聖遺物の適合者と禁断の果実(リメイク版 10話から最新)   作:百合に挟まる男を切るエルフの剣士

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この話には残酷な描写があります、


番外編 バレンタインデー

2月13日、明日はバレンタインデー。私、立花響はお世話になってるお礼に、憐さんにバレンタインチョコをあげることにした。でも、バレンタインチョコをあげるなんて初めての経験という事で

 

「奏さーん!」

 

「おー、どうした?」

 

困った時のヘルプミー奏。

 

「奏さん!憐さんにチョコあげたいんですがどうしたらいいでしょうか!」

 

「うぇ!私に聞くか。それ」

 

「はい!奏さんも憐さんにチョコあげるんですよね?だったら、一緒にと思って」

 

「いや‥私は‥」

 

「あげないんですか?」

 

「いや‥」

 

「あげないんですか?」

 

「あげるよ!チクショォ!」

 

「だったら、手伝ってください!」

 

「はぁ、わかったよ‥」

 

そこで、私達は宮殿のキッチンに移動します。憐さんは今は資金調達兼マフィア狩りしに世界回っていて明日帰ってくることになってる。

 

「さて、私達はチョコを作る訳だが‥まず、どうするか?」

 

「L◯TTEのGh○naはどうでしょうか?」

 

「成る程‥確かにLO○TEのGha○aなら手作りチョコの土台としての代名詞だ。だが、誰に買いに行かせるか‥私は死んだ人間だから行けない。恋歌も私に似てるからアウト。響は‥」

 

「私‥行けます!確かに人がまだ怖いけど憐さんにはそれ以上の事を貰ってます!少しくらい恩返しがしたいです!」

 

「‥そうか。響ならいけるだろう。‥だが、マキシム!」

 

そこで奏は響の師匠であるマキシムを呼び出す。

 

「呼んだか?姫様」

 

「ああ、響が外に出るんだ。影で守ってやってくれないか?」

 

「嫌だ。響はもう立派に戦える俺の助けなんていらねぇよ」

 

「師匠‥」

 

「だが、‥」

 

「大丈夫。へっちゃらです。師匠にそこまで言ってもらえるんです。ここで頑張らないと!」

 

「そうか‥じゃぁ、行ってこい」

 

「はい!いってきます!」

 

「はいよ。いってらっしゃい」

 

そうして、響は憐が固定してあるクラックを通り人間界に行く。

 

「う‥怖い‥」

 

そう言いながらも一歩足を踏み出し近くのスーパーに走る。体が感じる恐怖を振り払うように。

 

「いいのか?見に行かなくて?」

 

「いいんだよ。姫様。響ならそこらの人間には負けないさ」

 

「違う。私が心配するのは身体面じゃない。心の方だ」

 

「‥姫様。ちょっと、体が動かしてきます」

 

「はいよ、行ってらっしゃい」

 

一方その頃、響は無事にスーパーに行き大量のL◯TTEのGh○naを買っていた。ちなみに、買うお金は憐が奏と響、響の母親、祖母に分配して渡している。

 

「買えた‥早く帰ろう‥」

 

無事に買えて、憐の人間界に持っている家に帰る道を歩いている。このまま無事に帰ればよかったのだが‥

 

「あれ〜『人殺し』じゃんwww」

 

「ッ!」

 

どうやら、この世の中は随分響に厳しいようだ。そこには、ライブの後に響のことを虐めていた男が四人も並んでいた。

 

「本当じゃん。『人殺し』だwww」

 

「へー彼女があの『人殺し』なんだwww」

 

「よう。『人殺し』また、人を殺しに行くのかwww」

 

「「「「wwwwww」」」」

 

「ァ‥私は‥人殺し‥なんか‥じゃない‥」

 

「アァ!お前は人殺しなんだよ!俺たちがそれを教えてやる!」

 

「「「www」」」

 

「ィャ‥」

 

そうして、男達は響の髪を無造作に掴み人の来ないところへ連れて行く。不幸にも響が連れ去られて行く時には周りには誰もいなかった。人の来ないところへ連れて行くと男達は響を投げる。

 

「何持ってんだよ!」

 

一人の男が響の持っていた買い物袋を奪う。

 

「あ‥返して‥」

 

「大量のチョコじゃんwww」

 

「死体にあげるんだろwww」

 

「『人殺し』だもんなwww」

 

「こんなもん、いらねぇよな」

 

そう言って、チョコを地面に落とし踏みつけようとする。だが、

 

「駄目!」

 

響がチョコの上に被さり踏まれるのを防ぐ。

 

「グ‥」

 

「あ?‥なんだよ。そんなに踏まれたいか!」

 

そう言い、次々に響を蹴り踏み出す。

 

「www。楽しいなwww」

 

「どうよ?『人殺し』踏まれる感じは?」

 

「嬉しいよな!なぁ!『人殺し』!」

 

響はオーバーロード達と訓練しているのでこの蹴りや踏みは痛くはない。ただ、心が痛かった。

 

(どうして?どうして?どうして!平然とそんなことできるの!痛い!痛い!痛い!)

 

思わず、ポツリとこぼす。

 

「誰か‥助けてよ‥」

 

「あ?何言ってんの?『人殺し』なんて誰も助けねぇよ」

 

「「そろそろ、我慢の限界だ‥」」

 

そんな時二人の男の声が聞こえてきた。男達は響を蹴るのを止め声の聞こえた方を見る。それは二方向だった。後ろと

 

「上?」

 

そう、上だ。上には金色の光の球が浮いていた。そんな事が出来る人といえば。空に浮く光の球から声が発せられる。

 

「遅かったな。マキシム」

 

後ろに立つ男が返事をする。

 

「悪かった。王様」

 

そう、憐とマキシムである。

 

「憐さん‥師匠‥」

 

憐は光の球を消し、響の横に降り立つ。男達は動揺し一歩後ろに下がる。

 

「なんだよ!テメェら!」

 

「お前らに教える名前などない‥」

 

「しいて、言うなら響の味方だな」

 

「『人殺し』の‥」

 

その瞬間、二人から物凄い殺気が放たれた。その殺気に男達は響から離れる。しかし、前は憐に背後はマキシムに抑えられているために逃げる事ができない。

 

「二度とその言葉を言うな‥言ったものから即座に消す‥いいな。言った者から種を植え付けろ」

 

「仰せの間に。王様」

 

これがブチ切れた二人の最大限の助保だった。しかし、死ぬという事を理解していない。遊んでいるだけのチンピラに分かるわけがない。

 

「ハッ!『人殺し』を『人殺し』って言ってなにが‥」

 

その瞬間マキシムが近づきその男の頬を薄く切る。そうしたら、憐は響を抱き締め見えないようにし力を使って音が聞こえないようにする。

 

「なんだよwww。この程度‥」

 

男は嘲笑するが、マキシムは一切笑わず言い放つ。

 

「ああ、これからだ」

 

その瞬間、切られた頬が緑に輝きそこからヘルヘイムの森の蔓が生えてくる。激痛とともに。

 

「ギ‥ギャァァァァァァァァァァ!イタイ!イタイ!イタイ!トメテ!トメテ!ギャァァァァァァァァァァ!イヤダ!イヤダ!イヤダ!シニタクナイ!シニタクナイ!シニタクナイ!ダレカ!ダレカ!タスケテェェェ!」

 

痛みでのたうちまわるその様子に他の男達は逃げ出そうとする。が、そんな甘い事をするオーバーロードではない。マキシムも大切な弟子が傷付けられて怒り狂っているのだ。憐が命令で他の人は襲うなと言っているから襲わないだけであってマキシム自体は人を殺す事を何とも思わない。むしろ、この一件で人間の守る価値と言うものが分からなく、なっていた。今のマキシムは王が襲わないと言っているから守っているだけであって王が許可すれば響とその家族以外は根絶やしにするつもりですらあった。そんな訳で操った蔓を使い逃げた男達を拘束し連れ戻す。憐は響をクラックを開けて中に戻すとマキシムの方へ行く。

 

「マキシム‥」

 

「止めんなよ。王様‥俺は今久し振りにキレてんだ‥」

 

「止めるわけないだろ。むしろ‥俺も混ぜろ」

 

「ハッ!差別が酷い神様だ!」

 

「何、当たり前の事を響は俺の大切な家族だ。悪いが家族が傷付けせられて落ち着いているほど俺は人間が出来ていない!」

 

「と言うわけで‥」

 

「「お前らには死んでもらう」」

 

そこで憐が安心されるように

 

「ちなみに、お前らの家族も響を『人殺し』と呼んでいたそうだが反省していないので、もうヘルヘイムの森の一部になってもらっている。あとは、お前らだけだ。だから、安心しろ」

 

「お前らは苦しまずに死なせるつもりはない。これは王様が何と言おうともだ」

 

憐はクラックを開き初級インベスを四体呼び出す。そして、命令する。

 

「喰らい付くせ」

 

一人につき二体ずつ足の先からゆっくりとインベスは咀嚼していく。マキシムも男の手を切り種を植え付ける。いつも通り蔓が生えてくる。もちろん激痛とともに。

 

「「「ギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」」」

 

インベスに咀嚼されている方は足がゴリゴリと削れ離れていく感覚と共に。種を植え付けられている方は体中に根っこが伸びて体が喰い破られる感覚がする。

 

「タスケテクレ!」

 

「オレタチガワルカッタ!」

 

「ダカラ、ユルシテ‥」

 

「「「ギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」」」

 

男達は助けを求めるが憐とマキシムは当然の様に言い放つ。

 

「「お前らに与える慈悲などない」」

 

「「だから、大人しく死ね」」

 

ヘルヘイムの宮殿に戻った響は泣いていた。そこに奏がやって来て頭を下げる。

 

「ごめん!響!私が甘かった!」

 

「いえ、へいき‥へっちゃらです‥」

 

「響‥」

 

あまりに痛々しい様子に奏は一旦置くことにする。この子を慰める‥いや、助けられるのは心の優しき神様だけだろうから。それから、少し後に

 

「響!」

 

慌てた様子で憐が入って来た。そこで椅子に座った怪我だらけの響を見ると響の前に正座をし土下座する。

 

「ごめん!」

 

「ちょ!憐さん⁉︎」

 

その様子に慌てたのか響は立ち上がり憐を起こそうとする。だが、憐は頭を上げず言葉を続ける。

 

「ごめん!俺が護るって言ったのに!護るって約束したのに!俺が助けるって約束守れなかった!どれだけ!罵声を浴びせても構わないし!どれだけ!殴ってくれても構わない!俺は!それだけの事をした!本当に‥ごめん‥ごめん‥ごめん」

 

響は憐の前に行き無理をして笑う。

 

「だいじょうぶです!あんなのへいき!へっちゃらです!だから、憐さんが謝る事はありません!」

 

その言葉を聞くと憐はいたたまれない気持ちになり思わず響を抱きしめる。

 

「響‥響ィ‥」

 

「もう‥なんで‥憐さんが泣くんですか‥私も‥泣きそうに‥なる‥じゃ‥ない‥ですか‥」

 

その後、響は憐の胸で泣いた。その涙が枯れるまで泣いた。安心できる大切な人になった憐の胸で。

 

次の日バレンタインデー当日。朝早く。

 

「奏さん!」

 

「響‥大丈夫か?無理しないほうが‥」

 

「へいき!へっちゃらです!憐さんにどうしてもあげたいんです!‥女の子と意識してもらえる様に‥」

 

「お前もか‥」

 

「お前もって。もしかして、奏さんも‥」

 

「だあ!そうだよ!」

 

「負けないですよ!」

 

「私も同じだ」

 

二人は手を交わす。

 

「じゃぁ、チョコ教えて下さい!」

 

「わかったよ。その代わり特急でやれよ。バレンタインデーは今日なんだからな」

 

「はい!」

 

その日の夜‥宮殿のバルコニーで月を見ていた憐に背後にチョコを隠した奏と響が近付く。

 

「憐さん!」

 

「憐!」

 

「んーどうした?二人共」

 

憐が振り返る。その金色に輝く髪を持ち赤く光る瞳を持つ神たる男。その上空には美しい月が浮かぶ。その幻想的な光景に二人は胸が高鳴る。

 

「えっと‥これ‥」

 

「これ‥バレンタインチョコ‥」

 

奏、響の順に憐に可愛くラッピングされた包みを差し出す。憐は少し驚いた様だが手を伸ばし受け取る。

 

「ありがとう‥スゲェ嬉しい‥」

 

憐のその微笑に二人の高鳴っていた胸はさらに高鳴る。憐はもらった包みを開けはじめる。中は

 

「おぉ‥」

 

響はピーナッツの入った小さな丸いチョコで奏はピーナッツが入っているのは同じだがそこからさらに様々な形に加工しグラニュー糖がまぶしてあった。憐はまず響の方から手を付ける。

 

「うまい‥」

 

丸いチョコを噛むと中にあるピーナッツの食感がいい感じにして柔らかいチョコとベストマッチ!し、絵も言われぬ美味しさを醸し出していた。それを響の様な美少女に貰うのだ。不味いはずがない。

 

「本当ですか⁉︎」

 

「あぁ、うまい‥」

 

「よかったぁ」

 

「私は?」

 

奏に急かされて憐は奏のチョコの星形に加工されたチョコを口にする。

 

「美味いぞ!これ」

 

そのチョコはただ甘いだけでなくチョコ独特の苦味を持ち、その苦味を上に振りかけられたグラニュー糖がうまく打ち消すかどうかのところに調整されている。しかも、チョコの形に合わせて上に振りかけるグラニュー糖の量を変えていた。

 

「へっ、当たり前だろ」

 

「あとは、部屋でゆっくり味わうことにするよ。コーヒーと一緒にな」

 

「ああ!」

 

「はい!」

 

憐は部屋に戻ろうとしていた足を止め振り返り、二人に最高の笑顔で言う。

 

「ありがとうな。二人共。ごちそうさま」

 

今度こそ憐は部屋に戻る。憐が見えなくなったら二人はガッツポーズをする。

 

「ヨッシァ!」

 

「ヤッター!」

 

そして、お互いを見てハイタッチをする。

 

「「イェーイ!」」

 

二人が打ち合わせた手の音は車の音などの人の生活音が一切しない、静かなだが温かい世界の夜空に鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

 

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