前世を思い出した。勿論絶望した。
自分の就職先があの有名なブラックな組織だった。
思わずゲンドウポーズである。
しかもちゃっかり【セプテンバー】というコードネームまでもらっているので、下っぱでも一丁前な幹部である。因みに本当はもう少し長いけど、語呂が悪いとかの理由でみんな【セプテンバー】って呼んでる。
こんな低スペックな凡人でもコードネームが貰えるなんて…ねぇ?当初はコードネームを貰って昇進だ!お給料アップだっ!って感じで喜んでた気がするけど、今思うと全然嬉しくない。全力でお返ししたいわ。つうか、セプテンバーって9月?アメリカのミュージシャン?どっちにしろお酒関係ないやん。
…何でこんな組織に就職したんだろ。
あぁ…そうだ、勤めてた会社がいきなり倒産して手に職着けなきゃと思って入ったんだっけ。倒産した会社の先輩に進められて、福利厚生が前より格段に良いからって私職選ばなさすぎ。
それでもって今世は、仕事大好きな社畜のだったせいか無茶苦茶専念しまくって結果昇進。コードネーム貰ってからは更に社畜度に拍車がかかって仕事こなし、永久就職ありかもとか思ってた。大怪我したり死にかけたりもしたのに…我ながら私の正気を疑うわ。
いや、でも本当にどうしよう。
いつかは分からないけど、確実に潰れる組織なんかとっとと辞めて逃げたい。捕まるなんてマジ勘弁。でも、逃げようにも原作の哀ちゃんみたいに絶対に追われる筈。面倒見る事になったNOCの人達に助けを求めようにも、人殺しこそしてないけど自分もやる事やっちゃってるからねぇ。
こうなったら、死でも偽装するか?任務で事故って死んだって事にして。いや、それだと偽装した後の方が大変だわ。変装なんて低スペックな私には無理だし、毎日奴等に殺されるかも知れない恐怖なんて耐えられないわ。
そうなるとやっぱり現状維持しか道はないのか?
経験上請け負う任務とかはヘマしない限り、身の丈にあった仕事が回ってくるから大丈夫だと思うけど。…でもそれじゃあ組織壊滅時に必ず捕まるだろう。
NOCの人達に胡麻摺りしようにも、前世も今世も根っからの口下手なコミュ障だから絶対に無理。特にトリプルフェイス、あいつは駄目だ。愛国心が強いから、恐らく組織壊滅なら手段選ばない筈。下っ端とはいえその幹部が胡麻でも摺ってきたら、良いように使われて終いにはポイされるのが目に見えるわ。
うわっ、改めて考えるとバーボン怖い…。
「ボーッとして、どうかしましたか?」
噂をすれば影…おいバーボン、どっから沸いた。
気配消して背後に立つな、そしていきなり話しかけるな。
「…別に」
「そうですか?何か悩んでいる用にも見えましたが」
本人が別にって言ってるからそれでいいじゃないかっ!
ほっといておくれよ!
…って言いたいのは山々だが、口下手なコミュ障の私にはハードルが高すぎる。もしかして…これもしかしてあれか?早速探り入れられるパターンか!?
うわーマジか。
これから日常茶飯事でこれが起こるのか。
キツイけど、せめていきなり部屋に沸くのだけはやめて欲しいわ。
つうか、人の部屋に入る前にドアにノックするのって、社会人として常識だよね?私の常識が間違っている訳じゃないよね?私の心臓の為にも、これぐらい注意したって殺意持たれたりしないよね?
よしっ!言ってやる!
コミュ障の底力顕現せよ!
「ノック」
「…ノックがどうかしましたか?」
「入るなら……ノックぐらいして」
言ってやったぜ!!
「…ああ…うっかりしていました」
すみません、と言うバーボンの笑顔が引きつってる。
あれか?私に言われたのが腹が立ったのか!?組織の一員だからってそこまで非常識だと思うなよっ!?
「…きょうつけて」
面と向かって次はねえからな…って言う勇気はないので、等回しにそう言って部屋を出る。勘の良いバーボン…あ、まだ安室くんか。どっちでもいいけど、彼なら言いたい事察してくれるでしょ。
でも、安室君が彼処までグイグイ来るとは…ねえ。
確か好奇心も強いって聞いたことあるから、今後今みたいにいきなり沸いたり詮索されたりして、思考が中断されなきゃいいんだけど。
「…先が思いやられる」
思わずため息をついた私は悪くないと思う。
【セプテンバーモーン】酒言葉は貴女の心は何処に。
主人公がこのコードネームになった由来は、寡黙でただただ淡々に任務をこなす姿が機械の様に見えるため。(社畜時代)
この後やっぱり安室さんに勘違いをされ、それに気がつかずオリ主は原作キャラを救済するという行為で、NOC達に恩を売り組織からの離職を目指す…かもしれない。