聖遺物の適合者と禁断の果実(リメイク版 10話から最新)   作:百合に挟まる男を切るエルフの剣士

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すみません。親に端末取られてました。ごめんなさい。。


本音…そして…

「翼!」

 

「翼さん!」

 

鎧武と響は翼に駆け寄る。が、その足は止まってしまった。

 

「大丈夫です。防人の剣はこの程度で折れたりしません」

 

振り向いた翼の姿があまりに悲惨だったからだ。口からは血が溢れ、両眼からも血が流れ、四肢が所々裂けている。とても見ていれるような姿ではなかった。翼は遂に崩れ落ちる。鎧武は止まっていた足を動かして駆け寄る。

 

「翼!?翼!?」

 

鎧武は翼を抱き起す。そして、回していた手からバレないように禁断の果実としての力を使い治癒していくが、あまり効果を発揮しない。

 

「クソ!なら!…ごめん。翼…」

 

鎧武は変身を解除する。そして憐はおもむろに翼の口と自らの口を合わせた。そのまま力をダイレクトに流していく。

 

「……………」

 

それを見た響は胸が痛いくらいに締め付けられた。たとえ、それが治療の一環だと頭ではわかっていても…だ。

 

(痛い…痛いよぉ…憐さん…)

 

「翼!」

 

遅れて源十郎がやってきた。憐は口を離し翼を源十郎に託す。そして、源十郎に小さな声で

 

「俺の力で死ぬ事だけは回避した。あとは任せた」

 

「ああ‥」

 

憐はサクラハリケーンを呼び出し跨る。響もその後ろに跨る。そして、憐はサクラハリケーンを走らせる。だが、家に帰るまで響は何も言わなかった。憐の浮かべる表情と自らの胸に残る痛みのせいで。

 

家に着いた二人はクラックを通りヘルヘイムの森へと入り、響を家へ返して憐はヘルヘイムの森の中にある観測所に向かう。

 

「奏…」

 

そこで、ヘルヘイムの森で状況を把握していた奏に会った。

 

「憐…」

 

奏は何か言いたげな顔をしていたがそれを遮るように憐が口を開く。

 

「俺はダメだな…」

 

奏はその言葉に反論しようする。

 

「そんな事!」

 

「そんな事あるんだよ!」

 

憐の怒号に奏は驚いた。それは、二年間憐と一緒に居てきた奏にとって初めて聞く怒号だった。

 

「俺は!いつも遅れる!今回の事も!あのバレンタインデーの事にしても!お前…お前の事だって…俺は遅かった…」

 

「俺がもう少し早ければお前だってずっと翼や二課のみんなと一緒に居られた。助けるのが早かったら響だってイジメが行われずいつまでもクラスのムードメーカーとしてこんな戦いに巻き込まれなくて済んだかもしれない…何より今回はその場にいたにもかかわらず防ぐことができなかった」

 

「悔しいよ…俺だって悔しいよ!!こんな力(黄金の果実)まで持ってるのに!何一つ救えない!助けられない!間に合わない!紘太さんなら間に合った!俺は紘太さんを倒してこんな力を手に入れた。この力を持つ事で紘太さんにも出来なかった事をしよう。身近な人から助けて!いつか沢山の人を救えるようになろう!そう思って、今までやってきた。なのに…俺は何が出来た?何か出来たか?いいや、何も出来てはいない!やったことは間に合わず助けられた人の命を奪った事だけ。こんなの俺が紘太さんからこんな力(黄金の果実)受け継がなければよかった。紘太さんが生きていた方が良かった!俺が死ぬ方が良かった…」

 

それは二年間いや、力を受け継いでからずっと笑顔でいて愚痴一つ溢さなかった憐の偽らざる本音だった。そんな本音を聞いた奏は

 

「そうか…」

 

ただ、それだけだった。

 

「何も言わないのか?」

 

「言いたい事はあるさ。でも、今の憐には口で言うのは意味がない」

 

「?」

 

「と、思ったんだけど。やっぱり言わないと我慢できないし、憐の本音には間違ったことが一つあるからそれだけ」

 

「一つ?」

 

「ああ」

 

奏は顔の横で人差し指を立てる。奏は悩み、悩みに悩んでいる憐の思いを

 

「あのライブまでの時にもし憐が間に合ってたする?正直、そんなIFの世界なんてどうでもいい」

 

切り捨てる。

 

「考えることの無駄。憐の言う紘太さんなら間に合った?だからどうした。現実に遅れてでもやってきて助けてくれたのは憐だ!他の誰でもない。『葛葉憐』だ!同姓同名でもない!今、この瞬間に私の目の前に立ってる葛葉憐だ!事実、おかげで私は憐に救われた。その事だけでも憐は人を救ってる!」

 

「でも…」

 

「それに!あの笑顔は憐が作ったものじゃないのかよ!」

 

奏は窓から見える響の顔を指差した。その笑顔はまるで向日葵のように明るく綺麗な笑顔だった。

 

「憐。前に私に言ったよな。例え、世界が敵に回っても私を護るって」

 

「ああ、言ったな」

 

そう。憐は初めて奏や響の笑顔を見た時に誓った事がある。

 

『たとえ、この力が無くなったとしても。たとえ、ちっぽけな人間になったとしても。

 

 

戦おう!

 

 

この少女達の命と笑顔を守るために!

 

 

この命を掛けても!』

 

 

憐は忘れていた。この誓いは紘太さんに教えてもらったもので無く。自分でたてた自分だけの誓いだと言うことを。

 

それを果たさずして楽な方に逃げた自分を憐は恥じた。

 

「そうだ。そうだったな。俺は誓ったんだ。俺は必ず二人の笑顔と命を守るって。それは、誰のものでもない!俺だけのものだ!その役目を果たすことから逃げるわけには行かない!」

 

冷めた()は熱い()によって熱を取り戻した。

 

 

さぁ、やられっぱなし、後手後手にはもう飽きた。今度はこちらから打って出よう。

 

 

二番目よ。なぜ、お前らが二番目なのか教えてやる。

 

 

俺たち(一番目)の方が強いから。

 

 

俺たちが最強だからだ。

 

 

せいぜい足掻け。そして、こちらは全てを救っていこう。

 

 

お前らも含めて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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