番取り! ~これはときめきエクスペリエンスですか? いいえゴールドエクスペリエンスです~   作:ふたやじまこなみ

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第26話「正解は1つ?」

24時間営業。飲み放題、食い放題。備え付けの楽器はご利用自由。それでお値段オールタイムFREE!

そんな夢のような練習スタジオ、あると思う?

 

「んやー!! ないよ、こがねちゃんっ! ここはないよ!」

「いえいえ、鵜沢さん。あるんだなこれが」

 

なんせ栃木じゃないからね。ここは栃木より都会だから。

為せば成る、探せば見つかるライブハウス。

ってか最近できたんだけど。

 

「ないったらない! だって、ここビーバーズだよね! なんでまたここにくるんじゃー!」

 

週末を迎え、俺は鵜沢リィと西本ゆりを連れて、とあるライブハウス前に来ていた。

このライブハウスを鵜沢のように一部の人は、まだビーバーズという。

 

「ビーバーズ? 何を言ってるんですか、看板をよく見てくださいよ」

 

確かにここは、鵜沢のいう通りビーバーズのあった場所だが、しかし訂正すべきだね。

そう、正確にはここはビーバーズ跡地。

 

「看板って……あ、木彫りの看板がなくなってる!」

 

……いい材質でしたよ。よく燃えたし。

 

「店名が変わったんですよ」

「んむむむむー。でもそれらしい看板がないけど……」

 

「そこです! 名前がなくなったのがポイントなんですよっ!

 店名のあった場所が空白ーーそれすなわちSPACE! ここは生まれ変わった新しいライブハウス、新生『SPACE』なんですっ!!」

 

SPACEが ないなら作れば いいじゃない

 

俺の目には遠い空に、誰かの顔が浮かんで見えた。

 

そう、大切なのは『原作に向かおうとする意志』なんだよ。

向かおうとする意志さえあれば、たとえSPACEがなくなったとしても、いつかは原作へとたどり着くだろう? 向かっているわけだからな。違うかい?

 

だから女の子が安心してバンドできるライブハウスは、俺が作る。

やりきったババァの意志はこがねが継ぐから……っ

 

「店名と共に、ここのオーナーも心を入れ替えましてね。経営方針はラフ&ヒールから、ラブ&ピースへ!

 女の子たちの利用はいつでも自由、そして無料という、夢のようなライブハウスになったのです」

 

「なんか逆に怪しくなってる気がするけど……ってそうじゃないんじゃー! 

 こがねちゃん! ゆりちゃんの気持ちも考えてよ!」

「西本さんの気持ちですか……?」

 

はて……?

 

そういえばさっきから一言も口を開いてないなとゆりを見ると、目をつぶって何かに耐えるように体を震わせていた。

出発前の、ライブだ練習だとウキウキしていた面影が微塵もなくなっていた。

 

「あっ!」

 

ゆりにとってここはレイプ未遂現場なのかっ!

 

俺は、被害者を事件現場に連れ込み、声高にアピールしていたのだ。

ゆりは今、トラウマを刺激されているのである。

我ながら鬼畜の所業といえよう。

 

「あー……すみません、西本さん。そこまで気が回らず……」

 

正直、ゆりのこととか何も考えてなかったわ。

 

やってることがタクトたちと同類である。これじゃTS転生させられても仕方ないかもしれん。

 

何が『原作へと向かおうとする意志』だよ。アホか。

完全に結果だけを求めて近道して自滅してた。アバッキオに助走つけて殴られそうだわ。

 

しかし言い訳させてもらうと、俺も万能ではないからそこまで考えて行動はできないのだ。

限られたリソースの中で戦い続ける俺は、常に取捨選択を迫られている。

その中心には常にポピパのメンバーのことだけがあり、その他はどうしても二の次になってしまう。

そこまで慮って行動することはできない。

 

これがゆりじゃなく香澄だったら、看板と言わず店ごとバーニングファイアして、記憶よ消え去れと消去していたのだが……優先順位を付けすぎた弊害かもしれんな。

 

あー、とにかく何か言わんと。

 

そうだ。前世で培った名言を利用して慰めるんだ!

 

「いえ、西本さん……違うんです。聞いてください」

「えっ……」

 

顔を上げたゆりと俺は、真摯に向かい合った。

 

「本当は今日、わざと西本さんをここに連れてきたんです」

「わざと……?」

 

「なぜだかわかりますか?」

「……」

 

「……」

「……」

 

「……(汗)」

 

な、なんでだろうね?

 

何もでてこない!

 

普段あれだけどうでもいいスラングは飛び出てくるのに、肝心な時には何も頭に浮かんでこないんですけど!

基本的にアニメやゲームしかやってなかったせいか、ろくな言葉が出てこない。

ここにきて俺の薄い人間性が露呈してしまった。今更だけど。

 

諦めたらそこでバンド終了ですよ?

 

もっと熱くなれよっ!

 

登り続けるんだ、このバンド坂を……

 

うーん、無理やり絞り出してみるが、どれも違う。違う。

というか言うのが俺である以上、名言の裏付けとなる説得力が欠片もない。

 

香澄が「私、人の嫌がることを進んでやるよ!」っていうのと、俺が「人の嫌がることを進んでやります!」のに大きな差があるのと同じだ。

俺が何言っても、邪悪さしか感じられない。

 

なんだなんだ……どう言えば正解なのか。

正解はどれだ……

 

「ーーわかるよ、こがねちゃんの考えてること」

 

え、わかっちゃうの!? 

まだ俺、何にも言ってないんだけど!

 

「こがねちゃん、気付いてたんだよね。……私がギター持てなくなってること」

「んやー!? ゆりちゃん。それホントー!?」

「うん……あれからね、ギターを手に取ると、手が震えるの。ほら、鵜沢さん見て」

 

鵜沢の疑問に答えるようにケースからギターを取り出すゆりの手は、確かに彼女の心を表すかのように小刻みに震えていた。

 

「ギターを構えるとね、オーディションのことを思い出しちゃって、どうしても怖くなっちゃって……」

「ゆりちゃん……」

 

でもねーーと、ゆりは言葉を続ける。

その瞳にはいつの間にか、輝く光が灯っていた。

 

「……こうしてここに来たことで、自分の心に向き合うことができた気がする。

 ーーこんなところで立ち竦んでるようじゃ、ライブとかできるわけないよね! りみにも胸張って会えないっ!」

「ゆりちゃん……いいの?」

「リィ、やろうよ。音楽」

 

そう言ってゆりは、握りしめたギターをジャジャーンと弾き鳴らした。

手の震えは止まっていた。溢れ出るゆりの決意の輝き。

その音はアンプに繋がれてないにも関わらず、力強く周囲に響き渡った。

 

「うおっ、まぶしっ!」

「? こがねちゃん、何がまぶしいの?」

 

「いえ、西本さんの光で、心が浄化されそうになりまして……」

 

……こいつ、俺より黄金の精神あるんじゃね?

 

完全に自己解決してしまった。

そうか。腐っても彼女はグリグリのバンドリーダー。

薄っぺらい俺の言葉なんか、全く必要なかったみたいだな。

 

しかし兎にも角にも問題解決! 正解はひとつじゃないよね!

 

 

「んむむむむ~、悔しぃーけどやっぱ音が良く響くよねー」

「オーディションの時に聞いたんだけど、ここ、ライブの時に使うらしいよ」

 

持ち込みのベースとギターにアンプをつなげ、和気藹々と調整を始める鵜沢とゆり。

初見の場所にもかかわらず、彼女たちの手の動きは流れるようにスムーズでよどみがなかった。

 

「家で鳴らすのとはやっぱりちょっと違う」

「ね。壁もそうだけど、機材の差もあるのかやー☆」

 

ここ第1スタジオは、ビーバーズーーじゃなかった新生SPACEにあるメインで使用されるスタジオだ。

第2スタジオと比較しておよそ2倍ほどの収容人数をほこり、オーナーや利用者は「おっきい方」と呼んでいた。その分基本料は高い。

ライブを開催する際に主に使われる場所であるが、それ以外の時は練習スタジオとしても開放しているらしい。

その際には、セットされている舞台装置を自由に使うこともできるようだ。

 

何も考えずゆりを新生SPACEに連れてきたことから分かるように、アーサー王なみに人の心がわからないことに定評のある俺であるが、さすがにゆりを第2スタジオに連れ込むことは憚られたので、オーナーと交渉してこちらの使用権を勝ち取ったのだ。

料金? もちろん無料だよ。タダより安いものはない。

 

「でも悪いねーこがねちゃん。リィちゃんたちだけ練習しちゃってー」

「いえ、気にしないでください。ここのドラムセットはメンテ中みたいですから仕方ないです」

「こがねちゃんも、個人のドラムセットはさすがにまだ持ってないよね」

 

ドラムセットどころかシンバルも持ってないよ!

これから買う気も全くないよ!

 

まぁ、いくら吹奏楽部に入ってるからといって、シンバルまで買って自宅で練習するなんてガチ勢はそうそういないだろうけど……

そもそも吹奏楽でのシンバルと、ドラムセットのクラッシュシンバルって全然用途用法違うしね。

 

つまり俺は手ぶらだった。

今はノーハンドで本来ドラムセットがあった位置に、腰掛けているだけである。

 

「んやー? メンテ中って、この前のアレが原因?」

 

鵜沢の頭に浮かんでいるのはきっと、俺のスマッシュにより場外へと弾き飛ばされたドラムセットだろう。

男たちの下敷きとなったあれは、哀れ残骸へと成り果てていた。

 

「えー、そうですねたぶん。でも別に気にする必要はないですよ。でもあれを咎める奴はいないでしょう。責任があったとしても、それは私たちじゃないです」

 

俺は悪くねぇ!

 

正確にはあの後、砲弾となったKがもっかいぶっ壊してるけどね。それでも俺は悪くない。

そのため予備すら失ったこのライブハウスには、現在備え付けのドラムセットが欠けている。

 

「ドラムがないので練習できなくて残念です。ドラムがないんだから仕方ないですよね。なんせドラムがないんですから!」

 

もちろんこんなの口だけである。

下手に練習に参加したら、なし崩しでやることにされそうだからね。

流されてグリグリのドラム担当にされないように、予防線を張りまくっているのだ。

 

「でも早く直るといいんじゃー」

「だね。そしたらさ、みんなでセッションしようよ!」

「そうですね。メンテが明ければやります。メンテが明ければね……」

 

Q:メンテが明けたらどうなるの?

A:メンテが始まる。

 

残念だが無限メンテだ、がはは。

しばらくここのドラムが直ることはないだろう。

 

俺はドラムの練習なんてしたくない。

少なくとも二十騎ひなこが見つかるまでは、ドラムセットは不幸な事故によりメンテし続けることになる。

現状、ひなこを探すのはとーぶん先だけど。

 

「ヘヘーーーーっ☆ でもライブかぁ。実感わかないんじゃー」

「もう、鵜沢さん。まだ初日。それも練習の初日なのに気が早いよ」

「でもでもー、こうやってステージに立つと意識しちゃうよ。こんなに広い席のいーっぱいの観客をさ。……ってそんなに人が来るわけないか☆」

 

照れた様子で、頭を掻く鵜沢。

 

「見にくる人はいっぱいいると思いますけど」

 

何と言っても、ガールズバンドだしな。女の子だけなんだぜ?

人は集まることだろう。良くも悪くも。

 

「フッフーーー☆ それは、これからの頑張り次第だね!」

「そうだよ、鵜沢さん。響かせようよ、私たちの音を……この会場が人でいっぱいになるくらいに」

 

「ゆりちゃんっ……!」

「鵜沢さんっ……!」

 

ゆりがキラキラした瞳で思いをぶつけると、感化された鵜沢の瞳も輝きだした。

 

「ーーううん。リィ。今更かもしれないけど、鵜沢さんのこと、リィちゃんって呼んでいいかな?」

「ゆりちゃん……そんなのもちろんなんじゃ! さっきみたいにリィって名前で呼んでよ。

 リィちゃんたち、同じ夢を持つ仲間だもん」

 

ふたりは自然に手を取り合い、向かい合う。

 

「ゆりちゃん……!」

「リィちゃん……!」

 

「ゆりちゃん……!!」

「リィちゃん……!!」

 

「ゆりっっ……!!!」

「リィっっ……!!!」

 

「ゆりっっっ……!!!!」

「リィっっっ……!!!!」

 

 

 

百合ィ!!!!

 

二十騎ぃ!!!

早く来てくれぇ!!!!

 

 

友情?を確かめ合った二人は、一層和気藹々とセッションを始めた。

 

「もう、リィちゃんったら、その音はダメだよ〜」

「ゆりちゃんこそなんじゃ〜」

 

キャッキャ♪

 

一方の俺はステージの片隅で、膝をかかえて頭に花を咲かせていた。何の花かは言わなくてもわかるよね。

そう今の俺は、キマシタワーのたもとに咲く一輪の花だ。

塔がどんどん大きくなっていくのを、ひっそりと見守る肩身の狭い植物である。

 

前に草や花に生まれたかったって思ったけど、草や花になってもいいことないね。うん。口から花粉出そう。

 

「あ、ごめんね。こがねちゃん。つい夢中になっちゃって……」

「んやー、あはは。あ、これ今の曲の譜面なんじゃ」

 

しばらくして塔の建設を終えた彼女たちは、今更ながら俺の存在に気付き申し訳なさそうな表情で謝ってきた。

 

気にしないで。立派な塔ができたね。

その塔が大好きな人たちもいっぱいいるから、増築してもいいんだよ。

でもやるなら俺の知らないところでやってね。日が当たらなくて枯れるところだったから。

 

「譜面ですか」

 

さっきまで弾いていた曲がこれのようだった。

渡された譜面によると、こうした練習の定番曲のようなのだが正直よくわからん。

キラキラ星ではない。

 

「でもやっぱゆりちゃんはうまいんじゃー。こうして音を合わせるとわかるよ。オーディション受けるだけのことはあるね」

「あれは……あの時は必死だったから」

 

この花もセッションを聴いていたよ。実際ゆりの演奏は大したものだった。

以前鵜沢リィのベースを聴かせてもらったことがあるが、明らかにそれ以上の実力を感じさせた。

 

もちろんギターとベースでは楽器が違うが、それを加味してもわかる差だ。

小さい頃から家族で嗜んでいただけのことはある。

 

とはいえそれも、比較すればの話だ。

 

「わたしからすれば、鵜沢さんのベースも上手いと思いますけど」

「んやー、リィちゃんなんて、まだまだだよー。店長からも「あなたにステージはまだ早い」ってよく言われるんじゃー」

 

「そんなことないと思う。リィちゃんの音には安定感があるよ。ベースはそれが一番重要だって、お父さんもりみによく言ってた」

「あ、そっかー。ゆりちゃんは妹さんとよく一緒にエンソーしてたんだっけ。そういうアドバイス、もっと聞かせてよ」

「うん。私の知ってる範囲でよければーー」

 

と、鵜沢とゆりがお互いに意見交換をしていると、出入り口の扉がカチャリと音を立てて開いた。

誰か来たのか?

 

「すみませーん。はいりまーす」

 

そして申し訳なさそうに入ってきた闖入者ーー誰かと思ったが、げっ、ここでこいつらかよ。

よく見ると見知った顔だった。

 

「次なんですけど、3時からは私たちがこの場所を使うことになっているので交代を……って、ひぃっ! こがね……っさん!!」

「おやおや、どなたかと思ったらSK……なんでしたっけ?」

「SKBですっ!!」

「あ、そうそう、SKBの皆さんじゃないですか。こんな場所で会うとは奇遇ですね」

 

そう。突然入ってきたのは、あのSKBメンバーだったのだ。タクトの後ろにKを除く全員が揃っていた。

俺がにっこりと友好的な微笑みを向けると、奴らは直立不動でかしこまる。

 

「ははは。こがねさん、どもっす……」

 

元リーダーであるタクトが、卑屈に頭を下げた。

 

「でもどうしたんですか? そんな大勢で楽器を担いで……。

 それに先ほどのセリフ。交代……でしたっけ? つまり出て行けと私たちに言ったんでしょうか? この私に」

「いえいえいえいえいえいえいえ。私たちの勘違いですぅ! ぜひ存分に使ってください!! 

 ほらっ、お前ら、早く出ろっ今度は殺されるぞ!!!」

 

物騒な言葉とともに、SKBの面々は脱兎のごとく去っていった。

重たい楽器を担いでいることを思えば、その引き際はいっそ芸術的であった。

 

残された俺たちーーというか鵜沢とゆりは、怒涛の流れにポカンとしていた。

だがそんなゆりを見て、俺は安心した。ポカンなら問題ないな。

そう、タクトに会ったに関わらず、唖然とはしているものの店前で見せたような反応をしていなかったためだ。

 

「ふぇ~、なんだったんじゃー、今の?」

「えーと、とりあえず続けていいのかな?」

「もちろんですよ。きっと彼ら部屋を間違えたんですね。迷惑なことです」

 

「うーん、別のバンドだったのかなー? こがねちゃんは知り合いだったみたいだけど、SKB? 聞いたことないバンドだね」

「知り合いというわけでもないですけどね。SKBーー精神的に向上心のない馬鹿どもの略だそうです。

 最近できたバンドのようですよ」

「んやー、す、すごい名前だね」

 

世の中にはスネ○ヘアーやク○ムボンなんてバンドがあるんだから、なんもおかしくないよ。

 

「それにあれはすごいカッコーだった……。ゆりちゃんは知ってた?」

「ううん。知らない。誰も見たことない人たちだった」

 

よしよし。助かったぜ。

ゆりがタクトに再会したにも関わらず、反応しなかった理由。

それは全員三白眼のスキンヘッドになっていたためだ。

 

そう。俺はアレをむしり取るついでに、全員の髪と眉毛を全てむしり取ってやったのだ。

悪いことをしたら、頭を丸める。それを実践した結果だったが、思わぬ効果があったようでビックリだ。

 

もともとビジュアル系バンドだった彼らはド派手な髪型をしていたから、それがなくなっただけでも印象はだいぶ変わる。

早い話がオフの日のデーモン閣下に、誰も気がつけなくなるのと同じことだ。

あの様子なら、ゆりたちがSKBの正体に気がつくことはないだろう。今後一切の育毛禁止だな。

 

「はっっ!? 名前といえば……そうだよ、名前っ! どうする?」

 

何かを思い出したかのように、鵜沢が声を上げた。

 

「突然どうしたんです、鵜沢さん。名前って……」

「名前?」

「リィちゃんたちの、バンドのじゃー」

 

名前って、あー、そういうことか。

そういえば頭の中ではこの集まりを勝手にグリグリって呼んでたけど、正式名称を決めてたわけじゃなかったな。

今ここにいるのは名も無き少女スリーピースだ……スリーピースかな? 一人何もできないやついるけど。

 

「名前かぁ。難しいね。私は自分でバンドを作ろうとか思ってなかったし。どこかに入ることしか頭になかったしなぁ」

 リィちゃんはどうなの?」

「んむむむむ~、考えてた案はいっぱいあるんだけど。改めて聞かれると恥ずかしいんじゃー!! こがねちゃんはどう」

「え、私ですか?」

 

爆弾ゲームみたいにお鉢が回ってきたな。

 

うーん。

理想を言えばGlitter*Greenだけど、別にその名前に固執する必要はあんまりないんだよな。

ポピパはポピパである必要はあるけど、グリグリはグリグリである必要はないのだ。

 

そもそもまだ原作メンバー全員揃ってないのに、決めていいものなのか。

二十騎ひなこと鰐部七菜が泣くぞ?

 

「何でもいいんじゃないですかね」

「えー、こがねちゃん。このバンドの発起人なのに、テキトーすぎるよ!」

 

いつ発起人になったんだ。

出資した覚えは全く……あー、でもけしかけたのは確かに俺になるのか。

 

「えっと、じゃあ、Glitter*Greenで」

「Glitter?」

「Green?」

 

鵜沢とゆりは二人して頭に?マークを浮かべた。

 

「Glitter*Green。なんか可愛くないんじゃー」

 

あの……本当なら君達がつける名前なんですけど。

 

「Greenはわかるけど、Glitterってどういう意味?」

「あー、輝くとかきらめく、とかですね」

「輝く……緑。なんで緑色なの? 緑色好きなの?」

 

知らんよ。君が好きなんじゃないの?

 

「いえ別に緑が特に好きってわけでは……私は金色が好みですし」

 

「そっかぁ、こがねちゃんは金色が好きなんだね。でもバンド名に色を入れるのはなんか良さそうだよね!

 金色ーーGoldかぁ。じゃあ今日の得難い経験からGold Expe

 

「はいダメー!! その名前絶対ダメー!!!」

 

なんつー名前出そうとするんだこの子は!

さっさと他の名前を提案せねば!

 

うーん。他に何があるかなぁ。

バンド名バンド名ーー

 

放課後ティータイム……バンドしないで食っちゃ寝ばかりになりそう。

ガールズデッドモンスター……みんな死にそうだな。

ミルキィホームズ……いやいやいやいや。中の人が出てくる!

 

しばらくみんなで頭をひねったが、なかなかいい案が浮かばなかった。

 

「じゃあさ、次に会うときまでにみんなで考えてこようよ! みんなで案を出し合って、素敵な名前にしようっ」

「リョーカイ☆ じゃあ宿題ね」

「わかりました」

 

名前、名前ね。

どうしようかな。あとで香澄とたえにメールで相談してみるか。

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