聖遺物の適合者と禁断の果実(リメイク版 10話から最新) 作:百合に挟まる男を切るエルフの剣士
「翼‥そろそろ」
「ん‥」
そうやって憐は抱き付いてる翼を離す。翼は名残惜しそうにしながらも離れる。憐は離れた翼にかなしそうな目を向ける。
「翼‥悲しい事言うなよ‥」
「憐?」
「一人で背負うなんて言うなよ」
「ッ!」
「俺がこの力を手に入れて翼を助けられると思うのは駄目なのか?俺じゃ、翼の仲間にはなれないのか?」
「ううん。嬉しいけど‥あの子は‥あの子の持つギアは‥」
「ガングニールか?」
「知っていたのね。そう。あのギアは奏の‥あの子に‥奏の代わりが詰まるとは‥」
「それは違う」
「え?」
「奏さんは奏さんだ。響じゃない。二人は別人だよ」
『その通りだ』
その瞬間、翼の後ろが輝き人が現れる。
「奏⁉︎」
「おい、どうしたんだよ?翼」
「何って見えないの?憐!あそこに奏が!」
「何って、何もいないじゃないか」
「嘘‥」
混乱する翼に向けて奏は声を掛ける。
『そこの響ちゃんは私じゃない。私とは違う人間だ。だから、代わりとか考えないで認めてやってくれないか?』
「でも、あのギアは‥」
『確かにあのガングニールは私のギアの欠片が元だ。だが、忘れるな。シンフォギアは人に応じて姿が変わる。だがら、ガングニールのアームドギアは槍だけじゃない。あの子には戦う覚悟はある。だから、私は安心して任せられる。』
「おい!翼!」
「憐?」
「本当にしっかりしろよ。大丈夫かよ」
翼は一瞬奏から目を逸らし憐を見る。すぐに目を戻すがそこにはもう奏の姿は無かった。
「大丈夫だ‥憐に会えた事で死んだ者の亡霊を見ていたようだ」
「そうか‥その人はなんか言っていたか?もし、言っていたらその人の言う事を聞くようにな。(まっ、本当は俺にも見えているんだが、それを話すと色々マズイ。力についてバレたりすると二番目との戦いに影響を及ぼす可能性があるからな)」
「フッ‥お前は本当にエスパーか」
「違う‥只の人間だ」
「そうか‥」
そこまで話すと響が近づいてくる。
「憐さん」
「憐君」
「おう、響」
「憐さん、帰りましょう!」
憐はそれに溜息をつきつつも答える。
「帰るか!今日の飯はお好み焼きだ!」
「ヤッター!ヤッタ、ヤッタ、ヤッター!いっぱい食べますよぉ!」
「たく、材料買い足さないとな」
その会話に翼が待ったをかける。
「立花は憐と知り合いなのか?」
「はい!知り合いというか一緒に住んでいます!」
その瞬間翼の額に青筋が浮かんだように見えた。翼は立ち上がり響の目の前に立つ。そして、翼は響の肩を掴みボソボソと呟く。それに対し響も囁き返す。それを聞いた二人は同時に離れ拳と刀を構える。それを見た憐が慌てて止める。
「おい!お前ら止めろって!」
「そういう訳にはいかない。立花と戦わなければいけない理由が出来た」
「でも‥」
「「憐(さん)は黙ってて!」」
「はい‥」
何故か響にも止めらめた憐は大人しく引き下がる。
「立花‥ぶっ飛ばされる覚悟はあるか?」
「翼さんこそ」
次の瞬間翼と響は消えた。と思うと上空で撃ち合っていた。
「速!」
その速さは憐ですら驚く程の速さだった。さらに一番驚く事が
「くッ!翼さんの戦闘を見てた限り圧倒できると思ったのに‥!」
そう、明らかに実力差があった筈の響と互角に戦えていると言う事だ。響の強さは言った通りオーバーロードについていけるぐらいの強さである。対し、翼は上級と互角ぐらいである。オーバーロードと上級ではその差は歴然としている。なのに、翼は渡り合っている。
「あまり舐めないでいただきたい!ほんにゃらする乙女は強いという事だ!」
「それを私に言いますかぁ!」
そうして、二人は加速していく。拳と刀を打ち込み、同時に吹き飛ばされる。が、響も翼の受け身を取り己の相手を見る。じりじりと間合いも詰め、翼が飛び上がり天ノ逆鱗を放つ。響はそれを避けようとするが動かない。その理由は
「これは⁉︎」
響の陰に小太刀が刺さっていた。
【影縫い】
「影縫いだ!」
高速に迫る刀を見てさて、どうしようか?と考えていると、その刀は響に当たらないコースで飛んで来ていたのだ。響はこれは避ける必要がないと考え動かない。響の予想通り翼の天ノ逆燐は響からずれて響の横に突き刺さる。翼はそのまま落下していく。落ちた翼の側に憐と今来たばかりの弦十郎が近付く。しかし、二人は足を止めてしまう。
「翼‥お前泣いて!」
「泣いてません!この身は剣であると誓った身!剣に感情など不要!だから‥泣いてなど‥泣いてなど‥いません!」
「はぁ、憐君。頼んだ」
「了解‥」
弦十郎に頼まれた憐は翼に近付き抱き締める。
「翼‥泣いていいんだ。俺が見た事のある剣には意志のある剣だって見た事ある。そんな剣は『妖刀・魔剣』って言われてた。意志のない剣『名刀』は『妖刀』に負ける。翼は『名刀』を止めて『妖刀』になればいい」
「うん‥うん‥うん」
そうして、翼は泣き出す。憐は翼の背中をさすりながら源十郎と話をする。
「お久しぶりです。弦十郎さん‥」
「憐君‥君は聖遺物を見た事があるのか?」
「ええ、弦十郎さん達が完全聖遺物と呼ぶものも幾つか‥俺と響の家にも一つあります」
「何!だったら‥」
「渡しませんよ」
「どうしてだ?」
「言ったでしょ、意志のある剣を見た事があるって」
そこで翼が泣き顔のまま憐に話し掛ける。
「憐‥グスッ‥その剣‥グスッ‥見せて‥欲しい‥グスッ」
その言葉に憐は快く頷き答える。
「いいぜ。今から呼び出す」
「えっ!今から‥」
「その剣はカリバーンつってな別名エクスカリバーとかカリブルヌッスとか色々別名がある剣でな。‥来い!カリバーン!」
その瞬間憐の目の前に金に輝く西洋剣が現れた。憐はその剣を掴む。すると、剣から光が発せられ、光が憐をなぞるように移動する。その光は鎧を形成していく。そして、光が消えるとそこには鎧を纏った憐がいた。
「憐‥それは‥」
『シンフォギアではないわよ』
唐突に聞こえた女性の声に翼も揃って疑問を持つ。
「誰?」
「カリバーン」
「ああ、成る程カリバーン‥って」
「「ええええ‼︎」」
憐の言葉に翼だけでなく監視をしていた二課の面々も驚く。
『この鎧は私の力を圧縮した自作の鎧。シンフォギアのように総数3億165万5722のロックがかかっているわけでもない。聖詠もフォニックゲインも必要としないが、私が認めたものでしか私を扱う事は出来ない』
そこで響が憐に聞く
「憐さん。アンちゃんは?」
響の問いに憐は渋い顔で頷く。
「響‥まぁいいか。来い!アヴァロン!」
すると、カリバーンが金色の鞘に包まれる。
「「二つ目だと!」」
翼と弦十郎が同時に驚くが憐と剣達には関係なく。
『やっほー!どうしたの?マスター!』
『そうだ。マスター。なぜ呼んだんだ?見たところノイズも出ていない様だし。マスターだって知っているだろう。私を他の人ならまだしもマスターが振るえばこの辺りが消滅する事ぐらい。そんな危険な剣である私達を用もないのに呼んだのか?』
「いや、そこの俺の幼馴染の翼が意志と言うより感情のある剣を呼んで欲しいって言ったから呼んだわけ」
『『なるほど(ねー)』』
「すいません‥急にお呼びたてしまして‥」
『いや、構わない。それより貴君がマスターの自慢する幼馴染か‥』
「憐が自慢した‥⁉︎」
『ああ、マスターが【俺には、自慢出来る素晴らし‥』
話していたリン(カリバーン)急に黙る。何故なら
「リン‥ちょっと黙ろうか‥」
羞恥に身を染めた憐が殺気を撒き散らし、黙らしたからであった。そこにアンがリン以外誰にも聞こえない様に念話を憐に向ける。
『で‥マスター。それだけじゃないでしょ?』
『流石に気付いていたか‥そうだ。実はな‥(憐説明中)という訳だ』
『なるほどね‥そういう事‥』
そこでアンは念話を切り翼に話し掛ける。あたかも、自分で気付いたかのように。
『貴女‥昔の頃のカリバーンに似てるわね。まるで自分は選定の剣であろうとして感情を押し殺し感情など不要って言ってたカリブルヌッスであり、湖の乙女に鍛え上げられて変わるまでのカリバーンに』
「リンさんにもそんな頃が‥そうです。私は相棒だった人を失いました。それは自分が弱かったからだと剣に感情を持っていたから戦いに感情を持ち込んだからこそ失ったのだと。だから、感情を失うように努力しました。ですが、憐や奏を思い出す度に悲しくなり後悔してきました」
『そう、少しキツく言わせてね。そんな剣であろうとして名刀どころか剣にすら劣る鈍らな貴女を見て憐やその人はなんて思うでしょうね。人間は感情を持たない兵器にはなれない。ましてや、ノイズが現れてから貴女のように剣などのただノイズを殺す為の兵器であろうとした人間はたくさん見てきた。そのすべての人間が失敗し死んだ。人間は兵器にはなれない。それに私達意志を持つ剣‥私は鞘だけど『妖刀』は感情をなくそうとした時からはただの剣に劣る。感情があるから私達は強いんだ。それをよく覚えておけ』
アンの言葉は最後は怒りで口調が変わった。憐はまさかここまで言うとは思わなかったのでアンを咎めるが
「アン、少し言い過ぎ‥」
「良いんだ。憐。アンさんの言う通りだ」
そこで翼はアンに聞く。これから自分はどうすれば良いのかを。
『それは‥』
『おっと、リンちゃん。ストップ』
「何故ですか⁉︎」
『貴女は自分の生き様まで他人聞くの?極端な話、私達が『人殺し』になれ‥』
「『アン‼︎』」
その瞬間アヴァロンからまるでなにを咎める様に甲高い金属音がなった。カリバーンが内側から攻撃したのだ。
「アンさん?」
翼が疑問を持ち何故リンと憐が怒ったのかを聞こうとすると
「あ‥アァアアアァァァァァァァァァァ!」
突然、頭を抱え響が叫び出した。
「立花⁉︎」
あまりに突然の事で翼は戸惑うが憐達は慌てた顔をする。
『ヤバ‥』
『響!』
「リン‥後で説教」
「うぁ‥ガァァァァァァ!」
響の胸の部分から黒いものが広がり響を染める。響は瞳が赤くつり上がり、その瞳以外は漆黒に染められていた。
「ガァァァァァァァァァァァ‼︎」
そのまま憐に向かって突っ込んでくる。憐はその様子に慌てずにアヴァロンとカリバーンを構え、響を避ける。響の攻撃を避けつつも冷静に考える。
(さて、響は怪我一つなく保護。こちらは武器を振るえば響が消し飛ぶから使えない。実質、拳一つで止めるのか‥無理ゲーだな。俺じゃなきゃな)
そう普通なら無理でも憐は何十億のインベスをまとめ上げる実力者。しかし、ここで大切な事に気付いた。
(あれ‥極‥使えないんじゃね‥)
そう、今は翼も二課の人間も見ている。誰が二番目と繋がっているかがわからない今、正体をバラすのは下策でしかないのだ。よって、
(蔓も使えない‥!だが!)
そう、バラすのは下策だが、
(バレなきゃいいんだよ‥どこかの混沌が言ってただろ。‥バレなきゃ犯罪じゃないんですよ‥)
要するにバレたらマズイのだからバレないようにすればいいのだ。ので、
「アヴァロン‼︎」
『はいな!マスター!』
その瞬間アヴァロンが強烈な光を放つ。アヴァロンはその光に人間が見ると必ず見えなくなるような光を混ぜる。
「むぅ!」
「クッ!」
「ガァァァ‥」
皆が視界を奪われた一瞬の隙を抜い、神の力を発現して響に近づき胸の中に手を突っ込む。そして、響の中にある響を侵食するガングニールの欠片をシンフォギアを纏うのに必要な量を残して、取り除く。光が止む頃には、暴走が解けた響が気を失い憐の腕にもたれ掛かっていた。
「弦十郎さん‥響を‥」
憐が何かを弦十郎に言いかけた時だ。不意にクラックが開く。響を除いた全員がクラックを見る。しかし、考えていることまで一致はしなかった。
憐は疑問
(あれ、うちのクラックだよな。何かあったのか?)
翼は復讐心
(あれは、二年前の!奏を襲った!)
弦十郎は興味
(あれは‥二年前に確認されたものか‥)
カリバーンとアヴァロンは確認
((マスターが警戒していないからあれはヘルヘイムの方ね))
皆が見ている前でクラックの中から異形の怪物が出てくる。オーバーロードであるマキシムだった。
「お‥」
憐はマキシムが呼ぼうとするのを誰にも見えないように手で制する。マキシムはそれを見て理解し改めてどうするかと考える。しかし、それより先に憐が叫ぶ。
「何者だ!」
マキシムは憐の意図を汲み取り返事をする。さぁ、茶番といこうか。