番取り! ~これはときめきエクスペリエンスですか? いいえゴールドエクスペリエンスです~ 作:ふたやじまこなみ
その時その時にした最善の行動が、最終的に最良の結果となるとは限らない。
良かれと思い積み重ねていった足し算の終わりに、マイナスの掛け算が待ち構えていた時、すべての選択が絶望への加速となることを、その時の私はまだ知らなかった。
私がギターを手にした理由は単純だ。
大好きだった父が、家でいつも引いていた楽器だったからだ。
「バンドっていうのは世間で言われてるほど不良でも、危なくもないんだ。そこにあるのは魂の輝き。ロックなんだ」
そう言って楽しそうにギターをかき鳴らす父を、私と妹は憧れの視線で見つめていた。
そんな父の背中を見て育った私たち姉妹が、ギターに手を出すのも自然な流れだった。
私がギターで妹がベース。そしていつか親子でバンドができたらいいねって、笑いあったっけ。
そんな夢みたいな幻想が壊れたのは、私が中学校に入ってすぐのことだった。
父が一念発起して引っ越ししてきたこの街で、手ひどい裏切りにあったのだ。
「やられた……三澤め。最初からそのつもりだったのか……」
そう力なくつぶやく父の表情は、今までに見たことがないほど弱々しいものだった。
信頼していた友人に裏切られ、仕事まで失った父はすっかり意気消沈してしまい、心を病んでしまった。
母はそんな父に愛想をつかしてしまい、家を立ち去ってしまった。
私は必死に引きとめようとしたが、妹もそれについて行ってしまった……。
私はバラバラになってしまった家族を、元の幸せな形に戻したかった。
でも父はすっかり気力を失ってしまったし、妹にいたっては居場所すらわからなくなってしまった。
何か私にできることはないだろうか。
でも私は所詮ただの中学生。できることは少ない。
趣味だってギターを弾くことくらいしかないし……。
そう思い悩んでいた時だった。
路地裏の掲示板に張り出されたポスターに、求む女性ボーカル兼ギターの文字。
バンドメンバー募集の張り紙だった。
これだっ!
私は一二にもなく飛びついた。私がバンドをやって、その姿を父や妹に見せるのだ。
そうすれば父だって元気になり、有名になればどこかに行ってしまった妹の目にだって触れることができるだろう。
そうすればみんなあの頃を思い出してーーあの頃が帰ってくる。私はそう信じた。信じたかった。
募集していたグループの名前は「SkaterBoys」。
聞いたことのない名前だったが、界隈ではそこそこ名の知れたグループのようだった。
インディーズとしてCDも出しているようだし、今回の募集も元々いた女性メンバーの代わりのためということもあって、安心感もあった。
オーディションが開かれた場所は、「ビーバーズ」というライブハウスだった。多少繁華街から外れたところにあったが、ビーバーをモチーフにした看板がアクセントを効かせた店構はなかなかのものだった。
SkaterBoysはこのライブハウスを拠点に、月に何回もライブを開催しているようだ。
通常なら営業日であったが、本日は特別なオーディションをするということで臨時休店しての開催だった。
競争率は相当なものだった。
オーディションへの参加資格は、腕に自信があるものーーそれだけだったこともあり、多種多様な女性ギタリスト達が集っていた。
やや扇情的な服装の志願者が目立ったが、ロック系のグループみたいだしこんなものかと割り切った。
私もせいいっぱいのおしゃれをしてきたつもりだ。
そして今、私を含めたすべての志願者の演奏が終わり、その結果を祈るような気持ちで待っていた。
正直、自信はなかった。他の人たちの演奏を聴くたびに、負けたと思うシーンもあった。
でも、今の自分に出せる最高の演奏は出来たと思う。
そして幾許かの時が過ぎ、レストルームにやってきたビーバーズのオーナーが私に向けて親指を立てた。
「合格だ」
「本当ですか!?」
私は喜びのあまり飛び跳ねてしまった。
合格ーーつまり、これで私はSkaterBoysのメンバーになれたのだ!
私の実力で大丈夫か?
中学生でもメンバーとして認めてもらえるのか?
私も散々悩んだが、思い切って参加して良かった。
「これで私もステージで歌うことができるんですね?」
「ああ、そうだな」
「ありがとうございます。ありがとうございます」
私は重ねてお礼をいった。
「じゃあ、今後の打ち合わせをしたいから、第二に来い。他のメンバーも待ってるから」
「はいっ!」
オーナーの案内に従って、第二スタジオに入っていく。
そこにはSkaterBoysのメンバーと、見知らぬ数名がいた。
スタッフの方かな?
ただちょっとガラが悪い感じだった。挑発的な服装。こうしたライブハウスでは珍しいわけでもないが、ちょっと気になった。
こちらを見てやらしそうにニヤついている。
「やぁ、おめでとう西本さん。これで君もSkaterBoysの仲間だ。君みたいな可愛い子がうちに来てくれて嬉しいよ」
そうにこやかに話しかけてきたのは、SkaterBoysのリーダーでドラムを担当している男性だった。
名前は確かタクトさん。
「自己紹介は必要ないよね。僕たちのことは当然知ってると思うし。
僕らも君のことを見ていたから知ってる。オーディションのギター、いい演奏だったよ」
「あ、それは……はい。ありがとうございます」
改めて言われると照れてしまう。
認められたみたいで。
「じゃあ、これから親睦をかねて一杯行こう。用意はしてあるんだ。親睦パーティみたいなもんさ」
「パーティ、ですか? 打ち合わせって聞いたんですけど」
なんだか強引で、気が引けてしまう。
「それはまぁ、おいおいね。俺たちはまずもっとよく知り合うべきだ。
同じバンドのメンバーになったんだからね。そうだろう?」
「それは、そうですけど……」
これは予定になかった。もう日も暮れてきたし、この周辺は治安も悪いので長居はしたくない。
それにパーティの準備がテーブル上にされているが、あそこにあるのはお酒じゃないだろうか。
SkaterBoysのメンバーはプロフを見る限り、全員10代のはずだ。私も当然未成年なんだけど……。
頼りになりそうなオーナーを探すと、「俺はもう帰るが、ほどほどにしとけよ」と言いつつ、姿を消してしまった。
少し嫌な予感がしてきた。
「あの、私……今日はすみません。帰ります。家の準備もあるので」
「おいおい、それはないだろ」
「俺たち君のためにこうして頑張って準備したんだけど、それを無駄にするわけ?」
私が帰るそぶりを見せると、今まで優しそうだったメンバーが非難するような顔で咎めてきた。
彼らはたぶん高校生以上。私よりずっと大人だ。怖い。
「でも……いたっ!」
右腕に痛みを感じて振り返ると、メンバーではない一人が掴んでいた。
「もういいんじゃないっすかタクトさん。俺もう我慢できないっす」
「そうだな……酒に酔わせてからと思ったが、あとで飲ませばいっか」
何言っているの?
何がいいの?
「はっ、離してくださいっ! 私帰りますっ!」
「いまさら何言ってんだ。お前だってそのつもりだっただろ?
なんで自分がうちに受かったと思ったんだ」
「だって、私の演奏が良かったってさっき……」
「何勘違いしてるんだ。お前程度の腕で、うちのギターを張れるわけないだろ」
「じゃあ、私が選ばれた理由って……」
私はここに至りようやくここにいる男たちの目的が分かって、目の前が真っ暗になった。
私は今までクラスのみんなにバンドの話をしたとき、バンドやライブハウスは危険だとか近づかない方がいいって反応をされて悲しかった覚えがある。
特に女の子が関わるのはもってのほかだって。
でも実際に彼らのいう危険は、こうして起きるものなんだ。
「……っ」
腕を掴んでいた男の隙をついて、私はスタジオの出口に向かって駆け出した。
しかし飛び出そうとしたドアには鍵がかかっていた。
それを空けるために戸惑い、ようやく空けることができたと思ったら、襟首を掴まれてしまった。
「きゃあっ!」
「あっぶねー。ちゃんと押さえてろよ」
「すまんすまん」
「たすけて……っ!」
少し開いたドアの先に叫んだが、反応はなかった。
掴まれ抑えられた私は、ステージの上まで運ばれた。
周囲を男たちが取り囲み、もう逃げることはできない。
彼らの顔に浮かぶのは、下卑た笑み。笑み。笑み。
これから自らの身に起きることを悟って、絶望した。
誰か……誰か助けて。
☆
ライブかと思ってスタジオに入ったら、レイプだったでござる。
あまりに突然過ぎて、せっかくのポルナレフ状態なのにあの言い回しが出てこなかった。
せっかくの使い時を見誤ってしまった。こがね一生の不覚。
ってか、たまたま入ったライブハウスの夜の営業はレイプハウスになりますとか、相変わらず芸能界の闇さんは期待を裏切らんな。
ファンは食われ、メンバーは打ち上げおせっせ。
街外れのライブハウスは、やはり危険がいっぱいなのだ。女の子が呑気にいていい場所ではない。
おーい原作ぅ、息してるぅ?
「おいおい、ちゃんと締めとけや。ってか見張りは誰もしてなかったのかよ」
「あー、すいません。看板返しといたんすけどねー。鍵かけ忘れたのかなー
でも先輩たちだけ楽しむなんてズルイっすよ。俺たちも混ぜてください」
看板返しといたって、ビーバーが煽り顏してたあれか。
あー、あれ営業時間外だったわけね。おかえりくださいませご主人様ってか。
んなもん分かるかよ。どおりで店員いなかったわけだわ。
ってかどうせならしっかり鍵かけといてくれよ。おかげでめんどくせー場面に遭遇しちまったじゃねぇか。
今更ながら下っ端っぽいオトコが、スタジオ入り口に鍵を掛けた。内鍵だが簡単には開けられないタイプのようだ。
あー、閉じ込められてしまったなぁ(棒)
「ったく、お前らは仕方ねぇなぁ」
「ま、おかげでこんな可愛い子たちが追加されたんだから、いいじゃないっすか!」
「盛り上がってきたー! 今日は一仕事終えて疲れてたんだが、元気ビンビンだぜ!」
「ちげえねぇ」
ギャハハと偉く楽しそうなご様子。
格好からして、こいつらはなんらかのバンドメンバーなのだろう。ステージ上の楽器類が片付けられていないことから、ライブ中の興奮のままハッスルしているものと思われる。
ポケモン世界じゃピカチュウはライチュウに進化するが、この世界だとライブ中はレイプ中に進化するらしい。
レイプ中、元気でチュウってか? 楽しそうで何よりだよ。死ね!
横を見ると鵜沢リィが顔面ブルーレイとなっていた。
恐怖とか絶望とかいうタイトルで、再生できそうなくらい真っ青である。
密室。犯罪現場。男8人。
陽気なリィちゃんも自分がどんな状況にいるかをしっかり理解しているようだ。
この後に何が起こるかも想像しているにちがいない。
体も震えており、我慢しようとしているようだが出来ていない。
俺も想像してみよう。
この後か、何が起こるのだろうか……
「オラオラぁ!!」←誰かが突っつく声
「やめてっ!」 ←誰かの悲鳴
「イくぅ!」 ←誰かが逝った声
くっ、なんて酷い……これが人間のやることか!?
想像したら腹が減って来た。
スタンド使うと腹が減るんだよね。別にカロリー消費するとかじゃないんだけど、たぶん精神的な補完なんだろう。
ただでさえ今日はSPACEなくなってショック受けて、その後歩き回ってるし……
今日はカツ丼かな。
「じゃあ、はい。君たちも前に行こう!そんなに怖がらなくても大丈夫だよ。
ただの楽しいパーティするだけだから」
後ろから近づいてきたギョロ目の男が、俺と鵜沢の肩に手を回し、前に行くように促す。
「い、いやなんじゃ……」
鵜沢の足が凍りついたように動かなかったが、男は力ずくで押した。
俺と鵜沢は促されるまま一緒にステージ前へと移動した。
「ヒューヒューっ!」
「んーっ!」
ステージ上では囃し立ててくる男たちの中心に、女の子が横たわっていた。
男たちはみんな笑顔である。
晴れやかで、ホント楽しそうだ。
うーん、マミりたいこの笑顔!
一方の女の子は涙目で半裸で仰向けになっており、口に何が詰められているため声が出せないようだ。
パンツかな?
同人誌だとよくあるけど、自分のパンツとか口に入れたくないなぁ。かわいそうに。
「見ろよタクト。よく見てみると後から来た2人もすっげぇかわいいぞ。
3人揃うとアイドルグループみたいだ。こんなラッキーある?」
「いやぁ。コレからって時に水を差されたけど、これは嬉しいプレゼントだねぇ」
タクトと呼ばれたビジュアル系バンドリーダーの見本みたいな男が、俺と鵜沢を見定めてきた。
1人が地べたで泣きべそ半裸。1人が蒼白ブルブル。1人が仏像諦観ヅラ。
こんなアイドルグループあってたまるか。個性あふれるメンバーで有名な346プロにだっておるまい。
にしてもコレからって……あ、ひょっとして未遂か。半裸の子はまだセーフだったわけね。
これはたしかにラッキーでしたね。
誰にとってのラッキーかは知らん。少なくとも俺ではない。
はぁ。
「あの、一応聞きますけど、今なら見逃してあげますよ?
正直今日は溜まってて、そんな気分じゃないんです」
「残念、そういうわけにもいかないんだなー。見逃すわけないでしょ?
それに俺らもオアズケくらって溜まってるんだからな。フヒヒヒ」
読解力のカケラもないようだな。
溜まってるって奴なんだけどなぁ……疲れが。
しょうがないにゃあ……
「フヒヒヒヒ…ヒ、い、いでっいでででででっ!!!いでーっ!!」
俺の左肩に回された手を掴み力を込めると、メキョメキョとあり得ざる音を立て、ギョロ目男が悲鳴をあげた。
そして力のままにステージ上に投げ飛ばす。
セットされていたマイクスタンドやドラムセットが最期の演奏をして、派手に飛び散った。
タクトも鵜沢も女の子も、誰も彼もが目の前の光景に目を離せず、唖然としている。
「見逃してくれないみたいなので、見逃してあげません。ではいきましょうか、ゴールドエクスペリエンス」
☆
自明の理という言葉がある。
説明するまでもないという言葉を多少着飾った言い回しだ。
人間はスタンドには勝てず、戦えばどちらが勝つかは常に明白である。
ただ、肝心のゴールドエクスペリエンスさんが自ら輝いてくれないおかげで、相手に理が通じていないというのが悲しいところだ。
黄金なんだけどなぁ。
「っこの! 何しやがる!!」
最初に我に返って掴みかかって来たのは、ステージで笑っていたうちの1人だった。しかしその表情はいまだに半信半疑といった様子で、目の前にいるのが虎だということに気がついていない。
伸ばされた手を逆に掴み返してあげると、背負い投げの要領で地面に叩きつけてあげた。2回ほどバウンドし、最後に顔面から床にキスをして事切れた。
見事な床ぺろだな。
うむ。そこで掃除でもしていてくれ。
次に手がけたのは、体勢を整えた先で目に入ったロン毛である。
俺は姿勢を低く構え小柄な体型を生かすと、這い寄るように近寄り躍動感あふれるアッパーをくりだしたーーが背をそらして避けられたーーが当たった。
不思議だねぇ?
相手にとっては避けたはずの拳がなぜか炸裂し、体が黒ひげ危機一発のような放物線を描く。
落ちた先にあったクラッシュ・シンバルを打ち付け、その名の通りクラッシュさせる。カップが軸からはずれ落ち、悲しい音を立てた。
そしてまた無音。
誰も彼もがまだ、目の前の状況に理解が追いつかず、呆然としているようだ。
おいおい、もう3人もやられちゃったぞ? あと5人しかいないけど大丈夫か。
なんかまとまりが悪いなぁ。
こんなガラの悪いバンド、何かの不良チームだと思ったけど違うのか?
「あ、一応聞いておきますけど、あなたたちはツインズだったりします?」
そうだったら都合がいいんだけど。
「ツ、ツインズなわけがあるかっ! 俺たちはSkaterBoysっていうバンドで……っ」
「ならいいです」
「ぐわぁっ!」
あ、4人になった。
こいつらはきっと、弱いものイジメには慣れていても、本気の暴力に触れたことはなかったのだろう。
もし過去に人を本気で殴ったことが一回でもあれば、俺がパンチしただけで男1人約60kgが宙を舞うことの異常性にすぐ気づけたはずだ。君たちだって紙人形じゃないんだからさ。
2リットルのお~いお茶30本を、片手で放り投げてるようなもんだ。
……そう考えると異常すぎるな。こんなにシャボン玉のようにポンポン飛ばしていいものだろうか。
まぁ北斗神拳みたく、はじけて消えるわけではないので許容範囲か。
そうそう、八極拳八極拳。
その点タカトシとかは喧嘩慣れしてたな。
最初に投げ飛ばされたのを見た時点で危険性に気付き、即座に包囲してくるあたり分かってた。どっちにしろ無駄だったがね。
それに比べてこいつらの対応力のなさと来たら……
どいつもこいつも未だに痴呆老人みたいにポカンと口を開けているだけ。
知性が顔面に出てるよ。見てられないから暴力で塗りつぶす。3、2……
残り1人か。
「う、動くなぁ!!! こいつがどうなってもいいのか!」
最後の1人となったタクトが、被レイプ未遂少女の首筋にナイフを当てていた。
あれだけいた仲間があっという間にやられ、最後は自分1人。必死の表情で、またも泣き出しそうな少女を拘束している。
あれ、なんかつい先日も見たような気がするぞ、この構図。
人質好きだなぁ……
追い詰められた悪者が最後に人質をとる。これは一種の様式美なのかもしれない。
でもさぁ……?
「動くと、どうなるんですか?」
「っ! これが目にはいらねぇのか!?」
「はぁ、いいですよ。どうぞやっちゃって下さい」
「は?」
俺のあまりといえばあまりな返答に目を剥くタクト。
「っていうか、誰ですか? その子」
「誰って……」
「何か勘違いしてるみたいですけど、私、別にその子を助けるために戦ったわけじゃないですからね?」
正義の味方じゃないんだからさ。
人質ってのは家族とか友人とか、近隣者だから意味があるんだよ?
なんの関係もない村人を人質にとったからって、それで効果あるのRPGの聖女キャラぐらいだよ。
「いいのか! 俺はやるといったらやるぞ!!」
「はいはい。いいですからやっちゃって下さい」
やった後ボコるだけである。簡単なお仕事。
お、あれだけ暴れたのに、つまみと酒が無事だよ。
酒はーーボンベイサファイアか。カクテルでも作る気だったのか封が空いてる。
これのロックが好きだったんだよなぁ。
「俺は、やるぞーっ!!」
「はいはい、どうぞどうぞ」
うう、美味そう……これでいっか。
「やるぞー!!」
いいからやれよ……
2度同じこと言わせないで下さいよ。やっぱ頭悪いんだなぁ。
バカバカしくなった俺は、目の前の誘惑に負けてドライジンのボトルを一気にあおってしまった。
くぅ~っ! たまらん!!
「お前……それ」
未成年によるアルコール度47%の一気に、注意が完全にこちらに移った。
……あ、もちろん歯をクラゲにして吸収したから! 原作でジョルノがやったやつだから! ……ひっく
「はい、さようなら」
手にしたボトルをゴールドエクスペリエンスがサイドスロー。
全力投球したガラス瓶はタクトの顔面にぶち当たると、鼻の骨とともに砕け散った。
ストラーイク! レイパーアウト!!
よし。帰るか。