そろそろ10代目黄金カールの語りも入れたいのですが
タイミングを見失ってます
黄金と王の在り方
ヨーロッパ魔法協会
スイスの首都ジュネーブの名所、三日月形に広がるレマン湖__その地下に本部がある
イギリスからフランス、更にはエルドラド王国も加盟しており、かつて魔法界を存続させた功績を持つ10代目黄金の意志を受け継ぎ、後世に魔法を残すことを目的に作られた組織だ
イギリス魔法省以上の権力を
ヨーロッパ魔法協会会長
ブルガリア__ダームストラング専門学校校長 イゴール・カルカロフ
フランス__ボーバトン魔法アカデミー オリンペ・マクシーム
それぞれが長である彼等は今、跪いていた。相手などたった一人しかいない
「この私自ら呼び寄せたのだ、詳しく話せ」
ヨーロッパ魔法界における真の強者にして絶対者。ヨーロッパ大陸を血に染め、また魔法界を救った魔王と救世主の血を色濃く受け継ぐ“偉大なる黄金”ウィラトリア・エル・ドラド・ゴルドーン・クレーリア
彼女は手紙を受け、僅か二日で自身がいるエルドラド王国に来いと無茶ブリをしていた
「はっ、この度はお目通り感謝いたします陛下」
老齢した大人がまだ少女であるウィラに対し大袈裟な態度をとるが、協会会長に続き深く頭を下げる二人の校長も皆、いたって大真面目だ
ヨーロッパ魔法協会はかつての10代目黄金を信奉しているし、事実彼が存在したからこそ今の魔法界は存続していると断言できる
偉大な血を受け継ぐから彼等は最大限の敬意を持って接する・・・のではない
彼等はウィラの父、つまり前代国王ジブニールのことを知っている
カルカロフはかつて“死食い人”であったことから
マクシームはかつての教え子が彼に嫁いだから
彼等はジブニールを知っている。黄金の魔法も、今現在エルドラド王国を覆っている結界が馬鹿げた程魔力を大食いすることも。ゆえに
目の前で傲慢に頬杖をつく彼女は若干9歳で結界を受け継ぐことができた
気だるげに足を組む少女は“黄金”と呼ばれる桁違いの魔力で有名な一族の中でも更に化け物と呼ぶに相応しい、馬鹿げた魔力の保有者である
こちらを見下ろす黄金に輝くその双眸の内に若干のイラつきが見えること全てが恐ろしかった
ゆえにまずは臣下の礼を取ろうとした。このヨーロッパに住まう魔法使いの頂点とは即ち“黄金”でありウィラだ、ゆえにそれは正しい
「卿は阿呆か、私が
ただしそれは
先程も言ったように、ウィラは今
彼女は暴君だ、では暴君とは一体何を持って指すものなのか?
圧政を敷く?__それはただの暗君だ。ウィラは何よりも国とは民草無くして成り得ないと理解している
自由気ままに振る舞う?__それはただの放浪者だ。確かにウィラは自由気ままではあるが、何よりも王という職務に全うに准じている
「何故まずは私に御機嫌伺いした?あぁ、当ててやろうか?
そう、ウィラがキレている理由はその一言に尽きる
ウィラは我儘だ、それだけは断言できる
セブルスという最愛の人が死人に今だ恋慕を抱いていれば嫉妬し、己が愛に耐えてみせろと吸魂鬼を滅ぼしクソと断じた
両親からはかなり甘やかされて育てられたと、ウィラ自身自覚はある。だがこれには理由があり、ジブニールとオレンシアは幼い頃から一生懸命に次期国王として学び、常に国民のことを案ずるウィラを見て逆に心配になったのだ。これではこの子は駄目になる、人では無く、王という人の心が分からぬ怪物になってしまうと
ウィラは確かに我儘だ、しかし無欲である
だからジブニール達は目いっぱい甘やかし、愛情を注ぎ続けた。結果ウィラは甘えていいんだとこの時ようやく理解し、人の証明である欲を持つようになった
もし、この時彼等がウィラに甘えることを許さず、王という機械を作り上げようとしていれば・・・己しか愛せぬ、自慰でしか満足できぬ天狗道が生まれていただろう
結果ウィラはこの時代において誰よりも先見を持つ賢君でありながら、古き時代の王達となんら遜色の無い暴君となった
法とは王ですら縛るものではなく、仕方無く従ってやるもの。ウィラにとって法とはただ示すものであって守るものではない
己を縛る法とは即ち己の矜持のみ。それですら彼女の気分次第だ
それを犯されそうになった。それも総べる者である自分を他国の者であり、臣下であるはずの者達が!
「私は全てを愛している。しかし我が領土に厚顔にも土を付けるというのであれば、それは敵と変わりない。そして敵を愛する方法など・・・全力で迎え撃つことに相違ないであろう?」
言葉を紡ぐ度に、城の空気が物理的な圧を持って彼等に圧し掛かる。マクシームなどその大きな身体が小さく見えるほどだ
しかし魔法協会会長は気丈にもその圧に耐える。それはプライドであり、歓喜であった。己が守る魔法協会が出来た理由、すなわち“偉大なる黄金”とはこれほどの存在であり、それが生まれた時代に己が生きて出会えたという
「はっ!申し訳ありません。では、お話しさせていたただきます陛下」
◇
・・・話を聞き終え、まず感じたのはコイツ等の身勝手さだ
かつて危険という事で無くなった『三大魔法学校対抗試合(トライ・ウィザード・トーナメント)』を復活させるということで、歴史の長い我等エル・ドラド家が参加することで箔を付け完全に再構。更に彼の話によると対抗試合に出る予定のフランス・ボーバトン校とブルガリア・ダームストラング校がイギリス魔法省を信頼できず、第3者機関を求めたということだ。つまり・・・
「・・・私は巻き込まれたということか」
気に食わない・・・それ以外に表す言葉など出ず、コツコツと苛立ちからか無意識に肘掛けを小突いていた
何よりイラついた、
“黄金”の名は絶大だ。古来から絶対不変の王として崇められ、そしてエル・ドラド家はそれに応え続けた
しかし・・・今の私はもはや“黄金”を超えた“偉大なる黄金”。つまり伝説の存在と言ってなんら遜色はない、比肩しうる者などたったの二人しかいない
私はそれを特に示すことはせず、たった一度の宮中におけるパーティーしか行っていない。それもただ聖槍を見せただけ
端的に言えば今私は舐められていると言って過言ない状況だった。更に言えばこの状況を作ったのは私自身だ、そう考えると先程までの溜飲も下げるしかなかった(私は他人に罪を押し付けるような愚者ではない)
そこまで理解してしまい、つい頭を抱えてしまう
ありとあらゆる可能性の中から再解適を導き出す
どれが一番良い?どれが父と母の名を汚さず、我が王国を千年のものと出来る?
・・・その前にまずは目の前で顔を青ざめている彼等に聞くとするか
「何故、私に・・・いや、我が王国に話を通さず勝手に巻き込んだ。会長、卿には聞いていない。その口を閉じろ。今私は卿ですら巻き込んだ二人に聞いておるのだ」
これは自信があった。確かに『三大魔法学校対抗試合(トライ・ウィザード・トーナメント)』はヨーロッパ魔法協会がその重い腰を上げるに相応する行事だ。何故ならこの催しはそれぞれの国同士の戦力を知り、また牽制になるからだ。「ウチにはこんなにも勇者足りえる将来を担う魔法使いがいるぞ」という
しかしこの程度ではヨーロッパ魔法協会は動かない。更に言えば目の前にいる会長などという役職が動くことのことですらない。恐らく両国から・・・そしてイギリスから恫喝されたはずだ。イギリスですら牽制できるエルドラド王国を動かし粗を晒せと・・・更に言えば今回参加しないヨーロッパそれぞれの大国も、こちらの動きをつぶさに観察するつもりだろう。なるほど・・・ヨーロッパ全体が個々で暗躍し、奇跡的にまとまったのが今回の話か
そしてこの二人の校長は私に対する生贄だろう
マクシームは母上の
事実カルカロフに関しては、そのように上から聞いているのだろう。その眼には私に対する畏怖と侮りの色が見えた
「その・・・陛下であれば、こちらの意を察し、御身が臣である我等の願いを聞き届けてくれると・・・」
「ふん、カルカロフ。確かにこのヨーロッパに住まう者は我が温情を与えるに値する資格をそれだけで持つと言えよう。しかしまずは筋を通すのが道理であろう?礼儀を知らぬ獣を臣とは言わぬ。何より卿のその言葉、まるでこの私を試しているようにも聴こえるぞ?・・・キサマ風情が、王であるこの私を見定めるか!不敬であるぞ!!」
王という立場にあって、絶対にされてはならぬこととは何か?それは舐められることである
王とはつまり個にして国の象徴だ。民が崇めるがゆえに、今の私は存在する。彼等の期待と信頼、そして誇りを私が穢すことだけは断じてあってはならない。それは私の矜持が許さない
次にマクシームを一瞥すると、流石は母上の恩師といったところか。いや、この場合は巨人族の血が成せることか
彼女は私に気丈にも顔を上げ
「・・・貴女様に動いていただくには・・・これしかないと」
無言で続けろと促す
目を背けず彼女は続けた。今大会はイギリスが主導で進めており、大会そのものも気づけばイギリスで行われることがすでに決まっていると
(私の眼のことは知っているだろうに、恐れず真実を言うか・・・成程、母上が尊敬する女傑なだけのことはある)
「先程会長が述べた通り、私にはイギリスを信用することができません。ゆえに完全に公平な第3者を求めたのです。無論御身に首輪を付ける気など毛頭ありませんでした、ただ・・・」
「言え、虚偽は許さん」
「・・・断られれば、更にイギリスがつけあがるのは目に見えております。しかし御身が通うのはホグワーツ、イギリスです」
「つまりだ。卿は私がイギリスと蜜月の関係にあったと?」
汗を掻き、しばし考え歯を食い縛るような仕草を見せた後、彼女は確かに頷いた
◇
玉座に座り、先程までこちらを睨むように見ていたその双眸を、今度は覆い隠し何か悩むような仕草をするウィラに対し、マクシームは冷や汗が止まらなかった
彼女はウィラの母親であるオレンシアのことをよく知っているし、校長になる前は教え子としてたいそう可愛がっていた
そんな彼女が各国を視察していたジブニールという正真正銘の王族に嫁ぎ、更には出会ったその日に「結婚するから学校止めるわ!」と謎のドヤ顔と共に退学した教え子を忘れるなどできそうもない
ウィラと会ったのは今回が初めてだ。オレンシアから手紙を何度か貰い、娘がどれだけ可愛いかを綴った手紙を読んでは会うのが楽しみだった
しかし目の前の教え子の娘、ウィラは母の恩師であろうが関係無く、その王威を振り撒いていた
絶体という言葉がある。まさに彼女はその体現者であった。王として生まれるべくして生まれた存在であった
母親譲りどころではない美貌、白く細い首筋には同じ女性ですら手を這わせたくなる
マクシームは己が巨人族とのハーフであることを知っている。その体力、怪力共に人間を優に超え、簡単に殺すことができることも
だがマクシームはウィラの姿が見えた瞬間平伏という姿勢を取った。己に流れる人と巨人、両方の血がそれ以外を許さなかったのだ
嘘をつくことなどできなかった。それは何もウィラの眼、つまり『察することすら不可能な開心術』を恐れたからではない
教師として、人として・・・己が人であるという存在理由の為にもマクシームは心の内を吐露した
眉間を揉み解し、流すような目付きでウィラが再びマクシームを見据える
「・・・確かに私はイギリスに留学している形ではあるが、別に蜜月など育んでいない。本来母上は卿等ボーバトン校に私を通わせたかったらしいが・・・すまんな、それより先に誘いを受けて」
「え、い、いいえ・・・」
気の抜けた返事を返してしまったのはしょうがない。先程とは打って変わり、ウィラの声には覇気がなく、ただたんに話しかけているだけだったのだ
「流石は母上が尊敬する女傑、ゆえに問わせてくれまいか?何故虚偽を申さんかった、あの返答では私は卿の首を刎ねても何ら問題なかったぞ」
「・・・無礼をお許しください陛下。私は教師です。教え子の姿無くとも生徒を導き、正しい姿であり続けることこそが教師のあるべき姿だと存じます。ならば目上の者に虚偽を申すなど・・・私の矜持が許しません」
するとしばらく口元を隠し、眼を下へやりながら何か考えるような仕草をすると
「そうか・・・くはっ!そうか!矜持ときたか!なるほど確かに大切だ。私も守り、そして己を縛る唯一の法でもある。うん、矜持か」
その表情は穏やかだった
今だに着いて行けず、また置いてけぼりになっているカルカロフと魔法協会会長が何事かと見ていると
「私は求め、マクシーム・・・失礼、マダム・マクシームは見事応えた。ならば私もそれに応えねば・・・うん、矜持が廃るのだよ」
暫し呆たような顔を3人がし、そして理解する。これは彼女からの最大限こちらを考慮した提案であると、つまりウィラは私に出てほしいと言えと暗に伝えてきたのだ
誰も見ていないとはいえ、そう簡単に王が動くことはなってはならない。更に言えば彼等の願いをウィラが叶えたとなればそれだけで威信が増すことは目に見えていた。それはそうだ、ウィラを動かしたことになるのだから
ウィラの誠意に応える為、魔法協会会長は誠心誠意心を込め
「では、我等ヨーロッパの未来を担う子等の催し、『三大魔法学校対抗試合(トライ・ウィザード・トーナメント)』をどうか御覧頂きたい。そして御身にはその最高責任者として彼等を導いていただきたく存じ上げます」
◇
__彼等が帰った玉座の間で私は頭を高速回転させていた
『クディッチワールドカップ』に『三大魔法学校対抗試合(トライ・ウィザード・トーナメント)』・・・うん、休む暇が無ぇ・・・
しかしそれよりも問題がある。『三大魔法学校対抗試合(トライ・ウィザード・トーナメント)』で責任者であるということは、つまりホグワーツの生徒であってはならない。それは当然だろう、平等な立場とはどこにも属してはならないということだ
「あら、ウィラも退学するの?私とお揃いね!」
ムニュン_と後ろから母上が抱き着いてきた(少しそれ、私に分けてくれませんか?)
「するとしても今年だけですね。一応卒業はしたいので」
うふふと笑いながら、母上が私を抱きしめたまま髪を梳かしてくれる。それがすごく気持ち良くて、母の背に手を回し胸に顔を埋める
「
私の頭を抱きしめながら、母はもう一度ありがとうと言ってきた。私は何も言わず母の香りを思い切り胸に吸い込む
「・・・ボーバトン校は楽しかったですか?」
母は元々フランス人だ。父が視察しに行き、そこで出会い、その日には退学し嫁いだ
一年をかけ更に愛を育み、19歳の時に私が生まれた
最近両親の大恋愛が演劇となり一度だけ見たケド・・・ウン、凄く恥ずかしかった
「えぇ、良い所よ。本当はボーバトンに貴女を入学させたかったのに、・・・あの腹黒ジジイめ」ボソ
母がダンブルドアを嫌う一番の理由はそれらしい
「言っときますけど母上の為ではありませんよ?私は私の為に彼等の願いを聞き届けようとしたのです。偶には国王としてではなく、ヨーロッパ魔法界の主君として立たねばと」
「えぇ、分かってるわ。でも言わせてほしいの、ありがとうウィラ。愛してるわ」
チュっと額にキスしてくれて、私も母の頬にキスを贈り執務室へと行く。その途中シャドウが何時の間にか左背後にいたがいつもの事だ、今更驚くこともない
「かなり忙しいですな、今年は」
「えぇ、黄金の君は実はワーカーホリックなのでは?とつい思ってしまいました」
先程までずっと私の右背後で佇んでいた獣が冗談交じりでシャドウの言葉に相槌を打つ
「誰がワーカーホリックだ、彼等が来る直前までゲーム三昧だったのは誰だと思っている」
「して、どうなさいますか?ヨーロッパ各所はこれより御身の動向を探り、また権力を手に入れようと動き出すでしょう」
カカっと皺くちゃに顔を歪めながら心底面白そうにシャドウが笑う。まるで全て無駄だと言わんばかりに
「ハァっ、本当に人間とは面倒な生き物です。古き時代の人間たちも確かに辛らつ極まる愚者ばかりでしたが、分かりやすく見ていて気持ちの良い生き方をしておりましたよ」
「時代とは移り変わり、悪意と執着こそが人を育て上げ星の支配者としたのだ。ならば此度も人類の進歩に繋がる」
「では御身はそんな悪意をもろともせず潰す、さしずめ魔王でございますな」
「いやそこは勇者だろう?最近やってるPCゲーじゃ赤毛の少年が“この世全ての悪”に飲まれようと立ち上がり、最終的には英霊になったからな」(まぁ実際はただの掃除屋だが。濡場のCG絵もっと増やしてくれ描く神よ!!もしくはモーさんセイバーでsnワンチャン!!)
「燦然と黄金輝く魔王ですか、燃えますね」
「どちらにしろ我が祖は歴史から見れば魔王と変わりない、事実がどうあれな」
ニヤリと嗤い、シャドウ達の方を振り向き
「ならばヴァンシエル陛下という魔王の血を受け継ぐ者として、教育してやろうではないかヨーロッパに。この私が動き、そして我が王国が動くと言うことが何を意味するか・・・騎士達よ」
ザっとその場で二人が頭を下げる
「「はっ!」」
「大統領達貴族連中に伝えろ。2か月後国会を我が名の下に開く。臣下の務めを果たすべく参上しろとな」
私に言われた通り、二人はすぐさま通達に行き、執務室の椅子に座りながら宙を眺め、誰ともなく呟く
「そうあれかしと望んだのだ。ならば嫌がることなど許さんよ?」
我が愛は破壊の情、愛でるから壊れてくれるな___それでもなお、求めるというのならば
「抱きしめてと・・・卿等が言ったのだ。安心しろ・・・壊れてもなお、我が抱擁が卿等を離すことなど__あり得んよ」
__ふむ、そうだな・・・良し!
「また暫くは忙しくなるのだ、たまにはあいつ等に休みでもくれてやるか」
書いてたら何故かマクシームがえらいカッチョ良い人に(何故ぞ・・・)
ウィラ「即行魔法ドロー!これにより、ここから先はずっとエルドラド王国のターンだ!!」
次回からしばらく円卓個々の話となります(今回の閑話が長くなると以前書いた理由がこれです)
絵も描くので時間がかかると思いますが、彼等がウィラとどう出会い、そして何故忠義を貫くようになったのかを楽しんでいただければと思います
次回予告
__時よ止まれ__