聖遺物の適合者と禁断の果実(リメイク版 10話から最新)   作:百合に挟まる男を切るエルフの剣士

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絶望の少女

部屋に着くとインベス達に囲まれているが怯えずにただ死んだ目をしている少女が座っていた。憐はそこまで歩みを進める。すると、モーゼの如くインベス達が割れて膝を付く。だが、シェムザムだけは少女の横で膝を付く

 

「どうだ?シェムザム」

 

「ハッ!絶望をした様な死んだ目をするばかりです」

 

「話しかけたか?」

 

「私は可能ですが、私以外のオーバーロードは日本語は喋れません」

 

「そうか‥今すぐに覚えさせられるか?」

 

「可能です」

 

「では、他のオーバーロード達にも覚えて来いと伝えろ。これから必要になるかもしれないからな」

 

「御意に」

 

シェムザムはそう言って出て行く。憐はそのままインベス達にも出る様に命ずる。インベス達が出て行ったのを見届けると憐は少女に近寄る。

 

「私を殺してくれないんですか?」

 

死んだ目のまま少女が憐に聞く。憐は頷き答える。

 

「ああ、生きるのを諦めるな」

 

「生きるのを諦めるなですか‥諦めなかった結果が一年前のライブでの惨劇から私が生き残ったことによる他の人達の嫉妬、妬み、それによる嫌がらせ。そして、父の失踪‥‥私は生きていてよかったんですか?」

 

「君名前は?」

 

少女は何故そんな事を聞くのかと思いながらも答える。、

 

「名前?名前は立花響です」

 

「よし、響。助けてやる」

 

「え?」

 

ようやく顔の上げた響に満面の笑みを浮かべて誓う。

 

「俺はお前を助けてやる。その絶望をひっくり返してやるよ。だからな、辛い時は言え。『たすけて』って。神は‥俺は絶対に助ける」

 

響は憐の言葉に死んでいた心が生き返るのを感じていた。そして、どこの誰かもわからない憐に求めていた。

 

「助けてください‥私達を助けてください!」

 

「おう、任せろ」

 

そう言った憐は響に家を聞いた後オーバーロード達に人が住める様に家を作ることとインベス達に響達を襲わない様に言い聞かせる様に命令を下した。

 

「取り敢えず、響の母さん達を迎えに行かなきゃ。そして、三人用の量産型の戦国ドライバーを用意してっと」

 

クラックを開き憐は人間だった頃の姿に戻り立花家に行く。

 

「ここか‥けどこれは‥」

 

そこにあったのは窓ガラスが悲惨に割られていて塀には『人殺し』の三文字。それが大量に書かれていた。その様子に憐は怒る。

 

「なんでだよ‥お前らは俺達とは違う。同じ人間だろうが‥」

 

怒りを抑え憐は立花家のインターホンを押す。すると、怯えて出てきた女性が居た。

 

「何の用でしょう」

 

今まで嫌がらせの電話など心にストレスを蓄えていたのか大分やつれていた。その姿を見て怒りが込み上げてきて抑えが利かなくなりそうになるのを気合いで抑え出来るだけの笑顔を作り聞く。

 

「貴女が立花響さんのお母さんですか?」

 

響の母親は憐の笑顔に逆に怯えたようになり首肯する。

 

「ええ、そうですか。ですが、お金はもうありませんのでお引き取り願いますか?」

 

それを聞き憐は慌てて訂正する。

 

「ちがいます!俺は立花響の貴女達を助けて欲しいって言う願いでここに来ました」

 

「響の?」

 

「ええ、だから話を聞いてもらえませんか?」

 

「‥入ってください」

 

案内されたのは暗くボロボロになったリビングだった。響の母親はテーブルの椅子に腰掛ける。

 

「貴方もそこに座りなさい」

 

「ありがとうございます」

 

そう言って憐は響の母親の前に座る。

 

「話って何かしら?」

 

「はい。響さんは現在こちらの世界で保護しています」

 

「こちらの世界?」

 

「はい。僕が管理している世界です。この世界のすぐ側にあるもう一つの世界です。僕はそこで王をしています」

 

「王様‥」

 

「ええ、そして一応この世界の神様やっています」

 

「神様‥」

 

「うん臭いですよね。ですので、その証拠の一端としてこれだけ」

 

そう言って憐はクラックを開き中から蔓を伸ばして自由に操ってみせる。そのまま蔓をこの家の周りに張り巡らしていく。

 

「何してるの⁉︎」

 

「すみません。ですが、今一番安全なのは僕の世界です。ほとぼりが冷めるまで僕の世界に避難してください。勿論、この世界に戻りたい時は僕らに言ってもらえれば戻れますし、居場所も提供します」

 

「何故そこまでしてくれるの?」

 

「そうですね‥響さんの頼みだからでしょうか。でも一番は、あの事件の一端だった僕の贖罪です。あの後僕はあの事件の事を放置し世界中のノイズを倒していて気にも留めなかった。僕の不甲斐なさゆえです。神になったにも関わらずその事を放置していた自分に対するね」

 

「よくわかりました。贖罪というのなら納得しましょう。因みにもし、善意などと言うものなら信頼するつもりはありませんでした」

 

「それは手厳しい」

 

そうして、二人は手を握った。

 

「僕達は必ず貴女達を守ります」

 

「信じましょう。その言葉を」

 

二人は手を離し、家の片付けに入った。

 

「では、衣類とどうしても持ち出したいものだけ選んで下さい。量が多くなるようでしたら僕達が手伝います」

 

そこで憐はクラックを開き中から何体か下級インベスを呼び出す。

 

「キャ!」

 

初めて見るインベスに母親は驚くが憐は安心させるように

 

「大丈夫です。こいつ達が僕の世界の住人です。こいつ達には貴女達を襲わない様に命令していますので安心してください。お前ら、挨拶」

 

憐がそう言うとインベス達は下手くそながらお辞儀をした。その光景に響の母親は笑ってしまう。

 

「フフフ。人間と変わりませんね」

 

「ええ、立派な奴らですよ」

 

憐に褒められたからかインベス達は全員俯いてしまう。響の母親はその余りに人間味のある光景にまた笑ってしまう。

 

「持っていくものはそこのタンスの中の衣類とこれだけで結構です」

 

そう言って見せたのは家族で映った写真だった。

 

「わかりました。では、行きましょう。お前ら、頼むぞ」

 

インベス達は返事をしてタンスを持ち上げクラックの中に運んでいく。

 

「じゃあ、行きましょうか。ついてきてください」

 

「あの‥私の母は‥?」

 

「今、部下の方に迎えに行ってもらってます。行く先にいると思いますよ」

 

「そうですか‥有り難うございます‥」

 

二人はクラックを通り憐の住処である遺跡に向かう。その庭には木で作った家が建てられていた。

 

「おおー速いな。流石だ。シェムザム」

 

「お褒めに預かり光栄です。我が王よ」

 

いつの間にかシェムザムが憐の横に現れて膝をついていた。

 

「響は?」

 

「失礼ですが王よ。響とは?」

 

「あの少女だよ。今日保護した」

 

「でしたら、姫様と居るでしょう」

 

「そうか、連れて来てくれるか」

 

「わかりました」

 

そこまで話すと憐は響の母親の方を向き家に入る様に促す。家は簡易ながら水道や電気、ガスまで通っていた。響の母親はそのライフラインを見ながら呟く。

 

「これ、どうやって通しているのかしら?」

 

その疑問に憐が答える。

 

「水道は人間世界の技術を使ってこの世界に流れる川をろ過して消毒して使っています。電気はこの森に自生している果実を使って発電機を作りました。ガスも果実を応用して作ったのです。勿論、お風呂も完備です」

 

「凄いわね。あなた」

 

「いいえ、凄いのは僕じゃなくてインベス達ですよ。僕はただ命じているだけにすぎません。そこにお掛けになってお待ち下さい。すぐに来ると思います」

 

そこに扉が開いて高齢だが若さに溢れた女性がサクラに連れられ入ってきた。響の祖母である。

 

「お母さん!」

 

「あら、あんた無事だったかい!」

 

「ええ、この人達が助けてくれたの‥」

 

「そうかい。ありがとよ‥」

 

「いいえ、それなら響に言ってあげてください。私たちに助けを求めたのは響ですから」

 

そこまで話すと、再び扉が開き響と奏が入って来る。響は自らの母と祖母を見ると嬉しそうに抱き着く。

 

「お母さん!おばあちゃん!」

 

「「響!」」

 

それを見ながら憐は奏と話す。

 

「ありがとう。奏」

 

「気にすんなって。響は私が守りきれなかった子だからな」

 

そして、響達は憐達の方を向き頭をさげる。

 

「「私達を助けていただいてありがとうございました」」

 

「ありがとうございました!」

 

「気にしないでください。僕の不甲斐なさゆえですから」

 

「それでもありがとうございます」

 

頭をさげる三人に向かって取り出した量産型戦国ドライバーを差し出す。

 

「憐さん。これは?」

 

「量産型戦国ドライバーです。この森には果実が自生していると言いましたが、人がそれを食べると理性を失いインベス化する危険な果実ですので、それを防ぐためにもこの戦国ドライバーをつけて頂きます」

 

「「「‥」」」

 

インベス化するという話を聞いて絶句する二人。

 

「因みにこれ付けてるとどうなるんですか?」

 

「取り敢えず、付けてもらっていいですか。それを腰に当てるだけですので」

 

響達は言われた通り戦国ドライバーを腰に当てるとベルトが伸びて腰に巻きつく。それを確認した後に果実のなった蔓を呼び出す。

 

「これがその果実です」

 

そう言って憐は果実を一つもぎ取る。しかし、何も変わらずに果実があるだけだ。

 

「響。これを一つ取ってくれないか」

 

響は憐に言われた通りに一つもぎ取る。

 

「うん‥って言っても果実があるだけじゃあ‥違う!」

 

そう、果実が変化してロックシードに変わったのだ。

 

「これって‥ヒマワリの種?」

 

そう呟くと唐突に憐が響に向かって

 

「ところで、響。お腹空いてないか?」

 

と聞く。響は恥ずかしそうに俯いて頷く。

 

「はい、実は結構‥」

 

「響‥」

 

響の母がたしなめるように言うが憐は笑って

 

「構いませんよ。じゃあ、そのヒマワリロックシードを解錠してベルトにはめ込んでロックしてご覧」

 

言われた通り、響はヒマワリロックシードを解錠しベルトに、はめ込んでロックする。すると

 

「あ‥お腹が一杯になってきた‥」

 

「嘘‥」

 

これには流石の奏も驚いたのか呟きを漏らす。

 

「これが、この量産型戦国ドライバーの力です。果実が放つ異様な食欲の誘発をなくし、試作型の様に変身機能は付いていないけど果実の余りある力を変換してエネルギーとして送り込むんだ。勿論、副作用なし!」

 

「やっぱり、凄いわね。この世界」

 

「でも、やっぱり食べる事も重要ですのでちゃんと食べないといけませんがね」

 

そこて奏が聞く。

 

「その金、どうすんだよ?」

 

その言葉に憐は笑顔で

 

「パチる」

 

「急に悪党になりやがった!」

 

ゴン!

 

憐は奏にツッコミと同時に拳を貰い吹き飛ぶ。吹き飛んだ憐は立ち上がりながら

 

「イテテ、あれだよ。パチるって言っても世界で悪い事してるマフィヤとか政府とかから少し貰うだけだよ」

 

「いや‥それでもダメなんじゃぁ‥」

 

それに響が咎めるが奏は

 

「ならよし!」

 

「いいのかよ!」

 

響が許した奏にツッコむ。ボケがツッコミに変わった瞬間であった。すぐ戻るけど。

 

「というわけで‥」

 

「何が、というわけでだ‥」

 

奏がそう愚痴るが憐はスルーし響に

 

「というわけで、響。勉強の合間だけど世界中回ろうか」

 

「へ?」

 

「いや、今中2だろ。来年高校入試だろ。それ受かるためにも勉強しなきゃなんないし‥」

 

「いやいやいや、誰に教えてもらうんですか⁉︎」

 

「んーシェムザム」

 

「お呼びか?王様」

 

「いつの間に‥」

 

いつの間にか憐の横にいたシェムザムに憐は聞く。

 

「お前は、確か人間界の勉強出来たよな?」

 

「取り敢えずはハーバードとか言うのには受かるとは思いますが‥」

 

「ハーバード大学に受かるんですか⁉︎」

 

そこで響が会話に入ってくる。

 

「あれ、響。言葉分かんの?」

 

「分かるも何も日本語じゃないですか」

 

それには喋っていた流石の憐も驚く。憐は日本語とインベスの言語でしゃべられてもどちらで話しているのかがわからないのだ。だから、まさか日本人に対していわかんのない

 

「じゃあ、響に勉強を教えてやってくれないか?」

 

その頼みにシェムザムは快く頷く。

 

「わかりました」

 

そのシェムザムに少し怯えながら響も頼み込む。

 

「よっよろしくお願いします!」

 

「ああ、よろしく頼むぞ」

 

(意外といい人?なのかもしれない)

 

「さて、勉強だけする訳にはいかないので‥マキシム」

 

「呼んだか?我が王よ」

 

「ああ、響に戦い方を教えてやって欲しいんだ。槍術や剣術などじゃなくて体術を。勿論、槍術や剣術も教えてもいいが」

 

この頼みにシェムザムと同じく快く頷く。

 

「わかりました。我が王よ」

 

「お願いします!」

 

「おう!こちらこそだ!」

 

(この人?もいい人だ)

 

「おお、もう日本語喋れんのかよ。速すぎだろ」

 

「お褒めにあずかり光栄だそ。我が王よ」

 

「取り敢えず、今からはマキシム。基礎練習を教えてやってくれ」

 

「おう!任せておいてくれ!」

 

その軽い口調がシェムザムの感に触ったのかシェムザムが立ち上がりマキシムに突っかかる。

 

「貴様!王に向かってなんて口の利き方だ!やり直せ!」

 

その言葉にマキシムも反論し

 

「ああ!別に構わんだろ!王が怒っているわけでもないし!」

 

「いいや!許さん!私が貴様に礼儀とはなんたるかを教えてやる!」

 

「上等だ!かかって来いよ!」

 

「アワアワアワ‥」

 

響がその様子を見て慌てるが母親達はコーヒーをもらって飲んでいた。マキシムとシェムザムの一発触発の雰囲気に憐が待ったをかける。響が止めるのかと思うと

 

「お前ら、外でやれ」

 

止めるどころか、ただ外でやれと言うだけ。それを聞いたマキシムとシェムザムは向かい合い

 

「だ、そうだ。逃げるなよ!マキシム!」

 

「その言葉にそっくりそのまま返してやるぜ!シェムザム!」

 

そう言って、二体のオーバーロード達は出て行く。

 

「もう少し、仲良くやれんかね」

 

そう呟き、憐は話を終わらせる。

 

「まぁ、以上だ。解散!」

 

「あっ!憐さん師匠達の戦い見てもいいですか?」

 

「いいけど、俺の側から離れんなよ。巻き込まれて死ぬぞ」

 

「マジっすか‥」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦いを見た立花響の感想

 

「師匠達ヤバい‥」

 

 

 

 

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