シスコンな兄は過保護なのです。   作:奈々歌

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区切りのいい所、今回は短いですね、すみません。
その代わり、次回更新は早めに頑張ります。
章が変わるタイミングにまとめて加筆修正を加える予定なので、細かい所は気にせず、カタカタと速度重視ですね、予定では。

ホント久しぶりにBlueDragon見ながら書いていました(笑
知ってる人いるんかな?


Chapter.0ー5

 親父の車に乗り、自分の家――そこそこ高いマンションにある一室に帰って来ると、まとめていた荷物を自室からリビングに移して置く。

 ……とは言っても、さほど多い訳ではない。大きめのスポーツバックが一つだけ、ホントにこれだけ。

 

 殆どの生活用品はこれから潜入することになる場所へ既に送ってある。段ボールに詰めてな。本の山が重かったよ、まぁ、資料が主なんだけど。

 任務の間は暮らす所も変わることになった。その為の一時的な引っ越し。新たな生活拠点ってやつを作るからだな。面倒くさいものだ。

 

 今回の任務は暁と七海、二人と協力した長期的なものになる予定。暫くはこの部屋ともお別れか……。

 留守にする間、この部屋は親父が管理してくれる。まぁ、そもそも俺は未成年だから、父親が保証人となって契約してあった部屋だから必然的にそうなるのは当たり前。

 でも、家賃は自分で払っていたんだぞ? “組織”って、ちゃんと給料出るからな。割と高めで。

 

「なぁ、親父。なんでこんなにバタバタしなきゃいけないんだ? 別に俺の合流予定は明日からなんだし、移動も明日の電車でいいじゃん」

 

 忘れ物に電源電気の消し忘れ。

 自分の暮らした部屋を後にする前の確認。伊吹はそれをしながら、勝手に人の買い置きである即席珈琲を淹れて飲んでいる親父に問い掛けていた。

 先の理由で、都合により今の学校を去ること――それはまだ分かる。だが、今日の内に移動までする訳を知りたかった。

 

 伝えられていた潜入実行日は明日。事を急いでも、良い結果が得られるとも思えない。それに、今回の任務は電車での移動になる、それも特急の。

 予定もあちら側に合わせないで向かったとして、何をしていろと? 潜入場所に入れないし、暁や七海とも打ち合わせ出来ないし……。

 

「ん? ああ、それは……俺が切符を間違えて買ったから、だな。……まぁ、あれだ、悪かった。暁に渡す物の手配をしながら合間にやってたらミスったんだ」

 

「おいこら、上司」

 

 聞けば、本来なら明日の八時近くに発車する始発を予約しておくはずだったらしいのだが、本日の最終を買ってしまったとのこと。なんて初歩的なミスなのか。

 

「丁度な、決定ボタンをクリックしようとしたら“例の物”が出来たって報告が上がってきたんだ。そしたらな、ついついそっちに意識が向いて、いつの間にかカチッって押したみたいなんだ。時すでに遅しってな」

 

 笑いながら残りの珈琲を飲み干す親父。無言のジト目で見る伊吹。

 確かに親父の言う通り、時遅し。今から新しい切符を買っても間に合わない。こちらに届かないからな。

 

「……はぁ。いいよ、慣れてるから。任務に大きな支障はないし、予定時間に遅れるよりはいい。適当にあっちで時間を潰すさ」

 

 伊吹は大きく息を吐くと、諦めた様子で「先に行ってるからな」と荷物を持ち上げ、玄関に向かう。親父もカップを濯ぎ、部屋を出た。

 

 ドアを施錠し、鍵は親父へ。一人暮らしも中々に良かったと思う。まぁ、家族との生活の方が長かったからか、物足りなく、寂しく感じはしたけど。

 

 それからエレベーターに乗り、一階まで降りると、マンションの管理人さんに会釈。事情は既に説明している。笑顔で見送ってくれた。「大変だね、元気でやれよ」と。

 気の良いおじさん。また戻って来れたらお世話になります、そう言い残して自動ドアを開いていた。

 

 マンションを後にすると、敷地内の駐車場にとめていた車に手荷物を積み込む。そして、駅のある方へ走り出した。

 

 

 

 †

 

 

 

 ………。

 ……。

 …。

 

 道路を進む。

 駅に向かう車の中、赤信号で一旦止まる。

 

「向かう時、電車で中身を見ておけ。今回の任務に必要な情報が入っている」

 

 親父から小型のメモリーカードを渡される。暗号式で秘密組織っぽいやつ。

 なんでも、俺や七海が使用している特班特製のタブレットでしか読み取れない仕様になっているんだとか。流石、開発部は凄いな。いかにも七海が好きそうな代物だ。

 

「それと――これがお前の乗る電車の切符、間違って買ったやつな。それに“これ”も持って行ってくれ、暁宛ての大事な荷物だ。今回の任務の要にもなる大切な物だからなくすなよ? 作るのに予算けっこう掛かったんだからな?」

 

 続いて小さな茶封筒を取り出し、手渡してくる。中身を確認すると確かに切符だった。

 けど、二枚も入っている。買う枚数も間違えたのか? それに、やたらとペラペラした極薄の透明シールみたいな物体。

 

 多分“これ”が大事な荷物なんだろうけど。任務の要と言われても使い道の想像さえ出来ないんだが……。こんな物に大金が掛かっているなんてな。貼れば透明人間にでもなれるのかってな、はは。

 

「この薄っぺらな物体が“例の物”ってやつ?」

 

「そうだ。お前もよく知る“あれ”だ」

 

「いや、分からんって」

 

「なんだよ、察しが悪いなぁ。じゃあヒントだ、制服の素材」

 

「ああ……って、それもう答えだよな?」

 

 支給されている制服。念のため、段ボールでは送らず、後ろに置いたバックに入れているあれのこと。あの制服に使用されている素材はただの布地ではない。

 

 黒い長袖に白い手袋。見た目だけでもそれっぽい色合いなのだが、秘密組織に相応しい特殊な能力を秘めている特殊な物なのだ。

 

 ――メモリー繊維。そう呼ばれる特殊な素材。

 

「“これ”の使い道は暁に聞けばいいのか?」

 

「そうだ。使用用途は聞いているが、作戦の詳細はあの二人に任せてある。あっちで合流したら、打ち合わせをしてくれ」

 

「あいよ。後の大まかな内容はタブレットで確認しておくよ」

 

 話が一段落した頃。信号の色が青に変わり、止まっていた様々な車が動き出していく。その中に混じって暫く。目的の駅へと到着していたのだった。

 

 




評価、感想貰えるとモチベ上がります。

最初は基本的に七海√で進めますが、完結した後にもう一人くらい√を書きたい(願望)
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