心月流抜刀術を継ぐ者が行くIS   作:一刀斎

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第27話 騒動は何時も突然に…

 

 試合開始のブザーと共に瞬時加速で突っ込んで来る織斑を銀髪…ラウラが止めている。

 

 

(アレって確か…AICだっけか?)

 

〈ハイ。AIC、正式名称はアクティブ・イナーシャル・キャンセラー。日本語で言えば慣性停止能力ですね。シュヴァルツェア・レーゲンの第三世代型兵器です〉

 

(弱点が無いように見えるけど実際弱点が多そうだな)

 

〈そうですね……その名の通り慣性しか止められないのでレーザーとかビームはムリですし、右手を前に出す動作をするという事は、まだ慣れていないのか集中しなければ使えない。後、立体ではなく面に作用する様なので翠鴉のテイルクローやソードビットで注意を逸らせば簡単に破れるでしょう〉

 

 

 色々と弱点あったな………。

 

 俺の場合は使われる前に叩けば良いだけの話だな。

 

 ハメ技で勝確なあっちは放っておいて良さそうだな。

 

 

 

「さてと、あっちはあっちで闘ってるからな。こっちはこっちで闘おうじゃんよぉ、デュノア」

 

「出来れば遠慮したいなぁ~…なんて……」

 

「そこまで警戒しなくていいだろうに。ちょっと俺の新装備の生に……サンドバッグになってくれればいいからよ」

 

「今!?生贄って言おうとしてなかった!?サンドバッグって言っても意味合いは同じだよね!?」

 

「うん?そうだな。ま、どっちでもいいだろ」

 

 

 

 そんな事より、兎の空輸でもらったガンブレードを呼び出す。

 

 弾は専用の物で薬莢に弾がついてない火薬と雷管だけの物で火薬の爆発で斬る威力をあげるだけの物の様だ。

 

 ただ弾を撃ち出すよりも剣として扱う方が俺的には良いけどさ。こんなロマン武器を持ってくるなんて……やっぱりあの兎、ネジが跳んでるな。

 

 ………それを使う俺もブッ飛んでるかな……。

 

 念のために小通連と顕明連を出して置くか、デュノアは銃撃メインみてーだからな。動く盾があれば気にせず行けるな。

 

 

 避けるのが上手いな……。

 

 けど、さっきから織斑の方が心配で避けるのが雑になってるな。

 

 隙を見て織斑を助けに行くつもりだろうがそれを許す俺じゃあねぇよ!

 

 

 居合いをするように構えて、抜刀と同時に引き金を引いて普段の居合いにプラスして爆発の威力でさらに速くなった斬撃を放つ。

 

 

「うわぁ?!」

 

 

 上手く逃げようがそれよりも速く動く攻撃は避けれないよな。

 

 

 向こうで織斑が正々堂々とか喚いてるけど、これって試合だろ?一発勝負の……使える物を使ってるに過ぎない。

 

 だから恨むなら、一回戦で当たっちまった自分の運の無さを恨めよっ!

 

 

 

「ウワァァーーーーッ!!?」

 

 

 

 何だ?いきなり叫び出したぞ、ラウラのヤツ。

 

 

 攻撃は受けてないハズだろ?なのに何で………。

 

 

 

「違うっ!私は、こんなのは望んで、な…い」

 

 

 機体から黒い泥みたいなのがラウラを被っていく。

 

 

「助け…ひす、い……」

 

 

〈マスター!アレは、VTS、ヴァルキリー・トレース・システムです!〉

 

(あ?それって、搭乗者の事を考えてないから危険だって判断されて禁止されたんじゃなかったか?)

 

〈そのはずですが…現在進行形でそのシステムが動いてます。見たところ、ラウラ・ボーデヴィッヒはVTSがある事を知らなかった様ですね〉

 

(アレを放置したらどうなる?)

 

〈良くて廃人、悪ければ……〉

 

(その先は言わんくていい。つまり、早めに助けりゃ良い話って事だろ、アイス)

 

〈まあ、その通りですね〉

 

 

 どうせ試合は中止になるだろうからな…早く向かって────────

 

 

「うおぉぉぉーーーーー!」

 

 

 何で、あいつはまた突っ込んでんだ?

 

 あ、カウンターされたな。

 

 そんでSEがゼロになってISの維持限界で消えたな………って、何でまた突っ込んで行くんだよ!?

 

 IS相手に丸腰かよ!俺とか男鹿とかなら良いかもしれんが、力の無いお前が行ってもただの自殺でしかないだろ!

 

 

 展開装甲を起動させて、織斑先生の暮桜っぽくなったレーゲンと織斑の間に急いで入って、振ろうとしていた黒い雪片から織斑を庇う。

 

 咄嗟に爪鉄に替えたが良かった様だ。

 

 

「おい!そこを退け、翡翠!」

 

「あ゙あ゙?!お前何言ってるか分かってんのか!」

 

「いいからそこを退け!退かないならお前から─────」

 

 

 織斑が言い終える前にテイルクローで織斑を掴んで後ろに下がる。

 

 

「この、放せ!」

 

 

 全くこの死にたがりが……俺が割って入らなかったら真っ二つだって言うのに……。

 

 

「一夏!落ち着いて!」

 

 

 デュノアが来たか。

 

 さて、どうするかね……。

 

 

『織斑、デュノア、邦枝、聞こえるか?』

 

 

「聞こえますけど、アレどうします?早めに助けないといかんじゃないですか?」

 

『邦枝の言う通りだ。邦枝、すまないがラウラを助けてやってくれ、頼む…』

 

 

 まさか、あの織斑千冬からお願いされるなんてな。

 

 

「お願いされなくても最初(ハナ)っからそのつもりですよ。あっちから助けてって言ってましたからね」

 

『…ありがとう』

 

「その言葉は、ちゃんと助けてから言って下さいよ」

 

 

 爪鉄を仕舞って林墨を呼び出す。

 

 あの状態で絶対防御が機能してるか分からんからな。コレなら打撲か骨折ぐらいで済むハズだ。

 

 

(アイス、ラウラがいる場所は普通のISと同じで良いんだよな?)

 

〈イエス。狙うなら手先と足先を壊すなりして動けなくした方が良いでしょう〉

 

 

 なら、あの剣を壊すのが先かな……。

 

 武器破壊に持って来いの技が俺の得意技だからな、失敗なんてするかってんだよ。

 

 

「そんじゃまぁ…行く──────」

 

「待てって言ってんだろっ!!」

 

 

 うるせぇなぁ……。

 

 どうせ、俺がやるから代われって言うんだろ?

 

 お前のプライドとか、弟である自分がやる義務とか、そんな事よりも一秒でも早くラウラを助ける方が重いだろ。

 

 

「悪いが、お前の話を聞く暇なんて無い。邪魔されたくないから拘束はそのままだ」

 

 

 テイルクローでぐるぐる巻きの上に爪の部分で掴んで動けない様にしているが念のためだ。林墨を地面に刺しておいてっと…。

 

 テイルクローのワイヤー部分を限界まで出して、さらにキツく縛ってワイヤーを切断する。これで織斑は動けない。

 

 

「くそっ!翡翠、俺を早く解放しろ!俺がやる」

 

「いい加減にしろよ…お前」

 

「俺がやらなきゃいけないんじゃねぇ。俺がやりたいからやるんだ!そんであの気に食わないISもそしてあんなのに乗ってるラウラもぶん殴ってやるんだ」

 

 

 理由としては、まぁ…及第点かねぇ……。

 

 でも、悪いがお前の言葉を聞く気は無い。

 

 

 

「悪いが、解放するつもりはない。人、一人の命がかかってんだ……俺はお前の腕を信用していない。ISが使えない状態で一般人と同じ程度の力しかないお前がいても足手まといでしかない。だから、そこで大人しくしていろ。……悔しいなら姉よりも強くなってから言う事だな…ま、姉を越えるつもりがあるならの話だがな……」

 

 

 ギャアギャア叫んでいるが…雑音は全てカットだ。

 

 林墨を握って構える。

 

 勝負は一瞬。

 

 織斑先生のコピーかも知れないが所詮は、データ。

 

 決まった動きしか出来ない。

 

 

(さぁ、行くぞ。アイス)

 

〈イエス。マイマスター〉

 

 

 

「心月流抜刀術……推して参る」

 

 

 林墨を構えたまま、展開装甲を起動して速く動いてISに近付く。

 

 相手は唐竹割りで迎撃しようとしている。普通のISより背が低いからな、その選択が最適解なんだろうな……。

 

 だからこそ、データなんだよ。

 

 それは悪手だ。

 

 

 

─────四式 旋嵐四ツ葉!

 

 

 黒い雪片の根元に向かって一撃目が入り、続いて同じ場所にニ撃目が入る。

 

 そして、三撃目が入る。一ミリのズレなく(・・・・・・・・)同じ場所に。

 

 罅が入った雪片に最後の四撃目が入る。三撃目と同じ様に全く同じ場所に攻撃する。

 

 

 四式旋嵐四ツ葉は、怒濤の連続四連撃。しかし、ただの四連撃ではない。一撃目の場所に一ミリのズレなく同じ場所に攻撃する一点集中の武器破壊技なのである。

 

 

 折れて宙を舞う雪片。

 

 

 武器が無くなった黒いISに勢いそのままでタックルして押し倒す。

 

 

(アイス!このまま泥を剥がすなりして取り出せば良いのか!)

 

〈ハイ。そのまま泥に手を突っ込めば良いと思います〉

 

 

 泥に手を入れてラウラを探す。

 

 黒いISが暴れるがソードビットで防ぐ。

 

 

(おっしゃあ、後は引き上げるだけだ!)

 

 

 泥の中にある感触を確かめて掴む。

 たぶん、肩か腕の部分を掴んだと思う。

 

 泥からラウラを引き上げた瞬間──────暗闇の中にいた。

 

 

「どういう事だ……いきなり闇の中って……」

 

「ここは、シュヴァルツェア・レーゲンのコア意識の中と言えばいいでしょうか……」

 

 

 声がする方を見れば、漆黒の長髪に翡翠色が映える着物を着た小学生の高学年ぐらいの少女が立っていた。

 

 姿だけでもなんとなく分かるが、決定的なのは声だ。いつも聞いているからな。

 

 俺の頼もしい相棒の一人……一体か?

 

 

「その姿はどうしたんだ、アイス」

 

「せっかくの機会なので作ってみたのですがどうですか?似合ってますか?」

 

「似合ってると思うぞ。色とか着物とかは俺の普段着とか翠鴉から持ってきたってところかね」

 

 

 記念に頭を撫でてみる事にした。

 

 

「おお、スゲーサラサラだな。しかも感覚もリアルだな」

 

「もっと褒めていいのですよ?マスター」

 

「後でな……そんで?これって戻れるんだよな?」

 

「モチのロンです。その内戻るでしょう」

 

 

 何かテンション高いな、アイス……。

 

 

「そこにいるのは誰だ?」

 

 

 その声の先に居るのはラウラ・ボーデヴィッヒだった。

 

 

「何故邦枝がこんな所にいるのだ?」

 

「さぁな…泥の中にいたお前を引き上げたと思ったらここにいたんだよ」

 

「そう、か。そこの少女は一体何だ」

 

「ああ、コイツは俺の専用機翠鴉のコア意識のアイスだ」

 

「はじめまして、マスターのISのコア意識のアイスです」

 

「コア意識と会話が出来るのかスゴいな……私のレーゲンには無いのか?」

 

「レーゲンのコア意識は今は眠っています。VTSの影響だと思われます。しっかりとメンテナンスをすれば戻るでしょうね。その内ワタシの様になると思いますよ」

 

「ほ、本当か!?」

 

「可能性は低いですが可能でしょう。ここはレーゲンのコア意識の中です。念のためにワタシと同じ処置をレーゲンにしましたので…レーゲンがその気なら声を掛けてくれるでしょう」

 

 

 アイスの言葉にホッとしているラウラに声を掛ける。

 

 

「そんでどうだった?織斑千冬になった感想は…」

 

「あんな感じでなるとは思っていなかったが……ハッキリと言って最悪な気分だ。私が私ではない、そんな感じだった……中々言葉にするというのは難しいな……」

 

「そりゃそうだ。言葉にするのは難しい。だから喧嘩したりするんだよ。ま、それでも解り合えんこともあるがな……」

 

「邦枝…イヤ、翡翠。試合前の話を訊きたいだが……」

 

 

 そう言えば途中で終わったっけな?他の人もいないし丁度良いな。

 

 

「そうだな…俺は、お前を否定するつもりはない」

 

「……な、に」

 

「俺も小さい時は、姉ちゃんみたいになりたいって思った事ぐらいはあるからな。でも、強くなりたいなら“なる”んじゃない、培った技術を昇華させて超える様にしないとな」

 

「なるんじゃなく、超える……なら超えてしまったらどうする?」

 

「そんなの決まってる自分より強い奴を探す。いないなら育てて強くさせる。まぁ、コレは俺の考えだ。参考にするなよ」

 

「そうか……」

 

「強さにも色々な種類がある。ただ単に力が強い事、技術や能力、頭の回転の速さや知識、優しさや勇気といった精神的なモノとかたくさんある。ラウラがどういった強さを手にするか見させてもらうよ」

 

 

 深刻そうに考えているラウラの頭を撫でて落ち着かせてやる。

 軍人でも女の子である事は変わり無いんだな。そう言えば、眼帯してないな……眼帯の下は金色なんだな。オッドアイってヤツか?見えてない訳ではない様だな。動いているし……。

 

 

「強さ……翡翠はどういった強さを手にしているんだ…?」

 

「俺か?俺は───────────」

 

 

 突然視界が白に変わってしまった。時間って事か?

 

 中途半端な終わりだったな。

 

 

「仕方ない…か、また現実でな。アイスのその姿をまた見れるかね……」

 

「フフ、望めば何時でも見せますよマスター」

 

「そうかい。それじゃあ、戻るぞ」

 

 

 

 視界がどんどん白くなって行き、目を閉じて目を開くと……ラウラをお姫様抱っこした状態で立っていた。

 

 

 取り敢えず……この眠ってるお姫様を保健室まで運びますかね。

 

 

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