微百合注意。
「好き・・・嫌い・・・好き・・・嫌い・・・」
「?なにしてんの香澄?」
「花占い・・・好き・・・嫌い・・・あーまた嫌いだー」
一言嘆きの言葉をあげると、あからさまにがっかりする香澄。
何をそんなに真剣にしてんだか。
その様子を横目で見ながら、私は呆れたように溜息をついた。
校舎裏で取る昼食タイム。
早々に弁当をたいらげてしまった香澄は、いそいそうきうきとカバンから結構な花束を取り出し、それに没頭していた。
ちなみに今ので9本目だ。
「別にそんなに気にしなくてもいいじゃない」
「いや気になるよぉ・・・」
言いながら地面に指でのの字を書く香澄。
まあ確かに9本連続嫌い終わりともなれば一種の奇跡みたいなものかもしれないけど、それにしたって落ち込みすぎだ。
・・・ここまで落ち込まれると逆に気になるのも仕方ない。
私はちょっとわくわくした気持ちを顔に出さないよう努めながら香澄に聞いてみた。
「ねえ香澄?なにを占ってたわけ?」
「有咲が、私を、好きか嫌いか」
「は?」
思いをかけない答えに面食らう。
「え?なんて?」
「だから、有咲が私を嫌いかどうかって。嫌いだって。9回も言った」
「理不尽な冤罪パネェな。え?ていうか何それ?私が香澄を好きかどうか占ってたの?」
恨めしげにジト目で視線を送ってくる香澄を遮りつつ私は再度聞いてみた。
「うん」
「ていうかなに勝手に占ってるの?」
そしてなぜ勝手に嫌いなことにしてるの?
「だって気になったんだもん」
「いや気になったからって・・・そもそも、花占いっていう着地点自体おかしくない?」
そう言うと香澄はちょっと顔を赤くしながらうつむく。
指先をツンツンとつついている仕草がかわいい。
「だって直接聞くのは恥ずかしいし、だからって監禁して言うこと聞かせるのはやり過ぎかなって」
「仕草とセリフの不一致感ヒデェ!!て言うか選択その二つなの!?もう少し選択肢あるでしょ!?」
「ねえ、なんで有咲私嫌いなの?」
「いや私言ってないからね!?」
「このままだと私ヤンデレまっしぐらだよ?」
「そこはかとない脅迫やめない!?て言うか先ず話聞こうよ!?・・・はぁまったく。ちょっと貸して」
私はそう言うと、香澄がわきに置いていた豪華な花束から花を 1 本抜き取る。
このままじゃひどい誤解と弊害が生まれそうだ。しかも勝手に。
ていうか多いなこれ。
「100本あるんだ。予備にね。多いは少ないを食べるんだよ」
「よーしいろいろ間違ってるけどもうツッコまないぞー。そんでね香澄?花占いなんてのはこうすりゃいいんだよ」
香澄の言い分を華麗にスルーしながら私は花占いを始める。
「いい?・・・『好き』、『大好き』、『好き』、『大好き』・・・」
「・・・あ」
言葉と一緒に花びらを数えながら、私はちょっと驚いた顔の香澄に笑いかける。
「大好き・・・好き。ね?ほら好きで終わった」
「すごいよ有咲!」
言うな否や抱き着いてきた香澄をしっかりと受け止める。
最近じゃもう手馴れたもんだ。
ま、一緒に倒れちゃうのもほんとは好きだけどね。
「天才だよ有咲!私も!私も有咲大好き!!」
「はいはい知ってますよ」
ぎっちりと首に抱き・・・巻き付いてる香澄に多少殺されそうになりながら、私はポンポンとその後ろ頭を叩いて苦笑した。
そんなうららかな午後の一幕。
END
P.S.
香澄「・・・あ。でも『大好き』じゃないんだね・・・」
有咲「面倒くさいなこの子」
END