聖遺物の適合者と禁断の果実(リメイク版 10話から最新)   作:獣狩りの狩人

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見舞い

翌日、憐はリディアンの地下にある二課の基地に行き源十郎にあることを伝える。

 

「源十郎さん。ちょっと俺は、ここを離れる。響の事頼めるか?」

 

「それは構わんが、何をするんだ?」

 

源十郎の問いに憐は不敵に笑い言った。

 

「なぁに、すべてを救うだけさ。戦闘力はあいつらの方が少し上だけどそれ以外は俺はチートなんでな」

 

その瞬間に憐は光を撒き散らしながら消える。源十郎は消えた憐を思い、漏らす。

 

「ちゃんと帰って来いよ。憐君」

 

 

そのころ、絶唱の影響により眠っていた。翼は夢をの中で真っ暗な闇の中に一人佇んでいた。

 

「ここは?」

 

「どうやら、無事の様だな」

 

翼はその声に思いっきり振り向く。その声はずっと聞きたかった声だった。

 

「奏…」

 

「おう。正真正銘、風鳴翼の相棒…いや、片翼、天羽奏さんですよー」

 

 

 

 

「ええ!憐さんが消えた!?」

 

響は源十郎から伝えられた事に驚愕する。

 

「どうしてですか!」

 

「わからん。だが、響君を頼むと言われた」

 

「そんな…」

 

響は落ち込みながら、外に出る。そこに、緒川さんがやってきて声をかける。

 

「響さん。これを」

 

「これは?」

 

緒川さんから渡されたのは一枚の新聞記事だった。その記事にはこう書かれていた。

 

『歌姫、風鳴翼 過労により入院!』

 

「緒川さん。これは、もしかして」

 

「ええ、情報統制は僕の仕事なんです」

 

「響さん。どうか、翼さんのことを嫌いに」

 

響は緒川さんの心配そうな言葉を遮る。

 

「なりませんよ。嫌いになんて。私達にも翼さんに隠してることたくさんありますから」

 

「ありがとうございます。しかし、隠している事とは?」

 

響は少し迷った後告げた。

 

「緒川さん。このことは、誰にも秘密にしてください。悟られてもいけません。質問も聞きません。それでも聞きますか?」

 

「聞かせてください」

 

「わかりました。では、翼さんの片翼」

 

緒川はここまで聞いた瞬間に察した。これから告げられる言葉を。

 

「天羽奏は『生きています』」

 

 

 

 

 

 

一方そのころ翼は夢の中で奏でと再会していた。

 

「奏…」

 

翼が近づこうとすると奏はそれを遮り、シンフォギアを纏う。

 

「奏?」

 

「翼、行くぞ」

 

その瞬間、奏は爆発的な速度でアームドギアを構え突っ込む。翼はギリギリでそれを避ける。

 

「奏!何するの!」

 

奏は肩に槍を担ぎ、翼を見る。

 

「翼。私は久々にキレてる。私が死んでからの二年間。それに今回の絶唱。流石に堪忍袋の緒が切れた。」

 

奏が片手を翼に向ける。すると、翼のシンフォギアが勝手に起動する。それを見た奏は槍を構えて宣言する。

 

「その腐った根性たたき直してやる!」

 

次の瞬間、片翼同士が激突した。

 

 

 

 

「奏さんが…生きてる?それは、どういう事…」

 

「質問は無しですよ。緒川さん。時期にわかります」

 

そう言って響は去っていく。後には立ち尽くす緒川さんの姿があった。

 

 

それから数日後の朝

 

「昨日の夜に翼さんが目を覚ました!?」

 

「ああ、今日の午後には面会が可能だそうだ」

 

「では、午後にお見舞いに行ってきます」

 

「ああ、頼んだ。それと、シンフォギアを狙う奴らがいるからも知れん。気をつけてな」

 

「はい」

 

 

 

一方、目を覚ました。翼は窓から見えるリディアンを見て呟く。

 

「何か不思議な感じ…ああ、そうか。初めて任務以外で学校を休んだのか」

 

 

 

そのころ、憐はヘルヘイムの森の倉庫にいた。

 

「えっと、これと、これと、これ。それに、こいつを」

 

憐は倉庫を漁りながらいろいろな物を取り出していく。そして、それらをある場所に持って行き設置していく。

 

「あとは…」

 

「よう。一人で何してんだ?」

 

忙しく動き回る憐に声をかけたものがいた。憐は動き回るのを辞めずに話す。

 

「…奏。どこ行ってたんだ?」

 

「んー翼をしばきに」

 

「そうか。で、どうだった?」

 

「弱かった。とてつもなく」

 

「それをどうにかしてきたんだろ」

 

「まぁな、あとは翼次第」

 

「なるほど」

 

「で、何してんだ」

 

「決戦の準備」

 

「? 真正面から行かないのか?」

 

「真正面から行くと必ず負ける」

 

「なぜだ?」

 

「戦闘力としたらあいつらの方が上なんだよ。だから、それを覆すための聖遺物を設置してる。戦闘面以外だと俺の方が上だからな」

 

その言葉に頷きながら、奏は聞く。

 

「なるほど。あたしは何をすればいい?」

 

憐は少し悩み答える。

 

「なら、響を頼む。俺がいなくなって何をするかわからんからな」

 

「それはいいが…なんで姿隠すんだ?」

 

「リディアンにあいつらの仲間がいる」

 

「何だと!誰だ!」

 

「それは…まだわからない」

 

「そうか…」

 

憐の言葉に明らかに落ち込む奏を見て憐は思う。

 

(わりぃな。奏。教えるわけにはいかないんだ)

 

「そういうわけだから、ちょっと行ってきます」

 

「しゃぁねぇ、いってらっしゃい」

 

「おう」

 

 

 

リディアンの放課後

 

 

「響!」

 

「どうしたの?未来」

 

「今日、一緒に遊びに行かない?」

 

「んー今日は駄目」

 

「そう。じゃまた今度ね」

 

「うん。じゃぁね」

 

別れた響は、店に寄ってからリディアンの中にある病院に戻って行った。

 

「翼さん…」

 

響は翼の病室の前で迷う。

 

(どうしよう?なんて顔をして会えばいいか。わかんない)

 

そうは思っても響のポジティブシンキングは変わっていなかった。

 

「まっいっか、失礼します。翼さん」

 

扉を開けた瞬間、驚愕の光景が飛び込んできた。

 

「なに…これ…」

 

その光景を見た響は動揺から復帰し慌てる。

 

「翼さん!どこですか!翼さん!ちっ、憐さんの正体がばれたか?そのために翼さんが、それか…」

 

「何してるの?」

 

「うひゃぁ!」

 

悩む響を後ろから声をかけたものがいた。

 

「翼さん!?」

 

そう。翼である。

 

「翼さん!大丈夫ですか!」

 

「リハビリしてただけよ。それに、怪我人に大丈夫はどうかと思うのだけど?」

 

「だって!」

 

響は荒れている病室を指指す。

 

「病室は荒れているし、最近はシンフォギアを狙う人もいるそうなので、翼がさらわれたのかと思って…」

 

そこまで、まくし立てていた響は気がついた。翼が顔を赤くして俯いていたことに。

 

「まさか…これが…あの…憐さんが言っていた女子力皆無の翼さんか!」

 

「…すまない。というか、憐も言ってたのか!」

 

「はい。取り合えず、片付けましょうか」

 

「お願い…」

 

そういうことなので、響は翼の病室を掃除する。すると、出るわ、出るわ。食べた後のゼリーに割れかけの栄養ドリンク、炭酸飲料、使用済のタオル、服。更には下着(未・済両方)までも。

 

「ロボットゼリーにドラゴンゼリー。ラビットタンクスパーリング、クロコダイルクラックボトルなんてどこに売ってるんですか?」

 

「知らない。入院初日にファンの人で、ペンネームが『天才物理科学者』さん『筋肉馬鹿』さん『アイドル大好き独身29歳』さん『ヒゲおやじ』さんからの差し入れで」

 

「何その怪しい名前の人達。緒川さんが確認してんだろうけど。で、味はどうだったんですか?」

 

「どれもこれも、普通に美味しかったが、そうだな。ラビットタンクスパーリングはウサギの様な優しい小動物のような味の後に戦車のそれを壊すような激しい味が来る。わかりやすく言えばマ〇チの優しい感じにモ〇スターの激しい感じを混ぜて合わせた感じ。BESTMACH!という感じ」

 

「なるほど。なら、ドラゴンゼリーは?」

 

「ソーダ味に近い味なんだけど、味に抑揚がある。うーん、言いにくい」

 

「じゃぁ、ロボットゼリー」

 

「ドラゴンゼリーと違って均一な味だった。味はジンジャーエール?っぽい」

 

「で、割れかけのクロコダイルクラックボトル」

 

「ああ、それはそういうデザインなんだ、と言うのだ。そんなことをしたら割れやすくなるというのに。味は攻撃的な味。栄養ドリンクの激しいけど、飲みやすい」

 

「それにな、この飲み物達何故か効果があるらしくてな。ラビットタンクスパーリングは飲んだら速さと防御力が上がるらしく、ロボットゼリーは正確さが、クロコダイルは攻撃力、ドラゴンゼリーは成長速度が上がるらしい。そして、すべてに自己治癒力が上がるらしい」

 

「ナニソレェ」

 

「二課でもお手上げだそうだ」

 

「マジかよ」

 

そうこうしてるうちに、掃除が終わった。

 

「それで、なんですか?この有様」

 

「すまない。私は、戦闘以外は何もわからないんだ。今までは、憐や緒川さんにやってもらっていたしな」

 

「男の人にそこまでしてもらったら駄目でしょう」

 

「でも、出来ないし…」

 

「下着(ボソッ)」

 

すると、みるみる翼の顔が赤く染まる。口をぱくぱくさせ何て言えばいいかわからないようだ。

 

「なるほど…そうやって誘惑してたわけだ」

 

「誘惑してない!」

 

「履いた後の下着、洗濯してもらっているのに?」

 

「それは…」

 

「………なんて羨ましい!」

 

「エッ?」

 

「私なんか、恥ずかしかったけど、タオルも付けずにお風呂に突撃したのに何もされないし、憐さんはタオル巻いてるし、目つぶってるし。それなのに翼さんときたら、必ずやらなければならない方法で、なんてエロい事を!!」

 

「そういうこと!?いや、確かに、そりゃ、憐が、ちょっとは、意識してくれたらなぁとか、最初は、思ってたけど、途中から、ほんとに、出来なくなちゃったから、もうそのこと気にしないようにしてたから忘れてた…」

 

「ハハハハハ…………翼さん。ナメてます?」

 

「幼なじみ特権!」

 

「上等だゴラァ!かかって来いやぁ!」

 

「私の方が上!貴女がかかってきなさい!」

 

「「ふう」」

 

「貴女、最近頑張っているそうね」

 

「翼さんがこれまでやって来たことに比べれば全然」

 

「それでもよ。私がこれまでやって来たことはただの私怨。憐と奏の敵討ちのつもりだったから。ほんとに人助けのために動く貴女の方が立派よ」

 

「ありがとうございます」

 

それから、二人は他愛のない話をして盛り上がった。そんな二人を見詰める影が一つ。

 

「なんで、なんで、なんで、なんで?どういうこと?私より、その女の方が大事なの?私の方がこんなにも貴女のこと愛しているのに。愛しているのに。愛しているのに。愛しているのに。愛しているのに。大好きなのに大好きなのに大好きなのに大好きなのに大好きなのに大好きなのに大好きなのに大好きなのに大好きなのに大好きなのに大好きなのに大好きなのに大好きなのに大好きなのに大好きなのに大好きなのに大好きなのに大好きなのに大好きなのに大好きなのに大好きなのに大好きなのに大好きなのに大好きなのに大好きなのに大好きなのに大好きなのに大好きなのに大好きなのに大好きなのに大好きなのに大好きなのに大好きなのに大好きなのに大好きなのに大好きなのに大好きなのに大好きなのに大好きなのに大好きなのに大好きなのに大好きなのに大好きなのに大好きなのに大好きなのに。好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き。私の方がだーい好き。ねぇ、響」

 

その影の胸には心臓のように脈打ち体に根を伸ばしつづけ、黒く染まろうとする銀色の果実があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




他の世界からの贈り物誰がやったんでしょうねぇ(すっとぼけ)

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