そういえばさ、ウィラのペットのヘルメスって普段どこにいるの?」

 

「“禁じられた森”の中だ。呼べばすぐ来る___ヘルメス」

 

 

小声で言ったにも関わらず、小窓から鳴き声と共にヘルメスが私の腕へとやってくる

 

 

__ピフィ~__

 

「うわぁ!相変わらずカッコイイね!」

 

「だろ?ロンも鼠なんかじゃなく、鷹や鷲を飼えばいいのに」

 

 

「いや無理だから」と夫婦喧嘩を中断し、二人がヘルメスへ近づく

 

 

「お久しぶりヘルメス」

 

__フィ~__

 

「ホントに賢いね、どこで会ったの?ペットショ・・・うぉ!?おいヘルメス!危ないじゃないか!!」

 

「今のは卿が悪いロン。これはプライドが高い。目を抉られなくて良かったな」

 

「どこなのウィラ?」

 

「私が所有する島の一つだ。そこの生態系の頂点にこれがいた・・・いわば王だな。自然が綺麗な場所でな?開発が行われると聞いて守る為に買い取った。だがそれ以前に人間を襲う鷹がいた。テリトリーを荒らす輩が許せなかった・・・だろ?」

 

 

ヘルメスにそう問うと指を甘噛みし、頬を摺り寄せてきた。本当にカワイイ奴だ

 

 

「気概も良く、毛並みに惚れた。島もそのままコイツにくれてやろうとしたら、私について来た・・・それからの関係だな」

 

「し・・・島を鳥に・・・!?」

 

「それだけこれが愛おしいということだ。あぁ、ペットと言えばハーマイオニー」

 

「え、私?」

 

「卿のペット。あれも良い。卿は気づいておらんだろうが、あれには“ニーズル”という魔法生物の血が流れている。かなり賢く、自らが選んだご主人様にはしかと付き従う」

 

「そうなの?私、知らなかった・・・」

 

「ヘン!どうだか!ペットと野良の鼠の区別もつかない奴が賢い?」

 

「では聞こうか?__獣」

 

 

私の後ろに佇む獣に三人の目が行く。そこにはゴロニャーンと喉を獣に撫でられ気持ちよさそうにしているクルックシャンクスがいた

 

 

「彼女が言うには『何故ネズミのような臭い・・・それもあんなハゲてデブったオッサンなんか食べたらコレステロールがマジパないから嫌だ』だそうです。黄金の君」

 

 

「クルックシャンクス!」とハー子が叫び、獣の腕から彼女の中へとクルックシャンクス(言いにくいな)が移動した

 

 

「嘘だ!だって・・・!」

 

(少し酷だが・・・まぁ今の内の方がキズは浅いか)

「ハリー、死んだピーター・ペテュグリューの名が地図に出たんだったな?」

 

「え、うん」

 

「じゃあこういうことだ・・・“ピーター・ペテュグリューは死んでいない”」

 

「っえ、だって・・・!」

 

「おかしいと思わなかったのか?三人共、ピーターが死んだ時の記事は見たか?」

 

 

コクリと三人が頷くのを確かめ続ける

 

 

「私も見た。記事にはこう書いてある__“マグルを複数人巻き込み爆発。排水管にすら穴を空けたそれに巻き込まれたピーター・ペテュグリューは指の先しか残らなかった”__そら、身体ですら残らぬ爆発で何故、指だけが残る?」

 

「それは・・・でも、ありえない話じゃ」

 

「いいや、あり得ない(・・・・・)。人体においてかなり脆い部分・・・まだ大腿骨などの硬いカルシウムを多く含んだ骨が残るほうが納得いく。それに後で写真を見直してみろ、指の断面図は爆発に巻き込まれたにも関わらず、焦げてすらいない。明らかに斬り落ちた証拠だ」

 

 

ついてこれてるか?と確認するも三人共ポカーンとしていた(せめてハー子はついてこいよ・・・)

 

 

「じゃ、じゃあ!何でピーター・ペテュグリューは死んで・・・」

 

ない(・・)。断言できる。こういう時、魔法界というのはアテにならんな。まだイギリス警察(ヤード)の方が信用できる」

 

 

考える三人を置いて、私は用事があると言ってその場を後にした__

 

 

 

 

コツ、コツ__

 

 

「__で、まだ見つからんのか」

 

 

とある階の廊下を歩きながら、アランとトグサに問いかける

 

 

「すみません陛下・・・でも無理だぜ?鼠を探せ(・・・・)なんて」

 

 

そう、私はあの時祖国に帰る前・・・正確には三年生が始まった時から二人にピーター・ペテュグリューを探すよう言っておいたのだ

 

 

「うむ、所詮は小賢しい小物であろう?今更ながら何故王たる余が・・・」

 

「卿は初めから探しておらんだろう?どうせトグサも探すのではなく「斬ったら俺の剣筋が錆びる」といった所か」

 

「いや、一応目に映った鼠は全部殺してますよ?」

 

「私は一度も殺せなど言ってないが・・・まぁいい」

 

 

彼等との会話をいったん止め、次に獣に問いかける

 

 

「来週はクディッチだ。獣、もう一度問う。アレは競技場に入って(・・・・・・・・・・)くると思うか?」

 

必ず(・・)

 

「理由を述べよ」

 

「アレは謂わば“光にたかるハエ”です。絶望や妬み、しかしそれ以上に闇の生き物というのは生に憧れ引き寄せられるものです」

 

「ふむ、続けろ」

 

「恐れながら黄金の君、その時競技場には御身がおられます。貴女様以上に光輝くものは無く、アレ等は処女を食い荒らさんとする強姦魔の如く、身の程も弁えず御身を標とし、その清浄なる光輝な魂に焼き焦がれるでしょう」

 

「くはは!そうか!この私を犯そうと・・・それは怖いなぁ」クスクス

 

恐がるそぶりに見えるよう、掻きし抱くように自分の身体を抱きしめる

 

 

「」ゴク・・・っ

 

「むぅ・・・」ゾク

 

「・・・ヒヒ、あぁやっぱ陛下はこうでなくちゃ・・・陛下、どうかこの渡草に命を」

「ならんよトグサ。卿は知らんが・・・私はダンブルドアと盟約を交わした。『もしこの私の目の前に、クソが来たら好きにさせてもらう』・・・とな。邪魔建ては許さん、座して待て」

 

「・・・ですが」

 

「___ト グ サ(・ ・ ・)?」

 

「ッ!!・・・お・・・お許しを」

 

「あぁ、構わんよ。私の為であろう?良い、許す。嗚呼許すとも」

 

 

私は全てを愛している__

 

 

「ゆえに私手ずから滅ぼしてやろう。私の愛するこの世界に、アレ等は不要だ。何故なら私がそう感じたのだ。ならばすべからず灰塵に帰すまで」

 

 

目的の場所についたので、グルグルと三度回り(・・・・)ながら

 

 

「ではまずは、愛しい我が敵となりうるか否か・・・ご教授願おう____

 

 

 

 

___“物を隠す為の部屋”」

 

 

 

 

 

 

 

 

1週間後

 

クディッチのシーズンを迎えたホグワーツは、世間を騒がせる犯罪者やホグワーツの周りを飛び回る吸魂鬼など目につかないと言わんばかりに日に日にその熱を上げていた

その証拠に寮は互いに牽制し合い、作戦やメンバーがバレぬよう、同じ寮の仲間が教室移動にさえ警護するしまつだ

 

しかしどの寮にも所属していないウィラには関係ない。むしろ勝利の女神のように、様々な場所から呼ばれていた

 

 

「うん、頑張れ。__うん?あぁ、楽しみにしてる。___何!?『ロートス×ミハイル』だとう!?見せろ!!」

 

 

軽く殺伐とした雰囲気を見せる今のホグワーツに、彼女はまさに清涼剤の如くといったように寮関係無くその姿を現す

 

 

「~~♪」

 

「嬉しそうだねウィラ」

 

 

そんな彼女は今スリザリン寮にいた

 

 

「当然だろうドラコ!こんな珍しいYaoi本などジャパンですらそうそう手に入らんぞ!!」

 

「Yaoi本?何それ、面白いの?」

 

 

読むか?とウィラが奨めるが、ドラコは何か感じ取ったようでそれを拒否する

それを見ていた他のスリザリン生は密かに驚きの声を出す。同じ生徒とはいえウィラは王族、そんな彼女に断りなど信じられない

だが今の二人にはそんなこと関係無い。あの日からドラコはウィラの朋友___そこに身分など無いに等しい

 

 

「明日はグリフィンドール対ハッフルパフか」

 

「うん、早く君に僕の雄姿を見せたいのに残念だよ」

 

 

「だろう、みんな!」とドラコが後ろを振り向けば、「おぉ!!」とスリザリンに鬨の声が上がる

 

 

「くはは!どうしたドラコ、卿らしくない。私はてっきりケガでもすればいいとか言うと思ったぞ」

 

「僕は君の朋友なんだ、ならせめてもっと相応しい男にならないと」

 

「充分だよ、卿とこうして話しているだけで心が癒される」

 

 

だがウィラの言葉とは裏腹に、空は徐々に暗雲に遮られる。まるで明日のクディッチは無いほうがいいと言わんばかりに

空を仰ぎ、ウィラは呟く__

 

 

「楽しみだ・・・荒れるな、今年は」

 

 

 

 

 

前日の天気の通り、外は大荒れだ

雷雨が激しく降り、外に出ることすら憚れる状況であった

 

 

『しかぁし!クディッチに天気など関係ない!我等のクディッチ愛を妨げようなど甘い甘い!!この3倍は持って来い!でおなじみのリー・ジョーダンが今回も司会進行をさせていたたきます!では選手入場ォ!!』

 

 

リーの掛け声でハリー達グリフィンドールと、セドリック率いるハッフルパフがずぶ濡れになりながら競技場へ入って来る。それは彼等に声援を贈る観客席、それを見守る教師席も同じ___ではない

 

 

「ったく、この私を濡らそうなど・・・校長、何故全天候対応型の競技場を作らん」

 

「無茶言わんでくれウィラ殿。しかし感謝する、おかげで風邪を引かずに済みそうじゃ」

 

 

教師席には水滴1つ無い。ウィラが濡れてはならぬとアランが超巨大な金でできた傘を差しているのだ

 

 

「何故アラン殿は金の傘を?ミス・エル・ドラド」

 

「マクゴガナル先生、これは阿呆なのですよ。鍛錬の一種だとか」

 

「ガハハ!!男として生まれたのだ!見よ!この美しき肉体美!!日々の研鑽の賜物よ!!」

 

 

ムン!っと上腕二頭筋を膨らませ、純金でできた柄がギチリと音を上げる

 

 

「おい、握りつぶすなよ?折れてこの私が濡れたらどうする」

 

 

言いながらウィラは隣に座るスネイプのローブの裾をギュっと握る

 

 

「おい・・・ミス・エル・ドラド、何故吾輩のローブを握る?」

 

「」ツーン

 

「・・・ウィラトリア」

 

「何だセブルス、男だろう?卿はまさか女を濡らす癖でもあるのか?」

 

 

額に青筋を立ててローブを思い切り引っ張る

そんなやり取りがされていることなど露知らず、雨音に混じりホイッスルの音が微かになった

数メートル先を見ることすら怪しい中、それぞれのチームは何かしらの方法で適格な支持をチームメイトへと出していく

 

 

「ほう!グリフィンドールは大声で単語を叫び、味方には分かりやすく、しかし我々ハッフルパフや偵察している他チームには分かりにくくしておりますな!」

 

「対するハッフルパフも見事ですわフリットウィック教授。セドリック・ディゴリーは逆にスニッチを探しながら飛び交い、チームの目となり状況を把握・・・素晴らしい選手です!」

 

 

寮の監督であり、今は敵同士でありながらもフリットウィックとマクゴガナルは互いに健闘を称える

 

 

「セブルス、これがあるべき競技の姿というものだ。卿もどうだ?たまにはグリフィンドールを応援したまえよ」

 

「ウィラトリア、吾輩はたまに無性にお前の両親に会い、どう育てたのかを聞きたくなる」

 

(え、それって///!?)

「そんなのまさに王として、玉のように大切に愛されて育てられたに決まっておろう?__ん?現時点で勝っているグリフィンドールがタイムアウト?」

 

 

勝負をしかけるなというウィラの言葉通り、先程まで雨に視界を遮られ、フラフラとしか飛んでいなかったハリーが今ではしかと文字通り、空をかけていた

 

途中とある場所に目が釘付けになったように止まるが、再び箒を操りだす。教師やグリフィンドールがもしかしてスニッチを!?とハリーを目で追うと____

 

 

 

 

 

 

 

 

__パキパキと・・・空気が凍りだした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大雨はいつの間にか止み、雨音は消え静寂が響き渡る__まるで先程の大歓声など初めから存在しなかったかのように

 

雨粒が結晶となり、ダイヤモンドダストの如くキラキラと輝き、その美しい光景に生徒は目を奪われ言葉を失った__わけではない

 

カチカチと、一人、また一人をその歯を打ち鳴らす。だがそれは寒さで打ち震えているのではない

もっと原初__それは魂の叫びであった

 

 

「来たか・・・」

 

 

言葉と共にウィラが上を向く。そこには__

 

 

__オォォォオオオオ______

 

 

空を埋め尽くさんと吸魂鬼が競技場上空に大量にいた。その数が数えることすら難しく、ダンブルドアでさえこれほどの数を見たのは初めてだ

 

そして上空にてスニッチを追っていたハリーはこの大群と鉢合わせし、今は箒を操ることもなく、自由落下となっていた。このままでは彼は割れたスイカのような様になるだろう

 

しかしそれはならなかった。ハリーが地面に突撃したと思いきや、何故か地面はスポンジのような柔らかさ(・・・・・・・・・・・・)で彼を受け止めたのだ

 

それはウィラの呪文だった。しかし誰もそれに気づく事なく、ただ自分達の上にいる吸魂鬼__“死”そのものに恐怖を抱いていた

 

 

 

 

 

___一人の少女と彼女に心酔した騎士達を除いて

 

 

いや、正確にはダンブルドア・・・彼だけは皆が上空の光景に恐れを抱く中、ただ一人別の場所(・・・・)を見___ウィラ(・・・)から視線を動かせなくなっていた

 

誰もが歯を打ち震わせる中、彼女だけはただ一人笑っていた(・・・・・)のだ

まるで初恋が成就した乙女のように、念願が叶う喜びを噛み締めてしるように、その表情は恍惚としていた

 

 

(何故じゃ・・・どうしてそんな表情をこの状況でできる・・・!?)

 

 

回りとは違う恐怖がダンブルドアを襲う中、ウィラは彼の方を見て言葉に出さず、口の動きだけで伝える____

 

 

 

 

 

__“盟約だ(Pactum)

 

 

 

 

 

徐々に教師達が正気に戻り、杖を出し『守護霊呪文』を放とうとするが気づく。“何故校長は動かない?”

故に彼等がダンブルドアを見て、彼の視線を追ってしまうのはしょうがなかった

 

 

 

 

「__ッ!?」

 

 

その時ウィラの表情はすでに先程の恍惚としたものではなくなり

 

 

「___クっ、クク」

 

 

獲物に飛び掛からんとする狩人のものへと変貌していた

カタリ__と静かに席を立ち、今度はしかと口に出し

 

 

「ダンブルドア・・・盟約だ。今こそ2年前の誓いをここに・・・!」

 

 

髪が逆立ち、彼女の目は黄昏色へと変貌していた

それと同時に吸魂鬼に目を奪われていた生徒達もまた、教師と同じく正気に戻る

 

だが・・・それは教師と同じ理由でなったのではない__“死”___それすら生温く感じる何かが彼等の魂を押しつぶさんとしたからだ

 

 

ウィラが言った“盟約”。その意味を教師達は分かるハズも無く。ただ一人それの意味が分かるダンブルドアは今度こそドっと冷や汗が背中を伝うのを感じた

“馬鹿な”“あり得ない”“アレ等を殺す方法など存在しない”__くしくもそれはファッジと同じ考えであった、それこそが常識であると

 

しかし__彼女はその常識を意図もたやすく破却する

 

「では参ろうか」と客席の手摺りにカツリと足をかけ__

 

 

 

「・・・嘘だろおい」

 

 

生徒の中で誰よりも、ハリーの親友であるロンは誰よりも早く正気に戻り、ハリーの下へと駆けていた。ゆえにだろうか、誰もが口を開けぬこの状況で咄嗟に呟くことができたのは

 

 

__コツ コツ コツ___

 

 

()を____さも廊下を歩くように、足音と共にウィラが何もない空中(・・・・・・)を当たり前のように歩く(・・)

 

声が出ないどころではない、目の前の光景は疑いようもなく現実だ

 

 

「何、魔力を固めて足場にしているだけ、簡単な話であろう?」

 

 

誰ともなく呟くその声は、静かな競技場に確かに響き渡った

 

常軌を逸脱した二度の光景。だからだろうか、ダンブルドアは誰よりも早く今から起こるであろう、3度目の逸脱を予感し叫ぶ

 

 

「止めろ!!ウィラ殿!!どうかそれだけは止めてくれぇ!!」

 

 

手摺りに縋り、必死に手を伸ばすも文字通りそれは宙を舞うだけ

 

それでも叫ぶ

アレ等はアズカバンに必要なのだと、絶対悪は無ければならぬと

 

後ろから聴こえるその声に、ウィラは更に笑みを深くし__

 

 

私は全てを愛している(・・・・・・・・・・)。だが例外もある。クソなど愛せるワケもなかろう?だが・・・嗚呼、確かにコレも私が愛する世界に産まれた存在・・・ゆえに壊そう(・・・・・・)

 

 

懐から杖を取り出し、そのまま空中に杖を固定する(・・・・・・・・・)

 

 

「壊すから__壊れないでくれ。クソのようなキサマ等にも、私が愛するに相応しい輝きがあると見せてほしい」

 

 

生徒に震えはない、誰もがウィラによって震わされている(・・・・・・・)大気に飲ま

れていた

世界がウィラに怯えるように・・・あり得ぬことだがその様は、まるでウィラの思い(渇望)が世界を塗りつぶし(・・・・・)流れ出て(・・・・)いるかのようであった

 

 

しかし、眼前に広がる吸魂鬼の大群__ソレ等は意も解せずとウィラへ殺到していく

それはまるで炎に飛ぶ込む蛾のように、これ以上彼女に何もさせんと怯えるように

 

 

「いや、怯えるなど・・・あり得んよ。私は()したいだけだ」

 

 

 

吸魂鬼__太古の昔から存在し、人の幸福を糧とする悍ましき生物。黒いボロを纏い漂うソレ等を人々は“死神”のように扱い、恐れ続けた

 

 

「あぁ・・・ならば確かに卿等は“死”そのものであると言えるだろう。ならば死よ、全ての征服者であった汝等から、今こそ私は逃れ出よう

 

祝えよ___今こそ汝等が征服される時なのだ__ッ!!」

 

 

その言葉を切っ掛けに、雨雲は消し飛び、空が割れる

 

空中に浮かんだまま、ここでようやくウィラは浮かばせていた杖を手に取り

 

 

 

笑みを深く__その黄昏色の瞳を更に深く、深くしていく

桜色の艶やかな唇から、彼女の祈りにも似た詠唱のようなものが紡がれる

 

 

「さぁ、共に謳い上げよう!大いなる祝福を!!卿等の中にあるであろう、我が愛を受け止めるであろう輝きを今ここに!!」

 

 

悲鳴が、いや___悲鳴のような何かを上げ、吸魂鬼達は我先にと彼女から離れていく

 

 

「__ッ!!__ッ!?」

 

 

が、それは叶わない

競技場を__ホグワーツの敷地全てを包んでもなお、有り余る黄金色のヴェールが展開していた

 

 

「何故逃げる?私はただ抱きしめたいだけなのだよ。恐れてくれるな・・・砕け散るほどに愛させてくれッ!!」

 

 

杖も、空も___この世のありとあらゆる全てが彼女と同じ黄金色に輝き____ついに“偉大なる黄金”はその力を世界そのものへと知らしめる

 

 

「『__混沌より溢れよ(Du__sollst)__怒りの日(Dies__irae)___!!』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後にこの光景を見た者はこう語る

 

 

誰が予想できようか。空は裂け、ありとあらゆる音が消え、全ての生物が微かな音を立てることすら憚り震え慄いたあの光景を

我等には祈ることすら許されなかった、何故なら祈るべき神は彼女の手元にあったのだから・・・神はゴルゴダの丘で死んだのではなく、あの日、あの場所で人界の王に跪いたのだ__ならば・・・

 

 

_____彼女こそは“神の座”に座る現人神なのかもしれない

 

 

 

 

 

 

 

混沌より溢れよ(Du__sollst)__怒りの日(Dies__irae)

 

私が今唱えることができる最大の呪文・・・全てを()したいという私の渇望をそのまま現実へと流す呪文

 

壊すから、壊れてくれるな__私が愛するものがこの程度で壊れることなど無いと信じるからこそ、これを放ったというのに・・・

 

 

「・・・ハァ、ガッカリだ・・・所詮クソはクソ・・・か」

 

 

呪文の光が落ち着いた頃、そこには文字通り何もなかった

目測で千に上ろうという数がいた吸魂鬼は、ただの1つも残らず塵すらない。本当にそこにいたのかと思うくらい、あっけなくアレ等は滅びた

 

 

「しかし・・・やはり素晴らしい、見えるか(ウィラ)?」

 

 

下界を見下ろせば、私の愛しい学友が悲鳴の一つも逃げることも無く、私へその視線を集めていた

吸魂鬼という“死”そのものとして恐れられていたソレ等でさえ、慄き我先にと逃げ出そうとしたのに__!!

 

 

「私は全力ではないにしろ、本気で()した・・・なのに彼等は今も人の身を保ち、あまつさえ私を見る勇気があるのだ・・・ッ!!」

 

 

歓喜だった。まだまだこの世界は私の愛に耐えられるという確証がこれでできた!

 

 

「__ック・・・くはははははは!!!嗚呼!ならばもっとだ!!卿等はまだ()せと、そう言ってくれるのだな!?嬉しい、嬉しいよ!!」

 

 

笑いが止まらない。これほどの歓喜は今まであっただろうか

まだ足りないと・・・もっと寄こせというならば

 

 

「無論、その期待に応えるとしよう____それは卿も(・・)だ」

 

 

上空からの俯瞰視点__ゆえに私の目には今、必死になって逃げようとする1匹の大きな黒い犬(・・・・・・)が映っていた

 

再び私の心に歓喜が到来する

卿もまた耐えてくれたのか、もっともっと愛せと私にそう言ってくれるのか__ッ!!

 

 

「失礼した・・・シリウス・ブラック。ただイタズラに王を名乗る不埒な家系と断じていたが・・・感謝してほしい、特別に卿には私の足を舐める栄誉をくれてやる」

 

 

そう呟きながら、私は彼の下へと足を進めていった___

 




いかがだったでしょうか?

ホントに絵に関しては済みません(汗
それと上でも言ったように次回投稿に少し時間がかかります
絵をちゃんと仕上げたいのと、囚われた姫騎士状態ウィラも下絵が完成しているので早く描き上げたいからです

『盟約だ』はラテン語です
エルドラド王国ではラテン語が主流です


神々の黄昏については、何でもある日、突如神々の座に現れたコズミック的雰囲気の男によって起こったとかなんとか


そしてとうとう出しました『混沌より溢れよ(Du__sollst)__怒りの日(Dies__irae)
本気ですが全力ではありません。今回は取りあえず試し打ちといった感じです

※『流出』ではありません。あくまでウィラの渇望を少量世界へと流すだけなので(槍は出してないし、あとあの詠唱は唱えてませんしね。セーフ・・・だよな?)


説明したいので書かせていただきますが、これをさせる為だけにウィラには前世の記憶を無くしてもらいました
覚えていたら「あんなのになりたくねぇ」となるのが目に見えているので

他にも、実は何故ウィラが転生者であるにも関わらず、神様にあった記憶や前世の大半を覚えていないのにも理由があります
(明かすとしても本編完結後の番外編です)

生徒が平気だった理由は本人は忘れていますが、1年の時にプレゼントした『プロテゴ・マキシマ』を込めた宝石が生徒の生存本能に反応して発動したからです
(そのせいで余計にウィラは勘違いをおこしました)


次回予告


「ホ、ホグワーツが・・・千年持ちこたえた結界が・・・」

ホグワーツの良心__ミネルバ・マクゴガナル



「ピーター・・・それじゃあ・・・儂等は今までなんという勘違いを!?」

ニワトコのない状態ではどれくらい強いのか気になりません?__アルバス・ダンブルドア



「ヒィ!?たっ、助けて!!助けてくれハリー!!き、君の両親は私を助けてくれた!なら君もまた・・・ッ!!」

ハゲて太った猫も食べたくないネズミ__ピーター・ペテュグリュー



「・・・すまないが、もう一度」

おいたん__シリウス・ブラック



「聞こえなかったのか?私の足を舐めろ」

やりたい放題楽しいです__ウィラ
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