聖遺物の適合者と禁断の果実(リメイク版 10話から最新) 作:百合に挟まる男を切るエルフの剣士
憐達は夜ごはんを食べ終わりゆっくり休んだ後、翼は憐の家を出る。憐は玄関まで翼を送る。
「ありがとう。憐」
「気にすんな。また来い」
「うん。そうする」
「じゃぁ、またな」
「バイバイ」
翼は帰って行く。その背中を見えなくなるまで見送った憐は扉を閉める。そしてテレビをつけて響と話す。
「今日の風呂はお前から‥」
その瞬間二課からの連絡とヘルヘイムからの連絡同時に入った。憐はヘルヘイムにマリスや聖遺物の反応を探知できるような装置を作りヘルヘイムに置いていたのだ。そういうわけでヘルヘイムからの連絡を取り、二課からの連絡は響に投げ渡す。
「どうした?」
『憐!ノイズが出た!』
「なに!?ほかには?」
『ああ、遠くに識別名『ネフィシタン』の反応がある。それとクラック反応も』
「そうか‥ついに来たか。オーバーロード達に通達!敵対するマリスに対しては一切の躊躇もせず倒せ!」
『了解!伝えておくよ!』
一方響は
「はい!立花です!」
『響ちゃんか⁉︎憐君は?』
「一緒に居ますが‥どうしたんですか?藤尭さん」
『なら良かった!ノイズが出たんだ!場所は○○○○。お願いします!』
「了解です!」
響は通話を切り、もうパーカーを羽織り外に出てサクラハリケーンを用意している憐の元へ向かう。憐は響にヘルメットを一つ投げ被らせる。そして、響を後ろに乗せ走り出す。
翼もノイズが出たという報告は受けていたが、場所までいかんせん距離がある。生憎走って行くには遠過ぎる。がかと言ってシンフォギアを纏うのもリスクが高すぎる。
「バイクを持ち運びできたらいいのだが‥」
そんな都合よく持ち運びのバイクなどあるわけが‥
「ある!」
そう、あるのである。最初に鎧武から渡されたが危険があるとして緒川さんが預かっていて鎧武の正体が憐とわかると返してもらったものが。
「これか!」
翼はカバンを漁り中から薔薇の意匠が施されたロックシードを取り出す。
「ええっと?確か‥掛け金を開けて上に軽く投げる‥」
翼は憐がやっていたもようにする。すると、ロックシードが変形してバイクであるローズアタッカーへと変化する。勿論、ヘルメット常備。その事に翼の口から思わず感嘆の声が出る。
「おお‥」
しかし、それもつかの間翼はローズアタッカーに跨り走り出す。
「凄い‥速いし、こちらの動きを良く反映してくれる‥これなら!」
翼は速度をさらに上げシンフォギア『天羽々斬』を纏う。
「Imyuteus amenohabakiri tron‥」
翼がそうして纏うとまだまだ余裕のあったローズアタッカーの上限が解放された。今、時速70キロぐらいで走っているが解放されたローズアタッカーの上限は更に余裕ができた。
「まだ、速くなるのか‥凄まじい性能だな」
翼は恐らく風圧対策であろうと考えていた。そして、それは正解することとなる。翼はアクセルを一本道で誰もいないためにスロットを目一杯開ける。すると、遠かった筈のカーブがすぐ側になり前からの風圧が凄い事になった。体を叩く空気それはシンフォギアの纏う防御壁をも超えてくる。取り敢えず翼は慌てて近くに来たカーブにハンドルを切る。すると、ローズアタッカーはこの速度であるにもかかわらず綺麗に曲がった。ひとまず落ち着いた翼はローズアタッカーのスピードメーターを見るするとそこには驚きの数字が出ていた。
「時速は‥245だと⁉︎」
それを見た翼は慌てて速度を落とす。それでも150はあるのだが。翼は最高速度はもう決して使うまいと心に決め現場に急ぐ。
先に現場に着いた憐と響はノイズを駆逐しだす。
〈オレンジ!〉
「変身!」
「Balwisyall Nescell gungnir tron‥」
二人はオレンジとガングニールを纏い、叫ぶ。
「「ここからは俺(私)達のステージだ!」」
「うおおお!」
「はああああ!」
二人は叫びながらノイズを破壊していく。そうしていると翼が到着した。
「すまない!遅れた!」
「大丈夫だ!(しかし、このノイズ‥操作されているか‥)」
翼も加わりノイズを一気に殲滅していく三人。その瞬間何処からか、鎧武に向けて攻撃が放たれた。鎧武は寸前で気づき弾きかえす。そして、叫ぶ。
「鞭‥ネフィシタンの鎧か!」
「ネフィシタンだと!」
「へぇ!こいつ知っているのか!」
そう言って出てきたのは白い鎧に目の辺たりにはバイザーを付けている白髪の少女だった。
「当たり前だ!二年前に自分の不手際で失われたことを忘れるものか!なにより‥そこで失った命を忘れるものかァァァァァ!」
翼は激昂しネフィシタンの少女に向かって突っ込んでいく。
「翼⁉︎クソッ!」
鎧武も駆け出そうとするがそれより先にネフィシタンの少女が持っていた杖をこちらに向けてノイズを召喚する。それと共にインベス似の生物が出現する。
「マリスか‥」
鎧武の言葉にマリス達が返事をする。
「その通り!我々はオーバーマリス!」
「貴様らで言う!オーバーロードである!」
「貴様を殺しに来た」
「大人しく首を差しだせ!」
「いくらその力でもこの数のオーバーマリス達には勝てないでしょ」
オーバーマリス達の言葉に鎧武は首肯する。
「確かにお前らがオーバーロード達と戦闘能力が同じだというならこの数は少しキツイい‥だが、一つ聞かせろ」
「なんだ?」
「なぜ人を襲う?」
「「「「楽しいからだ」」」」
「私はネフィシタンの少女の為に」
鎧武はその答えに俯く。
「そうか‥だったら、一人を除いて俺は遠慮しねぇ!人を襲うのが楽しいなんて言っているお前らは絶対に許さねぇ!」
〈カチドキ!〉
〈カチドキアームズ!いざ!出陣!エイ!エイ!オー!〉
鎧武はカチドキアームズに進化する。その瞬間に鎧武の横にクラックが開きオーバーロードが4体出てくる。
「よう!鎧武!手助けしてやるぜ!」
マキシムがそう言い
「全く、王も困ったものです。人間と共闘するなど‥」
シェムザムが愚痴り
「甘いんだよな」
アリゼンドが皮肉り
「まあまあ、それが王様のいい所だし‥」
ローズが宥める。
「王の命令は絶対ですよ」
「わーてるよ。俺達、インベス陣営は人間を守る」
「サクラは?」
「姫様の側」
「了解」
それを見た翼に弦十郎が連絡してくる。
『翼、オーバーロード達には攻撃するな』
「司令!どういうことですか⁉︎」
『どうにもこうにも俺達はインベスと言われる陣営と共闘関係を結んだんだよ』
「何故ですか⁉︎奴らは人類の敵ですよ」
『いいや、彼らは人類の味方だ』
そこで翼はオーバーロード達の方を見るがそこに
「余所見とは余裕だなぁ!」
ネフィシタンの少女が攻撃を仕掛けてくる。翼はそれを防ぎ離れる。
(強い!これが完全聖遺物のポテンシャル!いや!)
「聖遺物の差だけだと思うなよ!」
そこで響が二人に話しかける。
「待って下さい!どうして、戦うべき相手は他にいるでしょう!なんで人同士で戦うんですか?何かズレがあっても人は言葉を話せるんだから、話し合いで解決しましょうよ!」
翼とネフィシタンの少女は響の方を向いて睨む。
「「戦場で何を馬鹿な事を!」」
そして、二人は向かい合い
「どうやら、貴女とは気が合いそうだ」
「だったら!仲良く殺し合う(じゃれ合う)かい!」
そうして、二人は戦闘を始めてしまう。
「あぁ!もう!」
それを見た響は毒づきながら召喚したノイズに突っ込んでいく。
響がノイズを殲滅している間、鎧武とオーバーロードはオーバーマリス達を相手にする。鎧武は取り敢えず翼が見ていないことを確認して役割を決める。
「俺が真ん中やるからローズ左端。シェムザム左の二番目。マキシム右端‥」
「なら、俺がアレか‥」
「そういう事」
「はいよ」
「了解よ」
「はい」
「手加減はするな。決して死ぬな。それだけだ。じゃ、行こうか!」
「「「「了解」」」」
そうして二つの陣営は激突する。鎧武は一体のマリスと戦う。鎧武はカチドキ旗を振りかざしながら話す。
「君はあの少女のために戦うと言ったな!」
マリスもそれを持ち前の剣で弾き剣を横に振りながら答える。
「そうよ!私は人間がどうなろうと知った事じゃ無い!だけど!友達が傷付くのは見ていられないからね!」
「クッ!なら!何故戦う?」
「それが彼女の願いだからよ!」
「願い?」
「そう!この世界から戦いを無くす!その為に敵を潰す!その願いの為に!」
「そんなので戦いがなくなるわけが無い!」
鎧武はカチドキ旗を円を描くように振る。すると、炎が飛び散り飛ばされたはずのマリスが宙に浮いたまま止まる。否、動いているだがその速度が遅すぎているのだ。満足に動けないマリスに鎧武はカチドキ旗を叩きつける。それをくらい吹き飛ばされるマリス。
「クッ!それでも!あの子が望むのなら!」
「望んだとしても!そんなやり方で戦いがなくなるわけが無い!力を無くす為に力を使うんだからな!そんなやり方で‥そんなやり方で‥上手くいく訳が‥」
その瞬間、鎧武は気付いた。それにマリスも気付いた様で鎧武に聞く。
「気付いた?」
「そう言う‥そう言う事か!この世界を滅ぼす気か!『はじまり』と『二番目』を使って!」
「勿論、あの子はそんな事思ちゃいない。ただ、貴方達を倒せば戦争がなくなるとしか言われてないからね」
「確かに‥その方法だと戦争は無くなる。なにせこの世界のすべての命がインベス、マリスに変わって果実の保持者には逆らえないんだからな」
「その通りよ」
「そんなので戦争がなくなったと言えない!」
「あの子は戦場で親を失った!そして、自分自身も非道な目にあった!もう!そんな目にあって欲しく無い!それに世界中が変わったとしても!あの子だけは変わらないと主も約束してくれている!」
「そんな約束を守る奴が世界を滅ぼすとは思えない!」
「さっきから聞いてると自分に都合のいいことばっかり!人の気持ちも知らないで!」
「だからなんだ!」
「人の気持ちも知らないまま人の夢を潰す!そんなあんたがやっている事は偽善よ!」
その言葉に鎧武は動きを止め俯く。
「偽善‥偽善か」
「そう、偽善」
オーバーマリスの言葉に俯いていた顔を思いっきり上げ言い切る。
「それでも、善だ!」