そういえばティアナは19だからDSAA出れるんですよねぇ。
出たら面白いのになぁ。
「これは本当に辛いかも」
退路を塞ぐように存在するガジェットと、エリオ、ヴィヴィオ、アインハルトという鉄壁の編成がフェイトを追い詰める。
「紫電一閃!!」
「アクセルスマッシュ!」
ガジェットの攻撃で機動を封じ、三人で攻撃する。
「Life回復の為少し前線を離脱します。引き続き射撃支援は行います。アインハルトさん、エリオ頑張って‼」
「はい」
「了解」
「それは狡くない?」
《何を仰るフェイトさん。俺達はそこまで強くないんだから回復をデバイスにやらせるのは基本ですよ。逆にデバイスが自己判断でプロテクション張るのに回復魔法を使わない道理がありませんよねぇ》
エレク達は全員が回復魔法特化のデバイスを持ち、Lifeの回復をデバイスに行わせていた。
その為Life回復を行いながら戦闘を続行できるのだ。
汚い、さすがエレクきたない。
一対三の上にガジェットの支援射撃。
加えてノーモーションの自動回復‼
おまけに――
「何か魔法が使い辛いし、何かしてるよね?」
《ええ、AMFを使ってるんで遠距離攻撃はさせませんよっと。良いかお前ら、手数で攻めろよ。絶対にソニックフォームにさせんなよ。そしたらお前らの勝率が大幅に下がるって出てるから。フェイトさんに一人でもやられたらお前ら全滅確定だからな》
ガジェットを通してもエレクのドヤ顔が見える様だった。
「ごめんねフェイトママ……」
「くっ、攻め切れない‼」
《おい、無理に倒そうとしなくて良いんだぞ‼おい、分かってんのか‼》
「私の覇王流は最強なんだ‼」
《おい、やめろよ。マジで‼俺の言う事は聞かなくていいから、俺のデバイスの勝率計算と指揮は信じて‼身の程を知れって‼お前が勝てる相手じゃねぇから》
「覇王断空拳‼」
アインハルトが三対一の陣形を崩して強引に前に出る。
それを待ち構え、放たせる前にバルディッシュで切り伏せる。
そしてLifeが0になった瞬間、エレクの持たせていた回復特化のデバイスが自爆する。
「「「うわっ!?」」」
流石に予想外過ぎる攻撃にフェイトのLifeが大幅に削れる。
《よっしゃ‼当たった‼ヤバかった~‼それ避けられてたら俺達の勝率が30%位になるとこだったからなぁ。良かった良かった。……さて、では削り殺しておしまいお前達‼》
「「「外道!!!」」」
「さて、ではこちらもやりましょうか。なのはさん」
「う~ん、君が出てきたのは意外だったかな。てっきり皆を戦わせて高見の見物かと思っていたけど」
「俺もそうしたかったんですけどね。でもSランクオーバーの魔導師の相手なんて俺位しかいなんですよ」
「それが君のフル装備かな?」
「ええ。これが俺の装備できる全ての装備です。俺をS+ランクまで引き上げることができる魔力炉三基。AMF搭載の電動式駆動鎧に5機の自動防衛砲台と4機の対魔導師用の盾」
「随分大掛かりな装備だね。まるで戦争でもしてるみたいだよ」
「残念なことに俺は貴女達みたいに手段を選んで勝てる程強くありませんからね」
「そっか。じゃあ始めようか」
「全武装の出力リミッター解除‼魔力炉全力起動‼AMF稼働‼全武装フルバースト‼」
「アクセルシュート」
「ソニックシューター・アサルトシフト」
死角から抉る様に撃ち込まれた魔力弾を、加速することで避けながら、こちらも速さ重視の魔力弾を撃つ。
それをプロテクションで防がれる前提で、半ばタックルのようにぶつかりながら拳を叩き込む。
「シュペーア・ファウストッ!」
DSAAの女子部門優勝選手の使った打撃魔法はそのままプロテクションごとなのはを弾き飛ばす。
「プラズマランサー」
そしてすかさず射撃魔法で追撃する。
タイミングも速度威力共に一流の魔法だった。
だが届かない全ての雷撃が着弾できずに打ち落とされる。
「アクセルシューター アバランチシフト」
数えるのも馬鹿らしくなりそうな数の魔力弾が明確な圧力を持って空を制圧している。
多数のアクセルシューターが雪崩のような弾幕と化して放たれる。
「嘘だろ‼なのはさんこそチートじゃねぇかよ‼何で第五世代でもないのにAMF影響下でこんな魔法撃てんだよッ!ストレイトバスター‼」
子機から幾筋もの光線が放たれる。
エクセリオンバスターの応用系のひとつであるそれは、壁となって迫るアクセルシューターにぶつかり連鎖爆発を引き起こす。
空を爆発が満たし、視界を塞ぐ。
そして幻術で体を隠し回り込む。
エレクをしても完璧だと思える精度の幻術。
それをピンクの輪が空に縫い付ける様に拘束する。
「おいおい、嘘だろ‼マジで人間かよ」
既に設置されていたバインドはエレクを情け容赦無く固定する。
砲撃魔導師にバインドで拘束されたら後の展開はひとつ。
そして上空に収束するピンクの魔力光。
エースオブエース高町なのはの代名詞とも言える、正真正銘最強の魔法の一角。
「スターライトッ――」
「攻撃しても、攻撃しても切りがないよ~、しかもガジェットの動きが格段に良くなってるし」
「ここに来てルーテシア参戦って、本当に最悪じゃない」
囲い込み集中砲火を受けながらティアナは愚痴を溢す。
その間にも無数に弾丸が飛び込んで来て、それを撃ち落とすので手一杯でスバルの援護はできそうにない。
スバルだってリオとキャロの二人では簡単には突破できそうもない。
削っても削っても、すぐに手持ちの治癒特化のデバイスがLifeを回復させるのだ。
それは正に削り殺しと言うのに相応しい状況だった。
《そうねぇ~、こうやってガジェットをインゼクトで操ると昔を思い出すわねぇ~。四年前はこんなことに使うとは思いもしなかったけど》
「私もガジェットを援護して戦うなんて思わなかったよ~。私達FB同士だから共闘することも殆ど無かったし」
切羽詰まった戦場には場違いな、のほほんとした声が響く。
キャロがリオに支援魔法を掛けながら通信機越しにルーテシアと話しているのだ。
しかも何とか隙間を作ってキャロに魔力弾を撃っても、キャロの周りを浮游しながら旋回する盾が防御して届く気がしない。
「あの子供本当に何なのよ‼」
まさか学生がAMFガジェットの大群や兵器紛いの道具を大量に準備してくるとは夢にも思っていなかったのだから仕方がない。
「これは本当にヤバイわよ‼スバル時間稼いで収束砲撃で一発逆転するわ」
「分かった」
「頼んだ」
「任せて‼うぉおぉおおぉ!!」
そばにいたガジェットを投げつけ、盾してにリオに突撃する。
強引な一撃はリオの視界を防ぎ、そのままぶつかり爆発する。
《冷静に孤立したスバルを仕留めて‼》
「リボルバーキャノン」
そのままキャロの防御兵装に拳を叩きつける。
「させない‼」
横からリオの炎と雷が渾然一体となってスバルを襲う。
それを右手で受け止めながら叫ぶ。
「ティア!!」
「嘘‼……魔力収束ができない…」
「どうしました?なのはさん?」
AMFを全開にしてバインドを千切りながら問う。
「スターライトブレイカーが撃てない…」
「集める魔力自体がありませんから」
「やってくれたね……」
「Yes、エレク・クレイヴェル特製の魔力収束爆弾を幾つか設置させてもらいましたよ。収束は早く始めた方が有利‼そんなことなのはさんには言うまでもないことですよね。俺達が湯水の様に流してた魔力は全部そっちに流れていますよ‼」
「ガジェットの逐次投入はその為か」
「ええ、なのはさんへの必殺技対策です。収束砲は厄介ですからね。あとこれ以上やっても俺はなのはさんに勝てなさそうなのでこれを使わせてもらいますね」
「えっ?」
「収束爆弾は全部同時に爆発させれば、この位のフィールドの全域くらい余裕で覆えるんで。それでは皆さん仲良く俺の自爆に付き合ってもらいますね」
「ちょっ待っ――
「収束爆弾全弾Fire」
瞬間カルナージに光が満ちた。
「やっぱりなのはさんって天然ロストロギアとかじゃないですか!?」
「…失礼だね……私だって…もう……Lifeはギリギリなんだけど……」
咄嗟に張った防御魔法を解除してなのはが立ち上がる。
バリアジャケットはボロボロで魔力もカートリッジも禄に残ってはいない。
それでも高町なのはは立っていた。
爆発の直線状にエレクが居たとは言っても驚異的な防御力だった。
「いや本当化け物レベルですよ」
「言っとくけどエレク君のLifeは全損したんだから、もう動いたら駄目だよ」
「もう動けませんよ」
「何かを起動させるのも駄目だよ」
「もうしませんよ」
「絶対だよ?」
「ええ、もう命令も出しません」
「はぁ……これは私以外生き残りはいないんじゃないの?」
「コロナとルールーには安全地帯作ってるんで、それはないです」
「えっ!?私これからルーテシアとコロナちゃんと戦うの!?」
「いえいえ、それは多分ないかと」
「?」
「一応の保険はありましたから」
「…………エレク君あれは何?」
「傀儡兵ですね」
「……うん。…私にも傀儡兵の大群にしか見えない。どういうことかな?」
「魔力収束爆弾発動後に、小型20機と中型42機、大型2機の傀儡兵が自動転送される様にプログラミングしておきました」
「………エレク君は後で私とお話しよっか」
「ディバインバスタァアァァァアアアア」
「ヴィヴィオに聞いたんですけど、模擬戦って今日一日で三戦するんですよね。チーム変えたり作戦練って」
「エレク君は見学ね」
「Why?」
「見学ね」
模擬戦疲れた。
戦闘描写ムズいしキツい。
誤字があったらごめんね。