この空の向こうを見つめて   作:蕎麦饂飩

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原作:涼宮ハルヒのオリ主ものです。


太陽はお呼びじゃないから

「 ただの人間には興味ありません。この中に、宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上」

 

自己紹介で酷く衝撃的な発言を放ったある意味太陽の様な美少女涼宮ハルヒ。

彼女は余りにも眩くて空の向こうにある星々を翳らせるような印象を受けた。

きっとその通りで全ては彼女を中心に回って、周囲の者など霞む程のアグレッシブな人生を歩んでいくのだと思う。

 

…僕にはきっと関わる事の無い存在だと思うし、関わりたいとも思えない存在だ。

とはいえ、言葉に出すつもりも無い。太陽に触って焼き焦がされる馬鹿な真似はしない程度に人間は知恵を育んできた。

だから僕は彼女に目を付けられない様にひっそりと、太陽が裏側にいる時にしか姿を見せない星の様に生きていきたいと思う。

 

自己紹介が50音順だったから彼女の次は僕の番だが恐れる事は無い。

口から放つに必要な文面は全て準備済みだ。

 

「北海道の中学校からやってきた鈴村星海です。名前のせいかいは漢字で星の海と書きます。

趣味は天体観測です。両親がその関係の仕事をしているので影響を受けました。

趣味が合う方がいれば話しかけてくれると嬉しいです。以上です」

 

完璧だった。高校生であまり天体観測の趣味の学生はいないはずだ。

真面目そうだけど趣味が合わなそうという印象を受けて貰えたと思う。

それに先程の涼宮の後であれば尚の事つまらなく見えて印象には残らないだろう。

 

…そう思ってたんだけど、

「アンタの家って望遠鏡あるの?

今度借りていい?」

 

まさかの涼宮にそうツッコんでこられたのは計算外だった。

これでは不必要な注目を集めてしまう。

 

「ところで宇宙人はいると思う?」

 

そんな風に聞いてくる涼宮に、別の生徒が自己紹介していますよと言って話を打ち切る事にした。

僕は無駄な注目を浴びたくはない。

因みに宇宙人はいないと思っている。理由は両親もまだ見た事が無いからだ。

観測できないのならば主観的にはいないものと同じ。

両親が二人ともいまだに見た事が無いというのだから、きっと僕が生きている間には見つける事は出来ないだろう。

ならば僕の主観を以っていないと断言しても構わないと言うのは暴論だろうか?

 

ふと、視線を向けた先には最初に自己紹介をした朝倉さんがいた。

真面目そうで大人しそうな印象を受ける。涼宮とは大違いだ。

 

 

恐らく僕につまらない奴と言うレッテルを貼り付けた涼宮は先程随分と頭がおかしい事を言っていた。

未来人もいないんじゃないかと思う。超能力者は…いないとは思わない。

少なくともこの(・・)世界に限定しないのならばいると言える。

異世界人に関しては実は僕がそうだったりするが、涼宮が面倒そうだとかそういう事の以前に僕を育ててくれた両親に迷惑をかけたくはない。

だから誰にも話さずに墓の中まで持っていくつもりだ。

将来結婚して子供が生まれたらもしかしたら心変わりするかもしれないが、僕は両親に懇願でもされない限りは結婚したいとは思わない。

煩わしそうだ。両親の様に互いの趣味をお互いに最大限尊重する様な幸せな夫婦を目指すには彼らが僕に見せるハードルは高すぎた。

両親の様に誰かと幸せに為れる自信が無いから一人で幸せを目指す。それが僕の人生プランだ。

 

自己紹介を聞いていても特に涼宮ハルヒの後では目立つ者はいなかった。…比較対象が悪すぎるか。

第一目立たない事は悪い事じゃない。呼び込みや宣伝が多い所は案外その中身はそうでも無い。

自分で探して見つけた所にこそ納得ができるものが転がっている。僕はそう思っている。理屈としては天体観測と同じだ。

 

獅子座流星群とか、そういう特別なものに価値をそこまで感じない。

僕が価値を感じるのは偶然その時に目を向けていなければ誰にも気が付かれなかった様なそんな星だ。

映画『ディープインパクト』みたいに素人の高校生が世界を揺るがす発見をするなんて夢がある。

もし、僕がその立場ならきっとらしくはないだろうが興奮してしまうだろう。

そしてそれを自分だけの秘密にしたままその発見を誇りにして世界崩壊のその時まで平穏に過ごしたい。

 

自分だけがその衝撃を探し当てただなんて、きっと天文家なら堪らない。

名前も付けずにひっそりと自分だけの情報として心の中に隠したい。

 

とはいえ、現実は残酷だ。素人の高校生が見つける前に専門家たちがより高い知識と熱意と機材で見付けてしまうだろうし、

世界が終わるまで誰もその秘密に気が付かないなんて事は無い。

そして世界の人々は慌てふためきながら自分達が助かる術を必死に探すのだろう。

それはきっと醜くて美しくて何より騒がしいに違いない。興醒めだ。

そんな夢の無い現実があるのなら、確かに涼宮の求める非日常が欲しいという気持ちが解らなくも無い。

 

例え僕だけが知っている終末が迫ってきても、何も変わる事の無いまま流れて過ぎていく様な、平穏と言う名の非日常。

そんな在り得ない日常が、異世界からやってきた僕の儚い希望だ。

無論愛する両親には生きて欲しいと思うけれど、それだけの大事件が起きるなら僕だけが生き残って両親が死ぬ事も無いだろう。

主観的には僕は両親が死ぬところを見なくて済む。ならば僕は両親の死を観測しなくて済む。

だから、それは僕にとって両親は最後まで生きていたことになるのだ。

全ては主観で物事は解決する。

 

 

 

学校の日課時限が終了すると速やかに家に帰る。

天文学部がこの学校に在ったとしても僕は同じ行動をとるだろう。

他人と群れて行う天体観測に憧れは無いし、天文学の先生なら両親がいる。

それに、暗くなってから行う天体観測に、明るい内に放課後になる学校の環境はあまりに不向きが過ぎる。

早速着替えた後、塾に行って以前既に勉強したところを学校の先行として復習した後、やはり寄り道する事無く僕は家に帰る。

 

そして宿題などを直ぐに終わらせたら待ちに待った夜空を見上げる時間が来るのだ。

 

 

 

さあ、望遠鏡とケースに入れてノートと鉛筆を持って、今宵も隠れた星を探しに行こう。

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