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読者の皆さんありがとうございます‼
あまりの急増にちょっとブルってる。
「ヤベェ、殺しちまったか?」
荒野に存在するはいつもの鎧兜のバリアジャケットを纏ったエレクと、深く大きいクレーターの上にヤムチャポーズで横たわる黒いジャージの不審者。
「どうすりゃいいんだよ」
エレクは独り頭を抱えた。
エレクは魔法の実験を行う為、恐らく無人と思われる荒野を訪れていたのだ。
言ってしまえば、バンバン砲撃を撃ってみようという試みだったのだ。
そこでプラズマザンバーとスターライトブレイカーを同時に撃ち、ダブルブレイカーを再現しようとしたのだ。
そしてそれを成してしまえるだけの技術をエレクが持っていたのだ。
その結果がこの惨状であった。
馬鹿でかいクレーターの上にヤムチャポーズで横たわる黒いジャージの不審者。
「何故こうなったし。これ非殺傷設定だよなぁ?」
魔力炉三基の出力は安定していた。
8機の自動防衛砲台を駆使して、スターライトブレイカーまで完璧に再現できていた。
こうなったのは。
「プラズマザンバーとスターライトブレイカーのタイミングがズレたのと威力が結構違ったからか?」
そうあろうことかエレクの再現したこの凶悪魔法は、ぶつかった瞬間にお互いの軌道をずらし、制御を外れ、このフード被った不審者を巻き込んで荒野に落ちたのだ。
「うわぁ………。これって上から落とすように撃つ魔法だったのか。横に向けて撃つと二つの魔法が悪い具合に高め合って暴走するとは……。これは飛行制限あるDSAAでは使えねぇなぁ」
デバイスのデータを確認しつつ今回の反省点を考える。
「…うぅん……」
「ヤベェ起きる‼賠償金位なら良いが、DSAAの出場取消とかは困るぞ‼」
「はっ!?ウチは何を!?」
背中におぶっている黒ジャージの不審者が起きた。
顔も隠してたし、別に気にもしなかったんから気付かなかったが声的に女らしい。
「起きたか?荒野で倒れてるから何事かと思ったぞ」
「倒れてた?ウチが?」
「ああ。まったく予想はつかないけど、何かあったんじゃないか?俺がたまたま通り掛かったから良かったものの……気を付けた方が良いぞ。お前にも心配する人の一人や二人いるだろ?」
「あっ、ありがとうな。あの助けてくれて…」
「へーき、へーき。問題ねぇよ」
「そ、それでもう歩けるから降ろしてくれると嬉しいんやけど」
それは駄目だ 。
今降ろして万一後ろのクレーターを見られたら、記憶が戻ってしまうかもしれん。
「駄目だ。倒れてた女の子に無茶させられねぇよ」
完璧だ。
降ろさない理由と心配してますオーラを同時に放つ話術。
加えてそれを即興で思い付くアドリブ力。
「お、女の子って」
「ん、声的にそうだろ?初めて見たときは驚いたぜ。荒野で倒れてる人がいたんだから」
嘘は言ってない。
殺しちまったかと焦ったのも、人がいたのに驚いたのも本当だ。
「ごめんなぁ……」
「良いよ。このくらいなんてことねぇし、困った時はお互い様だ」
そんな思ってもないことをヌケヌケと喋っていると、ぐーと音が鳴る。
腹の虫が鳴いた音だ。
俺ではない。
「まったく……女子が荒野で行き倒れたりするなよ。多分意識不明で倒れてたのもそれが原因だぞ」
「こここれは違うんよ。昨日から何も食べてないからちょっとお腹が鳴っただけで」
「ほら、もうミッドの都市部だから帰れよ。お前だって荒野に住んでるんじゃないだろ?」
「あっと、うん」
「うん。気を付けて帰れよ」
移動用のデバイスをセグウェイに変形させて上に乗る。
ちなみにこのデバイスは他にもスケボーや自転車、ローラースケートにも変形できる。
「じゃあな」
初めは殺しちまったかと焦ったが乗り切ったぜ。
「うん。ありがとうな‼……うっ、頭がガンガンする…こ、これはピンクと金の……」
急いで少女の元へ戻り肩を掴む。
「と思ったけどお腹を空かせた女の子を一人にはできない‼飯おごってやるから一緒に来い‼」
「ええぇ!?」
「ウチはジークリンデ・エレミア。見ず知らずの私を助けてご飯までおごってくれるなんて君は良い人やなぁ」
撃ちのめした不審者が次元世界最強の十代女子だった。
むしゃむしゃと山盛りポテトを食べる様子はとてもじゃないがチャンピオンには見えない。
でも間違いなくジークリンデ・エレミアはDSAA優勝者であり、目の前でハンバーグを注文しているコイツだった。
ふむ。
しかし被害者がジークリンデ・エレミアだとすればもうひとつ分かることがある。
やはりあのダブルブレイカーは少し難点があるが、威力は折り紙付きだった。
確か俺がこのジークリンデ・エレミアを調べた時には、 彼女は「黒のエレミア」の後継者であった筈だ。
「黒のエレミア」とは歴代エレミアたちの戦闘経験を受け継ぐ古代ベルカの戦闘技術。
戦闘経験を蓄積し、時間を経る毎に強くなる最強の戦闘教育。
そしてその機能のひとつに、命の危険を感じると反射行動として「エレミアの神髄」状態が発生するという物がある。
この状態に入ると殆ど無意識で敵対者を攻撃し、使用者も制御困難である。
しかしジークリンデがそれを発動した様子はないので……
「抵抗も許さず一撃で沈めたのか。やっぱり人に撃つ魔法じゃないな」
「何か言った?」
「いいや、よく食べるなと」
「あっ……すみません奢ってもらうのに」
「いや金には困ってないから別に良い」
「そや、君の名前教えてくれへん?」
「エレク・クレイヴェル。デバイス技師でDSAA選手だ」
「じゃあエレくんって呼ぶな」
「良いよ」
「それよりDSAA選手やったんか。ウチも女子のDSAAでは結構有名な方やと思うんやけど知ってる?」
「優勝選手より有名な選手なんていねぇと思うけど」
「あはは、そやな~」
「てかジークリンデこそ俺のこと知らねぇだろ」
「え!?有名な選手やったの!?ごめんなぁ~ウチ男子の方はあんまり詳しくなくて」
「いや普通に知らないって言えよ。詳しくないとか見栄張るな」
「うっ、そんなに有名な選手なんか?」
「俺は世界代表戦四連覇者だからな」
「ふぁっ!?」
「俺ら次元世界最強の十代男女だから」
「ふぁっ!?まままままじなん!?」
「冗談じゃねぇよ」
「ええ~超有名人やな~」
「いやお前もだから」
そんなこんなでちゃっかり連絡先まで交換した。
ジークリンデは俺の悪名を知らないみたいだ。
まぁ俺の名前も知らなかったみたいだから不自然ではないけれど。
砲撃が生んだ奇跡の出会いである。
「このお礼はいつか必ず」
「いらねぇって」
「いやそんなことできんて」
これでようやく帰れる。
まだやりたいこともあるし、戦力の補充もしないと。
ダブルブレイカーのせいで俺の自動防衛砲台も半分が壊れたしな。
エレミアの技術は見たかったけれど……
「待て、ジークリンデ礼を返せ」
「え?」
聞けばジークリンデは射撃戦、格闘打撃戦、
「このデバイス持って魔法使え。それでお礼は良い」
「え?そんなことでええの?」
後日ジークは地獄を見た。