聖遺物の適合者と禁断の果実(リメイク版 10話から最新) 作:百合に挟まる男を切るエルフの剣士
少女を飲み込んだ光の果実は姿を消して飛び去り、ある一つの建物の上にたどり着く。光の果実はそのまま降下して建物の中に入り込む。中に入った後、段々と少女を吐き出していく。そして、吐き出された少女を優しく布団の上に寝かせる。少女には絶唱を歌った様な怪我などが一切見当たらない。
「体が馴染むまでざっと見、2年ってところか‥」
光の果実の正体であった青年が呟く。青年は手をかざしてクラックを出現させ、その中からカミキリインベスを呼び出し命令を下す。
「いいか。この人のことは種も植え付けてはいけないし傷つけてもいけない。目が醒めるまでキチンとお世話する事。いいな?」
カミキリインベスは頷く様な仕草をして鳴き声を上げる。
「じゃぁ頼んだよ」
そう言って青年は出て行く。溢れ出すノイズを殲滅するために。後にこの時の行動は二課にとって伝説となるのだがそれはまた後のお話で。
ーーーーー帰宅ーーーーー
「ただいま‥って誰もいねぇけど」
そう言って入ると
「お帰りなさい!マスター!」
「へ‥」
そこには眠っている少女に良く似た少女が居た。その事に青年は驚き聞く。
「君は‥まさか!」
自分の中の感じる繋がりから目の前の少女の正体が分かってしまった。
「はい!行く前にマスターから命令を貰ったカミキリインベスです!」
「マジ‥。何が起こった?」
そう聞く青年の問いに答えた少女の言うことを簡略化すると、どうやらこういうことらしい。
「つまり、この子が持っていた聖遺物の欠片を食べちゃった。そうしたら、聖遺物の記憶が流れて込んで身体が変化したと。うーん。そんな事あるのか‥インベスの歴史で多分初だからな。聖遺物の欠片を果実と同じ様に見るなら進化の一端なんだろうが‥なんともいえねぇな。他の奴で試してみないと」
青年はそこで考えるのを止め少女の方を向き言う。
「まぁ、女の子の方が面倒を見る面からしてもいいからこれからもこの子のお世話頼むよ。俺と苗字は同じでいいと思うから‥そうだな『葛葉
「愛歌‥いい名前だと思います。ありがとうございます。マスター!」
青年は頭をかき少女‥いや愛歌に言う。
「マスターっての止めてくれないか。俺には『葛葉 憐』っていう名前があるんだ。お前はもう人間なんだから憐って呼んでくれないか」
愛歌は首をかしげ問う。
「?‥それは命令ですか?」
「いいや、違う。お前はもう人間なんだ。俺と同じだよ。だから恋に対してはもう、命令はしない。だからね、俺は憐だ。憐」
「憐‥マスター‥」
「憐」
「‥れ‥憐‥」
「よく出来ました」
そう言って憐は愛歌の頭を撫でる。撫でられている愛歌はテンパり顔を真っ赤に染めながら止める。
「あの///憐、憐ってば//マスター!」
すると、呼び方がマスターに戻ってしまう。どうやらテンパると戻ってしまう様だ。
「じゃぁ、これからよろしくね」
「はい!よろしくお願いします!」
ーーーー1年後ーーーー
やぁ、読者のみんな二年後だと思った?残念、一年後でした。いや、俺も馴染むのが二年後になると思ったんだよ。そうしたら、一年で馴染み終わったんだよ。
これには、俺もビックリだよ‥‥って、俺は誰に向かって何言ってんだ。
今、純の前では髪が金色に完全に染まった少女が起きようとしていた。
「うぁ‥私は‥一体‥」
「起きたな」
「お目覚めおめでとうございます。姫様」
憐が声をかけ愛歌が膝を付く。
「誰だ‥!」
少女は警戒態勢を取る。それもそうだろう、目が醒めると知らない所で目の前に知らない男女が立っているんだから警戒するのも当然だろう。純は少女の警戒心に触れない様に話し掛ける。
「俺は葛葉憐。うーん。今は宇宙の神様だ」
「は‥」
少女はあまりに拍子抜けした答えに警戒態勢を解いてしまう。
「おっ、警戒態勢解いてくれたな。じゃぁ、やり直し。俺は葛葉憐。ヘルヘイムの森の王。黄金の果実、別名、知恵の実、禁断の果実の保持者で神様だ」
「いや‥神様って」
「神様って信じられない?」
「だって、急に神様だーって言われても‥」
「分かってるんじゃないの?理屈じゃなく本能的にね。女神様」
そう、憐がこの少女が女神様になったとわかるように彼女もまた目の前にいる青年が本物だと分かるのだ。
「まぁ‥な。体の中にある力‥明らかに常軌を逸してる」
憐は立ち上がり少女にヘルヘイムの森に行けるかと聞く。
「クラックを開いてヘルヘイムの森へと行けるか?」
その言葉に少女は首を傾げ
「クラック?ヘルヘイムの森?何なんだそれは?」
「あれ‥記憶の定着がうまくいっていないか。まぁ、いいか」
そう言って憐は立ち上がり手を振る。すると、チャックが開いていきくうかんに裂け目が出来る。その中は薄暗い森が広がっていた。
「っ!コレは!」
そう、少女にとっては絶唱を歌わざる状況を作った物なのだから。警戒もする。実際には繋がっている所は違うのだが。
「ほら、行くよ」
憐が手を伸ばすが少女は来ようとしない。不思議に思い聞くと。
「どうしたの?」
「どうしたもなにも!これは中から化け物が出てくる穴じゃねぇか!お前らがやったのか⁉︎あの化物を生み出して私達を襲わせたのは!そいつらから翼や女の子を守る為にあの
「それとは違うよ。二番目とは」
憐はバッサリ切る。いやそんな事より
「二番目だと‥」
「それを含めて教えてやるよ」
そう言って、憐は入って行ってしまう。
「あっ!ちょ!待てって!」
しかし、憐はさっさと入り見えなくなる。残された少女は先程からずっと跪いている自分似の少女を見る。
「君は誰なんだ?」
「はっ!私は姫様直属の部下にあたります。葛葉愛歌と申します。今までのご無礼お詫び申し上げます!どうかお許しを!」
あまりに仰々しい愛歌の反応に困惑して問う。
「ちょ!顔上げてくれ!何をしたんだ?」
「はっ!姫様がお眠りになられている間私がお世話をしていたのですが、その間に姫様のその‥スリーサイズなどを勝手に調べ衣服を買い、服を脱がせ体を拭いていたことです。女性にとってスリーサイズを勝手に知られたり、身体を見られたりするのは失礼に値することだと聞きましたのでお許しを‥」
何かと思えばそんな事なので少女は恋の頭を撫で言う。
「何だそんな事か。仕方なかったんだろ。なら、許すさ。当たり前だろ」
「ありがとうございます!」
「そんな仰々しくなくていいよ」
「しかし、私は姫様の従者ですし‥」
「奏だ。天羽奏。それが私の名前だ。私達は対等だ。人間同士な」
奏がそこまで話していると開きっぱなしだったクラックから羽の生えた初級インベスが飛んでくる。1年前のライブの時に襲ってきたやつと似ていた為に、奏は咄嗟にギアを纏おうとするが胸にかけていたペンダントが無くなっているのに気づいた。
「おい!愛歌!私のペンダントはどこだ!」
しかし、愛歌はインベスの方に歩み寄り耳をかざす。
「成る程。奏様。憐の用意が出来たようです。私たちも向かいましょう」
「おい!ペンダントは!」
「それを含めて憐‥いえ、王からお話があります。いらっしゃってください」
有無を言わせない愛歌の言葉に奏は素直に頷く。
「はぁー行くよ」
「それは良かった。じゃ、行きましょう。奏」
奏は、愛歌の口調がコロコロと変わるのを聞いてどれが本当の愛歌の口調か分からなかった。
「ここなのか?」
「ええ、ここで憐がまってるはず」
奏は緊張しながらクラックの先にある森の奥深くにあった遺跡の内のひとつの扉を開ける。
パーン
「へ?」
「ようこそ!ヘルヘイムの森へ!」
そこにあったのは『奏!覚醒おめでとう!』と書かれた掛札と沢山の見たことのない果物だった。中央に憐が居てその横には最上級インベスが並んでいた。