シンフォギアのifのお話です。

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初投稿、初SS制作です!
戦姫絶唱シンフォギアXDUの聖遺物ギャラルホルンがある世界線で書いています。
記憶違い、解釈違いによるキャラ崩壊当は何卒ご了承くださいm(_ _)m
また、この作品は胡蝶の夢という説話を題材にした ひぐらしのなく頃にという作品の中の話をいくつかパロディしたものとなっておりますのでご注意ください。
以上を踏まえて作品をお楽しみいただければ幸いです。


戦姫絶唱シンフォギア〜胡蝶の夢〜

私は夢を見ました。

夢の中の私は蝶でした。とても雄大で、美しく、自由に空を飛び回っていました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

響「未来ぅ〜ただいまぁ〜」

そう言うと響は床に倒れ込んだ。

未来「おかえり響。今日はやけに疲れてるね。」

響「大丈夫大丈夫〜へいきへっちゃらだよ。」

未来「今回の任務はそんなに大変だったの?」

響「まぁねぇ〜おかげでクタクタだよぉ〜なんかエルフナインちゃんがにょいほーじゅ?っていうの私たちのギアに組み込んでくれたらしくてさ!おかげでギャラルホルンの向こうの世界でもこっちの司令室と通信出来るようになったんだよね〜いやぁ〜捗る捗る!」

 

エルフナイン「クシュン」

藤尭「風邪か?流行ってるからな。気をつけろよ。」

エルフナイン「いえ、僕の噂をされてる気がします・・・」

藤尭「はぁ。」

エルフナイン「それよりもこのあいだシンフォギアに組み込んだ如意宝珠はどうでしょうか?」

藤尭「今のところ問題はないよ。しっかし、日本でもまた聖遺物が見つかるとはねぇ。」

エルフナイン「願いを叶える玉のおかげで世界線を越えた通信が出来るようになって、非常に便利になったと思いますが、まだ試作段階ですので・・・」

弦十郎「そう気張る必要はない。いつも感謝しているぞ、エルフナインくん。」

エルフナイン「えへへ。ありがとうございます。」

場所は再び響と未来の部屋へ。

響「だから頑張れちゃうんだよね〜」

未来「もう、響ったら宿題ほっぽり出して行っちゃうんだから。たまには断ってもいいんじゃない?」

響「でも誰かが困ってるって思ったら助けに行きたくなっちゃうんだよねぇ〜」

未来「やっぱり、そのガングニールがあるから?」

響「え?どういうこと?」

未来「響の人助けは昔からだけどそんなに疲れ果てるまでじゃなかったよね。やっぱりそのガングニールがあるからそんなに無理してまで頑張っちゃうの?」

響「え?いやいや無理なんt」

未来「嘘つき。」

未来が軽く小突くと響の体はたちまち悲鳴をあげた。

響「いたたたたた」

思わず声をあげた響をふくれ顔で未来が見つめる。

未来「ほら、そんなになるまで無理してるじゃない。」

響「あはは未来にはバレちゃうか・・・」

未来「ねえ、もしもあの日、ライブ会場にノイズが出なかったら、ううん私が響をあのライブに誘わなかったら・・・どうなってたかな。」

響「え?」

未来「ううん。ごめんなんでもない。忘れて。」

響「う、うん・・・」

未来「明日学校あるんだし早くお風呂入って寝よ?」

響「お風呂の前にご飯〜もうお腹空いちゃって空いちゃって〜」

未来「はいはい。」

響はどうしても忘れられなかった。

あの日、もしも何事もなくライブが終わっていたら・・・

もしも・・・

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

〜翌日S.O.N.G司令室〜

突如招集を受けた響と未来はS.O.N.G司令室に到着した。

その場の空気は少し重く、張り詰めているように感じた。

弦十郎「突然呼び出してすまない。」

弦十郎は険しい表情でゆっくりと話を始めた。

響「急にどうかしたんですか?」

弦十郎「ウム、とてもマズい事態だ・・・」

未来「何があったんですか?」

弦十郎「君たち以外の装者達が、」

響「みんながどうかしたんですか?!」

弦十郎「うむ、かなりマズい事態だ・・・」

未来「一体何が・・・」

緒川「あなた達2人を除く全員が風邪をひいてしまったんです。」

未来「か、風邪?」

弦十郎「あぁ、彼女らの健康管理に気を配りきれていなかった俺のミスだ・・・!」

弦十郎の言葉を遮るように画面の中のマリアが声を発する。

マリア(通信)「いえ、風鳴司令の責任ではないわ。私達の自己管理がなっていなかったからよゴホゴホ」

しかしその声はトップアーティストとは思えないほど変わってしまっていた。

翼(通信)「不甲斐ない・・・」

翼も同様、かなり声が変わってしまっていた。

緒川「お2人は連日ライブで疲れが貯まってしまっていたのかもしれませんね。こちらのスケジュール管理に不備がありましたね。申し訳ありません。」

響「切歌ちゃんと調ちゃんは?」

切歌(通信)「デース・・・」

調(通信)「2人とも、ダウン・・・」

元気の無い2人の声が司令室に流れる。

弦十郎「なんでも風邪をひいてしまった調くんの看病をしていたら切歌くんまでひいてしまったらしい。」

切歌(通信)「うぅ・・・」

調(通信)「ごめんね切ちゃん・・・」

切歌(通信)「調は悪くないデスよ!私がもっとちゃんとしていれば・・・」

切歌は慌てて調の弁明をする。

未来「あれ?でもクリスは?」

思い出したように未来が尋ねる。

クリス(通信)「あーその、アレだ・・・」

言い難そうなクリスの言葉を遮るように切歌が説明する。

切歌(通信)「クリス先輩は私達の看病をしに来てくれてそのまま私達の風邪をもらっちゃったんデスよ・・・」

クリスが大慌てで経緯を述べる。

クリス(通信)「せ、先輩として風邪ひいた後輩の看病しに行ってやるのは当たり前だろ!?」

調(通信)「うん、嬉しかった。」

クリス(通信)「バッ・・・!!!」

藤尭が無表情で通信を遮断する。

弦十郎「と、いう訳で残るは君たちのみとなってしまったわけなんだが、運悪くこんなタイミングでギャラルホルンがまたしても別の世界と繋がってしまってな・・・放置するわけにもいかん。響くんと、非常時ゆえ、未来くんとで行ってきてもらえないか?」

響「わかりました!」

未来「響の力になれるなら・・・!」

弦十郎「ようし、わかった。早速だが向かってもおう。だが今回は装者の数が少ない。それを頭に入れておけ。危険だと思ったら無理せず戻ってくるんだ、いいな!」

響「了解です!行ってきます!!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ギャラルホルンのトンネルを抜けて響達を待ち受けていたのは過去に見た覚えのある街並みだった。

響「これは・・・」

未来「前の街並み・・・だよね。」

響「うん。だってほら!リディアンも前の校舎だよ。」

未来「ってことはあの事件は起こってないってことだよね。」

弦十郎(通信)「ルナアタックが起こらなかった世界、ということか。」

早速、如意宝珠のシステムを使いギャラルホルンの向こうの世界へ通信を送っている。

2人はすぐさま並行世界の異変を探すが、これと言った異変は街の景色以外何一つ見つからない。

未来「とりあえず、街に出てみよう。街でなら色々わかるかもしれないよ。」

弦十郎(通信)「そうだな、少し街を探索してみてくれ。くれぐれも慎重にな。」

響「わかりました!」

2人は足早に街へと向かった。

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街並みも少し違うものの特にそこからは世界的な異変を感じ取ることは出来なかった。

響「ひゃ〜懐かしいね〜」

響はもう平行世界を満喫し始めていた。

未来「そうだね、あのお店とか無くなっちゃったからね。」

2人は観光に来たかのように平行世界を満喫している。

響「あ、未来未来!前のふらわーだよ!」

未来「あ、ほんとだ。」

響「色々あったよね。」

過去の事と一概に切り捨てることの出来ぬ過去。

2人で共有し、お互いの過ちを悔いる。その大切さを2人は痛感している。

未来「うん。色々あった。」

響「あの時は、ごめんね。」

未来「ううん。いいの。私の方こそごめんね。せっかくだしちょっと寄っていこか。私、お腹空いちゃった。」

響「もちろん!!」

弦十郎(通信)「お前たち、調査だって事を忘れないようにな。」

弦十郎はヤレヤレと2人の動向を聞き続ける。

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数十分後ふらわーから満足そうな笑みを浮かべた2人が出てきた。

響「はぁー美味しかったぁ〜。」

未来「響の食べっぷり見てから私もたくさん食べちゃったよ。」

響「へへへ〜それほどでも〜」

未来「フフ」

2人は街の探索を続けるがそれでも中々異変らしい異変を見つけられない。

その最中、未来はとある店の前で足を止める。

響「ん?未来?」

未来「・・・・・・・・・」

響「未来?そのお店がどうかしたの?」

未来「・・・・・・・・・」

響「未来!未来ってば!」

未来「きゃっ!、ごめん聞こえてなかった。」

響「そのお店がどうかしたの?」

未来「うん・・・このお店、ハッキリとは覚えてないんだけどなんだか見たことあるような・・・」

響「んー私はあんまり見覚えないなぁ。」

弦十郎(通信)「ふむ・・・たしか潰れてたような気がするが・・・」

藤尭(通信)「調べます。・・・・・・こちらの世界でこのお店は潰れていますね・・・ルナアタックの直前にです。」

皆が考えをめぐらせている中、響達の前で女性が1枚の紙を落としていった。

すぐさまそれに気づいたのは響だった。

響はそれを拾い上げ女性に渡そうとした。

しかし響の視線はその紙の中に釘付けになった。

響「え、これって・・・」

響が拾ったのは、ツヴァイウイングのライブのチラシだった。会場は、あの惨劇が起こった会場。日時までも響の記憶の中の数字と一致していた。

響はすぐさま近くの人を捕まえて尋ねた。

響「すいません!今日って何年の何月ですか!?」

返答は響の恐れていた返答だった。

響の顔はみるみるうちに青ざめていった。

響はたしかに大きな驚きを感じていた、さらに、過去にガングニールが埋め込まれていた部分の傷跡が疼くような感覚があった。

未来「響?急にどうしたの?あれ?顔色悪いよ?大丈夫?」

響「う、うん・・・私は大丈夫・・・だけど、これ・・・」

そう言って響は未来にチラシを手渡した。と、同時にその日は明日であるという事実も告げた。瞬間未来の顔は凍りついた。

未来「これは・・・一体・・・」

響「わからない・・・私にも全く・・・」

沈黙が続く。

その沈黙の違和感に気付いたのは響だった。

響「師匠?聞こえますか?返事をしてください!師匠!!」

未来「響?」

響「師匠との通信が途絶えた・・・」

未来「そんな!」

響「すぐに元の世界に帰ろう!」

2人は急いでその場を後にした。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

来た道を戻って響達が見たものはゲートでなく絶望だった。ゲートは消失してしまっていた。

響「そんな・・・ゲートが・・・」

未来「こんな、こんなことって・・・」

響「一体・・・何が・・・」

一方S.O.N.G司令室も大混乱に陥っていた。

弦十郎「何がどうなっている!何故通信が途絶えた!」

藤尭「わかりません!しかし如意宝珠に故障は見られません!」

弦十郎「なんだとォ・・・!」

エルフナイン「つまりギャラルホルン側になにか異常があった・・・ということでしょうか。」

弦十郎「ギャラルホルンに異常があったとなれば下手をすれば響くん達は帰ってこれなくなる・・・!」

エルフナイン「帰ってきてない所を見るとすでにそうなっていると考えるのが妥当かと・・・」

弦十郎「クッ!!エルフナインくんはすぐにギャラルホルンの異常を点検してくれ。」

エルフナイン「そのつもりです!」

弦十郎「座して待つしかないのか・・・すまない響くん、未来くん・・・!」

司令、風鳴弦十郎の表情は過去に類を見ない程に険しくなっていった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

30分もしないうちにエルフナインが血相を変えて戻ってきた。明らかに何かがわかった顔だった。

弦十郎「どうした!何があった?!」

エルフナイン「大変です!ギャラルホルンはもしかすると、もしかすると!」

珍しく大慌てのエルフナインを見て皆が事の重大さを理解した。

弦十郎「一旦落ち着け、エルフナインくん。」

友里「あったかいものでも飲んで一旦落ち着いてエルフナインちゃん。」

少しずつ落ち着きを取り戻したエルフナインは説明を始める。

エルフナイン「はい・・・・・・。今回移動した世界はおそらくですがここ、元の世界の過去と相違ないのですよね?」

弦十郎「あぁ。ツヴァイウイングのライブ、例の店、全てがこの世界の過去と一致しているようだな。それが関係あるのか?」

エルフナイン「あくまで推測の域を出ないのですがギャラルホルンが並行世界を作り出している可能性があるんです・・・!」

エルフナインの声こそは落ち着いていたがそれでもやはりその場の誰しもが彼女の焦りを感じた。

弦十郎「ギャラルホルンが並行世界を?」

エルフナイン「ギャラルホルンはこちらの世界とは別の歴史を辿った世界を繋げる聖遺物です。その別の歴史というのはこの世界の歴史のどこかで起こる事象の結果を変えなくては起こりません。でも、過去の改変というのは容易ではないのです。」

弦十郎「なるほど。だがなぜギャラルホルンがそんなことを?」

エルフナイン「わかりません・・・ギャラルホルンが未だ未知数なだけになんとも・・・でも、今はこの仮説がボクの中で最有力なんです。それと、問題なのが歴史の改変に成功してしまった場合、あちらの世界にいる響さん達は戻ってこれない可能性が高いということです。」

弦十郎「なんだとォッ!」

エルフナイン「そもそも同じ人物が2人も居るという事自体時空の歪みを生み出してしまいかねない状態なんです。言わばタイムパラドックスに近い状態です。そんな事が起こった上で歴史が改変されてしまえば・・・おそらく『同じ時間軸に同じ人物が2人いる』という歪みは、2人のうち片方が消滅する、このぐらい無理矢理な取り除かれ方をすると思われます。そして、残ったもう片方が改変された歴史を辿ることになることになるかと・・・どちらにしろ、こちらに戻ってくることはないでしょう。」

弦十郎「なんてことだ・・・しかしっ!」

緒川「響さんはきっとあのライブ会場の事件に介入してしまう、しかし今はそれが危険だということを伝える術がこちらにない・・・」

弦十郎「この事実を伝えるために向こうに行かねばならない、か・・・しかし誰が・・・!」

その時、司令室の入り口のドアが開いた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

並行世界では響と未来が途方に暮れていた。

元の世界に戻れないことよりもわけがわからない世界にいるということが彼女らには恐怖極まりなかった。

響「どうしよう・・・このままだと私たちずっとこの世界に・・・」

未来「とにかく今は安全を確保しよう。野宿なんてしたくないでしょう?」

響「そうだね。とりあえずホテルでも探そうか。そこでゆっくり考えよう。」

未来「うん、そうだね。急いで考える必要はないかも・・・コホン」

咳、それは何気ない生理現象のはずである。

しかし自分たち以外の仲間は皆風邪をひいてしまっているというこの状況下で響の頭に浮かんだのはこの閉ざされた世界で風邪に倒れる未来の姿だった。

響「未来!咳を・・・!」

未来「大丈夫だよ。もう、大げさなんだから響は。」

響「でも、元の世界では風邪は大流行だったから風邪引いちゃったのかもしれない!急いでホテル探さなきゃ!!」

そう言うと2人は足早に動きだした。一刻も早く安心させてあげたい、そう願って。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ホテルのドアがゆっくりと開き響が両手にコンビニの袋を持って入ってきた。その顔から不安の表情を読みとるのは実に容易だった。

響「未来、大丈夫?」

未来「うん・・・ちょっとはよくなってきたかな・・・昨晩響がずっと看病してくれたおかげだよ。」

響「よかった〜よく考えたら私たちほとんどお金持ってきてないから病院に行けないしね。」

未来「そうだね・・・」

沈黙が訪れる。

静かに、しっかし重々しくその沈黙を破ったのは未来だった。

未来「今日の、夕方、なんだよね。ライブ。」

響「うん・・・」

未来「私も、」

響「それはだめだよ未来!今戦いなんてしたら風邪ぶり返しちゃうよ!」

未来「でも・・・」

響「大丈夫だって。こっちの世界の翼さんと奏さんも居るはずなんだし大丈夫だよ!」

未来「うん、ごめんね響・・・また私は、響の力になれない・・・」

響「大丈夫大丈夫。へいきへっちゃらだよ!早く治してね、未来。」

未来「うん。いってらっしゃい。」

響「うん、行ってくる。」

そう言うと響はドアをゆっくりと開け強く、強く足を踏み出していった

響「こっちの世界は、私が守るんだ。あんな惨劇が、あんな事が起きないためにも・・・!」

そう自分に言い聞かせて響は走り出した。自分の走っていく先も知らず、惨劇の渦の中へ・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

蝶は夢を見ました。

夢の中で蝶は人間でした。

大地を踏みしめて、思いっきり駆けていく。

夢の中で蝶は自分が蝶であることを忘れ人間に浸っていました。

その夢はようやく覚めはじめる。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

未来「響、響起きて。学校遅刻するよ。」

少女は目を覚ました。心地の良い朝を迎える。

気持ちよく体を伸ばしながら身体中で朝日を浴びる。

響「未来〜ごは〜ん〜」

未来「はいはい。どうぞ、召し上がれ。」

食卓は白米、味噌汁、ベーコン付き目玉焼き、サラダ、牛乳、と鮮やかに彩られている。

響「やっぱり未来の作った料理は美味しいや!」

未来「そう言ってもらえると嬉しいな・・・」

響「そういえば昔は未来料理全然出来なかったよね?なんで出来るようになったの?」

未来「努力したからだよ。響のご飯を私が作れるようになりたいって思ったから頑張れたんだ。」

響「私のご飯を?」

未来「そう。響は私のいっちばん大切な人だから。」

響「えへへ・・・なんだか照れちゃうな。」

未来「あ、時間がなかったんだった!急いで急いで!」

響「わ、わ、わわ」

2人は慌てて食べ物を口に放り込み学校の支度をし始めた。

しかし響は何かを探し始める。

響「あれ?どこだろう・・・」

未来「響、早く早く。」

響「私・・・何を探してたんだろう?まあ忘れる程度の物なら大丈夫だよね。ごめん未来〜今行く〜」

響の脳裏に微かにイメージされていたのは綺麗な小さな石のついたペンダントだった。

2人は走って学校に向かう。が、響と元陸上部の未来が一緒に走っているため未来は響と合わせるにはどうしてもペースを落とさざるをえなかった。

響「ご、ごめん未来・・・ハァハァ・・・私に合わせてくれて・・・ゼェゼェ」

未来「こんな急ぐことないようにもっと早く起きようね。」

響「はい・・・」

間一髪遅刻は免れた2人を迎えてくれたのはいつもの仲良し3人組だった。

安藤「ビッキー大丈夫?ヒナと一緒に走るだなんてまた無茶な・・・」

寺島「でもおかげで遅刻じゃないんですし結果的には良かったのでは?」

板場「まったく走って遅刻ギリギリに教室入ってくるなんてアニメじゃないんだから・・・」

アニメじゃないんだから、その言葉が響の耳に響いた。そして今朝見た壮大な夢の事も思い出した。

響「あ、そうだ!ねえねえ今日さ、すごい夢見たんだよ!アニメみたいな夢なんだ!」

板場「へー気になる気になる!」

当然、板場は『アニメみたい』と聞いて食いついた。

響「なんだかねその世界にはノイズっていう怪物が居てね普通の人は抵抗手段が無くて殺されちゃうんだ。それで私はねツヴァイウィングのライブに行くんだけどそのライブにノイズが出現してね天羽奏さんに命を救われて戦う力を手に入れるんだ!!」

板場「ほうほうほう。」

響「それでね、その力で世界を何度も何度も救うんだ!!夢の中じゃ雪音クリス先輩も戦う力を持ってたんだ!最初敵だったんだけどさ・・・」

板場「うん!うん!!」

珍しく響から楽しい話が聞けて板場は喜びと興奮をまったく抑えられていない。響も板場にこんな話をするのが楽しくて夢中で話している。

響「それでさ、私は未来と例のツヴァイウィングのライブがやる直前の世界に行くんだ!で、それで目が覚めちゃって。」

未来「2人とも、授業始まるよ。席に着かなきゃ。 」

5人は慌ただしく授業の用意をして席に着く。

チャイムが鳴り響き授業が始まる。

しかし響はいつもの如く睡魔に襲われ眠りつく。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

響はゆっくり、とてもゆっくりと目を開く。

真っ先に視界に飛び込んで来たのはマスクを付けた未来の顔だった。

未来「起きました!響が起きましたよ!!」

弦十郎「響くん、どうだ調子は?」

響「え、えっと・・・私は元気ですけど、一体これは・・・?」

弦十郎「そうだな、響くんは何もわからないだろう。順を追って説明しよう。俺達は今回の世界が普通ではないことに気付いた。今回、君たちが向かっていたのはこの世界の過去と相違ない並行世界だった。そして、簡単に説明すると奏があのライブで生き残ると、君たちが消えてしまうことが予想された。そこで俺達は、そちらに1人装者を向かわせて君たちを止めようとしたのだが、君たち以外はまともに動けなかった。皆かなりの高熱でな。しかし、クリスくんがどうしても行きたいと、『あのバカ達には散々貸しを作っちまったんだ、今アイツらを助けに行かなかったら私はアンタを一生恨むッ!』と言ってな。病体のまま君たちを止めにゲートをくぐってくれたんだ。帰って来れるかもわからないゲートをな。未来くんも体調を崩していたので止めるのは響くんだけでよかったのは不幸中の幸いだったか・・・それと、向こうの世界であのライブ会場の惨劇が終わるのを待ってみたらゲートは復活したそうだ。まるであの事件が起こるのを待つようにな。」

エルフナイン「もしかしたら、響さん達を試したのかもしれません。過去に響さんにガングニールが応えなかった時があったようにボクたちがギャラルホルンを使うに相応しいか試したのかもしれないです。」

弦十郎「ふむ、なるほど。それは後で考えるとして、クリスくんはその後、気絶した響くんを担いで未来くんとこちらに帰ってきたんだ。クリスくんはよくやってくれた。おそらく君たちの命の恩人だ。礼を言っておけ。」

響「クリスちゃんが・・・」

少しの沈黙が流れた。

その最中ふと思い出したように響は口を開いた。

響「師匠、私、夢を見てたんです。シンフォギアがなくて、ノイズも居ない世界の夢。そこにはたしかな平和があったんです。それで、私、今からでもツヴァイウィングのライブ会場に行ってあの惨劇を止めてきた方がいいんじゃないかって、たとえこの私が消えてしまっても私がシンフォギアを纏わない世界の方が良かったんじゃないかって思って・・・」

響は深刻な表情で顔を曇らせている。

それを見たマリアが溜め息混じりに言い放った。

マリア「まったく、何を言い出すのかと思えば。そんな事を考えているの?」

響「マリアさん・・・」

マリア「そうね・・・1つ、私とゲームをしましょう。」

そういうとマリアはおもむろにポケットの中に手を入れてそして後ろを向き手の中で何かを操作しもう一度響と向き合う。

そして握りこぶしを2つ突き出して見せた。

マリア「飴がこの中に入っているわ。好きな方を選びなさい。」

キョトンとしていた響だがすぐに悩み始めた。

響「どっちだろう・・・右?いやいや左なのかも・・・うーん・・・・・・よし!決めた!右!!」

そうするとマリアは指された方の手を開いた。その手の中にはたしかに飴玉が1つ入っていた。

響「やったーーー!!」

喜ぶ響に見せつけるかのようにマリアはもう片方の手を開いてみせた。その中には2つ飴玉が入っていた。

響「ええ!?2つ??!」

マリア「えぇそうよ。あなたが選ばなかった方には2つ入っていたの。」

響「そんな〜」

マリア「でも、何を悲しむ必要があるのかしら?」

そう言うとマリアは飴玉を持っている響の手を優しく包み込み

マリア「あなたはこの飴玉を選んだの。それは変えることの出来ないこと。たしかにこちらの手を選んでいれば飴玉は2つだったわ。でもあなたはこっちの手の中に飴玉が入っているとわかった時に喜んだ。もう片方の選択肢の結果なんて知らなかったから。 たしかに自分が選ばなかった選択肢は魅力的に見えるかもしれないわ。でも、それは見てくれの魅力。包を開けてみれば結果的にはなにも変わらないの。自分のしてきた選択を後悔するという気持ちは痛いほどわかる。だけどね、その選択は全否定しちゃダメなの。大切なのは選んだ今を精いっぱい生きること、そして後悔した失敗を未来に繋げることよ。」

響「選んだ今を精いっぱい生きる・・・失敗を未来に繋げる・・・なんだか、難しいですね。」

マリア「そうよ、これはとっても難しい、けど大事なこと。私がアドバイス出来るのはここまで。後は自分で考えて自分の答えを見つけるのよ。それと、もしも過去が変わってしまった場合、私とあなたは会えないのでしょう?それは少し寂しいわ。」

響「マリアさん・・・ありがとうございました。」

話の頃合いを見計らってエルフナインがメディカルチェックをしたいと頼み一同はその部屋を後にした。

響はもう一度眠りにつくことにした。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

声が聞こえた。優しく肩をたたく感触もあった。

未来「響、授業終わったよ。起きて。」

響「ん、あれ、終わった?」

未来「うん。終わったよ。次の授業は別の教室だから移動しなきゃだよ。支度して。」

響「う、うん。」

響はどうしても今しがた見ていた夢が気になっていた。夢にしてはあまりにもはっきり覚えているし、何よりアニメのような内容はともかくリアルだったのだ。

響「あの夢は・・・一体・・・」

その思案は友の呼び声にかき消された。

未来「響〜〜早く〜」

響「今行くよ〜」

響「夢、だよね」

響「夢、なのかな」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

人は夢を見ました。蝶になる夢を。

 

蝶は夢を見ました。人になる夢を。

 

人は蝶になり蝶は人になった。

 

でも人は空を飛べない。蝶は大地を駆けれない。

 

そう気付くのはいつ?

 

夢だと気付くのはいつ?

 

夢だと気付くのはどっち?

 

あなたが夢に気付くのはいつ?



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