ハリー・ポッターと黄金の君   作:◯のような赤子

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3パートです

カエル
悪だくみジジイ
おいたん

となっています



ほんっとに今更ながら、この作品は作者独自の解釈が多々あります
「こんな考え方する人間いるんだふーん」程度で流してもらえれば幸いです



黄金を知る者

一目で猫が好きなんだと分かる

そこには猫、猫、猫__魔法で動き、鳴き声を上げる猫が描かれた皿が所せましと壁に掛けられていた。そして何より入った瞬間目に入るのはピンク一色の壁紙だ。それだけならば可愛らしい少女趣味な者がこの部屋の主なのだとほっこりするところだろう

 

そんな部屋が今、荒れに荒れていた

 

 

「くぁwせdrftgyふじこlp~~~ッッ!!!」

 

 

人とは思えぬ奇声を上げ、大口を開けてまるで今にも蠅を食らわんとするカエルのような人間__ドローレス・アンブリッジは先程までいたホグワーツで行われた侮辱を思い出す

 

 

__おい獣!見ろあの醜悪なカエルを!あれは何だ!?置物かと思ったら人語を語り出したぞ!?

 

__申し訳ありません黄金の君、あのような生き物は私も見たことがありませんが・・・もしやアレは“カエルのような人間”では?

 

__まさか、全てを愛する私が最愛種たる人を見間違えるワケがないだろう?アレは間違いなく“人のようなカエル”だ。ファッジ、何故このような場にピンクのカエルなど連れてきた?確かに私としてはとても面白いが・・・このような場でリアクションを求められても困るぞ

 

 

「オガガー!!ゲゲゲェェエ!!!」

 

 

顔を真っ赤にし、最愛たるファッジの言葉も聞かずその場で“姿眩まし”。ファッジもまた、こんな場所に一人ではいられないと言わんばかりにアンブリッジの後を追った

 

屈辱だった。栄誉あるイギリス魔法界、その頂点たる大臣補佐という最上級の地位にいる自分を無視するどころかカエルと見間違えようなど・・・ッ!!

 

怒りのあまり肌は栗粟立ち、ただでさえカエルと見紛うごとある容姿はガマガエルへと変貌していく

 

 

「・・・ケケケ、ゲーゲッゲッゲ!!__

 

 

 

__潰してやる」

 

 

所詮小国でのさばる古いだけしか能がない小娘が

魔法が効かなければ、単純な暴力で訴えればいいだけだ

ヨーロッパ中が黙っていない?まさか(・・・)、彼等も我々が頭に立ち、ただ一言声かけすればすぐこちらにつくに決まっている。あんな礼儀も知らぬ馬鹿に、今の自分のようにハラワタを煮え繰り返している者は多いハズ

 

 

「まずは円卓の化け物共をこちらにつけなければ・・・まぁ所詮神獣と言っても動物と変わらないのでしょう?なら適当にドラゴンの雄やエサをぶらさげてやればホイホイ着いて来るに決まっています。鬼人もそうだわ、小国に負けた風情で・・・“最強の亜人種”と言う表記も変えさせたほうが良さそうね、まぁ利用した後は捨てるだけだけど」

 

 

ブツブツと呟き、その残念な思考は更に加速していく

 

 

「混ざりものが混ざりものが混ざりものが混ざりものがッ!!見た目しか能がない、人とカエルの区別もつかない無能がッ!!」

 

 

まぁ、見た目だけは良いのだ・・・だから

 

 

「どうせ、まともな教育など親から受けていない・・・えぇ、そうでしょうとも。なんせこんなチャーミングな私を両生類と間違えるくらいですもの♪・・・適当な言葉で乗せて、紅茶に睡眠薬・・・いえ、ここは“生ける屍薬”がいいかしらね?眠らせて、そういう趣味(・・・・・・)の私がこういう時の為に囲った異常性癖者に、数か月に渡り○○(ピー)させて孕ませましょう!起きた時の知らぬ種で身籠った腹を見て、絶望に歪む顔・・・想像するだけでなんて甘美なのでしょう!!」

 

 

ニタリと嗤い、口が耳元まで裂けポタポタと零れるヨダレも気にせずアンブリッジは必死に謝り、その尊大な頭を踏みにじる自分とウィラを妄想する

 

しかし全てが勘違いであり、またアンブリッジはウィラのことを知らなかった

 

 

小国?__世界の名だたる大国が、決して手を出そうとしないのに?

こちらに着く?__まさか、それに・・・イギリス魔法界は各国に対し、エルドラド王国と比べ一足も二足もすでに遅い(・・・・・)。ゆえに断言できる__それだけは絶対にあり得ない(・・・・・・・・)

 

結局最後までアンブリッジは己の犯した全ての間違いに気づくことはない

 

 

 

ヨーロッパだけでなくアジア、更には遠く離れたオセアニアから日本・・・世界そのものを敵に回し見捨てられるその日まで、愚かなカエルは井戸の中で妄想と言う名の大海を泳ぐ真似しか出来なかった

 

 

 

 

 

「___クシュッ!」

 

 

突然悪寒が・・・風邪かな?でも今まで殆ど病気になったことないんだけどなぁ(恋の病なら絶賛負ってるがな!)

 

しかし、彼には悪いことしたなぁ・・・流石に突然大統領を呼び出したのは悪かったか?でも終わった後、軽く話しただけで礼言われたし・・・うん、今度彼の家族も含めディナーにでも誘うとするか!

 

 

獣が慌ててローブをかけようとするが、問題無いと伝えて校長室を目指す

 

 

「でも陛下がクシャミなんて珍しいッすね。誰か噂でもしてんじゃねぇの~?」

 

「だったら普段から止まらないだろ。この私だ、話題など尽きようもない」

 

「しかし、何故今回はダンブルドアの下へ行くのだ?この前黄金の君の間へ通したばかりではないか」

 

「今回はダンブルドアと話すだけが目的ではないからな。久しぶりに顔も出してやらないと・・・てかお前等ハシャギ過ぎ。特にトグサ、卿の国技など普通の人間にかけるでない。死人が出たらどうする」

 

「ん・・・?素人の相撲で死人・・・どういうことッすか?」

 

「だって前にネットで見たぞ!?足を振り上げただけで大地が揺れ、突っ張りをすれば大気を震わせ弾丸のような空気の塊が相手を襲う!!更には空を飛び、荒れた大地を更地へと変える!!・・・ジャパン恐るべし、流石卿を産んだ国だ・・・」ゴクリ

 

「それって『相撲』じゃなくて『Sumou』じゃねぇか!!ネットの海に騙されてますよ!?」

 

「おぉ!ジャパンにはそれほどの強者がウジャウジャおるのか!?しまったなぁ、ケンカ売るなら先にそっちにすれば良かったわい」

 

 

ワイワイ騒ぎながら校長室前にあるガーゴイル像を目指す

見えてくると何故か彼は項垂れており、陰鬱とした雰囲気を見せていたが・・・私にはそれが何を意味するか分かっていた。だから__

 

 

 

 

__悲しいかな、私如きでは・・・君を止めることはできぬのか・・・

 

 

ガーゴイル像の周辺は不自然に薄暗く、何故か彼も周りだけ照明のような灯りが点いていた

するとそれが消え、パッと彼の斜め前が不意に明るくなり、何故か音楽が聴こえだす

 

 

「悪魔(他のガーゴイル)を呼び出し、呼んでは壊し・・・歪んでいるな、正気じゃない。それがお前の__正義なのか!」

 

 

ちょうどいい所にあった椅子に片足を乗せ、蹴り出しさながら舞台のように私は両手を広げ、最後の問には力強く拳を握る

 

 

__俺のような像とは・・・真に愚かな像であり、一度今のような栄誉についてしまってはもはや引き返せない。ただの石の塊である俺が・・・なんと、皮肉な話であることか

 

 

しかしガーゴイル像もまた、その語りを役者のように変え立ち上がり、これまた適当に持った石くれを手の中で壊し、応対しながら粉となったそれをフゥっと私に吹きかける

 

が、そんなことどうでもいいと床に寝そべり

 

 

「ハッ!そんな話に興味ない」

 

 

いったん言葉を切り、互いに目を見合わせる。ここからが正念場だ!

スタイリッシュに一回転しながら立ち上がり、今まで以上に心を込め更にこの演目に没頭する

 

 

「私は_ただ__!そこを通してほしいだけなんだ!!」

 

__校長室だな!!

 

 

胸に手をやり万感の思いを込めて放ったにも関わらず、彼は私の前へ出て右手を天に掲げ、目的にしている場所を叫ぶ

 

 

__君が欲して止まないものは!俺がここで守る校長室への通路だな!!

 

「ハハァッ!そうくるだろうと思っていたよ!」

 

 

再びどこからか持ってきた、今度は長椅子に乗りアランに押し出してもらいながら、獣が懐から取り出した紙吹雪の中、ガーゴイルの前に更に出て笑いあげる。正直かなりテンションアゲアゲだ!だってあの名シーンを私達、再現してんだぜ!?

 

あとはゴツイ装飾を施したこのエアガンを撃って、ガーゴイル像との激闘を初m「させません」・・・え?」

 

「申し訳ありませんが長すぎです。御身の嬉しそうな表情を見れて感服ではありますが」

 

「だったらやらせてくれてもいいじゃん!後少しだったんだぞ!?」

 

__そうだそうだー!

 

 

しかし私達の訴えはこの石頭に通じず、結局私は獣に命じられたアランに担ぎ上げられ、そのまま校長室へ続く通路を上がる

 

 

「ガーゴイルゥゥウ!!」

 

__すまない黄金・・・俺の力が足りないばかりに・・・ッ!!

 

 

そこまでやって互いにグっと親指を立てた。どっちにしろまたここを通るのだ、顎ナス劇場はあれだけではない、最後も決めてこそのスタイリッシュだ!

 

 

__と、ここまでが来る道中での話だな」

 

「・・・長すぎじゃろ、それに獣殿ではないがツッコミ所が多すぎて着いていけんわい。・・・あのガーゴイル、そこまで高性能じゃったかのう・・・?」

 

「いらないならくれ、家でゲームの良い対戦相手になりそうだ」

 

 

遅かったから何かあったのか?と聞かれたから、こうして話してやったというのに・・・何だその呆れた表情は

 

 

「まぁ何もなければ良い、それで・・・お主は自分が何をしたのか分かっておるのか?ホグワーツの結界は修復まで今年度中はかかるし、アズカバンもそうじゃ、看守たる吸魂鬼は全て絶滅・・・まぁこれに関してはヨーロッパ各所から集結しつつあると聞いておるが」

 

「結界は変わりに我が『黄金の領域』を展開し、クソはまぁどうでもいいだろ。ほら、何も問題など無いではないか」

 

「っ!例えそうじゃとしてもあれはイカン!お主はイギリス魔法省を敵にするつもりか!」

 

「__?どれだ?」

 

 

何だその顔、知らないし分からないものはしょうがないじゃないか

ダンブルドアは深々と溜息をつき

 

 

「・・・アンブリッジに間違いなく目を付けられた、アレはかなりしつこい」

 

 

アンブリッジ・・・?そんな奴あの場にいたのだろうかと疑問に思っていると、顔に出ていたのだろう。「カエルじゃ」と教えてくれた・・・え!?

 

 

「あれ人間なのか!?あり得ないだろ!」

 

「まぁ気持ちは分かるが・・・」

 

 

ダンブルドアが何か言っているが、私はそれどころではない

 

 

「ああ・・・全てを愛すると決めたのに・・・父上、母上・・・お許しください。ウィラは不義理な娘になってしまいました・・・っ!」

 

「ショック受け過ぎじゃろ」

 

 

コホンと咳払いの音に、現実へと戻されダンブルドアが顔を引き締めてきた

 

 

「とにかくじゃ、今後のホグワーツは今お主にかかってる。流石の儂や教師達でも個人で集まり、あの結界の維持などできんでな・・・お主の『黄金領域』、アレはどれだけ維持できる?」

 

「はん、舐めてくれるな。この程度なら100年維持しても何も問題ない」

 

「そこまでか・・・今も祖国を覆う結界をお主が展開しておるのじゃろう?」

 

「卿は忘れたのか?この私は今や星に名を刻んだ3人目__“偉大なる黄金”であることを」

 

 

ダンブルドアは驚いているが、これは事実だ。それにクソ撲滅の為に放った『混沌より溢れよ(Du__sollst)__怒りの日(Dies__irae)

あれは魔法ではない(・・・・・・)。いや、魔法ではあるがあれはただ、世界そのものに私の渇望を流すだけ・・・正確に言えばごく僅かな魔力を道しるべとするので魔法とも言えるかもしれないが、まぁ微々たるものだ

 

 

「そういえばシリウス・ブラック、彼をリーマスの助手にしたそうじゃないか」

 

「うむ、本人も生家には帰りたくないようじゃし、以前住んでた家は恐らく蜘蛛の巣だらけで掃除も面倒じゃと。じゃから・・・」

 

「くはは___ダンブルドア(・・・・・・)

 

「ッ!?」

 

 

目を見開く彼を見て、私はついクスクス笑ってしまう

 

 

「嘘はいけないなぁ・・・なるほど、精神防壁を自分で書き換えたのか、無茶をする。だが・・・その程度でこの私を試そうなど・・・舐めてんのか?」

 

(まぁやり方が面白いのは認めよう、記憶を敢えてバラバラにして現時点での思考を読ませないようにしているな。しかしその分こちらは過去を見放題だぞ?・・・ウェ、グリンデルバルドとの若い時の絡みなんか見せんじゃねぇよ。吐くわー、マジこれ私のような純粋なお嬢様に見せるなんて変態だわー)

 

 

「本当にお主は・・・視えるのならわざわざ儂の口から説明せんでも良かろうに」

 

「会話は大切なコミュニケーションにして娯楽だ。魔法使いであるなら王である私に娯楽の一つくらい提供するのが務めであろう?」

 

 

ハリーに対する罪悪感か?と問えばダンブルドアは頷いた

 

 

「・・・あの子には悪いとは思うておる。あの家にハリーを連れて行ったのは儂じゃからな」

 

「だからせめて今だけでも、心優しい名付け親と共にいさせたいと?傲慢だな。別に良いじゃないか、シリウスと暮らしても」

 

「じゃが・・・」

 

「“守りの加護”か?別にいらんだろ」

 

「・・・何じゃと?」

 

「我が国から近衛騎士を貸そう、無論ヴォルデモートが死ぬまで。卿等イギリスの王室にも貸し出した程の精鋭だ。卿でもそうやすやすと勝てんよ」

 

(まぁダンブルドアが何と返すかは分かっているが・・・さぁ、私に娯楽を提供してくれ。“愉悦”というものを味合わせてくれ!)

 

 

そして、やはりと言うべきか、ダンブルドアは私が求めた答えを提供してきた

 

 

「・・・スマンが、信用できん。これはイギリス魔法界の問題であってエルドラド王国ではない。何よりハリーを危険な目に合せることなどできん、あの守りがあるからこそ預言は・・・ハリーは今まで無事じゃったのじゃから」

 

「・・・ック、くはは!!あぁ!そうか!そうきたか!!」

 

 

嗤いが止まらなかった、素晴らしい答え(愉悦)だ!

 

(ハリーを危険な目に合わせたくない?何と言う矛盾!更に預言を口に出したということは卿はやはりハリーを武器としか見ていない正銘だ!手入れを、自分が作った脚本を外れてほしくないという!!__あぁ、素晴らしい)

 

__ごちそうさま

 

 

「何が可笑しい・・・」

 

「いや、笑ってすまんな。しかしそうか、ならばこれ以上は無粋と見なそう。安心しろダンブルドア、お前の願いはきっと叶う。くはは!」

 

 

互いにすり合わせは終えた、後は帰るだけ・・・っと、これだけは親切心として伝えておこう

 

 

「知っているかダンブルドア。かつてイカロスという名の天才がいて、彼はその才により太陽に近づくことを許された。だが彼は何を勘違いしたか知らんが、己こそ太陽にとって代わる存在だと、太陽を地に貶めようとした。結果__」

 

「近づく為に作った蝋の羽は溶け、イカロスは逆に地に落ちることとなった。じゃろ?何が言いたい」

 

「そのままさ、その無駄に優秀な頭脳で考えろ。答えは・・・そうだな、死に際にでも教えてくれ。くはは!」

 

 

 

 

 

 

一人となった校長室で、ダンブルドアは震える手を何とか抑える

今年・・・いや、“偉大なる黄金”となってから、ウィラは全てにおいて以前とは比べものにならなくなっていた

その美貌は更に美しく、その魔力は間違いなく世界で比肩しうる者などいない程に。何より

 

 

「“Dies irae”・・・あれにまだ先があったなど悪夢以外の何物でもない」

 

 

“Dies irae”とは本来莫大な魔力にもの言わせて放つ、世界最強の呪文だ。その威力は山脈ですら破壊し、今でもヨーロッパ各地には初代黄金が放ったとされる跡が『最悪の暴君の跡地』として保護されている

しかし彼女が放った“Dies irae”は殆ど魔力を感じず、また感じた圧は以前彼女が一年生の時のソレとは違っていた

あれはまさに“終わり”だ。吸魂鬼が放つ死の雰囲気ですら比べ物にならない程、明確な“終焉”

 

すでにダンブルドアにウィラをどうこうする気は無かった。1500年起っても今だに魔力の残滓で草一つ生えないなどという、馬鹿げた痕跡を残した初代黄金ヴァンシエル・・・そんな存在と同じ“偉大なる黄金”となった彼女に手を出すなど恐ろしくてたまらない。ゆえに__

 

 

「何としても、ヴォルデモートの復活を阻止せねばならん・・・!!」

 

 

ヴォルデモートもまた、彼女とは違うが王としての才を持つ天才だ。二人の王が互いの意見を曲げるワケもない。間違いなくヴォルデモートは復活した際、彼女とぶつかり合うだろう。そうすれば戦場は間違いなくこのイギリス・・・ホグワーツだ

 

そしてその予想は近い将来的中する

復活したヴォルデモート、だが対峙するのはウィラではなく___“エルドラド王国の歴史そのもの”であることを、まだ彼は知らない

 

 

 

 

 

 

 

__あれから数日、リーマスの助手をしながら生徒に教鞭を振るう毎日

外から見た時あれほど恐ろしかった彼女の魔力が、中にいるとこんなにも安心できるなど知らなかった

 

 

「・・・まだかな」そわそわ

 

「おいパッドフット、いい加減落ち着いたらどうだい?毎日ハリーとは顔を会わせてるじゃないか」

 

 

そうなのだ、彼女のおかげで私は自由に、更にダンブルドアも心良く私がホグワーツに泊まることを了承してくれた。毎日息子と思っているハリーの笑う顔を見れてなんて幸せなんだ!・・・アイツ以外

 

 

「君はよく我慢できるな、えぇ?あのワカメと毎日顔合わせなんて私なら耐えられないね」

 

「そう言いながら朝食では教師の席に着いてるじゃないか、逆に言わせてもらえれば僕を挟んで互いに睨みあうの止めてくれないか?せっかくのご飯が不味くなる」

 

「しかたないじゃないか、ハリーにこの前「教師でしょう?」と言われたんだから。それよりもハリーだ、少し遅すぎじゃないか?」

 

 

この日をどれほど待っていただろう。そう、今日は待ちに待ったグリフィンドール!ハリー達の学年が“防衛術”の授業なのだ!・・・それに彼女も

 

 

「まだ怖いのかい?陛下が。流石に失礼じゃないか?」

 

 

「君の恩人だぞ」と言われてグゥの音も出ない

確かに私はまだ彼女が恐ろしい。いや、この最近で優しい方だという事は嫌というほど分かった

我が友ムーニーの秘密を知っても誰にも言わず差別もしない。何より王族や貴族と言えばマルフォイ家のように傲慢でありそうなのに、彼女は庶民も関係無く平等に接するのだ。あの行動にどれだけの生徒が救われているのだろうか。しかし・・・それでも怖いものは怖い

 

他学年に聞いた彼女の武勇伝

自らの魂に刻まれた心象風景の具現化に、あのバジリスクの討伐・・・そして今回の吸魂鬼殺し

外を見ればそこにはホグワーツを覆う薄い黄金色のヴェール。間違いない、あれがブラック家の書物にあった絶対守護魔法“黄金の領域”なのだろう。祖先の計算によると、あれを発動するには最低でも数百人以上の魔法使い、その全員が命を賭してやっとというのだからホントに驚きだ

 

少し話を戻すが、聞いた中で一番信じられないのは陛下とあのワカメの関係性だ

あんな根暗野郎を弟子にして、王自らが教える?これだけはホントに理解できない。何より朝食の時の彼女の顔だ、何故あんな奴と楽しそうに話せるのか

 

 

「それ、頼むから彼女の前で言わないでくれよ?あと考えないように。あの方の“開心術”を防ぐことも察知することも不可能だし・・・何より僕は彼女の怒りに触れたくない。何で怒るか分からないからね」

 

「あぁ、あの年頃の女の子は何考えてるか分からん。そう考えるとお互い歳を取ったものだ」

 

 

軽口を叩き合いながらもうじき始まる授業の準備を進める。次第に廊下の方から足音が聞こえてきた

 

 

「さ、ハリーに良い所見せたいんだ。頼むぞ我が友ムーニーよ」

 

「それは僕のセリフさパッドフット。それと僕が教師だからね?君はあくまで助手なんだから勘違いしないように」

 

 

 

生徒が集まりその中に陛下やハリーもいた、流石ジェームズの息子!国王陛下と友達とは流石だ!

途中ハリーがこちらを見て目を輝かせてきた。思わず飛び出して抱きしめたくなるが・・・いけない、今は教師、今は助手なのだ。一人の生徒を目につけては他の子達から何かハリーに言われそうだ

 

 

皆が席に着いたのを確認し、出席を取る

 

 

「__ハリー!」

 

「いや、ちゃんとファーストネームの方も言おうか」

 

「だが・・・それじゃあ何だか他人みたいじゃないか」

 

 

私達の漫才のようなやり取りに、皆クスクスと笑うがこちらの計算通りだ。リーマスに言われた通りにやったが正解だったな

進めていくと、ついに彼女の番になった

 

 

「__ウィラトリア・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリア陛下・・・この度は本当にご迷惑を・・・」

 

「待った。卿は今、教師でないとはいえ助手であろう?私は生徒、教えを乞う立場だ。ならばそのように扱うといい」

 

 

かなり上からの言い方だが、不思議と不快ではない。彼女が生まれながらの王器の持ち主であると分かる

 

 

「・・・分かった。・・・自分で言っときながら違和感がすごいな、皆よく平気だね」

 

 

おどけながら肩をすくめる私に、皆笑ってくれる。うん、教師とは思いのほか良い物だ

 

 

さて、授業の時間となった。今回私は少しブラック家に残っていた資料を集め(クリーチャーめ、まだ生きていたか)恩人である彼女も楽しめる内容にしようと思った

リーマスも面白そうだと乗ってくれたし、あとは彼女の了承を得るだけだ

 

 

「さて、今回はリーマスに代わり私が授業をしようと思う。その前に・・・ウィラ」

 

「__?何ですかシリウス助手」

 

「つい先日まで、ブラック家はエル・ドラド家という存在がありながら王家を名乗っていた。しかし・・・彼等はビクビクしながらそうしていた。それほどまでにこだわってたんだろうね。でだ、実はこのイギリスでブラック家ほど君達に詳しい者はいないと、これだけは自負している・・・どうかな、他人視点から見た君の生まれ、そのルーツをどうか生徒にも語らせてほしい」

 

「っ!面白そうだ!是非やってほしい!」

 

 

楽しそうにワクワクしているその姿に、私は内心ほっとすると同時に嬉しさがこみ上げてきた。なるほど、彼の国が彼女に心酔するワケだ

早速映写機を用意し、一枚の写真を写し出す

 

 

「さて、ここに写る写真。これはドイツだね。何の写真か分かる人・・・そうだね、ロン」

 

「うぇ!?僕!?えぇと・・・クレーター?」

 

「うん、少し外れ。おっとウィラには指さないよ?分かってるだろうし」

 

「くはは!確かにこれは良い。まさかこんなものを持ってくるとは」

 

 

しばし何人か指名するが、ロンと同じクレーター以上の答えは出なかった

 

 

「ではウィラ、お願いしようか」

 

「分かりました。卿等が当てきらなかったこのクレーター、正確には1500年以上前、我が祖ヴァンシエル陛下がヨーロッパ制定の際、放った呪文の跡だ」

 

 

とたんに信じられないといった声が上がる。私も初めは信じられなかったからな、分かるよ

 

 

「これでは分かりにくいだろうが、クレーターの直径は30キロメートル。ドイツだけじゃない、ヨーロッパ各所にも似たように草一つない荒野が広がる場所は多々ある」

 

「先生!何故これがその・・・ウィラの祖先がしたことだと?古すぎて分かるはずないじゃないですか」

 

「うん、ハーマイオニーの言う通り。確かにこれらに関して文献は何一つ残っていない、何しろ神話に等しい時代の跡だからね。では何故これがウィラの祖先の仕業だと分かったか、簡単な話さ。全てのクレーター、これらから全く同じ魔力が検出された。私も若い頃、旅行した際確認した。君達も海外を旅行する際見に行くといい、結構地元でも有名だ」

 

 

ザワザワと生徒達が興味深そうに考察を始める

多少“防衛術”とは関係ない内容だが、偉大な力の一端に触れることも良い経験になるはずだ

 

他にも祖先がまとめた考察や、私自身若い頃に旅した際書いて回った資料などを見せた。特にこのイギリスにも残る戦火の跡について、「実はヴァンシエルはあのアーサー王と戦ったのでは?」という内容はすごく食い付きが良かった。実際、時代的にも会っていておかしくないしね

 

 

「そろそろ時間か・・・リーマス、君から何か言う事は?」

 

「いや、楽しい時間だったよ。最後まで君がまとめてくれシリウス。ウィラ、君からは何かないかい?どうだった?君の家に残る文献と見比べて」

 

 

するとまず彼女はパチパチと拍手をくれ、その表情は非常に満足そうだった

 

 

「いや久々にここまで面白い授業を体験した。イギリス人でまさかここまで我がエル・ドラド家について調べている者がいようとは驚いた!とくにアレ、アーサー王と陛下が戦ったかもしれないというのは良いな!私でも思いつかなかった、夢が広がったよ」

 

 

彼女の話も終わったようなので、皆を見渡し

 

 

「君達は今すごく幸福な時代にいる。闇の帝王が滅び去り、新たな時代を担うのが君達だ。何よりそこに座る彼女、彼の“黄金の君”と共にいられるなど本当にあり得ないことだ。先程も見せた通り“黄金”がヨーロッパ最古の王家にして魔法使いなのは疑いようがない事実だ、そして神話の血を受け継ぐことも。子供ができたら誇りなさい、自分はあの“偉大なる黄金”ウィラトリアと学友であったと!」

 




途中のガーゴイルとのくだり。アレの元ネタ分かった人いるでしょうか?
(てか今更ですが5出るんですよね、ヤベェ、まじ吼えた)


結構リーマスとシリウスの絡みは書いててすごく楽でした
ウィラ様教徒と無意識に成り果てたおいたん
(デコ出しロリはいいぞぉ?)
大人で子供の心を忘れない人って感じを出す為に
少しキザな喋り方させましたが雰囲気出てましたかね?



次回予告


「シシー、恐ろしいな。夜は寒く、しかし上に立って良いと印を与えられ・・・太陽はあまねく全てに恩恵を与え、かつ隷属することに何の躊躇いも持たせてくれない・・・仕方無いな。彼女は生まれながらの王だ」

多分この作品で一番胃が痛い人__ルシウス・マルフォイ



「ハリー、こりゃ無理だぜ?ウィラに使えない呪文なんか僕達庶民にできっこないよ」

早くハー子と付き合えや__ロン



「___何?“守護霊呪文”のコツが知りたい?」

最近胸がおっきくなってきて人知れず狂喜乱舞しました__ウィラ




あの子(・・・)は生徒だぞ!?いつからセブルス・スネイプ、キサマは畜生以下の外道になったのだ!?」

最近ウィラからのアプローチに時々眠れぬ夜を過ごすロリコン予備軍__セブルス・スネイプ

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